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『FM802 ROCK FESTIVAL RADIO CRAZY 2024』
ライブレポート【DAY1・12月27日(金)】

12月27日(金)・28日(土)・29日(日)の3日間、インテックス大阪にて開催された、FM802が送るロック大忘年会『FM802 35th ANNIVERSARY“Be FUNKY!!” ROCK FESTIVAL RADIO CRAZY 2024-レディクレ15th-』。DAY1・12月27日(金)のライブレポートが到着! 写真提供:FM802

【L-STAGE】

●ストレイテナー

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前回はホリエアツシ(vo&g,p)の喉の不調により悔しい思いをしたのと同時に、それをはねのけようと鬼気迫るパフォーマンスで奇跡を起こしたストレイテナー。一年越しのリベンジとなる『RADIO CRAZY』で、彼らはいったいどんなライブを見せるのか!? そんな期待と不安が入り混じった空気を軽々と払拭するように、「今年もロックを鳴らし納めに来ました、俺たちストレイテナーって言います。よろしくお願いします!」とホリエが告げると、鳴り響いたのは『Melodic Storm』のあのイントロ...! この時点ですでに鳥肌、一曲目より問答無用のアンセムをぶち込むオープニングから、重さと速さを兼ね備えた『COME and GO』で熱気をさらに引き上げたかと思えば、『シーグラス』の美しいメロディがすぐさま火照った体をクールダウンさせる、緩急自在の疾走感で魅了していく。

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ホリエがギターから鍵盤にスイッチした『Braver』でも、日向秀和(b)のベースラインが導いた静かなる高揚感に心が奮い立つ。さまざまなサウンドスケープを貫く陰影のある歌声にくぎ付けになってしまう心地良き非日常は、『Skeletonize!』でも続行。躍動する鮮烈なビートにオーディエンスもたまらず拳を上げる。

「15周年『RADIO CRAZY』、今年もこのステージに来られて感謝してます、どうもありがとう! 去年は俺の声が出なかったばっかりに...みんなの力を借りて素晴らしいライブになったと思ってます。今年はその借りを返しに来ました。それも今日一日じゃなくて一生かけて返していくので、これからもよろしくお願いします! じゃあ去年、歌えなかった曲を」(ホリエ、以下同)

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『灯り』の優しき旋律に続いては、ホリエが再びギターを手にしてミドルの名曲『彩雲』へ。"これぞロックバンドの理想形"だと一本のライブ中に何度も思わせるミュージシャンシップと巧みなソングライティングには、改めてほれぼれする。「しんどいことも嫌なこともあると思うけど、一つでも多く良いことがみんなにあることを願って、最後にニューアルバム『The Ordinary Road』('24)から聴いてください」と放った、希望に満ちた『Uncertain』まで全8曲。ストレイテナーからの倍返し、見事に完遂!

Text by 奥"ボウイ"昌史
Photo by 田浦ボン

●Lucky Kilimanjaro

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昨年L-STAGEのトッパーを担ったLucky Kilimanjaroが、今年もL-STAGEにカムバック。ツアーの規模も年々大きくなり、「世界中の毎日をおどらせるバンド」という認識がすっかり浸透してきたラッキリは、2024年も日本全国を踊らせてきた。ステージ前方に設けられた18歳未満のオーディエンスが安心してライブを楽しめる「Kind AREA」も盛況で、ファン層の幅広さを感じる。今年のラッキリの大阪でのライブはこの日が最後ということで、オーディエンスは皆ウキウキとした様子でライブの始まりを待っていた。

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SEが流れて大瀧真央(syn)、松崎浩二(g)、山浦聖司(b)、柴田昌輝(ds)、ラミ(per)が登場。そして熊木幸丸(vo)が現れ「『RADIO CRAZY』踊るぞー!」と思い切り叫んだ瞬間、会場がダイナミックなバンドサウンドに包まれる。1曲目は『350ml Galaxy』。フロアは待ってましたとばかりにリズムに身体を任せダンス! メンバーも心底楽しそうに楽器を鳴らし、あっという間にハピネス空間で満たしていく。そしてお馴染みの乾杯タイム。熊木が「最高のダンサーに乾杯~!」とオリジナルジョッキに入ったビールを、オーディエンスはそれぞれ手持ちのドリンクを掲げて乾杯! その後も「ダンスは自由です!『RADIO CRAZY』自由に踊るぞ!」と前のめりに煽り、ぐんぐん会場を熱狂の渦に巻き込んでいった。2024年夏にリリースされたEPのタイトルチューン『Dancers Friendly』ではカラフルな照明も相まって、フロアがクラブに変身。熊木は「ラッキリ知ってるとか知らないとか、踊れるか踊れないとか、そんなの関係ないんすよ! 皆さんが楽しく踊れるかどうかなんすよ!」と感情を込めて叫ぶ。オーディエンスは熊木の声に呼応し、より高くジャンプしていた。

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ノンストップで次々に投下されるダンスナンバーたち。『Burning Friday Night』では「華金の『レディクレ』踊れてる?」という大瀧のセリフでまたもテンションアップ! 子どもたちも笑顔でTikTokでバズを起こした振付を踊る。『KIDS』『エモめの夏』とビートで乗せるナンバーを繋いだ後は、MVに芸人のやす子が出演した『かけおち』で肉体的に踊らせる。さらにボーカルに緩急をつけて何度も山場を作り上げたハウスビートの『踊りの合図』、話しかけるように優しく歌った『メロディライン』を経て、ラストは『HOUSE』。全ての力を出し尽くすように、見渡す限りの人々を無心で踊らせた。熊木は「2024年も一緒に踊ってくれてありがとう! 愛してます!」と充実の表情で感謝を述べ、最後はメンバー全員が前に出てきてお辞儀。今年も『レディクレ』で最高のダンスフロアを作り上げたLucky Kilimanjaroだった。

Text by ERI KUBOTA
Photo by 田浦ボン

●羊文学

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L-STAGE 4番手は、直近では海外公演を行うなど、既にワールドワイドの活躍ぶりを見せている羊文学。本日のサポートドラムはユナ(ex.CHAI)。

静かにメンバーたちがステージに上がり、始まったのは『光るとき』。ギターの一音目が鳴り響いた瞬間に、羊文学の世界が眼前に輝き出した。笑顔を滲ませながら河西ゆりか(b)が重厚な低音を響かせ、塩塚モエカ(g&vo)の歌い上げる透き通る歌に寄り添うように、美しいコーラスラインを編み上げていく。「RADIO CRAZY楽しんでますかー!」という塩塚の声に満面の笑みで応えるオーディエンスたち。

ユナの刻む力強いビートに乗せ、塩塚がエッジの効いたギターを掻き鳴らし、『永遠のブルー』が始まる。緩急のついた展開で、羊文学のアイデンティティの一つである90'sオルタナティブへのリスペクトを感じずにはいられないサウンドをL-STAGEに響かせ、オーディエンスを光り輝く羊文学の世界に誘っていく。

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一転、「レディクレ元気ー!? みんな今年も一年お疲れさま! みんなよく頑張った! えらーい!」「ということで、一斉にお疲れ様の"GO!"って言って、来年に向かってGOしていきましょう!」という河西の朗らかなMCから始まったのは、軽快な16分のハットワークとカッティングが心地よいポップな一曲、『GO!!!』。サビでは先のMCで練習した掛け声"一斉にgo!"がフロアに響き渡り、和やかな雰囲気に会場が包まれていく。楽曲の持つシリアスさと彼女らの朗らかな人柄のギャップも羊文学の忘れてはいけない魅力の一つである。

続いて披露されたのは、彼女らの代表曲の一つ『1999』。塩塚が飛び跳ねて印象的なコードを掻き鳴らす。ファズの轟音と三人のコーラスワークが神々しささえある現代のクリスマス・アンセム。オーディエンスもコーラスに混ざり、年末の祝祭の趣を増していく。

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そして塩塚がFM802にてDJを担当していた番組「MUSIC FREAKS」にも触れつつ、終始和やかに進んだMCから一転、始まったのは、アニメ「推しの子」第二期のEDとしても話題となった『Burning』。紫色の照明のフラッシュに焚かれて、轟くようなファズベースと燃え盛るファズギターの上を悠々とヴォーカルが渡り歩く。

間髪入れずカウントが鳴り響き、SFチックな詞の世界観が印象的な『OOPARTS』が始まる。ムービングライトが時計のようにぐるぐると回り、羊文学が立ち上げる世界を彩っていく。河西もステージ前方で観客を煽り、会場のボルテージを上げていく。ライヴならではのアウトロのアレンジに、フロアもこの日最高潮の盛り上がりを見せる。

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フィードバック音の余韻冷めやらぬ中、彼らを大きく飛躍させた『more than words』が始まる。サビの貫くような塩塚のファルセットと、伸びやかで力強い河西のコーラスが確かな説得力でオーディエンスの心を震わせる。

「次で大阪今年最後の曲です、良いお年を迎えてね」という塩塚の言葉から、最後はDinosaur Jr.を彷彿とする程の轟音ファズギターを響かせ、『Addiction』へ。「まだまだいけるでしょ!!!」という塩塚のアジテーションも加わり、更に熱狂を増すオーディエンス。頭を振り乱しギターソロを弾き倒す塩塚、全力で低音を刻む河西。大阪年納めに相応しい完全燃焼の40分間を魅せてくれた。

Text by 伊藤博明
Photo by 田浦ボン

●BRAHMAN

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荘厳なSEと共にL-STAGEの方々から手が上がる。KOHKI(g)がテレキャスターをかき鳴らし、ズシリと重たいリズム隊が合流したその先にあるのは、TOSHI-LOW(vo)の魂の咆哮。強く心臓を打つ鼓動のごとく、打撃音が混然一体となって『真善美』を作り上げていく。今宵もBRAHMANが『RADIO CRAZY』に忘れられないひとときを刻む。

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「さぁ幕が開くとは、終わりが来ることだ。人生一度きりの意味を俺たちが問う。問わなければならない。俺たちは時を選べない。だからこそ今日も全てを懸けて全力で、全力で、全力で...『RADIO CRAZY』、BRAHMAN始めます!」(TOSHI-LOW、以下同)

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聴くたびに心の奥底にたぎるものが生まれる『賽の河原』から、ぐんぐん加速していくBPMは『SEE OFF』という強烈な追い風を受け、BRAHMANは容赦なく見る者に問い掛け続ける。その後も、ドラマチックかつはかないフレージングが生き物のようにうごめく『露命』、エッジィなギターとボトムのコンビネーションで畳み掛ける『GOIN'DOWN』、もはやゴダイゴのパンクカバーなんて説明は要らないほどの定番曲『CHERRIES WERE MADE FOR EATING』に加え、これを聴いて誰がじっとしていられるかという爆裂『DEEP』、ハイボルテージなハードコアナンバー『BEYOND THE MOUNTAIN』、すさまじいエナジーをまき散らし突っ走る『Speculation』と、もう誰も止められないBRAHMANの独壇場! 一転、『今夜』ではTOSHI-LOWのボーカルに温かく包み込まれるよう...。

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「もういくつ寝るとお正月~お正月には酒飲んで~酒を飲んで~酒飲んで(笑)。酔っぱらってそろそろ眠いなと思っていた夕方、ニュース速報が入ってきた。でも、みんなで力を合わせれば大丈夫なんじゃないかって、そんな甘い考えをしていた。先月、(能登半島地震の)被災者の方と電話をした。"まだ冷たいご飯を食べる日があるよ"って。あれから一年。あれ、こんなに冷たい国だったっけ。...30年前も、大きな地震がありました。でも、その街並みは今は復興してきれいになってます。そんな街がある、この関西の元で。歌ってください」

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阪神・淡路大震災から幾年も歌い継がれた『満月のタ』を、心を照らした月を忘れぬよう、この日もTOSHI-LOWは生声を響かせる。「きっと来年も思い通りにはいかないし、たくさん失敗するでしょう。生きてる限りそんな逆境はいつまでも続くでしょう。逆風は吹き付けるでしょう。だから俺たちは、それを乗り越えるためにこう呼ぶんだよ!」と、最後に新曲『順風満帆』を届け、'25年へと架け橋をつないだBRAHMANの圧巻のライブだった。

Text by 奥"ボウイ"昌史
Photo by 田浦ボン

●10-FEET

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KOUICHI(ds)が手術後の回復中につき、12月中旬からサポートドラマーを迎えてパフォーマンス中の10-FEET。TAKUMA(vo&g)、NAOKI(b)がもりもりもと(ヤバイTシャツ屋さん)とともにL-STAGEに登場すると「JUST A FALSE! JUST A HOLE!」から会場は沸騰状態に。「もりもと!」「ありがとう!」コール&レスポンスを受けたもりもとは気合いが伝わるドラミングで3曲を疾走! ぶっつけ本番、一発勝負とは思えない頼もしい後輩のプレイに会場が沸いた。

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ハイタッチでもりもとを送ると、「友達のバンドのドラムが助けに来てくれて、なんとかライブやれてます」と感謝を語るTAKUMA。続いては、同日にR-STAGEでライブを終えたばかりのROTTENGRAFFTYからHIROSHIがヘルプに駆け付けてくれた。顔にはKOUICHIメイクを施し、Tシャツをめくったお腹には激励の文字が。そんな仕込みの抜かりなさにも愛を感じる。

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ふざけながらもドラミングの安定感はさすがで、「その向こうへ」ではN∀OKI&NOBUYAも参戦し、京都大作戦状態のステージにファンは大喜び。ステージで暴れまわったあと、熱く抱擁をかわすバンドマンたちの姿にはグッとくるものがあった。「ええやろ?俺らの友達!」と真っすぐに自慢するTAKUMAが眩しく、毎年恒例のラジオ愛を語る場面も。

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そして3人目のサポートドラマー、早川尚希(SHANK)の熱いビートが支える「RIVER」で、いくつもの大阪の川が叫ばれる。鉄板の展開だが、聴く度に幸せを嚙みしめることができるのは、TAKUMAも語っていた通り、毎回、「バンド人生の中で一番のライブ」を更新し続けているからだろう。「第ゼロ感」やレディクレでは恒例の"オチケン"「goes on」までノンストップに駆け抜けた後半。

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鳴りやまない拍手の中、「もうできる曲ないって!」(TAKUMA)といいながら、「尚希がまだ覚えてきてくれてるから!」とWナオキビートで「VIBES BY VIBES」をアンコールに披露。ロットンやヤバTのメンバーも続々とステージに現れ、わちゃわちゃとドラムを解体していくいつものノリで爆笑をかっさらった。

Text by 岡田あさみ
Photo by 田浦ボン

【R-STAGE】

●カネヨリマサル

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初日のR-STAGE、2番手に登場したのは地元大阪発のカネヨリマサル。ライブ前のMCでFM802 DJ浅井博章から「飛躍の1年となった2024年」と言葉があったように、彼女たちは2024年春に初の全国ワンマンツアーを完走、9月には初の大阪城野音ワンマンライブ『君と私の世界を変える大阪城野音ワンマン』を大成功で終えた。さらに『レディクレ』では昨年のLive House AntennaからR-STAGEにステージアップ。バンドとして着実に歩みを進めてきた。もりもとさな(ds&cho)の元に、ちとせみな(vo&g)といしはらめい(b)が集まり気合いを入れると、『ハッピーニューデイ』から軽快にライブスタート。早速シンガロングを巻き起こしてフロアをひとつにする。いしはらの「この時間から集まってくれてありがとう。私たちフルパワーでやるんで、皆もめっちゃめちゃ楽しんで、思いっきり良い日にして帰ってください!」との言葉からパワフルさを増して、ノスタルジックな熱量を孕む『ひらりとパーキー』、叙情的な『26』を連投し、歌声と演奏にじわじわと熱を宿していった。

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続いて、まだお客さんが少ない初期の頃から歌ってきた大切なラブソング『もしも』を披露。歌詞にリンクしたオレンジの照明のもと、大勢のオーディエンスの前で力強く歌声を響かせる。演奏中、感慨深そうに3人が顔を見合わせた瞬間はとてもエモーショナルだった。ちとせは「10年前に大阪でバンドを組んでずっとやってきて。大阪生まれ大阪育ち。だから『レディクレ』めっちゃ特別なんです。去年はLive House Antennaに出て、今年はR-STAGEでやれてるってほんまに......バンドやってて良かったなと思います。カッコ良いフェスやから、私たちのカッコ良いでぶつけて帰ります! 大切っていう気持ち、ありがとうっていう気持ち、音に乗せて帰ります! 生まれてきて良かった!」と想いを溢れさせて『わたし達のジャーニー』を投下し、『ガールズユースとディサポイントメント』で最高にロックに締め括った。大阪で始まった彼女たちの旅は、まだまだ途中。ちとせが去り際に「来年も一緒に生きようね!」と言ったが、これからも等身大の青春と恋愛を歌い叫び、仲間を増やして走ってゆくだろう。1月29日には5th ミニアルバム『昨日を生きない私達へ』をリリースする。今後のカネヨリマサルが楽しみだ。

Text by ERI KUBOTA
Photo by ハヤシマコ

●imase

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パンパンのR-STAGEに立ったのは『レディクレ』2度目の出演となるimase。昨年はLive House Antennaのトッパーを飾った彼だが、今年は『MTWB』の出演をはじめ、1stアルバムリリース、初の全国ツアーのチケット即完、夏には初のアジアツアーを完走という躍進ぶりに比例して、見事ステージアップ。フロアに集ったオーディエンスの年齢層の広さから、世代を超えて支持されていることがよくわかる。そしてimaseから後のタイムテーブルには、なとり、Chevon、Vaundy、Teleと2000年代生まれのアーティストが名前を連ねており、SNS時代を象徴する若手アーティストがシーンの最前線で活躍していることがありありと感じられた。

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バンドメンバーのモリシー(g/Awesome City Club)、林あぐり(b)、松本ジュン(key&manipulator)、Reiko(ds)を引き連れて元気にステージに現れたimaseは「『レディクレ』調子どうー?最高の年末にしようぜー!」ととびきりの笑顔を見せて『ユートピア』からライブスタート。まるで風が吹き抜けるような軽やかさでステージを跳ね、ハイトーンボイスを響かせる。続く『Nagisa』でも会場全体をジャンプで揺らし、ハッピー空間に誘っていった。

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映画『スマホを落としただけなのに~最終章~ファイナル ハッキング ゲーム~』の主題歌『Dried Flower』では雰囲気を一変。だらんと両手と首を下げて人形のようにステージに立つimaseに目を奪われていると、エッジーなギターソロが耳を突き刺し、最小光量の照明の中で歌われるダークな低音ボーカルにドキッとさせられる。こんな振り幅があるとは、才能の奥深さにただ感服だ。またこの曲の照明は楽曲のイメージを立体的に押し広げていて、アウトロでimase1人がステージに浮かび上がり消えるという演出には、思わずゾクッとした。

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MCではいつもの人懐っこい笑顔に戻り「大阪最高ね。ありがとう! 人いすぎじゃないですか?(笑)」とコミュニケーションを取る。今年もお世話になったと感謝を述べて、『NIGHT DANDER』を披露。2番では「スペシャルゲスト呼んでもいいですか?僕のマブダチ、なとり~!」と、すぐ後にR-STAGEに登場する盟友・なとりを呼び込む。もちろんフロアは大歓喜。2人は「よろしくお願いしまーす!」とハモってぺこりとお辞儀をし、9月にリリースされたコラボ曲『メトロシティ』を初生歌唱。仲良く向き合い歌声を響かせる2人を見ていると、こちらも頬が緩んでくる。「次のステージはスペシャルゲストが来るかもしれないので、良かったら来てください!」という特大フラグを立ててステージを去ったなとり。imaseも「最高ですね!」と満足げだった。そして最後はマクドナルドとのタイアップソング『Happy Order?』をとびきり華やかにポップにプレイした(マクドカラーの赤と黄色の照明がニクい演出だった)。豊かな表現力と明るい人柄で人々を魅了したimase。彼の今後も楽しみで仕方ない。

Text by ERI KUBOTA
Photo by ハヤシマコ

●なとり

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「この後はなとりくんのステージでーす」とimaseにバトンを渡されたなとり。フロアはやはり満員状態で、imaseから引き続き残っているオーディエンスが多いように見受けられた。真田徹(g)、西月麗音(b)、モチヅキヤスノリ(key)、神田リョウ(ds)のバンドメンバーとステージに現れたなとり。顔出しをしていないため照明は暗め。ほぼシルエットで「なとりです、どうぞよろしく!」と挨拶して『絶対零度』を力強く投下。「かかってこーい!」と攻撃的に叫ぶと、爆裂ロックサウンドでぐんぐん勢いを増していった。「おい『レディクレ』! 年末最後にぶっとばしていこうぜ!」とがなりながら煽ると、フロアは大喜びで拳を突き上げる。『エウレカ』でさらにヒートアップ。ゆらゆらと高音域を行き来するボーカルラインの心地良さと、ヒリヒリした攻めのバンドサウンドがカッコ良い。そして「新曲やります!」と未音源化の『DRESSING ROOM』をプレイ。ハンドマイクで歩きながら早口ボーカルを叩き込む。サビは「飛べますか大阪!」とジャンプでひとつに。色気と渋さを漂わせてアウトロをバッチリキメると、大歓声が湧き起こった。

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「今日はなとり2024年最後のライブなんですけど、一緒に盛り上がってくれますか! 最高のフライデー・ナイトにしましょう!」との言葉から『フライデー・ナイト』をメロウに美しく、さらに本人もポップスへの扉を開いたと語っていた、映画『傲慢と善良』の主題歌『糸電話』でグッドメロディを存分に響かせる。聴けば聴くほど良曲揃いで、彼のメロディーメーカーぶりに舌を巻いた。

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そしてここでフラグ回収。特別ゲストことimaseを呼び込むと、「さっきぶり~!」と先ほどR-STAGEでライブを終えたimaseが軽やかに走り込んだ。日産90周年記念ムービー「NISSAN LOVE STORY」の主題歌として、imaseの家で2人で作った『メロドラマ』を披露。それぞれの魅力がしっかりと表れたドライブソング。ラップもハモリも息ぴったりで、フロアは心地良く音に身体を揺らす。歌い終わり、imaseはなとりとぎゅっと握手とハグをしてステージを去る。2人の友情に大歓声と拍手が贈られた。

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ラストスパートは秋に行われたホールツアー『劇場~再演~』で初披露され、11月に配信リリースされた最新曲『IN_MY_HEAD』をロックにプレイ。なとりは「imaseがおらんくなっても踊れるやろ、お前ら! タオルぶん回していきましょう!」と熱く煽る。中毒性のあるメロと歌詞に乗せて、フロアは一心不乱にタオルの花を咲かせていた。ラストチューンは彼を世に知らしめた『Overdose』。最後まで煽り続け、全身で歌を放ち、フロアをくまなく踊らせたなとり。初めての『レディクレ』で、盟友・imaseから受け取ったバトンを次に繋ぐように、全身全霊で音楽を奏でたのだった。2025年にはZeppツアーが、2026年2月には日本武道館単独公演も決定している。なとりの勢いは止まらない。

Text by ERI KUBOTA
Photo by ハヤシマコ

●Chevon

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昨年は最終日のLIVE HOUSE Antennaのトッパーとつとめ、大きな爪痕を残した札幌発の3人組バンドChevon。今回はレディクレ2回目の登場で、早くもR-STAGEトリ前を飾ることとなり、大躍進を見せた。香取慎吾が主演を務める2025年1月期のフジテレビ系ドラマ『日本一の最低男 ※私の家族はニセモノだった』の主題歌「Circus Funk(feat. Chevon)」を書きおろし、香取慎吾とコラボしたことでも話題となっていて、まだまだ多いChevonのライブ未経験者が「一目観たい」と続々とR-STAGEに集まってくる。

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会場の期待と注目を一手に受けて登場した谷絹茉優(vo)、Ktjm(g)、オオノタツヤ(b)の3人にサポートドラマーを加えた4人編成で、1曲目の「大行侵」をスタートさせると、谷絹はすぐさまお立ち台へ飛び乗り、強烈なエネルギーを放ち続ける。ヘヴィなサウンドに重なる谷絹のハイトーンシャウト、それに呼応して響くオーディエンスの地鳴りのような歓声は鳥肌ものだ。

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「大行侵」と親和性の高い「Banquet」へと続ける流れが気持ちよく、飛び跳ねながら歌い、シンガロングする観客はまさに<本能で踊れ>を体現。「冥冥」でアジテートし続ける前半からすでに"Chevon第一章"の集大成のようなセットリストにフロアはアガりっぱなしだ。Ktjmとオオノタツヤもアグレッシブにキレキレのフレーズをたたみかけ、「目の前のあなただけを躍らせる歌を歌います!第二章のChevonもどうぞよしなに!」(谷絹)と始めた「セメテモノダンス」では、<君に!>とひとりひとりを指しながら言葉を丁寧に届けていく。目の前にいる人と物語を紡ぎ出そうとする表現者としてのポテンシャルに圧倒される。

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そしてハイライトとなったのは、FM802へのリスペクトを語ってはじめた12月のヘビーローテーション曲「銃電中」。Ktjmのカッティングが炸裂するイントロから大歓声が巻き起こり、会場の反応の良さに3人のパフォーマンスもヒートアップ。今後ライブアンセムになることは間違いないこの曲で、レディクレならではの空気感を生み出した。

Text by 岡田あさみ
Photo by ハヤシマコ

●Tele

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昨年はR-STAGEのトップバッターとして初出演、今年は一気に同ステージの大トリへ。キャリア初の日本武道館公演を経験した'24年は、Teleが始動しわずか2年でたどり着いた景色にしてはあまりに絶景だ。その加速度を証明するかのような年末の『RADIO CRAZY』は、「最後まで踊っていこうぜ~!」と『ロックスター』で幕開け。スタイリッシュなスリーピースのスーツでビシッと決めた彼は、盤石のバンドセットを率いてハンドマイクで軽やかに舞う。どこまでも伸びやかに叫んだ『私小説』でもギターを手に飛び跳ね、そのまま熱量高めに駆け抜けた『金星』、「このくだらない世界を今夜終わらせるために集まったんじゃないのか『RADIO CRAZY』!」とブチ上げた『包帯』と、ライブが進むにつれ多くの聴衆がTeleの元へとどんどん駆け寄っていくさまは何とも痛快!

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驚異すら感じるスピードであっという間にパンパンになったフロアに、満を持して投下した新曲『ブルーシフト』はキャッチ―なサビの破壊力が抜群で、新たなキラーチューン爆誕の予感! アガりまくったフロアにサディスティックに投入した『バースデイ』、そして「大阪って最高! 集まってくれてありがとう、柱の向こうにいるのが分かるよ」と呼び掛けると、とんでもないデシベルにまで到達したシンガロングがR-STAGEを完全包囲。見渡す限りがハンズアップした『花瓶』に、Teleの快進撃はまだまだ終わらないと確信させられる。

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アンコールは、神々しい歌声と小細工なしの楽曲の力に引き込まれた『ghost』、祝祭の『ことほぎ』でエンディング。コロナ禍に突如シーンに現れた令和のトリックスター、Tele。かの米津玄師も一目置いた才能は、間違いなくさらなる注目を集めることになるだろう。

Text by 奥"ボウイ"昌史
Photo by 渡邉一生

【Z-STAGE】

●マルシィ

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日本武道館での公演も決定し、今加速度的に認知を広めている福岡発ロックバンド、マルシィ。三日間のロック大忘年会の始まりを告げる浅井博章によるDJ SHOW、そしてFM802 落合健太郎の脂の乗ったMCから満を持して、Z-STAGEに待ちわびた"生"のバンドサウンドが鳴り響く。

淡い青色の照明の中、「マルシィ始めます、よろしく!」という吉田右京(vo&g)の溌剌とした一言がステージから響き、ステージに上がったメンバーたちが最初に鳴らすのは、『アイラブ』。

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会場に鳴り響くクラップを受け、サビでは"回り出した日常の中で"というフレーズに呼応して、フロア一面にタオルが回り、朝一番の客席を色とりどりに染め上げる。

先の落合の前説では、曰く"右京はちょっと心配性なんだよね"とのことだったが、そんな心配を吹き飛ばすほどのタオルの回りっぷりに、メンバー達も早速表情を輝かせる。

続いてキャッチーなギターリフで幕を開けたのは、ロマンティックなリリックが美しい≪プラネタリウム≫。冷え込む朝のステージの凛とした空気を味方につけ、煌びやかな楽曲を明瞭にオーディエンスの耳と心に届けていく。

続けざまの「レディクレまだまだいける?」という右京の問いかけと共に、妖艶な赤い照明に照らされ、フジイタクミ(b)のうねるベースと、shuji(g)のモジュレーションの効いたシビれるギターリフで、マルシィの中でもとりわけロック・テイストの強い『牙』が幕を開ける。息のあったキメが眩しいフレーズが押し寄せ、徐々に熱を帯びていく展開で、オーディエンスの視線をステージに釘付けにしていく。

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しっかりとオーディエンスの心を掴んだのち、一転して穏やかな暖色の照明の中演奏されたのは、『プレゼント』。右京の歌い上げる詞が伸びやかに響き、オーディエンスひとりひとりの心を優しく震わせる。それにしても、彼の歌う言葉はなぜこんなにも"自分ごと"として沁み渡るのだろうか。誰もが"80億通りの"唯一無二の恋と愛をそれぞれに経験しているはずなのに、なぜこんなにも自分の心の奥の奥をなぞってくれるのだろうか。

右京の「3年目で初のメインステージ。毎年たまたまなのか、わざとなのか、今日はたくみの誕生日なんですよ。レディクレ絶対27日がいい!とワクワクしているみたいで。」という言葉に観客からの「おめでとう!!!」という大きな歓声が響き、声に思わずたくみが「すげぇ〜〜」と感嘆を漏らす場面も。

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FM802落合氏が前説で「右京がたくみのことを"はじける笑顔"と紹介してくれて」という話があったが、その言葉通りの弾けるような笑顔を振りまいて、バースデイボーイのハッピーさをお裾分けする。そしてすっかり温まったフロアに『ミックス』のイントロの軽快なカッティングが飛び込み、後半戦の幕開けを告げる。右京の「レディクレ今日朝一番だけど、こっから楽しんでくれる人〜!!!」という声に手が上がり、弾けるようなポップミュージックに皆が心躍らせる。

右京がハンドマイクに持ち替え、「次の曲、知ってる人も知らない人も歌ってほしいんですけど、レディクレ歌ってくれますか?」と語りかけて始まったのは切ないラブソング『未来図』。客席から「酸いも甘いも」のシンガロングが巻き起こり、ここにいる全員が心を通わせる。

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いよいよステージも佳境。スロウなバラード曲≪絵空≫でマルシィの真摯に言葉と音を伝えていく。ひとことも、一音も逃さないように聴き入るオーディエンス。ドラマティックなshujiのギターソロが彩りを添えていく。

「ラスト一曲なんですけど、ここにいる全員でジャンプしてもらっていいですか!」という右京の声掛けに、フロアにぎゅっとしゃがみ込み、彼の合図で一斉に踊り出すフロア。『最低最悪』の始まりだ。サビではタクミもshujiも飛び跳ね、一体感を強めていく。最後まで彼らの音楽を聴き届けた人々への感謝を伝え続ける真摯な姿勢に、今日このステージで出会った人々を誰一人として置いてけぼりにしない、愛に溢れたステージを作り上げた。

Text by 伊藤博明
Photo by 渡邉一生

●DISH//

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リハーサルで『天真爛漫エブリバディ』。本番前のステージ袖でのメンバーたちの景気付けの声が、まるで乾杯の掛け声のようにフロアまで響いてきた。DISH//のライブは"祭り"だ。"ロック忘年会"ことRADIO CRAZYにピッタリなお祭りソング『プランA』で幕を開けたDISH//のステージ。泉大智(ds)の和テイストなスネアが生み出す重厚なビートの中、「さあついていこいよ!!!」という北村匠海(vo)の声に呼応して手を挙げるオーディエンスたち。続く『No.1』では会場にひときわ大きなクラップが響き渡る。矢部昌暉(g)のコーラスが冴え渡る。ギターソロが熱く沸る。楽曲のタイトルが指し示す如く、オーディエンスたちの突き上げるその手は人差し指を高く天に向けている。

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「端っこが遠くてね! 皆さん元気? 僕らも明日でライブ終わりなんで、今年いっぱい悔いが残らないように精一杯やりますんでよろしくお願いします!」という北村の言葉通りの熱い幕開けに、オーディエンスの目もキラキラと輝いている。「皆さんを目一杯笑顔にするためにここに辿り着きましたDISH//です!よろしくお願いします!」という言葉に続き「みなさんを元気づけるための曲」といって始まったのは『朝、月面も笑っている』。"世界中に今、朝が訪れてる そろそろ起きようか""楽じゃない、楽じゃないよな「わかるよ。君も僕もちっぽけだから」"という歌詞がそっと、しかし力強く聴く者を前向きにしてくれる。

続いて北村の「汗とか息の乱れとかまだ足りないと思うんですけどいかがですか?」「フェスって汗かきにきてんじゃねえの? 声出しにきてんじゃないの?もういっちょギア上げさせてください!」というMCからなだれ込んだのは、リハーサルで大盛り上がりだった『勝手にMY SOUL』。ロックなリフでフロアの熱量を一気に高めていく。サビでこの場にいる全員が声を上げた"もっともっと""人生謳歌"のコール、北村匠海のソウルフルなシャウト、間奏でのコールアンドレスポンス、全てがない混ぜとなったアッパーなサウンドとアジテーションで12月の大阪が真夏に早変わりする。

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そして熱量そのままにフロアが両手を挙げて始まったのは『万々歳』。『勝手にMY SOUL』で上がった両手がそのままクラップの渦を生み出し、バンドと共にグルーヴを創造していく。ショルダーキーボードに持ち替えた橘柊生らフロントの三人が一列に並び、ダンスロックバンドとしての真骨頂を魅せる。そう、彼らはフロアを熱狂させ、音楽に全身全霊で挑み続ける正真正銘の"バンド"なのだ。続く『JUMPer』では一転、ポップで煌びやかなキーボードが鳴り響き、更にアッパーなダンスチューンを叩き込み、真冬に上がるDISH//というアツアツの太陽が更に高度を上げていく。

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「僕らの曲はあと2曲なんですけど、残すところ2曲、全力でやらせていただきます」「あの曲やらねえなと思ってると思いますが、ここでやらせてください」の声にフロアがどよめく。始まったのは、彼らを飛躍させた契機となった『猫』。ドラマティックな音の中、北村匠海のヴォーカルの伸びやかで力強さが、身体を穏やかに揺らして聴き惚れるオーディエンスの心の奥の奥まで温かくしていく。

ラスト、北村匠海の圧倒的なアカペラで始まったのは、同じく彼らを大きく飛躍させた『沈丁花』。柔らかな音に触れ、優しい笑顔でステージを見つめるオーディエンス。「ラララ」というメロディを会場全体で歌い上げ、多幸感あふれるステージを創り上げた。

Text by 伊藤博明
Photo by 渡邉一生

●ハンブレッダーズ

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'24年は3月に大阪城ホール、10月に日本武道館公演を成功させるなど大躍進を遂げたハンブレッダーズ。地元大阪でのライブに、ムツムロアキラ(vo&g)が「ただいま~!」と気取らずに語り掛け、すぐさま熱狂の『グー』へ突入! 昨年のL-STAGEからZ-STAGEへとキャパシティも拡大、「今日、俺たちが来た理由はただ一つ、みんなのために悲しいこと、憂鬱なこと、全部ギターでぶっ壊しに来ました!」(ムツムロ、以下同)と四位一体のコーラスワークでぶちかます『ギター』でも大いに盛り上げる。

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MCでは、「帰ってきました大阪、めちゃくちゃうれしいです。アメ村ですら優しい街やなと思った、あんなに怖いお兄さんがキャッチしてるのに(笑)。『RADIO CRAZY』にはいっぱい思い出があって、高校3年生の頃に後輩から"一緒に『RADIO CRAZY』に行きませんか!?"と告白されたことがあります。って出るたびに毎回言ってるんですけど(笑)」とにぎわせ、切なさもろとも駆け抜ける『⚡️』、軽快なグルーヴとカッティングが新境地を感じさせる『DANCING IN THE ROOM』と立て続けに魅せていく。

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「3年前に上京したんですけど、僕が今住んでいる街は住宅街で、大阪の吹田と変わらぬ風景が広がってます。ギラギラのビルとか眠らない街じゃなくて、向かいのアパートに日が差して暮れていく景色が自分にとっての東京でした。それはどの町に暮らしていても見る景色やと思います。みんなの生活を想像しながら聴いてもらえるとうれしいです」

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バンドにとって、ポップソングにとっての命題を、ハンブレッダーズはどう歌うのか? 先ほどムツムロが口にしたその回答と言える『東京』は、彼らが日々揺らぎながらも確実に前進していることを示している。

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クライマックスは、「大阪はいつか帰ってくる街やと思ってます。大阪城ホールや武道館でワンマンができたのも大阪で育ったからという感謝はありますし、地元の吹田でフェスをするのが僕の夢なので、そこまで付き合ってもらえるとうれしいです!」と情熱を込めた怒濤の『アクション!』、「難しく考えがちな時代だと思うんですけど、俺たちがいつだって思い出させてやります!」と『はじめから自由だった』で締めくくる! 一年前とはガラリと変わったセットリストに、ハンブレッダーズのまばゆき現在地を見た。

Text by 奥"ボウイ"昌史
Photo by 渡邉一生

●go!go!vanillas

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「年の瀬の大阪、思い切りクレイジーしに来ました。ブチ上がれるか~!」と牧達弥(vo&g)が絶叫した1曲目の『平安』から、巨大な音楽の桃源郷へと観衆を瞬く間にいざない、柳沢進太郎(g)の繰り出す性急なギターリフとジェットセイヤ(ds)のパワフルなドラミングがアドレナリンを大量分泌させる『来来来』、いつ何時でも鉄板であり続ける神曲『エマ』と、ライブという名の快楽をとめどなく味わわせたのはgo!go!vanillasだ。

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会場の最後方までが手を振る絶景をいとも簡単に生み出し、サポートキーボードの井上惇志(showmore)のジャジーな調べから、「今年最後の大阪、めちゃくちゃデカい声を出してもらっていいかい!?」(牧、以下同)と溶け込んだのは魅惑の『SHAKE』。妖艶極まりないバニラズの沼にずぶずぶと落ちていくエクスタシーにまみれながら、『クロスロオオオード』ではご機嫌なロックンロールに心躍る!

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後半戦はメンバーが一声上げれば十倍の声が返ってくるぶ厚いコール&レスポンスを起爆剤に、めくるめくスリルが押し寄せる『カウンターアクション』、一撃必殺の爆アゲ『one shot kill』で、最大キャパのZ-STAGEが地鳴りする熱狂を創生! 『マジック』では長谷川プリティ敬祐(b)がクラップを扇動し、板の上も下も最高のテンションのまま「良いお年を~! go!go!vanillasでした!!」と牧が締め、ライブは終了。どのフェスでその姿を見ても毎度認めざるを得ない圧倒的事実...バニラズは今が最強!

Text by 奥"ボウイ"昌史
Photo by 渡邉一生

●フレデリック

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2024年にデビュー10周年を迎えたフレデリック。三原健司(vo&g)が「40分1本勝負、今日は全員フレデリックのファンにします! よろしくお願いします!」と宣言して、『オンリーワンダー』から威勢よく走り出す。Z-STAGEに詰めかけた観客は一斉に手拍子&ハンズアップして、最大キャパの会場が一瞬で多幸感あふれるダンスフロアと化した。

「もっと一緒に踊りませんか~」と煽って、ギターもベースも高速プレイを炸裂させる『銀河の果てに連れ去って!』。『CYAN』では高揚感満点に突き抜ける三原健司のロングトーンに大歓声が湧き上がる。

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ほぼ常連ともいえるRADIO CRAZYはメンバーにとってものびのびとパフォーマンスできる居心地がいい場所なのだろう。MCでは、「"おかえり"って聞こえて嬉しかった」(三原健司)と喜びを口にしていた。

中盤には次に出演するVaundyが同会場からMステ中継をすることに触れて、「ライブを一番大事にしているからこそこの会場で生中継したいという思いがあったのかなと。(観客に向けて)ライブのフェスの魅力を見せるチャンス!」などと熱い口調で伝えて、「新曲やっていいですか? 地元関西のヤバイ歌声聴きたいです!」と2024年11月リリースの最新アルバム『CITRUS CURIO CITY』から『煌舟』を投下。一層開放的な雰囲気が広がって、みんなの熱いシンガロングに包まれていく。

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BPMを上げてギターやベースもアグレッシヴにグルーヴする『スパークルダンサー』から場内はさらに大きく揺れ続け、ラストは待ってましたの『オドループ』。2025年2月11日開催の神戸ワールド記念ホールでのワンマンへの期待感を高めて、「今、この瞬間を全力で楽しむバンド」を証明する最大限のボルテージで会場全体をダンサブルに沸騰させていった。

Text by エイミー野中
Photo by 渡邉一生

●Vaundy

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昨年は二日目のZ-STAGE、今年は同ステージ初日の大トリとしてVaundyが降臨。ライブ前にFM802DJの大抜卓人氏が、「802のイベントに欠かせない、過去には『MUSIC FREAKS』のDJを担当してくれたVaundyです!」と紹介。続いてRADIO CRAZYが15周年を迎えたことへの感謝の言葉を添えて、VaundyのステージがMステで中継されることを発表。「この会場の最高の盛り上がりが全国に届きます!」と本番に向けて観客の発声練習を促す。そして、「目一杯楽しんで楽しんで楽しんで、最高の夜を、眠れない夜を作っていきましょう!」と煽って開演を迎えた。

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ライブは大歓声と満場のクラップと共に『不可幸力』から幕開けて、今のVaundyが醸し出す異様なほどの迫力が会場の隅々まで満ちていく。3曲終えて、「帰ってきたぜーオーサカー」と親しみを込めて挨拶すると、超満員の場内に目をやって、「窒息しないように」と声をかけるVaundy。『映画ドラえもん のび太の地球交響楽』主題歌として大ヒットした軽やかな『タイムパラドックス』。『しわあわせ』は光と影のコントラストを効かせ、ライブならではの壮大なスケールで歌い上げる中盤のハイライトとなった。そしてライブ後半、TBS系金曜ドラマ『ライオンの隠れ家』主題歌として注目された『風神』からいよいよMステ中継に突入!

直前に、「マジ緊張してきた...」ともらしていたが、いざ始まると圧倒的なテンションで畳み掛けていく。『花占い』から『怪獣の花唄』ではさらに高まるクラップの嵐。サビでは掛け合うような観客との歓喜の大合唱が響き渡り、特攻の銀テープが舞ってボルテージは最高潮に。

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無事に中継終了後、「俺らはまだまだやるぞ~!」と雄叫びを上げて、ラストの『CHAINSAW BLOOD』へ。ロックモード全開で攻めてゆき、地響きのようなバスドラが打ち込まれてハード&ヘヴィに、まさにモンスター級のスケールで圧倒し続けた。興奮冷めやらずとはまさにこのこと。億単位のサブスク総再生回数を誇る楽曲の魅力をライブでさらに増幅させる稀代のポップモンスター。その偽りなきパワーを体感した観客は終演後もきっと"眠れない夜"になったに違いない。

Text by エイミー野中
Photo by 日吉"JP"純平




(2025年2月 7日更新)


Check

Set List

【L-STAGE】

●ストレイテナー
01. Melodic Storm
02. COME and GO
03. シーグラス
04. Braver
05. Skeletonize!
06. 灯り
07. 彩雲
08. Uncertain

●Lucky Kilimanjaro
01. 350ml Galaxy
02. Kimochy
03. ひとりの夜を抜け
04. Dancers Friendly
05. Burning Friday Night
06. KIDS
07. エモめの夏
08. かけおち
09. 踊りの合図
10. メロディライン
11. HOUSE

●羊文学
01. 光るとき
02. 永遠のブルー
03. GO!!!
04. マヨイガ
05. OOPARTS
06. more than words
07. 1999

●BRAHMAN
01. 真善美
02. 賽の河原
03. SEE OFF
04. 露命
05. GOIN' DOWN
06. CHERRIES WERE MADE FOR EATING
07. DEEP
08. BEYOND THE MOUNTAIN
09. Speculation
10. 今夜
11. 満月の夕
12. 順風満帆

●10-FEET
01. JUST A FALSE! JUST A HOLE!
02. SHOES
03. STONE COLD BREAK
04. 蜃気楼
05. その向こうへ
06. RIVER
07. 第ゼロ感
08. goes on
09. VIBES BY VIBES

【R-STAGE】

●カネヨリマサル
01. ハッピーニューデイ
02. 関係のない人
03. ひらりとパーキー
04. 26
05. もしも
06. わたし達のジャーニー
07. ガールズユースとディサポイントメント

●imase
01. ユートピア
02. Nagisa
03. Dried Flower
04. NIGHT DANCER w/なとり
05. メトロシティ w/なとり
06. Happy Order?

●なとり
01. 絶対零度
02. エウレカ
03. DRESSING ROOM
04. フライデー・ナイト
05. 糸電話
06. メロドラマ w/imase
07. IN_MY_HEAD
08. Overdose

●Chevon
01. 大行侵
02. Banquet
03. 冥冥
04. サクラループ
05. セメテモノダンス
06. 銃電中
07. ダンス・デカダンス
08. 光ってろ正義

●Tele
01. ロックスター
02. 私小説
03. 金星
04. 包帯
05. ブルーシフト
06. バースデイ
07. 花瓶
08. ghost
EN. ことほぎ

【Z-STAGE】

●マルシィ
01. アイラブ
02. プラネタリウム
03. 牙
04. プレゼント
05. セッション
06. ミックス
07. 未来図
08. 絵空
09. 最低最悪

●DISH//
01. プランA
02. No.1
03. 朝、月面も笑っている
04. 勝手にMY SOUL
05. 万々歳
06. JUMPer
07. 猫
08. 沈丁花

●ハンブレッダーズ
01. グー
02. ギター
03. ⚡
04. DANCING IN THE ROOM
05. 東京
06. アクション!
07. はじめから自由だった

●go!go!vanillas
01. 平安
02. 来来来
03. エマ
04. SHAKE
05. クロスロオオオード
06. カウンターアクション
07. one shot kill
08. マジック

●フレデリック
01. オンリーワンダー
02. 銀河の果てに連れ去って!
03. CYAN
04. sayonara bathroom
05. 煌舟
06. スパークルダンサー
07. オドループ

その他のライブレポート

『FM802 ROCK FESTIVAL RADIO CRAZY 2024』

●12月28日(土)【DAY2】はこちら
●12月29日(日)【DAY3】はこちら
●12月27日(金)~29日(日)【LIVE HOUSE Antenna】はこちら

FM802 RADIO CRAZY RADIO de LIVE CRAZY-レディクレ15th-

レディクレのライブ音源のみ!約11時間生放送でお届けする特別プログラム!!

●日時:2月11日(火・祝)
14:00~深夜3:00までの3部構成!

■第1部 14:00~
DJ=樋口大喜/板東さえか
■第2部 19:55~
DJ=落合健太郎/高樹リサ
■第3部 24:00~
DJ=浅井博章/田中乃絵

[提供]
日本旅行/マクセル/サントリー ビアボール/ZONe ENERGY/TESCOM/トヨタモビリティ新大阪/JR西日本/みるく饅頭 月化粧/Mizkan/JOYSOUND

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