ホーム > インタビュー&レポート > 「上方落語若手噺家グランプリ2015 決勝戦」 決勝進出者インタビューシリーズ第五弾! <予選第二夜>で唯一の艶噺「短命」を 披露し2位を獲得した桂二乗が登場
--決勝進出、おめでとうございます。
いやいや、そんな…頼りない感じですみません…(笑)。
--今の心境はいかがですか?
素直に嬉しいですね。コンクールとか、コンテストは、参加できる期間は今しかないですから、何かしらの形に残る大会があるというのはありがたいことです。
--<予選第二夜>では4番目、中トリでの出番となりました。
前から順番に見ていって“今日のお客様はこんなんじゃないなか?”って微妙なところで合わせには行きました。既にネタも発表されているので、いまさらどうこうと変えられない。できることは限られていますが、位置としてはやりやすい位置ですよね。中入り前という。自信なんかは当然ないですよ。どうなるかわからないので。同じメンバーでも、順番を変えて、違う日に違うお客様の前でやったら、多分変わると思います。その日の出来というものはお客様と作っていくところが大きいので。お客様が乗せてくださって、どんどん乗ってっていうのはあると思います。今回は、その日、その時間、そのときのお客様のタイミングで、うまいこといったというのが大きいですね。
--持ち時間15分は、どんな感覚でしたか?
15分というのは、コンテストの中では時間をもらっている方なんです。「短命」は僕、どうかなと思いましたけどね…(笑)。でも、いい作業でしたね。15分以内に収めるために、ネタを付け足したり、削ったりっていう作業は。普段もその作業はありますが、コンテストのための作業は決して無駄なことじゃないなと思います。
--なぜ「短命」にされたんですか?
何でしょうね…(笑)。何か人の心に引っかかったら印象に残るネタですし…。「癪の合薬」をしようかなとも思ったんですけど、やっぱりチャレンジができるのであれば。みんなある程度、コンテスト用にかためたものがあるので…。
--コンテストで「短命」をされたのは初めてですか?
初めてです。どこかで出したいなとは思っていたんですけどね。どこを取って、どこを削るかという作業は自由なので、そこはトータルで印象に残るようにしようとするでしょうね。
--今回はもその工夫を…?
どうですかね~(笑)。15分と決められていたら、それなりのものを持っていけるようにはしたいですけど、僕らはまだ若手なので、お客様やその日の空気に助けられることが大きいので…。お客さんがどんどん乗ってくれはったら、15分であれ、12分であれ、やる方もどんどん行けますし、今日はちょっと緊張してはるなと思ったら緊張してしまうところがあるので。
--二乗さんは物事を冷静に受け止められる方ですか?
僕、割に平坦なんですよ。ただ、コンテストとかであかんかったりすると、“くっそ~!”って思います、やっぱり(笑)。“くっそ~、負けてへんで”と思いながら、“じゃあ、どうしたらよかったのかな”と。コンテストにいくつか出させてもらって、失敗する、予選を落ちるという経験をさせてもらっているので、そこに対するモチベーションの持っていき方とかの経験は…。そういう経験ができたのはやっぱり大きいかなと思いますね。みんなそれぞれ、腹の括り方があると思いますけど…。
--なるほど。話は変わりますが、どういうきっかけで落語を始められたんですか?
20歳過ぎるぐらいまで落語を見たことがなくて。舞台のことをしたいなと思って三重県から大阪に出てきて。ジャンルも定まってなくて、とりあえずNSCに行って“ちょっと違う”、お芝居も“ちょっと違う”っていう中で、落語をたまたま見て“ここに行きたいとな”って。それで、いろいろ落語を見る中でうちの師匠に…。あの頃は雑誌の「ぴあ」をものすごく見てましたよ(笑)。落語情報も「ぴあ」でしか知れなくて。この世界に入りたいと思って、何も知らなかったので、いっぱい観に行くうちに、うちの師匠がいいなと。
--しばらくは落語を聴く側に?
そうです。一門関係なく、米朝一門も、笑福亭も、みんな聴いてました。それこそ「ぴあ」に載っている落語会に手当たり次第行って。そして、うちの師匠だったら何とかしてくれるんじゃないかなと。入門したのは25歳だったのですが、当時は25歳って遅かったんですよ。今は30歳越えて入門する人もいたりするんですけど、第一声「遅いで」と。師匠も弟子をとっていませんでしたので、「弟子をとる気ないし、無理無理」と。そこで1年、師匠の会に客として通わせてもらって、その1年で生の落語をいっぱい聞きました。入門は遅くなりましたけど、あの1年で聞いておいてよかったなと思いました。
--1年間通い続けて、落語家の側になったとき、見るのとやるのとではどう違いましたか?
何でもそうですけど、みんな“できるやろう”と思って入ってくると思うんです。でも、こんなにできへんもんかと。僕は落研とかやってませんでしたけど、落研でお客様の前でやっていた子でも、入った瞬間にバラバラバラ~って粉々にされるんですよね(笑)。でもそれはすごく大事な作業で。それで生き方や考え方も噺家にしてもらうので。正味の話、僕より面白い素人さんもいてますよ、年間300席とかしてはって。その人はおもろいです、何十年もやってはるから。ただ、やっぱりそういう巧さではない、生き方の部分なんかが素人と玄人の違いだと何となく思うんです。巧さとか、笑いの量ではない何かです。
--では最後に、決勝に向けて意気込みをお願いします。
予選でもそうでしたけど、勝とうが負けようが、決勝も一番楽しかったなというものにできたらと思います。気持ちよくやらせてもらいましたって思えたら一番いいかなと思います。
(2015年6月15日更新)
▼6月23日(火) 18:30
天満天神繁昌亭
当日-2500円
※前売り券完売につき、補助席を若干販売予定。
[出演]
桂三幸
笑福亭べ瓶
桂雀太
桂吉の丞
桂二乗
桂三四郎
笑福亭生寿
桂咲之輔
露の雅
★各出演者の名前をクリックすると個別インタビューページにリンクします。
※未就学児童は入場不可。公演当日、25歳以下の方は証明書提示で500円返金。
[問]天満天神繁昌亭
[TEL]06-6352-4874
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