ホーム > インタビュー&レポート > 大阪で活動する空きっ腹に酒の、梅田CLUB QUATTROでの 10ヶ月連続企画『10カウント』が終了! やりたいバンドと対バンし駆け抜けた10ヶ月。 6/8(月)に行われたイベントファイナルのライブレポート!!
昨年9月にスタートした、空きっ腹に酒による10ヶ月連続(!)の自主企画『10カウント』シリーズが、遂にフィナーレを迎えた。東京からパンパンの塔、FM802からDJの浅井博章、そして若手漫才コンビのプリマ旦那というブッキング内容とファイナルということで、始まる前からお客さんはソワソワを隠せないほど。ふたを開けてみると、最後の瞬間まで梅田クラブクアトロにはいいグルーヴが充満していて、“有終の美”と呼ぶに相応しいものになっていた。ニューアルバム『愛と哲学』のリリースやベースの新加入の発表もあってと、空きっ腹に酒にとってニュースの絶えない一日となった。
先陣を切ったパンパンの塔は、ストーリー性の高いリリックで、その物語世界に引き込んでいく。アコギ片手にラップと歌を行き来しながら言葉を紡いでいくヴォーカルのまめ、ベースとドラムのリズム隊がそこに輪郭を描き、肉付けていく。そしてまめが再びそれを色付けていく、という連鎖が楽しい。表面的な音楽の表現は違いながらも、「空きっ腹に酒とは3年くらいの付き合いなんですけど、初めて対バンしたときから意気投合というか、お互いの音楽が好きで」(まめ)と話すのも頷ける。ラストの曲『音楽は止まった』で「光は簡単に割れない」と歌う、その言葉とメロディーがクアトロ全体に染み渡っていった。
次はプリマ旦那。ステージ中央にはマイクが一本。漫才にはそれだけで十分、という当たり前だけどそのシンプルさがかっこいい。…と思っているとステージに楽器がセッティングされていく。そしてサウンドチェックも。ってあれ? 音出ししているのはプリマ旦那の野村尚平? ということは? と期待が膨らむ。そう、この野村尚平は空きっ腹に酒の初期メンバー。西田竜大(g)といのまた(g)とは高校の同級生で、田中幸輝(vo)はその2コ後輩、というつながりだ。その漫才は、ここには書けないような(笑)高校の頃の暴露話からスタートして、音楽ネタを挟みながら進めていく。途中、野村尚平がギターを取り出して「これでいこう」と、ギターを絡めながらの漫才を披露。というこの日ならではのステージで大いに笑わせ、沸かせたのだった。
漫才のあとにDJ、というなかなかない流れを受けたのはDJ浅井博章。これまでに10カウントに出演してきたバンドの曲も織り交ぜながら、邦楽ロックで楽しませる。フロアがいい雰囲気になってきたところで空きっ腹に酒にバトンタッチ。
シリーズ最後にして、一番あったかい声援で迎えられた空きっ腹に酒。1曲目『スタート』から、お客さんと噛み合っていて、いい始まりだ。気負うことなく、でもフルスロットルで駆け抜けていく。3曲目には新曲『BOOOOM』。今の彼らのモードである、日本語ラップを軸にしつつちょっとヘンなサビもおもしろくて、オーディエンスをノセていく。『らびゅ』において田中幸輝が「音楽なんかくたばっちまえばいいのに」と叫ぶ、その音楽愛に鳥肌が立つようだ。『S・O・S』や『サタデーナイトフィーバー』といった初期の曲も挟みながら疾走を続ける。
「パンパンの塔、東京で初めて見たとき、開いた口が塞がらんかった。心にフィットするというか、心の形にがちっとハマってくる音楽やなって。プリマ旦那は、高校のときから野村くんの背中を見て育ってきて。高校の文化祭で、この三人(プリマ旦那の野村尚平、空きっ腹に酒の西田竜大といのまた)がライブしてるのを見て、“バンドしたい”って思ったから」(田中幸輝)
『パラレル』『in my room』と続け、空きっ腹に酒の世界に引き込んでいく。きっと、この場にいるオーディエンスの、そのひとりひとりに向けて放っていて。だからこそ対峙したくなる、向き合いたくなる音楽だ。
「ファイナルファイナル言うてますが、空きっ腹に酒はこれからガンガン続いていくんだよーってことですよ。7/1(水)にフルアルバムが出ます! 4枚目のフルアルバム。『愛と哲学』というタイトルです。オマエらの愛とオレの哲学、と勝手に捉えてください。オレは何の意味も込めません。勝手に想像してください」(田中幸輝)とアルバムリリースを発表する。この『10カウント』シリーズで毎回、新曲を1曲ずつ発表してきたものを集めた一枚だ。
そしてそのなかから『愛されたいピーポー』を披露。心から楽しそうに演奏するメンバー、そのテンションがお客さんにも派生する、それがまたステージに跳ね返って、という好循環だ。ライブ終盤、フロアアンセム『Pa』が轟くと、みんな満面の笑みで応える。ボルテージは天井知らずに高まり続け、それをまだまだ煽るように弦が切れてもギターをかき鳴らす西田竜大。そしてラストは『正常な脳』で大爆発!
アンコールでは、「オマエらと一緒に作った10カウント。何も言い残すことはありません。ファイナル、ほんと楽しかった、ありがとうございます」(田中幸輝)という感謝の言葉に続いて、「ベースのシンディさんがサポートを終えます。……新メンバーになります!」とうれしいニュース! 昨年末に前ベースが脱退してからサポートを入れた形で続けてきたが、ここ最近はずっと入っていたシンディの新加入。京都のインストバンドLOW-PASSのベーシストでもある、世代もキャリアも上の彼の加入で、どんな化学反応が起こるのか楽しみだ。そしてシリーズ恒例の『元旦』で締める。言葉にならない言葉を乗せて、暴れ回るメンバーたち。オーディエンス全員が『10カウント』の回数を表す十本指を掲げて、フロアに両手が咲き乱れる! というすてきな光景で終えた。
梅田クラブクアトロで10ヶ月連続、という無謀にも見えたこの挑戦を、気合い十二分にやりきった彼らは清々しさすらある満足の表情で、ステージを後にした。この日のMCで 田中幸輝は「(フロアを)シューンと揺らしたい。シューンとが一番気持ちいいと思うねん。心地いいことしたくて。まだよくわからんけど」と言っていたが、それって衝動や熱情を叩き込むスタイルからの変化・進化、なのだろうか。でもまあ、同じくMCで放った「なんでそうなったんがわからんことがロックなんやと思います」ということなんだろう。8月からはアルバムリリースツアーが始まり、10月のワンマンと続くが、その現場で、フロアでこそ、現在進行形の彼らをこそ、感じ取ってみてほしい。
Text by 中谷琢弥
Photo by 押方宏
楽しかったーーーーーー!!!!
こんなに対バンに打ちのめされながら、ボロボロにされながら、本当に本当に楽しかった! 共演してくださった皆さんに最大の感謝とリスペクトを、この場を借りて送りたいと思います。ありがとうございました、愛しています。
そして、このイベントに足を運んでくれた皆さん。空きっ腹に酒を知ってくれてありがとう。いつでもライブの原動力はあなた達です。ありがとうございます、愛しています。
僕達はこれから新譜をリリースして、リリースツアーに向かいます。その最初の一音目から込められる力は、『10カウント』を通して得た力だと思います。それが一体どのようなモノなのか、またいつも通りいつも以上のライブで一緒に体感出来たらとても幸せだなと、思っております。
これからも空きっ腹に酒をよろしくお願いします!
ぴあっ!(感謝の意)
(2015年7月 1日更新)
Album
『愛と哲学』
7月1日(水)発売 2000円(税別)
apple of my eye
AOME-0009
<収録曲>
01.BOOOOM
02.愛されたいピーポー
03.理想論
04.17歳の気怠い1日
05.in my room
06.オサレ
07.GAKIっぽい
08.僕とボアダム
09.スマイル
10.Japanes NORI style
~相手にされたい『愛と哲学』
リリースツアー~ ~対バン編~
7月11日(土)一般発売 Pコード263-292
▼8月9日(日)18:30
umeda AKASO
オールスタンディング3000円
[共演]溺れたエビの検死報告書/nil
夢番地■06(6341)3525
7月11日(土)一般発売 Pコード266-172
▼10月3日(土)18:30
CONPASS
オールスタンディング2500円
夢番地■06(6341)3525
第1回はコチラ
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空きっ腹に酒オフィシャルHP
http://skpprnsk.com/