ホーム > 落研家:さとうしんいちの『2014 落語ライブ見聞録@関西』
立川談春 三十周年記念落語会
『もとのその一』
▼7月4日(金) 19:00 Sold Out!!
神戸朝日ホール
指定席-3900円
※未就学児童は入場不可。
※当日券その他のお問い合わせは下記連絡先まで。
[問]キョードーインフォメーション
■06-7732-8888
▼8月23日(土) 17:00 Sold Out!!
奈良市ならまちセンター
全席指定-3900円
※未就学児童は入場不可。
※当日券その他のお問い合わせは下記連絡先まで。
[問]キョードーインフォメーション
■06-7732-8888
7月26日(土)一般発売 Pコード:437-996
▼10月25日(土)・26日(日) 15:00
兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
指定席-3900円
※未就学児童は入場不可。
[問]芸術文化センターチケットオフィス
■0798-68-0255
[問]キョードーインフォメーション
■06-7732-8888
★7月17日(木)11:00まで先行抽選プレリザーブ受付中!
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『東西吟選落語会~七夕寄席~』
発売中 Pコード:435-530
▼7月6日(日) 13:00/17:00
神戸文化ホール 中ホール
全席指定-3500円
[出演]桂雀々/笑福亭三喬/笑福亭銀瓶/
柳亭市馬/林家三平/三遊亭兼好
※未就学児童は入場不可。
[問]神戸文化ホール■078-351-3349
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天満天神繁昌亭
〈繁昌亭で復活! ラクゴレンジャー!〉
発売中 Pコード:597-700
▼7月10日(木) 18:30
天満天神繁昌亭
全席指定-2500円
[出演]桂米紫/桂文鹿/桂かい枝/桂三金/桂吉弥/桂弥太郎
※未就学児童は入場不可。
[問]天満天神繁昌亭■06-6352-4874
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『入門五周年記念「優々まつり~ご縁~」』
発売中 Pコード:436-626
▼7月21日(月・祝) 13:00/17:00
HEP HALL
前売-2500円
[13:00出演]桂優々(「花ねじ」「不動坊」「動物園」)/桂歌之助(「お楽しみ」)/浜口順子(「じゅげむ☆!?」)
[17:00出演]桂優々(「愛宕山」「延陽伯」「普請ほめ」)/桂紅雀(「お楽しみ」)/浜口順子(「アイドルの悲劇」)
※未就学児童は入場不可。2公演ともお買い上げのお客様には記念品をお渡しします(要半券提示)。
[問]米朝事務所■06-6365-828
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『笑福亭純瓶の南都!落語会
~今年は笑福亭鶴瓶一門でたっぷりと!~』
発売中 Pコード:437-975
▼8月31日(日) 13:30
奈良市ならまちセンター
前売-3500円(指定)
[出演]笑福亭鶴瓶/笑福亭純瓶/笑福亭瓶二/
笑福亭由瓶
※未就学児童は入場不可。
[問]奈良市ならまちセンター■0742-27-1151
[問]奈良町落語館■0742-22-7227
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『ゆうちょ笑福亭鶴瓶落語会』
7月12日(火)一般発売 Pコード:437-647
※発売初日は店頭での直接販売および特別電話[TEL]0570(02)9560(10:00~18:00)、通常電話[TEL]0570(02)9999にて予約受付。
▼9月11日(木)~14日(日)
(木)(金)18:30 (土)(日)13:00
森ノ宮ピロティホール
全席指定-5000円
[出演]笑福亭鶴瓶
※6歳未満は入場不可。車椅子の方はチケット購入前にキョードーインフォメーション[TEL]06(7732)8888まで要問合せ。
[問]キョードーインフォメーション
■06-7732-8888
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『第1回桂文枝創作落語独演会』
発売中 Pコード:437-772
▼9月13日(土) 14:00
やまと郡山城ホール 大ホール
S席-4000円 A席-3500円
[出演]桂文枝/他
※未就学児童は入場不可。
[問]やまと郡山城ホール■0743-54-8000
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【其の一】立川談春独演会
【其の二】志の輔・談春 祝祭落語会
【其の三】桂雀々 必死のパッチ 5番勝負
【其の四】立川談春独演会「デリバリー談春」
【其の五】志の輔らくご in 森ノ宮 2013
【其の六】米朝一門会
【其の七】ぴあ寄席 ~あきんど落語編~
【其の八】立川談春独演会
【其の九】三枝改メ六代桂文枝襲名披露公演
【其の十】ぴあ寄席 ~湯けむり落語編~
【其の十一】立川談春 三十周年記念落語会
『もとのその一』(大阪)
【其の十二】立川談春 三十周年記念落語会
『もとのその一』(神戸)
【其の十三】ゆうちょ 笑福亭鶴瓶落語会
【其の十四】志の輔らくご in 森ノ宮 2014
【其の十五】立川談春 三十周年記念落語会「もとのその一」『百年目』の会
【其の十六】志の輔らくご in 森ノ宮 2015
【其の十七】桂文太 ぷれみあむ落語会 in NGK
【其の十八】笑福亭鶴笑の夏休みファミリー劇場~笑福亭鶴笑のパペット落語~
【其の十九】夢の三競演2015~三枚看板・大看板・金看板~
【其の二十】よしもと落語 若手まつり
【1】4月公演見聞録『慶安太平記』
【2】5月公演見聞録『百川』『文違い』
【3】6月公演見聞録『岸流島』『品川心中』
【4】7月公演見聞録『包丁』『紺屋高尾』
【5】8月公演見聞録『かぼちゃ屋』『小猿七之助』『景清』
【6】9月公演見聞録『おしくら』『五貫裁き』
【7】10月公演見聞録『九州吹き戻し』『厩火事』
【8】11月公演見聞録『白井権八』『三軒長屋』
【9】12月公演見聞録『冨久』『六尺棒』
【10】最終回 森ノ宮ピロティホール3周年記念祭 特別公演見聞録『芝浜』
「稽古とは 一より習ひ十を知り 十よりかへる もとのその一」
千利休が茶の精神を三十一文字の歌にして残したものを百首集めた「利休百首」。
その九十首目にあるのが、この「稽古とは…」の歌。
三十周年を迎えた談春さんの決意やら信念やら、ギュッと詰まった見事なタイトルです。
全国33か所、足掛け約1年にもわたるツアーの口開けに、
ここ大阪を選んでくれたこと。ほんまに、うれしい限りです。
昨年末の森ノ宮ピロティーホールでの宣言、
「来年、三十周年の落語会を、ここ大阪から始めます。
ネタは、これまで封印してきた上方ネタをやります。」
その時のどよめきが、よみがえります。
そして迎えた、初日。
フェスティバルホール2700席×2日、完売! 凄いぞ、凄すぎるぞ!!
で、案の定、マクラのネタは、ドラマ「ルーズヴェルト・ゲーム」。坂東社長。
個人的には、深夜のバラエティ番組「噺家が闇夜にコソコソ」で、
檀蜜さんの突っ込みにたじたじになっている姿のほうがツボなんですが、
いずれにしても、ここのところ急にテレビでの露出が増えた談春さん。
さしずめ、十を知った後に、
ちょっと本業以外の十一や十二に手を出している感じでしょうか。
悪役の条件として顔の大きさがあり、主役の唐沢寿明さんと自分とは、
地球と木星くらい違うという天文学的なマクラを振った後、入っていった話が、
上方でも珍品といわれる『除夜の雪』。
古典落語のような風情ではありますが、昭和三十年代に作られた新作落語で、
おそらくこの日、実は、一番話したかった、
この『除夜の雪』を米朝師匠に稽古をつけてもらった時の話は、また、のちほど。
とある寺での、雪が降り積もる大晦日。
3人の小坊主が、ケチな和尚の愚痴を言ったり、和尚のつまみやお茶をくすねてきたり、
例えればお茶場のOLか公園のヤンママが、世間話をしてる風情。
そこへやってきたのが、檀家である伏見屋の、若女将さん。
借りていた提灯を返しに来たという。ちょっとした世間話をして帰っていく若女将。
鐘がなる。撞く人がいるはずのない、鐘がなる。
最年長の大念が「あぁ、檀家の誰かが死んだんだな」と涼しく言うと、
後輩の二人はビビりまくる。
確認しに行こうとして出たところで、さらにビビる珍念。
雪が積もった路面に、さっき来たはずの伏見屋の若女将の足跡がない…。
噺は怪談風の様相を呈していきつつも、しんみりと“人間”やら“人情”の物語に。
談春さんは自身の著書「赤めだか」の中にも、
『除夜の雪』をやりたくなった理由を書いているんですが、
それからさらに8年、師匠談志家元を失い、
三十周年を迎えた今の談春さんの『除夜の雪』。
最後に飛び込んできた伏見屋の藤助さんが、
生前の若女将を語る時のしみじみとしたトーンは、
そんな、いろいろの出来事を経たからこそ出てきた“味”なのではないかと、
あえて、深読みをしたりして。
さて、仲入りかと思いきや、
「休憩ではありません。準備をしているので、そのままお待ちください。」
のアナウンス。
しばらくして、幕前にスーツ姿で登場した談春さん。あれ?このスーツは…。
「ナマ坂東でございます。」に、会場大喜び。
本当にTBSから「ルーズヴェルト・ゲーム」の衣装を借りてきたんだそうです。
迎え入れたのは、ヴァイオリンの佐田大陸さんとピアノの佐田詠夢さん。
佐田さんです。そうです。さださんです。
パンフレットにも名前の出てきた、さだまさしさんの長男と長女です。
大陸さんは「TSUKEMEN」というユニットで全国ツアーをしていたり、
詠夢さんもピアニストや作曲家として活躍しているとのこと。
さすが、音楽一族!
「この二人が、小さかった頃なつかなくてね。」
「だって、遊んでくれなかったんですもん。」
「遊んでほしかったの?」
というやりとりや、
この日の出演に関して、
父であるさだまさしさんに許可を取りに行った時の話をして、曲演奏に。
少々アレンジを加えた『ハンガリー舞曲第5番』。
ちょっと緊張気味?でも、素敵な音色でした。
二人に下がってもらって、坂東社長の衣装のままトークタイム。
『米朝師匠に除夜の雪の稽古をつけてもらいに行く』という、
ひとつのネタでしたね、これは。
米朝師匠の実子である米団治さん(当時小米朝)にお願いをして、
米朝師匠の稽古を申し出るが、待てど暮らせど返事が来ない。
しびれを切らして連絡を取ると「あ、忘れてた。」
ある意味、米団治さんネタは、関西では鉄板ですね。
米朝師匠へのリスペクトと、やはり外せない、
談志家元と米朝師匠の爆笑ネタ(米朝・談志二人会を談志家元が当日ドタキャン!?)の
たっぷり詰まった、イキイキトークでした。
再度、佐田大陸(たいりく)&詠夢(えむ)(ふたりで「Time(タイム)」)を呼び込んで、
談春さんが一番好きというTSUKEMENのオリジナル曲
『古きシネマのように』と、クラシックの楽曲『チャルダッシュ』を演奏。
一曲目よりも力が抜けていて、のびのびとしていた印象でした。
今度こそ本当の仲入りをはさんで、『らくだ』。
上方では六代目松鶴師匠の高座が今なお語り継がれる、エキセントリック落語の代表作。
タイトルであり、主人公でもある、らくだと呼ばれる大男が、いきなり死んでいる。
で、死んでなお存在感を主張しまくるという、怪作です。
ある日、長屋の鼻つまみ者のらくだが河豚の毒に当たって死んでいた。
それを見つけた、らくだの上を行く兄貴分が通りかかった屑屋をつかまえ、
葬儀を出す金を集めてこいと、長屋を回らせる。
圧巻は、死体であるらくだに、かんかんのうを踊らせるシーン。
かんかんのうって、なんじゃそりゃ、と思ってウィキペディアで調べたら、
「…古典落語の『らくだ』の重要なモチーフとして…」って、
もはや、かんかんのうが先か、『らくだ』が先か。
それも言うなら、鶏が先か、ヒヨコが先か。あ、それは、ヒヨコが先ですよ。
さて、『らくだ』も終盤です。
一刻も早く帰りたかった屑屋さん、
まぁ、そういわずと兄貴分から酒を勧められて飲み進むうちに…
いやぁ、ほんまに、談春さんって悪い人が上手いですねぇ。
「ルーズヴェルト・ゲーム」のプロデューサーは、
よく、あの坂東役に談春さんを思いついたもんです。アッパレ!を差し上げます。
談春さん自身がマクラで、
「わたしの『らくだ』は、怖いって言われるんです。」と言ってはったんで、
ある程度分かっていると思うのですが、ほんまに、怖いです。
師匠である談志家元が常々言っていた、
「落語とは人間の業の肯定である」
というフレーズを、最も体現しているのがこの『らくだ』という噺であり、
“業”というものを描けば描くほど、
人間の内面からの怖さが滲み出てくるんですよね。
同時に、おそらく上方落語の『らくだ』にはない、
「らくだは屑屋のことを本当に好きだったのではないか」という演出に、
上方で上方落語をする覚悟を見た気がしたのでした。
さてさて、
始まったばかりの「立川談春三十周年記念落語会『もとのその一』」。
来年3月までの長丁場の全国ツアー。さだまさしかっ!
関西へは、7月兵庫→8月奈良→10月兵庫と、ちょいちょいやって来はります。
談志家元三十周年の落語を聞いて噺家になった談春さん。
そんな談春さんが三十周年。その覚悟の落語が、日本中のあちこちで炸裂するでしょう。
で、今回の落語を聞いて噺家を目指す若者が出てくるかも。
まさに、歴史は繰り返す、ですね。
っていうか、ひょっとしたら、新たなドラマの悪役のオファーが増えたりして。
ほんで、さらに、お顔が大きくなったりして。
ほんで、また、悪役のオファーが増えたりして。
ほんでほんで、またまた、お顔がさらに大きくなって。
ほんでほんでほんでほんで、またまたまたまた、悪役の親玉のオファーが来たりして…。
もう、こうなると、大きい顔が先か、悪役が先か。
いやいや、大きい顔で、善人も悪人も演じながら、
全国を巡っていく三十周年記念の談春さん、乞うご期待でございます!
(2014年7月2日更新)