―― 小林さん、女性を落とす作戦はありますか？　 西野「作戦はないですね」 小林「単独で動いてます」 西野「周りから攻めて行くヤツとかおるやん。仲ええ友達とか見つけて、相談してから行くヤツ。そんなんは考えられへんみたいですね。でも、女の人もそういうのが好きやから、ちょっと作戦立てようかみたいなんで、そのまんま、そいつらが付き合うっていう、もう元も子もない話とかあるじゃないですか。それは考えられないみたいですね」 小林「タイマンしか張らんわ」 西野「おっと出ましたよ。“タイマンしか張らない”(笑)」

―― かっこいいですね(笑)。

小林「ヘヘヘ(笑)」

西野「タイマンしか張らんわって言うといて、Facebookは100人中8:2で女子ですからね。どんだけのヤツとタイマン張る気なのか、わかんないですけど。でも積極的ですからね、小林は。身振り手振りでバンバンしゃべってアピールするっていう」

―― 何かご自身の中でルールがあるんですか？　小林さんの中で、こうすればモテるとか。前は「うん、うん」と頷いてひたすら話を聞くのがコツとおっしゃっていましたが、そういうことで。

小林「う～ん…話を聞くくらいしかできないですからね」

西野「それやってたらモテるっていうな。まあ、でも、僕が前に見たときはガンガンしゃべってましたからね。女性が“うんうん”でしたからね。自分がバンバンしゃべって。まあ、でも、中学生のときに見た、あのうつむいて教室を出た小林少年を思うと、かなりの成長ですよね」

―― 成長過程で、何か変わる出来事があったんですか？

小林「また環境が変わりましたから、ようやくシャバに出た感じですよね」

―― ああ、“囚人”でしたもんね。

小林「解放感ですよね」

西野「確かに、高校を卒業してから23歳まで、芸人になるまでの小林は本当に熱かったですね」

―― タンクトップの時代ですよね。

西野「はい。ワイルドに切り替わった小林ですよ。だからほんまにシャバに出て、羽伸ばして…。あの4、5年はすごいパワフルでしたね。半年に1回はどでかいことをしてましたからね。今でも忘れられへんようなこと。ほんま、芸人になる前な。芸人なってからまた、戻ってきたんでしょうね、囚われの感覚がね」

―― 芸人さんってモテるイメージがありますが。

西野「それはないですね。キャーキャー言われる人気もまったくなかったし、気色悪いばっかり言われてましたね」

小林「まあな」

―― それは異性に？

西野「異性に。同性はそんなことなかったですけどね。僕は、学生時代にモテていたので、芸人になったらちょっと人気とか出るかなって正直のところ、思ってたんですけど。この世界に入って1年ぐらいいろいろやって、“ああ、これはもう絶対、人気出えへんわ”って自覚しましたね」

―― 1年間で。

西野「1年も経たんうちに気づきましたね。どうやら違うぞと。今まではずっと小林と仲良くて、キモいとか、そういうことは小林が担っていたんです。友達の間でも、あいつ何やねんっていう立ち位置が小林の方にあったんです。でも、いざふたりで出たら、僕も小林と同じ位置で見られてたんですよね。あいつら、キモいって。で、客観的に、“あ、俺もキモい方やな”って気づいたんです」

―― そこからは、そのイメージを払拭するでもなく“キモい方”に行ったんですか。

西野「そうですね。昔は気持ち悪いネタもいっぱいあったし、今考えると、そら女の子は笑わんやろうっていうネタをやってましたね、ほんまに」

―― そういうネタは、女の子を意識して作っているわけじゃないから、そうなったんですか。

西野「う～ん。まあ、ネタを作るときに、そういうことを意識している芸人もいないんじゃないですかね。みんはストイックにやっていると思いますよ」

―― ああ、そうなんですね。では、モテ期は、西野さんは学生時代で？

西野「まあ、そうですね」

―― 小林さんは？

小林「まだ来てないですね。ぼちぼち来てほしいなとは思ってるんですけど」

西野「今、それは、Facebookで種まきをしてるんでしょうね。4年に1度くらいの周期で来るんじゃないんですか。“小林、そろそろモテる”っていう。mixiがはやった時もモテてましたからね、小林は」

―― マイミクさんですか。4年に1回っていいサイクルじゃないですか？

西野「4、5年前はアロハ着て金髪でしたからね。“それがよ～モテんねや～”言うてましたもん」

小林「坊主はモテますから」

西野「男らしくなるからね。Facebookって写真もアップできるじゃないですか。夜中にね、後輩とお茶してたんですよ。そしたら“今、小林さん、写真上げてますわ”って言うんですよ。それ見せてもらったら、むちゃくちゃ坊主で、もうボディワイルドとか、そういうパンツの広告かっていうくらいのムキムキの小林 ――過去の写真ですよ、それを上げて、種を蒔いるんですよ。僕らからしたら、小林のことを知ってるから、坊主でムキムキの写真でもむっちゃおもろいんですけど、小林を知らん子らからしたら、“この人、かっこいいな”って思うんでしょうね。後輩が“Facebookでよう写真、上げてますわ～、小林さん”言うて」

小林「Facebookなんでね」

―― Facebookに則って。最近の写真は上げてないんですか？

小林「最近の写真は上げてないですね」

西野「あと、勝手につくったキャラみたいな、カツラとかかぶってキモいヤツを演じた写真もちょいちょい入れつつ、本気の裸写真を入れて…」

小林「ギャップ」

西野「ギャップですよ。ギャップを狙っとるんですよ。本気の裸写真を載せたいがための、キモい変顔なんですよ。でも、その思惑がバレたくないから、“変顔おもろいやろ、この変顔もおもろいやろ、でも言うてもこっちも(本気の裸写真)もおもろいやろ”っていう感じで上げるんですよ。狙いはその本気の裸写真に引っかかってくるヤツを待つこと。そんな見え透いた写真の上げ方を…」

小林「そこまで思ってるの自分だけやって(笑)」

西野「自分だけちゃうよ。(トライアングル)森もそう言うてるよ」

小林「でもそこまで気づくヤツはおらんって」

西野「バレバレやろ。ギャップを見せたい。“え？これって同じ人物なんですか”っていう返りをめっちゃ待ってるし、“え、こっちはこんなにかっこいいのに、なんでそんなことするんですか!?”っていうリアクションな。“いや、俺、お笑いやってるし。これもおもろいやろ？”っていうのを待ってるんですよ。“光の加減でこんなふうに筋肉に見えるし”って鍛えてる写真をどんどんどんどん上げていく」

小林「そんな返りなんて一切ないから」

―― 写真にコメントとかできるんですか？

小林「できるけど、一切ない。海外の女性が多いからというのもあるかもしれんけど」

西野「海外の女性にモテるためにFacebook始めたようなもんなんや？」

小林「うん」

―― 日本人女性はもういい？

小林「いやいや、そうじゃないです。やってる人がいないんですよ」

西野「ただ、小林がいきなりナターシャっていう人と結婚したら面白いですもね。ロシアのきれいな人とか。急にロシア人と結婚してほしいですね。小林は昔から、先行投資みたいなこともしてて、その中にはハーフの女の子もいましたからね。小学校1年生ぐらいのハーフの女の子のことを、“俺はあの子の未来に恋をしてる”っつって高校生の時、言うてましたわ。まあ、声をかけようもんなら問題ですけどね(笑)。同級生でも、小学校のときに地味で目立たん女の子のことを“アイツは将来、絶対にキレイになる”とか言うてたり」

―― やっぱりキレイになってますか？

西野「卒業してからまったく会ってないんで、今どうなってるかわかりませんねぇ。言うても、僕らももう35歳ですからね…。でも男は35歳でもモテますから、僕らもまたモテ期が来るかもしれないですね…」

―― 小林さんもまだモテ期が来てないですしね。ご自分で気づいていないとかもなく？

小林「なくです」

―― 今後、モテ期を迎えるために、何かやっておくことはあると思いますか？

西野「まあ、普通にもっとテレビに出とったら、モテとるかもしれないですね」

小林「それはそうやな」

西野「やっぱりテレビの影響力はすごいですからね。何万人、何千万人に見られるわけですからね」

小林「生島ヒロシさんもモテてる。テレビに出るから」

西野「“あ！ 生島ヒロシさんや！”ってなるんでしょうね」

―― バレンタインデーとかどうなんですか？

西野「全然もらえませんよ。入り待ち、出待ちもなく。ライブもすっと来られて、笑ってくれて、さっと帰るみたいな。でも、こうやってオッサンふたりがやっているわけでしょ。それをただ観に来てくれるわけじゃないですか。そしたら、2年後、3年後も、今と変わらずに観に来てくれるんじゃないかなって、それは思いますね。単純に観に来てくれてるっていう感じがあるんで」

―― ただネタを楽しみにして。

西野「はい。だから、今後も、ライブの日が空いてたら、単純に観に来てくれるんじゃないかなって、そういう予感はします。ありがたいことです。外見がどうとか、そういう人はファンの方にはいないんじゃないですかね」

―― では、モテるとしたら、こういう感じのモテ方をしたいっていう理想はありますか？

西野「うーん…。群れてない人とかむっちゃいいですね。割と渋い喫茶店に入ったら、一人でコーヒー飲んではる女の人がいて、その人がめっちゃかわいくてとか……そういうのはめっちゃ憧れますね……ワハハ(笑)」

―― 漫画みたいですね。ロマンティストですね。

西野「ロマンティストですよ、僕は！(笑)」

―― でも、そういうシチュエーションはいいですね。

西野「単純に、いいですね。一人でおいしい食堂とかに食べに来てて、ふらっと帰っていくみたいな人がおったら、もう“わ、いいな”って思いますね」

―― 小林さんは、そういう願望ってありますか？

小林「ないですね、そんなジブリ的なものは」

―― あれですか、モテるにしても、不特定多数よりも決め打ちの層で構わないっていう感じですか？

西野「いや、それはもう、モテるなら不特定多数にモテたいです」

小林「うん」

―― なるほど。モテるモテないって結構、切実な問題ですよね。生活に支障があるというか。男女、異性、同性問わず、モテないというのは。

西野「僕が思うのは、女の人って、まず自分から行かないじゃないですか。でも裏ではめっちゃ自分から行きたいって思ってる。で、男もそういう人が増えてきてるじゃないですか。だから、どっちもなかなか行かないっていう状態が続いているだけのように思うんですよね。女の人から勇気を出して男の人のところに行ったら、大概男はOK出しますよ。お互い、遠慮してるんとちゃいますか。だから、女の人も、いいなと思う人がいたら、ちょっと自分から言ってみるのもいいと思うけどな。男は意外に断らないと思いますけどね」

―― お二人の恋愛観は、似ているところとかあるんですか？

西野「こいつの恋愛観なんて知らないですよ(笑)」

―― ああ、すみません(笑)。今みたいな話をそれぞれの恋愛観に則って、もう少し聞いてみたかったんです。

西野「やっぱり惚れるが負けというのがあるんじゃないですか」

―― 小林さんもそう思いますか？

小林「うーん、そうですねぇ、でもやっぱり、飽きますからねぇ」

西野「小林はそうですね」

小林「絶対飽きるでしょ！」

西野「そのスピードが早い場合もあるからな」

―― 最速でどのくらいなんですか？

小林「3ヶ月とか、そんなんですね」

西野「それはちゃんと好きになって？　相手もお前も好きになって、付き合って3ヶ月で飽きんの？」

小林「うーん…」

―― 小林さんも好きになるんですよね。で、実際に付き合ったら…。

小林「いや、僕は誰でも飽きると思います、どんな人でも、絶対」

―― それは自分が一番だからですか？

小林「やっぱ自分が一番……好きやからですね」

―― 自分が好きやから、それ以上にはのめり込めない？

小林「飽きますね。飽きない部分もないこともないけど、飽きる部分が絶対に出てくるんで。でもそこからですよね。飽きてからどんだけのものがあるかってことですね」

西野「相手に？」

小林「相手に」

―― 飽きるのは通過儀礼みたいなものですか？

小林「そうです。飽きるっていうのは過程の中に絶対あるものなんですよ。誰でも」

―― では、小林さんにとって、魅力のある女性というのは、その飽きる時期を越えてからが長い人ですか。

小林「そうですね」

西野「小林は割と注文が多いんですよね。だから飽きるのも早いんですよ。こうしろああしろって、自分の思い通りにさせたら、それ以上なくなる。そしたらもう、飽きたってなるんですよ。だから、女の人からしたらびっくりするんですよ。“ああしろ、こうしろって言ってたのに、最近言うて来へんなぁ”って思っているところに“いや、もうええわ”と。女の子からしたらええ？ってなりますよね」

―― それは結構ダメージが大きいですね。

西野「好きな子に期待して、希望を出すじゃないですか。女の子もそれに応えようとする。それが一番ダメなんですよね。やらへんぐらいがいいんですよ。なんでアイツ、言うこと聞かへんねんって、それだけで引っ張れますからね。言われたとおりにやってたら、離れていくんですよ」

―― 小林さんに対しては、女の人は謎の部分を残している方がいいんでしょうね。

西野「だと思いますよ。言ったとおりにやると、嬉しい部分もあるけど、シケるっていうのもまた出てくると思うんです。そこまでやったらシケるわって。“そのまんまやりよったな、こいつ。何やねん、冷めるわ”っていうのが。それが続いたらもう、飽きてくるんでしょうね」

小林「まあ、飽き性ですからねぇ」

西野「でもそんな小林がトレーニングだけはよ～続けてるんですよ。飽きずに。20歳くらいから定期的にずっとやっててな？　あと、バイトもよく続きますね。結局、お金。ちゃんと続けていると自給も上がる。その確かなものが好きなんでしょうね。筋肉も、これだけやったら筋肉がつくっていうのを知ってるから、その安心感がいいんでしょうね。やったら結果が出るっていう仕組がめちゃくちゃ好きやと思うんですよ」

小林「まあ、アメリカ的なんよ」

西野「合理的なんですよね、小林は。僕は全然、ないんでね、そういう考え方が」

―― 体を鍛えるのも、自分の体が要求に応じていることがいいんでしょうね。

小林「うん」

―― ところで話がまた、ずれてきてますね…。

西野だからモテないんですよ」

とは言うものの、モテないというのはただのご謙遜かもしれません。ということで、おふたりの真の姿をぜひ、劇場で確かめてみてください！

 

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