ホーム > チョップリンの話
チョップリン
写真左から小林幸太郎、西野恭之介。平成18年「第36回NHK上方漫才コンテスト」最優秀賞。関西を代表するコントマスターは小学校からの同級生。そのシュールな世界観はクロウトからのファンも多し。
西野ブログ
『チョップリン西野恭之介 タバコとアイスコーヒー』
現在休止中ではありますが…
小林ブログ
『松竹芸能チョップリン小林のコムデギャルソンや阪神大好き』
『松竹芸能チョップリン小林の告知します。野球』
ケーブルテレビ
『30秒ケータイ投稿番組「HAMPUNマスター」』
第1回『仕事』
第2回『愛について』
第3回『喫茶店』
第4回『金銭感覚』
第5回『人間関係…?』
第6回『理解できない』
第7回『クリスマス』
第8回『幸せについて』
第9回『モテを考える』
第10回『凹劇場、総括』
第11回『2011年』
第12回『新生活』
第13回『劇場』
今号より始まりました@ぴあ関西での新連載『チョップリンの話』。現在、月に1回のペースで企画ライブを開いているチョップリンを迎えて、テーマにまつわるトークを繰り広げてもらうという趣旨にて、お送りいたします! そして記念すべき第1回のテーマは「仕事」。チョップリンのふたりの仕事観とは一体…!?
-- 今号よりスタートします『チョップリンの話』、よろしくお願いします! 今回は、「仕事」をテーマに、芸人という職業をお選びになったおふたりにいろいろお伺いしたいと思います。まず、一般的な仕事のイメージといえば…?
西野「グチのイメージがありますね~。僕のツレとかも、グチりながらも結局、仕事せなあかんっていう、その理由だけで仕事しているような気がしますね」
小林「一般的で言うと、9時-17時かな。実際は、違うかもしれんけど」
西野「定時な。たしかに9時-17時は、めちゃめちゃ多いよな」
小林「僕らなんか、動く時間がバラバラやから、たまに出勤、退勤時間の電車に乗るとき、ほんま悲惨やなって思うな。大阪はまだマシかも知れんけど、東京とかもっと悲惨やろうな」
西野「例えば、朝まで飲んでたりとか、朝まで打ち合わせをした後に始発で帰るじゃないですか。そしたら既に仕事に向かう人たちと逆になるんですよね。サラリーマンがどんどん駅に向かってきて。あれ、スーツを着た修行僧にしか見えないですね。朝も早くから寺でも“会社寺”にスーツ着て向かうみたいな。それ見たら、うわ~(芸人で)よかったなと思いますね」
-- でもその逆に、アウトロー感はないですか?
西野「…ありますね」
小林「それこそ、逆流してる」
西野「まっとうじゃないですからね、この世界は。むちゃくちゃやもんな。こないだ、ツレとコーヒーを飲んでて、晩の11時ぐらいから店におったんですけど、0時を超えるとそいつが10歳ぐらい、急に老けだしてね。目をしばしばさせて。どないしてん?って言ったら“明日、仕事やもん”って。あれは確か、3連休の最後の日。0時を超えた途端に急に明日のこと考え出して、そわそわして、帰りたいモードになってるんですよ。そのとき、“うわ、これから1週間、ずっと同じ時間に、起きて仕事すんねや~”って思ってたら、“自分はええな~”って言われて。“自分、忙しい、忙しいって言っても、実働はどのぐらいやねん”と。例えば営業だったら、移動時間、待ち時間とか全部端折ったら、小林とふたりでコントをやって約15分。実際の実働時間って15分なんですよね。そしたらツレが“それで一日の仕事が終わるわけやろ”と。“オレは、朝6時の電車に乗って、残業があって、日本で空手3位の先輩いて、その先輩が怖いから誘われたら絶対飲みに行かなあかん。それがまたよく誘ってきよる。結局0時ぐらいに帰ってくる。お前のほうがどんだけ楽か分かってるか”ってことを懇々と言われたんですよ。“仕事を15分して、その後にお前は何をしてんねん!”と。そう言われてもな~と思って、ほっといてくれ!って言ったけど(笑)」
小林「傍から見ると楽って見えるやろうな」
西野「見えるんやろうね。比べようがないけどね」
小林「芸人はハゲてる人、多いよな。悩みすぎて。それに安定もしてないからね」
-- そんな「芸人のお仕事」ですが、その中でよかったこと、恩恵にあずかったことは?
小林「これ、ないよな…」
西野「そんなことないやろ。やっぱビートたけしさんに逢えたことかな~」
小林「ああ、あの時はまるっきし素人になったな。ミーハーやったな」
西野「あれはほんま、うれしかったな。『誰でもピカソ』の収録前で、その日出演する若手とスタジオに入る前のたけしさんに挨拶しようってなって、廊下で待ってて。こう、角から曲がってくるんですよ。“うお~、来た~! マジかよ!!”って思った。おはようございます!!ってみんなで言って。たけしさんは、“はあ、どうも”って感じで会釈しはってな。あれはうれしかったなぁ…」
小林「何か…映画の1シーンみたいやったな」
西野「『TAKESHI'S』やろ(笑)。あのまんまやったな。あと何やろうな~、ある焼肉屋に行ったら、オレのこと知ってくれてて、全額サービスしてくれたりとか。サービスに肉をいっぱい入れてくれたりとか。そこ、行くたびにサービスをいっぱいしてくれるんで、逆に行けないんですよ」
小林「で、僕がその話を聞いて、すぐに行くのもいやらしいから2、3週間後ぐらいに行ったんですけど、普通に料金を払いました(笑)」
西野「気づかれへんかったんやろな」
小林「……そうやろう。待っても待っても気づかれず。酒飲んで、肉食って、お会計しました。それから1年ぐらい間を空けて行ったけど、まあ、変わりなく」
西野「俺、半年ぐらい前に久々に行って。そしたら店長が“離れの個室があるから、そっち言って~!”って言ってたよ。でも、そのままでいいって言ったら、めちゃめちゃええ肉をサービスしてくれて。…ごちそうさまでした!」
小林「ふ~ん…。離れなんか全然、知らんし」
西野「まあ、このふたりでどっちが先に気づかれるって言ったら僕の方かもしれませんね」
小林「いや、断然そうやろ」
西野「この前もな、後輩とラーメン屋に行ってて。小林、後輩、僕でカウンターに座ってて。そしたら小林の横にいる女子大生くらいの子が僕に気づいて、何か言うてるんですよ。で、真横にいる小林には一切気づかへんっていう。な! ぱーって来て、“すみません、握手してください、写メ撮らせてください”とか言ってきて。女子大生やし、かわいらしいから、そのときは僕も愛想よくして(笑)。“ああ、どうもありがとう~”みたいなことをやってる横で、小林はひたすらラーメンすすってたなぁ!」
小林「完全に夜勤帰りのオッサンとしか思われてなかったな」
西野「後輩がな、“僕、(小林さんもいますよって)言いましょか”っていうようなことを言ってるんですけど、“いいって!”って制してて。で、その女の子は小林の後ろをバーっと通って帰っていったな!」
小林「うん。全然やったね。まあまあ、切なさは出してたな」
西野「出てたなぁ。オレが握手とかしてるときのラーメンをすする音、凄い哀愁があったなぁ」
小林「ラジオから流れる演歌もあいまって。沁みたなぁ…」
-- そんな小林さんですが、恩恵は何かありますか?
小林「最近でいうと、去年の秋に独立リーグの入団テストを受けたとき、本来ならば1次テストのボーダーラインに達してなかったんですけど、スポーツ新聞とかの記者さんが来てくれたおかげで2次テストも受けさせてくれたことですね。それが大きなこと。10年芸人をやってて、一番大きな恩恵ですね」
西野「他にもあるやろ、もっと~!」
小林「あれはでも、嬉しかったもん、オレ。普通に受けてたら落ちてたと思うし」
西野「あるやろ…」
小林「(芸人)やっててよかった。ここに来るまで、そんなことなかったし。ひとりでラーメンすする音しか響かへんかったもんなぁ。あと、元西武の前田っていう選手がいて。元メジャーリーガーなんですよ。その前田さんが入団テストでピッチングコーチをしてて、普通に話しかけてくれて。それがほんまに…芸人やっててよかったなぁ…」
西野「ただの野球少年やん!」
-- では、仕事において人間関係って結構な悩みの種になっていると思うんですが、おふたりはどうですか?
西野「人間関係は、うまいかヘタかでいうと、僕らはむちゃくちゃヘタじゃないですかね。関係のつくり方というか。人慣れしていない。そんなうまくならんでいいと思うんですけど、もうちょっとねと僕は思いますね。小林はどこに行ってもいじられるよな。人としゃべらんでもすぐいじられて。ある程度はそうやって受身のままでいいとは思うけど、小林がいじられへんかったときに、僕が“こいつこんなヤツなんですよ”っていうことをもうちょっとやったりとか必要かな。年末に僕1人でトークイベントをやって、そのときのゲストが桂南光さんだったんですけど、南光さんが僕に“テーマは柔らかくや”って言うてくれて。何でも柔らかくと」
-- 今は硬い方ですか?
西野「硬いんじゃないですか、めちゃくちゃ」
-- まあ、柔らかいイメージはないですよね。
西野「そうそう、イメージがないんで」
-- でも、そういう、最初から柔らかい人って信用できないなっていうことはありませんか? 例えば初対面でも調子がいい人とか。
西野「まず信用しない」
小林「そうやんな」
西野「でも、ノリにはノリをみたいなところがあったりするやんか。ノリにはノリで返さへんかった場合、こっちの仕事がない」
-- そこに乗っかるかどうかってことですか?
西野「例えば、パーティーに行ってクラッカーを鳴らすか鳴らさへんかで変わってくるじゃないですか。ほんま、“踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らなソンソン”っていう課題が自分の中にすっごいあるんですよ。アホやのに踊らへん。でも、どうせやったら、ちょっとぐらい踊ってみようかな、ちょっとぐらいステップを踏んでみるわっていうのがもっとあってもいいんじゃないかなと。それが“柔らかく”にも繋がるんじゃないかなって」
-- 今まで踊ることを阻んできたのは?
西野「単純に、踊るのは恥ずかしいですよね」
小林「“それの何がおもろいねん”っていうのもまず、あるからなぁ。達成感がまず見えないっていうか、そのゴールが見えないっていうか。スポーツなら勝ち負けとか、それなりの数字が目標になってあるけど、ノリに合わせて踊ってても、そんなん別にうまくなっても自分としてはうれしくないみたいな」
西野「結局さ、甲子園でもにわかファンの女の子とかおって、オッサンとビール乾杯して飲んでみたいな、わーわー言うっていう盛り上がり方があるわけやんか。ベタな盛り上がり方が。クラブでお酒飲んでイエーイ!って言うのとか。それで盛り上がるのもわかるけど、こっちはそれで盛り上がらないですよね。小林が今、言ったように何がおもろいねんっていう。ヘタしたら小林なんか、ベッドに仰向けになって天井をずっと見てる自分の方がすごい面白いかもしれない。そっちの価値が大きいかもしれない。それはもう、どうしようもないよな」
小林「どうしようもない。野球もやっぱり、静かにみたいなって思うし」
西野「そうやろ。ピンクのハッピを着てる女とかむかつくやろ?」
小林「うん、むかつく」
西野「インフィールドフライの意味すら知らんやつとか腹立つやろ」
小林「うん。野球を観てるんかなっていうのがあるな。その辺はやっぱり乗りきれへんな」
西野「そうやな~。喫茶店でしゃべってるときにめちゃテンション上がってるときとかね。純喫茶の奥の方でずっとしゃべってるときとか、むっちゃ楽しいな~っていう。僕らにとってはそれが、クラブで踊ってるのと一緒やっていうのがあるやろうね。その価値が全然、違いますよね」
-- 人によって、静かに野球観るのも、喫茶店でしゃべるのも何が楽しいんやって思うでしょうしね
西野「何が楽しいねん、それ普段やっとるがな、それは平日にやっとるがな、土日はええねんって思うでしょうね」
小林「休みはとにかく騒ごうやっていうのはあるやろうな。まあまあ、否定はしないけどね」
西野「テーマパークとかに行きたがる人が多いのもビックリするな」
小林「意外と多いねんな」
西野「一切の興味がないからな。漫才とかでよく、テーマパークのアトラクションをいじるネタとかあるけど、一切知らんからな~。海からこのタイミングで何かが出てくるとか、お兄さんがこんなんでとかっていうのは遮断してますから(笑)」
-- まあ、そういう中でいろんな人にも出会ってきたと思いますが、これまで出会った人の中でかっこよかった人はどんな人ですか?
西野「カッコイイ人は、そらまあ、いっぱいおるわな…」
小林「うん」
西野「まず、シティボーイズさん。きたろうさんですかね。ああ、こんな考え方してんねやって、新しい、知らん考え方をいっぱい知ったな。こう見せたいっていうのがひとつずつ明確にあるんで、きたろうさんは。緻密ですね。適当なところもちょっと入れたりもしてるんだとも思うんですけど、いいな~と思いましたね。あと大竹(まこと)さんが、普通にめちゃくちゃ優しい。いろんな人に気を遣ってるもんな。ダンディですね~。ああ、この人モテんねやろうなって思いますもん。女やったらこのおじさん、好きやろうなっていうのがありますね。まあ、その部分はきたろうさん、斉木(しげる)さんにはまったく感じないですけどね(笑)」
小林「僕は…中村ゆうじさん。一緒に舞台をやってたときなんですけど、芝居の稽古が終わって、駅のホームでゆうじさんを見たんですよ。ゆうじさんは遠くの方に座ってたんですけど、一人で台詞の練習をやってるんですよ。帰り際まで役に入ってやってるんやって思ったら…。僕らなんか、終わったら、“ああ、終わった!”って感じなんですけど、その辺のプロ意識がすごいなって思いましたね」
西野「ゆうじさんは、なんかこう、集中力がものすごいと思うんですよ。周りは見えてない。ちょっとした小物やったら、気だけで動かせるんちゃうかな。それぐらい、ゆうじさんの集中力は一番凄かったですね」
小林「舞台に注ぐ集中力はすごいな」
西野「うん、すごい。パワーあるし。ゆうじさんもセクシーですね。あの人もモテるんやろうなって。まあそんなセクシーさは、きたろうさんと斉木さんにはないですけどね。すみませんけど(笑)」
小林「斉木さんは男前やけどね。モテへんやろうなって感じがする。変なキャップかぶって、(『シティハンター』の)冴羽リョウ(リョウは獣偏に寮)みたいなコート着て、ズボンの丈、ちょんちょんでな」
西野「トレーナーもズボンに入れるしな」
小林「胸張って、リュック背負ってな。ゆうじさんの地下鉄にいる姿は“サブウェイ”。完全にニューヨークでしたね」
西野「斉木さんは…似合うとしたら新橋やな(笑)」
-- では、最後に、チョップリンにとって「働くこと」とは?
西野「僕、全然ないですね、哲学的なことは。単純にウケたいとか、面白いと思われたいというだけじゃないですかね。ほとんどのみんなも。なぁ?」
小林「うん」
-- 仕事=生活とか、金を稼ぐとかっていうことには結びつきませんか?
西野「結びつかないと思ってるんですけど、向こうのほうから歩みよってくるんですよね、生活が。生活がずんずんずんずん歩み寄ってくるんで、それを遠ざけるくらいのお金がほしいですよね。生活が歩みよってくると鬱陶しいんで」
-- 舞台とかも労働で、その代わりにお金をもらいますよね。
小林「舞台でもお金をもらわずにやってる仕事も、実は多いんですよ」
-- そうなんですか!? 何かやったら必ず、もらえると思ってましたが…。
西野「何かやっても一銭ももらえないこととかありますからね。ただまあ、実際、芸人とか役者とかもそうですけど、舞台に立ったらそれは全然、お客さんには関係ないからな」
小林「うん。関係ないな。この世界に入るまでは働いたらお金がもらえるっていう感覚でやってたけど…。この世界に入って、まあ、拘束=お金みたいな考えも一切なくなったし、ようわからんくなったわ。どこでどうなったんやら…」
西野「舞台でもなんでも、それが一日で終わるようなことでも、こっちはそれまでにずっと打ち合わせとかやってるわけじゃないですか。夜に集まったりして。そこで金が発生するかっていったら、一切ない。なんや喫茶店でやったりするじゃないですか。そこの打ち合わせ費もないからな。はて…?と。DVDも出さへんし…。これは…尊いことをやってるなと思います(笑)」
小林「うん」
西野「尊いぞ、これは!と」
小林「ようやってるな」
-- それが“職業”というのもすごいことですよね。
小林「だから、仕事という感覚が逆にないです」
西野「芸人ってみんな、そうじゃないですか。そういう中でいろいろ悩んでくるんでしょう。生活がみんな、迫ってきますからね。そこはね、それを退けるためにもっていうのはあるけど。だから仕事とは?と問われても一切わからないです、僕は」
-- 一般的な企業とかにお勤めの方に聞くのと全然違いますね。比較しようがないですね。
西野「全然違いますね。JRと阪神と阪急とか、そんな次元じゃないですもんね。電車と三輪車ぐらい違うんじゃないですかね。サラリーマンが電車に乗ってる中で俺らは三輪車に乗ったりとかしてるし」
-- ただ、あるときそれが飛行機になることもあるでしょうね。
西野「ありますね。僕ら徒歩もできるし、電車も乗れるし、三輪車に乗ったり、サイドカーに乗ったりとか、いろいろできる可能性はありますね」
小林「あとね、お金をもらってグチを言ってる人とか、僕は理解できないです」
西野「小林はね、バイトとか仕事に対しての考え方がすごかったんで」
小林「ずっと染み付いてましたからね」
西野「こいつはほんまに、むっちゃいい加減そうに見えて、こんなにちゃんとするヤツはいないっていうくらい、目の前の小銭に弱いですから。とにかく目の前の小銭に弱い。ほんま、びっくりするくらい。だから、きっちり仕事をするんで信用を得るのも早いし、遅刻もしない。遅刻は絶対にしない。こっちが遅刻したら“何でお前遅刻すんねん、9時からお前の時給は発生すんねんぞ”とか、懇々と説教されたりしましたよ。“一生、(この仕事)するわけちゃうし、別にええがな”って言い返したら、“いや、違うよ、仕事やし、ちゃんとしようよ”って。そういうのは16才ぐらいのときからありましたね」
小林「ちゃんと仕事して、お金をもらうんですから。ギブ・アンド・テイク。そこをちゃんとしておかないと。だから僕、普通に働いていたらものすごくいい社会人になってたと思いますよ」
西野「無遅刻無欠勤は有り得るな。あと、要領よくやる。昔、喫茶店で一緒に働いていたとき、ママが店に入ってきたときの背筋の正し方ったらなかったよな。僕は、客がおらんかったらマンガを読んでるんですよ。で、ママが来ても、マンガを隠すっていうのができなくて、“あ、おはようございます”ってマンガを読み続ける。でも小林は違いますからね。小林と一緒に働いていたサクラちゃんっていうおばちゃんは、ママが来たっていうのを店に飾っている絵の額の反射で確認して“来た!来た!”って言いながらす~っと皿を洗い出したりして。額縁のガラスの反射でママが入ってくるのを観てるんですよ」
小林「いやいやいや、要領ええとか、それは考え方が違うんですよ。俺は一生、する気ないからちゃんとしたい」
西野「ん?」
小林「一生、その仕事をする気がないから、ちゃんとしたい。逆にね、今の仕事は一生したいから適当にやりたい」
西野「は~、なるほど~」
小林「こういう職種やから適当にやるっていうのもまかり通るかもしれないけど」
西野「それは小林らしいな。わかるわかる。でもそうなんですけど、結局はお金というものに対してのことですよ、多分。だから、適当にやりたいって言ってても、結局は打ち合わせ1回で時間が拘束されてるわけじゃないですか。もし、その拘束代が時給みたいに出てたら、全然違うことを言いますよ。結局、お金が出ないから適当にするだけで」
小林「まあ絶対、ホワイトボードに書き込んだりして、その場を仕切りますよね」
西野「だからほんまに、目の前の小銭がないと動かないんですよ。力の入れ具合が全然違いますよ。僕は時給が出てようが、出てまいが、しゃべるの好きやし、自分からアイディアも出していきますけど、小林は一切ないですからね。そこにもし時給が発生していたら、“これだけのライブやってこんだけもらえる”ってなったら、それ相当分の小林が考える役目を果たそうとするかもしれないですね」
小林「まあ、ギャラがあるから動けるっていうのもある。ただ、あんまり業務的にやりたくないっていうのもあるんですけどね。それだと遊びがないっていうか」
-- 現金主義ですね、時は金なり。お金も大事にする方ですか?
小林「そうやねぇ…。大事には…してないですね。むだな使い方とかするから」
-- ギャンブルとかは?
小林「ギャンブルもやってますし」
西野「両極端な小林がいるんですよ。すっごい貯金もしてるんですけど、パチンコにも行ってまうとか」
小林「そう。すっごい貯金があるときと、すっごい借金があるときとか。両極端ですね、ほんまに。借金があるときの収入と貯金しているときの収入は一緒なんですよ。使い方が全然違うんですよね。……不思議やなぁ」
仕事について語ってもらったのですが、結局は「小林」考となった今回。次回はどんな話をしてもらうか、お楽しみに! なお、読者の皆様からもテーマを募集いたします。チョップリンに語ってもらいたいことなどあれば、ご意見、ご感想と共にぜひお寄せください! お待ちしています!!
本コーナーに関するご意見・ご感想を、こちらまでお寄せください。