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今しか歌えないし、今だから歌える歌がある
SUPER BEAVERの“譲れないもの”とは――?
最新アルバム『361°』を巡る旅もいよいよ終着点へ
渋谷龍太(vo)&柳沢亮太(g)インタビュー&動画コメント

 挫折なんか、しない方がいいと、彼は言う。だが、どうだろう。この盤から伝わってくる音楽の生命力は、この世界に生きる70億分の1のあなたに向けられたこの言葉は。痛みを知る者だけが鳴らせるであろうSUPER BEAVERの最新作『361°』は、彼らのキャリア最高傑作であると同時に、2014年のシーンに投げかける、音楽の純度と誠実さに満ちた試金石である。同作に伴うツアーもクライマックス、先日『京都大作戦2014』への出演がアナウンスされるなど、彼らに出会った人、出会う人はこれからも増えることだろう。時に…インタビュー原稿を書いている最中から、そのミュージシャンの言葉に奮い立たされることがある。彼らがインタビューで話すこと、MCで告げること、歌詞で伝えること、その全てが我々にこう語りかける。“あなたたちに歌ってるんじゃない。あなたに歌ってるんだ。”。

 
 
他人事だと思って聴いて欲しくなくて
全部あなたの歌なんだって言いたくて
 
 
――毎回ね、濃さでは定評のあるインタビューをお届けして参りましたけども(笑)。
 
渋谷(vo)「アハハ!(笑) ホントに、奥さん(=筆者)ならではですね」
 
柳沢(g)「さて乞うご期待!」
 
――コンスタントにライブに作品にと動き続けて、何とも溢れ出る創作意欲というか。
 
渋谷「でも、柳沢は完全にケツ叩かれ型です(笑)。自分らでこの日にリリースして、こういう動きをしようって決めたのに、ギリッギリまでアルバムが出来なくて。でも、窮地に追い込まれるとヤナギが輝き出すのは、何となく学んできてるんで(笑)」
 
柳沢「いや、すごい雑なストックはありますよ?(笑) ただ、そろそろ曲を作り始めないとなっていうときは、よく呑みに行ってましたね。遊びじゃなくて(笑)、一気にいろんな人と会い始めちゃうんですね」
 
――ヒントというか、刺激をもらうというか。
 
柳沢「最近それで気付いたのは、話すことによって自分が何か考えてるかを1回整理するというか。いろんな情報をとりあえず入れられるだけ入れてるから、整理がついてきたらメンバーにも話して、“俺はこういうアルバムを作りたいと思っている”、“分かった、じゃあ曲が出来るまで待ってる”、みたいな。今回もレコーディングの2週間前ぐらいまで、全曲揃ってなかったですからね」
 
渋谷「形になってたのは多分5曲ぐらいじゃないですかね? もうヒヤヒヤしながら」
 
――『未来の始めかた』(‘12)『世界が目を覚ますのなら』(‘13)と素晴らしい作品をここ2作出してきて、そのリアクションもあって。今回はどういうアルバムを作りたかった?
 
柳沢「今回明確なのは、“あなたたちに歌ってるんじゃない。あなたに歌ってるんだ。”ですよね。渋谷がMCでそう言ってるのは分かってたし、なるほどなとは思ってたけど、それがさっきの人と話す期間を経て、“今回はそれじゃないか!?”って。だから一番最初に『あなた』(M-3)を作ったんですよ。かつ、メジャーの最後に出した『SUPER BEAVER』(‘10)が、失われたSUPER BEAVERを取り戻した言わば『SUPER BEAVER 0』だとしたら、その初期衝動にプラスして今鳴らしたいものという意味で、『未来の始めかた』が『SUPER BEAVER Ⅰ』。アコースティックとか渋谷のソロ曲を入れたり、もっと思い切って歌と言葉だけでポップスに寄せてみた『世界が目を覚ますのなら』は『SUPER BEAVERⅡ』。で、もう何をやっても大丈夫、だからここである種完結させちゃおうっていう『361°』が『SUPER BEAVER Ⅲ』というか。初期衝動から始まって、もうベクトルは外だろうっていうのが今作の一番最初の分かりやすいテーマですね。あと、今回は1曲以外全部、“君”から“あなた”に言葉が変わっていて、それはもう明確に意識して作ったところがあるんですけど」
 
――なるほど。
 
柳沢「あと、『SUPER BEAVER』に『ヒカリ』っていう曲があって、“届きそうで届かないけれども、それを改めて追いかけ続けたい。きっとそこに何かあるはずだ”と歌っていたあの曲に対するアンサーソングが、『あなた』みたいなところがあって。だから、歌詞の“光”をわざとカタカナにしてるんですよね。あのとき見ていたヒカリは今のあなた=自分っていうことでもあるし。ようやくそういうことが歌えるようになったなって。そこから全てが、このアルバムが始まった」
 
――そもそも渋谷くんがMCでそう言い始めたのは、何かきっかけがある?
 
渋谷「自分の中で“発信すること”がハッキリしてきたのもあるんですけど、他人のライブか何かを観たときに、“嘘くさいな”と思ったことがあって。“あなたたち”なんてみんなが使う言葉なんでアレですけど、そんなの全員に共通するわけねーだろって、ふと思っちゃったんですよ。バンド4人対お客さん500人とかの話じゃなくて、全部1対1の話だと思ったんですよね。他人事だと思って聴いて欲しくなくて、全部あなたの歌なんだって言いたくて、そしたらポロッとあの言葉が出てきた。あと、柳沢がこの言葉からこのアルバムを作る以前に、そもそも俺のMCは柳沢の曲に感化されて発生するんです。ヤナギの曲を聴いて、俺が言いたいことを喋りまくる。まぁMCが長いだ何だって言われるんですけど(笑)、これって俺の中ですごく大事なことで。で、喋ったことによって曲の色がちょっと変わる。その言葉を聞いてヤナギがまたインスパイアされて、曲が出来る。またその曲を聴いて俺がMCをする。そういうサイクルみたいなものが、今回のアルバムで。だから、歌詞を見てもMCで言ったこととリンクするというか、バンドの意見になってるんだなって分かる。だから、説得力があるんだなって改めて自分でも思った言葉ですね」
 
柳沢「今までの一番のネックって、歌い手と作り手が違うことだったと思うんです。強いて言うならば俺と渋谷の関係性で。そこが別に何を話すわけでもなくナチュラルにお互いに手を取り始めて、ライブの中でお互いに循環してる感じがあるんですね。だから俺がそれを曲として渋谷に出したときに、“ヤナギこれ違わない?”っていうことは全くもってないし。そのリンク感がすごく出てきたのはありますね」
 
――柳沢くんが詞曲両方書くことが多いから、渋谷くんは言ってしまえば他人の言葉を歌う。でも、今の話を聞いていてすごく合点がいったというか。
 
柳沢「こと今作に関しては特にそうなんじゃないですかね。俺自身の葛藤じゃないというか、共にいろんなことを経験してきたが故に、こんチクショウ感が生まれる理由が結構似てる(笑)。ってことは、俺らが自信を持って今歌いたいこと、あなたに伝えたいことも、必然的に似てくるというか。そういうところは何かが生まれてるなぁって」
 
渋谷「例えば俺の言葉に出来ない感情を、MCでうわぁ~っと吐き出した想いを、俺より柳沢の方が上手く形に出来るなら、柳沢が歌にしたらいいと思うんですよ。柳沢より俺の方が遠くに飛ばせるなら、俺が投げればいい。これはバンドとしての共有の意志があるから出来ることで。ヤナギみたいにいい曲を俺は書けないかもしれないけど、ちゃんと俺の言いたいことを分かってるヤツがいる。だったらそいつが歌にして、俺がそれを遠くに投げられたら、チームとしてはいいんじゃないかって」
 
――それこそライブのMCでも、“1人じゃ何も出来ないんだ”って言ってたけど、それは決して悪いことではなくて、だからみんなでやっていく1つの理由にもなるというかね。
 
渋谷「何でこの4人でやってるのかって、そういうことなんじゃないかな? 覆い被さってくるものは個人個人で違うかもしれないけど、それを4人で作り上げていく芯には、すごく自信が持てるなって今は思ってますね」
 
 
SUPER BEAVERが見ず知らずの1対1の唯一の共通項になって
熱狂するものを生み出せたら
 
 
――バンドと共に一緒に歩んでくれるレーベル[NOiD]とやることになった流れを聞いておきたいなと。
 
柳沢「俺とヒロ(=藤原“25才”広明(ds))と、[NOiD]のYUMA(shibuya eggman)が同い年で、単純に友達で仲良いんで呑みに行ったりとかしてて。eggmanはプレス業務もやってたんで、シングル『歓びの明日に』(‘12)を出したときから全部そこに頼んでたんですよ。あいつはあいつで元々はブッカーなので、自分のイベントを少しずつ大きなものにしていきながら、“ビーバーは最近ライブもヤバいし超カッコいいよ!”ってずっと言ってくれて、あいつに電話をかける度に(着メロで)『東京流星群』(『世界が目を覚ますのなら』収録)が流れてイラッ!!とするぐらいずっと応援してくれてて(笑)。去年、彼が新木場STUDIO COASTで『[NOiD] FESTIVAL 2013』をやってソールドアウトさせたんですけど、そこに僕らも出て。いわゆるメロコア界隈がほとんどのイベントなんですけど、YUMAが何故ビーバーを呼ぼうとしたのか、ビーバーの歌いたいこと、ジャンルを取っ払った上で伝えたいこと、もっともっと広めたいと思ってくれた人間がいたこと…何かいろんなことに気付けて。俺もいわゆる裏方的な仕事もいろいろやってきて、自分たちだけで取り戻してきたものもいっぱいあるけど、ここからもう一歩先に届けるためには、やっぱり手伝ってくれる人が必要だと思った。ただ、もしまた握手を交わすのであれば、曲でも人でもライブでも何でもいいから、ただ純粋に“SUPER BEAVERが好きだ”って言ってくれる人とやりたいと思ってたんですよね。じゃないと、同じことの繰り返しになると思った。そう考えたときに、YUMAが“一緒にやろう”って言ってくれて。まぁ若造が集まっただけなんで、すぐにどうなるわけじゃないんですけど、それがどうにかになったときの楽しさは、相当だろうなって」
 
――そうやって動き出したアルバム『361°』のタイトルの意味的には、一周廻って、次の一歩を踏み出してるっていう。前作のインタビュー時に、“SUPER BEAVERが知らず知らずに人生になってる”という話もあったけど、メジャーで壮絶な経験をして、自分たちでレーベルを立ち上げて、[NOiD]というパートナーに出会った。今のビーバーにしか歌えないし、今だから歌える歌ばっかりだって、すごく思った。
 
柳沢「うんうんうん。そうかもしれないですね。僕ん中で1つ明解になったのは、“あなたに歌う”っていうのそうなんですけど…極端なことをちゃんと言わないとなって」
 
――それこそ前作のインタビュー時から言ってたよね。
 
柳沢「Aメロで歌ってることなんかは特にそうなんですけど、挫折は必要ないんですよね。これは経験したから言えることだと言われたらその通りだけど、それでも思うんですよね。失敗は成功の元って言うけど、失敗しないで成功するのが一番ラッキーじゃないですか。その後で痛い目すら見なかったら、幸せなまんまで何不自由なく終われる。けど人生なかなかそうはいかないから、そうなったときに何を考えるかだけの話で。でも、ぶーやん(=渋谷)がもう既にそれに対して2つ目のキーワードを俺にくれてるんですよね。最近、“どうでもいいことほど、ちゃんと言わなきゃいけない。どうでもいいことほど、歌にしていく。それがSUPER BEAVERなんだと思う”ってライブで言い始めて。例えば、“人に合わせちゃう自分、どうしよう?”じゃなくて、人に合わせて変えられるぐらいのものだったら、別に大切じゃないだろうって。そういうことって別に言わなくてもいいんですけど、すごく大事なことだったりするじゃないですか。そういうことを、ちゃんと歌にして歌いたいなって最近すごく思ってますね」
 
――でも、それってやっぱり=挫折の痛みを知ってるからだと思うよ。
 
渋谷「みんな天才じゃないんで、経験しないと分からないことが当然あって。やっぱりこの曲たちを、何も知らずには歌えないんですよね。いろんなことがあって、ようやく笑っていられるようになって、今はその先に来た感じはしますね。当時のあの経験が何だったのか…当初はあんなことになるとは思ってないから、辛いだ悲しいだの気持ちでいっぱいになっちゃうけど、でもきっと、そういうことがあって今の俺らがいるわけで。この歌があれば、あの当時の俺らに聴かせられたら、何か見えるものがあったんじゃねぇかって、俺も歌ってて思うんですよ。あの当時の俺らがこの歌を聴いたら、背中を押されたんだろうなってすごく思った。そんな状態の人って腐るほどいると思うんですよ。さっきヤナギが言ったみたいに、苦労も挫折もしないでそのまんま死んじゃえたら楽なのに、人は絶対にどこかでつまずいちゃう。そういう人たちに向けての歌は、今の俺らじゃなきゃ歌えないのかなって思いますね」
 
――その“みんな”で思ってんけど、今回のアルバムって“みんなでライブ行こうぜ”みたいな感じじゃなくて、1人1人が集まってみんなになる、というか、それがビーバーの曲だなってめっちゃ思った。
 
柳沢「いや、ホントそう思う。例えば、好きなバンドのライブに誰かと一緒じゃなきゃ行けない理由がまず分からないんですよ。でも、それってライブに限らず何にしてもそうじゃないですか。洋服を買うにも“いいんじゃない?”のひと言がないと買えなかったり。そういうのって誰しもにあるような気がしていて。でも、今思うのはSUPER BEAVERが見ず知らずの1対1の唯一の共通項になって、熱狂するものを生み出せたらなって。そういう意味ではホント、1つ1つが集まっての1つ、にはなってきてるのかもしれない」
 
渋谷「まぁ集団なんてものはただの“結果”なんで」
 
――今作はよりSUPER BEAVERの言葉なのに、より外を向いている。立場は違えど、何かヒントを欲しがってるヤツに、ものすごく説得力のある言葉というか、混じりっ気のない言葉をガンガン届けられてるなぁと。
 
渋谷「ただおもしろいことに、1つも“答え”じゃないと思うんですよね。道は自分で決めなさいっていう」
 
柳沢「そうねぇ…吹っ切れた気もないしなぁ…(ボソッ)」
 
(一同笑)
 
渋谷「いや、ホントにそうなんですよ(笑)」
 
柳沢「もう吹っ切れたというよりも、何なら全然今だって不安だし、焦ってる。“もう突き詰めたでしょ、ビーバーを”とも思わないし。でも、端から見たら“ビーバーは好きなことやってるように見えるよね”って…。自分たちが特別なことをやってるとは思ってないというか、思えないんですよね。なぜならもっとスゲェことになってる人たちはいっぱいいるから。このまんま広がっていったら、すっごく楽しいだろうなぁとは思うんですけどね」
 
――そうだね。でもまぁ人生どうなるか分かんねぇもんな。自分たちが思うことをやるしかないというか。
 
渋谷「うん、そうなんですよね」
 
 
誰かがカッコ悪いって言おうが
自分がカッコいいと思うものが一番カッコいいに決まってるんだから

 
――まぁでも、今回は内容的にもスゲェいいよ。ホント頑張ったよね。
 
柳沢「いやぁ、いい曲書いたと思いますよ、マジでマジで(笑)」
 
――(笑)。『愛の愛の』(M-4)も『まだ』(M-7)も『サイレン』(M-8)もいいもんな~。リード級の曲が結構ある。
 
柳沢「そうなんですよ(笑)。今回は『あなた』をリードにして、一応『ありがとう』(M-10)もPVを撮ったんですけど、『361°』(M-2)だったり、もっと言うなら『鼓動』(M-9)とかなんてちょっと前までだったら絶対リード曲だったと思うし。ホンットにどれでもいいなって話してたんですよ」
 
――『×』(M-6)=バッテンも新しいし。作曲がSUPER BEAVERになってるけど、ジャムって出来たみたいなこと?
 
柳沢「もうスタジオで。これは早かった。ぶーやんのMCの延長線上をそのままパッケージしたいのがあったんで」
 
――『サイレン』の“優しい嘘つきの嘘を 暴きたいと思うんだ”とか、“苦しまないための自己犠牲が”とかも、かつての自分たちへの言葉だと思うし。だから今、インタビューで言ってること、MCで言ってること、歌詞で書いてることが全部が合致してる。曲を作るためだけの言葉ではないというか。
 
柳沢「そうですね。バンドとしての動き方も、歌詞で歌ってることとの整合性は絶対に取り続けたいと思うし」
 
渋谷「俺は今すごくおもしろい状況にあると思うんですよね、SUPER BEAVERは」
 
――ホントそう思うわ。前にも言ったけど、今年の1月に『心斎橋の如く2014』のステージを観たとき、“あれ、この人たちもしかしたら武道館に立てるかもな”って初めて思った(笑)。
 
柳沢「フフフフフ(笑)」
 
渋谷「それを聞いちゃうと、もうどうしたらいいか分かんない(笑)」
 
(一同笑)
 
――それこそ、そこにいるお客さんって、全国から1人1人来るんだろうな、みたいな。何かそんな感じがした。
 
渋谷「“大勢で来るな!”って言ってるんじゃなくてね(笑)。“1人でも来られるでしょ?”って。今は誰かがカッコいいって言ってるものがカッコいいみたいな風潮がどうしてもあって。情報が多い分、自分で考えなくなっちゃってるのを感じるんですよ。誰かがカッコ悪いって言おうが、自分がカッコいいと思うものが一番カッコいいに決まってるんだから。バンドはそれをやればいいし、お客さんはそれを観ればいいと思ってるんですよ」
 
柳沢「それこそ『愛の愛の』でも言ってるけど、確信がないから信じられないのか、信じるから確信になるのかは、逃げるのか、とりあえずやってみるのかっていうだけの話で。今作に対する僕らの気持ちがそうなんですけど、何かいける気がするんですよね(笑)。ただ単純な楽曲がどうこうじゃなくて、ようやく全部が繋がってきた。ずっと無駄だと思ってましたけどね、過去なんて。最近、世間のシーンだったり、近しいバンドが盛り上がってるだどーだって、自分たちと比べることをしなくなったんですね。スゲェ! マジで!? とかは思うんですけど=自分たちが劣ってるとは全く思わなくなった。昔はちょっとそういうのもあったじゃない?」
 
――いやぁ~それは意識しちゃうよ。当たり前のことよ。
 
柳沢「そういう意味では、ジタバタしなくなったんですよ」
 
――最高傑作って簡単に使う言葉じゃないけど、ホントに毎回超えてくるから。やっぱすごいよ、今のビーバーは。
 
柳沢「いや、嬉しいっす」
 
渋谷「それを、端から見てくれてる人から言ってもらえるのが一番大事っすね。当然やってる側は毎回そのつもりでやってるんで。僕らにはすごく自信になります」
 
 
ただ全力でやればいいっていう状況が4人みんなにある
 
 
――細かいことを聞いていいですか? 『ありがとう』で、“死んじゃうから僕らは”って言うけど、まだ死をリアルに感じる歳でもないとは思うんだけど、何でこの言葉が出たのかな?って。
 
柳沢「おばあちゃんが死んじゃったときに『星になりゆく人』(『未来の始めかた』収録)を作って。失った後に気が付くとか言うじゃないですか? ホントは失う前に気付ければいいのにって自分でも思うし、死ってその最たるものじゃないですか。自分なのか、相手なのか、要は会えなくなっちゃう誰でもいいんですけど、究極を言うと、それぐらい分かりやすいことを言いたかった反動なんですけど」
 
――あと今回って、リズム隊もアイデアとかエネルギーをめっちゃ発してるなぁと思った。
 
柳沢「思います。ヒロとは結構話もしたし、上杉…はあの人は、何だろうね? あの人、何か1人だけサイコ野郎みたいな感じになってない?(笑)」
 
(一同爆笑)
 
――メンバーからかけられる言葉が“サイコ野郎”(笑)。
 
柳沢「あいつはファンタジスタなんで(笑)。ミラクルなんですよね、あいつのやってることって。悪い意味でもですよ?(笑) あいつ、人の服の上に普通に座ったりするんで。何で!? 何で気付かないの!?って(笑)」
 
渋谷「大事にしてる本のページが普通に折れて返ってきたりとか。マジかよ~みたいなところがある(笑)」
 
柳沢「これは昔からなんですけど、それぐらい天然発信で。でも、俺も上杉に言ったんですけど、今作はいいベースラインがいっぱいあるんですよね。ただ、今回も合宿中に上杉が料理を作ってくれたんですけど、自分のベースより煮込んでる野菜の方が気になっちゃったり(笑)。何しても悪意がないんですよ。フレーズは多少は考えてるんでしょうけど、それはやっぱり積み重ねてきたものだと思うし。ヒロとはまぁやり合ったし、もっともっとって表現しようとしてくれる熱量はドンドン上がってきてる。そういう意味では、一番ギターを弾いてないのが俺なんだけど(笑)」
 
――いやぁ『361°』のオープニングのギターとかもめちゃいいし、『サイレン』もカッコいいもんなぁ~リフ。『愛の愛の』もBメロのギターも良い。
 
柳沢「ホントっすか(嬉)。特筆すべきところはそこら辺ぐらいって、冗談ですけど(笑)。ただ、少しずつ個々の立ち位置が濃くなってきてる気はします」
 
渋谷「上杉なんかは特に、無邪気に音楽に徹していると思うんですよ。藤原もドラムドラムドラム!っていう風に」
 
柳沢「あいつはストイックだからね。超真面目だし」
 
渋谷「まぁそういう風に自分の立ち位置みたいなものが明確になってくると、楽チンですよね。俺はもう手放しで遊ばせてもらってるし、好きなことを、好きな風に歌わせてもらってるから。ただ全力でやればいいっていう状況が4人みんなにあるんだと思います」
 
 
SUPER BEAVERは俺たちのものあり、誰のものになってもいいんです
 
 
――最後に。『361°』の歌詞の中に“譲れないものがある”という言葉がありますが、それを聞かせてもらいたいなと。今思う“譲れないもの”って何なんだろう?
 
柳沢「いやぁ~もう、“今の楽しいこの感じ”ですね。かつてこれを譲っちゃったから、全ての歯車が歪んだんで。前回のインタビューで、“音楽はただ音楽だと思ってた。けど人生になった”って言ったじゃないですか。それをもっと平たく考えたら俺、分かったんですよ。冗談じゃなくて大マジで、美味しいお酒を呑みたいだけなんです」
 
――俺、Twitterでそのつぶやきを見て、スゲェ分かると思った。究極。
 
柳沢「要はさっき言った唯一の共通項に対して、俺らだけじゃなくて関わってくれたみんなでウワァ~ってなれたら…スッゲェ楽しいだろうなぁと思ったんですよ。俺たちが音楽を始めた一番最初って、きっとその楽しさがあったと思うんですよ。初めてライブやったときのあのワクワクとか、みんなが超カッコよかったよ!って言ってくれたあの感じ、その規模の話なだけであって。今のこのやり方だったり歌ってること、今僕たちが大事にしてるこの感じ。これは譲れないなって、一周廻って思ったんですよね。人には渡したくない、もう二度と」
 
渋谷「俺は“在り方”ですかね。嘘をつかないようにしたい。人の前に立って何かを発信する、聴いてくれる人がいる時点でお金と時間が発生していて。それでも俺らの歌を聴きたいと思ってくれる人の前で、嘘をつくようなことがあっちゃいけないと思うんですよ。俺らの今の在り方ってモロそうなんですよね。意識して自然体でいようとすら思ってない。人に何かを言うなら、嘘をつきたくないと思います。これはSUPER BEAVERをやっていく上で、最後まで絶対です。今の俺らの在り方は譲れないですね」
 
――でもきっと、それがビーバーを信頼してくれてる人の安心感だと思うし。
 
柳沢「いや~! 流石っすね。この1フレーズに関してだけは、非常に個人的な感情を込めたんです。俺、ぶーやんにも言ったよね? 自分でそういう想いを込めちゃったもんだから、歌録りしてそれを聴いてるときに、ここでむっちゃ鳥肌が立ったんですよね。“あ、これだ。こういうことを俺はやり続けたいんだ”って。流石っすね。そんなの、最後にブッ込んでくるんですね(笑)」
 
――取材メモ唯一の二重線が引いてあります(笑)。
 
渋谷「アハハハハ!(笑)」
 
柳沢「SUPER BEAVERは俺たちのものであり、誰のものになってもいいんですよ。いいんですけど、俺たちが自信を持って確固たる意志でやらないと、受け取ってもらったときに“全然違うじゃん! 嘘っぱちじゃん!”みたいになるから。それだともう一気にカッコ悪くなるんで」
 
渋谷「まぁ嘘はバレるし、伝わっちゃうと思うんですよね、MCでも何でも。まぁ意志があれば虚勢もアリだとは思うんですけど、嘘は嫌だな、ホントに。いろんなことに対して」
 
柳沢「女子かお前!(笑)」
 
(一同爆笑)
 
柳沢「嘘だけはヤダ~何やってもいいから嘘だけはつかないで~って(笑)」
 
――嘘をつかないという指針が1つあれば逆に迷いはないし、めっちゃ気持ちいい生き方が出来るもんね。いやぁでも、今日もありがとうございました、長々と(笑)。
 
渋谷&柳沢「こちらこそ(笑)。いつもいつもありがとうございます。ホントに」
 
――じゃあ全力でライブして、その後また飲みましょう(笑)。
 
渋谷&柳沢「アハハハハ!(笑) ありがとうございました!」
 
 
Text by 奥“ボウイ”昌史



(2014年5月15日更新)


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Movie Comment

渋谷(vo)&柳沢(g)が語ります!
SUPER BEAVERからの動画コメント

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Release

魂を鼓舞される感動の全11曲
音楽の力を再確認する最新アルバム

Album
『361°』
発売中 2500円
[NOiD]/murffin discs
NOID-0001

<収録曲>
01. →
02. 361°
03. あなた
04. 愛の愛の
05. センチメンタル
06. ×
07. まだ
08. サイレン
09. 鼓動
10. ありがとう
11. 約束。

Profile

スーパー・ビーバー…写真左より、上杉研太(b)、藤原“25才”広明(ds)、渋谷龍太(vo)、柳沢亮太(g)。’05年結成、東京都出身。’07年に下北沢CLUB251にて初のワンマンライブを行いソールドアウト。’08年11月インディーズにてミニアルバム『心景』をリリース。初の全国ツアーファイナルの渋谷O-WESTワンマンもソールドアウトを果たす。’09年6月にシングル『深呼吸』でメジャーデビュー。同年11月に発売された3rdシングル『シアワセ』は魔法のiらんどとM−ON!の連動企画『ボクとキミ.com』で視聴回数100万回を超えるなど、そのメロディと歌詞の世界感は多くの共感を得る。同年11月には1stフルアルバム『幸福軌道』をリリース。ツアーファイナルの代官山UNITは大盛況の内終了。’10年10月に3rdミニアルバム『SUPER BEAVER』をリリース。映画『ソラニン』のプロデューサーの耳に止まり、劇中に登場するバンド“ロッチ”に『SUPER BEAVER』収録曲『ささやかな』を提供し話題に。’11年秋、所属レーベル&事務所を離れ、’12年には自主レーベルI×L×P× RECORDSを設立。同年4月にはシングル『歓びの明日に』を会場限定リリース、7月にはアルバム『未来の始めかた』を発表。’13年4月にはミニアルバム『世界が目を覚ますのなら』をリリース。同年10月に渋谷eggmanのmini muff records内に発足した新ロックレーベル[NOiD]とタッグを組むことを発表。12月には『あなた(Another Ver.)』を会場限定発売。’14年2月12日にアルバム『361°』をリリース。なお、柳沢は堤真一主演の映画『俺はまだ本気出してないだけ』主題歌となったSCANDALのニューシングル『会わないつもりの、元気でね』の作詞作曲を手がけるなど、ソングライターとしても活躍中。

SUPER BEAVER オフィシャルサイト
http://www.super-beaver.com/

Live

関西圏でのライブも続々開催
7月にはあの『京都大作戦2014』に!

 
【大阪公演】
『「361°」Release Tour 2014
~周回する、ラクダ~』
Thank you, Sold Out!!
▼5月17日(土)18:00
LIVE SQUARE 2nd LINE
オールスタンディング2500円
[ゲスト]04 Limited Sazabys
GREENS■06(6882)1224

【京都公演】
『ROTTENGRAFFTY
 THE END OF THE WORLD
 PRE TOUR 2014』
Thank you, Sold Out!!
▼6月10日(火)18:30
KYOTO MUSE
オールスタンディング3300円
[共演]ROTTENGRAFFTY/lynch.
サウンドクリエーター■06(6357)4400
※未就学児童は入場不可。

【大阪公演】
『撃鉄 presents
「NO UNDERGROUND」release tour
~バーいってバーやっちゃおうよ~』
チケット発売中 Pコード227-163
▼6月13日(金)19:00
Fandango
オールスタンディング2500円
[共演]撃鉄/Awesome City Club
清水音泉■06(6357)3666
※小学生以上は有料、未就学児童は入場不可。

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【大阪公演】New!
『見放題2014』
チケット発売中 Pコード229-897
▼7月5日(土)13:00
心斎橋アメリカ村周辺ライブスペース15会場
自由3500円
[出演]THE ORAL CIGARETTES/感覚ピエロ/フィッシュライフ/BURNOUT SYNDROMES/QOOLAND/BAND A/Qaijff/夜の本気ダンス/ココロオークション/シナリオアート/Shiggy Jr./水曜日のカンパネラ/東京真空地帯/ヒラオコジョー・ザ・グループサウンズ/GOODWARP/ふるきよきじだい/フロムTokyo/最終少女ひかさ/ウサギバニーボーイ/ステフアンドジミー/SAPPY/Moccobond/Halo at 四畳半/Half moon spiral/PURPLE HUMPTY/ジラフポット/愛はズボーン/みるきーうぇい/NUMBER VOGEL/BARICANG/HAPPY/The Sound’s Pierrer/前川サチコとグッドルッキングガイ/宮田ロウ/THE SiX BULLETS/The denkibran/ARKS/DENIMS/クリトリック・リス/フレデリック/森山タカヒロバンド/ミソッカス/Applicat Spectra/DOOKIE FESTA/ウラニーノ/nothingman/RED JETS/プププランド/宇宙コンビニ/ヒグチアイ/ハツカネズミは笑わない/Shout it Out/まがりかど/THE MAN/トリプルファイヤー/DABIDE’S fire/THEラブ人間/南壽あさ子/シガキマサキ/the equal lights/コンビニマンションテクニカラー/homme/Suck a Stew Dry/ENTHRALLS/ユビキタス/オカダユータ/toi toi toi/井乃頭蓄音団/craft rhythm temple/フクザワ/Lamp in terren/グッバイフジヤマ/KAMAMOTOMIKA/ANATAKIKOU/DPG vs ブラックDPG/カラスは真っ白/(M)otocompo/ナンデードーシテー/クウチュウ戦/DAMBO/ふぇのたす/ 花泥棒/the peggies/ぽわん/fifi/ドラマチックアラスカ/ぱいぱいでか美/佐々木健太郎/Large House Satisfaction/ルルルルズ/Theキャンプ/Rhycol./PRIMAL CURVE/葉山久瑠実/SUPER BEAVER/他
americamura FANJ twice■06(6484)3880
※小学生以上は有料、未就学児童は保護者同伴に限り無料。前売り特典付き(コンピレーションCD「ここにある音楽6」当日プレゼント)。会場、開演時間の変更、また出演者の変更・キャンセルに伴う払戻しは行いません。詳しくは見放題オフィシャルホームページhttp://www.mihoudai.jpをご確認下さい。

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【京都公演】
一般発売5月24日(土)
※発売初日は店頭での直接販売および特別電話■0570(02)9530(10:00~23:59)にて受付。
Pコード224-483
▼7月6日(日)11:00
山城総合運動公園 太陽が丘特設野外ステージ
7/6入場券5800円
[出演]Ken Yokoyama/10-FEET/東京スカパラダイスオーケストラ/Dragon Ash/Fire Ball with Home Grown/MONGOL800/ROTTENGRAFFTY/SA/SUPER BEAVER/Northern19/FOUR GET ME A NOTS/フーイナム/HOTSQUALL/MOROHA/他
サウンドクリエーター■06(6357)4400
※雨天決行・荒天中止。小学生以上は有料、未就学児童は保護者同伴の場合無料。アーティスト変更による払戻しは致しませんので予めご了承下さい。

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Column1

“NO SUPER BEAVER, NO LIFE”
人生を懸けたミュージック・ライフ
は何処へ向かうのか――?
問答無用の歌力が覚醒した
傑作『世界が目を覚ますのなら』
全てを語った前回インタビュー

Column2

もう一度音楽を取り戻せ!
メジャー離脱、自主レーベル設立
起死回生の新作『未来の始めかた』
SUPER BEAVERがバンドの崩壊
とその復活劇を語る!
大反響を呼んだ初登場インタビュー