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第11回目を迎えた『チョップリンの話』は2011年振り返り企画!
ところが小林さん、振り返りすぎて遠い過去まで行きました!

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PROFILE

チョップリン

チョップリン
写真左から小林幸太郎、西野恭之介。平成18年「第36回NHK上方漫才コンテスト」最優秀賞。関西を代表するコントマスターは小学校からの同級生。そのシュールな世界観は、クロウトからの支持も高い。

西野ブログ
『チョップリン西野恭之介 タバコとアイスコーヒー』

いつのまにか再開してます!
小林ブログ
『松竹芸能チョップリン小林のコムデギャルソンや阪神大好き』
『松竹芸能チョップリン小林の告知します。野球』

『チョップリンの話』一覧

第1回『仕事』
第2回『愛について』
第3回『喫茶店』
第4回『金銭感覚』
第5回『人間関係…?』
第6回『理解できない』
第7回『クリスマス』
第8回『幸せについて』
第9回『モテを考える』
第10回『凹劇場、総括』
第11回『2011年』
第12回『新生活』
第13回『劇場

2011年最後の更新となりましたぴあ関西版WEB人気連載「チョップリンの話」は年忘れスペシャル(!?)、2011年を包み隠さず振り返っていただきました。ふたりはどんな状況で新しい年を迎え、この一年を過ごしてきたのか、どうぞ最後までお読みください!

 

西野「今年は淡路島のカウントダウンで始まったんか。桜塚やっくんと梅小鉢と一緒やったんかな。淡路島やから車で行ったんですけど、小林と一緒に。会場が淡路島の洲本で尋常やないくらい遠くて。僕、橋を渡ってすぐやと思ってたら、そっから山を越えて何やかんやで」

小林「ほぼ四国」

西野「ばり遠かったで。3時間くらいかかったんとちゃうかな。そこでカウントダウンして、1時くらいに終わって。小林と車で帰って。元旦はこいつとふたりで小旅行みたいな感じ。車内では会話もなく…っていうところから始まりましたね。それ、覚えてますわ。悲惨やなと思った」

小林「俺、帰りも運転してた?」

西野「してた。無言で、若干の呼吸の音しか聞こえない車内で」

小林「嫌な始まりやったな」

西野「幕開けがもう…」

――今年1年を予感しましたか?

小林「そのとき、真っ暗な道しか覚えてない」

西野「真っ暗やったな」

小林「イベントで何やったとか、誰と何を喋ったとか全く覚えてなくて、真っ暗な道しか覚えてない。今思えば2011年は、真っ暗な道っていうことになるんかな」

西野「そうやな。あれは完全に」

小林「運転中、ネガティブな考えがよぎりましたね」

西野「明るい参道やったらむちゃくちゃポジティブなはずやねんけどな」

小林「そうやな」

西野「そんなんで1年が始まって…」

小林「ライブばっかりやってるイメージがあるな。凹劇場。あれ、大阪は9月で終わってんな」

――10月に東京の角座でされて。角座はどうでしたか?

西野「めっちゃ盛り上がりました。大阪で19回やった中で、最後の東京が一番盛り上がってましたね」

小林「へへへ」

――ちょっとそれは…大阪勢としては嫉妬しますね。

小林「まあまあまあ」

西野「東京はベスト盤って感じでしたから! 大阪も毎回盛り上がってて、その中で一番盛り上がった企画を持って行ったんで。劇場もいいんでね」

――どんな感じなんですか?

西野「設備が整ってますね。たとえば、何かお客さんに見せるときはフリップ使ってるじゃないですか、大阪は。それが角座では壁に映して出すので、その辺が全然違ってきて、手作り感がなくなってくるんで」

小林「チープさがないよな。そういうのがよかったな。チープさは消したいから」

西野「うん。舞台上の温度もずっと測れるようになっていて。この企画は何度に設定してくれとか、そういうこともできるんです」

――なるほど。秋には『キングオブコント』もありましたが。

西野「やっぱりあの、元旦にあの暗闇を通ったからな…」

小林「う~ん」

西野「3回戦がいい感じやって、準決勝に通って。それで、準決勝のネタを決めたんですけど、それがサンパチマイクを使うネタで。それがもう、会社がサンパチマイクを用意できへんと。もしやるんやったら自分らで借りてくれみたいなことを言われて、はぁ!?ってなって。そんならもうええわってネタ変えて。新宿角座にあるんですよ、サンパチマイク」

――でも持って行けない。

西野「リハで使うからって。ふぅ~~んと。僕はまあまあ、そんな表立っては言ってないんですけど、小林は自分のブログでびっくりするぐらい会社の文句を書いてましたね」

小林「へへへ」

西野「まだ残ってると思うんですけど、ものすごい怒ってましたね。何でセンターマイク1本、用意できへんねんやろって」

――まあ、ネタが違ったら全然変わってきますよね。

西野「全然違いますよね。それで小林が切れてブログに書いたんですけど、幸か不幸か、それを読んだ社員が誰もいないんで」

――声が届かなかった。

小林「ヒヒヒヒヒ!」

西野「びっくりするぐらい届いてないですよね。数人のファンぐらいしか読んでませんね」

――社員にも意見が届かず。

西野「小林のマイクはオンになってなかったです」

小林「も~、何やろうね、あれ」

西野「社員は誰も気づいてなかったですね」

小林「雨やったよな。『キング オブ コント』の準決勝の時も」

西野「そう。準決勝で東京に行くのに、新幹線が雨で遅れたんですよ。新大阪駅に全然、入って来うへんくて、アナウンスもなくてっていう状況で。ずっと待ってたんですよ。ほなら“それ、来ませんよ”って言われて。で、“こっちに入ってくる奴に乗ってください”って言われて、そのホームに慌てて行ったら、同じ情報を聞きつけた人が殺到してて、乗車率がえらいことになってて。それには乗りたないなって思って、30分後に入ってくる新幹線を待って、乗れたんですよ。で、座ってたら、な?」

小林「おっさんが来て…」

西野「“僕、指定席取ってるんで、そこ僕の席ですよ”って言われて。ほな、立ちますわってなるじゃないですか。そこで小林がぶち切れたんですよ」

小林「うん。ぶち切れた。新幹線の中と外で」

西野「僕が知らんところでバリでかい声でぶち切れてるんですよ。“30分後に新幹線が来るから、そっちに並んでて下さい”って言われて並んでたんですけど、その時に、僕らも指定があったけど、全席自由になるって言われて。それでまあ、座れたんです」

小林「やけど、おっさんが…」

西野「僕のところに“指定取ってるんでどいてください”って言われて、僕は立ったんです。しょうがないなと思って。ほなら、京都で、小林の席にも指定を取ってる人が来て。その人とも一触即発的な雰囲気になるんですけど、まあ、小林はそのおっさんの状況もわかると。ただ、車掌を捕まえてですね…、もうびっくりしましたよ、車掌がば~って来たら、“おえ~おら~しゃしょ~!! こっちこえ~~~!!”って小林、めっちゃ切れるんですよ。“おえ~!しゃしょう~!こっちこえ~~こっち~! どないなっとんねん! 全席自由やいうから座っとったのに、指定取ってるってどうなっとんねん、こっちも指定取ってんねん~おら~!”って。意見を統一せぇみたいなことをうわ~~って言って。車掌さんも“誠に申し訳ございません!! 8号車にまだちょっと空いている席があるので、そこを取りますから”って」

小林「ハハハ」

西野「周りが見るくらいでかい声で。僕、小林はあんなでかい声、出せるんやと思って。店員とかに切れるのって僕っぽいでしょ。僕、いっさい切れないんですよ、お店の人に。彼はね、携帯電話会社でも大暴れしてますしね~。よう大暴れするらしいんですよ」

小林「あ~。携帯電話な。でもそんとき、車内でも言ったけど、外でもJRの人に言っててん。ホームで。ホームってめっちゃうるさいじゃないですか、アナウンスとか、新幹線の音とかあって。……僕の声の方が勝ってたんですよ。こだましてましたね」

西野「僕、それは全然知らなかったんですよ。売店とか行ってて。で、戻ってきて、普通なら“今、俺、めっちゃ切れてたわ”とか言うと思うんですけど、それはないんですよ。ずっとイライラしてて」

小林「というのも、あんまり関係ない人に言ってたんで。一発目はね」

西野「掃除の人とか?」

小林「掃除の人はないよ。そこまでは区別できるけど、あの、車掌さんに言ってくださいって言われるような、あんまり関係ない人に。まあまあ、あんまり関係なかったんで、中で車掌に言って。なんせね、ほんまに、さっきも言ったけど、JRの人の間で話が統一されてなかったんですよ。そのいい加減さにもう…! 金もらって働いてるんやろうっていう」

西野「そこなんですよ。仕事やったらちゃんとせえみたいな、クレーマーになってくるんですよ」

小林「クレーマーじゃないよ!」

――いつものお考えですよね。お金をもらってるならちゃんとするっていう。

西野「そうですそうです。ライブの場合はお金が発生してないんで、やっぱり飛んでもいいっていう」

小林「ハハハ」

西野「その辺が現金なんですよ。だからほんま、切れてましたよ。こいつ、中学校の卒業文集に書いてましたけど、座右の銘が“備えあれば憂いなし”なんですよ。こいつの座右の銘が。備えあれば憂いなし。安心したいんですよ。だから、大事な準決勝の日に、3時間近く立たされて東京に行きたくないっていう、その情熱がすごかったんでしょうね」

小林「マイクの件もあったし」

――大事な日というのもあって、遅れるかもしれない、ずっと立たなきゃいけない、会社のこともあった。そういう全部のストレスがJRの車掌さんに…。

西野「そこに全部、向かっていったんでしょうね。虫眼鏡で太陽の光集めて、ジリジリジリジリ焦げていって、最後はボーンって火が着いたんですよ」

小林「絶対、普段は人に向かって指差しとかせえへんけど、やってもうたな」

西野「車掌を捕まえて、鼻先らへんに人差し指向けて、“どないなっとんね~~~ん!”言うて。まあ、そうやって切れてる人が何人かいたんでしょうね。“ここが空いてますから行ってください”って案内してくれて、僕の席も取ってもらったんですよ。で、移動したら、さっきの僕らみたいに座っているお母さんと娘さんがいて。でもこいつが鬼の形相でぐわ~って来て、“あ~すみませ~ん、ちょっと指定取ってるんで~”言うて。“すみません、すぐどきますんで…”ってお母さんが言って。もう、さっきの逆ですよね。弱肉強食の世界を見ましたよ、僕。新幹線の中で」

――立場が強くなったり、弱くなったり。

西野「かわいそうやった、あの親子。京都過ぎて名古屋までは座れるって安心してるところに小林が来て」

――それは、ここ最近一番の切れ具合ですか。

西野「そう。あれは面白かったですね、絶対座りたいんやなと」

――ああ、その執念。

西野「準決勝の前に無駄な体力は絶対、使いたくないんやろうなと」

小林「立ってもよかったんですよ。でも立ってたら余計なことを思い出したりして、またイライラすると思ったんですよ」

西野「まあ、そんなことがあって、東京に着いたんですけど、『キング オブ コント』のスタッフがサンパチマイクを用意してくれとったんですよ。で、僕らもびっくりして。どうします?って言われて。SEとか、衣裳とかもあるし、違うネタの準備をしてたんで、“いや、無理です”って言うて。そういう情報すら来てないし。それでまたもう、イラ~~~~!ってして。スタッフの人がメイキングを撮ってるんですけど、そこではやめとけよっていうところで、小林が今言ったような感じで“考えられないっスよね~!”みたいに言うとるんですよ。おいおい、やめとけ、やめとけ、その前にボケろや!って」

――まあ、気持ちはわかりますよね。

小林「ないって言われたものが目の前にあるんですから」

西野「悔しいですね」

――コンディションもまた違っていたでしょうしね。

西野「しょうがないですけどね。そういうこともひっくるめて、ついてない奴なんでしょうかね…。僕は、そんなついてない人じゃないんですよ。でもやっぱり、コンビふたりでしょう。やっぱこう、ついてない奴に食われていくわけですよ」

小林「へへへ、まあ否定はせえへん」

――小林さんの負のオーラが…。

西野「ぐいっと、半分くらいは入ってきますよね。ニコイチなんでね。何て言うんですかね、悲惨な感じって面白いじゃないですか」

小林「うん」

西野「僕も好きなんですけど、悲惨な感じ。何これ!?みたいな、俺、悲惨やなっていう状況って面白いんですけど、ちょっと多いなぁ…って。俺個人でいうとそんなに多くないはずやのにな~、悲惨な状況多いな~、トンマな状況、多いな~って」

小林「俺はそんな、思わへんけどな」

――二人になると…。

西野「多いですね~」

――それに対して小林さんはあんまり感じてはいない?

小林「うん。そこまでは」

西野「個人で言うと、テニスとか自分の特技の話をスタッフの人がしてくれてて、それで急に声をかけてもらうことがあって、テレビのゴールデンに出られてとか、そういうことがあるんですよ。で、僕がゴールデンに出ていたその後に、小林もゴールデンに出てたんですよ。それが阪神戦を見に行って、バックネット裏にいたから、ただただゴールデンに映ってたっていう。阪神戦のバックネット裏で、黙々とフランクフルトを食いながら小林が見てるっていう像が映ってたんですよね」

小林「ハハハハハ!」

西野「トライアングルの田中から電話がかかってきて、“西野さん、今、家にいます? 阪神戦すぐつけてください!”って言って。ええ!?って言いながらつけたら、小林が…。“小林やーん!!”って。田中が“めっちゃオモロイんですよ~。僕、もう、1回から見てるから~”言うて。で、21時ぐらいになって引き続きサンテレビとかで放送するとなって、チャンネルをそっちにしたら、まだフランククルト食いながら見てる小林が映ってて。局をまたにかけて映ってたっていうね」

小林「各局スポーツニュースにも映ってた」

西野「さらに23時台のスポーツニュースも小林が占拠して。その映り方とか、おもしろいですね」

――そんな小林さんは、個人的なニュースとかありましたか? 切れたのは新幹線の時ぐらいですか?

小林「一番切れたのは、それですね」

――それは、この1年というより、数年とか?

小林「某携帯電話会社でちょいちょい切れてるんでね…ヒッヒッヒッ」

西野「も~、すごいらしいですよ。“お前、それ、何やねん!”とか言うらしく」

――声のトーンはどのくらいやったんですか?

小林「声はそのお店に響き渡る程度にして」

西野「箱に合わせたん?」

小林「うん。箱に合わせて。まあ、そこまで大声は出さないですけど、携帯電話会社ではちょいちょいあります」

西野「いや~、ほんまね、げっちゃ暴れてるらしいですからね」

小林「いっぱい携帯持ってる人がいるから、客一人に対しての対応がね。一人ぐらい契約解除されてもええやんけみたいな、そういう考えで接してくるから。それも乗っかって、もうほんまに、何か1ポイント悪いのがあったらパッと行く」

西野「僕ね、でも、その店員に切れるっていうのがよくわからないんですよ。厚かましいな~と思うんですよ。お金を払っている立場を利用して、俺の方が偉いんやぞっていう条件のもと、切れてるじゃないですか」

小林「違う違う違う。コンビニの店員やったら言わへんで」

西野「いや、お前は言うって。何かあったら言うで。俺、見たもん。目の前で車掌にあんなに切れるっていうことは、“こっちはチケット買うとんねん”っていう強みがあるんですよ。僕、後で聞いたんですよ。“まあ、座れてよかったわ。お前の勢いがあってよかったわ、俺は”って言ったら、“いや、当たり前や”“立ってたらどうなってたんやろうな、あんだけ切れてたら”“ああ!? 立ってたら差額もらうわな。指定の分を。東京駅着いたらすぐ差額もらうよ!?”って。僕もう、ええ…ってなって。もらうよとか言うけど、チケットは番組から出していただいてるものやから…。でも、東京駅で窓口の方を見たら差額をもらう人の長蛇の列ができててな」

小林「俺、昔、電話でめっちゃ文句言うてたら、カスタマーサービスの女の子を泣かしてもうてん。そしたら男の人が出てきて“何や、こらぁ! ああ!?”って言われて……。“あ、は、すみません”ってすぐ謝った」

西野「わ~、女には強い」

小林「その人、めっちゃ怖かってん」

西野「いやいや、そこで切れろや!」

小林「裏社会が出てきた(笑)」

 

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