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ファンの皆様、大変長らくお待たせしました! 第12回を更新!
最新号は「小林さんのご結婚おめでとう!」スペシャル(!?)です!

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PROFILE

チョップリン

チョップリン
写真左から小林幸太郎、西野恭之介。平成18年「第36回NHK上方漫才コンテスト」最優秀賞。関西を代表するコントマスターは小学校からの同級生。そのシュールな世界観は、クロウトからの支持も高い。

西野ブログ
『チョップリン西野恭之介 タバコとアイスコーヒー』

いつのまにか再開してます!
小林ブログ
『松竹芸能チョップリン小林のコムデギャルソンや阪神大好き』
『松竹芸能チョップリン小林の告知します。野球』

『チョップリンの話』一覧

第1回『仕事』
第2回『愛について』
第3回『喫茶店』
第4回『金銭感覚』
第5回『人間関係…?』
第6回『理解できない』
第7回『クリスマス』
第8回『幸せについて』
第9回『モテを考える』
第10回『凹劇場、総括』
第11回『2011年』
第12回『新生活』
第13回『劇場

長らく更新が滞っておりましたぴあ関西版WEB人気連載「チョップリンの話」。季節はすっかり秋となり、2012年も終わりかけ。その間に我らが小林さんが七夕の日にご結婚されましてと、今回はそんなおめでたいニュースから始まります。そしておめでたな小林さんをオマージュしたとある企画も浮上して……? 最後までどうぞ、お付き合いのほどを!

 

西野「この半年のニュースと言えば、小林の結婚やな」

小林「7月に結婚しました。それぐらいですかね」

西野「僕は、小林から結婚式の司会をお願いされて。もう、結婚式の準備とかでクタクタやったですね…」

小林「そんなことないやろ(笑)」

西野「それで、小林の親父に初めて会えたんです。ずっと近所に住んでましたけど、ほんまに肉眼で見たことがない親父に初めて。式が始まる前の挨拶で」

--約30年来の念願ですね。どうでしたか?

西野「いやこれはもう、僕の想像をはるかに超えてましたね。親父の不安定さが。不安定でしたね~、浮足立ってましたね~。親父っていうとどっしり大黒柱みたいなイメージがあるじゃないですか。もう、ほっそい柱でしたね。この家、枝で支えてんとちゃうかっていうくらいの(笑)。ほっそい枝でギリギリ家を保ってるみたいな感じの親父でしたね。イメージですけど」

--見た目は似てらっしゃるんですか?

西野「小林にも似てましたし、モンスターエンジンの西森くんにも似てました。顔は」

小林「トム・ウェイツにも似てる。髪の毛ぼさぼさの時」

西野「鼻がちゃうな。ほんまね、鼻の頭も赤いんですよ。酔ってるんかっていうくらい。あとね、8割方、何言ってるかわからない。本当に。滑舌が悪くて」

--小林さんは聞き取れるんですか?

小林「いや、僕は9割、聞き取れてないです」

--じゃあ、西野さんの方が聞き取れてますね。

西野「そうですね。1割僕の方が理解できてる」

小林「人前やからちゃんと話そうという意識の1割ですね。家ではもっと、何言ってるかわからん」

--お父さんに初めて会ったというのも大きなニュースですね。

西野「そうですね。ようやく、念願のお父さんを見れましたね。まあ、面白かったですね、親父は」

--息子の晴れ姿を喜んでいる感じでしたか?

西野「喜んでる感じじゃなかったですね。不思議ですけど。極力、こういうところに俺は出たくないという感じの人やったんで、最初は。なんか、息子のことを思うよりも自分で精いっぱいみたいな。“今日、俺、何しゃべろう”とか、その心配が大きすぎて、な? 息子とその息子が連れてきた奥さんへの心配はなかったですね。自分のことでいっぱいでしたね、あの感じは」

--普段からそんな感じなんですか?

小林「いや、そうですね…」

西野「最初に紹介された時、“西野くん頼むよ”と。“息子はどうしようもない奴やから、君がしっかりしてくれよ”と。“君は本当に声が大きいから! 本当にいい!”って。まず、声の大きさを褒められたんですよね。そんなにもでかくないですけど。で、その後、廊下とかでおっちゃんと会うじゃないですか。そういう時って会釈だけでいいじゃないですか。でもなんか、みんなに気を遣ってて、会うたびに“西野君は声も大きいし…!”って褒めるんです。そういうことが式が始まるまでに2、3回ありました(笑)」

--声が大きいというのは小林家の中では…

西野「やっぱり、ちょっとあり得ないことなんでしょうね」

--小林さんも声が小さいですもんね。

西野「はい。お母さんも声が小さいです。だから、ちょっと大きいと“声が大きい奴”というイメージがあるんでしょうね。小林家では出されへん音量を出す人間として把握されているわけです。あとね、小林の親父としゃべってみて初めて、小林はむちゃくちゃしっかりしてると思いましたね。親父には小林に対して“お前には言われたくない”っていう思いがちょっとあるんですよ。誰が見ても小林の方がしっかりしているけど。だから、小林にも“もう、ええ加減認めろや”という思いがあるんですよね。“俺の方がしっかりしている、俺の方が優れてるということを認めろ”と。そういう親子間の軋轢みたいなものも感じましたね」

小林「まあ、親父はしっかりしていないというか、世間を遮断している感じなので、何も知らないんですよ。家と会社の往復だけで」

西野「おばちゃんは往復すらしてないですからね。ずっと家。ずっと家にいてTOKIOの番組見てる。だから肌はめっちゃくちゃきれいです」

--小林さん、新婚生活はどうですか?

小林「まだ二人では住んでないんで…。向こうの実家に住んでるんですけど、二人で生活している感じはないですね。マスオさん状態です」

西野「ちょっと髪型もマスオさんに寄せてきてますからね。マスオさんを意識していますね」

--人の生活に入ることは大丈夫なんですか?

小林「ああ、いや、結構ストレスになりますね…。向こうは女3人なんですよ。おばちゃんと、姉ちゃんと奥さんで。おっちゃんは他界しているんで。それがごっつうるさいんですよ、とりとめのない会話。聞きたくなくても耳に入ってくるから、もう布団かぶるしかないっていう状態になってます。布団かぶって、くるまるしかない」

西野「自分の部屋がないんねんな? だからしょうがないですね、それは」

--いつかは二人で住むというのは?

小林「まあ、そうですね、それも望んでないですし…」

西野「面白いですよね、これは」

小林「だから正常じゃないですよね」

西野「何も変わってないってことやろ?」

小林「まあまあ、付き合ってる頃から」

西野「もうずっと、結婚する前から奥さんの家に行ってましたからね。だから、小林がそんなふうに、どっぷりと他人の家で寝泊まりしてというのが考えられないんですよ。絶対に家に帰るし、自分の四畳半のあの部屋、土壁丸出しの…」

小林「ヨーロッパ調の」

西野「全然、ヨーロッパ調じゃない。独房みたいな」

--アトリエではなく?

小林「そう、アトリエ」

西野「アトリエじゃないですよ。その独房が好きやっていうのがずっとあったんですよ。誰も呼ばんかったし。だから、最初にその生活の話を聞いた時は不思議でしゃあなかったですね。まあ、居心地がよかったんでしょうね。怖い親父さんはおらへんし、男は自分だけでしょう。しっかりしている性格がより出たんじゃないですか。俺がおった方がいいかもしれんなっていう、そういう気持ちが出てきたんでしょうね」

小林「最初はね」

西野「ちょっとチヤホヤされたんじゃないですか? “幸ちゃんいてくれて助かるわ~”とかおばちゃんに言われ」

小林「うーん……」

西野「ちょっと高倉健の映画みたいな雰囲気あったんちゃいます? “幸ちゃん、ありがとう、いつもいてくれて。すっごい頼もしいわ”とか言われて、“いや、めっそうもないです…、いつもごちそう様です…”とかって寡黙な感じで答えたりして。そういう状況が初めての経験やったんちゃいますか。まあ、居心地がよかったのは確かですね」

小林「いや、でも、もう…今は、じ…ごく…な感じ……ですね」

西野「地獄……って早ないか? これはもう離婚ですよ。スピード離婚ですよ」

小林「へっへっへっ(笑)」

--この発言、大丈夫ですか? 公に出ますよ。

小林「大丈夫ですよ。まあ、僕も嫁さんに何もしてあげてないんで、申し訳ないなって思ってて…」

西野「そんなことないよ。嫁さんは思ってるよ。“幸ちゃん、生まれてきてくれて、ありがとう…”って(笑)。生まれてきてくれただけでありがとうって思ってる。大丈夫」

小林「まあ、そうしとこ!」

--結婚して何か変わりました?

小林「ないなあ。余計にだらしなくなっているような気がします」

西野「今、ベルトも締めてないですからね。だらしないですよ。なんでこれ、ベルト締めてへんねん。ちゃんと穴に通せよ」

小林「ちゃうねん。飯食った後はベルトを緩めんねん。昼飯食って、3時、4時になったらお腹がやせ細ってくるから。逆にしっかりせなあかんっていうのがすごいプレッシャーになって、もうここから一番遠くに逃げたいってなったら、ほんまにだらしなくなります」

西野「諦める。諦めたらすごい方向に行ってまう。そこはダメですよ。すぐパツーンって180度違うことするところがあるじゃないですか、小林は」

小林「そうなった時に、前はいっつも坊主にしてたんですよ。でもちょっと成長したのは、それをしないようになってきましたね」

--坊主にしないために、どうやってストッパーをかけてるんですか?

小林「坊主にしてた時の自分を思い出して、特に坊主にしたからって何も変わらんかったやんって思うんですよ」

西野「そんなん最初から気付けよ。『タクシードライバー』のトラビスですよ。急にモヒカンにするみたいな感じかもしれないですね。急に坊主にして」

--坊主にするのも衝動ですか?

小林「ああ、もう、どうでもええわってなって、あかん…あかん…と。あかん方向に自分が行くのを止めるために坊主にする…。もう1回、1からやり直そうって」

西野「基本、発想が野球部なんですよね。なんやかんや言うても。坊主にしたらリセットできるという、根本は野球部ですよ」

小林「へっへっへっ(笑)」

--黒に染める衝動も封印してるんですか?

西野「それが違う形でまた病気が出てきてるんですよ。染め粉じゃないんですよ、今は。1カ月くらい前にネタ合わせしてて、急に“ちょっと行ってくるわ~”ってどっか行って。で、帰ってきたんですけど、割とデカ目の紙袋提げてて。こいつ何買ったんやろと思って見たら、ミシン。ミシンを買ってるんですよ。いや、何で今、買いに行くねんと。もう、買いたいとなったら、パッと行きたいんでしょうね」

--ネタ合わせ中もミシンのことしか考えてなかった?

西野「そうでしょうね。何も言わずに出ていって、帰ってきたら7、8000円くらいの安めのミシンを買ってきて。“どうすんねん、それ”って聞いたら、“長ズボンが13本くらい余ってて、それを全部、短パンにしよう思うて…”って。800円でリフォーム出来る店とかあるんですよ。小林もその店知ってて。13本×800円で、ミシンの方が安いと計算したんでしょうね。確かにそうなんですけど、お前、きれいにできんのかと。でも、それも楽しみにしてるんですよ。ちゃんとできるかどうか。その楽しみもミシン購入に加味されてる。昨日も見たことのない短パンをはいてて、僕も、何も言わんかったんですけど、裾の縫い目がぶくぶくになってましたね。ぶっくぶく(笑)」

小林「処女作。あれは処女作。今はだいぶん成長してますよ。7、8本やったんですけど、まあまあ成功したのは2、3本くらいですね」

--処女作は成功になるんですか?

小林「成功ですね。一番、薄い生地やったんで」

西野「僕は短パンのリフォームは店に持って行くんで、自分でやってぶくぶくとか、あり得ないですよね。僕はむちゃくちゃきっちり、要望を全部言うんです。で、わかってる?って念を押します。俺が言おうとしていることをちゃんとわかってるかと、もう1回、説明するんですよ。もう、何なん、こいつっていう目をしてますけどね、おばちゃんは。でもおばちゃんには、僕の短パンに対するこだわりがわからないじゃないですか。ただ単に短パンにするというテンションでやられると困るよということを確認するんです。小林は僕が店に持って行くのも知ってるから、ミシン買ってきた時に、“持ってきたらやったるで!”って言われて、絶対ええわ(笑)。もう、テンション上がってるんですよ、これからのミシン人生に」

小林「ただ、ミシンというあの機械に対してはかなり過大評価してましたね。もうちょっと、ちゃんとやれやって思うんです」

西野「あれ、安物やからちゃう?」

小林「安物やけど、にしても7、8000円払ったんやから、それなりのものを作れるようにもっと考えろよって思いますね」

西野「ああ、なるほどな。ただ、やっぱり自分で針を落としてウイーンって縫っていくわけやん。結局、ミシンと自分との技術の相乗効果なわけやろ?」

小林「うん…、まあまあ…そうやけど、そこがものすごいやりにくいねん」

西野「折り合いがつかん? ほんまにいいミシンやったら、スーッと縫えるねん。安物はパワーがないから難しいんですよ」

小林「そう、パワーがない」

西野「安物のミシンじゃなかなか難しいと思いますよ。でも、今までは既成のものに手を加えて染めるという行動だったんですが、今は既製品を違う形にしているじゃないですか。なので、そろそろ自分で作り出すんちゃうか?って。次は自分の服を作り出すんじゃないですかね。なんかね、きんちゃく袋とかから作り出しそうな気がしますわ」

小林「雑巾。最初は雑巾」

西野「雑巾始まりで、きんちゃく作って…」

--作っていそうなイメージではありますよね? こだわりがありそうで。

西野「全然こだわりはありません。そういうふうなこだわりを持ってるという人に思われたいという願望はすごく持ってますけど、そこまでのこだわりはないです。ただ、だらしない感じの人間に対してカッコええと思ってる部分もあるんですよ。アウトローな感じ」

小林「うん」

西野「酒を飲んでて、こぼれたら“ああ…”って拭いて、シャツびしょびしょになりながらも飲み続けるってカッコええやんって」

小林「それはないわ。やっぱり酒をこぼす人見てたら……腹立つ。ただ、もうどうしようもない状況になったら、とことん汚くします。保てる余地があったら、毎日ちゃんときれいにするけど、ちょっとでも隙があって、どうしようもなくなったら、やらない」

 

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