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「目指すべきところの入口に立った感がすごいありました」
ライブハウスからお茶の間に届けこの『予感』!
『僕らは奇跡でできている』主題歌から飛躍の2018年を全員で語る
SUPER BEAVERインタビュー&動画コメント

 そのイントロが鳴り響いた瞬間に、物語は動き出す。何かが始まる“予感”がする。今年の4月には結成14年目にしてついに初の日本武道館公演を開催、6月にリリースしたアルバム『歓声前夜』は過去最高のセールスを記録し、各地の夏フェスにも過去最多出演を果たすなど、一歩一歩自らの最高を更新してきたSUPER BEAVERが、高橋一生主演のドラマ『僕らは奇跡でできている』(カンテレ・フジテレビ系)の主題歌に大抜擢。ドラマを印象的に彩りながら、SUPER BEAVERの人生哲学がしっかりと刻まれたのが、その最新シングル『予感』だ。’19年にはライブハウスとホールを同時進行で回る過去最大規模の全国ツアーも控えるなど、その歩みを止めない4人に、新たな代表曲となった『予感』の裏話から、忘れられない1年となった今年の総括までを語ってもらった全員インタビュー。形はなくとも確かにあるものを歌にしてきた、SUPER BEAVERの’18年を締めくくる決意表明をここに――。

 
 
予定調和が1つもないあの感じ(笑)
 
 
――何かもうすごい1年でしたね、今年は。
 
渋谷(vo)「そうっすね。いろいろありましたね、今年は。うん」
 
――初の武道館公演もあったし、ドラマ『僕らは奇跡でできている』のタイアップもあったし、最近ではビーバーがキュレーターを務めたタワーレコードの人気ライブ企画『Bowline 2018』もすごかった。大阪編はbacho、NakamuraEmi、BRAHMANを招いてたけど、あれだけ自分たちの前にいいライブをされたら困るよね(笑)。
 
渋谷「いや~キツいっすね、企画してる側としては本当に(笑)」
 
――最近はワンマンかイベントに呼ばれて出ることが多いビーバーにとっても、ああいうふうに自分たちが責任を持つ現場は刺激的でよかったよね。
 
渋谷「本当に久々に企画というものをやって、1日の色はその日限りでも割と出せるんですけど、自分たちのルーツであったり、“今こういう人たちとやりたいと思ってる”っていうところは、なかなか普段のライブでは全部が全部出せないことも多かったんで。でも、最初は企画を打とうともあんまり思ってなかったんですよね」
 
――そこが不思議だなとも思って。全バンドがやるべきことかと言うと違うけど、ビーバーなら主催フェスとかサーキットをやれる規模感とつながりはもう持っているはずだから。
 
渋谷「自分たちのツアーとか、呼んでいただいたライブだけでも結構いっぱいいっぱいになってたところで、『Bowline』は“何をやってもいい”って言われたんで(笑)。例えば、本数も何本でもいいし」
 
――そこすらも自分たちで決められるのか、なるほどね。
 
渋谷「ただ、ツアーを回るのも何となく今は違う気がしたし、単発で終わらせるのも違う。じゃあ大阪と東京で2日間、でも、2ステージ制とかではなくて、1ステージで1本のライブっていう感じでやりたいなと。そのときに、最近やってなかった自分たち企画の『都会のラクダ』のことを思い出したんですけど、“この人とこの人を組み合わせたら面白いんじゃないか?”って采配を振るう久しぶりの感覚と、年月が経って今自分たちができること、やりたい相手が結構変わってきたんだなって実感もしましたし。今までなら結構同世代を入れてたんですけど、今回は先輩も後輩も呼べたのがすごくよかったですね。大阪は先輩3組だし、東京は先輩2組(eastern youth、spike shoes)と後輩2組(Azami、錯乱前戦)。もう露骨に同世代じゃない感じは(笑)、結構新鮮でしたね」
 
――ホント、bachoパイセンをなんばHatchに立たせた功績はすごいよ。
 
渋谷「やっぱり、立ち位置的には大阪だとbacho、東京だとspike shoesっていうのは、すごく自分たちの色を出せたなって。俺がずっと聴いてた音楽だから、そのルーツみたいなものをみんなに聴いてほしいんだよねって思うのは、すごく健全な気持ちだし。高校のときに、ジャケ買いしたレコードを友達の家に持って行ってお互いに聴き合ったりしてたのをすごく覚えてるし、それがすごく楽しかったから、実際に自分が好きな音楽を現場で観てもらえるのは、めちゃくちゃ嬉しかったですね」
 
柳沢(g)「本当に久しぶりにいつもと違う疲れを感じ(笑)。(タワーレコードとの)共同企画とは言えど、招かせていただいている側っていうのもツーマンを除けばすごく久しぶりでしたし。そういう意味でも、楽しいけど張り詰めてる感じはよかったですね。どうライブが変化していくのかイメージするけど予想通りにいかない感じもすごくワクワクしましたし。ぶーやん(=渋谷)が言ったみたいに、僕らであり渋谷龍太のルーツを観てもらって、そのアーティストにハマるか否かは観てくれた人が選べばいいんですけど、そういう場を僕らが提示できたのはすごく面白かった。同年代を呼んで気を使わずにやる楽さもあるでしょうけど、SUPER BEAVERの今を独自に打ち出せた、刺激的な2日間を作れたのかなと。知らず知らずに受けてる刺激というか、予定調和が1つもないあの感じは(笑)、よかったっすね」
 
――ビーバーが最後に出てきたとき、気合入ってるなと思ったもん。そら入るわと(笑)。
 
渋谷「そう、自ずと(笑)。今回観に来てくださった方には、絶対に楽しんでもらえたと思ってるんですよ。初めて観るものに対してのワクワク感とか、“何これ!?”っていう驚きとか。だからこそ、続けなきゃダメだなって思いました。こういうことを重ねてく以外、やっぱり方法はないなと思ったんで」
 
上杉(b)「自分たちで呼んだんだけど、こんなにライブがカッコいい人たちってやっぱりいるんだなって改めて思ったし、ちょっとでも油断したらヤられるというか(笑)。渋谷とかも話してたけど、あれだけのことをやられちゃうと、“これはもう持ってるものを全部出し切るしかない”って割り切るぐらいの気持ちになって。カッコつけてたらもう無理だって(笑)。大阪だったらBRAHMAN、東京だったらeastern youthまで終わった時点で浴び過ぎて、“もうやれることやるだけです!”みたいな感じになったから。集中もしてたんで、自分たちもやるべきことをしっかりできたし、タフになったんじゃないですかね」
 
藤原(ds)「大阪は最初のbachoが一発音を出したときに、もう今日はいい日になるなって思いましたね。“間違ってない”って言うと何か偉そうですけど、そういうアーティストを選べたんだなと思えたし、それに皆さん応えてくれて。やっぱり主催がいるのは目的地というか最終地点が出る側も見えやすいだろうし、僕らも僕らであれだけのものを観せてもらったらもう迷いはないというか、“4人で最後にただただいいライブをやりたい”って見てる方向が1つになってたから。何かそういうことでいいんだよなって改めて。“バンドっていいな”ってすごい思いましたね」
 
――かと思えば、『僕らはドラマと音楽と奇跡でできている体感ライブ』では、高橋一生さんほか今をときめく俳優と共演と(笑)。ドラマの主題歌を担当することはあっても、ここまで立体的な試みまでやることはそうはないよね。

渋谷「しかも『Bowline』の東京から1日空けてあのイベントだったんで、対極で面白かったですね。もちろん俺たちは同じ戦い方なんですけど、全く同じじゃ何か違う気がする。伝えるべきことがあるなら、その人に伝わる方法を取るのが俺は真摯な姿勢だと思うんで。その極端なことを1日空けてやったんで、何かすごくね、ドッときました(笑)」
 
柳沢「でも、個人的には目指すべきところの入口に立った感がすごいありましたね、この2日間が。これまでのインタビューでも口にしてきたと思うんですけど、オーバーグラウンドとアンダーグラウンドを分け隔てるんじゃなくて、そのド真ん中に自分たちがいたいし、どちらも楽しみたい。それがすごく具現化した2日間というか、これをやり続けられたら本当にカッコいいなと思いましたね」
 
――そうね。『Bowline』みたいな気骨のあるイベントをやって、ドラマの主題歌もやって。
 
柳沢「そうそう。分かりやすく言うと、僕らは『Bowline』だからこういう格好で、ドラマのイベントだからこういう衣装で、っていうことはしてないわけじゃないですか。見た目も歌ってる楽曲も一緒だけど、どちらからも愛されるバンドにもしなれたらすごくカッコいいというか、バンドの器がとんでもないというか」
 
渋谷「どっちもちゃんと真正面から受け止めたし、向かっていけたので。こっちも現場だし、あっちも現場だと思って。何かそういうのっていいなと思いましたね、うん」
 
 
“本当はこうだ”って自分でも分かってること
でも見失ってるようなことを、
今一度ここで歌えるのはとても大きい
 
 
――そういう想いと機会をビーバーに与えてくれた今回のタイアップは、もう本当に大抜擢というか、動いてくれた人の顔がちゃんと見える環境の中で決まったという。
 
渋谷「ですね。この間のドラマのイベントがあったときも長文のメールをいただいて、改めてどういう経緯で主題歌に決まったのかを今一度教えてくれて。何も知らないまま喜ぶよりも、そこで何があって、誰が動いて、どんなことしてくれたのかを知った上で喜べた方が、僕らも楽しい。今回はそれが全部分かってたのが、やっぱり大きいですね。本当にありがたいお話をいただけたんだなって実感してますね」
 
――クレジットには載らない顔もいっぱい浮かぶもんね。柳沢くんは台本をもらってイメージして書いていく中で、“これはイケるな”みたいな手応えはありました?
 
柳沢「『予感』(M-1)というワードで書きたいなと思ったときは、“見えた”というか。ただ、ドラマと寄り添いたいのはありつつ、寄り添ってオールOKな訳じゃないと思うので、やっぱり今ビーバーが何を歌いたいのかは」
 
――そうね、ドラマにバチバチにリンクし過ぎてても、それはそれで。
 
柳沢「逆にすごく小さな世界になっちゃうというか。『予感』っていうワードは、聴いてくださった人であったり、ドラマの中で流れるタイミングだったり、僕らがライブハウスで歌ったときだったりで、その表情というか受け取り方が変わってくると思うんですよね。そういう意味でも、『予感』っていう言葉はいいかもなと」
 
渋谷「“今の世の中”という言い方はそんなに好きではないんですけど、やっぱり正解っ“ぽい”ものがとっても多いので。それはもう本当に趣味趣向に至るまで、“これを選んどけばOK”みたいにさも正解のように書いてある中で、本質的な部分はそこじゃないってずっと思ってたから。でも…本当はみんなどこかで分かってるはずで、新しい発見ではないと思ってるんですよ、僕らがやってることも言ってることも。斬新な何かをしてるつもりはなくて、“本当はこうだ”って自分でも分かってること、でも見失ってるようなことを、今一度ここで歌えるのはとても大きいなと。それこそ『Bowline』とドラマのイベントじゃないですけど、俺たちはそれが好きだから、楽しいだろうなと思うからやってるんで。きっと喜んでくれるんだろうなっていう部分と、自分たちが楽しいのは同等で、今はどっちもちゃんとできてるんじゃないかなって思ってるし、それをこの先も続けていきたいからこそ、ピッタリの曲だと思いますね」
 
――なるほどね。楽しいと楽しませるは同じ喜びである。
 
渋谷「自分たちがいる場所は本当にどっちもまだまだですけど、バンドの力、音楽の力、好きなものを貫き通す力、あとはお茶の間に食い込んでいく上で求められる部分を、並行してもっともっと高めていきたいなって思ってます」
 
――お茶の間に切り込むという点では、『予感』はキャッチーだし、頭のリフから“ちょっとこれ、イケんじゃね?”みたいな感がある(笑)。得も言われぬ、それこそ“予感”じゃないけど。
 


渋谷「イントロに関してはヒントをもらったよね? 打ち合わせのときに制作チームから、“ドラマで使うにあたって何が大事か”っていうところから教えてもらって。イントロが始まったら“あ!”っと思わせる何か…だから、歌始まりももちろんだけど、例えばディープ・パープルとか昔のハードロックって、だいたいそのギターリフ一発で“あ、これか!”って分かるじゃないですか。そういうことが耳に残るきっかけになるんだよって」
 
柳沢「しかもたまたま、前作、前々作ぐらいからも意外とぶーやんが言ってたようなことでもあったりして。だから今回は、そういう思わぬマッチングというか(笑)」
 
――イントロが流れたときに物語も動き出す。それは映像畑の人たちだからこそのやりとりですね。面白い。
 
渋谷「こっちだけでは気付けないことですし、自分たちがドラマを観てたら“確かに”って思う部分。例えば、『ラブ・ストーリーは突然に』('91)の“チュクチューン♪”っていうイントロのギターもそうだし(笑)。あれが聴こえたら“きた!”ってなるあの感覚って、確かに自分たちも経験してきたなと思ったので」
 
――2番のAメロで、楽器隊がひときわ激しくなるのもカッコいいよね。もう怒涛の展開。
 
柳沢「確かにああいう細かいカッティングは今までに弾いたことがなかったんだけど、ヒロ(=藤原)も結構サブスネアを使ったり、あそこの部分はもはやパーカッションのような」
 
渋谷「基本的に俺たちの音作りって隙間を作らないんですよね。俺が前に“隙間を作ってくれ”って言ったときも、結果的にぎゅうぎゅう詰めになることが多くて(笑)。音で埋める作業はだいたいヤナギがやるんで、あんまりそういうことをしたがらねぇのかな?って思ってたときにこれだったから、逆にそこを極めるんだと思って(笑)。面白いことをし出したなって思いましたね」
 
藤原「ビーバーでこのテンポ感の曲ってあんまりなくて、それだけで僕からしたらもう新しくやれることが多いんですよね。テンポが変わるだけで意外と自由度が上がる。自分のルーツみたいなものでまだビーバーに出してない部分もたくさんあるんで、そういうのはテンポが、曲調が、ギターがって何かが少し変わってくれるだけでリズムも入れやすいから。そういう意味で、耳触りが新しくなってるのかな?っていう気はしてるんですけど」
 
――『まごころ』(M-2)もそうだけど、何だか楽器心がうずく曲たちというか。
 
柳沢「今年1年がそうさせてくれた気もしますね。初めて単独で武道館みたいな光景も目にさせてもらったし、“そこで鳴る音楽ってどうなんだろう?”とか、イメージじゃなくて“実感”としてもう1回制作の現場に脳味噌を持って帰ってこれたのも、実は作用してるのかなって」
 
――『歓声前夜』('18)は、言っても武道館の前に作ったと言ってたもんね。
 
上杉「だから、武道館以降のエッセンスが、この1曲にはめちゃくちゃ入ってると思うんですよ」
 
渋谷「例えば、『ラヴソング』(‘18)とかは、“ああいうデカい場所でこういう音楽をやったらいいだろうな”って、イメージして作った曲だったんで。いざ立ってみての自分たちっていうのは、今回がやっぱり初めてだったから。そういうところもしっかり出てる感じがしますね」
 
――本当にこの1年の。
 
上杉「全部入り感はあります(笑)」
 
――予感とかワクワクって自分の中に生まれてる時点で喜ばしいことだけど、それに素直に従うことって、なかなかできないもんだよね。分かってるのに、感じてるのに、っていう場面は世の中でも多いでしょうね。
 
柳沢「それは思いますね。その逆の場合は、“何か嫌な予感がするからやめておこう”ってすごく従順に従うじゃないですか。けど、“これはもしかしていけるかも!?”みたいな方には踏み出せない感じ。それは背中合わせでダメだったときの想像がつきまとうからだとは思うんですけど、そこでどっちを選ぶかのかはすごく大事なのかなって」
 
――でも、そんなときに、あのイントロが頭の中で鳴って、“やろう”って一歩踏み出せたら。
 
渋谷「もう、最高っすね!」
 
 
形のないものがどんどん歌になってきてる
 
 
――カップリングの『まごころ』もすごく壮大な1曲ですけど、何か『予感』とか『まごころ』とか、本当この人たちは目に見えないことばっかり歌うな、みたいな(笑)。
 
上杉&柳沢「アハハ!(笑)」
 
――でも、それがビーバーというか、形がないんだけど確かにあるもの。
 
上杉「『らしさ』(‘14)とかもね(笑)」
 
柳沢「ヘンな話だって『証明』(‘15)とかだって」
 
――形がないからこそ人によってその表し方が違うし、だから面白いというか。
 
柳沢「例えば、車が大好きだって歌うときに、そのエンジン音とかフォルムを歌う人がいたとして、こっちは“僕がしんどいときにどこまでも連れて行ってくれる”みたいな方にフォーカスが当たっちゃってるような(笑)。個人的には、曲を書くときに、あれが好き、“なぜなら”のところは結構気にしてて、その“なぜなら”を歌いたいし、やっぱり人と人って結局そういうことだと思うので。趣味趣向とか、“なぜなら”の前の、あえて言うなら上モノは、それぞれ違って全然いいと思ってるし、自分たちなりに大事にしてきた、形のないものがどんどん歌になってきてるというか」
 
――好きなモノは違っても理由が一緒とか、そこに向けた情熱が一緒とか、案外、“なぜなら”の後が一致する方がソウルメイト感はあるもんね。この曲にも、やっぱりビーバーの人生哲学を感じるような。
 
渋谷「ただ、ともすれば野暮ですから、その塩梅は結構考えますけどね」
 
――そうね。分かりやすく言うと、説教臭くなりかねないと。
 
渋谷「そう。説教になるのかそうじゃなくなるのか、そこまで言っちゃうことって、音楽じゃなきゃできないことの1つだと俺は思ってて。これを日常生活で普段から言ってたら、結構面倒臭ぇヤツだと思うんですよ(笑)。でも、音楽に乗せることでもっと深くまで届けることができるし、野暮な部分を消してくれると思うので。これは音楽の力だなって思ってるから、しっかり前面に出して言っていきたいなと。やっぱり俺たちが発信すること、普段思ってることは全部、音楽につながるから言えてることでもあって。ドラムが鳴ってるから、ギターが鳴ってるから、ベースが鳴ってるから、それにメロディが付いてるから聴けるし、深くまで入り込めるのは、俺たちが信じてる音楽ならではだなって、最近すごく感じてます」
 
――いや~シングルでも濃いね。話してても全然楽じゃないもんね(笑)。
 
(一同爆笑)
 
――『まごころ』が生まれたのは武道館の打ち上げの光景からだったらしいけど、ビーバーが武道館をやるとなったら全国からこんなに人が集まるんだ、話に聞いていたのはこの人かって思ったり。エンジニアの兼重(哲哉)さんにもあのとき初めて会えたし(笑)。
 
渋谷「この間、大阪の『Bowline』で奥さん(=筆者)と兼重さんが喋ってるの見て、“あ、そうだよな”と思って。あのときに会ってたし、兼重さんは奥さんのインタビュー毎回めちゃめちゃ気にしてるし(笑)、奥さんは兼重さんの作った音をずっと聴いてきたわけだし。こういうところで巡り会ってるのは面白ぇなってすごく思いましたね」
 
――ビーバーを介した、人間の交差点というかね(笑)。
 
柳沢「俺らは大阪では高架下(福島2nd LINE)から始まり、打ち上げにいろんな人がちょっとずつ顔を出してくれるようになり、それがもう何回目の打ち上げだったかは覚えてないですけど、お好み焼き屋さんにいろんな枠を飛び越えて皆さんが集結してくれたあの日は、僕らとしては音楽をやってて嬉しいことの1つだったので。武道館は確かにあれの全国版というか(笑)」
 
――だからビーバーは、こういうつながりを全国で作ってきたんだなって思った。メディアの人もそうだし、ライブハウスの人もそうだし、バンドマンもそうだし、お客さんもそう。14年かけてやってきたことが、ホントは目に見えないものが、『まごころ』が生まれたあの場では見えたよね。
 
 
自分たちが大好きな場所には
その都度帰れた方がいいって俺は思ってるんですよね
 
 
――’19年のツアーはライブハウスとホールがミックスされていて、しかも現在発表されているスケジュールだけでも3~10月ってまあまあ長ぇぞっていう(笑)。
 
渋谷「かなり(笑)。『歓声前夜』のツアーの豊洲PITで、1年後の予定を発表して。みんな“まだ分かんねぇよ!”ってなるだろうなと思いつつ(笑)」
 
――フロムライブハウスのバンドとしても、面白い試みのツアーになりそうだね。
 
渋谷「そこはこだわったところですね。規模がデカくなりゃホールでやるのは当たり前かもしれないですけど…そもそも住んでた家のことを忘れてどうするんだ?って思う部分もちょっとあったし。自分たちがどこから来たのか、自分たちが大好きな場所には、その都度帰れた方がいいって俺は思ってるんですよね。ホールツアーはやったことがなかったし、やりたいです。そう思いながらも、“今年はライブハウスでは観られなかった”とかっていうのは…。今回はホールで、次はライブハウスでじゃなくて、自分たちがそれをやりたいならどっちもやるべきだと思ったし、来てくださる方にはどっちで観たいのかを選んでほしい。ライブハウスだったら怖くて前の方には行けない人も、ホールだったら最前にいたって大丈夫なわけじゃないですか。そういう違う景色を観せられる可能性を自分たちで作れるのは、めちゃくちゃ楽しいじゃんと思って」
 
柳沢「“好きなように楽しんでください”って、好きなように楽しめない状況で言うのは無責任というか。武道館で中継をやったときもすごい感じたんですけど、来てくれ来てくれって僕らは言うけど、ヘンな話、まだライブハウスに行っちゃダメって言われてる子だっているだろうし、着いていくにも立ちっぱなしはしんどいよっていう親御さんもいるだろうし。もっともっとライブを観に来られる可能性を、自分たちから提案できたら面白いなって思います」
 
――ちなみに、このツアーを切ったときは、タイアップの話はまだ決まってなかったのよね? 今までで一番お茶の間に聴いてもらえるであろう曲をリリースできたタイミングで、意図せずそういったツアーが用意されてるって、本当にうまくできてる(笑)。それにしても本当に濃厚な1年だったね。
 
渋谷「毎年毎年、覚悟を決めてやってきてはいるんですけど、今年は目次に書けるようなことが多かった(笑)。47都道府県制覇も今年ですから」
 
上杉「ワンマンツアーも今年初めてやって(笑)」
 
――武道館も初めてで。
 
柳沢「結構目の前のことに一生懸命になってるチームだと思うし、その結果がこれのような気もするというか、積み重ねてるというか。何かね、こっちもこれから先のいろんなことを考えてるときにニヤニヤしてるというか…“きっとみんな喜ぶぜ! だって超面白くないこれ!?”って言い続けられてるのは、すごくありがたいし嬉しいなぁと」
 
渋谷「でも、狙ってるわけじゃなくて本当に『予感』じゃないですけど、好きな方に、楽しい方に向かってるだけなんで。だからいいんだと思います、プレッシャーとかじゃないから」
 
――最後に、’18年ももう終わりますけど、この1年の総括とこれからに向けて、今思うところをそれぞれに。
 
上杉「『予感』には全部入ってるみたいなことをさっき言いましたけど、それこそ『Bowline』でオーバーグラウンドとアンダーグラウンドの間にいたいバンドだなって思った要素も入ってるし、ホールとライブハウスのどっちでも映えるような曲だし、逆にもうSUPER BEAVERはそうあり続けないといけないのかなって(笑)。それぞれがそこに面白味とやり甲斐を感じてると思うから。ライブがあって曲になり、こうやって人と会って、来年というよりはこれからもやっていけたらなと。もちろんプレイヤーとしても、バンドとしても、精神論だけじゃできない部分は絶対にあると思うから、もっともっと準備して、さらにストイックにやっていこうと思ってます」
 
渋谷「今年1年過ごしてみて、そしてこの『予感』っていう曲をリリースできて、“やっぱり間違ってなかったな”ってすごく思ったんで。明日がもっと楽しくなれば、それを毎日更新できればいいなと思うし、それは楽天的とか無責任っていうことではなくて、今言ったことに責任を持ってそうするというか。誰も浮き足立たなければこれからも楽しくやっていけると思うので(笑)、楽しさを求めることを真面目にやっていきたいなって思ってます」
 
――楽しいことって案外簡単にはできないもんね。楽しめる自分でなきゃいけないし。
 
渋谷「そうなんですよね。それってすごく準備が要ることだし」
 
柳沢「今年もいろんなことあったなって思うんですけど、全て図らずというか、1つ1つのことを大事にしてきたからつながってきたものがいっぱいあるんで、毎年、予想できないんですよね。ただ、全ては黙ってて落っこちてくるもんじゃないし、やっぱり日々の活動であったり生活であったりが、偶然のように見えてなるべくしてなってるところがあるのかなって、今回の主題歌のお話も含めて思いますね。来年はすでに発表している全国ツアーを主軸に置きつつ、ま、どうせライブも増えるでしょうし(笑)。そうやっていただくチャンスやタイミングに1つ1つ大事に向き合いたいし、キャッチしたいものはキャッチして、“危ねぇこれ!”って思うものはちゃんと避けて(笑)、来年も活動できたらいいのかなと思いますね」
 
――それでは最後、シメをお願いします!(笑)
 
藤原「はい!(笑) もう来年のツアーは決まってるし、いつもちゃんとやってるんですけど、逆に言うとちゃんとやらないといいツアーにはならないんで。今までにない回り方なんで、みんなでしっかり考えて、楽しんでもらえるツアーになったらいいなと思ってます!」
 
 
Text by 奥“ボウイ”昌史



(2018年12月12日更新)


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Movie Comment

ビーバーの関西移住計画!?
SUPER BEAVERからの動画コメント

Release

高橋一生主演ドラマ『僕キセ』
主題歌に抜擢された新たな代表曲!

Single
『予感』
発売中 1000円(税別)
[NOiD]/murffin discs
NOID-0030

<収録曲>
01. 予感
02. まごころ

Profile

スーパー・ビーバー…写真左より、上杉研太(b)、藤原“30才”広明(ds)、渋谷龍太(vo)、柳沢亮太(g)。’05年、高校の先輩・後輩である渋谷&上杉・柳沢に、柳沢の幼馴染みである藤原を加え東京にて結成。学生時代には『TEEN’S MUSIC FESTIVAL』にて全国大会グランプリを受賞。’09年、シングル『深呼吸』でメジャーデビュー。アニメ『NARUTO- 疾風伝-』の主題歌や、映画『ソラニン』の劇中歌などを提供し話題を呼ぶが、’11年には所属レーベル・事務所を離れ、’12年に自主レーベルのI×L×P×RECORDSを設立。柳沢がSCANDALに楽曲提供するなど新たな一面を見せる。’14年2月には、eggmanのロックレーベル[NOiD]よりフルアルバム『361°』を、同9月にはシングル『らしさ/わたくしごと』をリリース。アニメ『ばらかもん』のオープニングテーマに『らしさ』が起用され、YouTubeの再生回数は1121万回を超える(‘18年12月現在)。’15年4月1日をもって結成10周年を迎え、同日にフルアルバム『愛する』を、’16年1~3月には3ヵ月連続でワンコインシングル『ことば』『うるさい』『青い春』をリリース。4月にはアニバーサリーイヤーを締め括る初のZepp DiverCity(TOKYO)公演を開催、見事にソールドアウトさせた。同年6月にリリースしたフルアルバム『27』はオリコン週間アルバムランキング初登場10位に、10月にリリースしたライブDVD『未来の続けかた』は同音楽DVDランキングで初登場1位を獲得。'17年1月にはシングル『美しい日/全部』をリリースし、春には日比谷野外音楽堂、大阪城音楽堂でのワンマンライブを開催、ソールドアウトを記録。4月より渋谷が毎週木曜の『オールナイトニッポン0(ZERO)』のパーソナリティに大抜擢、話題を集める。9月にはミニアルバム『真ん中のこと』をリリース、オリコン初登場6位と自身最高位を記録。Zepp TOKYO 2DAYSを含む全国ツアーは各地ソールドアウトに。今年4月には初の日本武道館公演を開催、即日ソールドアウトを記録し大成功を収める。6月にはフルアルバム『歓声前夜』を、7月にはDVD & Blu-ray『LIVE VIDEO 3 Tokai No Rakuda Special at 日本武道館』をリリース、どちらも過去最高のセールスを記録。11月21日にはカンテレ・フジテレビ系連続ドラマ『僕らは奇跡でできている』主題歌であるシングル『予感』をリリースした。

SUPER BEAVER オフィシャルサイト
http://super-beaver.com/

Live

年末年始もイベント出演が続々
3月より大規模全国ツアーが開幕へ!

 
【京都公演】
『ポルノ超特急2018
-5TH ANNIVERSARY-』
チケット発売中 Pコード120-671
▼12月23日(日・祝)11:00
京都パルスプラザ
全自由・1日券 6588円
[出演]打首獄門同好会/coldrain/The BONEZ/SUPER BEAVER/10-FEET/Dragon Ash/HYDE/ROTTENGRAFFTY/韻シスト/OVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUND/Survive Said The Prophet/SIX LOUNGE/Northern19/ハルカミライ/HAWAIIAN6/辻本茂雄(他、吉本新喜劇})/レイザーラモン/ミサイルマン/メンバー/霜降り明星/やべきょうすけ
サウンドクリエーター■06(6357)4400
※小学生以上は有料、未就学児童は保護者同伴の場合無料。アーティストは都合により変更になる場合がございます。出演者の変更及びキャンセルに伴うチケットの払戻し等は一切致しませんので、予めご了承ください。公演当日、会場にてリストバンドとお引換えください。

チケット情報はこちら


【大阪公演】
『FM802 ROCK FESTIVAL
 RADIO CRAZY』
▼12月28日(金)11:00
インテックス大阪
1dayチケット8800円
(オールスタンディング)
[出演]ASIAN KUNG-FU GENERATION/阿部真央/androp/ウルフルズ/THE ORAL CIGARETTES/KANA-BOON/キュウソネコカミ/CRAZY MAN CLUB BAND/GLIM SPANKY/go!go!vanillas/Saucy Dog/サンボマスター/SHE'S/スガシカオ/ストレイテナー/SUPER BEAVER/TOTALFAT/Nulbarich/never young beach/The Birthday/THE BACK HORN/パノラマパナマタウン/the pillows/BIGMAMA/フレデリック/Yogee New Waves/他
FM802 RADIO CRAZY公演事務局■06(7732)8787
※6歳未満は入場無料。出演アーティストは変更になる場合があります。その際の変更・キャンセルに伴う払戻しはできません。公演に関する詳細は、公式サイト(http://radiocrazy.fm/)にてご確認ください。

~12/16(日)23:59まで先行抽選受付中!
チケット情報はこちら


【兵庫公演】
『PINEFIELDS & music zoo KOBE太陽と虎
 around 10th Anniversary
 MUSIC ZOO WORLD』
-DAY.2 かっこよい生き物の世界-
一般発売12月22日(土)
Pコード135-140
▼1月20日(日)11:00
ワールド記念ホール
(神戸ポートアイランドホール)
1日券(アリーナブロック指定立見)6239円
1日券(スタンド指定席)6239円
[出演]SABOTEN/SiM/SHADOWS/SUPER BEAVER/THE SKIPPERS/10-FEET/HAWAIIAN6/
HET-SMITH/The BONEZ/ROTTENGRAFFTY
[オープニングアクト]iTuca/他
サウンドクリエーター■06(6357)4400
※小学生以上は有料、未就学児童は無料(保護者同伴スタンド指定席での膝上鑑賞に限る)。未就学児童でも座席が必要な場合は1名につき1枚チケットをお買い求めください。アリーナは未就学児童の入場不可。未就学児の年齢確認をさせていただく場合がございますので、身分証のご持参をお願いします。
※アーティストは都合により変更になる場合がございます。出演者の変更及びキャンセルに伴うチケットの払戻し等は一切いたしませんので、予めご了承ください。

12/15(土)11:00~17(月)23:59まで
先行抽選受付!

チケット情報はこちら

 
 
『都会のラクダ
“ホール&ライブハウス” TOUR 2019
〜立ちと座りと、ラクダ放題〜』

【愛知公演】
▼3月5日(火) Zepp Nagoya

Pick Up!!

【大阪公演】

一般発売1月12日(土)
Pコード133-193
▼3月7日(木)19:00
Zepp Osaka Bayside
1Fスタンディング4500円
2F指定席4500円
[ゲスト]有
GREENS■06(6882)1224
※3歳以上は有料。未就学児童は保護者同伴に限り入場可。転売チケットは無効・入場不可。客席を含む会場内の映像、写真が公開される場合がありますので予めご了承の上、ご購入ください。

チケット情報はこちら

 
【東京公演】
▼3月13日(水)Zepp Tokyo
▼3月29日(金)・30日(土)中野サンプラザ
【愛知公演】
▼4月17日(水)
日本特殊陶業市民会館 フォレストホール

Pick Up!!

【大阪公演】

一般発売1月12日(土)
Pコード133-193
▼4月18日(木)19:00
オリックス劇場
全席指定5500円
GREENS■06(6882)1224
※3歳以上は有料。未就学児童は保護者同伴に限り入場可。転売チケットは無効・入場不可。客席を含む会場内の映像、写真が公開される場合がありますので予めご了承の上、ご購入ください。

チケット情報はこちら

 
【広島公演】
▼5月17日(金)BLUE LIVE 広島
▼5月19日(日)広島上野学園ホール
【新潟公演】
▼5月23日(木)NIIGATA LOTS
▼5月25日(土)新潟県民会館 大ホール
【宮城公演】
▼6月7日(金)SENDAI GIGS
▼6月9日(日)東京エレクトロンホール宮城
【北海道公演】
▼6月14日(金)ペニーレーン24
▼6月16日(日)札幌市教育文化会館 大ホール
【香川公演】
▼9月19日(木)高松festhalle
▼9月21日(土)
サンポートホール高松 大ホール
【愛知公演】
▼9月23日(月・祝)
名古屋国際会議場 センチュリーホール
▼9月25日(水)Zepp Nagoya
【福岡公演】
▼10月10日(木)DRUM LOGOS
▼10月13日(日)福岡サンパレス
 

Column1

「その瞬間瞬間、必死に、
がむしゃらにやってきた中で、
1つずつ現実に変えてきた」
たぐり寄せた運命の日本武道館、
これぞSUPER BEAVERの極みたる
『歓声前夜』を語る('18)

Column2

「自分が実感したことじゃないと
 何の説得力も持たないんですよ」
当たり前のことを肯定する今
SUPER BEAVERが鳴らすべき音楽
'17年を総括する『真ん中のこと』
インタビュー('17)

Column3

「大阪でファイナルをやってみたい
 なってずっと思ってた」
SUPER BEAVERが再び迎える
『美しい日』。『全部』を背負って
転がり続ける決意を語る!('17)

Column4

「出会った人たちと永く、深く、
 より大きな歓びを一緒に共有する
 それを歌にするのが
 SUPER BEAVERなんだなって」
変化する今を肯定するきっかけを
続いていく未来のための生き方を
『27』インタビュー('16)

その他インタビューはコチラ!

『ことば』『うるさい』『青い春』('16)
特設ページはコチラ!
『愛する』('15)
特設ページはコチラ!
『361°』('14)
特設ページはコチラ!
『世界が目を覚ますのなら』('13)
特設ページはコチラから!
『未来の始めかた』('12)
特設ページはコチラから!

 

Comment!!

ライター奥“ボウイ”昌史さんからの
オススメコメントはコチラ!

「いや~ビーバーがついにお茶の間に進出ですよ。僕もこの件に関わった現場の方たちのことを知ってるんですが、本当に損得勘定抜きで、情熱を持って動いてくれたからこそ決まった話だったことがよ~く分かります。でもね、それは同時に、ビーバーが本当に損得勘定抜きで、情熱を持って動いてきたからこそ、なんですよね。一緒なんです。共鳴してるんです。そして、“インディーズバンドがゴールデンタイムのドラマのタイアップに”、とかよく言いますけど、今回の『予感』はそれが皮肉にすら聞こえるような出来で。サウンドしかり、MVしかり、そう思うぐらいの気合も質の高さも感じたし、メインストリームにちゃんと打って出られる1枚になったなと。『Bowline』で音頭を取ったのもそうですが、“ビーバーがそろそろちゃんと主役になれよ”って音楽の神様に言われてるような、そんな“予感”というか始まりを改めて感じましたね。あと、余談ですが『予感』のイントロには岡村(靖幸)ちゃんの『あの娘ぼくがロングシュート決めたらどんな顔するだろう』(‘90)も感じたな~(笑)」