ホーム > 落研家:さとうしんいちの『2014 落語ライブ見聞録@関西』
笑福亭鶴瓶、今後の高座情報
『第185回 帝塚山・無学の会』
Sold Out!!
▼9月29日(月) 18:30
帝塚山・無学
入場券-5000円(整理番号付)
[出演]笑福亭鶴瓶
[ゲスト]有
※小学生以下は入場不可。
[問]リバーボトル■0798-33-5699
『ヤマキ つるべ寄席 ~若手台頭~』
11月15日(土)一般発売
Pコード:439-823
※発売初日は店頭での直接販売および特別電話■0570(02)9520(10:00~18:00)、通常電話■0570(02)9999にて予約受付。
▼12月6日(土) 19:00
森ノ宮ピロティホール
全席指定-4500円
[出演]笑福亭鶴瓶
[ゲスト]笑福亭鉄瓶/桂春蝶/桃月庵白酒
※6歳未満は入場不可。車椅子でご来場のお客様はお手数ですが事前にお問い合わせ先までご連絡下さい。
[問]キョードーインフォメーション
■06-7732-8888
9/29(月)11:00~10/6(月)11:00まで先行抽選「プレリザーブ」を実施
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『尼崎瓶瓶亭
~鶴瓶・銀瓶 親子会 vol.1~』
10月19日(日)一般発売
Pコード:439-344
▼12月17日(水) 18:15
ピッコロシアター 大ホール
前売-3500円(指定)
[出演]笑福亭鶴瓶(「お楽しみ」)/
笑福亭銀瓶(「帯久」他)/桂吉の丞(「開口一番」)
※未就学児童は入場不可。
[問]松竹芸能■06-7898-9010
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『夢の三競演2014
~三枚看板・大看板・金看板~』
11月15日(土)一般発売
Pコード:439-803
※発売初日は店頭での直接販売および特別電話■0570(02)9550(10:00~18:00)、通常電話■0570(02)9999にて予約受付。
▼12月22日(月) 18:30
梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ
全席指定-6500円
[出演]桂文珍/桂南光/笑福亭鶴瓶
※未就学児童は入場不可。
[問]夢の三競演公演事務局■06-6371-0004
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『大坂の陣400年 桂米朝一門会
~こけら落とし西の丸ドーム寄席~』
発売中 Pコード:439-665
▼10月5日(日) 14:00
大阪城西の丸庭園 西の丸ドーム
全席自由-3500円(整理番号付)
[出演]桂ざこば/桂雀三郎/桂吉弥/桂佐ん吉
※公演終了後、抽選会あり。未就学児童は入場不可。
[問]大坂の陣400年プロジェクト実行委員会事務局■06-6342-1076
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『RAKUGOハルカスinArtkan』
発売中 Pコード:437-565
▼10月13日(月・祝) 14:00
近鉄アート館
全席指定-3000円
[出演]桂雀々/笑福亭銀瓶/笑福亭喬介/
ラッキー舞/なにわの会
[問]近鉄アート館■06-6622-8802
[問]近鉄アート館チケットセンター
■0570-023-300
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『大津特選落語会』
発売中 Pコード:437-887
▼10月19日(日) 14:00
大津市民会館 大ホール
全席指定-3000円
[出演]月亭八方/桂雀々/笑福亭鶴二/桂春蝶/
笑福亭喬介/ラッキー舞(太神楽)
※未就学児童は入場不可。
[問]大津市民会館■077-525-1234
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『白鳥・三三 両極端の会 in 秋のひょうご』
発売中 Pコード:434-810
▼10月19日(日) 14:00
兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
A席-3000円 B席-1000円
[出演]三遊亭白鳥/柳家三三
※未就学児童は入場不可。
[問]芸術文化センターチケットオフィス■0798-68-0255
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立川談春 三十周年記念落語会
『もとのその一』
発売中 Pコード:437-996
▼10月25日(土)・26日(日) 15:00
兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
指定席-3900円
[出演]立川談春
※未就学児童は入場不可。
[問]芸術文化センターチケットオフィス■0798-68-0255
[問]キョードーインフォメーション
■06-7732-8888
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『柳家三三独演会 男、四十にして・・・惑う。』
発売中 Pコード:438-939
▼11月16日(日) 14:00
松下IMPホール
全席指定-3500円
[出演]柳家三三
※未就学児童は入場不可。
[問]キョードーインフォメーション
■06-7732-8888
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『桂雀々独演会』
発売中 Pコード:438-285
▼11月22日(土) 14:00
摂津市民文化ホール
全席指定-2500円
[出演]桂雀々
※未就学児童は入場不可。
摂津市民文化ホール■072-635-1404
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【其の一】立川談春独演会
【其の二】志の輔・談春 祝祭落語会
【其の三】桂雀々 必死のパッチ 5番勝負
【其の四】立川談春独演会「デリバリー談春」
【其の五】志の輔らくご in 森ノ宮 2013
【其の六】米朝一門会
【其の七】ぴあ寄席 ~あきんど落語編~
【其の八】立川談春独演会
【其の九】三枝改メ六代桂文枝襲名披露公演
【其の十】ぴあ寄席 ~湯けむり落語編~
【其の十一】立川談春 三十周年記念落語会
『もとのその一』(大阪)
【其の十二】立川談春 三十周年記念落語会
『もとのその一』(神戸)
【其の十三】ゆうちょ 笑福亭鶴瓶落語会
【其の十四】志の輔らくご in 森ノ宮 2014
【其の十五】立川談春 三十周年記念落語会「もとのその一」『百年目』の会
【其の十六】志の輔らくご in 森ノ宮 2015
【其の十七】桂文太 ぷれみあむ落語会 in NGK
【其の十八】笑福亭鶴笑の夏休みファミリー劇場~笑福亭鶴笑のパペット落語~
【其の十九】夢の三競演2015~三枚看板・大看板・金看板~
【其の二十】よしもと落語 若手まつり
【1】4月公演見聞録『慶安太平記』
【2】5月公演見聞録『百川』『文違い』
【3】6月公演見聞録『岸流島』『品川心中』
【4】7月公演見聞録『包丁』『紺屋高尾』
【5】8月公演見聞録『かぼちゃ屋』『小猿七之助』『景清』
【6】9月公演見聞録『おしくら』『五貫裁き』
【7】10月公演見聞録『九州吹き戻し』『厩火事』
【8】11月公演見聞録『白井権八』『三軒長屋』
【9】12月公演見聞録『冨久』『六尺棒』
【10】最終回 森ノ宮ピロティホール3周年記念祭 特別公演見聞録『芝浜』
鶴瓶さんが鶴瓶さんとして暮らしていて体験するオモシロ話を、
鶴瓶さんの言葉でしゃべって大爆笑をとっていく『鶴瓶噺』。
今日も、まずは、これからスタート。
吉永小百合さんや歌手の因幡晃さん、さらには通りすがりのおばちゃんなど、
個性的な登場人物が縦横無尽に飛び交う“ネタ”をさく裂させて、約30分。
タレント・笑福亭鶴瓶が30年間続けている独自の芸のカタチで、
すでに、筆者の隣のおばちゃんは失神寸前。
「おもろい女、かわいい女、いとしい女。今日の落語は女三部作です。」
と言って、退場。
緞帳が上がると、シンプルな高座。
後ろのモニターに、第一回からの「笑福亭鶴瓶独演会」に寄稿した人の言葉が、
鶴瓶さんの高座姿の写真や映像とともに紹介されていきます。
一つ目の落語、おもろい女は、『宮戸川』。
江戸の落語です。
上方でやっている人を、まったく観たことがなくて、調べてみました。
どうやら、鶴瓶さん自身が上方で初めて手掛けた様子。
2001年にネタおろしをして、以降、自分の弟子である恭瓶さんに稽古をつけたり、
タレント山崎邦正から落語家へと転身を果たした月亭方正に勧めたりしているよう。
夜中に家を閉め出された幼馴染の半七とお花。
ことさらに話を飲み込んで理解しすぎる半七のおじさんの家に泊まりに行って、
案の定、誤解したおじさんが二人に用意したのは一つの布団。
期せずしてなった雷と稲光、「キャッ!」と半七にすがりつくお花。
この後二人は…、と期待させつつ、
「続きを知りたい方は、女性に限り、直接会ったときに差しで語ります。」
まぎれもなく、落語でした。
落語家・笑福亭鶴瓶がそこにいました。
気弱で奥手の半七や、ちょっとおきゃんで厚かましくも可愛げのあるお花も、
鶴瓶さんが演じることで、鶴瓶さんの愛嬌をはらみながらも、
鶴瓶さんとは完全に違う人格が、イキイキと物語を紡いでいきます。
おじさんに、ちょっとだけ“素”の鶴瓶さんが見えながらも、
『鶴瓶噺』とは全く違う趣の『鶴瓶の落語』に、
ぐいぐいとお客さんは惹きこまれていくのでした。
ふたたび、後ろのモニターに第六回から第十二回の寄稿者の言葉が上映された後、
今度は羽織を付けた鶴瓶さん登場。
マクラでは、たっぷり、奥様の話。
ハワイのコンドミニアムのトイレが詰まり“ポッコン”を買いに行った話や、
ゴミの分別で鶴瓶さんが奥様に叱られたことを
奥様自身が翌日にしていて指摘したところ、
「もう、ややこしからええねん」と言い放たれた話など。
これは、もう、男と女の違いなのか何なのか分からない、と、
会場を泣き笑いの大渦に巻き込んで、まさに、『鶴瓶噺』の真骨頂でした。
入っていった話は、かわいい女の、『三年目』。
江戸落語では『三年目』、上方落語では『茶漬幽霊』というネタなんですが、
鶴瓶さんのは、前半は江戸『三年目』の流れで人物を描き、
オチに向けて上方『茶漬幽霊』のストーリーを採用していました。
そこを、あえて、『三年目』というタイトルを採用したのには、別の理由があるような。
エンディングトークで語られた、鶴瓶さんらしいエピソードは、
先に送るとして、まずは、あらすじ。
仲睦まじく暮らしていた夫婦の女房お菊が死にいたる病に。
ところが、自分の死後、亭主が後添えをもらい、自分と同じようにかわいがると思うと、
死んでも死にきれないという。
そこまで言うなら、自分は後添えをもらわない。
もし、もらったとしても、祝言の夜に幽霊となって出てきたらいい。自分も逢いたい。
おそらく後妻は驚いて逃げるだろう。
これを聞いたお菊は安心したのか、間もなく逝ってしまう。
百日の法要が過ぎると、案の定、周りが放っておかない。
強い勧めに、やむなく嫁を貰うが、その日の夜、寝ずにお菊が出てくるのを待つ。
が、待てど暮らせど、お菊は出てこない。
次の日も、また、次の日も…。
三年の月日が流れ、子供も生まれ、幸せに暮らしていたある日の昼時、
茶漬をすすっていた亭主の前に現れたお菊。
三年間出てこられなかった理由とは…。
かわいい女の話、と言って始めただけのことがある、素晴らしいお菊でした。
死にたくないわけを語るしぐさ、表情、
さらには、三年目に出てきてからの、女としてのいじましさ。
マクラで奥様のことを語っていたタレント・笑福亭鶴瓶とは完全に別人の、
落語家・笑福亭鶴瓶が描く繊細な女心。
また、それを受け止める亭主の、怒りともどかしさが同居して、
しかも、それでもまだ好きな気持ちのある感じ。
絶妙!の一言です。
いつも鶴瓶さんが体験している、ドカンドカンとくる爆笑とはまた違う、
会場全体がやさしい笑顔に包まれる、そんな空気が漂ったのでした。
実は、この『三年目』、今回の落語会でのネタおろし、とのこと。
きっかけは、今年一月の、やしきたかじんさんの逝去。
遺言状に、奥さんに再婚しないようにと書いてあったらしい。
それを聞いた鶴瓶さん、男女の違いはあるけれど、
奥さんに聞いてもらうため、この噺の稽古を始めたそうです。
『茶漬幽霊』ではなく『三年目』というタイトルにこだわった理由が、
ここにあるのではないかと、そんな気がしてなりません。
中入りを挟んで、ひょっとして、と思ったのですが、やっぱり!
しっかりとリズムを刻む三味線の重厚な音色、「舟行」のメロディーです。
鶴瓶さんの師匠、故六代目笑福亭松鶴さんの出囃子です。
松鶴師匠からは、ひとつも落語の稽古をつけてもらっていない、と、
常々言っている鶴瓶さんですが、
本格的に落語に取り組み始めて13年、
いろんな場面で、師匠の背中と対面していることでしょう。
この出囃子で高座に上がる鶴瓶さんには、間違いなく松鶴師匠への想いがあるはずです。
三人目の女、いとしい女は、『立ち切れ』でした。
上方落語では、数少ない“人情噺”といっていいネタです。
笑福亭一門には、あまり似合わない、しっとり系の大ネタです。
鶴瓶さんは、わりと早くから、このネタに取り組んでいるようです。
ある大店の若旦那、色町の小糸という芸妓に入れあげて、
親族会議の末、蔵に100日間監禁されてしまいます。
一方小糸のほうは、急に来てくれなくなった若旦那恋しさに、
毎日毎日手紙を書く。が、その手紙が80日でピタッと止まる。
100日を経て、無事蔵から出してもらった若旦那、
その手紙の存在を知って、一目散に色町へ。
行ってみると、小糸は息を引き取っていた。
若旦那が線香をあげると、
小糸のためにあつらえた三味線が、弾き手もいないのになり始める。
聞き入っていると、不意に音が止まる。その理由は…。
いや、もう、ほんまになんですの、この人は。笑福亭鶴瓶っちゅう人は!
若旦那、定吉、番頭、色町のおかあちゃん、小糸、小糸の友人たち…
落語家・笑福亭鶴瓶なりの解釈で、丁寧に性格付けされ、
ドラマティックに描かれた“鶴瓶の”『立ち切れ』といえる名作でした。
じわっと、そして、しっかりと心に沁みる出来映えでした。
隣のおばちゃんも、ハンカチ片手に聴き入っていました。
毎日これだけテレビに出ていて、
さらには、ワイドショーを見る限り、いろんなイベントにも顔を出していて、
いつ、どこに、これだけの落語を覚えて、しかも、自分流にアレンジして、
さらにはそれを、納得できるだけ稽古するような時間があるんでしょうか?
公演前のチケットぴあ特別インタビュー「一語一会」にもある通り、
落語家・笑福亭鶴瓶は、進化の途中であり、
気分は新進気鋭と言っていいのかも知れません。
江戸の噺、上方の噺に囚われることなく、やりたい噺を徹底的に自分のものにして、
さらには、それを、お客さんとの呼吸の中で仕上げていく『鶴瓶の落語』。
62歳のチャレンジャーが生み出す新しい落語の世界には、
なんか、とっても素敵な、大きな可能性を感じました。
『鶴瓶噺』『鶴瓶の落語』という両輪で、
『鶴瓶の人生』という大ネタが創り上げられていっている、
そんな気がした落語会でした。
※次回の鶴瓶さん高座情報はこちら
(2014年9月26日更新)