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「音楽的にも人生的にも、理想と絶望にどう立ち向かうのか」
むき出しのフラッド、生きざま全開の本気のニューフェーズを
絶賛ツアー中のa flood of circle佐々木亮介(vo&g)が激白!
『花降る空に不滅の歌を』インタビュー&動画コメント

 今作の佐々木亮介(vo&g)は、弱い。いつだってリスナーの先陣を切って理想を掲げ、不屈の精神で突っ走ってきたロックンロールバンド、a flood of circle。彼らのそんな音楽に幾度となく鼓舞されてきたフォロワーは少なくないはずだが、最新アルバム『花降る空に不滅の歌を』では、戦争やSDGs、コロナに政治、何が正義で正解か、考え出したら身動きが取れなくなりそうな時代に翻弄される自らの姿をさらけ出し、年齢と経験を重ね夢への距離の解像度が増すほどに突き付けられる現実を投影。バンドが音楽的に成熟してきた今だからこそ、とことん本気で自分を追い込まなければニューフェーズには向かえない。そんな現状にもがきながらも必死に声を上げる楽曲の数々には、胸を揺さぶられて仕方ない。現在は全国ワンマンツアーの真っ最中の佐々木亮介が、自身にとっても忘れられない転機の一枚となった『花降る空に不滅の歌を』を語るインタビュー。“やめるべき1000の理由を超える/たった1つをムリヤリ信じる”(『月夜の道を俺が行く』)。それでもなお、a flood of circleは転がり続ける――。



自分たちの場所の作り方を態度でも示したかった


――昨年は東京・LINE CUBE SHIBUYAで初のホールワンマン、その3カ月後には東京・代々木公園野外音楽堂でフリーライブと年に2回もヤマ場があって、フラッドとしてもギアの入った一年だったんじゃないかと。



「LINE CUBE SHIBUYAはツアーの最後にデカい場所でやるという意味では順当だったんですけど、代々木は勢いで決めちゃったところも結構あって。今回のアルバム『花降る空に不滅の歌を』を作ることは決まってたんで面白く発表したかったし、ここ何年かはコロナもあって対バンも少なくて、a flood of circleに"微妙に"興味がある人にとっては(笑)、見る機会がなかったと思うんですよ。俺たちも正直、"ザ・中堅バンド"になってきて、若手ほどフェスにも呼ばれないし、一番デカいステージにもまだ立てない。でも、そこでスネてもしょうがないし、自分たちで場所を作るべきなんじゃないかという話になって...そう言えば、"最近は代々木公園のフリーライブって聞かないな"と思ったんですよね。一回あそこで弾き語りをしたとき、会場の裏に"一日借りると何円です"みたいなことがサラッと書いてあるのを思い出して。意外と、"マジ!?"みたいな値段で借りられちゃうと」

――なるほど、そこは行政の施設だから。

「ただ、いざちゃんと調べたら機材とか警備の用意が結構大変で、クラウドファンディングもしたんですけど。LINE CUBE SHIBUYAが終わって、また普通にアルバムを作ってツアーをするのもいいけど、もっと面白いことがしたいなと思って。結果、かなりのチャレンジにはなっちゃったんですけどね」

――約4000人が集まったフリーライブ『I'M FREE 2022』はどうだった?



「自分たちの中にあるBLANKEY JET CITYとかTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTとか、もっと近いところで言うと9mm Parabellum Bulletとか...先輩たちが立っている場所への憧れみたいなものはあったと思うし、ナベちゃん(=渡邊一丘・ds)とか(アオキ)テツ(g)は特にうれしそうだったんでよかったなと。最初はスタッフも、"マジでやるの!? こいつ、博打を打ってきたな"と思っていたはずなんで(笑)」

――そうね。結構デカい会場だよ、というのもあっただろうし。

「でも、むちゃ振りでも自分たちの場を作れたのは、すごくデカかった。例えば、革ジャンを着る=ステレオタイプなことをやっても、そこに『ジョジョの奇妙な冒険』のピンバッチは付けないだろうとか、自分の中のステレオタイプを認めつつ更新していこうと思っているので、代々木公園のフリーライブにしても、レコード会社や事務所のパワーじゃなくてクラウドファンディングでやるとか、自分たちの場所の作り方を態度でも示したかった。衣装一つ決めるにもアップデートしたかったし、それらの成果があの日になったと思うし」

――逆に言うと、通常運転の延長線上だけじゃない視野を持たなきゃいけない時期が来たとも。

「テツが入ってアルバムを3枚(=『CENTER OF THE EARTH』('19)『2020』('20)『伝説の夜を君と』('21))作って、5年一緒にやってきたところでメンバーへの信頼度は高まってるし、ちゃんと関係性が見えてきた。今思えば、ミニアルバム『HEART』('19)でみんなに曲を書いてもらった頃はまだ距離感が分かってなかったというか、"みんなももっと主張したいかな?"とか、"俺が引っ張ってるけど本当はイヤかな?"とか気を使っちゃってたと思うんです。でも今は、自分の"やりたい"で引っ張っちゃっていいと思えるし、フラッドはそういう新しいフェーズに入ってる」

――代々木で『花降る空に不滅の歌を』のリリースを発表した段階で、中身はどこまで出来上がっていたの?

「もう全くできてない(笑)。『花降る空に不滅の歌を』というタイトルも、その日に言わなきゃいけないから決めたんで。ただ、"花"も"降る"も"空"も"不滅"も"歌"も別に珍しくない単語だけど、検索したらそのタイトルしか出てこない言葉を作ろうとは思ってましたね」


今まではやっぱり逃げてたというか、人のせいにしてたなと思う


――前回の『伝説の夜を君と』のインタビューでは、自分を掘り下げる=素直になることだった。とは言えそのときも、"俺らは弱ってる佐々木くんを見ることがないからなぁ。まぁフロントマンでソングライターでもあるから、なかなかそういう顔を見せられないかもしれないけど"と話していて。ナベちゃんとか姐さん(=HISAYO・b)とかテツは、受け取った印象と誤差がない人だと長い付き合いの中で感じられる。けど佐々木くんは、毎回これだけ話していても、そうじゃないかもなって。

「それは結構よく言われるし、自分でも思うんですよね。"お前、本心で言ってる?"とか、"腹割ってんのかこいつ?"って、そう人にも見られてるというか...。ただ、これはもう性格なんで、ある意味しょうがない(苦笑)。だからこそ今回のアルバムでは、せめて歌詞だけは"これしかない!"と腹を割るところまで書こうと臨んだんですよ。それこそ自分を取り繕ってここまで来ちゃったのかなと思うことが、この一年で結構あったんですよね。しかも今の時代、レーベルに頼まれてCDを出してるわけじゃない。もちろん応援はしてくれてるのでいい関係ですけど、何より俺らがCDを出したくて、基本的にはこっちのお願いベースで生きてるんで。その点に正直になったとき、俺らが面白い音楽を作れる人間だと証明するところまで、自分をちゃんと追い込んで勝負できないと意味がないと思っちゃったんですよ。そこをギリギリまで追い込んで作ったのが『花降る空に不滅の歌を』で」

――自分をギリギリまで追い詰める=弱みに触れることにもなるから、カッコいい話だけじゃないし、今作の歌詞は基本的にスカッとしてないもんね。

「そこで"分かるぜ、君の弱み"という歌を書くのはちょっと違うなと思って。"俺は弱い"と書くだけでいい。"俺"とは書いてるけど、聴く人と重なる部分がきっとあると信じて投げようって」



――『月夜の道を俺が行く』(M-1)の冒頭、"俺の夢を叶えるやつは俺しかいない/俺は行く いつもの道を/ROCK' N'ROLL"って、またアルバムのド頭から魂を鼓舞してくれるわ~と思いきや、この後は急転直下の弱音を吐きまくるのが(笑)、今までとは違うところで。

「"俺、カッコつけてました"って歌っちゃってますからね(笑)。結局、いつもの道を歩いてるんですけど、それにガッカリもしてる。いろんな自分がい過ぎて、"この方面の俺を切り捨てよう"とか、自分を上手に削れないんですよ」

――佐々木くんはあれもこれもある程度できちゃうからこそ、可能性をなかなか手放せないのかも。

「逆に言うと、その真ん中の部分は空っぽなんですよ(苦笑)。それが苦しくていろんなことをやってみてるというか...器用にいろいろやっているというよりも、何も極められなくて中途半端にいろいろ手を伸ばしてる。でも、それが俺だなって。それすら認めて出しちゃおうと、今やっと思えたのかもしれないです」

――17年もバンドをやってきて、この期に及んで何でそんなに自分と向き合うことになったんだろうね。フラッドってこの17年、もっと大変なことがいろいろあったじゃんと、周りから見ていて思うけど(笑)。

「ね(笑)。やっぱりバンドが好きで、バンドの関係性がいい意味で出来上がってきてるのがデカいと思います。"メンバーとのことで気をもむぐらいなら、まずは自分のことでしょ"というところに、ようやく来れたんじゃないかと。今まではやっぱり逃げてたというか、人のせいにしてたなと思うし。結局、環境に絶望する方が楽で、それを変えられるパワーがない自分の方を見ちゃったら、もう言い訳する余地がないというかね...」


自分が本気でいられる時間って、一年にいったいどれだけあるだろう?


――今作ではやっぱり『月夜の道を俺が行く』と『本気で生きているのなら』(M-5)が強烈なインパクトで。

「今回のアルバムは最初に曲数も展開も全部決めていて、最後に作った曲=『月夜の道を俺が行く』を1曲目にする、最初はアカペラから始める、そこに36年生きてきたことが出るように頑張ろうと。あと、SDGsの話じゃないですけど、世の中にはCDとかTシャツが腐るほどあって、でも、メシを食うためには作って売らなきゃいけない=自分はもう地球に必要ない存在だなとも思うんですよ(笑)。ただ、それを考え出すと何もできなくなっちゃうから、そのときにロックバンドの"バーン!"というパワーが必要だと思うし、答えがないからそれをそのまま書いたんですよね。『本気で生きているのなら』の方は、まさに夜中に書いたラブレターみたいな曲で。朝になって聴いたら消したくなると思ったんで、あえて夜中のうちに弾き語りでメンバーに送ったんですよ。だから今、自分で聴いても...こんな歌、聴きたい人がいるのかな?」

――アハハハハ!(笑)

「もっと楽しく生きたいだろうし、『本気で生きているのなら』とか言われても...ってみんな思うだろうけど、こういう歌こそ今必要で、自分のやるべきことだと思ったんですよ。こんなものを聴きたくない人がいるのと同時に、絶対にこの歌が刺さる人がいるはずだと信じてやる方が、今の自分には意味があるなと思った。これをもっと聴きやすく、薄く広くみたいなことをすると、ポイントがどんどんズレちゃうというか...その方が楽だけど。だからこそ、『本気で生きているのなら』を出そうと決めたこと自体が、ターニングポイントだったかもしれないですね」

――『本気で生きているのなら』はもうタイトルの時点で、いい曲に決まってると思った。

「前作で『白状』('21)を書いて、それも今思うと、ピアノを弾いたりイントロもすごく長かったり、音楽的にいろいろと工夫してコーティングしてるなと思ったんですよ。もっとむき出しであることが大事だったんで」

――『本気で生きているのなら』を聴いて、かの本田宗一郎の"チャレンジして失敗を恐れるよりも何もしないことを恐れろ"という名言を思い出したよ。人生、失敗よりも本気じゃないことの方が怖い。

「年齢的にも40代が見えてきて、知り合いのミュージシャンには"佐々木の人生は完成されてるね"とか言われて...でも実際は、完成どころかまだまだで、矛盾した状況の自分に焦ってる。そんなときに、"それで本当に死ぬまで音楽ができると思ってんの?"って自分に問い掛けちゃったから、こういう歌になっちゃったんですよね(苦笑)。そこで"さぁ行こうぜ!"とか誰かを誘う余裕がなかった。"自分が本気でいられる時間って、一年にいったいどれだけあるだろう?"と思うし、それに加えて声も気持ちも調子がいいとなると、本当に年に何日もないから。だから、その日をつかまえるのに時間がかかっちゃうんですけど、『本気で生きているのなら』では、"自分で聴きたくないぐらい恥ずかしい自分を書き切る"という気持ちでした。後からインタビューとかで補足説明できるようなことじゃなくて、歌の中に本当の自分が全部あるようにしたかったのはあります」


見て見ぬふりをしたくないと今は思っちゃってる


――そんな収録曲の中で、違うノリで気になった曲が『くたばれマイダーリン』(M-3)で。

「これはもう完全に...自分の経験的にパートナーに思われてきたことですね(笑)。俺はやっぱり家父長制の長男で、長男と言えば鯛のお頭が出てくるタイプの価値観で育ってるなと思うんですよ。時に意識してそうならないようにしてるぐらい、自分で自分を疑いまくってる。だから今作で自分のことを書こうと思ったとき、二人称とか三人称で書ける俺もいるはずだと、この曲でトライしてみたんです。俺が俺のそばにいたら、"くたばれ!"って思うことがいっぱいあるだろうなって(笑)。自分の矛盾とか人間のイヤらしい部分...20代の頃、カッコつけて臭いものにふたをしてたところを、どんどん開けにいく。そこに今、自分の歌があるような気がしてるんですよ。そこで"俺は俺なんで"と開き直るのは恥ずかしいし、ズルいなと。"そう言えば逃げられると思ってんじゃないの?"って」

――だからこそ、自ら退路を断つと。

「でも、全然カッコいい感じじゃなくて、どこにも行き場がないという(笑)」

――だからか、『カメラソング』(M-6)とか軽快でポップな曲調もあるけど、基本メッセージが重いというか...メッセージでもないかこれは(笑)。

「アハハ!(笑) 確かに今回は"世の中はこうなった方がいい"みたいなことはあんまり書いてないかも。そういう理想は変わらず持ってるんだけど、そこにはまるで行けないままずっと頭を抱えてる自分という」

――珍しいよね、いつも先陣を切って理想を掲げてくれるのがフラッドだと思うから。



「その辺は『花火を見に行こう』(M-10)で書いてるんですけど、そこと自分は絶対に切り離せないし、歌わなくていいでしょとは思わない。きれいごとも理想も忘れてないからこそ絶望しちゃうというか、だんだん距離が遠のいちゃって困ってる。そう! これは"俺は困ってます"というアルバムなんですよ(笑)」

――経験を経て、いろんなものが見えるようになってきたからこそ、今まではおぼろげだった理想までの距離がハッキリ分かっちゃった、みたいな。

「まさに。これまで歌ってきた気持ちにうそはないけど、『花降る空に不滅の歌を』=花が散るのが現実で、不滅の歌なんてきっとない。でも、そこにはまだ、かないそうにない理想があって...それが忘れられない」

――過去イチ、ロマンチック野郎・佐々木亮介の真骨頂なタイトルだと思った。その理想とロマンをこんなふうに言葉にできるなんて素敵だなって。

「自分はやっぱり音楽が好きだから、プレッシャーから逃げようとしてた気持ちすら言葉やリズムにしていくと思うんですけど...最近、大学入試のときにあまりに現実と向き合えなくて、試験が始まってるのにメシのこととかエロいことを考えていたのを思い出したんですよ(笑)。根本的にプレッシャーに弱いんで、気持ちのいい方に流れちゃうから、音楽をやってるんだなって。でも、歌詞を書く行為はすごく悩むし、曲を作って言葉を考える楽しさや喜びだけを見て生きられたら、もうちょっと楽にやれそうなんですけどね。実際、"もっと楽にしたらいいのに"とかもよく言われるんですけど、楽であることはそんな大事かなと思って。楽なだけってそんなに楽かと。それこそさっきの臭いものにふたじゃないけど、見て見ぬふりをしたくないと今は思っちゃってる」

――もう生きざま満載だね、今作は。

「あとは、自分が聴いてる音楽と逆張りして、みんながやってない方向に行こうとしてるのもあるかもしれない。もっときれいな表現とか、技術的に新しい音楽はいっぱいあるけど、そのフォロワーになる気はないので。音楽って、生きざまとか人間性とは関係ないところにクオリティがあって、美しくて楽しめるものだと思いたかった。でも、やっぱりそれがどんどん出てきちゃってますね。戦争とかSDGsとか政治的なことについて考え出したら身動きが取れなくなりそうな時代に、例えばRed Hot Chili Peppersは『Unlimited Love』('22)みたいなおバカなタイトルのアルバムを出したり、あんなに小難しいことをやってたRadioheadのメンバーは、The Smileというバンドでシンプルに楽しそうにやっている。確かに、文化を愛してるけど八方塞がりで掲示できるものが何もない時期に、とりあえず軽快にアクションするのは分かるんですよ。でもね、俺はさらけ出す方に行く。もちろん、バンドを信頼してるから軽快な曲もあったり、歌詞で悩んでもユーモアを忘れない。だから、"気づけば結局 佐々木亮介"って書いちゃう(笑)」

――『月夜の道を俺が行く』の歌詞は前代未聞だよね。カラオケでもみんなが"佐々木亮介"って歌うのか。

「いや、そこはご自分のお名前を!(笑)」


自分をさらけ出すこと、理想を掲げることはやり続けようと思ってる


――ちなみに今回の制作は、メンバーのテンション的にはどうだったの?

「今回は歌を録る当日まで歌詞に悩んでたんで、メンバーには"だいたいこんな内容で"と伝えてレコーディングしてました。ちょっと前ならみんな嫌がったと思いますけど、今は俺の考えてることを何となくキャッチしてくれてたと思うんで、それに超ズブズブに甘えましたね。でも、それができたのは、メンバーにとっても俺にとっても、これが最後のアルバムだとは思ってないからで。『月夜の道を俺が行く』のドラムとか、これまでで一番いい音で最高だなと思ったし、最近よくテツも言ってるんですけど、そこまで自信がなくてライブでやってなかった昔の曲も、今ならできるなと。とにかくメンバーの状態がいいんで、バランスは取れてるかなと思ってますけどね」

――テツもインスタで"トラックダウンで聴いて鳥肌が立った"とか書いてたよ。

「何せトラックダウンまで歌詞を聴かせてなかったんで、"こんな内容だったんだ!"って(笑)」

――そして、ギリギリまで自分を追い込んだ渾身のアルバムに、ご褒美のように奈良美智さん作のジャケットが...!

「内容的には自分のアップの写真をジャケにしてもよかったんですけど...もう奇跡だな。これは本当にタイミングで、今しかないと思って。奈良さんも今ならできるという感じだったので」

――奈良さんと出会ったのは、約10年前のTHE ROOSTERSの大江慎也(vo&g)さんのバースデーライブだったと。

「そのときも酔っ払った勢いで、"いつかジャケットをお願いします!"とは言ったんですよ(笑)。でも、昔は自分が歌詞を書いていたノートにフライヤーを貼ったり絵とかも描いていて、それを見た奈良さんに、"これもアートブックだよ。誰かに任せるのもいいけど一度、自分でやってみたら?"と言われたんですよね。そこから、自分でデザインを考えたり、Tシャツも作ったり、いろいろトライしていくようになって...。あれから10年経って、フラッドもニューモードに入ってさらけ出そうというときに、自分のティーンエイジャーのルーツにはやっぱり奈良さんがいたので、今描いてもらうことに意味があると思って改めてお願いしたら、ラッキーなことに描いてくれたんですよね」

――それも相まって、忘れられないアルバムになったよね。

「そうですよ、ここからどうなる...?(笑) 自分をさらけ出すこと、理想を掲げることはやり続けようと思ってるんですけど、一回出し切っちゃったんですぐに歌詞は書けないなと。これを起点にした、何か面白い音楽が作れたらいいなと今は思ってますけどね」

――現在開催中の『Tour 花降る空に不滅の歌を』も各地をたっぷり回って、ファイナルは東京・Zepp Shinjukuと、それこそフラッドのルーツとも言える場所で。

「そうそう! 奈良さんと出会ったのも、ナベちゃんと出会ったのも新宿なんで」

――バンドの状態はいいとなると、これだけの本数のライブをやれるのは楽しみですね。

「ライブでも『本気で生きているのなら』とかはやっぱりパワーがあるなと思ったし、リハスタで練習したときよりメンバーが気持ちを乗せてくれたのが伝わってきたから、超育つかも。このアルバムのツアーを通して、音楽的にも人生的にも、理想と絶望にどう立ち向かうのか、もっと見えてきたらいいなと思ってます!」

Text by 奥"ボウイ"昌史




ライター奥"ボウイ"昌史さんからのオススメ!

前回のインタビューでこの最後のオススメコメントに、"現段階では佐々木亮介解放計画の第一歩だと思うので(笑)、マジでこのギアを踏んだら今まで以上にもっともっと刺さりそう。"と書いていて。佐々木くんも今改めてそれを読んで"何と的確なコメントを...!"と驚いていたんですが、『花降る空に不滅の歌を』はまさにそうなりましたね。今作の楽曲はいちいち"これって誰のこと?"と聞きたくなる=さらけ出してる。本当であるかというか、本気であるかどうか。それが全ての表現の、感動の肝だなと改めて思わされました。あと最近、"インタビューしていて面白い人って誰ですか?"とFM802のDJさんに聞かれたときに佐々木くんの名前を出したんですが、今回はとりわけ腹を割って話してくれた気がします。それが作品のせいなのか、前日のライブの打ち上げで二日酔いのせいなのかは、神のみぞ知るですが(笑)」

(2023年4月14日更新)


Check

Movie

過去記事アーカイブもグッズも自慢!
佐々木亮介(vo&g)の動画コメント

Release

ジャケットはあの奈良美智!
自らをさらけ出し勝負する渾身の一枚

 
Album
『花降る空に不滅の歌を』
【初回限定盤CD2枚組】
発売中 4950円
Imperial Records
TECI-1793

<収録曲>
01. 月夜の道を俺が行く
02. バードヘッドブルース
03. くたばれマイダーリン
04. 如何様師のバラード
05. 本気で生きているのなら
06. カメラソング
07. 花降る空に不滅の歌を
08. GOOD LUCK MY FRIEND
09. Party Monster Bop
10. 花火を見に行こう

<特典CD収録曲>
2022年12月29日 at 新宿LOFT 
『a flood of circleの大忘年会』
01. ロックンロールバンド
02. The Beautiful Monkeys
03. Flood
04. Blood Red Shoes
05. Party Monster Bop
06. ミッドナイト・サンシャイン
07. Where Is My Freedom
08. 人工衛星のブルース
09. 花火を見に行こう
10. ベイビーそれじゃまた
11. Lucky Lucky
12. Welcome To Wonderland
13. Party!!!
14. 北極星のメロディー
15. ミッドナイト・クローラー
16. シーガル
17. I LOVE YOU


【通常盤】
発売中 3300円
Imperial Records
TECI-1794

<収録曲>
同上

Profile

ア・フラッド・オブ・サークル…写真左より渡邊一丘(ds)、HISAYO(b)、佐々木亮介(vo&g)、アオキテツ(g)。’06年結成。’07年、初音源となるミニアルバム『a flood of circle』をリリースし、『FUJI ROCK FESTIVAL ‘07』に出演。’09年には1stアルバム『BUFFALO SOUL』でメジャーデビューを果たすものの、メンバーの失踪や脱退を経験し、’10年にはHISAYOが加入。結成10周年を迎えた’16年にはベストアルバム『THE BLUE -AFOC 2006-2015-』をリリース、初の海外公演を行ったほか、主催イベント『A FLOOD OF CIRCUS』をスタート。’18年にはアオキテツが加入。結成15周年イヤーとなる’21年の8月には、THE BACK HORN、田淵智也(UNISON SQUARE GARDEN)、山中さわお(the pillows)らが参加した企画盤『GIFT ROCKS』を、12月にはアルバム『伝説の夜を君と』をリリース。同作のツアーファイナルとなる’22年7月に、限定シングル『花火を見に行こう』をリリース、東京・LINE CUBE SHIBUYAで初のホールワンマンを行った。さらには、10月には東京・代々木公園野外音楽堂にてフリーライブ『I’M FREE 2022』を開催、新曲『Party Monster Bop』を無料配布した。’23年2月15日には、最新アルバム『花降る空に不滅の歌を』をリリース。

a flood of circle オフィシャルサイト
http://www.afloodofcircle.com/

a flood of circle LINKS
https://lnk.to/afloodofcircle

Live

各地で化学反応起きまくりのツアー
後半戦はセミファイナルで大阪へ!

 
『Tour 花降る空に不滅の歌を』

【千葉公演】
▼2月23日(木・祝)・24日(金)千葉 LOOK
【静岡公演】
▼3月2日(木)静岡UMBER
【愛知公演】
▼3月3日(金)池下CLUB UPSET
【神奈川公演】
▼3月10日(金)F.A.D YOKOHAMA
【岡山公演】
▼3月15日(水)・16日(木)岡山ペパーランド
【京都公演】
▼3月18日(土)磔磔
【東京公演】
▼3月22日(水)・23日(木)
LIVE HOUSE FEVER
【兵庫公演】
▼3月28日(火)神戸 太陽と虎
【岐阜公演】
▼3月30日(木)yanagase ants
【石川公演】
▼4月1日(土)金沢vanvanV4
【長野公演】
▼4月2日(日)長野ライブハウスJ
【高松公演】
▼4月7日(金)DIME
【大阪公演】
▼4月9日(日)FANDANGO

【北海道公演】
▼4月14日(金)ペニーレーン24
▼4月15日(土)CASINO DRIVE
【福島公演】
▼4月22日(土)Hip Shot Japan
【新潟公演】
▼4月23日(日)新潟CLUB RIVERST
【茨城公演】
▼5月18日(木)水戸ライトハウス
【岩手公演】
▼5月20日(土)club change WAVE
【宮城公演】
▼5月21日(日)仙台CLUB JUNK BOX
【大分公演】
▼5月25日(木)club SPOT
【鹿児島公演】
▼5月27日(土)鹿児島SRホール
【福岡公演】
▼5月28日(日)LIVE HOUSE CB
【広島公演】
▼5月30日(火)セカンド・クラッチ
【愛知公演】
▼6月1日(木)名古屋クラブクアトロ

Pick Up!!

【大阪公演】

チケット発売中
※販売期間中は、インターネット
 (PC・スマートフォン)のみで販売。
 チケットは、5/26(金)10:00以降に
 引換えが可能となります。
▼6月2日(金)19:00
umeda TRAD
オールスタンディング4400円
清水音泉■06(6357)3666
(info@shimizuonsen.com)
※未就学児童は入場不可。
 小学生以上は有料。
《新型コロナウイルス感染予防対策を講じた上で公演を行います》

チケット情報はこちら

 
【東京公演】
▼6月16日(金)東京Zepp Shinjuku
 

Column1

「新しい自分になればいいだけ」
好きと楽しいを信じて
a flood of circleを更新する
『伝説の夜を君と』を語る('22)

Column2

「みんなもワクワクしてくれたと
 思うし、俺らもワクワクしてる」
the pillows山中さわお
THE BACK HORN、ユニゾン
田淵智也、SIX LOUNGE、Reiらと
結成15周年に確かめる愛と挑戦!
『GIFT ROCKS』を語る('21)

Column3

「フラッドはバラバラであることで
 尊重し合って、楽しんでる4人」
メンバー全員が作詞作曲した
新たな挑戦『HEART』を語る('20)

Column4

「死ぬまでやるのがロックバンド
 だと思ってるんで」
時代を追いかけるのではなく
その先に行くために――
続いていくa flood of circleの
歪で美しいドキュメンタリー
『CENTER OF THE EARTH』
インタビュー('19)

Column5

「フラッドはあそこから始まった
って言われるツアーになると思う」
最強の宣戦布告を手に
いよいよワンマンシリーズ突入!
『a flood of circle』
全員インタビュー('18)

Column6

「俺たちにとっては、もうここで
辞めても悔いがない10年じゃなくて
悔しい悔しいの10年なんですよ」
a flood of circleのロックンロール
サバイバルな10年を刻んだ初ベスト
『THE BLUE』インタビュー('16)

Column7

暴れるのは誰にでも出来る
踊るのはセンスがないと出来んから
a flood of circleと女王蜂が
神戸で激突! 『Kansai college
chart LIVE!』レポート('16)

Column8

大きな愛とプライドを込めた
これぞa flood of circleな決意表明
“生き残る”より“勝ち残る”未来を
見据えて吼える『花』を語る('15)

Column9

他にもあります歴代インタビュー!

 
『ベストライド』('15)
特設ページはコチラ!
『GOLDEN TIME』('15)
特設ページはコチラ!
afoc VS THE NOVEMBERS
京都磔磔レポート('14)

特設ページはコチラ!
『I'M FREE』('13)
特設ページはコチラ!
『FUCK FOREVER』('13)
特設ページはコチラ!
『LOVE IS LIKE A
 ROCK'N'ROLL』('12)

特設ページはコチラ!