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「答えはこらえ切れない感情にこそある」
ドラマ『バニラな毎日』に寄り添った、静と動の感動と情熱
人生を鼓舞する『片想い / 涙の正体』を掲げ結成20周年イヤーへ!
SUPER BEAVER渋谷龍太(vo)×柳沢亮太(g)インタビュー

 良質な作品を提供し続けるNHK夜ドラ枠にて、1~3月期に放送された蓮佛美沙子主演ドラマ『バニラな毎日』の主題歌として躍動した『涙の正体』。そして、木戸大聖演じるロックバンドのボーカル・秋山静(あきやましずか)が物語のクライマックスで歌唱し、大きな感動を呼んだ劇中歌『片想い』。3月12日にリリースされたSUPER BEAVERのニューシングル『片想い / 涙の正体』は、大阪の小さな洋菓子店を舞台に繰り広げられる挫折と再生のストーリーのために書き下ろされた、静と動の2曲の新曲をコンパイル。時に不要不急の烙印を押されても、思い通りにいかなくても、あなたを突き動かす“好き”は、衣食住だけではままならない人生を色づける。好きだから楽しくて、苦しくて、悔しくて、うれしい。渋谷龍太(vo)と柳沢亮太(g)が、バンドの心中と胸を打つ新譜を語るインタビュー。結成20周年イヤーを目前にSUPER BEAVERが掲げた音楽が、今日もまた心の奥底に問い掛けてくる――。



いろんな経験の積み重ねが表ににじんでくるのが人間だと思う


――去年は初めて2週間ほど長期の休みも取れて、渋谷くんは"今までにできなかったことに挑戦する"ということで、海外旅行にも行って。何か変わった?

渋谷「図太くなりました、向こうで本気で困ったんで(笑)。これだけたくさんの方に支えていただくようになると普段は困ることが全然ないんですけど、誰も自分を知らない、誰も助けてくれない状況に陥ると、肝が据わるというか度胸がつくし、行って良かったなと。すごく楽しかったし、いろんな経験の積み重ねが表ににじんでくるのが人間だと思うので、直接何が影響しているのか分からなくても、一つの成功体験みたいなものを持てたのは大きかったな」

――まずはフランス、あとはイギリス、タイ、ベルギー、シンガポール、グアム...。

渋谷「年始はマレーシアにも行きました(笑)」

――めちゃアクティブになってる(笑)。柳沢くんは休みが必要なさそうなタイプに見えるけど、何をしていたの?

柳沢「おっしゃる通りで普通に国内にいました(笑)。休みがあっても別にしたいことがないんですよ。ただ、何と言うか...明日のことを何も気にせずに眠れるって幸せですよね?(笑) そうやって食べたいときに食べ、寝たいときに寝るのも悪くないですけど、やり過ぎると戻ってこれないので、できるだけ流れを切りたくないのはあります。休みの使い方をもうちょっと上手になりたいなぁ...」

――リーダー(=上杉研太・b)はリゾート地に行ってワインを飲んだり、魚釣りをしたり、人生を謳歌してるもんね。

柳沢「好奇心が服を着て歩いてるみたいな人ですからね(笑)」

――ちなみに年明けのアコースティックツアーをはじめ、俺も個人的に長い付き合いのセカイイチの吉澤響(ds)ちゃんが、SUPER BEAVERのドラムテックをするようになったのはどういったつながりで?

柳沢「僕とリーダーのステージ脇にはいつも楽器のスタッフさんがいてくれて、これまではその方たちがドラムも兼任してたんです。けど、少しずつライブの規模も大きくなってきたところで、"ドラマーとしてもっともっと突き詰めたい"という藤原"36才"広明(ds)の意思もあって、専門のテクニカルスタッフを呼びたいと。その中で、MASUO(=有松益男(ds)・BACK DROP BOMB)さんといういろんなアーティストのドラムテックをやっている方のチームの一員として響さんが来てくれて。専門職の方が楽曲やバンドに合わせた音作りに力を貸してくれるので、音像のクオリティがまた一段階上がったというか、相当変わったと思います」

渋谷「このままでもそれなりに進んではいけるんだろうけど、自分たちのバンドのあり方だったり、メンバーそれぞれが、例えば俺ならボーカリストとして、"こういうことができるようになったら、さらにみんなが楽しくなるんじゃないか?"みたいなことを考えたら、もっと先に進めると思ったここ一年でもありましたね」

――お客さんに傍観者ではなく当事者になってもらう。その辺のライブの距離感は、去年から今年にかけてさらに近くなった感覚は確かにあるよね。

渋谷「今、言ってくださったようなことを、より強く感じてもらおうと思っていたので。人が能動的に動くにあたって、その感覚が"リアル"であるかどうかは必須なので、"マジで、マジであなたが大事なんだよ、あなたがライブを作っているんだよ"って、体感してもらいたくて」

――そのために渋谷くんはリーダーシップ論まで研究していたと聞いて、いろんなチャンネルからの刺激を日々音楽に引き込んでいるんだなと思った。

渋谷「その結果、メンバーはもちろん見に来てくださる方と全員で戦うというか...俺は監督よりキャプテンになりたかったんだなと思いました。そういう位置付けのフロントマンはあんまりいないかもしれないし、今後はそれをより明確にできたら面白いなって」

――ここまで這い上がってきたSUPER BEAVERだけど、この先にいるのは本当にラスボスクラスのアーティストばかりだから、そういう人たちと渡り合って超えていくための、自分たちの戦い方という。

渋谷「幸いそういうラスボス級の人たちと、俺の特技であったりSUPER BEAVERのあり方はまた別で見せられるような伸びしろがあるし、あくまでも謙虚に、地に足付けて精進していけば、"もしかしたらまくれるんじゃね?"みたいなことも、ちょっと思いながら(笑)」

――レースの前半は後方にいても、最後の直線で他の馬を一気に抜き去ると(笑)。SUPER BEAVERと同世代のバンドって、音楽を続けてこれたけど身の丈を自覚する時期でもあるが故に、上の世代のしぶとい人たち...いや、天才肌のアーティストを前に(笑)、行く末を迷う姿もよく見るけど、SUPER BEAVERからはそういうムードを感じないね。

渋谷「30代も後半になってきてからはもう"配置"だなと思って。自分とは何か、キャラクターがどうだとか、今でも探求はしてますけど、領土を拡大していくために分布図のどこに腰を据えるのか。去年はそこを結構意識しました」

――SUPER BEAVERがようやくそこまで来れたということだね。ドン底から必死に叫んでいた地点から(笑)。

渋谷「ホントそれ(笑)。マジで贅沢な思考でありがたいです。今は考えるのがとても楽しい時間をもらってますね」


その感情に気付けたときは、できるだけ逃したくない


――そういう変化と刺激もありつつ'24年を過ごして、3月12日にはニューシングル『片想い / 涙の正体』がリリースされました。ドラマ『バニラな毎日』で木戸大聖さん演じる静が歌う曲がとても重要だから、曲自体にパワーがないといけない。そのときに名前が挙がったのがSUPER BEAVERで。制作統括の方いわく「今を生きる人への応援歌を届けている印象で、大きな挫折を経験しているのも静が置かれている境遇に重なる」とも。

柳沢「このお話をいただいたのは去年の夏前とかで、まずは僕がドラマを通じてどういうことを伝えたいのか制作チームに伺ったら、熱意と愛を持って話してくださって。ただ、曲調については細かくは言われなかったですね」

――ドラマ主題歌となった『涙の正体』(M-2)というタイトルが印象的で、なかなか本音を言えない人の感情がこぼれる瞬間が"涙"で、その人となりを如実に表しているものじゃないかと。



柳沢「登場人物がそれぞれ何かしらの葛藤を抱えていて、それを癒やす、克服するためのサードプレイスがお菓子作りの場所だった、というのが大前提のお話なんですけど、そこに行き着くまでの理由が非常に丁寧に描かれていて。自分でせき止めていたもの、しまい込んで鍵をかけていたところに触れたとき、意図せぬタイミングで感情が溢れてしまう。そういうシーンでとりわけ象徴的なのが涙だった。それに関しては身に覚えがあって、どうしても向き合わなきゃいけないことに真正面から対峙したとき、例えばそれがケンカであろうと口論であろうと、そこで泣いたら反則なんだけど、言いたいことより先に涙が出てきちゃうというか...。あの現象をよくよく考えると、何で泣きそうになったのか、はたまた泣いてしまったのかというところにこそ、自分が大切にしている価値観が表れているんじゃないかと思って。自分がどうあるべきかを見失ったり、今後どうありたいのか迷っている人の一番身近な答えは、こらえ切れない感情にこそあるんじゃないかって、ドラマを通じて改めて思ったので、そこにスポットを当てたいなと」

――いつも思うけど、柳沢くんはそういう細かな感情の機微を、本当によく覚えてるよね。

柳沢「何かね、昔から背景を考えちゃうんですよ。"何でこういうことになってしまったんだろう?"みたいなことを抱えてる人同士の会話とかを思うと、こみ上げるものがあるというか...。だから、その感情に気付けたときは、できるだけ逃したくない。そこをつかまえられるようにとは確かに思ってますね」

――"Don't Think, Feel"じゃないけど、悲しくて流れる涙でも、うれしくて流れる涙でも、そこにうそはない。鳥肌が立つのに近い、信頼が置ける感覚。

柳沢「そう思います。絶対に泣かないぞと思ってたのに、よく分からないタイミングでグッときちゃったり、野球少年が試合に負けたときは我慢できたけど、母ちゃんに会った瞬間にこらえられなくなっちゃったとか。そこにあるのはその人のこれまでの年月、アイデンティティや価値観が積み重なったものだと思うから、大事にしたいですよね」

――Netflixで話題になったタイプロ=『timelesz project』というオーディションもそうだけど、最終結果の発表で自分が選ばれても泣かなかった寺西拓人さんが、苦楽を共にした原嘉孝さんが最後に名前を呼ばれたとき、涙を流した。あの光景は、彼が歩んできた道のりや人柄がすごく表れていたと思う。2人は最近泣いたのはいつか覚えてる?

柳沢「ちょうど昨日の夜、泣きましたよ(笑)。たまたまテレビをつけたら、22年前に高校サッカーの岡山県大会で作陽(※現・作陽学園)と水島工業が戦ったとき、明らかにゴールに入っていたのに誤審でノーゴールにされちゃったドキュメンタリーをやっていて。でも、最終的に負けた作陽で幻のシュートを決めた選手は、そこから頑張ってプロになって、長い現役生活を終えた後、当時の作陽と水島工業のメンバーが集まって、時を超えてもう一度試合をするんです。お互いに別ベクトルで残っていたわだかまりもようやく解けて...どれだけの時間と思いの蓄積があって最後に握手をしたんだろうと思うと、もう耐えられないぐらい泣きましたね」

渋谷「いや~俺もしょっちゅう泣いている気がする。やっぱり年を重ねると涙腺が緩くなるのは本当ですね」

――何だろうね、人生経験が増えて、人の痛みを想像できることが多いからかな?

渋谷「昔は何も感じなかったことも、今になってみると経験を伴っちゃうから、自分を投影できるってことですよね。人の気持ちを想像すると、"分かる、そうだよね!"みたいなことがどんどん増えてきて...思い出した! 最近だと、ドラマ『不適切にもほどがある!』を見て泣いたわ(笑)。これは面白いけど親子愛の話でもあるから、どこかのシーンに引っかかって泣いたんだよなぁ...親になった経験はないけど、もう子どもの目線だけでは物事を見られなくなってるから。自分でも"ここで泣く!?"みたいに思うところで泣いちゃうことが増えましたね」

――大人になるといちいち泣いてもいられないから我慢するわけで、そうやって日々奮闘している人が、それでもこらえ切れなくて泣いてしまったとき、その心の動きは無視したくないなと思いますね。

柳沢「本当にその人の大きな部分を占めている感情な気はしますね」

――この曲の、"真面目な矛盾を 抱えながら生きているんだろう"というフレーズも興味深くて、それこそ矛盾って真面目に生きているからこそ気付くと思うから。何も気にせずに生きていたら、そうはならない。そこに積み重ねてきたものが、貫くものがあるから、矛盾に悩んだりするわけで。

柳沢「本当にそうで、何も考えていなければ"別にどうにでもなってくれ"という感じでしょうけど、例えば何かに憤るということは、自分なりの正解、こうあったらいいなという願望があって、そこと真面目に向き合うからこそ、矛盾してしまう自分自身に憤るんだろうし」

――サウンド的には"これぞSUPER BEAVER"というロックな楽曲ですけど、そういうメッセージが『バニラな毎日』というドラマとうまく溶け合っていますね。


好きだから抱える痛みはあるけど
それを癒やせるのもまた自分自身の経験でしかない


――もう一曲はドラマの劇中歌の『片想い』(M-1)で、夢や好きなことへの情熱をなぞらえたようなタイトルですけど、冒頭で感じる歌の近さは、マイキングとかも意識したんですか?



渋谷「これが全く意識していないという(笑)。歌を届ける角度には設計図があった方がいいと思ってるし、歌の速度を調整するために"ここでビブラートをかけよう、ちょっと一節入れてみよう"と考えたりもしますけど、距離感みたいなものは歌に呼ばれてやっていることで、にじみ出てくるものに任せることが多いんですよね」

――そういった渋谷くんの歌のジャッジが的確で誠実だからこそ響くんだろうね。

渋谷「言うならば、投げ掛ける言葉は本質的で、投げ掛けるタイミングは計画的、みたいな」

――『バニラな毎日』にとってのスイーツ、SUPER BEAVERにとっての音楽のように、『片想い』を聴いてくれる人たちにもそれぞれいろんな"好き"がある。まず衣食住があっての生活なんだけど、日常にそういう"あとひとつ"があるだけで、人生の彩りは変わる。この曲の"好きなんだよなあ"というラインは、いつも以上に素直に感じました。

柳沢「イメージとしては『片想い』の方が近くて、『涙の正体』は引きでピントを合わせた感覚なんですけど、図らずも素直に書けたというか、ナチュラルな言葉が並んだのはあるなと。『小さな革命』('24)でも、"ただ吸って 吐いているだけで 十分ならば 君は苦しまない"と歌ってますけど、人は人らしく生きるために、その尊厳を守るために、あらゆるところで戦ってるんじゃないかと年々強く思うから」

――演出チーフの方は、「"自分の好きなことにまい進することで受ける痛み、そこから救われる瞬間はどういうときか"を、突き詰めて作っていただきました」とも言っていました。

柳沢「これこそずっとSUPER BEAVERが向き合い続けてきたところでもありますよね。奥さん(=筆者)と出会った『未来の始めかた』('12)の頃なんて、痛みの絶賛リカバリー中だったはずなので(笑)。『シアワセ』('09/'18再録)でも"矛盾"という言葉を使ってますけど、自分の追いかけているものが自分を追い詰めることは往々にしてあると思うし、だからと言って、それを手放したら楽になれるのかと言われると、これまでとは違った種類の苦しみがやってくる。そことどう折り合いをつけていくのかは、僕らに限らずいろんな人がいろんなタイミングで向き合っていると思うんです。SUPER BEAVERにとっては、そうやって思い悩みながら作った曲に送られた拍手であったり、こういうインタビューでいただいた感想だったり、そういった経験の一つ一つが痛みから救ってくれて、それをいつからか自信と呼ぶようになったんだと思う。自信は自分たちの口にする言葉のチョイスも変えていくと思うし」

――確かにそれは今回のシングルにおいてもそうで。

柳沢「痛みと向き合うことだけが素晴らしいわけじゃなくて、逆に言うと、痛みを背負ってまでやるべきじゃなかったのか、ここまで真面目に向き合った自分のことを少しは褒めてあげたいとか、そういったところにまで踏み込んでいるのが『バニラな毎日』だと思うので。好きだから抱える痛みはあるけど、それを癒やせるのもまた自分自身の経験でしかないのかなと思いますね」

――2人は音楽を好きでい続けるのって難しいなと感じたことはある?

渋谷「俺はやっぱり一度目のメジャーの頃ですかね。好きでやってきたことの裏側を知ったときに、興ざめしちゃった感覚は正直ありましたから。だからこそ今は、自分が好きな音楽に、"やっぱりこうだよね!"と思えたときによりアガるというか...良くも悪くも好きなものに対しての解像度は上がったけど、気持ちの総量は実はそんなに変わってなくて。俺は音楽をやるのも好きだし、聴くのも好きだから、"好き"の形は一つじゃない感じがします。俺はプレーヤーであると同時にリスナーだとずっと思っているので」

――渋谷くんは以前からそう言ってるもんね。

渋谷「ただの音楽ファンが音楽をやってるだけ。でも、どっちもマジで突き詰めてやろうと思っているので」

柳沢「僕は音楽が好きだけどそこまで詳しくはないし...ただ、音楽にするのが人より得意なんだと思う。人と感動を共有する、一つのものを作り上げるのが好きで、その最たるものが音楽で、体感的にウキウキしちゃうというか」

渋谷「そこは俺も柳沢に近いと思います。自分が表に出てみんながニコニコしてるのは最高だけど、自分の得意なこととやりたいことが一致したのが音楽だっただけで、"この人から音楽を取ったら何も残らない"みたいな人間ではないんですよ。"俺、音楽しかできないから"ってよく美談のように言うけど、選んでるようで選ばされているだけで、"いろんな選択肢があった中で音楽を選んだ俺の方が強くね?"ってどこかで思ってる節があるんですよね。そこにはこの道を選んだという自分の意思が介入してるから。俺たちは音楽が好きで、音楽を選んで、とても楽しくやらせてもらってるけど、音楽をやることが目的なのかと言ったらそうじゃない。音楽の先に人が見えていて、その人と何がしたいのかが俺たちにとっては重要だから。他のバンドと圧倒的な差を作れるのもそこだと思ってるんですよ」

――今までもタイアップは何度もやってきたけど、一つ一つ自分たちの信念を確かめて、いい曲を作れてますよね。

柳沢「一生懸命曲を作って、こういうインタビューでもう一度自覚し、ライブで話して、家に帰ってまたそれを自分に問いかけ...みたいなことをずっと繰り返してきたから、自分たちが歌いたいことを素直に歌っても、そこに人が存在する物語である限り、そこまで遠くなることはないのかなって、今回のタイアップにおいても思いましたね」


自分が生きていく上で楽しいと思えることの一つに
SUPER BEAVERを加えてほしい


――初回特典のBlu-ray/DVDには、『都会のラクダ 野外TOUR 2024 〜ビルシロコ・モリヤマ〜』のファイナル、長崎・稲佐山公園野外ステージ公演の映像が収録されていますが、当日はどんな一日でした?

渋谷「いや~この日は大変でしたよ。雨も降ったし、シャトルバスが渋滞に巻き込まれちゃって、交通事情の面で想定が大きく外れ、大幅にスタートが押しましたから。メンバーとスタッフで延々話し合って、先に着いた方たちに"ギリギリまでバスの到着を待ちたい"と俺たちの意思を伝えて...当初やろうと思っていたことも全部変わったし。だから、より"ライブ"でしたね。この逆境をどうプラスのエネルギーに変えられるのか。待たせちゃった方たちにも、エンタメとして楽しんでもらうにはどうしたらいいんだろうと」

――まさに、いわく付きのライブですね。でも、それによってグッと盛り上がりそう。

渋谷「おかげさまで、と言えるぐらい、すごくいい日になりました」

――そして、4月1日には結成20周年イヤーに突入し、すぐさま埼玉・さいたまスーパーアリーナで1日目はUVERworld、2日目はTHE YELLOW MONKEYという強烈な対バン、その後の東名阪ライブハウスツアー、過去最大キャパの千葉・ZOZOマリンスタジアム2DAYSも売り切れるし、もう何が起きても驚かないなと思って(笑)。



渋谷「ZOZOマリンスタジアムを決めた当初の俺らは、"これって大丈夫か、2日間なんて入る!?"ってワナワナしてましたけどね(笑)。'23年に山梨・富士急ハイランド・コニファーフォレストでやったときは2日間で4万人、今回のZOZOマリンスタジアムは6万人なので、2万人も増えてるんですよ。5月にはファンクラブイベントも東京・国立代々木競技場 第一体育館でやりますから。たまアリ、代々木、そしてZOZOマリン...シビれますよね」

――この取材後もいろいろと作業があると言ってたから、今後も何かしら控えているわけで。



柳沢「5月には映画『金子差入店』とともに主題歌の『まなざし』という新曲も公開されるでしょうし、きっと他にもいろいろあるでしょうし(笑)。なので、とにかくみんなと一緒に楽しめたらいいなと思って」

――周年ってバンド自体より、周りが祝う理由がほしいノリもあるから。

柳沢「祝いたいと思ってくれる人がいるなら、ちゃんと思い出になるように丁寧にやらないとね」

渋谷「本当におかげさまで迎えられる20周年なので、自分が生きていく上で楽しいと思えることの一つに、SUPER BEAVERを加えてほしいんですよね。そうなれたら俺らは楽しいかな。いまだに"いいよいいよ、俺の誕生日なんて..."ってなりがちですけどね(笑)。"このタイミングで一緒にいられたのって最高じゃん!"ということを、これから一年かけてやっていきたいと思ってます!」

Text by 奥"ボウイ"昌史
Photo by 青木カズロー




ライター奥"ボウイ"昌史さんからのオススメ!

「"「その人が歌うからいい」という曲も素晴らしいけど、誰が歌ってもいい歌に聴こえるとき、さらにその曲のすごさを感じる"。これは『バニラな毎日』の劇中で『片想い』が初披露された直後に僕がXにポストした一文で。SUPER BEAVERには圧倒的ボーカリストであり絶対的フロントマンである渋谷龍太がいて、何を歌うのかはもちろん、"誰が歌うのか"の重要性を何度も感じさせられてきました。でも、『片想い』を聴いたとき、それすらも超えていくような楽曲のとんでもない力とエモーションに、何だかうれしくなってしまいました。ここにきてまた、すげー曲書いてきたなホントに。取材は前回のアルバム『音楽』('24)以来約1年ぶり、渋谷&柳沢という久々の2人体制でしたが、こういうインタビューにより彼らの音楽に言葉が添えられると、楽曲への理解が格段に深まるし、優しい気持ちになるわ~と改めて。ここまで読んでくれたあなたもきっとそう感じてくれたのでは? この『バニラな毎日』を縁に、あとはもう本当にNHKさんよろしくお願いします年末に、って感じです(笑)。4月1日には、ついに結成20周年を迎える彼ら。これからの一年は、さらなるお楽しみを目いっぱい届けてくれるはず! 共に祝おうぞ」

(2025年3月26日更新)


Check

Release

NHK夜ドラ『バニラな毎日』の
劇中歌と主題歌がまとめてシングルに

 
Single
『片想い / 涙の正体』
【初回生産限定盤A(Blu-ray付)】
発売中 5500円
Sony Music Records
SRCL-13173~4
【初回生産限定盤B(DVD付)】
発売中 5000円
SRCL-13175~6
【通常盤】
発売中 1100円
SRCL-13177

<収録曲>
01. 片想い
02. 涙の正体

<Blu-ray/DVD収録内容>
2024.09.21 稲佐山公園 野外ステージ
『都会のラクダ 野外TOUR 2024
〜ビルシロコ・モリヤマ〜』
01. 閃光
02. 青い春
03. 決心
04. めくばせ
05. ひたむき
06. 予感
07. そして繋がる
08. 儚くない
09. 愛しい人
10. 美しい日
11. 突破口
12. 切望
13. ハイライト
14. 東京
15. アイラヴユー
16. 小さな革命

Profile

スーパー・ビーバー…写真左より、上杉研太(b)、藤原“36才”広明(ds)、渋谷龍太(vo)、柳沢亮太(g)。’05年、高校の先輩・後輩である渋谷&上杉・柳沢に、柳沢の幼なじみである藤原を加え東京にて結成。’09年にメジャーデビューを果たすも、’11年には活動の場をインディーズへと移し、’12年に自主レーベルのI×L×P×RECORDSを設立。’13年よりeggmanのロックレーベル[NOiD]とタッグを組み、’18年4月には初の日本武道館公演を開催。結成15周年を迎えた’20年にメジャー再契約以降、人気コミックス原作の実写映画『東京リベンジャーズ』主題歌の『名前を呼ぶよ』(’21)ほか、数々のタイアップ曲を担当。’23年には山梨・富士急ハイランド・コニファーフォレストにて、初の野外ワンマン2DAYSを成功させる。’25年3月12日には、最新シングル『片想い / 涙の正体』をリリース。4月1日には結成20周年を迎え、アニバーサリーイヤーに突入。6月20日(金)・21日(土)には、過去最大キャパにして自身初のスタジアムワンマン2DAYS『SUPER BEAVR 20th Anniversary「都会のラクダSP at ZOZOマリンスタジアム」』を開催予定。現在もライブハウス、ホール、アリーナ、フェスなど年間約100本のライブを行い、今最も注目を集めるロックバンド。

SUPER BEAVER オフィシャルサイト
https://super-beaver.com/

Live

'25年上半期もライブはめじろ押し
まだまだいろいろ隠れてます!

 
『自主企画「現場至上主義 2025」』

【埼玉公演】
Thank you, Sold Out!!
▼4月5日(土)さいたまスーパーアリーナ
[共演]UVERworld
Thank you, Sold Out!!
▼4月6日(日)さいたまスーパーアリーナ
[共演]THE YELLOW MONKEY


『都会のラクダ 野外TOUR 2024
~ビルシロコ・モリヤマ~』

【香川追加公演】
Thank you, Sold Out!!
▼4月12日(土)・13日(日)
さぬき市野外音楽広場 テアトロン


『Zepp Shinjuku(TOKYO) 2nd Anniversary
「SUPER BEAVER 都会のラクダSP
~新宿育ちの、ラクダ~」』

【東京公演】
Thank you, Sold Out!!
▼4月17日(木)Zepp Shinjuku(TOKYO)


『SUPER BEAVER 20th Anniversary
「都会のラクダ TOUR 2025
~ラクダトゥウェンティー~」』

【大阪公演】
Thank you, Sold Out!!
▼4月22日(火)・23日(水)
Zepp Osaka Bayside
【愛知公演】
Thank you, Sold Out!!
▼5月8日(木)・9日(金)
COMTEC PORTBASE
【東京公演】
Thank you, Sold Out!!
▼6月3日(火)・4日(水)
Zepp Haneda(TOKYO)


『SUPER BEAVR 20th Anniversary
「都会のラクダSP
 at ZOZOマリンスタジアム」』

【千葉公演】
Thank you, Sold Out!!
▼6月20日(金)・21日(土)
ZOZOマリンスタジアム
 

Column1

「ちゃんと伝えられる、
ずっと伝えられるバンドでいたい」
SUPER BEAVERの変わらぬ哲学が
形となった人生の当事者たる
君へ捧ぐ『音楽』!
2年ぶり、躍進のアルバムを語る
メンバー全員インタビュー('24)

Column2

「思いを声にすることで初めて
意志が生まれる気がするんですよ」
誰一人儚くはない人生に届け、
真っ向勝負の名バラード!
映画『東京リベンジャーズ2
血のハロウィン編 -決戦-』主題歌
『儚くない』をSUPER BEAVER
全員が語るインタビュー('23)

Column3

「割り切れない人間らしい感覚を
 今、自分たちが鳴らせたら」
点という出会いを線という絆に
変えたSUPER BEAVERの最前線
映画『東京リベンジャーズ2
血のハロウィン編 -運命-』主題歌
『グラデーション』を解剖する
全員インタビュー!('23)

Column4

「常に全力でいたいし、そういう
人が集まってビーバーは動いてる」
SUPER BEAVERが貫いてきた
一生懸命というプライド
アニメ『僕のヒーローアカデミア』
テーマ曲『ひたむき』から
自主企画『現場至上主義2023』
'22年の総括etcを語る('22)

Column5

「やっぱり音楽は楽しいし、
 音楽は悔しいし、全部なんで」
初のドキュメンタリーに刻まれた
素晴らしき哉、バンド人生!
『The Documentary of
 SUPER BEAVER 『東京』
 Release Tour 2022
~東京ラクダストーリー~』
全員インタビュー('22)

Column6

「“初めて”を見られなかった人にも
  見た人にも、ちゃんと届けたい」
SUPER BEAVERの
ライブのこだわり、映像のもてなし
『LIVE VIDEO 5
 Tokai No Rakuda Special
 at さいたまスーパーアリーナ』
副音声的徹底ガイドな
全員インタビュー('22)

Column7

「もらった気持ちをもらった
 以上にして返したいんですよ」
17年の全てを伏線に変えてきた
SUPER BEAVERの
ロマンと人間冥利を語る
『東京』全員インタビュー!('22)

Column8

「“飛び級をしてないバンド”
っていうのは今でも変わってない」
言葉に違和感のない活動を
共感だけではなく説得力を――
映画『東京リベンジャーズ』
主題歌『名前を呼ぶよ』
SUPER BEAVERが17年目の勝負
を語る全員インタビュー!('21)

Column9

「もっともっとSUPER BEAVERの
 音楽を身近に感じてほしい」
今SUPER BEAVERが届けたい
ラヴソングを超えたラヴソング!
松坂桃李主演ドラマ『あのときキス
しておけば』主題歌を含む会心の
『愛しい人』を全員で語る('21)

その他インタビューはコチラ!

『アイラヴユー』('21)
特設ページはコチラ!
『突破口/自慢になりたい』('20)
特設ページはコチラ!
『ハイライト/
 ひとりで生きていたならば』('20)

特設ページはコチラ!
『予感』('18)
特設ページはコチラ!
『歓声前夜』('18)
特設ページはコチラ!
『真ん中のこと』('17)
特設ページはコチラ!
『美しい日/全部』('17)
特設ページはコチラ!
『27』('16)
特設ページはコチラ!
『ことば』『うるさい』『青い春』('16)
特設ページはコチラ!
『愛する』('15)
特設ページはコチラ!
『361°』('14)
特設ページはコチラ!
『世界が目を覚ますのなら』('13)
特設ページはコチラから!
『未来の始めかた』('12)
特設ページはコチラから!