ホーム > インタビュー&レポート > 「俺たちはずっと、消えない幻みたいなものを追いかけてきた」 a flood of circleが初の日本武道館公演に向けて放った衝撃作 破壊と再生のハイパーロックンロール『夜空に架かる虹』を激白する 佐々木亮介(vo&g)インタビュー&動画コメント
"ロックとは何か?"みたいにまた考えちゃったんですよね
中学二年生の気持ちが消えてないんで(笑)
――こんなに取材ギリギリに完パケ音源が届いたのは初めてで、しかも6曲入り予定だったのが9曲になってたり。
「俺もこんなにギリギリまで作ったのは初めてです(笑)。前作『WILD BUNNY BLUES / 野うさぎのブルース』('24)では、スタジオで録るのは普通だから何もない山小屋に機材を持ち込んでレコーディングしましたけど、そこまでやったらもうこれ以上、引き算もできない。そのとき、"ロックとは何か?"みたいにまた考えちゃったんですよね、中学二年生の気持ちが消えてないんで(笑)。フェスティバルに出ても、(ただ形態が)バンドなだけでロックだと言ってるバンドが多い気がして...手あかの付いたことを言うと"破壊と再生"を、もっと壊さないとダメだなと思ったんですよ。来年の武道館に向けて、もうちょっとみんなに好かれるような曲とか歌詞があったかもしれないけど、それで武道館に立ったら、売り切れても負けな気がしたんですよ。バチバチでぬるくないもの、優しい気持ちも尖った気持ちも、自分の全部が入ったものじゃないと。そう思ったら、"本当にこれがゴールなのか、締切のためにゴールと言ってないか、誰かに怒られると思ってやってないか"とか...俺が俺にすごく厳しくなっちゃって。あと、メンバーのことは好きだしプレーヤーとして尊敬もしてるけど、いざ音源を作るときに、"ここのフレーズは全然違ってもいいのにな"と思う自分もいて。今まではそこに踏み込まないように気を付けてたんですよね」
――この4人でバンドを続けるのが夢であり目的だと常々言ってきたからこそ、尊重してきた一線だろうしね。
「でも、今回はそれを踏み越えようと思った。それはメンバーがきっと許してくれるという甘えでもあるし、俺もどこかでバンドの編成を言い訳にしてきたけど、ギター、ベース、ドラムだけで作る良さとはまた違うところまで行っちゃおう、メンバーに嫌われるかもしれないぐらい攻めた方が意味があると思ったんですよね。結局、スタジオで録ることすらやめて家でほとんど作ったんですけど、"マジでこの日が締切です"と言われてた日に、まだ6曲しかできてなかったんですよ(苦笑)。そこからミックスまでの間に無理やり3曲増やしたんですけど、エンジニアの作業が間に合わないので、その3曲は自分でミックスもして」
――なるほど、だからか。
「究極、山で録っても家で録っても、ミックスだって自分でやっていい。本当は何だっていい自由さを『KILLER KILLER』(M-2)を作ったときに掘り返したので、"これを言ったら嫌われるかな?"ということまで全部書いてあるアルバムにしたかったんですよね」
――武道館に向けてより開いたアルバムを作るなら分かるけど、最初に今作を聴いたとき、これってファンすら戸惑わせる可能性があるぐらい衝撃的で問題作だと思った。武道館の前に出すアルバムにしては挑戦し過ぎやろと(笑)。
「a flood of circleが好きな人って、俺の中の俺と似た部分を持った人が多いのかなと思ったら、"みんなありがとう" みたいなアルバムよりも、"死ぬほどめちゃくちゃやりました!"という方が好きかなと(笑)。俺だったらそういうバンドが見たいし、そう考えたらブレーキを踏む理由がなくなっちゃって。今回はかなりわがままにやりましたね」
――それにこれって、佐々木くんのソロではなく、フラッドでやろうとしたからこそ変異したハイパーポップならぬハイパーロックンロールの領域というか...佐々木くんの嗜好を掘り下げてもフラッドの正常進化でもたどり着かなかった、得体の知れない新しいもの。
「ソロのときの"これをやりたい!"という純粋な気持ちとバンドが本当に混ざった感覚で...今回でそれを合流させちゃったから俺、今後やることあるのかな?(笑)」
――ただ、こんなぶっ飛んだアルバムを作ってハレーションが起きないわけがないから、ファンもそうだけどメンバーがこれをどう思ったのかは興味深いね。
「怖くて聞けてないです(笑)。今回は、ドラムは曲もないのにリズムパターンだけスタジオで録って、俺がそれを家でいじってデモができたら、今度はベースとギターをデータで送ってもらい、それをまた俺が組み直して...そこで全体の作業の3割ぐらいで、俺のエディットがまだ7割残ってる。山小屋で録ったときは、一発で終わらせるためにせーので演奏する曲はある程度みんなが事前に準備してたんですけど、今回は俺が作業できるところまでやる、無理になった日がゴール、という感じでしたね。全曲のミックスが終わったとき、(アオキ)テツ(g)だけ、"最初はどうかなと思ったけど、全部できたら悔しいけどめっちゃいいと思った"、みたいなかわいい感想をLINEでくれました(笑)」
――姐さん=HISAYO(b)とナベちゃん=渡邊一丘(ds)も反対はしなかったということは、今回は佐々木くんに委ねよう、とことん好きにやらせてみようと思ったんだろうね。
「壊してから何かが生まれることを本気でやりたいのはメンバーに伝わっていて、"そこまでマジならやってみれば?"と思ってくれたんじゃないかな? もう新人じゃないし、タイアップで世の中がひっくり返るほど甘くないのは分かってますけど、聴いた人が食らうような、"いい曲ですね"で終わらないことをしたかった。そこはメンバーと間を取っちゃうと行けない場所かもなと思ったから、頑張って譲歩しないと決めて」
――そういう意味では、今まではロックバンドであることにこだわって作ってきたけど、今回はバンドであることにこだわらず、ロックであることにこだわったとも言える。それにしても、武道館前にこんなアルバムができるとは。
「本当は今年の11月に新宿でフリーライブをして、3000人ぐらい来るはずだからとりあえず武道館の日付を発表して、1年かけて1万人まで増やしていこうというプランだったんですけど、曲作り中に電話がかかってきて、"来年の11月以降は平日しか取れなさそうだけど、5月6日(水・祝)なら取れる。ただ、2時間で結論を出さなきゃいけないので今すぐ決めたい"と言われて...想定していたプランは全部なくなっちゃうけど、これは"降ってきた"んだなと思って」
――想像よりだいぶ早くてビックリよ。
「そうなんですよ、だから全然嫌なんですよ(笑)。でも、人生って面白いな~生きてるな~って思いましたね」
起こった出来事は変えられないけど
その思い出がどういう意味を持つかはこれからの自分で変わる
――とは言いつつも、タイトル曲の『夜空に架かる虹』(M-1)は、まさに武道館に向けたフラッグソングだし、武道館に向かうアルバムの一曲目にはふさわしいんじゃないですか?
「やっぱり『週刊少年ジャンプ』的な世界が好きなんですよね(笑)。新宿でフリーライブをやって、MCで"武道館はいついつです"と言うのは普通だなと。そのとき、"新曲やります"と言って歌い出したら、一番最後の歌詞で日付が分かるというアイデアを思い付いて」
――とてもフラッドらしい曲だけど、それが今回のアルバムの中では異色にも映りますね。
「実はこれだけナベちゃんが全く知らなかった曲というか、ドラムのレコーディングが全部終わってから作ったんで、ドラムのフレーズをバラバラにしてテンポも変えてエディットしまくって、それにベースとギターだけ合わせてもらって...だから出来上がったアルバムを聴いて、"え、何これ?"ってナベちゃんも思ったんじゃないかな?(笑)」
――みんなでせーので録ったスタジオライブっぽい曲なのに(笑)。
「でも、そうやって録ったら普通になっちゃうのが分かったんですよ。実際、パッと聴いたら普通に録ったように聴こえるじゃないですか? そこに"いびつさ"が混ざってるのがいいなと思って。バンドマンのくせに音作りがうまくなるなよと思うんですけど、ソロでやってきたエンジニアリングが生きてますよね。でも、そこもロックの醍醐味かなと思って。偽物っぽい人間が必死に頑張ってるうちに、本物よりカッコいい日が来てた、みたいな」
――"俺たちはここで 歌って待ってた"という一節を武道館に立って歌うとき、そこにいる全員がドワーって泣けるんじゃない? "ここ"はこれまでの数え切れないライブにも取れるし。そして、サビの"NIGHT RAINBOW"は昼間の虹より見るのが難しいそうですね。
「自分で頭お花畑系だと自負してるんですけど(笑)、フラッドには月の歌が多いし、ずっと何かを見上げてるんですよ。花火も人工衛星も書いてきたし、もう上には何も残ってない。虹はみんなが歌ってると思ったけど、俺たちはずっと、見えるような見えないような、消えない幻みたいなものを追いかけてきたなと思って、NIGHT RAINBOWにしました。武道館の日もみんな何かを見上げるだろうと思ったんで」
――最後の"5月6日 武道館 目を開けて夢を見ている"という歌詞も、本来は現在から未来を描くことしかできないけど、未来から今を描いたような不思議な感覚です。
「『ルカの思い出』(M-8)ともテーマは一貫していて、ずっと未来は未定だと思って頑張ってきたけど、大人になって、だんだん過去も未定だと分かってきたんです。つまり、起こった出来事は変えられないけど、その思い出がどういう意味を持つかはこれからの自分で変わる。オセロみたいに過去がガラッとひっくり返るかもしれない。それって夢があるなと思ったとき、いろいろとつじつまが合ってきたんですよね」
俺と似た人が1億人はいないと思うけど
1万人ぐらいはいると思ってるんですよ
だったら武道館でやれるじゃんと思ったんですよね
――ただ、武道館にささげたこれぞフラッドな『夜空に架かる虹』だけ別物というか、ある種の逆ボーナストラック感があって、バンドサウンドを大胆にエディットした『KILLER KILLER』以降が事実上のニューアルバムに感じて。『KILLER KILLER』のインパクトが今作の一つの基準点になるのかなと思ったら、その衝撃すらぶっ飛ばしてさらに突き進んでいったのにビビったわ。
「うれしいですね。破壊的な作り方をした『KILLER KILLER』をメンバーが許してくれたから、マジでめちゃくちゃにやってやろうと思ったんですよ。打ち込みとかも入ってるけど聴いたことがないロックで、ネットから出てきたクリエーターやボカロにも吸収されないものになったかなと思えたのは、『ASHMAN』(M-3)、『マイ・モーターサイクル・ダイアリーズ』(M-4)、『モモちゃんのブルース』(M-5)とかかな」
――『KILLER KILLER』が異端なのかと思ったら、あれ、『ASHMAN』も? 『マイ・モーターサイクル・ダイアリーズ』も? って行ったまま戻ってこなかった(笑)。
「"行きは良い良い 帰りは怖い 別にいいぜ 帰る気ないから"(笑)」(=『ASHMAN』より)
――何でそこまでロックの炎が消えないんだろうね。
「ここでその火を消したらロックもクソも音楽なんて...とか思っちゃいそうで。俺と同世代のバンドは、もう解散してやめてるか、病んじゃったか、アニメの曲を書いてるか、みたいな感じですけど、みんな卒業おめでとう、でも俺はまだここにいますという(笑)。今でも俺の中にはやっぱり俺がいて。その俺と似た人が1億人はいないと思うけど、1万人ぐらいはいると思ってるんですよ。だったら武道館でやれるじゃんと思ったんですよね」
――でも、こういうはちゃめちゃなアルバムを聴いても、何だかんだ詞と声でフラッドなんだなとも改めて思うね。
「スピッツの﨑山(龍男・ds)さんと飲んだときも、『マイ・モーターサイクル・ダイアリーズ』を聴いて、"歌が入ってきたらやっぱり亮介の世界になるね"と言ってくれて、"あなたのせいで僕、こうなってます!"って(笑)。そこには自信があるというか、どういうビートでもコード進行でも、歌ったら俺のものになるとは思ってますね。『D E K O T O R A』('24)のMVを作ってくれたアメリカ人のILA ORBISも、『KILLER KILLER』を聴いて、"いろいろとミックスされてるけど、亮介がやると日本的だよね。メロディがノスタルジックで、(スタジオ)ジブリの音楽を聴いてる気持ちになる"って。確かにメロディだけをピアノで弾くと、めちゃめちゃ久石譲さんなんで(笑)」
――『モモちゃんのブルース』には明確な対象の存在を感じますがこれは?
「前の事務所の社長の娘で、社長もまぁめちゃくちゃな人だったんですけど、モモちゃんも結構そうで。でも、そういう人って見てて気持ち良くないですか? 最後は天涯孤独で亡くなったんですけど、社長の娘だな~と思って」
――この親にしてこの子ありな、ロックな娘。
「めちゃくちゃやればロックとは思ってないですけど、モモちゃんは一生懸命生きたんだろうなと思ったんですよ。終わりが見えたから、やってやろうと思ったんじゃないかな。今、俺がやろうとしてる壊して何かを生むということ、過去は未定だということ、自分の死が見えたときに残りの人生をどう生きていくのかというモモちゃんの選択を見て、"こういう人もいていいよね"と肯定したかった。モモちゃんがやってきたことはほとんどの人にとって意味がなくても、自分とか、自分に似てる人が、"カッコいいじゃん!"って言うかもしれないと思ったんですよ」
――ベタなことを言うけど、曲の中で生きられるのはうれしいと思うよ。何億人に知られなくても、聴いてくれた1万人の心に一度は火がともるなら。
「元々はイントロのドラムをリズムから外れるように置き直したのが面白いと思って作ってたんですけど、この壊れたビートに何を乗せて歌えばいいのかスタジオで悩んでたとき、社長とモモちゃんがまだ赤ちゃんの頃の写真がパッと目に入って...というのも、巡り巡ってもらい手がない遺品が親戚でもない俺のところにダンボール2つ分ぐらい届いて、行き場がないからギターに写真を貼ったんですよ。歌詞に困ったとき、すごくいい顔をした2人の写真を見て...このことを書いてもいいですかと思って。でも、泣けないのがいいかなと思って涙から一番遠いのは何か考えて、猥談をしてると生命力に溢れてるからお化けが逃げていくと聞いたのを思い出して(笑)。それも含めてかわいい曲として聴けるし、"変態"と"遠来"で韻を踏めたのもうまく書けたなと思ってます(笑)」
もっと前へ進みたい、攻めたことをしたいと思ってきた自分を
応援してくれる人と出会ってきた20年に
ぬるい感じで"ありがとう"は絶対に違うなと思った
――ちなみに、ミックス前に急きょ追加した3曲とってどれなの?
「『SNAKE EYES BLUES』(M-6)、『キメラファンク(FLY! BABY! FLY!)』(M-7)、『全治』(M-9)だったかな?」
――この曲がなかったらアルバムの破壊力が変わるわ。『SNAKE EYES BLUES』は詞も曲もスーパーシニカルで。
「実はこの曲のオケは元々『KILLER KILLER』だったんですけど、つまんなくてやめて。そのオケが余ってたから、ボーカルをオートチューンに変えて違うネタにして」
――だから『KILLER KILLER』のリフが入ってるのか。
「そう、だからこの曲をバラしていったら最終的に『KILLER KILLER』になる(笑)。この曲は雑にやりたかったんでボーカルもワンテイクで、オートチューンをポチッと押して、"今はみんなこれをやってます、どうせボーカルは後から直します"、みたいな嫌なヤツになりたくて」
――"好き"が全く伝わってこない空虚なサビの連呼や、オートチューンをこれ見よがしに使うのもそうだし、"ロックは政治、フェスティバル、アニメが名乗ってる ロールは死んでないだけ"っていうパンチラインも強烈です。
「TikTokはサビを繰り返しておけばといいと聞いたんで(笑)。あと、"前後の文脈があるのに一部だけ切り抜くから誤解が生まれる"とか言うじゃないですか? だったらこの曲で大いに誤解されたいなと思って(笑)」
――今作はサウンド的な挑戦が多くてメッセージは少なめだなと思ったけど、この曲では世を切ってますね。
「俺、占いを信じてないくせに天秤座だとは思っていて(笑)。『花降る空に不滅の歌を』('23)とか過去2作を俺俺で作っちゃったんで、メンバーの音すら切り刻んじゃってる今作の歌詞まで俺俺なのはちょっとなと思って、知らず知らずバランスを取ってたんでしょうね。でも、一曲ぐらいそういう曲があってもいいだろうというのが、『SNAKE EYES BLUES』ですね。『キメラファンク(FLY! BABY! FLY!)』は、フラッドにはホーンが入るようなファンキーな曲があんまりないなと思って作り始めて。一番の歌詞ができたとき、これだとラップごっこで終わっちゃうなと思ったんで、2番で"言うじゃん!"ってことを書こうかなと。今作はいろんなものをくっ付けて一体のキメラ=合成獣を作るようなアルバムだと思うんですけど、そこはスピッツイズムで、ちょっと気持ち悪いけどかわいさも感じるようにしたくて。アルバムを作ってる途中で武道館が決まったんで、『夜空に架かる虹』という普通にいい曲もちゃんと作りつつ(笑)、ギリギリまで頑張りました」
――『ルカの思い出』からは喪失感みたいなものを感じるけど気のせい?
「自分でも普通だなと思うんですけど、来年は結成20周年で武道館でやるから振り返っちゃったんですよ。今は信頼するメンバーとスタッフがいるけど、なくしたものも別れてきた人もいる。武道館で集大成を見せようと思えば思うほど、もっと前へ進みたい、攻めたことをしたいと思ってきた自分を応援してくれる人と出会ってきた20年に、ぬるい感じで"ありがとう"は絶対に違うなと思った。だから振り返ってはいるけど、総じて過去の別れも『ルカの思い出』には入ってる。あと、選挙のときとかに"日本は単一民族だ"とか言う人が結構いて、いろいろと調べていったら、これ以上さかのぼれない生き物の最終祖先がルカだったんですよ。みんな最初はルカだけど、別れ別れてもうそこには戻れない。それに何だかグッときて...中途半端に自分のコミュニティの明日を考えるより、ジョン・レノンの『イマジン』('71)みたいにデカいことがやりたかった。ロックってそういうものだと思うんで」
――最後の『全治』は一転、45秒とミニマムな曲で。
「『ルカの思い出』でアルバムが終わっても良かったんですけど、アルバムを作ってる最中に全曲ライブ=『レトロスペクティヴ 2025』が始まっちゃって...ファンの人を見るとどうしても"ホントありがとう、みんな大好き"みたいな気持ちになっちゃうんですよ。そういう俺の尖り切れないところがこの曲には出ちゃいましたね。タイトルは小坂井大輔さんの歌集に"全治何秒の怪我をした"みたいに書いていたところから来てるんですけど、そもそも『マイ・モーターサイクル・ダイアリーズ』の仮タイトルが『全治3分38秒』で。全治ってうそというか、特に心の傷はほとんど全治することはない。この曲には"呪いをかける"というフレーズが出てくるからそれが本当にならないタイトルにしたくて、一番気持ちのいいうそだと思った『全治』にしたんですよね」
――今作の作業は楽しさもあっただろうけど、いつも以上に負荷も大きかっただろうね。
「ずっとスタジオにいたし、正直、何回か限界は来ましたね。一回香港まで逃げましたから(笑)。それでも、もうこれ以上できないというところまでやったというよりは、これ以上やったらアルバムは出ませんという日までの全てですけど(笑)。でも、何にも寄せてない、ここにしかないものだとは思ってます」
――年始から主催イベント『A FLOOD OF CIRCUS 2026』や対バンツアー『a flood of circle 20周年記念ツアー "日本武道館への道"』もあって、2年後だ3年後だと言っていた『a flood of circle 20周年記念公演 LIVE AT 日本武道館』が、いよいよ5月6日(水・祝)に開催されます。ついにフラッドにもこの日が来たんだな。
「このアルバムを作ってるとき、人生の一回性をすごく感じて。武道館を後に取っておいてもしょうがないと思ったし、ナベちゃんに"40歳になったときにバンドが同じような調子だったらもう無理"と言われてるんで、終わった後にやるかやらないか聞こうかな(笑)。ずっと俺なりに悪あがきしてきて、このアルバムも"武道館の前に出すならこんなところでしょ"じゃなくて、最後まで悪あがきし切ったつもりなので。1億人に分かってほしいとは思ってないけど、1万人悪あがきしてるヤツがいるなら武道館に来た方がいい。その意味があるってところを見せられると思うんで」
Text by 奥"ボウイ"昌史
ライター奥"ボウイ"昌史さんからのオススメ!
「6月に『KILLER KILLER』のインスタライブのお相手をした時点で、何かしらヒントを得ていた感じはあったけど、近年のやさぐれモードとは打って変わって(笑)、いつになくいい顔をして取材現場に現れた佐々木亮介。音源が完成したのはそのわずか2日前、よって今作についての混じりっ気なしの初インタビューとなった今回は、リリックさながらキレキレのトークで、曲だけを聴いても絶対に知り得なかった裏話が満載。やり切った充実感と新たなロックを生み出した高揚感が、溢れんばかりに伝わってきました。自称・心は中二、体は四十手前の佐々木くん(笑)、棺桶に入る直前まで"ロックが...!"とか言いながらくたばりそうで最高だなと。アルバムの内容も、タイトルからして、表題曲の醸し出すムードからして、武道館に向けてこれぞフラッドな楽曲をまとめた集大成かと思わせておいて、2曲目以降は最後までぶっ飛んでる衝撃作。これはもう『夜空に架かる虹』詐欺ですわ(笑)。そして、ついに決まった武道館、GW中の遠征に今からそわそわしてますが俺も必ず行きますよ。似た者同士の皆さんと現地で会えるのが楽しみ。5月6日、目を開けて夢を見ましょう!」
(2025年12月22日更新)
Album
『夜空に架かる虹』
発売中 2750円
Imperial Records
TECI-1845
【テイチクオンライン限定盤Blu-ray付】
発売中 10000円
Imperial Records
TEI-337
※ブルースくんキーホルダー付属。
<収録曲>
01. 夜空に架かる虹
02. KILLER KILLER
03. ASHMAN
04. マイ・モーターサイクル・ダイアリーズ
05. モモちゃんのブルース
06. SNAKE EYES BLUES
07. キメラファンク(FLY! BABY! FLY!)
08. ルカの思い出
09. 全治
【Blu-ray収録内容】
a flood of circle Tour 2024-2025
WILD BUNNY BLUES/野うさぎのブルース
LIVE AT Zepp DiverCity Tokyo
ア・フラッド・オブ・サークル…写真左より、渡邊一丘(ds)、HISAYO(b)、佐々木亮介(vo&g)、アオキテツ(g)。’06年結成。’09年に1stアルバム『BUFFALO SOUL』でメジャーデビューを果たすものの、メンバーの失踪や脱退を経験し、’10年にHISAYOが加入。’16年には初の海外公演を行ったほか、主催イベント『A FLOOD OF CIRCUS』がスタート。’18年にはアオキテツが加入。’22年7月に東京・LINE CUBE SHIBUYAで初のホールワンマン、10月には東京・代々木公園野外音楽堂でフリーライブを開催、約4000人を動員。’23年2月にはアルバム『花降る空に不滅の歌を』、9月にはホリエアツシ(ストレイテナー)プロデュースのシングル『ゴールド・ディガーズ』をリリース。’24年3月には後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION)プロデュース曲『キャンドルソング』を含むEP『CANDLE SONGS』をリリース。8月に東京・日比谷野外大音楽堂で10年ぶりにワンマンライブを開催、チケットはソールドアウトに。11月にはアルバム『WILD BUNNY BLUES / 野うさぎのブルース』をリリース。’25年11月9日に東京・新宿歌舞伎町で行われたフリーライブで、来年5月6日(水・祝)に初の東京・日本武道館公演を開催することを発表。11月12日には、最新アルバム『夜空に架かる虹』をリリースした。
a flood of circle オフィシャルサイト
http://www.afloodofcircle.com/
『koboreとa flood of circle』
チケット発売中 Pコード308-695
▼12月23日(火)19:00
心斎橋JANUS
オールスタンディング4000円
[出演]a flood of circle/kobore
JANUS■06(6214)7255
※保護者同伴の場合のみ未就学児童入場可(小学生以上要チケット)。出演者が許可した場合を除き、写真撮影、録音・録画禁止。
一般発売未定
※お引取方法【店頭引取】をお選びの方は、公演3日前10:00以降にチケット引換えが可能となります。
▼3月1日(日)18:00
磔磔
オールスタンディング4800円
[ゲスト]ヒトリエ
清水音泉■06(6357)3666
※未就学児童入場不可
(小学生以上チケット必要)。
一般発売未定
※お引取方法【店頭引取】をお選びの方は、公演3日前10:00以降にチケット引換えが可能となります。
▼3月13日(金)19:00
BIGCAT
オールスタンディング4800円
[ゲスト]ドレスコーズ
清水音泉■06(6357)3666
※未就学児童入場不可
(小学生以上チケット必要)。
『SAKAI MEETING 2026』
一般発売未定
▼3月28日(土)・29日(日)11:00
GORILLA HALL OSAKA
各1日券未定
2日通し券12000円
Tシャツ付2日通し券/M~XLサイズ15000円
[出演]GOOD4NOTHING/THE CHINA WIFE MOTORS/a flood of circle/BURL/climbglow/Dizzy Sunfist/GARLICBOYS/HAWAIIAN6/HERO COMPLEX/LEODRAT/MARIO2BLOCK/POT/SIX LOUNGE/SPREAD/STOMPIN'BIRD/SUNSHINE DUB/THE CHERRY COKE$/THE DAHLIA/THE PERRY /炙りなタウン/アルカラ/バックドロップシンデレラ/他
SMASH WEST■06(6535)5569
(https://www.smash-jpn.com/)
※未就学児は入場不可。小学生以上はチケット必要。出演者の日割りなど、詳細はイベントオフィシャルサイトにてご確認ください。
『a flood of circle 20周年記念公演
LIVE AT 日本武道館』
一般発売未定
※お引取方法【店頭引取】をお選びの方は、4月26日(日)10:00以降にチケット引換えが可能となります。
▼5月6日(水・祝)16:00
日本武道館
全席指定7700円 学割5500円
VINTAGE ROCK■03(5787)5350
(平日12:00~17:00)
※未就学児童は同行の保護者の座席の範囲内のみ可、小学生以上チケット必要。学割は、当日学生証持参(コピー不可/公演当日提示できない場合は一般価格チケットとの差額分をお支払いいただきます)。
『HEART』('20)
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『CENTER OF THE EARTH』('19)
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『a flood of circle』('18)
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『THE BLUE』('16)
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afoc VS 女王蜂
神戸VARIT.レポート('16)
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『花』('15)
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『ベストライド』('15)
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『GOLDEN TIME』('15)
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afoc VS THE NOVEMBERS
京都磔磔レポート('14)
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『I'M FREE』('13)
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『FUCK FOREVER』('13)
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『LOVE IS LIKE A
ROCK'N'ROLL』('12)
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