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『FM802 ROCK FESTIVAL RADIO CRAZY 2024』
ライブレポート【DAY3・12月29日(日)】 (1/3)

12月27日(金)・28日(土)・29日(日)の3日間、インテックス大阪にて開催された、FM802が送るロック大忘年会『FM802 35th ANNIVERSARY“Be FUNKY!!” ROCK FESTIVAL RADIO CRAZY 2024-レディクレ15th-』。DAY3・12月29日(日)のライブレポートが到着!

写真提供:FM802

【L-STAGE】

●androp x SHE'S

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3日目のL-STAGEの幕開けを鮮やかに彩ったのは、androp x SHE'S2018年にSHE'Sがツアーにandropを誘ったことがキッカケで交流が始まった2組は、今ではすっかり相思相愛。とはいえ2バンドが同じステージで演奏するのは非常にレアで、彼らにとっても初の試み。ステージにはずらり8人分の楽器が並ぶ。その様子だけでも壮観だ。

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定刻になり、FM802 DJの飯室大吾が『FRIDAY Cruisin' Map!!(毎週金曜1217時)』のジングルをバックにステージに上がり、トークを始める。「誰も見たことがない、彼らにとっても初めての夢のコラボレーションが実現します。『RADIO CRAZY』に新しい歴史が刻まれます」と述べてandropSHE'Sを呼び込んだ。androp15周年イヤーの年内の締め括りを、SHE'S2024年最後の地元大阪での凱旋ライブをこのステージで行う。

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ライブはandropSHE'Sの楽曲が交互に演奏された。曲によって相手の楽曲を演奏(SHE'Sの曲の時はandropが、andropの曲の時はSHE'Sが弾く)したり、1曲の中でも演奏するメンバーが変わったり、各パートツインで演奏する時があったりと、演奏形態はとても自由でフレキシブルだった。

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1曲目はSHE'Sの『Dance With Me』。木村雅人(dsSHE'S)の軽快なビートから鳴らされたアンサンブルは極上。同期のストリングスも相まって、いきなり多幸感に包まれた。井上竜馬(vo.keySHE'S)は「朝イチから一緒に声出していきましょう!」と透明感のある歌声を響かせる。内澤崇仁(vo.gtandrop)は終始笑顔で、ハンドマイクで歌いながらも楽しそうにピースサインを繰り出していた。

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続いてはandropの『Voice』。<ウォーオオオー>で、フロアは言わずもがなの大合唱。伊藤彬彦(dsandrop)は定位置を飛び出し、タンバリンを叩きながらステージを大きく駆け回る。皆リラックスして心底楽しそう。そんなメンバーの姿を見ているだけで幸せな気持ちになる。異国感漂うSHE'Sの『Masquerade』では、各パートがツインで演奏するという贅沢なプレイスタイルを全身で享受。アンサンブルの美しさと迫力は、最高の一言だ。

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MCでは「た、楽しい〜」と既に漏れ出ていた喜びを露わにする内澤。井上は2024年のandropとの取り組みを振り返り「周年のフェスにも呼んでいただいて、曲も一緒に作って。それで縁を感じて面白い提案をしていただいて、今日が成り立ってます」と経緯を説明。内澤は「我々15周年を迎えましたけども、いつでもやめるタイミングはあったんです。でもやめてなかったから今日みたいな素敵なステージ、SHE'Sにも皆さんにも出会えた。皆さんの中にある光を大切にしてほしいと思います」と奏でられたandropの『Hikari』では、幻想的なスマホライトの中で井上と内澤がしっとりとハーモニーを響かせる。続くSHE'Sのバラード曲『Letter』は、内澤の歌声やメンバーのコーラスが重なることで、より井上の想いが深まるように感じられた。

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後半は服部栞汰(gtSHE'S)のリードギターと佐藤拓也(gt.keyandrop)のバッキングが印象的だったSHE'Sの『追い風』を経て、andropの『Yeah! Yeah! Yeah!』で明るく疾走。グッドメロディの連発で、これ以上ない多幸感に思わず顔がほころぶ。ラストチューンはandropが井上をフィーチャーした『Massara feat.井上竜馬』。お互いのパート同士のコミュニケーションが素敵で、アウトロは広瀬臣吾(baSHE'S)と前田恭介(baandrop)がキメてフィニッシュ。飯室が「1年頑張ったご褒美もらえたー!」と言ったように、いつまでも見ていたくなる、本当に贅沢で幸せなステージだった。

Text by ERI KUBOTA
Photo by
松本いづみ

アイナ・ジ・エンド

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神秘的なサウンドを背に『偽りのシンパシー』を歌い上げ、ゆっくりとL-STAGEに現れたアイナ・ジ・エンドは、曲間の妖艶なダンスでも見る者を魅了。息をのむ心地良い緊張感を漂わせ、あっという間に彼女の歌の世界に引き込まれてしまう。躍動感が加速する『Frail』でも、一挙手一投足から目が離せないエンターテイナーとしての花にくぎ付けに。ライブの沸点となるロックンロールナンバー『ZOKINGDOG』では、くるくると変わっていく表情と表現にただただ圧倒されていると、「ヌルっと始まったけど(笑)アイナ・ジ・エンド、めっちゃ元気やで~!」とフロアをフックアップ! 昨年の出演時以上のリアクションに喜びを隠さない笑顔もとってもキュートで、キラキラの疾走感も軽快な『Poppin' Run』でもエネルギッシュに駆け抜ける。

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「大阪に来れてうれしい、ただいま! 私は去年、ここのステージで倒れてしまったんだけど、そのときはまだメンタルがすごく弱くて...たくさんの人に見られてるのが怖かったんです。だけど、この一年でみんなは優しいって気付いた。成長させてもらってるし、みんなのことも救いたい。だから今日は、2024年にみんなが抱えてきた邪念をここに落として帰ってほしい。あと、私は12月27日で30歳になったよ~大台! 大台やけど、関係ない!!」と放った『関係ない』は、どっしりとしたビートに乗せた叫びがずぶずぶ突き刺さる素晴らしい楽曲。白いエレキギターをかき鳴らしL-STAGEのど真ん中で熱唱する彼女に、目を奪われずにはいられない。

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そして、「こうやってまた会えて良かったです。ここにいるみんなと歌って帰りたい。来年も一緒に紡ぐ日を大切にできますように」とささげたのは『風とくちづけと』。優しく包み込まれる安堵感に満たされ、ライブはいよいよクライマックスへ...! 渾身の『Love Sick』~『サボテンガール』では、時には少女のように、時には獣のような迫力で歌唱。アイナ・ジ・エンドのソロアーティストとしてのきらめきを、ギュッと凝縮した40分間だった。

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Text by 奥"ボウイ"昌史
Photo by 松本いづみ

●ヤングスキニー

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サウンドチェックを終えるとSEなしで、すぐにしおん(Dr)がオープンハイハットでカウント。「始めようぜレディクレ―!かかってこいや!」と完全に戦闘態勢のかやゆー(Vo.Gt)が叫び、ライブをはじめたヤングスキニーが、最終日後半に差し掛かったレディクレに火をつけた。スタートダッシュの勢いそのままに「ヒモと愛」「愛の乾燥機」へ続け、とにかく"自分たちの今を詰め込んだロックを聴かせたい"という衝動を演奏に込めて全解放。

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欲望まみれの赤裸々な歌詞をハンドマイクで挑発的にたたみかける「ハナイチモンメ」 では、ゴンザレス(Gt) とりょうと(Ba)のアグレッシブなフレーズやソロが鮮烈な存在感を放つ。「来てくれたみなさんを後悔させないように楽しませます!」としおんが宣言した中盤は、グッと雰囲気を変えたナンバーを連投。打ち込みを用いたバンドの新境地と言える「ベランダ」や最新アルバム収録のエモーショナルなバラード「雪月花」でかやゆーの歌の力を再確認した。後半は声の不調を訴え、セトリを変更したかやゆーだったが、「ゴミ人間、俺」「禁断症状」で、むき出しの感情をのせるシャウトが逆にリアルなステージを作っていく。

630M1229_6-88.jpg「セットリスト変えちゃってごめんなさい!」と悔しさを滲ませる場面もあったが、「芯を貫くことがロックだと思ってる。それが一番かっこいい。音楽で叫んで歌いたい」と語り、<バンドが好きで音楽が好きであいつが好きで>と歌い上げた「精神ロック」で、ありったけの愛をぶつける。渾身のパフォーマンスで観客の心を揺さぶり続ける4人は、「死ぬまでに僕がやりたいこと」まで駆け抜け、時間めいっぱい、すべてを肯定する等身大のロックを届けてくれた。

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Text by 岡田あさみ
Photo by 松本いづみ

●BIGMAMA

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2013年からほぼ毎年RADIO CRAZYに出演しているBIGMAMAが最終日のL-STAGEに登場。新メンバーの加入など長きに渡り、バンドの変化を見守ってきたFM802の35周年、レディクレ15周年のタイミングで、リスナーから募ったリクエストを元にしたスペシャルなステージが企画された。「みなさんの想い出の曲が演奏されるかも。今日は伝説の夜になります!」とFM802DJ・大抜卓人がバンド愛たっぷりに紹介すると、荘厳なSEとともにメンバーが姿を現す。東出真緒(Vin.Key)のバイオリンが宴の幕開けを飾る「秘密」から、光が舞うようなサウンドがすべてを解放。

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「17(until the day I die)」、「Mirror World」と続け、彼らが瞬時に作り出す夢の中へ誘いながらドラマチックに魅了していく。1曲1曲を丁寧に噛みしめるように演奏する姿が印象的だ。<たった3秒あれば僕たちは未来を変えていける>と声を合わせた「神様も言う通りに」のアレンジはいつにも増してエモーショナル。「あなたの一番楽しいと思う方法で!」と金井政人(Vo.Gt)が音楽と言葉で語りかけ、みんなの自由なスタイルを引き出していく。どんなときも奇跡を起こしてくれそうな東出のおなじみのフレーズが聴こえてくる「MUTOPIA」は、スペシャルなレディクレバージョンで。柿沼広也(Gt)のカッティングが冴えわたる「荒狂曲 "シンセカイ"」へ突入すると、最強アンセムの高揚感によって会場の熱量は上がり続ける。

630BIGMAMA-1.jpg「2025年、必ずいい年にしましょう!」(金井)今年を回顧する想いがそれぞれの胸に渦巻く中、選ばれたラストソングは「Sweet Dreams」。リスナーや集まった人々にありったけの想いを込め、金井がハンドマイクで歌いかける。祝祭感溢れるメロディが甘く力強く響く感動的なラストで、これまでのストーリーを凝縮した濃密な時間を締めくくった。

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Text by 岡田あさみ
Photo by 松本いづみ

●ねぐせ。

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「RADIO CRAZY 2024」最終日L-STAGEのトリを堂々務めたのは、2020年結成の名古屋の4人組、ねぐせ。だ。ごきげんなライブアンセム「スーパー愛したい」から瞬時にハンドクラップとシンガロングを生み出し、「もっと盛り上がってもらっていいですかー!」「今年も一年お世話になりましたー!」と曲中にメンバー全員が叫ぶ。観客と最短距離で、4人が一丸となって盛り上げるライブ運びは見事。

630ねぐせ-1.jpgL-STAGEに集まったみんなの笑顔とレスポンスから、バンドがいかに愛されているかが伝わる。なおと(Dr)のドラムが逞しく牽引する「デイズ」、「あの娘の胸に飛び込んで」とアグレッシブでライブ映えするナンバーを続けると一体感は増す一方だ。「まだまだ元気なの?」と友達のように話し始めたりょたち(Vo.Gt)は、「トリに僕たちを選んでくれてうれしいです!」と改めて出演の喜びを爆発させ、「今年最後の大阪のライブ、全部出せたらと思います!」と力強く宣言。表現力豊かなヴォーカルで惹きつける「ダーリン」やギターを置いてハンドマイクでアンニュイに歌い上げる「恋と怪獣」で楽曲の振り幅も見せていく。甘酸っぱくてリアルなラブソング「愛してみてよ減るもんじゃないし」でハンドクラップが加速すると、「もっとイケるか!近くで聴かせてくれ!」と「ベイベイベイビー!」の冒頭からシンガロングを生み出し、熱狂は最高潮に。

630★M1229_8-75.jpg最後のMCでりょたちは、目の前の人たちに嘘のない言葉を届けた。「大阪という町に音楽でかかわれてうれしかった。この曲をあなたが一緒に歌ってくれて、俺たちは救われました」ラストソングに選んだのは、2024夏の高校野球応援ソング/『熱闘甲子園』テーマソング「ずっと好きだから」だ。頑張っている人すべての背中を押してくれるこの曲。最後にアカペラで4人とみんなの歌声が重なった時間は、バンドにとってもファンにとっても、2024年の忘れられない思い出となったことだろう。

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Text by 岡田あさみ
Photo by 松本いづみ




(2025年2月 9日更新)


Check

Set List

【L-STAGE】

●androp × SHE'S
01. Dance With Me
02. Voice
03. Masquerade
04. Hikari
05. Letter
06. 追い風
07. Yeah! Yeah! Yeah!
08. Massara feat.井上竜馬(SHE'S)

●アイナ・ジ・エンド
01. 偽りのシンパシー
02. Frail
03. ZOKINGDOG
04. Poppin' Run
05. 関係ない
06. 風とくちづけと
07. Love Sick
08. サボテンガール

●ヤングスキニー
01. ヒモと愛
02. 愛の乾燥機
03. ハナイチモンメ
04. ベランダ
05. 雪月花
06. ゴミ人間、俺
07. 禁断症状
08. 精神ロック
09. らしく
10. 死ぬまでに俺がやりたいこと

●BIGMAMA
01. 秘密
02. 17(until the day I die)
03. Mirror World
04. 神様も言う通りに
05. MUTOPIA in Kansai
06. 荒狂曲”シンセカイ”
07. Swan Song
08. セントライト
09. Sweet Dreams

●ねぐせ。
01. スーパー愛したい
02. デイズ
03. あの娘の胸に飛びこんで
04. ダーリン
05. 恋と怪獣
06. 愛してみてよ減るもんじゃないし
07. ベイベイベイビー!
08. グッドな音楽を
09. ずっと好きだから

【R-STAGE】

●This is LAST
01. 恋愛凡人は踊らない
02. もういいの?
03. Scoop!
04. アウトフォーカス
05. #情とは
06. ディアマイ
07. カスミソウ
08. オムライス

●フラワーカンパニーズ
01. 終身刑
02. ファンキーヴァイブレーション
03. ラッコ!ラッコ!ラッコ!
04. アメジスト
05. はじまりのシーン
06. 終わらないツアー
07. 深夜高速

●FM802 MAKE THE MUSIC FREAKS PLAYLIST
01. トワイライト
02. STAND BY ME
03. 恋のジャーナル
04. 床には君のカーディガン
05. IMAGINE?
06. HIT IN THE USA
07. LISTEN TO THE STEREO!

●怒髪天
01. サスパズレイントロ
02. ザ・リローデッド
03. 酒燃料爆進曲
04. 令和(狂)哀歌
05. HONKAI
06. 歩きつづけるかぎり
07. ド真ん中節
08. オトナノススメ

●Radio Happy Willows
01. アポロ
02. 大阪LOVER
03. 奏
04. 全力少年
05. 美しい日
06. はなむけ

●THE BAWDIES
01. IT'S TOO LATE
02. LET'S GO BACK
03. POPCORN
04. SUGAR PUFF
05. GIMME GIMME feat.オカモトショウ
06. HOT DOG
07. T.Y.I.A.
08. JUST BE COOL

【Z-STAGE】

●キュウソネコカミ
01. ネコカミたい
02. クライマックス同棲
03. 正義マン
04. 3minutes
05. ビビった
06. DQNなりたい、40代で死にたい
07. 一喜一憂
08. KMTR645
09. 家

●サンボマスター
01. ミラクルをキミとおこしたいんです
02. ヒューマニティ!
03. 世界はそれを愛と呼ぶんだぜ
04. 自分自身
05. Future is Yours
06. できっこないを やらなくちゃ
07. 花束

●レキシ
01. きらきら武士
02. SHIKIBU
03. KMTR645
04. 狩りから稲作へ

●Saucy Dog
01. シンデレラボーイ
02. 真昼の月
03. くせげ
04. 雷に打たれて
05. ゴーストバスター
06. バンドワゴンに乗って
07. 怪物たちよ
08. 優しさに溢れた世界で

●クリープハイプ
01. HE IS MINE
02. キケンナアソビ
03. 生レバ
04. イト
05. 栞
06. オレンジ
07. 人と人と人と人
08. 天の声

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『FM802 ROCK FESTIVAL RADIO CRAZY 2024』

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FM802 RADIO CRAZY RADIO de LIVE CRAZY-レディクレ15th-

レディクレのライブ音源のみ!約11時間生放送でお届けする特別プログラム!!

●日時:2月11日(火・祝)
14:00~深夜3:00までの3部構成!

■第1部 14:00~
DJ=樋口大喜/板東さえか
■第2部 19:55~
DJ=落合健太郎/高樹リサ
■第3部 24:00~
DJ=浅井博章/田中乃絵

[提供]
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