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チョップリン
写真左から小林幸太郎、西野恭之介。平成18年「第36回NHK上方漫才コンテスト」最優秀賞。関西を代表するコントマスターは小学校からの同級生。そのシュールな世界観は、クロウトからの支持も高い。
西野ブログ
『チョップリン西野恭之介 タバコとアイスコーヒー』
いつのまにか再開してます!
小林ブログ
『松竹芸能チョップリン小林のコムデギャルソンや阪神大好き』
『松竹芸能チョップリン小林の告知します。野球』
第1回『仕事』
第2回『愛について』
第3回『喫茶店』
第4回『金銭感覚』
第5回『人間関係…?』
第6回『理解できない』
第7回『クリスマス』
第8回『幸せについて』
第9回『モテを考える』
第10回『凹劇場、総括』
第11回『2011年』
第12回『新生活』
第13回『劇場』
2009年12月より始まったチョップリンの月1イベント『チョップリンの凹劇場』。公私共に交流のあるトライアングルを迎え、トークにネタに大喜利、企画と様々なライブを繰り広げてきました。中には海原はるか・かなた師匠をゲストにお呼びし、相方をシャッフルしてのネタを披露したり、大喜利のみを繰り広げる回もあったりと、あの手この手を駆使して私たちを楽しませてくれました。そんな『凹劇場』も8月21日の第19回で惜しまれながらも一旦、幕を下ろすことに。そこで、『チョップリンの話』では、第10回目という節目にトライアングルの2人をゲストに招き、4人でこれまでの『凹劇場』について語り合っていただきました!
(写真左から)トライアングル・森、チョップリン・小林、チョップリン・西野、トライアングル・田中 |
―― 『チョップリンの凹劇場』も約2年にわたって、全19回行われてきましたが。
西野「自分らで毎月、ライブをやったのは初めてやったから…。最初は開場が遅れたりとか何やかんやで、バタバタしてたな」
小林「そうやな」
西野「ひどかったな。バタバタ感が」
―― その日のことは覚えてますか?
西野「逆に1回目のことしか覚えてないぐらいです。『凹劇場』って言ったら1回目のバタバタ。しかも1回目は、森のロボットダンスがなければ大爆笑はなかったんちゃいますかね」
小林「うん」
―― トライアングルさんはどうですか?
田中「『凹劇場』になったのは今年からぐらいですか。今の形になったのは」
西野「どういうこと?」
田中「フォーマットとしてきっちり出来上がったのは」
西野「割と早い段階からやってたけどな。ただ、1回目はコントから入ったけどな」
森「最初、僕らはネタしてなかったですね」
西野「そうや、途中からやったな」
田中「やっぱやった方がええんちゃうかってなって、やらせてもらうようになって」
西野「それがよかったんやな」
―― トライアングルさんがネタを始められたのは5回目ぐらいからですね。
田中「その方がやっぱりよかったなって思います。すごくありがたいライブでしたね、本当に。僕たちを芸人にしてくれていたっていう…」
森「僕らを」
小林「フフフ」
田中「それがなかったらただのフリーターやったんで。打ち合わせに行くのもすごい楽しかったですし、これがなくなったのは悲しかったですね」
森「チョップリンさんもそうやと思うんですけど、僕らも芸人の友達がいなくて…」
西野「俺らは友達いるよ」
小林「いるよ」
西野「何らかのつながりはあるよ」
森「いや(笑)、僕は勝手に、芸人さんの友達というより普段の友達に近い感覚でいさせてもらって…」
西野「あ~、それはあるかもしれないですね」
森「チョップリンさんは僕らを同等に扱ってくれたので、1回目は逆にそれが仇となって。お客さんとしては『チョップリンの凹劇場』を観に来ているのに、僕らが普通に出ていることへの戸惑いがあったと思いますね」
西野「それが大体7回目くらいからなくなってきたんでね。そっからトライアングルと2組でやっているという感じになりましたね。最後の方はトライアングルのネタもバンバン、ウケるようになって、いい感じやったんですけどね」
田中「はい」
西野「ま、一旦終わろうかということで」
森「ウケ出したから終わろうかという感じになってますけどね」
西野「これ以上ウケられてもな?」
小林「うん」
西野「困るということで」
森「いやいや、それはないです! 僕らのお客さん、ゼロなんですから」
田中「ほんと、ゼロなんですから」
森「あと、どっちかっていうと僕らは女性にウケるコンビやったんで、舞台でパンツ1枚になるとか、そういうのは絶対NGやったんですけど…」
(一同苦笑)
―― それはどういう理由でNGに?
森「いや…、なんというか…、素の部分で…」
西野「神戸ですからね~、彼らは。それは僕もわかるんですよね。やりたくないのはやりたくなくていいやんっていうのは僕もわかるし」
―― 汚れはしたくない?
西野「ああ、全然ないですね。一切ないです。汚れを絶対やらへんっていう空気も出してきますし」
田中「これは多分、悪いことなんですけど、僕、『おいしい』ということがよくわかってないんです」
西野「ハハハ(笑)! 俺もまったくわからへんな。基本的に似たような4人なんでね」
森「そういう意味では、むちゃくちゃ甘えさせてもらってましたね。他の先輩やったら怒られるようなことでも」
西野「心地いいんですよね。ガツガツしてないんでね、4人とも」
田中「だから僕らも結果を出していかなあかんなって思ってて。『凹劇場』をやっている間に僕らもちょっとは露出度も上がればよかったのにな~って思っている間に終わってしまったので、すごい申し訳ない部分もありますね。テレビの露出とか増えれば…」
西野「それは俺らもないからね。一緒だよね、そんなのは」
小林「一緒やな」
森「チョップリンさんにおんぶに抱っこで」
田中「いや、でも、お客さんも呼べてないですから」
西野「気持ちはわかるんですよ。打ち合わせでも消えていった企画がいっぱいあるんですけど、その中でちょっと嫌な役をやらなくちゃいけないものがあるんです。僕は仕切りやからやらんでいいんです。あとの3人がやる役。そこでもう3対1の構図ができるんですよ。それで、森と田中は露骨に『アイツまた、俺らにやらせて…』っていう空気をバンバン出してきよるんですよ。それが面白いというかね」
―― それは、どういうふうに出されるんですか?
西野「『自分…また仕切りかよ…』みたいな。小林は自分がやってみたいと思ったら快諾してやりよるんですよ。そこはトライアングルとは違いますね」
小林「『また仕切りか』みたいな空気を出したら、俺がやらされる。そういう空気を出したヤツがやらされることがわかってるから、なるべく出さんようにして。すでに出してる2人もいるから」
森「矢面に立たんように」
西野「矢面に立つのは舞台だけでええと」
―― なるほど。ではトライアングルさん、チョップリンの『凹劇場』は、他の舞台とは違いましたか?
田中「楽しかったですね…。あと、チョップリンさんはすごいなっていうのと、小林さんの負担がハンパないなっていうときもあって」
西野「企画のメインが全部、小林っていう」
小林「ヒヒヒ」
―― そんなとき、トライアングルのお2人は、先輩を助けたりは?
森「…それはもう、僕らにできることがあれば、何かさせてもらおうとは思うんですけど!」
田中「ただ、僕らが頑張っても、小林さんはたまに神様がめっちゃ降りてくることがあるので。僕らも爆笑してまうときがあって。リフティングのときとか」
西野「ああ、あったな。コーナーでサッカーボールをリフティングしてて、壁にバーンってボールが当たって。その跳ね返ってきたボールを偶然に内股でキャッチしたりとかね」
田中「あと、コントで双眼鏡使うネタがあって、小林さんはピンク色の双眼鏡を黒く塗って使ってたんですけど、ネタの終わりに黒い塗料が顔についてて、キレイに眉毛がつながっていたりとか」
西野「あ、そういうのが神様が降りてきたって言ってるの?」
田中「はい…」
西野「俺はそうは思わへん。ただの不注意やな~って思うけどな~」
小林「ヒヒヒ」
森「チョップリンさんっていうと、西野さんがすごいっていうイメージがありますけど、一緒に舞台をさせてもらったら、小林さんもすごいんやなっていうのがよくわかりました」
西野「うん、まあ、そうですね」
小林「ああ、そう。ありがとう」
西野「すごいのはすごいですね、小林は。いないですからね」
―― 本番で出す力がすごいんですか?
西野「あの、今、褒め合いみたいになってますよね。普通に言ってるでしょう、この4人は。それ、あり得ないでしょう。『いや、そんなことないよ!』とか、ここまでのくだりで一切、出なかったですね。でも、まあ、小林はすごいです。それは僕も思っていることですから。だからこそ!『もっとこうしたらいいのに』という思いはありますね。彼はまだサナギなんですよ。誰も見たことのないサナギ。蝶々でもない。このサナギが何になるのか、孵化するのを待っている。そういう状態なんです、今の小林は。僕はそれがすごい楽しみなんですよ!」
森「えらい長台詞ですけど、どうしたんですか?」
西野「この褒め合いの状況が不安やからどんどん足していく!」
―― 本当にダメ出しはないんですか?
西野「ないです、ないです」
田中「僕も初めてのことだったんですが、定期的なライブをやっていて、舞台終わりで帰るときにシュッと帰る感じが新鮮でした。今までのライブにはないシュッと感なんですよね」
森「ああ、それはある」
西野「シュッと帰るな」
―― 打ち上げとかもなく?
田中「はい。『凹劇場』の後は家で飯食うっていう感じですね」
西野「そんなことないやろ。飯食いに行ったやんか」
田中「行ったのは行ったんですけど、僕らもライブの後でバイトがあったりということが結構あったんで」
西野「お前らやで、飛び出しは。トライアングルが飛び出しで行かなあかんから」
森「でも、本当に、怒らることはありませんでしたね。失敗したっていうときもありますけど、そのときでも『ここがあかん、あそこがあかん』ということはなくて。本人もわかってるからってあえて言わないんだと思うんですけど」
小林「いや、わかってないねん」
森「『全然、ええよ』って言われますね」
小林「何があかんかったかわかってないだけかもしれん」
森「いや、そんなことないです」
西野「でも1回だけ、僕は森に『ちゃんとせえよ』と言ようかと思ったことがありましたよ。『オープニングトークで話がある』っていうから、本番で森にポンって振ったら、びっくりするくらいのスピードでその話を終えて。あれ、覚えてる?」
森「ありました」
田中「すっと終えましたね」
森「事前にちょっと話をして。『じゃあ、本番それ振るわ』ってなったんですけど、箇条書きでポンポンポンって言って終わって。自分でも『あれ? 終わった』ってなりました」
西野「森はね、同じ話を2回目に言うとき、極端にテンションが低くなってるんですよ。『もう1回、言ったしな~』ってすっごい冷めている部分があるんで、初めて聞くお客さんの前で言うとなっても、もう冷めてるから箇条書き3つで終わらせるという。それはあるよな?」
田中「これは、こういうところで言うことではないんですけど…」
森「じゃあ、やめとけよ」
田中「僕が同じ話を2回したら、2回目のときめっちゃ怒るんですよ。『ハイ、それ2回目!』って」
西野「そうそうそう。打ち合わせのときとか、見たことある。田中が森に言ったであろう話を作家に話しているときの森の顔がもう、えげつないですもんね」
小林「うんうん」
西野「いや、それは今、森には話してないから。確かに聞こえてくるけど」
田中「僕、結構ビビりなんで、森がそんな顔をすると『はよ終わらせよう、ああ、はよ、はよ終わらせよう』ってなるんですよ」
西野「ああ、ちょっと焦ってくんねや。気にしてまうねんな」
森「田中は言ってるだけですよ。話も長いですし。そこはもう、言うてるだけです」
田中「でも~、これも言うことではないかもしれないですけど~、『森がいい気分のときにこれは言おう』って、いつも思ってますから。『ここで今、言ったところで、ええ顔せんな』とか…。『一つ違う話をしてから言おう』とか…」
西野「わかるわかる。森の『ええわ』とか『聞いた』とか、この3文字が結構、ゲンコツみたいな威力を出すときあるよな」
田中「重いっ」
西野「ドンっていう衝撃を与える感じで言うよな」
田中「なんか『俺があかんことしてたんや』って思うような」
西野「スパーンっと切られる感じよな。新聞を読みながら目を動かすことなく『聞いた』とかって言うたり。もう、不機嫌なお父さんですよ。『え!?』ってなるよな?」
田中「まあ、逆に面白い部分もあるんですけど…」
西野「コンビとしての役割とか考えている人もいるじゃないですか。でも、そういうときでも絶対、ツッコミはボケを盛り上げていく。拾って拾って突っ込んでいくっていう役割がある。その役割みたいなものがこの4人には多分、…ないですね」
小林「確かにそうやな」
西野「全員が『じゃあ、お前やれや』っていう。『凹劇場』の後半は、打ち合わせの時に作家にやらせてましたから。『これ、今、やってみ』って」
田中「それを見てキャッキャキャッキャ笑ってるっていう」
西野「例えば、そこに恋愛小説家の大蜘蛛がおったら彼がやるんでしょうけど、この4人の中にはやるヤツがいないんで。実際どう見えるかっていう確認は嫌がる作家に延々とやらせてましたね」
森「作家も力ついてきましたね」
田中「リアクションの仕方とかわかってきて。僕らよりリアクションがうまいですもんね」
西野「若い作家に蝉を捕まえさせてボケさせるとか。蝉をポケットに入れさせて“ビーーーー!”って鳴いてるのを『防犯グッズが鳴ってんで~』って僕らが笑っているという」
―― どことなく『裏凹劇場』という感じがしますね…。
西野「そうなんですよ」
田中「打ち合わせであんなに爆笑することはないですね」
西野「ないよな。でも爆笑を生み出しているのは若手作家ですからね」
小林「ひひひ」
西野「追い込まれ芸とかあるじゃないですか。それで言うと、この4人の中にはいませんよね。追い込んでいく方が好きなんでしょうね。そういう意味では企画の幅が狭くなっていったかもな。やらへんってなるから。そういうことを請け負うヤツがおったら、無茶するコーナーができたやろうな」
田中「でも僕、ちょっとだけいじられてましたね」
西野「女子力な。でも田中の女子力はいいよな」
田中「……ありがとうございます」
西野「田中は女子ですからね。気持ちが女子なんで」
田中「ありがとうございます!」
小林「甘いもの知ってる」
田中「いや、ほんまに、最初に比べたら…。最初、僕ら全然できてなかったんですよ。でも、『凹劇場』の舞台が終わってから『うわ、何もできてへんやん』って思うのがすごく切なかったんです。そこをクリアしていかないと、ただただ1カ月、苦痛なライブになっていくかもしれんと思ったんで…」
西野「そんなことまで考えとったん?」
田中「何とか爪痕を残すようなことをしないとって思ってたんで」
西野「初めてですよ、ここにきて。芸人っぽい発言が出たのは」
小林「うん」
西野「爪痕ね!」
田中「結局、チョップリンさんを観に来てはるお客さんやと思うので、僕らは単独では笑いになっていないので、何とか自分たちの笑いになるようにって」
―― スパルタですね。何も言われない分、自分で考えていかないとっていう。
西野「いや、そんなん言うても正味、田中の方が芸歴が長いから重々わかってるわけですよ。この『凹劇場』は僕らメインにやらせてもらってますけど、お客さんがトライアングルに対して初めての人が多かっただけなんですよ。それが馴染んできただけの話で、誰もうまくもなってないし、ヘタにもなってないです」
小林「うん」
西野「そんなライブ一つじゃ変わらないですからね。ただ単に、田中というキャラをお客さんが知ってくれて、森というキャラがわかったから、だんだん笑ってくれるようになった。それだけですよ」
田中「……」
西野「釈然とせえへん?」
田中「そう思ってたような気がしたんですけど…。あれ? 何かそんな感じがしたんですよ。なんか、僕もちょっと…」
西野「どの時期から『凹劇場』がオモロなってきたん?」
田中「えーっと、春ぐらいから…」
西野「え? いつの?」
田中「あれですわ! 面白いなと思ったのは、あの『裸一貫』くらいですわ」
西野「『裸一貫クイズ』? ……つい最近やん! おい~田中~、それまでは切なかったんか!?」
田中「違うんです、違うんです、結局ぅ、それまでが…。だから…、立ち位置をよくわかってないところがあったんで。どこに行ったらええんやろうと。僕はボケですけど、もっとボケてはる人が隣にいるじゃないですか」
西野「まあそうやな。そういう意味では田中は難しかったかもしれんな」
田中「そこで女子力という部分で取り上げていただいたので、立ち位置はそこから『あ、なるほど』と…」
森「居場所がやっと見つかった」
田中「居場所が見つかったらもう、早いもんですよ。そしたら終わってもた」
小林「ハハハ(笑)」
田中「それまでは、立ち居地がわからなくて、ただ単におしゃべりっていう…」
森「口数が多かっただけ」
田中「っていうところに…。とりあえず何かしゃべっとけっていう」
西野「そうなんや」
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