ホーム > ガンバ大阪×ぴあ WEB連載『ガンぴあ SEASONⅡ』
撮影:田籠哲也
藤ヶ谷陽介(ふじがや・ようすけ)●’81年、静岡県出身。背番号1/ポジションGK。磐田東高校を経て、’99年コンサドーレ札幌でプロ選手としてのキャリアをスタート。’05年にガンバ大阪に加入を果たし、今季より背番号1を背負うガンバの守護神。鋭い反射神経を武器に、ビッグセーブを連発する様は圧巻!
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リーグ再開に向けて、6月27日までグアムでキャンプを行っているガンバ大阪。どんな練習を積んでいるのかオフィシャルホームページ内のキャンプレポートでアップされているので、チェックしてみてくださいね。
さて、前回に引き続き、今回も藤ヶ谷選手のインタビューをお届け。サッカー編として試合の見所やキャンプでのリフレッシュ方法などを聞いてみました。
――藤ヶ谷選手はもともと野球をされていたんですよね?
「小学2年生までやっていました」
――そこからなぜサッカーに?
「小学2~3年の頃に引越しをして、小学校が変わったんですよ。で、そこの学校に野球チームがあればやっていたんですけどなくて、なくて。でも体を動かすことは好きだったんで何かやりたい気持ちはあったんですね。あと、たまたまクラスの担任の先生がサッカーの先生もやっていて、『サッカーやってみないか?』って誘われて、『ちょっとやってみます』って。それがきっかけですね」
――もし、ずっと野球をやっていたらプロ野球選手になっていたかもですねぇ?
「プロ野球選手として、1億、2億稼いでいましたよ(笑)」
――ああ(笑)
「メジャーリーグに行っていたかもしれませんしね(笑)」
――そうなっていたかもしれないですね(笑)。
小学生の頃の転校をキッカケにサッカーを始め、プロにまでなったわけなんですけれども、挫折することなく続けてこれた理由は何でしょう?
「周りの友達がみんなサッカーをやっていたんで、遊びながらサッカーをやるのが楽しかったんですね。楽しくてやってたのが中学、高校と続いて、もうサッカーをやっているのが当たり前みたいになってきたんで。やっぱり、やっていて楽しいっていうのが1番なんじゃないかなって思います。つまらなかったら小学校くらいで辞めて、中学生くらいから野球をやっていたでしょうしね(笑)」
――なるほど(笑)。サッカーを始めた当初からGKだったんですか?
「サッカーを始めたときに、チームにキーパーがいなくて。僕があとから入って、身長も高かったんで1回やってみてって言われてやってみたら、意外とシュートを止めたんですよ。それがキーパーになったキッカケといえばキッカケですけど、小学校時代は色んなポジションを経験して。中学に入ってからキーパーだけに落ち着いた感じですね」
――実は他のポジションをやりたかったっていうのはありませんか?
「そうですね~。正直、小学生のときはイヤイヤやっていた感じです。やっぱり得点を取ったほうが楽しかったし。でも、キーパーをやっていて、キーパーのポジションで選抜チームとかに選ばれたりしていたんですね。だから、キーパーをやるしかないなって思い初めて、中学生くらいからちょっとずつ楽しさを感じながらやっていました」
――キーパーの楽しさっていうのは?
「シュートを止めたときとかですね。あとは、PK合戦とかで自分が止めて勝ったときとか。あれはすごい嬉しかったです」
――PK合戦なんてすっごいプレッシャーがかからないですか??
「なんか中学生くらいのときは止められる自信があって。そう!トーナメントで4回もPK戦にもつれたんですけど、それを全て勝ち抜いて優勝したことがあるんですよ。その時は『勝てるなぁ』って自信があったし、それで止めて優勝したからむっちゃ嬉しいのと、PKになったら勝てる!っていう変な自信がつきました(笑)」
――それはいい自信ですよね。プロになってからは……
「あんまり止めたことがないんです(笑)」
――ああ……じゃあ、いまはPKに苦手意識があったり……?
「イヤっていう気持ちはないですね。勝ったらヒーローになれるかなぁって」
――その気持ち、いいですね! キーパーはなかなか難しいポジションですよね? 目立つのはチームが劣勢のときですし、失点してもすぐに切り替えなきゃいけない。失点したときの切り替えはどうされているんですか?
「とにかく引きずらないように。1点取られてモヤモヤした感じでプレイすると自分もいいプレイができなかったり、チームの状態も悪くなるので、取られたらしょうがないと。もちろん反省はしますけど、とにかく引きずらないように切り替えて。引きずって2点、3点と取られるのはよくないんですから」
――そう考えると、フィールドプレイヤーの中で1番精神的強さが求められるポジションですよね。
「そうですね。僕の後ろはカバーしてくれる人がいないし、ミスすればゴールしかないんで失点に繋がりますからね。そこの難しさっていうのはありますよね」
――止めればヒーローですが、ミスすれば失点……本当に難しいポジションだと思います。
キーパーとしての経験を積み、99年にコンサドーレ札幌でプロ入り、05年にガンバの一員になったわけですが、当時のガンバの印象はどうでしたか?
「正直、入る前まではどんなサッカーをするとか、選手も何人かしか知らなかったので、チームのイメージは全くなかったです」
――そうなんですね。それでも、ガンバへの移籍を決めた理由は何だったんでしょう? 「コンサドーレに6年いて何か環境を変えたいと思っていたんですね。それで、環境を変えるんだったら移籍しかないと思って。当時J2だったんで、J1のチームに声をかけてもらったらそのチームに行こうと思っていたらガンバから声がかかって、即答で決めました。もちろん、簡単に試合に出られるとは思っていなかったですけど、2番手、3番手でもいいから移籍したいっていう思いが強かったです」 ――なるほど。ちなみに、移籍してきて驚いたことってありました? 「環境が整っていたことですね。練習場もグラウンドが2個あるし、洗濯してくれるおばちゃんもいるし、午前中の練習が終わったらクラブハウスでご飯も食べられるし。そういう環境がコンサドーレのときとは違うなって想いました」 ――コンサドーレ時代は自分でユニフォームとかを洗濯していたんですか!? |
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「いや、A契約の選手はチームがやってくれましたけど、それ以外の選手や若手とかだと自分で洗濯していたんで」
※A契約……プロ契約には、プロA、プロB、プロC契約があり、プロA契約は規定試合出場時間(450分)またはプロC契約を3年経過した選手のみが結べる契約のこと。
――クラブによって色々と違うんですねぇ。
ちなみに、ガンバ選手の意外な一面を知っていたら教えてください。
「意外な一面ですか? ……ミチ(安田理大)はああいう風に見えて、ペットボトルのフタを集めて社会活動に貢献しています(笑)。お調子者なイメージですけど色々考えてやっているんで、エライなぁって思いますね。だから、僕もむっちゃ集めてますよ。みんな協力しているんでクラブハウスのロッカーにフタが溢れています(笑)」
――フタが溢れているんですね(笑)。そんな意外な(?)一面を持つ選手もいるガンバですが、今季前半はすごく苦戦しました。ここまでを振り返っての感想を教えてください。
「みんなが望んでいるような順位じゃないし、僕らがいちばんそれを感じているんですけど、まだ3分の1終わったところなんで。残りの試合で取り返せるチャンスはあるんで、しっかり取り返していきたいなと思います」
――それに向けてのグアム・キャンプが18日から始まりますしね。ちなみにキャンプ中の生活のサイクルはどんな感じなのでしょう?
「だいたい午前、午後に練習があるんで、練習してご飯を食べて寝て……ひたすらその繰り返しです(笑)」
――サッカー漬けですねぇ。リフレッシュしたい場合はどうされているんですか?
「部屋でゲームするか、DVD見るか、音楽を聴くか……ですね」
――あー、そこは定番なんですね(笑)。
「はい(笑)。DVDは絶対にもっていきます。さまぁ~ずやミスチルのコンサートのDVDを見たりして、見るのがなくなったら誰かに借りて」
――みんなで貸し借りしていると(笑)。部屋はどの選手と相部屋になることが多いんですか?
「キーパーはキーパー同士なんで。そこで『今日の練習はこうだだったね』っていう話が多いですね(笑)」
――(笑)。そんなキャンプの楽しみは?
「楽しみはないですよ(笑)」
――そうなんですか? グアムって、海とかキレイそうじゃないですか。
「それがねぇ……僕らがやっているところは山なんですよ。なんで、別に海も見えなけりゃ、景色がどうっていうのはないです(笑)」
――あら、海が見えないのは残念ですねぇ。では、キャンプ中にレベルアップしたいところを教えてください。
「全部ですね。自分のプレイをもっともっとよくすることが大事なんで。それは練習でしか出来ないと思っているんで。暑さと疲労と戦いながら、いかに出来るかなんで。追い込んで強くなるんです(笑)」
――では再開に向けて、どんどん追い込んでもらいましょう(笑)。
さて、7月14日よりリーグ戦が再開します。ここから巻き返すためには何が必要ですか?
「目の前の試合をしっかり全力で戦って、まずは勝つこと。それだけですね。1試合1試合の積み重ねなんで、あまり先のことを見ず、目の前のことだけに集中して」
――そして、最終的には……って感じですよね?
「そうですね。ただ、いまは順位が下なんで、あまり上を見るよりは着実に行きたいです(笑)」
――分かりました(笑)。では、リーグ戦への意気込みをお願いします。
「再開初戦が京都なんで同じ関西のチームとして負けられないという気持ちもあるし、いいスタートが切れるように。ホームですし、結果を残したいと思います」
――そうですね。京都戦のあとには浦和戦が待っていますし。
「いいスタートをしてポンポンといけば勢いもついてくると思うんで」
――期待しています! あとガンバの試合で、ここを観ると面白いよ!っていうのを教えて頂けますか?
「攻撃が最大の特徴なんでその攻撃力を見てもらえれば。僕は地味に後ろで守っているんで(笑)。その派手な攻撃を見つつ、守備も頑張ってんなっていうのを見てもらえれば幸いです(笑)。守備も良かったけど、攻撃も良かったねって言われるようにね(笑)。守備があっての攻撃なんで。そういう風にちょっとでも思ってもらえれば」
――(笑)。ちなみに、藤ヶ谷選手のプレイの注目ポイントは?
「注目ポイントですか? これが本当に難しい……。ボールがくれば自然に見てくれると思うんで(笑)。あと、味方が攻めているときも意外に身体を動かしているんだっていうのを見てもらえれば」
――キーパーって一般的にはあまり動いていないイメージがありますけど、実はけっこう動いていますもんね?
「はい。ゴールの幅分と、ボールが動けば1歩、半歩とか動いているんですよ。チームが攻めているときでもポジションを取っていかないといけないから……意外と動いてますよ(笑)」
――ぜひそこをチェックしながら見て欲しいですね。
最後の質問になります。藤ヶ谷選手にとってサッカーとは?
「サッカーとは……? 小学校からサッカーをやってきているんで、なかなか切り離せないスポーツですね。自分からは。なくなることは考えられないですね。身体が動く限り、関わっていたいですね」
よく笑いながら質問に答えてくれた藤ヶ谷選手、ご協力ありがとうございました。
試合でチームメイトが攻撃中に藤ヶ谷選手がどんな動きをしているのか、ぜひチェックしてみてくださいね!
それでは、また来月!(7月上旬更新予定)
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(6月25日更新)