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チョップリン
写真左から小林幸太郎、西野恭之介。平成18年「第36回NHK上方漫才コンテスト」最優秀賞。関西を代表するコントマスターは小学校からの同級生。そのシュールな世界観は、クロウトからの支持も高い。
西野ブログ
『チョップリン西野恭之介 タバコとアイスコーヒー』
いつのまにか再開してます!
小林ブログ
『松竹芸能チョップリン小林のコムデギャルソンや阪神大好き』
『松竹芸能チョップリン小林の告知します。野球』
第1回『仕事』
第2回『愛について』
第3回『喫茶店』
第4回『金銭感覚』
第5回『人間関係…?』
第6回『理解できない』
第7回『クリスマス』
第8回『幸せについて』
第9回『モテを考える』
第10回『凹劇場、総括』
第11回『2011年』
第12回『新生活』
第13回『劇場』
街を上げて盛り上がりを見せる国民のイベント、クリスマス。縁のある人いればない人もいる中で、どちらかというと“ない人”の方に入るチョップリンのお二人にも、いろいろと聞いてみました!
--まず、「クリスマス」と聞いて思い浮かべるものは?
西野「クリスマスっていつから浸透したんですかね? 日本では」
--いつでしょうね? 昭和30年代とかですかね?
西野「30年代でクリスマスしてる家庭とかあるんかな?」
(ここで注釈! 対談後にクリスマスについて調べてみたところ、明治37年 には「明治屋」で商業ディスプレイとしては初めてのクリスマスツリーが登場しており、明治43年になると 「不二家」から日本のクリスマス・デコレーションケーキの原型が発売されるなど、現在の日本におけるクリスマスの風習が明治の頃にはすでにあったことが判明しました! 詳しくは、「日本クリスマス博物館」公式サイトをご覧ください!)
西野「そういえば、僕の父さんが高校のときにチョコレートをもらって……」
小林「クリスマスに?」
西野「あ、ちゃうちゃうちゃう、バレンタインデーで。そのときに、“何これ? なんでチョコレートなんやろう”って思ったって言うから、それが37、8年前やから。その女の人はけっこう、ハシリちゃいます? 受け手は知らんかったですからね。“チョコ? 何でやねん”って。クリスマスはそれよりも早いですよね」
小林「キリストやからな」
西野「いや、そういうイベントが浸透したのが。」
小林「キリストは2000年以上の歴史があるから」
西野「キリスト、キリストうるさいな。小林たまに、髭生やしてるときがあるやん。やっぱその、キリストってよう言われるから。気になるっちゃあ気になるんでしょうね」
--髪を伸ばして、髭を生やしたら完全にキリストですね。
西野「キリストもしくは『北斗の拳』のトキ」
小林「クリスマスと全然関係ない」
西野「クリスマスと聞いてどう思うか」
小林「スーパーとかでクリスマスソングが流れると、ああ、クリスマスなんやって思うぐらい」
西野「季節もんでな」
小林「季節もんで」
西野「ワムはあんまり聞かないですね、ここ最近。何でやろう。ちょっとニーズがズレたんかな?」
小林「山下達郎の『クリスマス・イブ』がずっと定番やったじゃないですか。それがなんか今は、いろいろカバーされてて、ラップバージョンもあったりするんですよね。そんで、主流がもう、そっちに移り変わってるんですよ」
西野「そっちの方がようかかってるってこと?」
小林「うん」
西野「ええ? 山下達郎のあの歌はもう主流じゃないってこと? ええ? マジで?」
小林「誰か有名なラップの……」
西野「俺は知らんな…。その主流のラップの方は」。
小林「ラップが入るからさ、途中で。なんかシケんねんな(笑)」
西野「三木道山的な?」
小林「三木道山ではないけどな。JRのCMもやってないですよね」
西野「今な。牧瀬里穂……あったなぁ……」
--あのCMみたいなシチュエーションって実際に体験したことありますか?
西野「クリスマスで? ないですねぇ~」
--縁遠い方?
西野「縁遠いちゃいます? 今はあんまりですけど、昔は、街でサンタのコスプレとかしてて盛り上がってる人を見たら、のど元までヘドが出てきてましたね」
小林「コンビニとかで(サンタの衣装を)着せられてるヤツとか、かわいそうよな」
西野「かわいそう。もっとかわいそうなんは、宅配ピザ屋のバイトの子。不憫でしゃーないです、僕。うん。あれはかわいそうですよ~」
--あれは24日と、25日の2日間だけなんですかね?
西野「クリスマス挟んで、ちょっとだけやってるんちゃいます? その時期にバイト辞めるヤツ、多そうですけどね。“あれは着たないわ、俺”ってなって。見せもんやん。あれはかわいそう。だってどう考えても、着てしまった時点で“ノリノリやんけ”って見らるやん」
小林「200円ぐらい時給を上げてくれたらまだええけどな」
西野「そうやな、コスプレ代としてな。それか、お客さんに選んでもらうとかやな。注文したときに、宅配する者をコスプレさせるかオプションにしといて。いらんっていうお客さんのところには普通の格好で行く」
小林「大概いらんって言うやろ。どこまで求めんねん」
--でもちょっとノリがよ過ぎるお宅では迎え入れられそうな気がしますね。
西野「着たくないのに着て行って、“イエーイ! サンタ来たぜー!!”ってノリに巻き込まれる場合もありそうですもんね。それはきついですわ。“いや、俺、ちゃうしな……”みたいな」
小林「あの時期はちょっと展開が速過ぎるじゃないですか。クリスマスが終わったらすぐに正月。急じゃないですか。何かそれも腑に落ちんなっていうのがあるんですよね」
西野「切り替え早いよな。みんな」
小林「もう車にみかんつけてるし」
西野「あれ最近、あんまり見いひんな。あれ、どこで買うんやろ」
小林「ダイエーやろ」
西野「何でもダイエーやな。ダイエーには何でもあると思ってるやろ」
小林「ダイエーのクリスマスは、子どもの頃、楽しかったもん」
西野「ああ、そう。ダイエーのクリスマスシーズンが? きらびやかになるってこと?」
小林「うん。クリスマスソングが流れて。おもちゃとかもあって。ダイエーは夢の国やな~って思ってたわ」
西野「ダイエーとともに成長としていったもんな、お前は」
小林「うん」
--ちょっとそこ、聞かせてください。
西野「何か出来事があったといえばいつも、ダイエーでしたね」
小林「うん」
西野「試食のコーナーでもな、いっぱい取り過ぎて怒られたりとかして。そういうモラルもダイエーとともに学んだな」
小林「そうやんな」
西野「ダイエーが教えてくれたんですよ、我々にモラルを」
--ダイエーに育てられてますね。
小林「育てられましたね。それに敬意を込めて、『ダイエーのおっさん』というコントも作らせていただきましたしね」
西野「そうですね。象徴的な感じ『ダイエーのおっさん』っていう」
小林「ダイエーのマークも……」
西野「僕、学校の写生会のとき、ダイエーのマークを画用紙全面に描いたことがあります。全部オレンジ色に塗って」
小林「大人になって大阪に出たときに、ダイエーのマークと同じやのにグリーン色のスーパーを見かけたときはちょっとカルチャーショックを受けました。どうなってんねん!?って」
西野「あれ欲しがってたよな、あの看板。あれを欲しいと思うぐらい、やっぱり、小林はダイエーと密着してますからね」
--では、クリスマスの思い出と聞いて真っ先に浮かぶものは…。
小林「ダイエーっすね」
--そうなんですね…。クリスマス自体、甘い思い出や苦い思い出はないんですか?
西野「クリスマス……なぁ…。ほんまにないなぁ…。よくあるじゃないですか、“『明石家サンタ』をひとりで見てて哀しい”的なクリスマスあるある。まさにそれですね。普通に見てますね、『明石家サンタ』を。うん」
--特に興味もないですか?
西野「興味……あるというか…、何か、例えば、プレゼントするとかなったときに、その、クリスマスイブにプレゼントを渡すっていうのは間違いなく恥ずかしい行為でしょ」
小林「うーん」
西野「だからその、19日くらいで急にあげたりするんですよ。“じゃあ、これあげるわ”って。相手は何で今なんよって思うやろうけども」
--お相手の方からしたら、ハズしてほしくないのでは?
西野「そらそうでしょうね。そういう人が多いでしょう」
小林「そうなんや、多いんや」
西野「多いやろ。だってこんだけ盛り上がんねんから、そら多いやろ」
--恋愛でも、ぐっと仕掛けていく感じですもんね。
西野「逆算して彼氏作っていく、彼女作っていくとかね。どれがメインやねん」
--クリスマスまでに恋人ほしいって言う人、いますよね?
西野「今はどうなんですかね。そういうのも全部こう、うす~くなってるような気がするんですけどね」
--最近見たニュースでは、女性がクリスマスにプレゼントしてほしい物の金額が平均で5万というものがありました。
西野「カップルにとって一番のイベントなんでしょうね、誕生日とクリスマスっていうのが。それも腹立つねん。ええねんけど。5万くらいのプレゼントが欲しいって平均が出てるんでしょ。じゃあ、お前は5万もお礼で出してんのかって話ですよ」
小林「俺は決めてるから。一律1万。誕生日もクリスマスも」
西野「ちゃんとやってんねや」
小林「うん。一律一万円で、それでやろうって」
--小林さんの一律1万円。いつからそのルールになったんですか?
小林「う~ん……5、6年前ですかね?」
--何かきっかけがあってですか?
小林「なんて言ったらいいんですかね……。現金でくれと言って」
西野「ほんまはそれが一番ええねん」
小林「1万円、交換しようやって。ほんで好きなもの買ったらええやんと」
西野「金は天下の回りもんやって思うくらいですね、1万円交換」
小林「小学生のときから友だちの誕生日プレゼントに現金を渡してましたね。向こうの親にどう思われてたか知らないですけど(笑)」
--プレゼントを贈るのに張り切ったことはありますか?
西野「張り切ったことないですね~」
--若気の至りもなく?
西野「全くないですね」
小林「でももらったらうれしいやろ」
西野「うれしいのはうれしいけど、正直、俺はすごい気に入ったもんじゃないと嫌なんですよ。だから、誰かにプレゼントするときは、何がいいか聞くんです。ほんで、言ってくれた物を買うんですよ。それは、僕もそうじゃないと嫌やから。“これどうぞ”って感じでプレゼントされるじゃないですか。うれしいんですよ。うれしいんですけど、結局使わないじゃないですか。それが一番の悲しいところでしょう。でも、だからといって返すというのも絶対違うし、結局、その物は保管されるだけじゃないですか。それを避けたいがために聞くんですよ。何がいいですかって。僕もそうされたいから。ただでも、そうなるとあつかましくなってくるやん」
小林「だんだんな」
西野「やから、“何がいいですか”って聞かれたときに、“いや別にいらないです”って言うんです。だから、そんなんやから何も始まらないんですよ」
小林「タバコもらったらうれしいやん」
西野「ああ、タバコはもらったらうれしい」
--いただくこと自体はうれしいですが、やっぱり趣味がありますからね。
小林「服とかも、難しいですよね。一度、誕生日にダンボールが届いて。ファンの方がプレゼントを送ってくれたんですよ。開けたら100均のTシャツが365枚入ってて」
西野「あれはすごかったなぁ」
小林「36500円かかってた(笑)」
西野「毎日、着替えられるもんな」
--柄とかあったんですか?
小林「いや、無地です。白い無地です」
西野「あれ、布地が薄過ぎて半透明って言ってもいいぐらいですよ。乳首もうっすら見えてたし。輪郭出てるし。無地というよりも半透明」
小林「布地の網目が粗いねん。粗挽きTシャツやねん」
--そのTシャツは毎日着てたんですか?
小林「途中でギブアップしましたね。せっかくもらったんですけど。当時、ホームレスの方にボランティア活動している先輩がいて。たまたまその人と会社で会って、その人が“これ、ちょっといいかな”って言ってきたんで、その人に預けて…」
--そしてホームレスのオッサンのところに行ったんですか?
小林「そうですね…」
--そのファンの方は、ご存知なんですか?
小林「知らないです。でもいいように活用できたんで。社会貢献。どっかに置いておくよりかは人のためになりましたからね」
西野「重ね着してたかもしれませんね、寒いから。10枚くらい重ね着して、半透明だったものがギブスみたいになってるかもな」
小林「結構斬新なファッションやな」
西野「カッコええ、ゴルチェのコレクションのときみたいな服になってるかもしれん」
--では、サンタクロースの存在は、子どもの頃に信じてましたか?
西野「信じてましたよ、子どものときは。小1のときですかね、夜中に起きたら素で僕の父さんがプレゼントを置いてました。枕元に。ぱっと起きたら、目の前に父さんがおって」
--じゃあ、小1で。
西野「はい。“あ、ちゃうねやな”と。何の格好もせず、寝る前に見たスウェットのオッサンが普通に置いてましたね。“ああ……さっきのトレーナーのまんまやわ”と思いながら、何もないんやなと。翌日に弟にも言いましたからね、(サンタクロースは)おらへんぞって」
--弟さんはそのときはおいくつだったんですか?
西野「えーっと幼稚園の年少でしたね」
--ご反応は?
西野「何も言ってなかったです。黙って聞いてましたね(笑)」
--いくつまで信じるもんなんでしょうね、普通。
西野「昔、『元気が出るテレビ』で子どもたちにクリスマス企画やってたやん。あれ、小学校2、3年生くらいの子とかおったもんな」
小林「おっきい子おったよな」
西野「外人のサンタとトナカイがライトアップでパーン!!とされたとき、子どもたちの目を見たら、みんな信じてる感じでしたからね」
小林「信じてたよな、あれは」
西野「周りにスタッフの人がいっぱいおるのに(笑)」
--小林さんは?
小林「僕は全く信じてなかったですね。サンタという存在を知ったのが結構人より遅かったかもしれないですね」
--いつ知ったんですか?
小林「小1くらいですかね」
西野「あら、俺が見切ったときに知ったんや」
小林「そういう情報が入ってきても、“いや、そんなんいるわけないやん”って切り返してましたね」
--もともと存在を知らず、途中で入ってきたけども、もうそのときにはおるわけないやんと。
小林「はい。だからもう、クリスマスといえばダイエーですね、僕の中では」
西野「かっこよく言うと現実主義。幼稚園も行かんと、毎日、家でお昼の番組を見てたらしいですよ」
--自分の意思で行かないと決めたんですか?
小林「はい。砂場で遊んだりとか、何なん?って思ってたんですよ。そこに何の意味があるのかと」
--子どもの頃ってそういうことも考えずに、あるがままに受け止めてる感じがするんですが。
西野「砂で遊ぶとかもね、そうですよ。だから、変にリアリストなんですよ。僕なんか当時、誰が一番高いところから飛べるかっていうのをやってましたからね。そんなん小林からしたら何の意味があるん?ってなりますからね。わずか10センチ、15センチの差を競って、誰が一番高いところから飛べるか真剣にやってるんですから。そっちの方が可愛いでしょ。子どもですもん」
--そういう同級生を傍目に見ながら、そこに何の意味があるのだろうかと冷静に思っていたんですね。
小林「そうですね。そういう遊びには付き合ってましたけどね」
--それは付き合っとかんと人間関係に…。
小林「ひびが入ると」
西野「実際、池にわざとはまるんでね。足が滑ったみたいな感じで。帰りたくなったら池にはまるんです、公園の」
--そんなハプニングがあったから、もう僕は帰りますと。
西野「びちょびちょやから、“わ~、家に帰らなあかんわ~、またな!またな!”って言って」
--帰りたいから帰りますとは言わないんですか?
小林「言わないです。空気読んでないから」
西野「僕がわかってきたのが多分、小6ぐらいかな。中1のときにはもうわかってたんですよ。“こいつ、池にはまるのはただ、帰りたいだけやからや”って。だから、それからは、帰らさへんのと帰りたいっていうのの戦いやったな。遊ぶのは遊ぶんですよ」
西野「そうそうそう」
--心理戦みたいな感じになるんですか?
西野「実力行使ですね。小林も帰りたいっていうのはすでにバレてるもんやから、“もう帰りたい”って言うんですよ(笑)」
小林「こいつには通用せえへん。ほかのヤツだったら絶対だませる自信があったんですよ。西野だけは“帰りたいから”ってストレートに言います」
西野「大人になってからも、もうそろそろ帰ろうかっていう時間に差しかかったとき、コイツとか、もうひとりのツレの感じがおもろうてしゃーないんですよ。普通にフォルクスでしゃべってるんですけど、晩の9時ぐらいになってきたらふたりともソワソワするんですよ。僕がトイレに行ってる間に、“もうそろそろ、帰ろうぜっていう空気を出していこう”みたいな会話をしてるんですよ」
小林「それはするやろ」
--で、帰さない。
西野「帰さない」
--何でですか?
西野「やっぱり帰りたいってわかってるじゃないですか、ふたりは。それを帰らさへんっていう単純なタテ線ですよね。帰りたいやつと帰したくないやつのタテ線の間に緊張と緩和があるんで。ボーリングやっててもそれが出てきたらおもしろい。どんどん適当に玉投げていったりとか、荒くなる感じとかがたまらんかったですね」
小林「同じく帰りたいツレとの間に、サインができましたわ(笑)」
--ふたりで合図するんですか?
小林「西野がトイレ行ったりしたら話をするんですけど、行く気配もないなっていうときは、野球のサインみたいにやって。“どっちから切り出す?”みたいな。そういうのは作ってましたけどね。この世界に入る前は僕とツレは仕事が朝早かったんですよ。だからね、ほんまに22時過ぎたら眠たくなるんで、21時半過ぎくらいからサインが出ると」
西野「出るな、あれな」
--西野さんはわかってたんですか?
西野「ふたりとも目を合わせるんでね。あと、どちらかだけ帰りたい日があるんですよ。例えば小林が急に“俺、ちょっと帰るわ”って言い出しますよね。“俺、帰る”のときにはもう、椅子に手ぇかけて、腰を浮かす感じで、もう決め打ちですよ。で、“待て待て待て、まぁまぁええがな、もう1杯飲んだらええがな”って僕が言ってたら、もうひとりのまだ余裕がある方が、“うわ、こいつがんばってんのに止められた”っていう顔してにちゃ~って笑う。それが面白い。小林とか、余裕がある日とかやったら、ツレが俺に引き止められているのを見てものすっごいニタニタして見てますね。援護射撃もせず。こいつかわいそうやなって顔して」
小林「西野は気づいてない」
西野「何が?」
小林「俺らの作戦に。“俺、帰るわ”っていうのは、それはおとりやねん」
西野「はいはい」
小林「どうせ引き止められるのわかってるから、とりあえずどっちかが行けと。そういうサインがあるねん。“とりあえず早めにいっとこうぜ、じゃあ、どっちがいく?”みたいな」
西野「はいはい、それで止めるわな」
小林「で、“まだええやん、もうちょっとだけ”なって。その様子を見ながら、もう1回俺が行くか、そいつが行くか、また違うサインがあるねん。くくくくく(笑)。段階は結構あんねん。一発じゃ無理やなって言うのが二人の中でもあるから」
--結構手ごわいんですか?
小林「かなり手ごわいですね」
--かなり手ごわい。ストレートに“まだいいやろ”って言うんですか?
西野「はい、言いますね。それは今でこそもうやらないですけど、ほんま、鬱陶しかったんちゃいますかね。帰りたいやつを帰らさないんですから」
--その攻防戦、時間的にはどのくらい続くんですか?
西野「めっちゃくちゃ続くんですよ」
小林「失敗したら2時間、3時間はざら」
--お店が閉店するまでとかですか?
西野「それとか、もうひとりのツレにいつも車で送ってもらってたから、家の前に車が着くでしょう。それでも全然、降りないんですよ、僕」
小林「それが一番鬱陶しい(笑)」
西野「全然降りずに、“ちょ、もう帰ってくれや!!”ってなるんですけど、わかった、わかったって言いながら、さっきした話をもう1回したりとか。そんときがたまらんぐらいオモロイですね。そいつも“さっき、聞いた……もう、聞いた!! その話は!!!!”ってイライラしながら言ったりして(笑)」
--西野さんと会ったらいつも、そうなるってわかってるじゃないですか。でも、やっぱり集まってしまう?
西野「集まりますね。わかってるんですけどね、結局」
--何なんですかね、その関係って。
西野「“結局オモロイんやろ、お前らも。こうやってうだうだしゃべるのが”っていうのが僕にはあるんですけどね」
--小林さんはどうなんですか? もうわかってるじゃないですか、絶対そうなるのは。
小林「そうですね。まあでも、当時、卓球とか、ボウリングとか、スポーツをやることがすごく楽しくて、それは結構早い時間からやるんですよ。夜の6時、7時くらいから。それをやりたいから行くんですよね。自分としてはそれが終わったら帰るって決めてるんですけど……」
西野「でもその後に飯に行くからな」
小林「だから、飯食ったら帰ろうかってところですね。そっから長くなるっていうのは計算に入れてないんですよ」
--毎回?
小林「毎回。それを入れるとほんまにノイローゼになります」
西野「何でやねん、楽しくやってたやん」
--そういうしつこさって恋愛ではどうなんですか?
西野「恋愛では全然ですね。でも、しつこいのはしつこいんじゃないですかね。相手に対してしつこく言うっていうことは絶対にないですけど」
--考え方が?
西野「そうちゃいますかね。女の人はしつこいとは全く思わないんじゃないですかね」
--小林さんも?
小林「しつこくない」
西野「ただ小林は、最初の情熱みたいなのはすごいですけどね。1日に7回、場所を変えながらキスを迫って断られて。8回目でやっとできたとか、あったらしいですよ」
--それすごいですね。
西野「すごいですよ。普通、1回断られた時点でへこみますやん」
小林「うーん。そうですね」
西野「ゴッツイですね」
--目的を果たすタイプなんですね。
小林「そうですね、気が済まないですね」
--今日はこれをすると決めたら?
小林「そうですね。もう入り込んだら成し遂げんと」
西野「当時の小林は、これと決めたらそれを一応成し遂げる、遂行するというパワーはありましたね」
--二十歳ぐらい?
西野「はい」
--ギラギラしてる時代ですね。
西野「そうそう」
小林「それもだんだんなくなりましたね。今は朝、芝生についてる朝露に“きれいやな”って思ったり」
西野「もう達観したな…」
小林「10時、11時くらいがちょうどよくて。芝生に朝露がついてて、キラキラしてて」
--今は早起きなんですか?
小林「今は早起きですね。11時くらいはやっぱ、一番幸せじゃないですか。6時から11時。人間は。自然の恵みをいっぱい受けて。朝日に当たるとか」
--西野さんは夜更かし?
西野「僕は夜更かしですね」
--まあだんだん、加齢とともに朝も早くなるといいますが、小林さんは2周りぐらい……。
西野「先に行ってますね」
小林「まあ、でも、よう寝ますからね。結局老人って寝る体力がないから早く起きるわけじゃないですか。だから僕、まだ安心してるんですよ」
--早いときで何時に寝るんですか?
小林「22時に寝ますね」
西野「22時に寝る準備ができてるのもすごいな」
小林「それで6時に起きるんで、8時間寝る体力があるってことじゃないですか。体力がないジジイやったら3時くらいに目が覚める」
西野「ちゃうちゃう、ジジイと比べたら体力があるけど、同年代と比べたら体力全然ないで、お前。10時から寝るんやろ。そんで6時に起きるんやろ」
小林「そうやで」
西野「8時間! これはヤバイですよ。ひょっとしたらコイツの人生、ろうそくにすると、げっちゃ、見たこともない、ほっそ~~~~~いろうそくかもしれませんよ。ほっそいほっそい。何かあったらポキンって折れそうなんですけど、でも、めちゃくちゃ長い。誰のやねん、あのろうそく!って目を引くくらい。ほっそ~い、ろうそくの芯と同じくらい。芯の周りにうっす~~~く蝋が塗ってあって。それでうっす~~~~く燃えて、ゆらゆら揺れているかもしれないですね」
--虚弱やけど長い(笑)。
西野「そうそう。だからそういうろうそくをね、クリスマスに用意したらいいと思いますよ!」
小林「クリスマスケーキに立ててね」
--いろんな意味で、めっちゃ無理やりになりましたね(笑)。
西野「またズレましたね」
小林「いっつも脱線ですね」
--でも、ひとつのクリスマスのスタイルが見えました。ありがとうございます! 今回はこれにてお開きです。
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