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「10年ぶりにようやく俺たちの出番が来た」
後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION)参加の新作
『CANDLE SONGS』携え、目指すは運命の日比谷野外大音楽堂!
a flood of circle佐々木亮介(vo&g)インタビュー&動画コメント

 今年メジャーデビュー15周年を迎えたa flood of circleとて、転がり続けるだけじゃいられない。シングル『ゴールド・ディガーズ』('23)をストレイテナーのホリエアツシ(vo&g,p)がプロデュースしたのに続き、最新EP『CANDLE SONGS』収録の『キャンドルソング』をASIAN KUNG-FU GENERATION後藤正文(vo&g)がプロデュース。ロックシーンに一時代を築いた先達に求めた刺激と変化、己の心臓に問い掛けるこの衝動に従い、再びギアを入れ動き出したバンドワゴンは、ただ今絶賛リリースツアー中。7月のクライマックス3公演には、the pillows(11日(木)大阪・梅田クラブクアトロ)、cinema staff(18日(木)愛知・ボトムライン)、9mm Parabellum Bullet(21日(日)神奈川・横浜ベイホール)と、自らが課した歴戦の猛者との壮絶な夜が待ち構える。その先に目指す頂は、8月12日(月・休)東京・日比谷野外大音楽堂。10年ぶりに立つ運命の大舞台に向け、佐々木亮介(vo&g)が語る!



このままじゃいられない


――早速ですが(と持参したマウンテンデューを手渡し)、乾杯と(笑)。

「いいですね、何か中2の部活帰りにこれからファミコンしようか、みたいな感じが(笑)」

――俺もよく売ってる自販機を見つけられたもんだわ(笑)。まず話したいのが、今回のASIAN KUNG-FU GENERATIONのGotch(=後藤正文)さんプロデュースのきっかけが、去年、俺も現地(=日比谷野外大音楽堂)にいて佐々木くんと会った、ROTH BART BARON(ロットバルトバロン)のイベント『BEAR NIGHT 4』だったと。

「そうなんですよ、マジであの場でGotchさんと盛り上がって。ロットの三船(雅也・vo&g)くんとの縁は俺がソロでつながったことですけど(※佐々木の1stソロアルバム『RAINBOW PIZZA』('19)を三船が共同プロデュース)、この2人の関係性ってお互いのファンにまだそこまでシェアできてないし、その横のつながりを近くで見てきた共通の目撃者は奥さん(=筆者)ぐらいですよ(笑)」

――各々のリリースタイミングでそれぞれにインタビューしていて、世間的なパブリックイメージでは交わらなさそうだけど、この2組の音楽的嗜好は絶対に合うなと思ってたから、よくぞ出会えたなと思ったし、そこからロットと親交のあったGotchさんと巡り合えたのは美しいね。

「それを期待してたわけじゃなかったし、あの日プロデュースをお願いしようと用意してたわけでもないんですよ。むしろ、Gotchさんはフラッドには興味がないだろうなと思ってたんで(笑)。そういう意味では三船くんのおかげだし、見えないパワーを感じるような流れになりましたね」

――あの場で思い切ってGotchさんにオファーしたのには何かあったんですか?

「アジカンは10代の頃から聴いてたし、その前に会ったのは『NO NUKES 2015』というイベントなんですけど、あの日はフランクに話せる雰囲気じゃなかったんで。でも、ソロをやってる感じとかもすごくシンパシーがあったし」

――お互いバンドとは方向性の異なるソロをやるところが。

「その揺れ動きというか、"バンドが好きだ"という気持ちと、"このご時世にバンドなんて"という相反する気持ちを抱えて、ソロをやったフィードバックをまたバンドに返してとか...近いことをやってるなと感じていたのもあって、いつか話してみたいなとぼんやり思っていたところに、三船くんがGotchさんと同じゲストとして日比谷野音のゲストボーカルに呼んでくれて...。それにもビックリしたし、グッときたのは"佐々木くんを呼ぶなら、本気の舞台じゃないとダメだと思ってた"って。俺はどうやってこの借りを返せるかな?(笑) Gotchさんとはロットの現場だったからこそお互い自然に話せたと思うし、『ゴールド・ディガーズ』をストレイテナーのホリエアツシさんがプロデュースしてくれたことも知ってくれていて。"今は尊敬できるバンドマンと一緒にやりたいと思ってる時期なんですよね~"って話しながら、"あれ、これって可能性ないのかな?"とふと思って(笑)、お願いしました」



――テナーとアジカンって、ロックシーンの一時代を築いたバンドだから、道場破りとは言わないけど、一つ一つ門を叩いていく感じがありますね。

「いや~マジで挑んでる感じが(笑)」

――でも、それだけフラッドは今、刺激を欲してるというか、変化を求めてるということだよね?

「バンドが好きだし、やっぱり続けたい。そこはかなりピュアに思ってる。メンバーもバンドが好きなのは分かってたけど、あるとき、ナベちゃん(=渡邊一丘・ds)に10年ぶりぐらいに"2人で話したい"って呼び出されて」

――怖いね...だって、それって。

「めっちゃ怖くて。ていうか、"この呼び出し方、知ってる! これ、絶対やめるって言うやつじゃん!"って(笑)」

(一同爆笑)

――この15年で何回かあったアレが(笑)。

「と思ったけど、あまりにも前触れがないというか。むしろ、改めて一緒に頑張ろう、何なら日本武道館を目指そうみたいな話を切り出したところでもあったんで。そうしたら、"やめたいとかじゃないけど、40歳になってもこの状態ならやってられないかも"みたいに言われて」

――ナベちゃんのそれ、どういう真意かにもよるけど、結構ショックな一言だね。

「俺も驚いたけど、そこで自分も、"このままじゃいられない、やっぱりそうだよね"と思って。もちろん、ずっと横ばいな活動でいいと決めたわけじゃないし、かと言って、じゃあもっと売れるために変化しようと作戦会議したわけじゃなかったので。ある意味、ナベちゃんがハッパをかけてきた。"このままでいいの?"って」

――何となくギアを入れなくても転がっちゃう、じゃなくて、意志をもって進みたいという。

「それが"もっといいライブがしたい"とか、"もっといい曲を書きたい"という自分のモチベーションにもつながったんで、結果的に良かったなと思って。すっごい久しぶりに渋谷の山家(やまが)っていう、24時間やってる焼き鳥屋でナベちゃんと2人で飲んで...結構いろんな話をしましたよ」

――いいね、熱いね。

「ちょっと青春っぽい時間でしたね。そんなこともあってバンドが挑みモードだったから、今までと同じじゃなくてGotchさんとやろうとなったし。だから"道場破り"という表現は意外と間違ってない(笑)。そうやってGotchさんにお手合わせを願った感じはありましたね」


デモを聴いて鳥肌が立ったと言ってくれた曲が『キャンドルソング』


――Gotchさんとホリエさんは通じるものも違うところもあったと思うけど、いざ作業してみてどうでした?

「ストレイテナーって、メンバーがだんだん増えていったり、途中でピアノを弾き始めたり、紆余曲折の歴史があるじゃないですか。それを経た今のテナーは、ちゃんとしたコード進行があって、歌のメロディがきれいで...だからホリエさんにも、"そういうことがやりたいのかと思ってた"って言われたんですけど、自分はテナーのオルタナティブロックなセンスが好きだったんで、『ゴールド・ディガーズ』みたいな曲になったんです。具体的な経験談を言うと、俺はメロディと言葉を同時に考えて、どっちを優先させるのか悩んでふわふわさせちゃうんですよね。でも、ホリエさんは"メロディをカチッと決めて、そこにハマる言葉を探した方が絶対にいい"と言い切ってくれて。その方法はGotchさんとやるときも踏襲して、メロディを変に崩し過ぎないようにはしましたね」

――メロディと言葉、どっちかを選び切れない感じなんかもう、佐々木くんの人生そのものだね(笑)。

「そうそう(笑)。ホリエさんってね、すごく潔くて判断が早い。あと、ホリエさんは曲を作るときに一緒にスタジオに入って、初めて組んだバンドみたいにエレキギターをアンプにもつながず弾いて、向き合って歌いながら作って...。テナーの曲ってシンセもいっぱい入ってるし、むしろ打ち込みが得意そうじゃないですか? だからめっちゃ意外だなと思って。Gotchさんとはデモを作ってデータでやり取りしてたんで真逆でしたね。Gotchさんは、"こっちもいいけど...どう?"みたいな感じで、何か物事を考えるときに幅を持たせてくれる。そこはタイプが違うなって」

――懐に入って初めて分かる、それぞれのスタンスが面白いね。

「あと、良くも悪くも普段の俺はメンバーに甘えてるというか、アレンジはギリまで待たせて、メロディも歌を録る日に決めたりしてたけど、今回は先輩の手前、背筋を伸ばしてたんで事前に(笑)。メンバーも2人のことは尊敬してたし、これから武道館を目指そうというときに、とっくにそこをクリアしてる2人だったから刺激もあったと思うし」

――『キャンドルソング』(M-1)は、佐々木くんが出した10曲ぐらいの候補の中からGotchさんに選ばれた一曲で。



「昔のデモで結構いいなと思った6~7曲と、最初に打ち合わせをしたとき、アラバマ・シェイクスやコートニー・バーネット、ボブ・ディランとか、具体的な名前を挙げて妄想トークしてたんで、それを踏まえて作った曲も含めて」

――Gotchさんがこの曲で、佐々木くんのボーカルと言葉を生かそうと思ってくれたのはいったい?

「"フラッドはやっぱり歌だよね。それが爆発した曲にしたいね"みたいなことを言ってくれてたのと、アラバマ・シェイクス=サウンドですよね。普段ラップミュージックとか新しいポップスを聴いていてもカッコいいと思えるバンドの音にしたいねって。コートニー・バーネットは詞の部分の話で、ディランにも通じるストーリーテリングというか、感情じゃなくて事柄を書いて、そこからにじみ出る叙情的なスタイルで...みたいな話をしてたんですけど、結局、全然アラバマ・シェイクスっぽくない曲で、スーパー感情的な詞になっちゃって(笑)。でも、それも何かうれしくて。デモを聴いて鳥肌が立ったと言ってくれた曲が『キャンドルソング』=まっとうなJ-ROCKというか。Gotchさんも洋楽をいろいろと聴いて憧れながら、最終的には自分のエモーションにあらがわず選んでくれたので」

――プロデュースのみならず、Gotchさんはエンジニアリングも得意で。稼いだ金のほとんどをそこに投資してるんじゃないかと思うけど(笑)。

「本当に、ここまで求道的になれるものなのかというぐらい。あの情熱はどこから来るのかなと思って」

――ただ、『キャンドルソング』はGotchさんが関わっただけあってか、ギターの音がアジカンじゃねぇかと(笑)。

「だって、アンプも貸してくれましたから(笑)」


これが今の俺かもしれない


――あと、今回のEPは全体的に明るい印象がしましたね。

「前のアルバム『花降る空に不滅の歌を』('23)を経て、そこから先が暗い曲ばっかりになると、闇方面にしか行けなくなっちゃいそうだなと思って(笑)」

――歌詞も近年はどんどん自分をさらけ出していってるけど、今作では明確な対象がいるからこその"近さ"をより感じました。『ギター(羽あり)』(M-4)は(アオキ)テツ(g)が入院したときの曲、『おやすみシュガー』(M-3)はファンの方が亡くなったのを知ったときに書いたとか、楽曲の起点がとてもパーソナルだからこそ。

「その時点で思ったことのギリギリを書く、みたいなことを『花降る空に不滅の歌を』からやってきて...ありがちだけど、"悩んでること自体が幸せ者だな、別にバンドがなくなったわけでもないし"と思ったし、みんなが汗水流して働いてる時間にも、俺はこうして音楽ができていることが、染みちゃったのかもしれないですね。さっきの話につながりますけど、だから明るいデモを選んじゃったのかも。後半3曲なんか全部メジャーキーなんで。バランスを取ろうかとも思ったんですけど、今回はこれが今の俺かもしれないと思って」

――『Happy Yappy Blood Hunt』(M-2)は昨年のツアータイトルにもなっていて、『花降る空に不滅の歌を』が歌のアルバムだったから、その反動でバンドサウンドを、ライブ感のあるインストを求めて書いたと。『冬の終わり、マウンテンデュー、一瞬について』(M-5)は?

「最後に作ったのが『冬の終わり、マウンテンデュー、一瞬について』で、デモをメンバーのみんなに聴かせたら、"あんまりフラッドっぽくない、でもいいね"みたいに言ってくれて。前のアルバムだと"フラッドっぽさ"を意識してたから絶対にやってないんですけど、あれがあったからこそ、違うところに行ってみてもいいかなと思って」

――後半3曲の試みはバンドを拡張してくれた感じがあって、『冬の終わり、マウンテンデュー、一瞬について』の歌詞も、小説のようなタイトルもいいし、このパワーポップテイストというか、"Gotchさんがエフェクターをたくさん持ってるから使おう"みたいなノリが、フランジャーの使い方からも伝わってくる(笑)。

「いつもはエフェクターをそこまで使わないんですけど、めちゃくちゃスタジオに量があったんでありったけ試してみて(笑)。オルタナ系というか、Aメロからサビまでずっと同じコード進行みたいなシンプルな曲にしたくて。録ったときもすごく気持ち良かったですね」

――揺れる佐々木亮介の現在地、じゃないけど、夢に片足を突っ込んでる誰もが思う"俺はまだ本気出してないだけ感"(笑)、諦めの悪さみたいなものがいい感じに出ていて、"フラッドもそうなんだ"といううれしさがあったけど。

「最近、まだ思春期してるなってすごく思うんですけど、それが爆発してますよね(笑)」

――この曲における"君のせいさ"の君は、誰かイメージがあったりする?

「『ギター(羽あり)』と『おやすみシュガー』であまりにも具体的に人のことを歌っちゃったんで、この曲はふわっとしてるかも。音楽そのものか、ロックミュージックのことを君と呼んでる気もするし」

――ファンのような気もするし。

「メンバーとかスタッフとか、身近にいる人の顔が浮かんでくるようなイメージも。実体験的な何かというよりは、久々に抽象的に書いてみようと思ったんですよね」


ファンの人がいてくれるって、すげぇご褒美だなと思った


――ちなみに、『ギター(羽あり)』を書くきっかけになった昨年のテツの入院って、そんなにヤバかったの?

「腸の病気で、ヤバかったというか最初は病名すら分からなかったから、入院する、手術までする、マジ? みたいな。ただ、ライブができないことは決定してたんで、2~3本サポートを入れるかキャンセルするか考えたけど、俺がテツなら"3人でやっといてよ"って言うかなと思って。俺らもテツがどうなるか分からないままライブをして、見てる人もテツが帰ってくるとは限らないみたいな気持ちのままで、もう別の人の音が鳴っちゃうのは何か違うなと。でも...身近なバンドマンのそういう話も続いてたし、複雑な気持ちでしたね」

――元気にはなったけど、今後ギターを弾くのには支障が...みたいなこともあり得たから、良かったね。テツもうれしいんじゃないの、この曲。

「恥ずかし過ぎてテツにはこの曲のことを具体的には言ってないけど(笑)」

――このインタビュー、テツが読んでくれたらいいな(笑)。『ギター(羽あり)』も『おやすみシュガー』もパーソナルだけどちゃんと曲自体が良くて、独り善がりにはなってない。

「『おやすみシュガー』は昔からあった曲で、何となくアルバムには入らないなと思ってたけどEPならいいかと引っ張り出してきたときに、ファンの人から手紙が来て。内容が亡くなっちゃった話だったから、そのまんま暗い曲にはしたくないのもあったし、何かね...ファンの人がいてくれるって、すげぇご褒美だなと思った」

――ね! 自分たちが好きでやってることを応援してくれるなんて、こんなうれしいことある!?

「リリースした後、手紙で知らせてくれた人からまた手紙が来て...それで、俺が勝手に救われちゃいましたね」

――天国で絶対に喜んでくれてると思うよ。俺も予約したい。俺が死んだら書いてほしい(笑)。

「逆に俺が先に死んだら、長い追悼文を書いてくださいね」

――『おやすみシュガー』のシュガー=サトウさんとかそういうこと? 関係ない?

「これは酔って帰ったら足元がおぼつかなくて、ホントそのままですけど、家の砂糖を砂時計をひっくり返したみたいにバシャって倒しちゃったんですよ。あと、この曲はベイビーとかダーリンじゃないから何て呼ぼうかと思ったけど、"あ、シュガー(=ご褒美)だ"と思って。悩んでるときの甘みなのかも、ファンの存在は」

――EPという形態だからこそ世に出たし、引き出された部分があって。次のアルバムがどの方向に行こうとも、『CANDLE SONGS』を経た先なら意味があると思うよ。


覚悟が決まってるし、尻に火がついちゃってる(笑)


――全国ツアー『CANDLE SONGS -日比谷野外大音楽堂への道-』も開催中で、7月の大阪、愛知、神奈川はゲストを迎えて行われます。我らが大阪には大ボス=the pillowsが現れるということですけど(笑)、この3組との関係性、なぜ呼んだのかを聞きたいなと。

「土地とのゆかりもあって、9mm Parabellum Bulletは横浜出身というのもあるし、9mmがデビューする前ぐらいから俺らがオープニングアクトをやってたんで。cinema staffはお互い20歳ぐらいの頃、名古屋・池下CLUB UPSETで出会ってるんですよね。で、the pillowsとはなぜか大阪でめっちゃ対バンしてるんで、思い出もいっぱいある。この15年間で最も付き合いが濃いというか...しょっちゅう会ってますし」

――the pillowsは誰とでもつるむようなバンドじゃないからうれしいよね。ああいう気骨のあるバンドが。だから何回取材してもピリッとするもん。簡単には人を寄せ付けないものがあるというか。

「気骨あり過ぎですよね(笑)。飲みに行っても今でも最初の1時間半はピリッとしてますから。それを超えたら、心が正座じゃなくてもいいかなって(笑)」

――仲が良くても馴れ合いじゃないのは理想的な関係だよね。そして、8月12日(月・休)には『a flood of circle デビュー15周年記念公演"LIVE AT 日比谷野外大音楽堂"』があって。ロットが毎年、日比谷野音で当たり前のようにやってたから普通に押さえられる会場だと思い込んでたら、抽選に当たるのが結構難しいんだね。

「10年ぶりにようやく俺たちの出番が来た。ただ、前回の日比谷野音は全県ツアーを回った直後で、まだ成長し切れないまま、それをうまく生かせなかった。一生懸命やったし、いい部分もあったんですけど、その後、Duran(g)が入ってすぐに抜けたり、事務所がなくなって急きょ会社を作ったり、フラッドの歴史においても珍しく3年ぐらいフルアルバムを作らず、バンドを立て直す時期に入っちゃったんですよね。野音まで持っていったエネルギーが分散して、いろいろとゼロから作り直さなきゃいけなくなった。実際、当時は自分たちの実力でたどり着いたというよりは、押さえてもらった野音に向かっていく形だったから、今の方が絶対にしっくりくるライブになると思うんで」

――そんな日比谷野音は都会の真ん中にぽんとあって、大阪のそれとはまた違う魅力がありますね。

「外なのに不思議な密閉感が気持ちいいというか、特別な感じがしますよね」

――当日は過去最多の曲数をやると明言してます。

「15周年だからシンプルに一回出し切るぐらいのライブをしたいなって」

――この日はオールタイムベストじゃないけど。

「まさにそういうことですね」

――ツアーも後半ですが、途中経過としてはどうですか?

「普通に今までで一番いいと思いますよ。最後に対バンがあっての野音というのも、微妙にハードルを課してるところもあるんで、集中力上がってる感じがすごいあるし、覚悟が決まってるし、尻に火がついちゃってる(笑)。目標に向かってもっと何できるのかというテンションをメンバーから前より感じるんですよね」

――ここで最後に刺激をもらって、まずは日比谷野音でいい景色を見たいよね。そして、『ゴールド・ディガーズ』には、"武道館 取んだ3年後 赤でも恥でもやんぞ"という一節がありますが、中途半端にあそこに立ったバンドってただの記念になっちゃって、そこから失速していく。これからフラッドは立つべくして立ったという状況にしたいね。

「それを無理やりにでもやろうと思ってるし、次のアルバムでは面白い作り方をしようとも考えてるんで。その物語も込みで楽しんでもらえたら!」

Text by 奥"ボウイ"昌史




ライター奥"ボウイ"昌史さんからのオススメ!

「フラッドとアジカンの路線が異なるので気付きませんでしたけど、よくよく考えるとかなり似たケースで。ソロのベクトルがバンド本体と割と違って、作詞作曲するフロントマンと、それを支える職人たちみたいなメンバーのスタンスも似てる。だから、Gotchさんがプロデュースすると聞いて、妙に納得しました。新作『CANDLE SONGS』はEPというサイジングが功を奏したのか、どれも粒ぞろいかつ新鮮で。キャリアを重ねて果敢に自らに変化をもたらそうとするフラッドの挑戦は、長く一つの職業に従事し続ける方ならきっと感心し、応援したくなるはず。ロックバンドの一つの夢の到達点、日本武道館。でも、そこまでたどり着かずに力尽きるバンドも少なくはありません。大阪在住の僕ですが、今度、誰が武道館でやったら東京まで見に行くかなと考えたとき、フラッドだったら間違いなく行くなと思いました。結成20周年='26年にそれが現実となることが、今から楽しみでなりません!」

(2024年6月12日更新)


Check

Movie

ライブ告知とインタビューの裏話も
佐々木亮介(vo&g)の動画コメント!

Release

バンドの変化の兆しを感じさせる
メロウでポップでハードな全5曲!

 
EP
『CANDLE SONGS』
【初回限定盤DVD付】
発売中 5500円
Imperial Records
TECI-1821

<収録曲>
01. キャンドルソング
02. Happy Yappy Blood Hunt
03. おやすみシュガー
04. ギター(羽あり)
05. 冬の終わり、マウンテンデュー、
  一瞬について

<DVD収録内容>
2023年9月7日(木)新代田FEVER
『Mini Album「a flood of circle」&
「泥水のメロディー」再現ライブ』
01. ブラックバード
02. ガラパゴス
03. 308
04. 夜はけむり
05. 象のブルース
06. 泥水のメロディー
07. ロシナンテ
08. Red Dirt Boogie
09. SWIMMING SONG
10. 世界は君のもの
11. ビスケット
12. Diamond Rocks
13. エレクトリック・ストーン
14. Sweet Home Battle Field
15. ゴールド・ディガーズ
16. Beast Mode


【通常盤】
発売中 2750円
Imperial Records
TECI-1822

<収録曲>
同上

Profile

ア・フラッド・オブ・サークル…写真左より時計回りにアオキテツ(g)、HISAYO(b)、渡邊一丘(ds)、佐々木亮介(vo&g)。’06年結成。’09年には1stアルバム『BUFFALO SOUL』でメジャーデビューを果たすものの、メンバーの失踪や脱退を経験し、’10年にはHISAYOが加入。結成10周年を迎えた’16年にはベストアルバム『THE BLUE -AFOC 2006-2015-』をリリース、初の海外公演を行ったほか、主催イベント『A FLOOD OF CIRCUS』をスタート。’18年にはアオキテツが加入。結成15周年イヤーとなった’21年の8月にはTHE BACK HORN、田淵智也(UNISON SQUARE GARDEN)、山中さわお(the pillows)らが参加した企画盤『GIFT ROCKS』を、12月にはアルバム『伝説の夜を君と』をリリース。同作のツアーファイナルとなる’22年7月に限定シングル『花火を見に行こう』をリリース、東京・LINE CUBE SHIBUYAで初のホールワンマンを行った。さらに10月には東京・代々木公園野外音楽堂にてフリーライブ『I’M FREE 2022』を開催。約4000人を動員し、新曲『Party Monster Bop』を無料配布。’23年2月にはアルバム『花降る空に不滅の歌を』をリリース、全国ツアーを開催。9月にはホリエアツシ(ストレイテナー)プロデュースによるシングル『ゴールド・ディガーズ』をリリース。’24年3月13日には後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION)プロデュース曲『キャンドルソング』を含むEP『CANDLE SONGS』をリリース。全国ツアーを4月よりスタートさせ、8月12日(月・休)には東京・日比谷野外大音楽堂で10年ぶりにワンマンライブを開催する。

a flood of circle オフィシャルサイト
http://www.afloodofcircle.com/

Live

ツアー終盤戦は強烈対バン×3
そして10年ぶりの日比谷野音へ!

 
『CANDLE SONGS
-日比谷野外大音楽堂への道-』

【宮城公演】
▼4月12日(金)仙台MACANA
【北海道公演】
▼4月14日(日)cube garden
【神奈川公演】
▼4月18日(木)F.A.D YOKOHAMA
【京都公演】
▼4月25日(木)磔磔
【広島公演】
▼4月26日(金)SIX ONE Live STAR
【長野公演】
▼5月10日(金)長野ライブハウスJ
【石川公演】
▼5月11日(土)金沢vanvanV4
【愛知公演】
▼5月23日(木)名古屋クラブクアトロ
【高松公演】
▼6月5日(水)DIME
【福岡公演】
▼6月7日(金)LIVE HOUSE OP's
【大阪公演】
▼6月9日(日)umeda TRAD

【東京公演】
▼6月13日(木)LIQUIDROOM

Pick Up!!

【大阪公演】

Thank you, Sold Out!!
▼7月11日(木)19:00
梅田クラブクアトロ
オールスタンディング4800円
[ゲスト]the pillows
清水音泉■06(6357)3666
(info@shimizuonsen.com)
※未就学児童は入場不可、小学生以上は有料。出演者が許可した場合を除き、写真撮影、録音・録画禁止。

【愛知公演】
▼7月18日(木)ボトムライン
[ゲスト]cinema staff
【神奈川公演】
▼7月21日(日)横浜ベイホール
[ゲスト]9mm Parabellum Bullet


『a flood of circle
 デビュー15周年記念公演
“LIVE AT 日比谷野外大音楽堂”』

Pick Up!!

【東京公演】

チケット発売中
※チケットは、インターネットでのみ販売。店頭での受付はなし。チケットの発券は8/2(金)10:00となります。
▼8月12日(月・祝)17:00
日比谷野外大音楽堂
全席指定5000円
U22割2500円
VINTAGE ROCK■03(5787)5350
※未就学児童は保護者膝上に限り無料。席が必要な場合はチケット必要。小学生以上はチケット必要。U22割は公演当日に22歳以下の方対象となります。公演当日要身分証明書。雨天決行、荒天中止。詳細は問合せ先まで。

チケット情報はこちら

 

Column1

「音楽的にも人生的にも
理想と絶望にどう立ち向かうのか」
生きざま全開のニューフェーズ
『花降る空に不滅の歌を』を語る
インタビュー('23)

Column2

「新しい自分になればいいだけ」
好きと楽しいを信じて
a flood of circleを更新する
『伝説の夜を君と』を語る('22)

Column3

the pillows山中さわお
THE BACK HORN、ユニゾン
田淵智也、SIX LOUNGE、Reiらと
結成15周年に確かめる愛と挑戦!
『GIFT ROCKS』を語る('21)

Column4

「フラッドはバラバラであることで
 尊重し合って、楽しんでる4人」
メンバー全員が作詞作曲した
新たな挑戦『HEART』を語る('20)

Column5

「死ぬまでやるのがロックバンド
 だと思ってるんで」
歪で美しいドキュメンタリー
『CENTER OF THE EARTH』
インタビュー('19)

Column6

「フラッドはあそこから始まった
って言われるツアーになると思う」
『a flood of circle』
最強の宣戦布告を全員で語る('18)

Column7

「俺たちにとっては、もうここで
辞めても悔いがない10年じゃなくて
悔しい悔しいの10年なんですよ」
a flood of circleのロックンロール
サバイバルな10年を刻んだ初ベスト
『THE BLUE』インタビュー('16)

Column8

他にもあります歴代インタビュー!

 
afoc VS 女王蜂
神戸VARIT.レポート('16)

特設ページはコチラ!
『花』('15)
特設ページはコチラ!
『ベストライド』('15)
特設ページはコチラ!
『GOLDEN TIME』('15)
特設ページはコチラ!
afoc VS THE NOVEMBERS
京都磔磔レポート('14)

特設ページはコチラ!
『I'M FREE』('13)
特設ページはコチラ!
『FUCK FOREVER』('13)
特設ページはコチラ!
『LOVE IS LIKE A
 ROCK'N'ROLL』('12)

特設ページはコチラ!