(※)eggmanでイベントやって、乾杯だけして富山に夜走りして、朝方やっと着いたと思ったら機材車廃車になってほとんど寝ずにライブやって、明日のミナホのためみんな疲れマックスで移動中もうすぐ大阪!て時に退院したばかりの柳から「証明」のデモが届いて車でみんなで号泣したのが懐かしいです。笑
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渋谷 「ただ、本当にいい曲が上がってきたのは間違いなかったんですけど、その感動が果たしてどこから来ているものなのか。ヤナギがいなくなった大変な状況で、このタイミングで曲が届いて、俺らの中では完全に背景が出来上がってて。曲がすごく強かったのもあるんですけど、ここで泣けるのは言ってしまえば当然なんですよ。このタイミングでこんな曲が来たら、感動するに決まってる。でも、俺らがそこだけに感動してたら、この曲がものすごく縮こまっちゃうなって。自分らの背景抜きに、何も知らない人間が聴いたとき、感動させるにはどうすればいいのか。実は俺はその車の中ですっごい考えてたんですよ。だから、この曲で感動出来たのはその4日後ぐらいでした(笑)」
――そう考えたら、ドラマの渦中の自分たちに酔う感じは全然ないね。この曲にはめちゃくちゃメッセージが詰まってるけど、発想としてはポップミュージックの作り手というか。
渋谷 「あぁ~そうかもしれないですね。ただ闇雲に放り投げるにはもったいない曲なんで、最善の状態で世に出すには…って。確かにその考え方は、ポップミュージックを自分らだけじゃないものにする期間だったかもしれない」
――“産まれて死ぬまで一人なのは 誰も独りきりでは無いという「証明」”というワンフレーズは、本当に発想の“発明”やと思うし。この1行で景色がガラリと変えられる発想の転換、それを音楽に乗せて不特定多数に聴かせられるって、すごいことよね。
柳沢 「自分の身体に代わりがないからこそ本当に何も出来なくて、“個”としての“1”を身をもって痛感したし、唯一無二でありたいと言いながらどこかに属してなきゃイヤだとか、どこかに属していたいけど人とは違う自分でありたいとか…そういったことを考えていたとき、結局、孤独という感情は相手がいるから発生することであって、悔しい、寂しいっていうのも、誰かのことを思いながら言ってる。だから、孤独ぶっちゃうと、いろんなものがグチャグチャになってくるというか」
――それはこのSNS全盛の時代もあるかもね。
柳沢 「いや、ホンットにそうだと思いますね。顔を合わさなくたってつながってるという実感が、本当の“実感”なのか。単純に身体が動かないこともあって、そういうことをすごく考えましたね」
――前作にも“あなたたちに歌ってるんじゃない。あなたに歌ってるんだ”という象徴的なフレーズがあったけど、今作はさらに進んで、本当に徹底的に“個”に訴えかけてる。
渋谷 「うんうん。どんどんパーソナルになってる実感はありますね」
――メッセージというか眼差しは、聴いてくれる人に対してドンドン個に向かってるけど、その一方でバンド自体は、ドンドン塊になってるというか。
渋谷 「お互い一時的に喪失感を覚えたからだと思うんですけど、ヤナギは失わせちゃう辛さ、俺らは失う辛さを味わったのは、やっぱりかなりデカかったですね。1人欠けたって意志は貫けるけど、改めてヤナギが戻って来たときに、やっぱりこの4人がSUPER BEAVERなんだって、ハッキリと実感出来た。でも、ヤナギがいない状態でそう思ってたら、多分それまでだったと思うんですよ。ヤナギがいない間、この3人でもSUPER BEAVERを確立した上で、ヤナギが帰ってきて改めてそう思えた。それが塊になれた大きな理由なんじゃないかな」
本当の現在進行形って、過去も振り返られるんだと思うんですよ
――それにしても、冒頭の『誰か』(M-1)『らしさ』『証明』の流れはすごいよね。もうグイグイ内に入っていって、心の奥で自分が考えてることに気付かせてくれる感じというか、無意識下だったものを意識させてくれる感じ。
柳沢 「嬉しいですね。そういうことを狙ってきたというか、歌いたいと思ってきたバンドなので。蓋をしていた部分というか、“知ってた。実はここにあったのは…”って言わせちゃうような部分。だから渋谷もライブで、“敢えて口に出さなくてもいいことなのかもしんないけど、でも…”って言ったりするのは、そういうことなのかなって」
――相変わらずライブで言ってること、今ここで話してること、楽曲も全部つながってるもんね。柳沢くんが今言ったことは、『言えって』(M-8)の歌詞にも通じるし。あと、この話は前回のインタビュー のときからもう始まってて、あのとき“どうでもいいことほど、ちゃんと言わなきゃいけない。どうでもいいことほど、歌にしていく。それがSUPER BEAVERなんだと思う”って言ったあの言葉が、まさに今回のアルバムだと思うし。
柳沢 「いや、本当にそうですね。でも、改めて僕らもちょっとホッとする部分があるというか。別に答え合わせは必要ないんですけど、今言ってくれたように、実生活と、楽曲と、インタビューと、この3つのどれかが=じゃなくなった瞬間に、全てが崩れる気がするんですよ。無理に意識してるわけじゃないですけど、やっぱり全部がつながってて初めて成り立つ気はしてますね。実は今回、『未来の始めかた』(‘12)ぐらいからもう1回音源を聴き直したりもして、“これ、前にも言ったなぁ”とかを特に恐れなかったのもあるんですけど、何か異常につながってるんですよね」
――だって、前回 ですでに“今は誰かがカッコいいって言ってるものがカッコいいみたいな風潮がどうしてもあって。情報が多い分、自分で考えなくなっちゃってるのを感じるんですよ。誰かがカッコ悪いって言おうが、自分がカッコいいと思うものが一番カッコいいに決まってるんだから”って言ってたり。何かもう、このときから『誰か』を書いてたんじゃないか?っていう(笑)。
柳沢 「アハハハハ!(笑) いやでも、こないだちょっと話してたんですよ。こうやって話すことによって、改めて自分たちの考えが整理されていく感覚がすごくあって。こういうインタビューもそうですし、たまたま飲みに行って話してるときに、“あ! 俺、こういうことが言いたかったんだ”って考えをまとめさせてもらえる場があったり。そういうのがそのまんま曲になったりすることが、やっぱりあるんですよね。あと、これまでのモヤッとしたもの、内に向いているもの、自分と向き合う時間みたいなものを、『361°』で清算し切ったと思うんですよね。ようやく今の僕たちに追いついたというか。これまでは過去を振り返って自分と対峙しながら少しずつ外に向くようになっていってたのが、ようやくフラットになったからこそ、本当に思いっきり外に向けて言えるようになったのかなぁって」
――今までは過去の困難から受ける波動が大き過ぎてね(笑)。
柳沢 「そうですね(笑)。だから過去と今を照らし合わせて葛藤を歌ってたんですけど、そういう時期も踏まえて、“僕らはこういうことまで思うようになりました”というか。純粋に自信を持ててきたのもあると思うんですけど、本当の現在進行形って、過去も振り返られるんだと思うんですよ。本当に思い出を思い出として捉えられる、というかね」
無理に共有しなくてもいい
――サウンド的に気になった部分があって、『結果論』(M-4)のサビのワイドな音色は何?
柳沢 「あれはE−bow(イーボウ)で、いわゆるストリングスっぽい音を演出して。実はこのE−bowは『生活』(M-9)でも使ってるんですけど」
渋谷 「メジャー時代に手に入れたヤナギの得意技だよね(笑)」
――エモいメッセージを込めながら、そんな小技も(笑)。『生活』というタイトルの曲ってどのアーティストもグッとくる曲が多いけど、SUPER BEAVERにとってもそう名付けるだけあって。
柳沢 「生活感はね、何か今まで出せなかったんですよね。正直言うと、僕らの生活は人に知られなくていいと思ってたから。でも、それが歌えるようになったのは、自分らで言うのもアレですけど、単純にそれだけキャパがデカくなったのかなって気はしますよね」
――それこそポップミュージックとしての題材みたいになってきたと。
柳沢 「もはや自分自体がネタだもんね(笑)。人様からお題をいただかなくても、自分の人生の中にヒントがいっぱいあるんですよ」
――この歌詞もすごく哲学的だし、よくこんな発想がポンポン出てくるなとも思ったよ。
渋谷 「まず周りにインプットしてくれる人間が多いよね。いろんな刺激であったり、そういう姿勢を見せてくれる人が増えたから。でも、それは自分らが変わっていったことによって出会ってきた結果だとは思うんですけど。友人知人、先輩方、後輩もそうですし、場をわざわざ設けなくても、パッと言われたひと言であったり、飲みの席での言葉であったり、ビビッとくるものがたくさん転がってるんだなって、今になってすごく分かるから。だからこそ、漠然とした自分らの今の状況みたいな曲がポンッと出るようになったんだと思ってるんですけど」
柳沢 「逆も然りだよね。中には、ホントつまんねぇなとか、何かすっごくイヤだなぁって思えちゃう人もいるし。そういう姿を見るからこそ、これはカッコ悪い、絶対こうはなりたくないって思うものもドンドン見えてくるし」
――それこそ、人がいるからこそ自分が分かるよね。そう考えたら本当に全部つながるね。この世に1人だったら、それは感じられないことで。
柳沢 「いや、ホンットそうだと思うんですよ。だからやっぱり、人と向き合おうと、膝と膝を突き合わせようと思うようになってからだと思いますね」
渋谷 「“誰々と一緒じゃなきゃいけない”みたいなことではないと思うし、SUPER BEAVERはそうじゃないと聴けない音楽ではないと思ってるんで。潜在的に何か感じる部分、自分でもビックリしちゃうような考え、ウワァーッて感動しちゃうこととかは、きっとそれぞれの中にあるものだから、無理に共有しなくてもいいと思ってるんで。共有出来たら一緒に楽しめばいいし、そうじゃないなら各々感じたらいいし。何か最近は、自信を持って丸投げ出来るようにはなってますね。僕がまず曲に感動してるから、多分この先もライブで喋り続けるだろうし(笑)。ヤナギがその中から何かを見付けて歌にしてくれたら、それはもうバンドとして強いなって思うので」
――だから歌詞も自ずと言葉数が多くなると(笑)。
柳沢 「アハハ!(笑) いやはや、大変失礼いたしました」
――覚えるの大変だよね?(笑)
渋谷 「もう大変ですよ! ちょっとニュアンス違う言葉がまたここに入ってる! みたいな(笑)」
1対1って言ってて、相手が1しかいなかったときに
それをゼロに近い感覚で見るのは、やっぱり絶対に間違ってる
――『わたし』(M-5)とかも、最初はウェディング・ソングなのかなって思うような節があったけど、バンドとファンの関係性とも言えますね。
渋谷 「大きなテーマですけど、やっぱりそれだけ大勢の人が周りにいてくれてることに気付いたときに出来た曲なんで。小っ恥ずかしかったのはあるんですよ。周りにいろんな人がいると気付いた反面、MCでも、友達と飲んでても、偉そうなことをポンポン言ってるのに、自分1人じゃ出来ることなんてあんまりないんだなぁって。でも、裏を返せば、そんな自分でも今ここにいられるのは、それだけ大勢の人が手を貸してくれたからなんだって。それはすごく自慢出来ることで、自分が今この場所に立たせてもらってるんであれば、同時にそれだけ大勢の差し伸べてくれた手を一気に引っ張り上げることが出来るのも、俺らしかいない。SUPER BEAVERはそういうバンドであるべきなんだって感じたんで、すんなりと出て来た言葉、歌ですね。うん」
――あと、最後の『ILP』(M-11)がすごいなと思ったのは、“お前にもわかるように お前でもわかるように”っていうフレーズで。全部連れて行くというか、誰1人置いていかない感じ。この大きさ、この覚悟、これを言葉にしてくれる安心感。SUPER BEAVERにまつわる全ての人を、全部連れて行くよっていう。
柳沢 「1対1の対話というときに、聴く人に逃げ道を出来るだけ与えたくなかったというか、しっかり受け止めて欲しくて。そういう風に僕らから人に伝えるのであれば、逆に言うと、僕らにも逃げ道があっちゃいけないと思った。自分たちも言い訳をしたくないので。だから、この『ILP』だけ、かなり自分らの歌っていうイメージがあって」
渋谷 「そうだね。“ライブハウスソング”だね、これは」
柳沢 「実はこれはあんまり言ってないんですけど、結構ビックリしてるのが、この曲の今言ってくれたフレーズの部分は、音もしっちゃかめっちゃかになってるんですけど、自分でも何度聴いてもグッとくるんですよね。何故なら多分そこが、僕らが思う大前提でありつつ、最大目標である気がしていて。だからライブとかでも、自分の中の気持ちがグワッと入るんじゃねぇかなって」
渋谷 「いずれスタジアムロックをやりたいと思ってるんですけど、それにはこういう基盤が絶対に必要だと思うんですよ。人は変わっていくし、それは当然なんだけど、自分らにとっては本当にブレない芯の部分で逃げ道をなくすための、いい曲になってると思います」
――いや、デカい愛ですね。そりゃタイトルも『愛する』になるわ。
柳沢 「いや、本当にそうですね。“愛する”って恋愛のLOVEの要素がないわけじゃないですけど、それよりも人としてというか、“ありがとう”に近いというか」
――今作は、音自体もめちゃゴツくなったなと思っていて。それはここ1年半ぐらいで対バンしてきた異種格闘技的なバンドと渡り合っても負けないサウンドというか。でも、そこに込められてるメッセージが何より強い、というよりは深い。ちゃんと戦える身体の中に、ちゃんと戦える意志を持って音楽を作ってる感じが、このアルバムの印象。
渋谷 「いや~嬉しいですね」
柳沢 「何か今こうやって話してて思ったんですけど、よく出来てるよね(笑)」
渋谷 「よく出来てるよ!(笑) 正直、ここまで考えてなかったじゃん。当然、曲のストーリーは自分らで組んだはずなんですけど、やっぱりこうやってインタビューしてもらったり、自分らで曲についてのことを話した後で見返すと、偶然の要素もすごく多かった気がする」
柳沢 「1曲目の『誰か』とかは、正直言うと自分でも自覚してるところで、嫌味だなって思う気持ちもちょっとある。ただ、『ILP』でそこに対してバランスを取ってるというか、それを言うからには僕たちもちゃんとしますよっていう曲でアルバムが終わるのが何か…自分たちで言うのもアレですけど、カッコいいですよね?(笑)」
(一同爆笑)
柳沢 「だって、『愛する』(M-10)で言いっ放しで終わってたら、“とは言え、お前らはどうなの?”って言われたときに答えられないというか。このアルバムに限らず、そういうところをすごく大事にしてきたバンドだと思うんですよ。“お客さんが1人でも待っててくれるんだったら、全力でライブやります!”って言ったんだったら、本当にやろうよって。それが去年四国でやった無料ワンマンだったと思うし、“口にして実際にそれをやらないのはカッコ悪いでしょ!”っていう感覚は、すごいありましたね。1対1って言ってて、相手が1しかいなかったときにそれをゼロに近い感覚で見るのは、やっぱり絶対に間違ってると思うし」
――だからこそさっきの“お前に”なんだもんね。いや~もう本当にビーバーは“こってり”しか作らないよね(笑)。
渋谷 & 柳沢 「アハハハハ!(笑)」
――とは言いながら、『Q&A』(M-6)は何ともアーバンで、柳沢くんが持ってるポップセンスを駆使して、微妙な心の動きを描いたオトナな楽曲で。
柳沢 「これはもう“オシャレ・ビーバー”を意識しただけですからね(笑)。単純に好きなんですよね。ぶーやん(=渋谷)がよく夜の高速道路で運転しながら、一十三十一とかを聴いてて」
渋谷 「俺がシティポップを聴いてて、ずーっと男女のユニゾンやりてぇなとかいう話から、本当にやってみたらおもしろいかもねって」
柳沢 「やっぱりいろいろとキャパが広がったのかもしれないし、ヘンな抵抗がなくなってきたのは結構デカいなぁって思いますね。これはあんまり触れてこなかったですけど、候補は実際いろいろ考えたんですよ。でも、関係性と、それこそ本人の強さと、もうSCANDALのMAMI(g&vo)ちゃん以上の人は思い付かなかったんですよね」
珍道中、続けたいっすねぇ
――そして計らずしも、今年は結成10周年のアニバーサリーイヤーということで。いやぁ~よく10年続いたね。
渋谷 「いやぁ~本当っすね。10年続けようぜって始めたわけじゃ全然ないから」
柳沢 「続いたっていうかまぁ、“10年経ったね”って感じですね。それこそ
以前のインタビュー でも言ってると思うんですけど、(SUPER BEAVERが)“人生”になっちゃいましたね。これまで1つの物事について、10年前を振り返ることがなかったので。小学6年生から仲良いわけですから(笑)。飽きさせてくれないぐらいいろいろあるからねぇ」
(一同笑)
渋谷 「本当にねぇ。イベントが起きるからなぁ~(笑)」
柳沢 「僕らも望んでるわけじゃないんすけどねぇ(笑)」
渋谷 「でも、それも1つずつ武器に変えられてきたから。折れなくてよかったって、その都度その都度思うんです」
――だからこれからも、この珍道中をね、見届けていきますよ(笑)。
渋谷 「ホンット珍道中っすよ!(笑) 珍道中、続けたいっすねぇ」
柳沢 「俺はすぐにでもレッドカーペットを歩きたいんだけどねぇ。何なんですかねぇ(笑)」
――本日はありがとうございました! じゃあまたね。
渋谷 & 柳沢 「ありがとうございました!」