ホーム > インタビュー&レポート > 「常に全力でいたいし、そういう人間が集まってビーバーは動いてる」 SUPER BEAVERが貫いてきた一生懸命というプライド アニメ『僕のヒーローアカデミア』テーマ曲『ひたむき』から 自主企画『現場至上主義2023』、’22年の総括etcを語るインタビュー
隙間とか休符すらリズムであり、音として表現できるんじゃないか
――前回のインタビュー=『The Documentary of SUPER BEAVER 『東京』 Release Tour 2022 ~東京ラクダストーリー~』の映像でも触れられていたけど、ホールツアーの広島公演のMCで、かつて足しげく通った広島Cave-Beの話になって。そのライブ中にスタッフが即ライブハウスのスケジュールを押さえちゃったエピソードで盛り上がったけど、先日、もうそのライブも終えて。ビーバーは伏線の回収が早い!
渋谷(vo)「すごく楽しかったですよ。7年ぶりの実感はなかったですけど、ずっと埋めることができず心残りだった250キャパのあの箱に戻れて、単独公演をソールドアウトできたのは、着実に一歩ずつ進んでいる感覚がありました。最近はアリーナツアーをやらせていただくようになったり、規模が少しずつ大きくなっているバンドの酔狂みたいに思われなかったのもよかったですね。地続きの活動だからこそ"何で?"じゃなかったと思うし」
上杉(b)「今のバンドのポテンシャルでしっかりやれたのと、単純にいいライブだったし、ライブハウスはやっぱり楽しいし、最高だなと思いましたよ」
藤原(ds)「たまたま7年前と同じ日付だったのもビックリしたし、前回はThe BONEZと初めてツーマンをやった日で。"広島で動員を伸ばすにはどうしたらいいんですかね?"みたいな話を打ち上げでしたのを思い出しました(笑)。喫煙所の時計とか貼ってあるポスターも当時のままで、この7年間、何も変わらずそこにあったのに僕らが行かなかっただけなんだなと思って。改めてバンドとして、どういう思いでどこでライブをやるのか、誰に会いに行くのか、みたいなことを、今一度見つめ直せた。あのライブハウスの空気を吸って、景色を見て、再確認しましたね」
柳沢(g)「当時はいなかったホールやアリーナを一緒に回っているスタッフと、この7年の間にいろいろと試行錯誤した音をライブハウスに持って帰る感覚もあったし、シンプルに7年前よりいいライブを見せられた。"思い出の場所に帰ってきました!"だけの日じゃなかったのは、すごくよかったなと思ってますね」
――"あの頃にあったものを失ったな..."じゃない今を感じられるのはいいよね。そんな中、ニューシングルの『ひたむき』のリリースに関しては、割と早い段階からアナウンスされていましたけど。
柳沢「振り返ると多分、夏前にはもう」
藤原「ホールツアー中にRECしてましたから」
柳沢「人気のアニメなので制作スケジュールもだいぶ前から用意されていて。アニメって楽曲に合わせてオープニングやエンディングの絵を作ってくださるじゃないですか。そうなると、ある程度のテンポだったり構成の決まった楽曲を早いタイミングでやりとりしたいと思うので」
――依頼はビーバーご指名とうれしい限りだけど、それ以前から作品は知っていたの?
柳沢「僕は原作コミックを元々読んでましたね」
――ずっと思ってたんだけど、ビーバーの中で漫画をよく読んでるのは柳沢くんだよね。
上杉「もう、圧倒的に読んでる!」
――主題歌系のインタビューになると、だいたい原作を"柳沢くんが読んでいて..."みたいな話になるから。
柳沢「あんまり言ってこなかったんですけど、子どもの頃から漫画がすごい好きなんですよ。ただ、読み始めると止まらない=趣味として公言しちゃうともう自分に歯止めが効かないから、言わないようにしてたんですよね。けど、コロナで'20年にいろいろ止まったときに諦めて、読みふけることに決めました(笑)」
――自分の大好きなエンタメのコンテンツである漫画の主題歌を、ちょくちょくやれるようになったのは光栄だね。
柳沢「すごくありがたいなと思ってます。そもそも(作品を)知ってるか知らないかは大きなアドバンテージだと思うし。ただ、今回のアニメは人間模様が丁寧に描かれている作品で、日々ビーバーが考えていることとそんなに違いはないと思えたので、作り方としてはそこまで変わらなかったかもしれないですね」
――『ひたむき』(M-1)はインパクト大なイントロのギターリフ、そこから歌が始まるまでも最短距離で離脱させないスピード感=サブスクにも対応しているし、緻密に構築されたモダンなロックサウンドになっているなと。
柳沢「一つ一つの楽器がより存在感のある音を作りさえすれば、隙間とか休符すらリズムであり、音として表現できるんじゃないかというアプローチは、アルバム『東京』('22)を作っているときから話してきたことなので、地続きでつながったのかなと。結局、歌が始まればどうやったってSUPER BEAVERなので、あとはその歌に対する景色の作り方を、今までとはまたちょっと違った立体感を意識して作りましたね」
上杉「ベースは音の塊を豪速球で投げるような、ギターが"ドーン!"と鳴っているのとくっついて塊になるようなサウンドから、ドラムの一つ一つの点とベースを本当に綿密に構築して、細かいフレーズをバシバシ入れても軽くならない、技術とか間がより求められるシビアな音作りでもバンドの良さが出るサウンドになって...『ひたむき』はそんな最近のビーバーの空気感が分かりやすい楽曲だと思いますね」
――音像はすさまじさを増しても、全ての音がクリアで沈まない。
藤原「デモの段階からドラムの手数も多くて、ワンシーン/ワンシーン全部違うことをやって"ブワッ~!"と終わる。それは他の楽器もそうで、今までならリズムのパターンが複雑過ぎるとメロディを殺しちゃうからシンプルにしてたんですけど、『ひたむき』はそれぞれがバラバラなアイデアを放り込んでも、俯瞰で見るとちゃんと曲として成立してる。メロディがめちゃくちゃいいからこそ、"あえてそういうチャレンジをしてみても面白いかな?"というところからこの曲は始まったんで、ドラムは結構叩きまくった感じはありますね」
――この曲にはシンガロングやクラップも入っていて、コロナ禍を経てそういったところが改めてアレンジに反映されると、また違う重みと響きがしますね。
柳沢「積み重ねてきた上で湧いてくる新たなアイデアとか、試してみたい純粋な好奇心が、今回はすごくあったと思います。ちょっと音楽的な脳味噌を開拓したい気持ちは、楽曲の構成とかアレンジにも表せたんじゃないかな」
"ロックバンドが一生懸命とかダサいから二度と言うな"
と言われたことがあったんですよ。それがずーっと心に残っていて、
絶対にひっくり返してやろうと思ってやってきた
――あと、『ひたむき』というタイトルも本当にビーバーらしいというか、ビーバーにとっては"あいうえお"と同じだなと思ったぐらい(笑)、真芯を捉えた言葉に感じて。
柳沢「アハハハハ!(笑) そうですね。『ひたむき』というワードはホールツアー中に出てきたんですけど、それでいろんなことが一気にまとまった感じはあって。SUPER BEAVERの歩みであったり、今なお続くバンドとしての在り方を一言で表すなら、まさにこういうことだろうと。なおかつ、今回のアニメ作品においても主人公たちの歩みとか姿勢を表すにもピッタリだなと思って。『ひたむき』ってね、結果の言葉じゃないと思うんですよ」
――なるほど、物事の"過程"で問われる姿勢というか。
柳沢「これからも続いていくさまを指す言葉というか...そこがまたいいなと思って。あと、前回のインタビューでも話に上がりましたけど、ホールツアーだとその土地柄をより強く感じられるというか、市民会館とか生活由来の匂いがする会場が多くて。ライブの日を楽しみに、それまでの生活をそれぞれが頑張ってきた空気を各地で目いっぱい感じる中で、その姿が『ひたむき』に見えたのもあったんじゃないかと」
――ビーバーの姿勢でもあるけど、お客さんから感じた波動でもあったと。
柳沢「年々、"一生懸命"って本当にいいなと思うし、それをすごく感じさせてもらったツアーだったからこそ、出てきたワードなのかなとは思いますね」
――俺が『ひたむき』ですごくいいなと思った一行が、"意味はずっと 意志そのもの"で。今って、"それって意味あるんですか?"とか答えを自分で見出さずに他人に求めたり、生産性とか効率性だけで物を語ることが多い気がして。ひたむきに、一生懸命に生きていくのはダサい、ライフハックとして間違ってる、みたいなインフルエンサーの意見に飲まれそうになる世の中で、相変わらずビーバーのそういう目線に救われるなと。
渋谷「最初のメジャー期にMCで"一生懸命"と言ったら、ある人に"ロックバンドが一生懸命とかダサいから二度と言うな"と言われたことがあったんですよ。それがずーっと心に残っていて、絶対にひっくり返してやろうと思ってやってきた。なぜなら、一生懸命やらなければ報われるわけがないとその頃から思ってたから。ただ、一生懸命=ガムシャラに終わってしまうことも多いし、むやみやたらに、闇雲に、というのは少し危ないなと。何でそうしたいのか? どうしてそう思うのか? そういう意志があってこそだと思ってるから。SUPER BEAVERを表す揺るがない地盤を作れたと思うからこそ、この姿勢をずっと貫きたいと思ってきたんで。だから、一生懸命という言葉が好きなんです。一生懸命な人間のことをバカにできる人間なんか誰もいない。なので、この曲の歌詞の世界観は、もちろん主題歌という側面もあるんですけど、しっかり自分たちの曲だなと、歌詞からもすごく感じていました」
――何年越しかでこうやって形にして、その意志を叩きつけられるのは痛快ですね。
渋谷「ね。やっぱり言われたことって、良くも悪くも、プラスもマイナスもずっと残っちゃうから。それがコンプレックスのまま、後悔のまま終わるのかを考えると...本当にバンドの姿勢そのものだと思うんですけど、あの経験があったから今こういうバンドになってるという証を作りたいと思っちゃうんですよね。どうせ自分の中に残っちゃうなら、恩返しも仕返しも(笑)、ちゃんとしたいなとずっと思ってる人間ですね。まぁ"仕返し"というのはあんまりいい言葉ではないですけど、やられたからやり返すじゃなくて角度を変えて、そのやられた部分が強くなっちゃったが故、今ではそこが武器に、自慢になってます、みたいなことは、やっぱりやりたいんですよね」
――ビーバーは相変わらず勇気づけられることを歌にするよね。だからか最近は、"ビーバーの歌に本当に救ってもらってるんで、メンバーに会ったら伝えといてください!"とか伝言を頼まれるようになったよ。
柳沢「いや~そんなにうれしいことはないですね」
上杉「ありがとうございます!」
――歌詞の最後の"でも"の使い方も、すごくいいなと思って。言い訳の"でも"じゃなくて、希望につなぐ"でも"こそが、人生における理想だと思うから。
柳沢「この曲の筋にあるのは、"何とかなるから大丈夫!"というより、"やめられないならやめない以外ないよね?"ぐらいの温度感の希望で。"でも"という短い言葉から、その意味合いを感じ取ってくださったのはうれしいですね。だからこそ、冒頭と最後の歌詞が一緒でも捉え方が変わって聴こえると思うんで」
――余談だけど、柳沢くんが"断捨離ができる人間になりたい"と言っていたのを見て、断捨離ができないからビーバーの歌ってあるような気もした(笑)。どこかで消えない気持ちも思い出も取りこぼさず全部持っていくというか。
柳沢「思い出や記憶って更新されていくけど、例えば、"打ち上げで奥さん(=筆者)たちとみんなで食べたあのお好み焼き屋さんの風景はよかったな"とか今日現在でも思い出しますし、ああいう日を何度でも何度でも作れたらいいなと思うんですよ。人生いろんなタイミングで一時期疎遠になるというか、時に会う間隔が空いたりもしますけど、だからもう会わないのか、仲間じゃないのかと言うとそうじゃない。いちいちあった全部をあれもこれもずっと持っていきたいという気持ちは、ビーバーというバンドの一つ特徴なんじゃないかとは思いますね」
どの場所で、どの温度感で、どんなふうに伝えるか
――カップリングは『秘密 -Acoustic ver.-』(M-2)で。意外とアコースティックってやってこなかったんだなと。
柳沢「チケットの払い戻しの代わりに特別音源(=『正攻法』と『予感』のAcoustic ver.)を作りはしましたけど」
藤原「リリースしたのは『歓びの明日に(Acoustic ver.)』(=『世界が目を覚ますのなら』('13)収録)ぐらいかな?」
――来年のアコースティックツアーの布石もあるとは思うけど、今なぜ『秘密』を、今なぜアコースティックで、というのは聞いておきたいところだなと。
上杉「もちろんアコースティックツアーの件もありますけど、ホールツアーで『秘密』をやったのもあって、最新のバンドの姿勢を改めてパッケージしたい気持ちが出てきて」
柳沢「ライブにおける『秘密』は、シンガロングありきで育っていった楽曲だった。故に(コロナ禍で一度は)セットリストから外れたんですけど、こういう状況下でもずっとライブをやってきて、今一度コーラスワークをしっかりやっていこうという会話が'20年から続いてきた上で、4人だけで表現する『秘密』を、シンガロングとは真逆のアプローチで、今なら届けられるんじゃないかと。あと、"そもそもこのサブスク時代に、カップリング(の存在意義)とは?"みたいな話もあって。せっかくなら『名前を呼ぶよ』('21)のリリース時に『東京流星群』を再録したように、これまでの楽曲をまた違った聴かせ方をするのがいいんじゃないかって」
――ただ、いざ聴いてみると、想像していたアコースティックとは違いましたね。
柳沢「"この曲のアコースティックバージョンは想像がつかないだろうな"という曲をチョイスするのと、ガラッと服を着せ替えた方がドキッとして、より楽しんでもらえるんじゃないかというのがあって、どんどんこういうアレンジになっていったという(笑)。セッションみたいな感じで、最初にリーダー(=上杉)がジャッジャッジャッ、ジャッジャー♪というリズムを弾いたと思うんですけど、それにヒロ(=藤原)が合わせて、"あ、何か今のカッコよかったな"というところからループしていって」
渋谷「自分たちが歩みを長く続けていく上で、ターム/タームで目次に載るような曲があるんですけど、『秘密』はそういう楽曲で。ただ、ずっと歌い続けてきた楽曲だけど、アレンジが変わったときのテンポと言葉数がかなり難しいなと思いました。バンドサウンドだからどうにかなる言葉の速さがあって、最初にもらったデモのテンポでこのアレンジとなると、ボーカルだけめっちゃ浮くなと感じて。明確に届けるにはもうちょっとテンポを落とした方がいい。でも、これ以上テンポを落とすと間延びしちゃう、みたいな。これは自分の努力だけではどうしようもない部分があったので、相談させてもらいましたね」
――既発曲とは言え、そういう微調整がちゃんとあって。
渋谷「"どの場所で、どの温度感で、どんなふうに伝えるか"を散々考えてきたからこそ、即したトーンでやらないと伝わらないなと思ったんですよ。一番ズバッと刺さるところを探したかったんで」
――ツアーの会場となる東京・COTTON CLUB、ビルボードライブ大阪、ファイナルの東京・NHKホールも初出演で。そもそもアコースティックツアーをやろうと思ったのは?
柳沢「これはNHKホールだけものすごく前から決まってたんですよね」
藤原「じゃないと取れなかったんじゃない? 人気の会場だから」
上杉「押さえられるときに押さえておこうと。取れたからラッキーと思ってたんですよ」
柳沢「その後、ビルボードライブ大阪から話をもらって、面白そうだなということになって。COTTON CLUBにはリーダーの知り合いがいて、"いつかやろうよ"みたいな話もあって」
上杉「ビルボードライブでできるなら、COTTON CLUBもアリだなと思ってその話を持ち出して...」
柳沢「'23年の年明けならハマりそうとなって、"あれ? その時期にNHKホールが決まってなかった?"って(笑)」
――結果、奇麗にアコースティックツアーとして収まったと(笑)。こういう会場で歌う渋谷くんを、みんな見てみたいなと思ってるんじゃないかな?
渋谷「その辺は割と得意な方なんで、いつもと全然違うなと思ってもらいたいですよね。"こうやって聴くと、あの曲がよかったな"とか、"自分の人生と照らし合わせて、この部分に思った以上に感動しちゃった"、みたいなことが起こり得るチャンスだとも思うので、しっかり歌いたいな...って、いつもしっかり歌ってるんですけど(笑)
『現場至上主義』にはライブがカッコいいなと思う人しか呼ばない
――そして、アコースティックツアーの次は久々の『現場至上主義2023』で。元々'20年に開催予定だったのがコロナで中止になって、結果、ビーバーが自らブッキングするイベントとしては『Bowline 2018』以来5年ぶりと。'20年当初に声を掛けていたバンドを中心としたメンツですが、このタイミングでやろうとなったのは?
渋谷「いやもう広島Cave-Beと同じ話ですよね。やりたかったのにできなかったことを、そのまんまにしておくのは嫌だなぁと。特に『現場至上主義』は他のバンドではできないことだとちょっと思ってるし、またやれるようになったらすぐにでもとは思ってました。あと、俺らは対バンが好きでそれをずっとやってきたバンドなのに、コロナ禍に入ってからは全然やってなくて。逆に呼んでいただいたりフェスやイベントに出ることはあったんですけど、これを皮切りに、という意味合いも少しありますね」
――ビーバーの自主企画のブッキングは、毎回めちゃめちゃアティチュードが伝わってくるもんね。
渋谷「まぁ刺さる人には刺さってる(笑)。それがすごく面白くて。だから出演者を発表したとき、主にアンダーグラウンドのいろんな方たちから"だからお前らは信頼できるんだよ"みたいな連絡がめっちゃ来ました(笑)。そのためにやってるわけではないですけど、俺はそうやって音楽の幅を広げてきたし、ライブハウスの魅力に気付いた人だから、自分たちのスタンスを貫く上で、知らないバンドに出会えるドキドキを提供することは、この先も絶対にやっていきたいなと思ってるんですよね。なので、『現場至上主義』にはすごく意義を感じています」
――フェスも対バンもどこも同じような顔ぶれになっていくことが多い中、それこそ明確な意志とスタンスを感じるし、そりゃ信頼するよね。ただ、個人的に一番意外だったのが大阪公演に出演するスキマスイッチで。
渋谷「スキマスイッチの大橋卓弥(vo&g,harmonica)さんとは飲み友達で、ライブを見に行かせていただいたりもして。この夏の『MONSTER baSH 2022』の後に一緒に飲ませてもらったときも、"ライブ、ヤバいよ!"と感動してくれて、1時間ぐらいずーっと褒めてくれたんで、この勢いで口説いたらいけんじゃね? みたいな(笑)」
――アハハハハ!(笑)
渋谷「"自主企画に誘ったら出てくれます?"と聞いたら、"絶対に出るよ!"と言ってくれたので、後日、改めてちゃんとオファーしたら快諾してくださって。まさかスタパン(=STANCE PUNKS)と同じ日だとは思ってもみなかったでしょうけど(笑)。でも、これでスキマスイッチを見に来た人がスタパンと俺らのライブを見て、スタパンを見に来た人がスキマスイッチを見て...オープニングアクトには鋭児に出てもらうんですけど、『現場至上主義』にはライブがカッコいいなと思う人しか呼ばないと決めてるんで、ここで"何か面白いじゃん!"とワクワクしてくれただけで大成功。それで、またライブに行きたいなと思ってくれたら一番いいなという、すごく単純な動機なんですよね」
――ビーバーならではというか、ビーバーじゃないと成立しないだろうね。
渋谷「俺らが組まなかったら、スタパンとスキマは一緒にやってないと思います。『現場至上主義』に関しては、"俺らだから"という部分は絶対に出したい。他じゃまずやれないだろうなと思ってるから」
18年やってきて今が一番カッコいいと思える
――年内はアリーナツアー『都会のラクダSP 〜東京ラクダストーリービヨンド〜』がまだ残っていて。すでに大阪城ホールで見させてもらいましたけど、巨大なモニターの使い方しかり、ちゃんと前ツアーを超えたグレードアップがあって。進化を感じられました。
柳沢「まだまだやり慣れたレベルではないですけど、それでもやっぱり経験してきたことには想像が追いつくというか、明らかに去年の3都市6公演に比べて一本一本地に足が着き始めてる気はしますね。だからこそ、"だったらあそこの照明は"とか、"入りはこっちの方がいいんじゃないか"とか、具体的な話ができてるんで。今思えばやっぱり、去年は慣れないことが多かったよなぁ...今年は思い付くアイデアも含めてブラッシュアップのしがいがあるというか、そこは去年とは大きく違うなと思いますね」
藤原「前回より初日から全然いい感じでやれてると思いますね。ただ、ツアーとなると妙な緊張感がずっとあるから、早くそういうところを超えた先で、ライブをやれるようになれたらいいなと。あとは、同じ会場で2日間やれるのはやっぱりすごく実になるし、一日一日ものすごい経験値を得られている感覚ですね」
上杉「アリーナ公演を客観的に見られるようになって、今どんな状態なのかを味わいながらライブをやれているからこその話が、チーム内でもできるようになってきた。それがパフォーマンスにも絶対につながってると思うので」
――今やアリーナツアーをやって、あの『少年ジャンプ』に載るようなバンドになりましたから!
柳沢「初めて見に来てくださった方も大勢いらっしゃるんだなと思いますよね。よく考えると、そうじゃないとアリーナ8発なんて埋まらないですから。ライブができない時期にYouTube配信した『自宅のラクダ』をきっかけに僕らを知って、曲を聴き始めてくれた方もいるし、そういう一つ一つがつながってきているのはうれしいですよね」
――何がどう転ぶかは分からないけど、何もやらなきゃつながりもしないもんね。
柳沢「本当にそうですね。'22年は"『東京』って今年出したよね?"と思うぐらい充実した活動が送れた一年でしたし、来年もそういう意味では変わらず、思い付いた楽しそうなことをできる限りやれたらいいなと思ってますね」
――ライブスケジュールを見ても来年の6月まで発表されてるし、このツアーの長さだと、それまでに絶対に隠れてるものがあるもんね? ね?(笑)
(一同爆笑)
上杉「今年はもちろん今に至るまで、バンドとしても、自分の人生としても、過去最大級の充実感を毎日更新してる気がして。物理的にもやれることが増えたと思うし、ライブのクオリティ、細かい音作りとかも、18年やってきて今が一番カッコいいと思えるのは、本当に幸せなことだと思う。故に常に全力でいたいし、そういう人間が集まってビーバーは動いてるから。来年も引き続き楽しみながら、ワクワクしながら、やっていきたいなと思います」
渋谷「今年はすごくいい一年でした。バンドとしては過去最大ぐらい充実してたし、忙しくさせてもらえるのはとてもうれしいことで。ただ、個人としては特に何もしてないんですよ(笑)。個人単位の思い出がほぼないんで」
――それぐらいバンドに全てを注いだ一年だった。
渋谷「それが俺らが求めてたことだし、やりたいことではあったんですけど、ある程度、個人の時間の充実も考えないとなって、ちょっと思ったりもしました。じゃないともう引き出しがなくなっちゃったりするんで(笑)」
上杉「アハハ!(笑) 渋谷がそう思うのは相当だね」
渋谷「今年一年は本当に全部バンドに使ったと思うんで、そういうバランスもちゃんと考えながら、今後も楽しく活動できるようにしたいなと思いますよね」
藤原「バンドとしても個人としても、今年はいろんなトライ&エラーをした年だと思っていて。誰かがポロッと言ったことをみんなが聞き逃さず、"何か分からないけどやってみよう"とか、"やっぱり微妙だったね"とか、そういう実験が結構あって。それがコロナ禍に入ってどんどん加速して、失敗したことも多かったけど、そのおかげで意味を見出せたこともたくさんあった。だから来年も、一見無駄なこととか意味がなさそうなこともやっていきたいし。今、ぶーちゃん(=渋谷)の話を聞いてふと思ったんですけど、個人のそれこそ"意味あるのかなこの時間"みたいなプライベートも充実できたら、来年はよりいいバンドになれるのかなとちょっと思いましたね」
――俺も最近よく思う。そういうことをやらないと、やる余裕がないと、心の栄養にならないというか。
藤原「そうそう。前まではその時間すらも"練習だ!"みたいな感じだったんですけど、いい意味でフラットになってきてるのかなと思うし。好きな音楽だったり遊びにかけられる時間があるのって贅沢じゃないですか。来年はそういう贅沢もたくさんして、充実したバンド活動をやっていきたいですね!」
Text by 奥"ボウイ"昌史
ライター奥"ボウイ"昌史さんからのオススメ!
「『ひたむき』、もしビーバーが選挙に出たなら、胸に手を当てたポスターに載るようなスローガンだと思った(笑)。そんな渾身の一曲にまつわるインタビューで、渋谷くんが話してくれた"一生懸命"のくだり。本文の冒頭でも書きましたが、"マジ信用できるな"と思いながら話を聞いていました。信じられるのは、誰かの都合のいいように作った社会でも、会ったこともないインフルエンサーでもない。自分と自分の信じた音楽だけだな、なんて...。今、"一生懸命やらなければ報われるわけがない"、"一生懸命な人間のことをバカにできる人間なんか誰もいない"って、こんなまっとうなことを言い切ってくれるアーティスト、案外いませんよ。今回はまとめるのにいつも以上に時間をかけた、言霊満載のインタビューでした。やっぱり自分を含めたこの5人だからこそ生まれる会話が間違いなくあるなと、改めて思わされましたね。そんなビーバーの取材は今年4回目で、これまた過去最高を更新=それだけ'22年はビーバーが精力的に動いていたということ。"奥さんはずっと見てきてくれてますから"という光栄な言葉をもらったとき、いつも思うんです。そんな場を用意し続けてくれる、絆をつなぎ続けるバンドの意志とすごみを」
(2022年12月19日更新)
Single
『ひたむき』
【初回生産限定盤DVD付】
発売中 1800円(税別)
Sony Music Records
SRCL-12312~3
<収録曲>
01. ひたむき
02. 秘密 -Acoustic ver.-
<DVD収録内容>
・「ひたむき」Music Video
・「ひたむき」MVメイキング映像
・自宅のラクダ 特別編
【通常盤】
発売中 1000円(税別)
Sony Music Records
SRCL-12314
<収録曲>
同上
【期間生産限定盤DVD付】
発売中 1600円(税別)
Sony Music Records
SRCL-12315~6
※TVアニメ『僕のヒーローアカデミア』
第6期描き下ろしイラストジャケット・
デジパック仕様
※同イラスト絵柄ステッカー2枚封入
<収録曲>
01. ひたむき
02. 秘密 -Acoustic ver.-
03. ひたむき -Anime size-
<DVD収録内容>
・「ひたむき」Music Video
※TVアニメ『僕のヒーローアカデミア』
第6期ノンクレジットオープニング映像
スーパー・ビーバー…写真左より、上杉研太(b)、藤原“34才”広明(ds)、渋谷龍太(vo)、柳沢亮太(g)。’05年、高校の先輩・後輩である渋谷&上杉・柳沢に、柳沢の幼なじみである藤原を加え東京にて結成。’09年、シングル『深呼吸』でメジャーデビュー。’11年には所属レーベル・事務所を離れ、’12年に自主レーベルのI×L×P×RECORDSを設立。’14年2月には、eggmanのロックレーベル[NOiD]よりフルアルバム『361°』を、9月にはシングル『らしさ/わたくしごと』をリリース。アニメ『ばらかもん』のオープニングテーマに『らしさ』が起用され、YouTubeの再生回数は2187万回を超える(’22年12月現在)。’18年4月には初の日本武道館公演を開催、即日ソールドアウトし大成功を収める。’20年4月1日をもって結成15周年を迎え、6月にメジャー再契約後、初のシングル『ハイライト/ひとりで生きていたならば』をリリース以降、数々のタイアップ曲を担当。’21年7月リリースのシングル『名前を呼ぶよ』は、人気コミックス原作の実写映画『東京リベンジャーズ』主題歌に起用された。10~11月には3都市6公演の初のアリーナツアーを開催し、チケットは完売。'22年2月にはフルアルバム『東京』をリリース。3~7月まで全国ホールツアー、そして10~12月に自身最大規模となる4都市8公演のアリーナツアーを再び開催するなど、今最も注目のロックバンド。11月30日には、TVアニメ『僕のヒーローアカデミア』第6期オープニングテーマとなったニューシングル『ひたむき』をリリースした。
SUPER BEAVER オフィシャルサイト
http://super-beaver.com/
『SUPER BEAVER 都会のラクダSP
~東京ラクダストーリービヨンド~』
【神奈川公演】
▼10月19日(水)・20日(木)横浜アリーナ
【大阪公演】
▼10月25日(火)・26日(水)大阪城ホール
【東京公演】
▼12月10日(土)・11日(日)有明アリーナ
【愛知公演】
▼12月24日(土)・25日(日)
ポートメッセなごや 新第1展示館
『FM802 ROCK FESTIVAL
RADIO CRAZY 2022』
※チケットは12/22(木)朝10:00以降に
引換えが可能となります。
▼12月27日(火)昼12:00
インテックス大阪
27日券(一般チケット)11500円
[出演]aiko/[Alexandros]/androp/indigo la End/Galileo Galilei/KALMA/Creepy Nuts/ゲスの極み乙女/SUPER BEAVER/Superfly/sumika/10-FEET/東京スカパラダイスオーケストラ/羊文学/フレデリック/milet/リーガルリリー/緑黄色社会/
クボタカイ/chilldspot/なきごと/マルシィ/リュックと添い寝ごはん/RADIO∞INFINITY「電波無限大」
FM802 RADIO CRAZY公演事務局■06(7732)8787
※保護者1名同伴で小学生以下1名まで入場無料、未就学児童入場不可(追加小学生は1DAY一般チケットが必要・入場エリアの制限があります)。開演時間、出演アーティストは変更になる場合があります。その際の変更・キャンセルに伴う払戻しはできません。公演に関する詳細は、公式サイト(http://radiocrazy.fm/)にてご確認ください。
≪公演に関するお問い合わせ≫FM802リスナーセンター info@funky802.com
『SUPER BEAVER
アコースティックのラクダ
〜突然ビルボードライブ〜』
Thank you, Sold Out!!
▼1月15日(日)16:30/19:30
ビルボードライブ大阪
自由席(サイドソファ、カウンター)9000円
カジュアルシート8500円
(指定、ドリンク付)
ビルボードライブ大阪■06(6342)7722
※自由席(サイドソファ、カウンター)に整理番号はございません。ご希望の方は発券後、お問合せ先まで要連絡。入場整理番号をお持ちでないお客様は開場時間の30分後のご案内となります。カジュアルシート(指定、ドリンク付)は連絡不要。開場10分後から入場可能となります。未就学児童及び高校生同士の入場不可。18歳未満は成人の同伴が必要。
【東京公演】
『SUPER BEAVER
アコースティックのラクダ
〜突然NHKホール〜』
Thank you, Sold Out!!
▼1月22日(日)NHKホール
『SUPER BEAVER 自主企画
「現場至上主義2023」』
【愛知公演】
チケット発売中
▼1月25日(水)Zepp Nagoya
[共演]Nothing's Carved In Stone/
東狂アルゴリズム
[オープニングアクト]ジュウ
チケット発売中
▼2月2日(木)18:30
Zepp Osaka Bayside
1Fスタンディング6000円2階指定席6000円
2階後方立見6000円
[共演]スキマスイッチ/STANCE PUNKS
[オープニングアクト]鋭児
GREENS■06(6882)1224
※未就学児入場不可。
【東京公演】
チケット発売中
▼2月7日(木)Zepp Haneda
[共演]ATATA/The Birthday
『SUPER BEAVER 都会のラクダ
HALL TOUR 2023
〜ラクダ紀行、ロマン飛行〜』
【栃木公演】
▼4月14日(金)宇都宮市文化会館 大ホール
【群馬公演】
▼4月16日(日)高崎芸術劇場 大劇場
【鹿児島公演】
▼4月21日(金)川商ホール 第1ホール
【長崎公演】
▼4月23日(日)長崎ブリックホール 大ホール
【島根公演】
▼4月29日(土・祝)島根県民会館 大ホール
【山口公演】
▼4月30日(日)周南市文化会館
【福井公演】
▼5月7日(日)フェニックス・プラザ 大ホール
【北海道公演】
▼5月12日(金)旭川市民文化会館 大ホール
▼5月14日(日)帯広市民文化ホール 大ホール
【茨城公演】
▼5月19日(金)ザ・ヒロサワ・シティ会館
大ホール
【広島公演】
▼5月21日(日)ふくやま芸術文化ホール
リーデンローズ 大ホール
【東京公演】
▼5月25日(木)TACHIKAWA
STAGE GARDEN
【高知公演】
▼5月28日(日)高知県立県民文化ホール
オレンジホール
【青森公演】
▼6月9日(金)八戸市公会堂 大ホール
【山形公演】
▼6月11日(日)やまぎん県民ホール
【三重公演】
▼6月16日(金)三重県文化会館 大ホール
【岐阜公演】
▼6月18日(日)長良川国際会議場
メインホール
▼6月22日(木)18:30
アクリエひめじ
指定席6900円
▼6月24日(土)18:00
和歌山県民文化会館 大ホール
指定席6900円
注釈付き指定席6900円
GREENS■06(6882)1224
※3歳以上チケット必要(2歳未満でも座席が必要な場合はチケット必要)。
※注釈付き指定席は、会場機材の都合上によりライブ中に手を上げる行為はご遠慮いただきます。あらかじめご了承ください。
『愛しい人』('21)
特設ページはコチラ!
『アイラヴユー』('21)
特設ページはコチラ!
『突破口/自慢になりたい』('20)
特設ページはコチラ!
『ハイライト/
ひとりで生きていたならば』('20)
特設ページはコチラ!
『予感』('18)
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『歓声前夜』('18)
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『真ん中のこと』('17)
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『美しい日/全部』('17)
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『27』('16)
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『ことば』『うるさい』『青い春』('16)
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『愛する』('15)
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『361°』('14)
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『世界が目を覚ますのなら』('13)
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『未来の始めかた』('12)
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