ホーム > 怒髪天 増子直純のナニワ珍遊道

今年も大盛況のうちに幕を閉じた、京都・磔磔での怒髪天PRESENTS『響都ノ宴』。
行った方はもちろん、待機組の皆様にも楽しんでいただける完全レポをお届けします!

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Profile

怒髪天

どはつてん
’84年に札幌で結成。増子直純(vo/通称兄ィ)を中心に上原子友康(g/通称 王子)、清水泰而(b/通称シミさん)、坂詰克彦(ds/通称坂さん)の4人組で活動中。オトコくさくも人情味溢れる独特の音世界に支えられた圧巻のライブアクトで人気急上昇中のロックバンド。

オフィシャルサイト http://dohatsuten.jp/

Release

Merry X'mas Mr. Lonelyman

『Merry X'mas Mr. Lonelyman』
3000円
インペリアルレコード
TECI-225
※完全生産限定盤。

リズム&ダンディー “Dメン2010 日比谷より愛をこめて”

DVD
『リズム&ダンディー
“Dメン2010 日比谷より愛をこめて”』
発売中
4800円
インペリアルレコード
TEBI-48146~7

Live

『QUATTRO MIRAGE VOL.1
THEATRE BROOK×怒髪天』

発売中 Pコード118-140
▼12月1日(水) 19:00
心斎橋クラブクアトロ
オールスタンディング3800円
[共演]THEATRE BROOK
心斎橋クラブクアトロ■06(6281)8181
※未就学児童は入場不可。
チケットの詳細はコチラ

『RADIO CRAZY』
11月20日(土)一般発売
▼12月29日(水)・30日(木) 12:00
インテックス大阪
1DAY TICKET 7800円(Pコード114-120)
2DAYS TICKET 14500円(Pコード782-714)
FM802リスナーセンター■06(6354)8020
RADIO CRAZY公演事務局■06(7732)8787
※オールスタンディング。
チケットの詳細はコチラ

『44 "R&E" MAGNUM tour 
~なにわベイブルース~』

11月28日(日)一般発売 Pコード117-905
▼2月12日(土) 18:00
なんばHatch
1Fスタンディング3500円 2F指定席3500円
夢番地■06(6341)3525
チケットの詳細はコチラ

Event

NEW SINGLE「Merry X'mas Mr. Lonelyman」発売記念スペシャルイベント!
▼11月30日(火) 19:30
タワーレコード梅田NU茶屋町店 6Fイベントスペース
※イベントの詳細はコチラ

CM

増子兄ィが出演した、ゲーム『DEAD RISING 2』のCMが公開中!
※視聴はコチラ

Link

--では、今年を振り返るにはちょっと早いですけど、この一年も、いろいろ振り幅の広い年ではなかったかと思うのですが。

増子「そうだね。今回のシングル(『Merry X'mas Mr. Lonelyman』)は夏との対だから。『真夏のキリギリス』をやるときに決めてた。“今年は夏版、冬版、出そうぜ”って。“2枚連作でオチつけようぜ”って、最初から考えてやってたことだから。やっぱりほら、俺の中でもいろんな考えとかあってさ。『ド真ん中節』やったから。あれはやっぱり、かなりシリアスっていうか、テーマもガッチリしたもんで。1回シリアスなことやると、2、3回はふざけたことやらないと、自分の軸を戻せないというかさ。バランス取れない。……何かその、1つのイメージで見られるの嫌なんだよね。人間誰しもそうなんだけどさ、多面性があるからこそ立体に見えるっていう。いろんな方向から見るからこそ立体だとわかる。しかも、シリアスなことでいったらさ、みんなシリアスじゃない? 本来。だから、見た目っていうか、感覚的にはふざけたものでありたい、アホらしいバンドでありたい。そんな中で切なさっていうのは、誰でも持ってるから。あと、他のバンドのいわゆるシリアスな楽曲に比べて、俺らの楽曲のシリアスなもの、バラード系って重いと思うんだよ。へヴィっていうかさ。1曲で10曲分ぐらいあると思うんだよ。だから、早々作らないし、その手の曲をライブに何曲も放り込むわけにはいかないんだよね。バランスもあったりして。ただ、今まで結構作ってるから、それを埋もれさせるにはもったいないと思ってるからさ。新しくまたこういうのやってほしいんだろうなっていうのはわかるけど、そういうことじゃないんだよね。“これおいしいよ、どうだい!?”って常に新メニューを提供していくのがお店だと思うしさ。定番は定番でずっとあるんだから、すでに。そういうなかで、また新定番を作るときも来る」

--ああ、なるほど。だからこその安心感はありました。『Merry X'mas Mr. Lonelyman』を聴いて。

増子「まあ、アレはかなり冗談だからね! でもね、実はさ、『真夏のキリギリス』もそうだけど、楽曲はすごい練ってあって、今までの楽曲の何倍も練ってる。すごい考えて作られてるんだよ。アンサンブルとかもすごい考えて作ってる。ポップスを作る手法で作ってるから、いわゆる“3コードでジャーン、ロックンロール!”みたいなものじゃなくて、もっと緻密に作ってる。それはものすごいスキルが要る作業で、実は。メロディひとつにしてもそうだし、アンサンブルにしてもそうだし。実は今までの曲の中で一番苦労して作ってる。だけど、それを感じさせないものにしないといけないから、なるべくバカなものにしようと。聴きやすいものを作るのって、魚の小骨を取っていくことに近いんだよね」

--1本、1本、丁寧に。

増子「丁寧なことをしないとできない。友康は大変だったと思うよ。友康はポップな曲とか、歌謡テイストのある曲とか、何曲も作るんだけど、今まではなかなか(形に)できなかった。俺が“これちょっと歌いたくねぇな”みたいなのが昔はあった、やっぱり。“俺には合わないと思うよ”みたいな。“ちょっとポップ過ぎるよ”とかさ。そういうのもあったんだけど、すごくいい曲なんだよね、楽曲として。だったらその世界観に合った歌詞を乗せるんじゃなくて、俺が思うものを乗っけたらどうなのかってことをやってみようぜってなって、ここんとこやってみた。今までだったら取っておくような曲にね」

--その心境の変化っていうのは徐々に?

増子「徐々にだね。いろいろやるうちに、これもアリなんじゃないか、あれもアリなんじゃないかって。『オトナマイト・ダンディー』もそうだったけど、らしくない楽曲というか、楽曲ありきでアルバムを作ってみようかっていうのがあってさ。詩の世界観は置いといて。まず楽曲ありきで。この2作(『真夏のキリギリス』『Merry X'mas Mr. Lonelyman』)は、まず楽曲があって、“無理そうな曲でもやってみようぜ”っていうのがあってやってきたことの集大成だから。『オトナマイト・ダンディー』を出したときも思ったけど、評価が分かれるだろうなって。でも、それでいいと思うんだよね。今まで通りのものを出しもてしょうがないし、あれがあったからこそできるものもいっぱいあって、そっから派生して、さらに分かれてた枝をまたこっちに戻してくるみたいな、そういう進化になってると思うから」

--『響都ノ宴』で『82.2』をされたときに、今とリンクしてるなって改めて思いました。

増子「そう、だから全部つながってるんだよね、本当は」

--らせん状に進化している感じですね。

増子「そうなんだよ。軸が何本かあって、その系統の曲っていうのがあって、“これがこのアルバムに入ってる”“こっちとつながってて”とか、家系図みたいなものがあるわけ。だから『クソったれのテーマ』と『ド真ん中節』とか、そういうもんなんだよ。『クソったれのテーマ』を作ったときは、“もうこれ以上のこういう曲は作れない”って自分で思った。だけど、何年か経つと『ド真ん中節』みたいなシンプルになったものが作れたりするわけじゃない。そういうことだと思うんだよね。『82.2』も、『ふわふわ』とか、ああいうニューウェーブ的なものの系譜もあったりするわけだから」

--当時は異色に見えたものが今、融合してたりとか、そんな広がりも見えるんですよね。

増子「さらに何本か路線を増設することと、その1本ずつも太くしていくことがバンドで楽曲を作っていくことだと俺は思うんだよね。俺、好きなバンドがすっごいいるけど、やっぱり同じようなアルバムを出してるバンドは飽きる、正直。昔の方がいいなって思っちゃう」

--同じテイストだと、どうしても比較してしまいますもんね。

増子「友康がよく言ってるんだけど、“日本のバンドは振り幅が狭過ぎる”っつって。まあ、我々もそんなバンドなんだけど(笑)。外国のバンドって1枚ごとに構成要素が違って、“これ、同じバンド?”っていうものを出すじゃない。何でもそうだけどさ、初めて出会ったときの楽曲であったり、アルバムっていうのはさ、その人の中で一番最高だと思うんだ。それで好きになるわけだからさ。人との出会いもそうだと思うんだ、第一印象。だから、それを超えることっていうのは、どんな曲を作ってもなかなか難しいの。だけど、じゃあどうするかっていったら、多面性だよね。こういう面もある、ああいう面もあるっていうのを見せていく。“自分はこの面で好きになられたから、この面だけ見てよ”、“左のこの角度の写真がカッコイイって言われたから、ずっとこっち向いて暮らしてます”とか、そんな不自然なことできっこないし、それはよくないと思うんだよね。本来の姿をさらしてないわけだから」

--確かに。

増子「あと、辛いことを辛いまま歌わないとかさ。悲しいことを悲しいまま歌わないことってね、これ最近思うけど、すごい大事。すごい大事だと思う。お涙頂戴にならないように伝えるのは難しい。大事なことを伝えよう、重いこと、悲しいこと、辛いことを伝えようとすればするほど、前振りとしてふざけなきゃいかん。照れ隠しでもあるけども、そういうもんだと思う。そこにちょっとした真実があると思う」

--“笑い飛ばす”じゃないですけど、そういうふうにして、1つ先に行く感じはありますね。

増子「だから、頭が固いとなかなかわからない、難しいと思うんだよね。そうは言っても、自分も昔は若かった。男気あってどうのこうのっていうことをさ、そういうふうにしたいって構えてたし、そう思ってたと思うんだよね。今は別にそんなこと思わなくても、何やってもそれは出る! どうしたって出る。にじみ出る。それをことさらやる必要はない

!」

--もともと持ってるものだから、嫌でもにじみ出てしまいますよね。

増子「そう、それはもうとっくにある。あるものをさらに作ってもしょうがない。ないものを足していく。だから、老舗のさ、秘伝のソースとか、タレじゃないけどさ、長年継ぎ足して作って、味が薄くなってきたら濃くする。塩味が足りなかったら塩味。濃くなり過ぎたらお湯を入れたりするってことで。“このアルバムはお湯を入れたアルバムですよ”、“このアルバムは塩を入れたアルバムですよ”っていうことなんだよね。ひとつのものをこう、同じように、しかもさらにうまくしていくための作業。だからアルバムごとに違って当たり前。塩ばっかり入れたらしょっぱくて、最終的においしくないものになっちゃう。そういうものを幾つも見てるし、もったいないなって思っちゃうよね。もっと実験していいし、もっと殻破っていい。期待を裏切りたくないっていう気持ちもわかる。期待しているものを出してあげたいっていう気持ちもわかるけど、それによって失うものがでかいんだったら、そこに応えないほうがいいと思う」

--その秘伝のソースも、同じように思えても実は最初と最新のものとでは味が変わっていた、ということもありそうですね。

増子「そうだよ。うまい店ってね、必ずそうなんだよね。味が進化してる。昔のものと比べないとわからないけど、同じような味でも比べると確実にもう、格段に違うよ」

--3日目のMCでも、“同じことやってたら解散しちゃうよ”っておっしゃってて…。

増子「つまんないよね。また同じような曲かって思っちゃうじゃない。同じようなことを書いたら喜ぶのかなと思ったらさ、それって作業じゃん。“何やってんだ、これ、バカだな”ってことをやった方がいいし、それの振り幅でさ、“おお……、次、これ…、いいの来たな……!”みたいなさ。そう思うんだよね。それも全部、自分の中にあることだからさ」

--アホなことも自分の中にないものだったら無理があるかもしれないけど、すべてあるものだからできる……。

増子「そうだね。前にさ、シリアスなものとかもさ、もっとやりたいなって思ったりしてて。そしたら友康が、“ソロ出せば? ソロいいんじゃない?”って、すごいシリアスなものばかり集めたソロを出してもいいんじゃないのかなって言ってて。“ああ、そうか、それもいいな”って思ったんだけど、俺がいいなって思うものを表したときに、シリアスだけでもないからさ、結局。どっちかっていったらふざけてるものの方が多いかなって思ったらさ……、まあ……、出す必要ない!(笑)。出すまでもねぇなと。いろいろ考えたらさ、そうだなって。シリアスなものだけで作り上げるのは耐え切れないと思うんだよね、俺自身が。耐え切れない。もっと振り幅が欲しくなっちゃうからね」

--ずっとそういうわけじゃないですからね。

増子「そうなのよ。で、そんなシリアスなものでいい曲ができたらさ、自分らのバンドでやった方がいいに決まってんだよ。それ以上のものなんかできないよ。このメンバー以外でやったら演奏はうまいかもしれないけど、なんていうの、きちっとした演奏になるかもしれないけど、別にそうしたいわけじゃないからね。やっぱり4人で出てくるアイディアが好きだし」

--それこそ味みたいなものですかね? 

増子「そうそうそう。あと、絵と似てるかもしれないね。結局、写真みたいに描ければいいかっていったらそういうことじゃない。人間というフィルターを通したものであった方がいいと思うし。なんか本当に思うよ。その、なんつうのかな、問題提起というわけじゃないけどさ、いろんなものに対してのアンチテーゼでもあるんだよね。シリアスぶっていたり、まじめぶっていたり、重いものを抱えていますよ的なものに対する。そういうアーティスト多いから。……本当に思う。そら、しかめっつらしてりゃね、物憂げにも見えるし、賢そうにも見えるし」

--そういう人も一方では、腹掻きながらテレビ見てゲラゲラ笑ってたりすることもあるでしょうね…。

増子「そういうこと。面白いのも好きだと思うんだよね。なんで自分の中にあるそういうセンスを出さないのかなって思うんだよね。シリアスさでいうと、実はさ、『労働CALLING』とか『オトナノススメ』とかの方が実は、歌詞の内容はシリアスなんだよね。『蒼き旅烏』とか、あれよりも全然、シリアス。抽象的じゃないから」

--もう本当に、現実的ですもんね。

増子「それでもやるしかないんだってことなんだよね。辛いけど、それでもやるしかねぇんだよなってことだからさ、それは大事だと思うんだよね。『Merry X'mas Mr. Lonelyman』もそうだけど、これも本当にそう。どういう状況にいても“クリスマス!? 何だそれ!”って誰でも思うと思うんだよね。恋人いるいないにかかわらず、予定あるないにもかかわらず、誰しも一度は思ったことがあると思うんだよね。“何がクリスマスだよ! 何だそれ!”と。まさにそれなの。アンチテーゼじゃないけど、“クリスマスのバカヤロー!”ってことだよね。クリスマス時期にさ、そういう気持ちを歌える歌があったら楽しいじゃない」

--クリスマスってみんなロマンチックになりますもんね。

増子「ロマンチックになってるものをぶち壊すとか、刺激があった方がいいじゃない。そして、このクリスマス・マナーに則った楽曲に、その歌詞が載ってるってことがね(笑)」

--ベルの音とか聴いて切なくなりました。“ああ、クリスマスだ…”と。

増子「だけど内容はね、かなりアンチな感じ。“何だこの野郎!!”って」

--今年のふざけ納めですか。

増子「そうだね。来年はどうしようかなっていろいろ考えてるけど、まだまだやりたいことはあるから、やってこうかなって思ってるよ!」

--ではまた、お話を聞かせてください! ありがとうございました!

 

そして出ました! 「ナニワ珍遊道」名物、ライブ写真一挙放出 50枚! 
磔磔の夜を熱く覆ったその空気をご堪能ください!

 

 「増子直純のぶらり出張!! 不定期シリーズ 第1弾!!」

とどめはこちら!! ご無沙汰しておりました不定期シリーズ、今回は学業にご利益のある錦天満宮をはじめ、風情漂う先斗町や京都の台所・錦市場商店街など、増子兄ィの『京都珍遊道』を少々レポート! 食べて歩いて歩いて食べて、グルメレポートなんかもやっちゃいながら、古の都をぶらりしました!


どうかこの効能があのお方に効きますように・・・。


錦天満宮の牛ともパチリ。


珍遊道はよくお参りをしていますね。何でも神頼み!?


総合運を占うおみくじを引きました。


獅子が舞い、おみくじを選んでくれます。


中吉。旅行中は盗難の危機に遭うとのこと! 気をつけて!!


先斗町でもぶらり。


通りぬけできまへん。ダメ。ゼッタイ。


河原町meets食べるラー油のお兄さん!


老舗・大衆食堂スタンドでも記念撮影。


錦市場商店街に到着!


豆乳ドーナツをぱくり!! やさしいお味にほっこり!!


ハモ天に見とれて・・・。


そしてハモ焼をゲット! 「うまい! 香ばしいね!」


「この卵焼きもダシの味がいい! このグルメレポ、グルマスとはわけが違うでしょ!」

 

ぐ……グルマス!?  グルマスとは何なのか……! 京都・錦市場にて意味不明なる言葉を残した増子兄ィ……。緊急掲載!! 次号「ナニワ珍遊道」は未確認物体(生物?)グルマスの謎に迫ります! こうご期待!!

 

(取材・文 岩本和子/撮影(ライブ写真) 渡邉一生(SLOT))


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