ホーム > 怒髪天 増子直純のナニワ珍遊道
どはつてん
’84年に札幌で結成。増子直純(vo/通称兄ィ)を中心に上原子友康(g/通称 王子)、清水泰而(b/通称シミさん)、坂詰克彦(ds/通称坂さん)の4人組で活動中。オトコくさくも人情味溢れる独特の音世界に支えられた圧巻のライブアクトで人気急上昇中のロックバンド。
オフィシャルサイト http://dohatsuten.jp/
Single
『真夏のキリギリス』
発売中
1200円
インペリアルレコード
TECI-221
DVD
『リズム&ダンディー
“Dメン2010 日比谷より愛をこめて”』
発売中
4800円
インペリアルレコード
TEBI-48146~7
SOLD OUT!!
▼10月1日(金)18:30
『酒とロック』
[ゲ]SAKEROCK
▼10月2日(土)18:00
『DOHATSUTEN plus』
[ゲ]カトウタロウ(g/ex.BEAT CRUSADERS)、クジヒロコ(key)
▼10月3日(日)17:30
『DOHATSUTEN classic』
[オ]BUGY CRAXONE
磔磔
1日券4000円(Pコード109-489)
3日通し券10000円(Pコード782-677)
夢番地■06(6341)3525
※未就学児童は入場不可。3日通し券は特製グッズ付。
われらが怒髪天の“中学約30年生”の夏はもう少し続く…ということで、『ナニワ珍遊道』でも中2談義を決行! 変わっているようで変わっていないあれやこれやの回想録。怒髪天と同世代の皆様が思わず納得の“中2あるある”から、若い世代の皆様にも通用する“普遍あるある”まで、メンバー4人が振り返ります。
--前回のトークショーも4人全員集合でしたが、今回、こうしたインタビューでの全員集合は久々ですね。どうぞよろしくお願いします。では、早速ですが、中2の思い出や中2の記憶、また、皆さん、どんな中2だったかを教えてください。
増子「30年も前の話だよね(笑)。なにしろ中2のときは友達と遊ぶのに夢中だったね。イタズラしたり、悪いことしたりさ。おしゃれとかにも多少、目覚めた年だったね。ボンタンのジーンズを履いたりさ。あと、自転車をさ、モトバイつってハンドルをグイっと上に上げたりとかさ。丸坊主だったけどね、ちょっと剃り込み入れたりしてさ。アロハシャツとかもさ、欲しかったけど買ってもらえなかったのよ。うちも貧乏だったし買ってもらえる余裕ないから。で、“家にアロハシャツあったな”と思って探したらさ、ハワイランドっていうか、ハワイアンセンターみたいなところでオヤジがもらった紺色に白のハイビスカスが描かれている、よく温泉とかであるような柄のがあってさ。“どう? これアロハシャツじゃないの?”ってそれ着てさ。ちょっと渋過ぎんな~って思ってたら、さすがに友だちにも渋すぎるだろって言われて(笑)。でも着てたね~。あと、靴とかもさ、ちょっとシャレこいちゃってさ、白い靴しか履いちゃいけなかったんだけど、緑色のバッシューとか、安かったから買って。靴紐もさ、赤いのを買ってつけちゃって。ピエロだよね。ほんっと(笑)。あれは完全にピエロだったよ!」
--女子を意識は?
増子「あったね。でもそうは言ってもね、まだ中2のときは遊んでたかったね~」
--イタズラはどの程度?
増子「本当に悪いことをしてたね(笑)。シャレになる程度か…そうだなぁ…」
シミ「言わないほうがいいよ(笑)」
増子「まぁ、基本…よくないね(笑)。ほんっと悪いことをするのが楽しくてしょうがなかった! バンドなんて全然、組むなんて思ってもなかった。聴いてはいたけどね。周りでさ、楽器持ってるヤツいなかったしさ」
シミ「本当? 俺、中2のとき初めてベース弾いたの、すごく覚えてるよ。毎日ベースばっかり弾いてたなぁ」
増子「いなかったなぁ。まあ、うちが貧乏地帯だったからな(笑)。楽器なんて持ってるヤツいなかったよ。よく落っこちてるガットギターとか拾ってたけど、あんなもん使い物にならなかったからね。見つけるたびに叩き壊したりしてた! ガシャーンってやってもなかなか壊れないんだよ。本物って結構、頑丈だよな?」
シミ「そうそう。エレキギターとかでもやってみたけど、全然壊れねぇ」
増子「シミは? どうだった?」
シミ「中学校1年でバスケットボール部に入って、それからずっと、毎日部活だった。部活をずっとやってて。でも、本当に中2のときにベースを買ってもらって、友達とバンド組み始めて。まだアンプとか持ってなかったからステレオにつないだの。で、生のベースの音って聴いたことがないから、すごく安い音なのにかっこよく聴こえて」
増子「そういうことあったわ。ラジカセに直でつないだりな」
シミ「で、ルールも何もわかんないから、知ってる曲のメロディとかを弾いてみたりして。そうしてるうちに、アイツ、ベース持ってるらしいとか、アイツはドラムやってるらしいとかっていうことになって、結局ドラムをやってるヤツのうちに集まるようになって、バンドを組み始めるっていう。“お前の家からベースの音が聞こえた”って友だちに言われてちょっとうれしかったりして。いいだろ? みたいな(笑)。何もわかっちゃいないのにさ(笑)」
増子「北海道弁で言う“おだつ”だな」
シミ「おだってた! 俺、ギターじゃないんだよっていう。ギターはみんなやってたから。俺はベースなの!っていう、そういうのもあったんだよね」
増子「わかるなぁ」
シミ「そういうおだち方をしてたなぁ」
増子「おだつ! 友康は?」
友康「中1の終わりにギターを始めて、中2なんてもう、ずっとギター弾いてる感じ。コードを必死に覚えて。小学校のときは野球やってて、中学のときも何か部活やんなきゃなんない雰囲気になって、ギターを弾けるような楽なところだろうって思ってしょうがなく卓球部に入って。で、卓球部もまじめにやってたんだけど、でもずーっとギターやってて。朝練してから学校行って、学校帰ってきたらまた弾いて」
--朝練って自主的にですか?
友康「5時、6時に起きて学校に行くまでに弾いて、で、学校から帰ってまた弾いて。夏休みもずっと、ギターをとにかく弾いてた」
--そこまでの魅力は何だったんでしょうか?
友康「面白かったんだよね。コード覚えて、それに合わせてフォークを歌うとか、そういうのが面白いから続けられて。で、友だちの家の玄関の前で近所の人集めてコンサートやったり(笑)。ブッチャーズのようちゃんと(笑)」
増子「それ何てグループだっけ?」
友康「それはアローズ」
増子「アローズね」
友康「ギター覚えたてで。『真夏のキリギリス」のPVにも使われてる写真。アレも夏休みにみんなでキャンプに行ったときの写真で。まさにああいう感じでずっとギター抱えて」
シミ「1曲ずつ覚えていくのが楽しかったんだよね」
友康「楽しかったね。一緒に歌えるのが楽しかった」
増子「楽しそうだね! 俺、これからでも遅くないかな?」
友康「遅くないよ!」
シミ「年齢なんか関係ないっすよ!!」
増子「バカ!!(笑)」
いつまでも“中2イズム”を忘れません |
--女子への意識は?
友康「共学だったから女子もいたけど…まあ、多分つきあってたりとかしたと思うんだけど…」
増子「やるなぁ! モテた!?」
友康「いや、モテてはないけど…」
増子「彼女くらいはいた?」
友康「いたんじゃないのかな? 中2くらいだったら」
シミ「いたんじゃないのかな?って、わかるんじゃないの~ぉ!?」
友康「わかんない…。中2とかだったらみんないるんじゃないの!?」
シミ「いないよ~!」
増子「俺なんかちょ~クソガキだったよ~! バカハゲだったよ、全然ダメだよ!」
シミ「クソガキもいいところだよ!」
友康「えぇ~、彼女いるっつったって、一緒にお祭りに行くぐらいだから」
--それって結構ドキドキしますね。
友康「ドキドキするよね」
増子「浴衣着てきたりしたの?」
友康「いやいや、ちょっとおだった格好するくらい」
増子「俺も中学校3年のときにさ、同じ学年の女子にさ、“アンタのこと好きな子がいて、すごいいい子だからつきあえば?”なんて言われて。“めんどくせーよ!”とか言ってたんだけど、それでも言うからさ、“じゃあ、まあ、つきあってください”みたいな感じで、“まあまあ、いいけど”ってなったんだけど、結局何していいかわかんないから2回ぐらい一緒に学校から帰っただけだったね。俺、もう、早く遊びに行きたくてしょうがなかった(笑)。友だちと早くゲーセン行きたくてさ。本当悪いことしたなって、今、会ったら謝りたいぐらい。ほんっと悪いことした」
友康「一緒に帰るとかあったよね」
増子「一緒に帰るのがもうクソめんどくせーんだよ! なにしろめんどくせえ。遊びに行きたい! “アイツらあそこ遊びに行ったのに、何で俺こんなことしなくちゃいけねぇんだよ”って思ってたもん(笑)」
シミ「ほんと、そういう付き合いとかに夢中になってるヤツの方を変に思ってたよね。付き合う子とかいるんだけど…。別のことだったよ、完全に」
増子「日曜日とかそんなことに使いたくない。もっと面白いことがある! 坂詰さんは? 中学校のときって…」
坂詰「まあ、田舎だったから」
増子「学校は、12人くらいしかいなかったんだっけ?」
坂詰「14人。観光地だったから、夏は観光客とか来てて。うちからすぐが浜だから、毎晩、夜中に友だちと家を抜け出して、意味もなく浜をうろうろして。女の子をひっかけるとか、そういうのはもちろんなくて、中2だから。ただ見て楽しむ…」
増子「まあ覗きだよね!」
坂詰「ちょっと待ってくださいよ! テントを覗くんじゃなくて、みんながワイワイやってるところを見て…」
シミ「見てんだよ、やっぱり」
坂詰「や~、チクショ~ウみたいな感じで思ってて」
増子「とんでもねぇ田舎のガキだよ!」
シミ「友達の家に窓から入ったりしてたよね?」
増子「玄関から入りなさいって言われたこと何回もある。もういいから!って(笑)」
シミ「屋根に飛び乗ったりさ」
増子「そうなんだよな~。あと、友だちの姉ちゃんをからかったりな。よくやったよ~。ヒューヒュー!なんつったりして。すっごい怒るんだよ。“あんたの友だち、サイテーね!!(怒)”“ヒューヒュー!”なんつってな(笑)」
シミ「もう何かあったら“ヒューヒュー!”」
増子「“姉ちゃんヒュー!” (笑)ほんっとクソガキだった! 姉ちゃんの部屋に入れろとか言ってたし」
シミ「坂さんは今でもよくやってる」
増子「坂さんは覗きと空き巣だもんね!」(※嘘です)
坂詰「そうスね…。ほんっと、やめられません」(※大嘘です)
増子「あのころの甘酸っぱい気持ちってのはもう二度と戻れないからなぁ」
シミ「あのころの夜のにおいとかさ」
増子「そう。何かのシチュエーションでふっと思い出すことがあるんだよね」
シミ「においと光だよね」
増子「そいえば『FUJI ROCK』。朝起きたときの山のにおいがね、もうキュンっときてさ。わ~、これ、キャンプのときのにおいだと思って」
シミ「霧とカッコウの声が」
増子「ウグイスも鳴いてたよね。キャンプとか毎年、行ってたんだよね。いろんな地区から集まってて、女の子とかもいたりしてさ。何かこっち見てるとかっていうだけで“俺のこと好きなんじゃね?”って。毎回それでいっつも、ちょっとこう、おだってる感じなんだけどさ、“おおぅ? そうかぁ!?”みたいなさ。結局好きなのは俺じゃなくて友だちなんだよね。毎回そうなんだよ。必ずそうだった。でも“え? 最初からわかってたよ!”みたいな(笑)」
シミ「あのころはね、モテるヤツが決まってたんだよ」
増子「そう。スポーツができるヤツとか、あとおとなしいヤツ。俺みたいな小ザルはダメだ! 全然ダメだ!」
シミ「部活やってるヤツに集中してたよね。坂詰さんの場合はどうだったの?」
坂詰「俺の場合は生徒数が少ないから…」
増子「まあ、14人しかいないからね。ちょっとした大家族か零細企業だよ」
坂詰「中学校はもう廃校になっちゃって、小学校だけになっちゃいまして、だから寂しいもんですよ、母校がなくなっちゃって」
増子「そんなこと考えたことがあるんだ!(笑) 意外だな。坂さんが“俺の母校がなくなって寂しい”なんて思ってるって想像もしてなかった。今、言ってみただけでしょ!(笑)」
坂詰「いやいや(笑)」
増子「坂さん、ほら、マドンナ的存在とかさ」
坂詰「マドンナ的存在とかもおるんですよ」
増子「同級生でいたでしょ。アイツと付き合うのは誰だ!?的な」
坂詰「付き合うとか、そういうのはわかんなかった」
増子「俺のこと好きなんじゃないかとか思ってたでしょ」
坂詰「思ってて、98%ぐらい絶対間違いないと思って、1回言ったことあるんだよ。そしたら全然違った」
一同爆笑。
坂詰「ただ、好きだっていう気持ちを伝えたら…」
増子「なんつったの?」
坂詰「“俺、好きなんだけどさ”~って言ったら、“私はそうでもない”って」
増子「(笑)。いや、でもね、いい答えだね」
シミ「友だちのままでいましょとかあったよね」
増子「中1のときにさ、“お前好きな子誰だよ!”“いや、好きな子とかいねぇよ“いや、あえて言うなら誰だよ!”ってなって、“あの子がかわいいな”とか言ったら、じゃあみんなで告白しようぜってノリになって。5人ぐらいでそれぞれいいと思う子に告白したんだけど、もちろん全員ふられて。だって学校入ってすぐだよ。向こうは俺のことも知らない。それで気まずくなっちゃって。3年のときに同じクラスになっちゃって、あれはきまずかったなぁ。ああいう気まずさはあるよね」
坂詰「ある…! クラスが俺、ずっと同じだから」
増子「そうだよね! クラスは1個しかないからね」
坂詰「その代わり学年で1個下とか2個下とかでかわいい子がいたんだけど」
増子「2個上から1個下までが坂さんのストライクゾーンだからね。友康なんかギター弾けるし、モテそうだよね」
友康「いや、中2はそうでもないよ。中3ぐらいになったらちょっと変わってくるからね」
増子「意識がね。中2くらいまでは何がなんだかわかんないからね」
こんな4人がクラスにいたら…!? |
--ちなみに、どんな人が好きだったんですか?
増子「色白でね、小っちゃい子だったね。坂さんは?」
坂詰「俺が好きだったのは、結構大きめの子で…」
増子「……。……。まあ…、もしや?」
シミ「ハッ! まさに“あのころは”だね!!」
坂詰「ちょっとグラマラスな子で」
増子「大林素子くらい?」
坂詰「いや、まあ、ちょうどいいくらい。結構、魅力的だったんですよ」
増子「黒人女性みたいな?」
坂詰「黒人女性(笑)。うん」
増子「選択肢少ないもんね。14人しかいないんだったら」
坂詰「2つ上のクラスにやっぱりかわいい子がいて、その子は同じ学年の好きだった子のお姉ちゃんだった。姉妹を好きだった。美人姉妹だった!」
増子「へへへへへ。美人姉妹にシビレてた?」
坂詰「シビレてた」
シミ「俺、もう、どっちでもイイーーーつってた? 俺にくんろー!!! ち、チスしようぜ、チス!!って言ってた?」
増子「ワハハハハ! 訛ってんな~。姉ちゃん、妹、姉ちゃん、妹、姉ちゃん、妹……俺もう、どっちでもイイーーー!! おら、たまんねーーーー!!つってな(笑)。友康は?」
友康「かわいいと思う子が何人かいたとして、友だちから“お前、アイツのこと好きなんじゃないの?”って言われて、そうしてるうちにお互いが気にしてる感じってあるじゃないですか。なんかこうモヤモヤしてる感じって常にあったかな」
増子「大体、髪の毛がちょっと外巻きでな」
友康「聖子ちゃんカット(笑)。コテでね(笑)」
--先輩とか怖くなかったですか?
増子「まあ、俺ら、校内暴力世代で新聞にバンバン載ってたくらい、学校で荒れてたから。卒業式のときも“これでいいのか中学卒業式”っていうので北海道新聞にも写真つきで載ってたからね」
--今でいう“荒れる成人式”みたいな感じですかね?
増子「もっとひどい。成人式ってまだ大人じゃない。中学生ってもうほんと、犬猫と一緒だったからね。だけど先輩って怖かったね。1個しか違わないのにすごい怖かった。2個上だとほら、もう子ども扱いだからアレだけど。でもいい先輩が多かったな~、俺」
--中学校のときの先輩ってものすごく大人に見えてましたよね。
増子「そう。見えてた。でも、今の中学生ってもう、大人だよね。本当、大人だと思う。あと、先生なんて怒りもしないしさ。今の先生は」
シミ「竹刀持ってる先生いたもんね」
増子「いた。マジでしばかれたしね。ほんっとよく殴られた! 美術の女の先生からかって男の先生にぶん殴られたり(笑)。そのときもヒューヒューなんつってね、言ったりして」
シミ「なにしろヒューヒューだよね」
増子「女子に“やめなさいよ!!”って言われても“うるせぇ、コノヤロウ!!!”とか言ってね」
--大人になってから中2的なことってありますか?
増子「まあ、バンドなんて永遠の中2だからね。ロックに幻想抱いている時点でそうだよね」
シミ「坂さんにイタズラしてるときは中2だなって思うよね」
これぞ“中2顔”です |
増子「坂さんの思考が完全に中2だよね。今44だけどさ、移動日のときとか坂さん、ジャージ履いてて。ポケットに手を入れて、中学のときと完全に同じ履き方してる。いまだに。亀田兄弟の親父と一緒だよね。年も近いしさ。基本、ああなのよ。友だちっつうか、同級生は基本、ああだよ。それが何とも言えない感じ(笑)。いきってるよね。イチビリだよね! 坂さんなんて、昔はちょっとおかしいのが来たかなって感じだったもんね」
坂詰「そんなことないよ」
シミ「『熱笑!!花沢高校』って漫画がはやっててさ、みんなカラスマスクしてたでしょ。で、1個上の先輩みんな黒のカラスマスクしてて。俺も真似して、それで冬、歩いてた(笑)」
増子「カラスマスク、まだ売ってんのかな? まあ、中学校のときはヤンキー全盛期だよな。マッチだの三原じゅん子だのは俺らの1個上だから。でもいい時代だったよ(笑)。中学校のとき、どんだけむちゃくちゃなことするか、バカなことするか、アホらしいことするかの競争だったからね、毎日。バカ競争だった。ほんっとそうだった。毎日。高校のときもやってたもんな」
--もし4人が同じクラス、“2年B組怒髪先生”だったら?
増子「このままだと思うよ。間違いなくこのまま。毎日坂さんいじってると思う。間違いない!」
友康「バンドやってるヤツってみんなそうじゃないかな。アイツとやったら面白いんじゃないかとか、アイツ歌うまいからちょっと入れるべとか。バンドって最初、なんかそういうノリで作るじゃない。僕もバンドまではやってないけど、そういう、隣のクラスのアイツ、ギターうまいとか、ベース持ってるみたいだとかっていう感じで集まってやってるから、そういうノリは全然変わんないよね」
増子「それ、アナーキーの茂さんも言ってたね」
友康「それで、“ちょっとこういう弾き方覚えたんだけど、どう?”ってなったとき、“お! すげーうまい!”って。いまだにそれ言われたくてギターやってるっていう(笑)。早弾きとかもそうだよね、スゲーなって言われたい」
増子「それこそむちゃくちゃ合戦だから。バンドなんかそうだよ。今でもそうだけど、むちゃくちゃ合戦だから。ぶちかまして何ぼだからさ」
シミ「目立ってなんぼなところは変わらないね。スゲーって言わせたい」
増子「ね!」
坂詰「そうなのよ!」
増子「そうなのよ合戦だからね!」
坂詰「でも、僕の中学校時代は、楽器自体持ってる人がいなかったですからね」
増子「14人しかいないからね(笑)」
坂詰「そうそうそう」
増子「スカパラぐらいだよね。もしくはエグザイル」
坂詰「音楽は聴くぐらいだったからね」
増子「何聴いてたの?」
坂詰「えっとね…CDとか…?」
増子「CDはないよ。カセットだよ。CDが出てきたのは高校だもん。当時すっごい高かったよね。カセットもよ、8トラじゃないけど、高いやつ、すっごいでかいのあったよな。iPadくらいの。ラジカセだよね。訳のわからないDJを自分でやって録ってみたり」
友康「自分でラベル作って友達にプレゼントするとかね」
増子「そうそうそう。わたせせいぞうの絵みたいなの。FMレコパルについてたような。マイベストみたいなさ」
友康「友だちの演奏とかも録ってた(笑)」
増子「まあ、“中2病”っていう言葉もあるように、中2って男子にとってひとつのスタート、目覚めっていうか。そのギラギラ感っていうのは意外と持続してるもんなんだよ。で、往々にして夏によみがえってくるんだよね。沖縄に行って思ったもん。ビキニのお姉ちゃんたちが歩いているわけじゃん。直視できないよね、迫力ありすぎて。44にもなってさ、そういう部分も中2なんだわ。俺、思い知ったもん。これって声かけられるヤツ、すごいな!って。サングラスでもないと見ることもできない! 見てるって思われたら恥ずかしいじゃん。向こうのほうが恥ずかしい格好で歩いてるのにさ!」
--中2の男子って生態的にも一番気持ち悪い時期ですよね。
増子「そうだね。宇宙人みたい。妄想でできてるんだよね。ちなみに坂さんは中2のとき、誰と付き合いたいって思ってたの? おニャン子だと誰?」
坂詰「トミナガ…」
増子「一郎と付き合えるって思ってたの? トミナガっつったら一郎しかいないでしょ!」
坂詰「肩幅の広い、ちょっとごっつい系の…」
増子「坂さん、ごっついの好きだもんね」
坂詰「トミナガハルミだったかな?」(注:正しくは富川晴美さんです)
増子「肩幅広い……ティナ・ターナとか? 世界的に見てもゴッツイよね」
坂詰「それはね、ティナ・ターナは高校出てから!」
増子「ワハハ! 結構大人だぜ! 高校出てからって(笑)」
坂詰「ティナ・ターナとマライア・キャリー。マライア・キャリーは出てきた時はヤバイなって」
増子「坂さんの中2力は相当なものだからね、いまだにね。マライア・キャリーがデビューしたときにヤバイなって思うくらいだから」
シミ「すぐ下ネタ言うでしょ。あれなんかも完全に中2病だからね」
増子「中学32年生だもんね! あれから30年たってるからさ」
シミ「どんだけ後輩いんだよ!」
坂詰「いつまでもそういう視点で行こうかなと」
シミ「でも中2のときって新しく視野が広がったりもするんだよね」
増子「いろんなものに対してね」
シミ「あと、一日が夕方までだったのが、一気に夜までと長くなる」
増子「あと、学校で、クラスで友達と話すときとかさ、ちょっと大人びてくるっていうかさ。……思い出しただけでそんな自分に腹立つわ(笑)。あと、深夜放送だよ、ラジオの。なにしろ『オールナイトニッポン』だね。なにしろ月曜の朝だよ! “鶴光のオールナイトニッポン”。もうみっちり!」
シミ「ええんか~、ええのんか~! あと、『水曜ロードショー』とかでカンフー映画をやった次の日は、必ずボッボッって言ってる奴がいて、飛び蹴り食らわせたりとか」
増子「あと『11PM』。あれも隠れて見たりね」
シミ「俺の友達で、『11PM』とか『トゥナイト』みたいなちょっとエッチな番組をこっそり見てて。ある日、親が急に入ってきて電気つけたんだって。そしたら慌てちゃって、そこにあったヌンチャク振り回して、“何やってんの!?”“いやっっ、ヌンチャクの練習してんの!!”って。んなわけないよ! そこにあったものヒュンヒュン振り回してごまかしちゃって(笑)」
増子「いや~、いい話だよ。そういうもんだよね! そ~っと部屋抜け出してさ」
友康「『オールナイトニッポン』聞いてたな~。鶴光さんのときはパーソナリティに日高のり子さんもいて。俺、声だけで(日高さんの)すごいファンになっちゃって。それでハガキ書いたりしてたもんね、ラジオに」
シミ「すごいな、ハガキ職人だ!」
友康「で、日高のり子さんが『一粒の涙』っていうシングルを出して、それを買って何回も、磨り減るぐらい聞いて」
増子「友康、それはカバーだな」
友康「声だけでいろいろ妄想できるというか。顔とかわかんないから」
増子「そうなんだよね。当時インターネットとかもないから、見れないんだよね、どんな顔してるかわかんないし」
シミ「あのコソコソ感がよかった。深夜放送の」
増子「興味あったんだよねぇ」
--そういうのっていつから開き直るものなのでしょうか?
増子「多少、落ち着くんだろうね。何しろ悶々してるからね。何がどうなってるかわかんない。チャリンコで街に行ってみたりね。がーって」
友康「流してみたり」
増子「意味もなく走り出したり。ほんと、意味がない」
--あと、芸人さんがよくネタで、中2ぐらいからアーティストを“さん”付けするって言いますが…。
増子「こないだな! 名古屋でラジオのサテライトでな。それが終わってまあ、いっぱい人がわ~って来てくれてたんだけど。帰るときに、中学生か高校1年生ぐらいの子、赤いTシャツ着た、何とも言えない、中2魂が爆発したような子がいきなり、“直純さん!”って来て(笑)。俺、(石原)良純さんじゃねえし(笑)」
友康「良純さん(笑)。発音が!」
増子「ほんとさ、『ど根性ガエル』のゴリライモの子分、モグラみたいな、ああいう感じ。赤い無地のTシャツ着てる子、久々に見たよ! “直純さん! 男の中の男だと思います!”って(笑)。かわいいな。アイツこれから、子分って呼ぶよ(笑)!」
友康「兄貴と呼ばれはするけど」
増子「兄貴ならまだわかるよね(笑)。“直純さん”だからね! ああいうのはわかるんだよ。わかる。もうにっちもさっちもいかないでしょ、どうしていいかわかんない!」
シミ「これだけ情報があふれている社会でも、まだまだそういう子がいるんだね」
増子「いるんだよ」
シミ「いいことだね」
--もしタイムマシーンがあるとして、あのころの自分に一声かけるなら?
増子「ゲンコツはるわ! おとなしくしろっつって(笑)」
シミ「俺はすぐ、余市に行って坂詰克彦にイタズラしてやる! カンチョーして逃げる!!」
増子「“将来ね、お前の人生に影響を及ぼすヤツだぜ”って」
シミ「今からやっとく! カンチョーっつって!」
増子「坂さんは“アイツか~”なんつって」
シミ「あのときの!!」
増子「……坂さん、ずいぶんと眠くなってきたんじゃないの?」
坂詰「いやいや、大丈夫です!」
増子「坂さんは中学のときの自分に何か言うとしたら?」
坂詰「もうちょっとまじめにやっとけみたいな。あまりに適当すぎたんで、もうちょっとまじめにやれよと」
増子「オマエモナー!って言われるよ! 友康は?」
友康「ギターを弾いてる自分に、“そのままやってれば今、お前がコピーしてるミュージシャンとね、将来会えることになるかもしれないよ”とは言いたい。今、結構会えたりしてるんで、それをやめるなとは言いたいかな。あとは、英語は勉強しておいた方がいいぞって。本当に後悔してるんで」
増子「あ~、他に何かあるかなぁ? ほんと、俺、夢中だったもんなぁ。毎日が楽しくて。何しろ悪いことばっかりしてた」
--お母さんにめちゃめちゃ怒られたりとかは?
増子「もう毎日のようにめちゃめちゃ怒られてたよ。そうだな~、何しろ悪いことばっかりやってね、ケラケラケラケラ、イヒヒヒ笑って暮らしてたな~。“ケケケケケ! ざまあみろ!”って悪いことばっかりしてた(笑)」
シミ「一番よく笑った時期だったかもしれないね」
増子「今もでも、毎日笑ってるからね、坂さんで。変わんないけどな。まあ楽しかったなぁ~。ただあれはモテねぇよなぁ……」
(おしまい) |
(取材・文 岩本和子/撮影 渡邉一生(SLOT))
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