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メンバー全員が作詞作曲した新たなる挑戦『HEART』を引っ提げ
20年代の幕開けを飾る東名阪クアトロファイナルシリーズに突入!
a flood of circleインタビュー&動画コメント
「フラッドはバラバラであることで尊重し合って、楽しんでる4人」 メンバー全員が作詞作曲した新たなる挑戦『HEART』を引っ提げ 20年代の幕開けを飾る東名阪クアトロファイナルシリーズに突入! a flood of circleインタビュー&動画コメント
大の大人が4人集まって、ザラついた音を鳴らす。その行先に何の保証も約束もないバンドというロマンを追い続ける、四者四様の生き様をブチ込んだようなa flood of circleの最新作『HEART』は、メインのソングライターである佐々木亮介(vo&g)はもちろんのこと、アオキテツ(g)、HISAYO(b)、渡邊一丘(ds)までが作詞作曲に挑戦。デビューから10年を超えてなお貪欲に進化を求め、時に闇雲な進化を疑い、ロックンロールの刀を研ぎ続けるフラッドならではのエナジーに満ちた実験作となっている。普段なら雄弁な佐々木が作品についてのステイトメントを一手に担うところだが、今回はa flood of circle の頼れるベーシストであり、tokyo pinsalocksではコンポーザーとしても活躍するHISAYOも交え、制作過程の裏エピソードから『HEART』がもたらしたバンドマジックについてまで語ってもらった。10年代と20年代をまたいで開催中のツアー『a flood of circle “Lucky Lucky Tour 2019-2020”』も、1月11日(土)大阪・梅田クラブクアトロを皮切りに、いよいよ東名阪クアトロでのファイナルシリーズに突入。a flood of circleを構成する絆と個性が今、次のディケイドに向けて軽やかに幕を切る――!
――そういう試みになったのも、今回の『HEART』('19)ならではですけど、佐々木くん自身も『CENTER OF THE EARTH』('19)、『The Key』('19)のツアーに関しては、ここ最近でもベストな状態で挑めたと自負できる手応えで、今作にはそのムードが如実に反映されていて。
佐々木「今のご時世、先にツアーのスケジュールから決まってくるんで、たまにはリリースがないツアーもいいんじゃないかと最初は思ってたんだけど、どうせやるならテツが入ったことで固まってきた今のフラッドのよさとか、みんなのキャラが立ってきたのはライブをしながらも日々感じてたので、それが表現できたらいいなと。姐さんはtokyo pinsalocksでは曲を書いてるし、ナベちゃん(=渡邊一丘・ds)はフラッドでもちょくちょく書いてきたし、『CENTER OF THE EARTH』の初回限定盤のおまけではテツと一緒に"サテツ"っていうユニットをやってみたりしたのもあって、"みんな本当は曲が書ける人たちじゃん"って分かってたので、今ならできるかなと。特に姐さんには、"ブリッジの部分だけでも姐さんにメロディを書いてもらうのはどう?"って打ち上げのノリで言ってみても、それまではベロベロに呑んでたくせに、"それはアカン!"って(笑)」
――酒の勢いでぐちゃっとできるかなと思ったら、案外そこは(笑)。
佐々木「でも、企画盤としてみんなで書こうって言えば、断りにくいだろうと思って(笑)。絶対に楽しくなると思ったし、フラッドのファンにより面白いものを聴かせられる気がして。『CENTER OF THE EARTH』の出来がよかったから、焦ってフルアルバムを作らなくてもいいやと思ってたんで、むしろもっとチャレンジングな、それもこれまでみたいに外国人のエンジニアを呼んだりライブを掘り下げて広げるんじゃなくて、自分たちにフォーカスするやり方が今ならできるんじゃないかなと思って」
HISAYO「自分の中での線引きというか、tokyo pinsalocksにおける私のクリエイティブな部分と、a flood of circleにおける私のベーシスト像って結構別人格で。"フラッドではこういう私"って決めて出してきたので、そこにクリエイティブな部分を持ってくると自分が分からなくなりそうで難しいかなと思ってたんですけど、確かに企画盤ということなら、そっちの私らしさを出してもいいなと。一歩目としてはいい形で出せたんじゃないかな」
佐々木「めちゃめちゃテンションが上がりました。しかもみんな2~3曲ずつ送ってきてくれて、選ばなかった曲で作っても絶対に面白くなったと今でも思うぐらい、みんなの個性が全然別モノで。最初はそれをa flood of circleっぽくする作業だとみんなは思ってたっぽいんだけど、俺はみんなのキャラが=フラッドなんだよなと思ってたから、"うわ、どうやって料理しよう?"というよりは、"もうこのままいける!"と思ってましたね」
HISAYO「普段ライブで全くやってない曲もあったし、『CENTER OF THE EARTH』のツアーからのいい流れもあるのに、急にこのライブだけクオリティが落ちたり、借りてきた猫みたいにはなりたくなかったから。ただ、何回かやって慣れていくんじゃなくて、1回でいいところまで持っていかなきゃいけないから、めっちゃ練習しました。ずっと演奏してきたかのようにプレイしたいと思ってたし、チケットも即完して思い入れの強いお客さんが来るだろうから、その期待にも応えたかったので。今の私たちが演奏することでお客さんもきっと安心するだろうし、"これがフラッドなんだ"って再確認してもらえたら嬉しいなって。この日に向けての想いはかなり強かったです」
HISAYO「"a flood of circleのライブはこういうものだ"っていうイメージがみんなの中で統一されてきたのはあって。例えば、前はセットリストも"あれもやりたい、これもやりたい"で意識がいろんなところにいっちゃってたから、もうちょっとシンプルに一面だけを"ズバッ!"と観せるのもいいよねって。ツアーをやりながら仕上げていくというよりは、初日から仕上がってるようになってきたから。これからもっと研ぎ澄まされるだろうし」
ア・フラッド・オブ・サークル…写真左より渡邊一丘(ds)、佐々木亮介(vo&g)、アオキテツ(g)、HISAYO(b)。’06年結成。ブルース、ロックンロールをベースにしつつも、多種多様な音楽的要素を吸収しながらAFOC流のロックンロールに昇華させたサウンドとメロディ、佐々木の強烈な歌声が話題となる。’07年、初音源となるミニアルバム『a flood of circle』をリリースし、『FUJI ROCK FESTIVAL ‘07』に出演。’09年には1stアルバム『BUFFALO SOUL』でメジャーデビューを果たすものの、メンバーの失踪や脱退を経験し、’10年にはHISAYOが加入。以降も精力的にライブとリリースを重ね、結成10周年を迎えた’16年にはベストアルバム『THE BLUE -AFOC 2006-2015-』をリリース、初の海外公演を行ったほか、主催イベント『A FLOOD OF CIRCUS』をスタート。’18年2月にはサポートギタリストのアオキテツが正式加入し、2度目のセルフタイトルアルバム『a flood of circle』をリリース。結成12年目にしてオリコンウイークリーチャート最高位を記録する。その後も、同年11月にはUNISON SQUARE GARDEN田淵智也(b)プロデュースのトリプルAサイドシングル『13分間の悪夢』、’19年3月には最新アルバム『CENTER OF THE EARTH』、同年4月にはTVアニメ『群青のマグメル』エンディングテーマとして書き下ろしたシングル『The Key』をリリース。11月6日にはメンバー全員が作詞作曲に挑戦したミニアルバム『HEART』をリリースした。
「ロック界随一のワーカホリック男と言ってもいい佐々木亮介ですが(笑)、’19年はフラッドとしてもフルアルバム『CENTER OF THE EARTH』にシングル『The Key』、ソロとしてもデジタルシングル3曲を経ての2ndアルバム『RAINBOW PIZZA』を出しておいての、今回のミニアルバム『HEART』ですから(言うてたら’20年も2月にTHE KEBABSとして1stアルバムを出すそうです(笑))。もちろんツアーやイベント出演もありまくりで、もはやどのタイミングでどれを作ってんねんという驚異もありますが(笑)、どの作品にも今と志と音楽愛を感じるのは、やっぱり信頼できる。そんな彼だからここ1年は今まで以上に各所でいろいろとプロモーションもしてきたでしょうが、今回はHISAYO姐さんも参加と珍しいパターン。インタビュー中にも言ってましたが、バンドってその場に誰がいるかで発言の流れが変わっていくので、それも面白くて。姐さんがいてくれたことが、『HEART』の理解を深めるのに大いに貢献していたなと。そして、僕が観る’20年初の、20年代の最初のライブはフラッドのワンマン。こりゃ景気のいい1年/10年になりそうです!」