ホーム > 怒髪天 増子直純のナニワ珍遊道
どはつてん
’84年に札幌で結成。増子直純(vo/通称兄ィ)を中心に上原子友康(g/通称 王子)、清水泰次(b/通称シミさん)、坂詰克彦(ds/通称坂さん)の4人組で活動中。オトコくさくも人情味溢れる独特の音世界に支えられた圧巻のライブアクトで人気急上昇中のロックバンド。
オフィシャルサイト http://dohatsuten.jp/
ベストアルバムリリース決定!
『D-N°18 LIVE MASTERPIECE』
3月30日(水)
(※発売日延期となりました)
2500円
インペリアルレコード
TECI-1301
発売日延期に伴う、特典情報など変更点の
詳細はコチラ
<収録曲>
1.『そのともしびをてがかりに』
2.『男達のメロディー』
1000円
Northern Blossom Records
BNBR-012
『Merry X'mas Mr. Lonelyman』
3000円
インペリアルレコード
TECI-225
※完全生産限定盤。
DVD
『リズム&ダンディー
“Dメン2010 日比谷より愛をこめて”』
発売中
4800円
インペリアルレコード
TEBI-48146~7
ベストアルバム引っ提げ、
なんばHatch以降も関西に続々来襲!
『DOHATSUTEN LIVE LIFE LINE TOUR』
3月26日(土)一般発売 Pコード129-963
▼5月24日(火) 19:00
神戸 太陽と虎
▼5月26日(木) 19:00
U★STONE
▼5月27日(金) 19:00
NEVERLAND
オールスタンディング3500円
詳細はコチラ
5月15日(日)一般発売 Pコード130-086
▼7月1日(金) 19:00
BIGCAT
オールスタンディング3500円
詳細はコチラ
夢番地■06(6341)3525
2月12日(土)、大阪・なんばHatchで『44“R&E”MAGNUM TOUR』も無事、千秋楽を迎えた怒髪天。続いて、3月23日(水)には2枚組ベストアルバム『D-N°18 LIVE MASTERPIECE』がリリースされ、5月からは全国ツアーも始まります。が、いま一度、『44“R&E”MAGNUM TOUR』とは何だったのか、改めてお聞きしました。また、4会場限定でリリースされましたシングル『そのともしびをてがかりに』についてもお聞きしましたので、こちらも併せてお読みください!
--まず、『44“R&E”MAGNUM TOUR』ですが、東京、名古屋、福岡、大阪とツアーを終えたご感想を教えてください。
増子「東京では一番でかい、過去最大のキャパから始めるっていうさ。逆でしょ? ちょっと……ねぇ? 気持ち的に結構、ファイナル迎えちゃったから、最初から(笑)。ちょっと感無量入ってたよね。まあ、ツアーは面白かったよ。そこでできることは何なのかっていう、ハコのサイズ感に合った一番有効なやり方ってあると思うんだよね。今回、それをちょっと学んだね。名古屋も福岡も大阪も全部、今までで一番大きいところでやったんだけど、学ぶ部分はすごいあったね。同じセットでも、ハコの大きさによってやらなきゃならないこととかあって。こうやるべきだろうなってこともあったりして、すごい面白かったねぇ…」
--セットリストも濃いですよね。※オフィシャルサイトのコチラをご参照ください。
増子「そうだね。やっぱり去年さ、アレしたじゃない。いわゆる枝の部分を広げていった。面白いのをやったから。今年はまあ、伝家の宝刀を抜くっていう意気込みで始めてるし。毎年やってるけど、一番最初に今年の指針になるもの。その『今年はこうやっていく』ということを見せる。年の初めのツアーってそうなんで。それをきちんと意思表明できたっていうか。今、キャパが一番増えている状況じゃない? その状況の中で何をすべきかっていうね。俺たちを知ったきっかけが“夏/冬”とか、フェスかもしれないじゃない。だけどあえてそこじゃない、もっと本懐の部分をね。だから知らない曲も多かったと思うよ、初めて(ワンマンを)観た人とかは。まあ、『人間、誰でも最初は初対面』っていうのと一緒でさ、このツアーもその本懐の部分をきちんと説明して、伝えて、渡していけるものにしたいと思っていたから。結果的によかったと思うよ」
--どの会場でも、13曲、14曲あたりでグッと深いところに行ったなと思ったんですが、14曲目はそれぞれ、会場で違いますよね。
増子「そうだね。そこは全部変えた。いわゆる『ラプソディ』とか『エレジー』とか『ララバイ』とか、自分たちの中でのそこに当てはまるものをと考えてやったんだ。その会場しかやらないものを入れていこうと」
--どの曲も昔からリクエストされていた曲だなと思いました。その辺でもグッと来ましたね。
増子「どれも、あの位置に入れても実は違和感ないんだよね、流れの中で。実はやってることは変わってないっていう。そこにすごい、本質が詰まってる」
--では、ステージから各会場のフロアはどういう風に見えましたか?
増子「やっぱり、すごい人いるなって思ったけど、でも結局、1対何百、何千とかじゃなくて1対1だと思ってるし、なるべく一人ずつ、目を見て手渡していこうと思ってるから。いっぱい(お客さんの顔を)見て歌うからね。あの、全体的なものってそうだな、一番最後の方でやっと意識する感じになるんだよね」
--なんばHatchも後ろまでギュウギュウでしたよね。
増子「キャパは前回の倍ちょっとあるからね。BIGCATより。だからねぇ、2年くらい前かな、なんばHatchの津田さんが『うちでぜひワンマンやってください』って言ってくれたときに『やりたいですよ、できるなら。でも、もうちょっとかかります』って言ってたんだけど……。まさかこんなに早くできるとはと思って」
--『できた』ってことですもんね。
増子「そう。売り切ったからね。…売り切れるなんて思わなかったよ。BIGCATを売り切ったから、その時に『売り切れで観れない人がいたら、観せたいのにアレだな』って思ってて。それで、『もうちょっと大きいところでやろうか』つって。『じゃあ、売り切れなくてもいいから、みんなが観れるようにちょっと大きいところでやろうか』ってなんばHatchにしたら売り切れちゃったからね。ありがたいね」
--それでも観れなかった方もいらっしゃいますからね。
増子「そうだね。でも、ありがたいよね。目標としてさ、『大人数の前でやりたい』っていうわけじゃないから。ありがたいしかないよね。これがお客さん50人でもやるけどね。同じことやるよ」
--先ほど『こんなに早く』っておっしゃいましたが、もうちょっと時間がかかると思われていた?
増子「そうだね。今までずっとかかってきたからね。今まで、自分たちがやりたいことと、いろんなもののタイミングが合うっていうことを体感したことなかったからさ。計画と『こういう風になればいいのにな』っていうことを合致させるのに大概、5年ぐらいかけてやってきたからさ」
--体感されてみて、今までとの速度の違いをどう思われますか?
増子「スピード感が上がったのは圧倒的にスタッフの数だと思うんだよね。あと、メディアであるとか。俺らが行かなくてもできる、いない間にもやっていてくれるってことがあるじゃない。そういうことの大きさだと思うんだよね。いわゆるシンパの多さというかさ。もう感謝でしかないよね」
--周りの人数が増えたからスピードも上がったと。
増子「そう。効率がよくなってる。ありがたい。曲の鮮度が落ちないうちに伝えられるっていうかさ。今までも、このタイミングで聴かせたかったなって曲もあるし、もっと行くべきだったって思ってる曲とかあるからね」
--スピードアップして、人に伝えやすくなったんですね。
増子「そう。すごいうれしいよね」
--なるほど。では、今回は、会場SE/BGMも公式サイトに公開されていまして。こういう取り組みも珍しいなと思ったんですが、SE/BGMの選曲も何かテーマがあったんですか?
増子「これは、このツアーがいわゆるロックバンドっていうスタンスにもう一度立ち返るっていう意味で、それで自分たちが影響を受けてきたものであったり、俺たちの世界観を作り上げてきた元になってる曲たち。この中の曲のアンサーソング的なものもいっぱいあるんだよね。『男たちのメロディ』も『俺たちは明日を撃つ』に(歌詞の一部が)かかっていたりとか。そういうのがいろいろあるんだよ。今まで自分が聴いてきたものに対して応えてるっていう」
--では、このSE/BGMだけでも怒髪天の源流を知れますね。
増子「そうだね。いわゆるJAPANESE ROCKで影響を受けてきたものだから。ツアー中もさ、楽屋で会場BGM聴きながらみんなで歌いまくってたから。もうテンション上がるんだよ! 『お! コレきた!!』っつって。どうしてもテンション上がっちゃって。『ここがいいんだよな』とか言ったりさ。友康もびっちり弾いてたもんね。イントロ流れるとギター弾いちゃうんだよ」
--中学生みたいですね(笑)。そういうテンションとかも、ライブの雰囲気に出てたんでしょうね。
増子「そうだね。楽しかったもんな、異常に」
--『NO MUSIC, NO LIFE.』あたりは会場の雰囲気で…。
増子「実際にライブをやってみて流れが変わってくるからね。『男たちのメロディ』から何につなげるかっていうのを考えて、『NO MUSIC, NO LIFE.』を入れてみたり。間に何を入れるかで大分、曲の印象が変わるから。いろいろ考えた結果、『男たちのメロディ』の次は『宿六小唄』だったんだなって」
--14曲目はそれぞれ会場の特色がありますけど、大阪の流れが最も完成系に近いんですね。
増子「そうだね、流れ的に。ライブってそうやってできていくもんだからさ。実際にお客さんと向き合わないと。シミュレーションだけじゃ完成し得ないよね」
--お客さんのレスポンスとかも見て?
増子「そう。あと自分たちのノリもそうだね。リハでやってる時とまた違うから。まあ、リハはリハだからね。音のチェックのためにやってるから。本気で走ってないからね。ライブとまた違うから。リハはシャドーボクシングみたいなもんだよね。ライブが本当の試合で」
--相手の出方がシミュレーションとは違うということですね。
増子「そうだね。大分違うと思うよ」
--大阪のライブの一番最後に、増子さんが『絶対生きて会おうぜ』っておっしゃってましたよね。それすらもままならないのが現実ですもんね。
増子「ほんと、そういうこと。難しい約束はできないけどさ、最低限の約束として次までに生きて合おうぜっていうのがあるじゃない。だけどこれ、実は一番不確かなことなんだよね。一番大事なのに一番不確かでさ。それでもやっぱり約束したい。約束することに意味がある。自分の都合でどうにもならんからね。自分の意思だけではどうにもならないことなんだけど、その気持ちは持っていたい」
--それでも最低限の、生きる原動力になりますね。
増子「そうだね。あんまり長いスパンでものを見ないことだよね。将来どうなるって考えてもわかるわけない。目の前にある分岐点のことだけ考えていけばいいんだよね、基本。先ばっかり見てると転ぶよ。一生懸命やってたら何とかなる。適当にやってれば適当にしかならない」
--なるほど。では改めて、また『今年も行くぞ』というようなコメントをいただけますでしょうか。
増子「今年はライブ主体でやっていくと思うから。本来、バンドやろうぜ=ライブやろうぜだからね。バンド結成で誘ったときにさ、『音源出そうぜ!』っていう意味で『バンドやろうぜ!』って言ってるヤツはほとんどいないと思うんだよね(笑)。今年はそういう、『バンドやろうぜ』的なところに立ち返っていくってことで、ライブ会場で一番最初に新曲を聴ける状況をやってみたいなって。先にリリースではなく、ライブで曲を育ててからレコーディングみたいな。それをまたやりたいなって。昔はそうだったからね、みんな。CDを出せる機会は早々、なかったからさ」
--ライブで温めていって。
増子「そう。結構ね、あるからね、ライブによってアレンジ変わっちゃうとか。今年はそれをやってみようかなって。そのためには頑張んなきゃいけない。曲作らないと」
--次のツアーからですか?
増子「そうだね。友康はもう曲、作ってるからね。俺がやんなきゃいけない(笑)」
--宿題ですね。
増子「宿題だね。友康は早いからね、作るの。どんどん作っちゃうから」
--その『そのともしびをてがかりに』もライブで初めて披露されましたもんね。すごくいい曲ですよね。
増子「いい曲だよ。リリースは大分、我慢してきたからね。『今は面白いのをやってるから、まだ出しちゃダメだ。まだ弓引かなきゃダメだ、引かなきゃダメだ』っつって。もう、満を持して出したからね。いい曲だと思うよ、すごく。今、言いたいことの核心に一番触れてる。わかりやすくて」
--この曲に出会えたか出会えなかったかで、自分の中の頑張ろうという気持ちや生きる気力など、全然違ってきたんじゃないかなって思います。
増子「要はその、誰かに必要とされている、探されているっていうこと、それはさ、現時点ではわかんない。探されている方はわかんないんだよね。尋ね人と一緒で。探している方は必死で探してんだよ。そういうもんだから、人と人って。俺もそういうふうに思ってたから。目の前にいる人たち、ライブに来てくれるお客さんたちを探してたから。自分と同じような思いをして音楽に何かを求めてる、俺と共鳴できる人を探してたよ、ずっと。だけど途中で急にいなくなっちゃったりすることもあるじゃない。歌詞のさ『星のない夜空に響く遠吠え』っていうところ、それって要は、ほとんどスポットライトの当たらないところで『誰かいないか、誰かいないか』ってずっと叫んできたんだよ。俺らは。うん。何の光も当たらないところで。……だけどいたんだよね。ただ、それを見つけるためには俺が探してるだけじゃダメなんだよね。一人一人が何かしら証を、俺が見てわかる目印というかさ……。うん。そうなんだよ。だからフェスとかの大きい会場でやっててもわかるんだよ。俺らを見て盛り上がってる人は拳を上げてるから。それは仲間なんだなってわかる」
--フェスとかに出られると、よりその合図がわかるような気がしますね。
増子「そうだね。拳を見てさ、あそこにもいるんだなって思ったら、『よし、がんばろう』って思うよ。たとえどんなにアウェイでもさ。俺たちを観に来てるヤツがさ、たとえアウェイで少なくても、やっぱりそいつに『怒髪天が好きでよかった』って誇らしく思ってもらいたい。『なんだ、あんなしょーもないの好きなのか』って恥かかしたくないよね。そういう風に思うよ、やっぱり。味方が少ないと余計がんばろうと思うね。それは思う」
--なるほど。
増子「ただ、命的なものもあるからね、『ともしび』っていうのはさ。結局その、時間なんて限られてるからさ、全部に全部、きっちり向き合う時間もないわけじゃない。だからせめてさ、自らともしびを消すようなことはすんなよって。こっちとしては困るからね。探し出せなくなっちゃうから。俺は普遍的な、普通のことを歌ってると思ってる。よりリアルだし」
--リアルですね。私事ですが、そういう風に思うことがすごくあるので。
増子「やっぱりライブに来る人は、何かしら俺自身とさ、共通点がすごい多いと思うんだよね。それじゃなきゃ来ないわな。何もかも全部うまくいっちゃってさ、退屈だわってやつ、来ないよね(笑)。生きてんの暇だなってヤツは来ない。いろいろ大変なヤツしか来ない。でもほとんどの人間がいろいろ大変だと思うんだわ。お金もあるし、ほしいものも別に何もねえやっていうヤツは音楽に何も求めないと思うんだよね」
--それこそ『欠けたパーツの唄』みたいに、みんなが集まって出来上がるというような…。
増子「やっぱ自分だけじゃ何もできない。一応さ、こんだけ長くやってきたってことは、バンドとして演奏する、曲を作るっていう機能での部品は20数年前に揃ったんだよね。何とか歯車が噛み合って動いて、曲を作って出せるようになって。今度はそこから先もあるわけじゃない。スタッフであったりとか、観に来てくれるお客さんも。そういうことのすべての歯車が連動しないといいライブにならない。できないよ。きちんと機能しないんだよね。それがやっぱり、機能するようになってきてうれしい。そりゃあね、大きい歯車、小さい歯車、いろんな形があるけど、それはそれぞれの役割があってさ、どれが優れている、優れていないではないんだよね」
--そう思うといち観客でも必要とされている感じがすごくしますね。
増子「大変必要としてるよ。ライブでも言ったけど、本当、4人だけでやってたらリハだからね。みんないるからこそライブになって、やりとりができる。その場の空気が出来上がるわけじゃない。ミラクルだよ、本当」
--本当に、そのお言葉がうれしいです。今日はありがとうございました。
次回、『第23回 増子直純のナニワ珍遊道』は、リリースが目前に迫ってきました2枚組ベストアルバム『D-N°18 LIVE MASTERPIECE』についてお伺いします。そして、あらゆる状況においての『増子兄ィにとっての●●とは』?ということもお伺いします。その●●は、次号までお楽しみに!
(取材・文 岩本和子/撮影 渡邉一生(SLOT))
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