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「その瞬間瞬間、必死に、がむしゃらにやってきた中で、
 1つずつ現実に変えてきた」
たぐり寄せた運命の日本武道館、これぞSUPER BEAVERの極みたる
『歓声前夜』を語る全員インタビュー&動画コメント

 小学校の卒業文集に書かれた“夢は日本武道館”。あの日の情熱はいつしか冷めて、みんな大人になっていくのか? 結成14年目の春、そんな夢物語を現実に変えたSUPER BEAVERが、満を持してリリースした2年ぶりのフルアルバム『歓声前夜』は、これぞSUPER BEAVERの決定盤とも言える、魂を突き動かすメッセージとそれを届けるポップセンスが全曲で炸裂。アルバムを再生する否や、“不甲斐ない夜こそ本当は出口だ”という必殺のフレーズでいきなり胸をわし掴み、生き様を音楽に、そして時に音楽を生き様にするかのようなこの14年に筋を通した、1つの到達点となっている。“今の自分の気付きや行動、考え方次第で誰しもの明日は歓喜の瞬間に変わる”。SUPER BEAVERに出会った、そしてこれから出会うであろうあなたの、素晴らしき“前夜”に捧ぐメンバー全員インタビュー。



自然と日本武道館というものが目に入ってきたときは
結構自分らでもビックリしましたね。“やれるのか、ついに”っていう
 
 
――日本武道館で、もう本当にいい景色を観させてもらいましたけど、現実になるんですね、ああいうことが(笑)。
 
(一同笑)
 
渋谷(vo)「ホントそうっすよね。何かやっぱり…新進気鋭のバンドがやるのとは、少し違うじゃないですか。スタートダッシュがもう使えない状態のバンドがあそこまで行けたのは、感慨深いものがむちゃくちゃありましたね」
 
――本当に漫画みたいな話と言うのもヘンだけど(笑)、ドン底から這い上がってきたビーバーが成し遂げちゃったから、どんな状況からでも武道館まで行ける可能性はあるという、ある意味、残酷なモデルケースができてしまった。メジャー契約を切られましたとか、もう30なんでとか、いろんな言い訳が全部潰されていく(笑)。もう他のバンドも言い訳ができない、すごい前例を作ったなって。ただ、それは同時に、ものすごい希望でもあって。
 
渋谷「そう言われると、何だかすごい嬉しいっすね。確かに今までいろんなバンドがたどってきた軌跡とは、やっぱり少し違う歩み方を自分たちがしてるんだなって、今ちょっと実感しました。具体的なビジョンを設定してそれに向かって突き進むとか、夢はそうやって叶えるんだとか、いろいろ言うじゃないですか? でも、僕らはいろんなことに慎重だし現実主義なリアリストというか(笑)。だからこそ、自然と日本武道館というものが目に入ってきたときは、結構自分らでもビックリしましたね。“やれるのか、ついに”っていう」
 
――あまりにもかけ離れた夢だとイメージはできない。逆に、イメージできるようになったからこそプランに上がってくる。大阪で言えば、200キャパの2nd LINEでワンマンをしたバンドが、じゃあ次は武道館とはならないもんね。
 
渋谷「もちろん、そういう時期はどのバンドにも絶対にあるんですけど、そこで無鉄砲に“日本武道館”って言えるほど自分たちは夢は見てなかったというか(笑)、そんなにキラキラしてなかった気はするんですよね」
 
上杉(b)「ちょっとずつキャパを上げていって、もう次は武道館しかなくなった。今もそうですけど、目の前の目標を1つずつクリアしてきたバンドだから…現実と離れた夢の世界というよりはむしろ、今後もバンドを続けていくんだから“ここでやっておかないと、その次に行けないぞ”っていう感覚はあったかもしれない。だからこそ、それが似合うような自分、バンドにならなきゃいけないなって」
 
藤原(ds)「着実に一歩一歩やってきたからあんまり気負わなかったし、緊張はちょっとしましたけど、いつも通りのライブだったと思う。あと、すごく楽しめてやれたんですよね。武道館にやられちゃわなくてよかったなって、ライブが終わった後に思いましたね」
 
――柳沢(g)くんは小学校の卒業文集にも“夢は日本武道館”と書いてるぐらいだったと。
 
柳沢「今のみんなの話を聞いてて思ったんですけど、当時のそれって“サッカー選手になりたい”とか“宇宙飛行士になりたい”とかと同じだと思うんです(笑)。いわゆる“夢”というものは、それぐらい漠然としてる。目に見えないから、どこかで不安になる。さっきの2nd LINEの話じゃないですけど、SUPER BEAVERの目標が最初から武道館だったわけじゃなくて、その瞬間瞬間、必死に、がむしゃらにやってきた中で、漠然としていたものを1つずつ現実に変えてきたときに、あの日本武道館も“これはもしかして現実に変えられるんじゃないか?”って思えたから、やることになったんで。地続きにやってきたバンドだからこそ、決して夢物語な場所ではなかった。1年前ぐらいから僕ら自身も僕らのことを好きな人たちも、“もしかしたら、もしかするんじゃないか!?”みたいな予感はあったのかなって」
 
――話を聞いてると、あの日は観てるこっちの方が舞い上がってたかもしれないなぁ(笑)。
 
渋谷「“絶対に武道館に行けるよ”とか、“武道館に立ってる姿が見える”とか、周りから言ってもらうことが多くて、すごく嬉しいことだったんですけど、僕らはずっと本気の謙遜をしてきましたからね(笑)。来てくださった皆さんの“これが観たかったんだよ”っていう気持ちは、やっぱりすごく強かったのかなっていうのは感じましたね」
 
柳沢「何だか母校が高校野球の決勝戦まで進んだ感じというか、“あれ? 俺の学校が!?”みたいなね(笑)。みんなが親しみを持って喜んでくれてた日でしたよね、うん」
 



どこを切っても“SUPER BEAVERってこういうバンドだよね”
っていう12曲が、ちゃんとピースとしてハマッた
 
 
――武道館では『歓声前夜』のリリースと全国ツアーも発表されたけど、よく考えたらライブは途切れずやってるし、いつの間に作ってたんだと(笑)。=武道館で得た感覚が反映された作品ではなく、それ以前にもう次のモードに入っていたということで。
 
渋谷「とは言え、もちろん制作の時点で武道館は決まっていたので、逆にそういうところでやるからにはライブハウスに戻ったときのことも全部見据えて作ったところはありますね。結果、あそこに立ってからより具体性を帯びた作品になったし、自分たちの中でも落ち着きどころのある1枚になった感じがします」
 
――ちなみに、前アルバムが『27』('16)なので結構前で、当時のツアーの大阪ワンマンはまだBIGCATだからね。
 
渋谷「何かすげぇ昔!!(笑)」
 
柳沢(当時の写真を見て)だってぶーやん(=渋谷)の髪が短いもん」
 
上杉「ヤナギは手が痛そうだし、藤原は変わらないし(笑)」
 
渋谷「そっかぁ…もう2年前なのね。僕ら自身も思うし、周りから見てもそうだと思うけど、やっぱり“着実に”感はすごく強いし、本当に目の前にある階段を、エスカレーターもエレベーターも使わずに一歩ずつ歩いてきたのが、顕著に表れてるバンドだなって自分でも思うので。その点では、そういう一歩一歩に大事に時間をかけてきた分、いろんなものを見てきて、いろんな人に出会ってきたバンドが、いろんな想いを持って武道館に立てたのは、何だか爽快でしたね。前ステップにリアリティがあるから(笑)」
 
――『真ん中のこと』('17)はミニアルバムというサイズで音楽的なチャレンジを試みた作品だったけど、今回は?
 
柳沢「今回はシングルが入ってたり再録もあったり、曲が生まれたタイミングも割と長期スパンだったんで、少しずつ形が出来上がってく感覚だったんですけど、『真ん中のこと』を出してツアーを回ってる頃から、SUPER BEAVERが元々持ち合わせていた武器みたいなものに改めて気付かされたりもして。ビーバーのいいところを余すことなく、全ての道のりを拾い上げていきたいなとは、漠然と思っていたような気がしますね」
 
――このアルバムを聴いたときに、“SUPER BEAVER節”みたいなものがあるならば、これが1つの完成形な感じがして。それはビーバー自身の話だけじゃなくて、世間的にも、“こういう音楽がSUPER BEAVERです”というプロトタイプがついにできた気がしました。ある意味、THE BLUE HEARTSとかにも近い匂いを感じたというか…。
 
渋谷「うわ! マジ!?」
 
柳沢「アハハ!(笑)」
 
――世代に影響を与える1つの雛型になり得る、これから出てくるバンドに“誰に影響を受けて音楽を始めましたか?”って聞いたときに、“SUPER BEAVERです”といよいよ言われるようになる始まりがこれなのかなって。
 
渋谷「すげぇ!(笑)」
 
柳沢「そんなのグッときちゃうっすね(笑)」
 
(一同笑)
 
上杉「これ以上ないぐらい嬉しい言葉ですよ(笑)」
 
柳沢「本当に今おっしゃってくれたように、みんなが“ビーバーが好き”って思ってくれるポイントみたいなものが、今回は全部入ってる気がする。シリアスな曲もあったり、シンプルにみんなで歌える曲があったり、いわゆるバラードがあったり、これぞまさにライブだよねっていう曲があったり。そういう意味では、どこを切っても“SUPER BEAVERってこういうバンドだよね”っていう12曲が、ちゃんとピースとしてハマッたんですよね」
 
 
シンガロングパートで歌えない人が結構いるという現実に
『青い春』で気付いたんです
 
 
――その曲たちの共通項として、思考も言葉もどんどんシンプルになっていってる感じが。
 
柳沢「“楽しいか、楽しくないか”ぐらい思考はどんどんシンプルになってるし、何より今が一番いい状態だなと思うのは、発した言葉に対するビーバー自体の活動が、SUPER BEAVERというバンドそのものがどんどん説得力を増していってる。そこの整合性がより強固になっていってるところはありますね」
 
渋谷「あと、うちの曲は1サビ、2サビ、3サビの歌詞が全部違うみたいに、致命的にリフレインがなかったんで、サビの頭にくるフレーズが共通してるとキャッチーで残るから、そういうところも意識して取り入れて。歌いながらフロアを観たときに、シンガロングパートで歌えない人が結構いるという現実に『青い春』('16)で気付いたんですけど、それでも、“会いたい人がいる”ってそのワンフレーズは強くて。そこだけは全員歌えてる光景を観たときに、端的に気持ちを表してる言葉はすごく強いんだなと思って。これから自分たちの音楽がもっと広げていくという点でも、“会いたい人がいるって言ってる曲何だっけ?”みたいな歌の方が絶対に残るし、それに伴うサウンドアプローチも、『真ん中のこと』のときに思っていたことがドンピシャだったのはライブをやってても感じたんで、ここでダメ押しの一手じゃないですけど、この空気は絶対に継続していかないともったいないなと」
 
――フロントマンの渋谷くんが一番客観的というか、ちょっと引いてモノを見てるのは面白いね。
 
渋谷「やっぱり一番人の顔を多く見られるポジションにいると思うので。立ち位置もそうだし、人と目が合う回数も多いから、その分気持ちも入ってくる。逆に、そういうことを加味して俯瞰でモノを考えないと、飲まれちゃう瞬間もすごく多いんですよね。自分たちに今何が必要かは、常日頃考えてます。それはもう個人でもバンドでも」
 
――そう考えたら、本当にみんなの表情がヒントになってるんだね。
 
渋谷「もうフロアなくしては作れなかった1枚だと思います。もう本っ当にステージからみんなの顔は見えてるから。“何をすればもっと面白くなるかな?”っていうことは、みんなの顔を見りゃもうしっかり分かるんで」
 
上杉「今みたいな話の元に曲が出来上がってくるから、本当に世代を超えて、例えば小学生でもグッときて、親にも届くと思えるレベルのメッセージになってるんで。1つ1つのビジョンが明確な上でのアプローチだったから迷うことも特になくて、イメージの共有さえできていればあとはもう一気に。他にも、プリプロの段階でライブにいつも来てくれるテックさんを呼んで、デモを立体的にしていく作業から立ち会ってもらって。サウンド面で客観視してくれる人と一緒に作れたので、納得のいくネクストステージの音になったなと思ってます」
 
――だからか、『まちがえた』(M-6)にはある種の“ポンキッキ感”を感じました(笑)。
 
(一同笑)
 
上杉「まさにそういうことですよね(笑)」
 
――あと、日大アメフト部の騒動とかもすげぇ思い出したけど。だからこそ、普遍的なメッセージなんだろうね、“間違えたら素直に過ちを認めよう”っていうことは。
 
柳沢「分かりやすいサウンドにするからこそ、そこにどういう気持ちを乗っけるか。SUPER BEAVERの歌である以上そこが無意味になったらイヤなんで、そのせめぎ合いはありましたね」
 
藤原「『27』で個人的にやりたいことはやれたし、『真ん中のこと』ではロックンロールやファンクみたいなアプローチをあえてやってみたりしたから、今回は自ずとシンプルになれたのはあるのかなと。音楽に漂う“匂い”みたいなものってあるじゃないですか? 今回はドラムも自由に音を変えたりできたんで、そういうところでマーキングじゃないですけど(笑)、1曲1曲に自分のルーツが滲み出るようにはできたかなと思ってますね」
 
――そして、1行で人生を変えてくれる感じは健在だなと。だってもうアルバムの最初から、“不甲斐ない夜こそ本当は出口だ”って、すげぇ始まり方するなって(笑)。
 
柳沢「アハハハハ!(笑)」
 
渋谷「確かに確かに(笑)」
 
――もうしょっぱなから必殺のフレーズで。何かさ、“ちょっとずつ服を脱がすみたいな気はないの? いきなり心を裸にするの?”みたいなね(笑)。
 
 
“いつかこの曲を”って、僕はずっと思ってたかもしれない
 
 
――ただ、今でしか書けない曲ばかりの中で、9年前の曲である『シアワセ』(M-7)が今作には再録されていて。この曲は武道館でもストリングスと一緒に披露されてましたけど。
 
渋谷「“いつかこの曲を”って、僕はずっと思ってたかもしれない。でも、やっぱり昔の曲を今に引き上げてくるには、明確なきっかけとかタイミングが必要で。coldrainがこの曲が好きで、“あの曲、ライブでやらないの?”ってずっと言われてて。彼らのツアーに呼んでもらってZepp Nagoyaでツーマンしたときに、せっかくだから久しぶりにとライブでやってみたら、思った以上に自分たちがグッときて、この曲を今やる意味をすごく感じて。再録ってしたことがなかったし、いろんな時代背景とか今の僕らの立ち位置とかを考えると、このタイミングってめちゃくちゃ素敵なんじゃないかと思って」
 
――改めて聴いてもまるで今の歌のように響く。こんなことが当時からもう書けてたんやね。
 
渋谷「きっとこの曲を作った柳沢にしても歌ってる僕にしても、当時は抽象的な歌だった気がするんですよね。イマジネーションは大事だけど、今歌う『シアワセ』に僕たちが持たせられるリアリティは、すごく大きいと思った」
 
柳沢「この9年の道のりがそうさせたんですよね。『シアワセ』は当時では唯一だったかもしれないぐらい熱を帯びた大事な曲で、この曲にずっと支えられてたというか、この曲をくさびにして何とか耐えてたみたいな(笑)。その曲に年月がより説得力を持たせたというか、同じ言葉を歌ったときの破壊力がまるで変わった」
 
――面白い。普通、生き様が音楽になるのに、音楽が生き様になるという。いつの間にかそういう人生になってた。
 
渋谷「何かね、本当はその人の背景があるからよく聴こえる歌って、あんまり好きじゃなかったんですよ。不幸な人生を歩んできたから響いて、幸福な人生を歩んできたから響かないって、そうじゃねぇだろと思ってたんですけど…やっぱり14年も時間をかけると、否が応にも響いちゃうものがあるって分かったんで。“年月を武器にしちゃった”ってちょっと思いましたけど(笑)、僕たちにとってのかけがえのない財産を、そのまま音にできてるような気がしたんですよね。『まわる、まわる』('10)とか、後に響くような曲はまだあると思うから…再録も悪くねぇなって」
 
――また改めて『シアワセ』をみんなに聴いてもらえる機会を持てたのは嬉しいね。
 
柳沢「いや、本当に。どんなにいい曲ができても、どれだけの人が聴いてくれるかによって届き方は当たり前だけど違ってくる。聴いてさえもらえればの“聴いてさえ”が一番難しいとずっと思ってたし、だからこそ、すごく自然な流れで改めて、当時よりも多くの人に『シアワセ』を聴いてもらえるのは、それを今の音楽としてちゃんと届けられるのは、すごく嬉しいことだなって思いますね」
 
――この歌詞の一部の“君”を“あなた”に変えたのは?
 
渋谷「これはもう今ビーバーが、僕がMCで使う二人称が“あなた”というのが一番デカくて、その方が伝わりやすいのもあって。ただ、柳沢が昔のデモを改めて聴いてみたら、実は最初から“あなた”だったというミラクルが…(笑)」
 
――えっ!? 逆に当時は“あなた”を“君”に変えたってこと?
 
柳沢「当時はメロディ的にも“君”が馴染んでたから変えたんですけど、“そもそも元ってどんな感じだっけ?”と思ってデモを聴いてみたら、“あなた”で歌ってて。“えぇ〜っ!? こんなことある? これは導かれてるぞ”って(笑)」
 
――もうタイムマシンみたいなことが起きまくってる。過去の自分に教えられるというか。
 
柳沢「そうなんですよね。そういう1つ1つが嬉しいというか、ふとしたときに“大丈夫、筋通してるよ!”みたいなことを時を経て感じると、やっぱりグッときちゃうんですよね」
 
――『美しい日』(M-8)だって、武道館の1曲目にやったことで、これからは聴いたらその光景を思い出す。後付けでもこうやって景色が変わることがあるんだなって。
 
 
SUPER BEAVERというバンドを
自分たちもどんどん信じられるようになってきた
 
 
――そして、結成14年にして初のワンマンツアーって、意外にもまだやってなかったのね。
 
渋谷「やっぱり基本的には対バンが好きなんですよね。そこに意味を見出してたし、何より楽しかったんでずっとやってきたんですけど、今回はいろんな土地で長く観たい、ワンマンで観たいっていう声をたくさん聞いたので。ワンマンでしか出せない空気感は確かにあるし、何よりそれを味わってもらいたいなって。僕らもそれを共有できるのが楽しみだし、今回は前向きにワンマンツアーを組みましたね」
 
――よく“打ち上げが寂しいからワンマンはイヤだ”って言うバンドもいるけど(笑)。
 
渋谷「それはマジで…でも、僕らのワンマンの打ち上げって、結構たくさん人が来てくれるから(笑)」
 
――ビーバーのワンマンに行ったらあの人にも会えるな、みたいなところはあるからね(笑)。
 
渋谷「そういう点でも、各地でワンマンが打てるのはハッピーだなぁと思いますね。どの地域のラジオ局の人からも、インタビュアーさんからも、ライブハウスの店長さんとかからも、“いつかここでワンマンが観たい”って言われてた覚えがあるから、“オッシャ〜!”っていう感じもあるし(笑)」
 
柳沢「武道館をやった後に、改めてちゃんとライブハウスでワンマンをするのは、やっぱりビーバーっぽいなって」
 
――夢の武道館ワンマンで発表する内容が、すごく堅実だったもんね(笑)。
 
(一同笑)
 
渋谷「今回はツアーファイナルがshibuya eggmanっていうのがやっぱり肝で。みんなが次に期待してるところで、やっぱり“from ライブハウス”っていうのは今むちゃくちゃ使える武器だと思ってて。ただ、武道館があまりにも特別で、僕たちの活動の中でのスピンオフだと思われちゃっても面白くないから、あの場で“もっともっとデッカいところでもやるから待っててね”って重ねて言うだけで、みんなが絶対に期待してくれるとは思ったから」
 
上杉「もう’20年のスケジュールまで話し始めてますからね(笑)。それを実現するためにも、みんな30代にもなってきたし、健康にもいろいろ気を付けなきゃなって(笑)」
 
――柳沢くんと渋谷くんは先にぶっ倒れて禊は終わってるから、気を付けなきゃいけないのはリズム隊ですよ(笑)。
 
柳沢「俺たちはもう厄は落としてるから(笑)」
 
上杉「ヒロ(=藤原)だけにしてくれ(笑)」
 
藤原「アハハハハ!(笑) イヤだなぁ〜」
 
渋谷「時間をかけて立った武道館の重みもすごく感じたんで、焦っても仕方ねぇなって思えるようにはなってきましたね。かけてきた年月の分、面白くできるんだったらアリかもしれないって。それは全然保守的なわけじゃなくて、攻めの姿勢のまま焦らないっていう」
 
柳沢「SUPER BEAVERというバンドを、自分たちもどんどん信じられるようになってきたんですよね。数年前は周りを見て焦ってたところもやっぱりあった気がするけど、“来年までにやらないとゲームオーバー”みたいな感覚じゃなくなってきてるのは強いですね」
 
渋谷「ちゃんと自分たちから動いていくバンドであることを基盤に置きつつ、求められるバンドでいなきゃいけないっていうのは、すごく思ってるんで」
 
――タイトルの『歓声前夜』はあまり聞かない言葉ですけど、どこからきたのかなと。
 
柳沢「最後に話すと本当にしっくりきますけど、こういう全部の気持ちがあって生まれた言葉だと思ってて。武道館みたいな嬉しい光景を共有できたこと、想いが叶う瞬間はやっぱりあるという事実をちゃんと提示できた歓びを実感したからこそ、“これだよね”って思ってもらえるアルバムになってたらいいなと。楽曲とビーバーの活動、“SUPER BEAVERが好きだ!”って言ってくれる人たちが混ざった瞬間のあのパワーみたいなものは、誰しもの日常生活にもあるんだよっていう気付きに向かっていったらいいなと考えてたら、自然と“歓声”っていう言葉が出てきましたね」
 
――当日はもちろん面白いけど、何でも前夜がワクワクするもんね。楽しみが目の前に迫ってるときのあの感覚。
 
渋谷「だからこそ、その気持ちを継続させなきゃいけないなって。待ち望んでた日が当日になっても、また次に待っている。どんどんロールさせて、自分たちで転がしていくという意味では、とってもいいタイトルだなって」
 
――何かイベントがないと、“前夜”にはならない。そう考えたら、ビーバーがどんな今後を作り出していくのか。
 
渋谷「はい! 頑張る」
 
(一同爆笑)
 
――ここにきての“頑張る”、素直でいいね~(笑)。こんな作品が聴けたので、改めてビーバーのこれからが楽しみになりましたよ。本日はありがとうございました!
 
全員「ありがとうございました~!」
 
 
Text by 奥“ボウイ”昌史
 




ライター奥“ボウイ”昌史さんからのオススメ!

「“いつかビーバーが武道館で『東京流星群』を歌う日が来たら…泣いちゃうな俺は”って前回のオススメコメントで書きましたけど、違いましたね。『東京流星群』では何とか我慢できたのに、『ありがとう』前のMCでもうダメだった(笑)。いい日だったな。打ち上げに全国のいろんな人がいたことも、彼らの14年間の何よりの答えでしたね。振り返せば『361°』のインタビュー中に、“『心斎橋の如く2014』のステージを観たとき、“あれ、この人たちもしかしたら武道館に立てるかもな”って初めて思った(笑)”なんて言ったら、渋谷くんは“それを聞いちゃうと、もうどうしたらいいか分かんない(笑)”って返していたのに、現実になりましたよ。すげーわ。それを経ての『歓声前夜』はまぁ、“告えなかった 本当の気持ちは/言わなかった 後悔になるだけ”(『閃光』)、“好きな人を好きと言えたとき/嫌なものを嫌と言えたとき/僕は僕でいられると思う”(『ひとこと』)、“孤独とは 共に生きていると 思い出すことだといいな”(『なかま』)etc、胸に突き刺さるメッセージの嵐。悔し涙より嬉しい涙を流せるようになってきた4人の、紛れもない代表作になりました。それにしても9年前の再録の『シアワセ』がいい曲過ぎて…逆に、これだけの曲を書いていたのに、当時はまだ彼らに出会えてなくて(出会いはその3年後の『未来の始めかた』(‘12))、フックアップできなかったのが悔しいし、申し訳ない気持ちになりましたよ…まだの人はビーバーに早く出会って!」

(2018年7月20日更新)


Check

Movie Comment

仲良しか!(笑) じゃれ合う
SUPER BEAVERからの動画コメント

Release

魂を突き動かす言葉と際立つ歌心
2年ぶりとなる最強フルアルバム!

Album
『歓声前夜』
発売中 2750円(税別)
[NOiD]/murffin discs
NOID-0027

<収録曲>
01. ふがいない夜こそ
02. 虹
03. 閃光
04. ラヴソング
05. シンプリー
06. まちがえた
07. シアワセ
08. 美しい日
09. 嬉しい涙
10. ひとこと
11. なかま
12. 全部

初の日本武道館公演を完全収録!
伝説の日が蘇る感動のDVD&Blu-ray

DVD
『LIVE VIDEO 3 Tokai No Rakuda Special at 日本武道館』
7月25日(水)発売
3980円(税別)
[NOiD]/murffin discs
NOID-0028
※渋谷龍太著『14年目のポップミュージック』同梱。

<収録曲>
01. 美しい日
02. 証明
03. うるさい
04. 正攻法
05. ファンファーレ
06. らしさ
07. 赤を塗って
08. →
09. 361°
10. 歓びの明日に
11. 27
12. 人として
13. シアワセ
14. 青い春
15. 東京流星群
16. 秘密
17. ありがとう
18. 愛する
~アンコール~
en1. ラヴソング
en2. それでも世界が目を覚ますのなら
en3. 素晴らしい世界

Blu-ray
4980円(税別)
[NOiD]/murffin discs
NOID-0029

<収録曲>
同上

Profile

スーパー・ビーバー…写真左より、上杉研太(b)、藤原“30才”広明(ds)、渋谷龍太(vo)、柳沢亮太(g)。’05年、高校の先輩・後輩である渋谷&上杉・柳沢に、柳沢の幼馴染みである藤原を加え東京にて結成。学生時代には『TEEN’S MUSIC FESTIVAL』にて全国大会グランプリを受賞。’09年、シングル『深呼吸』でメジャーデビュー。’11年、所属レーベル・事務所を離れ、’12年に自主レーベルのI×L×P×RECORDSを立ち上げ、4月にライブ会場限定シングル『歓びの明日に』、7月にフルアルバム『未来の始めかた』、翌’13年4月には『世界が目を覚ますのなら』をリリース。’14年2月、eggmanのロックレーベル[NOiD]よりフルアルバム『361°』を発表。9月にシングル『らしさ/わたくしごと』をリリース。アニメ『ばらかもん』のオープニングテーマに『らしさ』が起用され、YouTubeの再生回数は1005万回を超える(‘18年7月現在)。’15年4月1日をもって結成10周年を迎え、同日にフルアルバム『愛する』をリリース。’16年1~3月には、3ヵ月連続でワンコインシングル『ことば』『うるさい』『青い春』をリリース。4月にはアニバーサリーイヤーを締め括る初のZepp DiverCity(TOKYO)公演を開催、見事にソールドアウトさせた。同年6月にリリースしたフルアルバム『27』はオリコン週間アルバムランキング初登場10位に、10月にリリースしたライブDVD『未来の続けかた』は同音楽DVDランキングで初登場1位を獲得。'17年1月にはシングル『美しい日/全部』をリリースし、春には日比谷野外音楽堂、大阪城音楽堂でのワンマンライブを開催、ソールドアウトを記録。4月より渋谷が毎週木曜の『オールナイトニッポン0(ZERO)』のパーソナリティに大抜擢、話題を集める。9月にはミニアルバム『真ん中のこと』をリリース、オリコン初登場6位と自身最高位を記録。Zepp TOKYO 2DAYSを含む全国ツアーは各地ソールドアウトに。12月には『LIVE DVD 2 Tokai No Rakuda Special at 大阪城音楽堂』をリリース。今年4月には初の日本武道館公演を開催、即日ソールドアウトを記録し大成功を収める。6月27日にはフルアルバム『歓声前夜』を、7月25日(水)にはDVD & Blu-ray『LIVE VIDEO 3 Tokai No Rakuda Special at 日本武道館』をリリース。

SUPER BEAVER オフィシャルサイト
http://super-beaver.com/

Live

初の全国ワンマンツアーがついに開幕
フェスやイベントでも続々関西に

 
『SUPER BEAVER「歓声前夜」
 Release Tour 2018
~初めての、ラクダ運転~』

【京都公演】
Thank you, Sold Out!!
▼7月14日(土)KBSホール

【岡山公演】
Thank you, Sold Out!!
▼7月20日(金)CRAZYMAMA KINGDOM
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【大阪公演】
『ROCK KIDS 802 -OCHIKEN Goes ON!!-
 SPECIAL LIVE 「HIGH! HIGH! HIGH!」』
チケット発売中 Pコード118-592
▼8月3日(金)14:00
なんばHatch
1Fスタンディング4212円
2F指定席6048円(お弁当付)
[出演]Official髭男dism/9mm Parabellum Bullet/THE BAWDIES/Saucy Dog/SUPER BEAVER/パスピエ/
ヤバイTシャツ屋さん
[司会]落合健太郎
GREENS■06(6882)1224
※未就学児童は入場不可。出演者の変更・キャンセルに伴う払戻しは不可。客席を含む会場内の映像、写真が公開される場合がありますので予めご了承の上、ご購入ください。

チケット情報はこちら


【大阪公演】
『RUSH BALL 2018 20th ANNIVERSARY』
チケット発売中 Pコード116-708
▼8月26日(日)
泉大津フェニックス
1DAY(大人)6500円(中学生以上)
1DAY(小学生)3500円
[出演]BRAHMAN/Crossfaith/Dragon Ash/MONOEYES/POTSHOT/SiM/SUPER BEAVER/The BONEZ/THE ORAL CIGARETTES/TOTALFAT/Ivy to Fraudulent Game(オープニングアクト)/
a crowd of rebellion(ATMC)/Creepy Nuts(ATMC)/FINLANDS(ATMC)/FRONTIER BACKYARD(ATMC)/SUNNY CAR WASH(ATMC)/TENDOUJI(ATMC)/Wienners(ATMC)/The 3 minutes(ATMC)/ココロオークション(ATMC)/忘れらんねえよ(ATMC)
GREENS■06(6882)1224
※雨天決行・荒天中止。未就学児童は保護者同伴に限り無料。小学生以上は有料。小学生はチケットを購入の上、保護者同伴に限り入場可。出演者の変更・キャンセルに伴う払い戻し、チケット・リストバンドの再発行は行いません。【オフィシャルHP】http://www.rushball.com/

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【石川公演】
Thank you, Sold Out!!
▼9月7日(金)金沢EIGHT HALL
【福岡公演】
Thank you, Sold Out!!
▼9月14日(金)DRUM LOGOS
【広島公演】
Thank you, Sold Out!!
▼9月15日(土)BLUE LIVE 広島
【香川公演】
Thank you, Sold Out!!
▼9月17日(月・祝)高松festhalle
【北海道公演】
Thank you, Sold Out!!
▼9月21日(金)ペニーレーン24
【新潟公演】
Thank you, Sold Out!!
▼9月23日(日・祝)NIIGATA LOTS
【宮城公演】
Thank you, Sold Out!!
▼9月24日(月・休)チームスマイル・仙台PIT
【愛知公演】
▼9月29日(土)Zepp Nagoya

Pick Up!!

【大阪公演】

一般発売7月21日(土)
Pコード116-652
▼9月30日(日)18:00
Zepp Osaka Bayside
1Fスタンディング4000円
2F指定席4000円
GREENS■06(6882)1224
※3歳以上は有料。未就学児童は保護者同伴に限り入場可能。客席を含む会場内の映像、写真が公開される場合がありますので予めご了承の上、ご購入ください。

チケット情報はこちら

 
【東京公演】
▼10月13日(土)・14日(日)
チームスマイル・豊洲PIT
▼10月16日(火)shibuya eggman
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

【大阪公演】
『TOWER RECORDS presents
 Bowline 2018 curated by
 SUPER BEAVER & TOWER RECORDS』
一般発売8月25日(土)
Pコード未定
▼11月22日(月)18:00
なんばHatch
1F立見4400円 2F指定4400円
[出演]SUPER BEAVER/他
キョードーインフォメーション■0570(200)888
※3歳以上はチケット必要。未就学児童は保護者同伴に限り入場可。

チケット情報はこちら

 

Column1

「自分が実感したことじゃないと
 何の説得力も持たないんですよ」
当たり前のことを肯定する今
SUPER BEAVERが鳴らすべき音楽
2017年を総括する
『真ん中のこと』インタビュー

Column2

「大阪でファイナルをやってみたい
 なってずっと思ってた」
SUPER BEAVERが再び迎える
『美しい日』。『全部』を背負って
転がり続ける決意を語る!

Column3

「出会った人たちと永く、深く、
 より大きな歓びを一緒に共有する
 それを歌にするのが
 SUPER BEAVERなんだなって」
変化する今を肯定するきっかけを
続いていく未来のための生き方を
『27』インタビュー&動画コメント

Column4

「戦うタイミングが遂に来た」
SUPER BEAVERの10年を
懸けた挑戦。3ヵ月連続シングル
『ことば』『うるさい』『青い春』
初のZeppワンマン前夜に贈る
全員インタビュー!

その他インタビューはコチラ!

『愛する』
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『361°』
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『世界が目を覚ますのなら』
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『未来の始めかた』
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