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ホーム > インタビュー&レポート > 「まだまだ上を見たいし、這い上がりたいし、ちゃんと売れたい」 挫折も夢も挑戦も、今一度音楽人生を注ぎ込んだ再生と反撃の 『海底より愛をこめて』を飯田瑞規(vo&g)×三島想平(b)が語る! cinema staffインタビュー&動画コメント


「まだまだ上を見たいし、這い上がりたいし、ちゃんと売れたい」
挫折も夢も挑戦も、今一度音楽人生を注ぎ込んだ再生と反撃の
『海底より愛をこめて』を飯田瑞規(vo&g)×三島想平(b)が語る!
cinema staffインタビュー&動画コメント

 バンドにとって、いや、人生にとって、4年という決して短くはない紆余曲折を経て、cinema staffが7thアルバム『海底より愛をこめて』をリリースした。この間には、TVアニメ『進撃の巨人』との二度目のタイアップ曲『Name of Love』(’19)や、初のベスト盤『BEST OF THE SUPER CINEMA 2008-2011/2012-2019』('19)のリリースというキャリアの転機、レーベル/マネジメントの移籍という環境の変化、喉の不調によるライブ活動休止や未曽有のコロナ禍という困難が濁流のように押し寄せ、4人が改めて自らに問うことになった、音楽とは、生活とは、そしてcinema staffとは――? その渾身の回答とも言える『海底より愛をこめて』は、一撃必殺の精度に磨き上げられたエッジィでブライトな音像を、しなやかな歌声と躍動するメロディが貫く至高の全12曲50分を構築している。現在は同作に伴う『cinema staff “海底より愛をこめて” RELEASE TOUR「はじまりの場所」』の真っ只中、各地で音楽と共に生きる喜びを爆発させるライブを展開するcinema staffの飯田瑞規(vo&g)と三島想平(b)にインタビュー。彼らは今作の冒頭を飾る『海底』で、こう告げる。“最低を繰り返して/それでも尚 生きたいんだ”。ドン底の深海から空を見上げ手を伸ばすような現在地から、反撃のcinema staffが動き出す!

 
 
言えないことがいっぱいあるんで(笑)
 
 
――前作『熱源』('17)以来4年ぶりというこの間に、シネマ(=cinema staff)もいろいろと状況と環境が変わって。
 
飯田(vo&g)「この4年で考えると、自分が喉をつぶしてしまったせいで3カ月ぐらいライブを休まざるを得なくて、メンバーやスタッフに迷惑をかけたことが自分の中では大きくて。あの頃が一番悩んだ時期で、SNSとかも見てられなくてかなり落ちてましたけど、コロナ自体はみんなが大変だし全体が止まってることなんで、むしろあんまり不安じゃなかったんですよ。そういうのもあって、4人でスタジオに入ったときに“ライブ感が伝わらない=cinema staffの良さが伝わらないんじゃないか”という話もしてたから、とりあえず去年はライブ配信とかもやめておこうと。ライブがやれるようになったらうまくいくだろうと漠然と思ってはいたんで」
 
――飯田くんは先に窮地を経験してたからこそ、動じずにいられた。自分たちだけが止まって周りが動いてるとどんどん引き離されていくようで焦るけど。せーので止まってるとね。
 
飯田「そうなんですよね。口外はしてないけど、当時はバンドとしても、メンバーだったりレーベルだったり、本当にいろんなことがあったんで。いつか誰かに本を書いてもらいたいぐらい(笑)」
 
――でも、そういう意味で言うと、シネマってずっと裏で何かしらあったよね?(笑)
 
三島(b)「アハハハハ!(笑)」
 
飯田「そう、ずっとありますね。言えないことがいっぱいあるんで(笑)」
 
三島「『熱源』の後にはTVアニメ『進撃の巨人』のタイアップ(=『Name of Love』(’19))があったり、その後にベスト(『BEST OF THE SUPER CINEMA 2008-2011/2012-2019』('19))が出たり…そもそもビジネスとしてcinema staffを続けられるのかを問われてた時期だったと思うし、小さい浮き沈みもいろいろあった中で、コロナがトドメで。これはもうちょっと無理かもって…だから去年は就職情報誌とかも読んだり(笑)」
 
――言ったら、働きながら音楽活動をする選択を。
 
三島「それをかなり具体的に視野に入れて、THISTIME(=現所属マネジメント)にもめっちゃ相談しましたし。とかいう見つめ直しをずっとしてた感じで、今は良くも悪くも俯瞰で見られるようになってますね。“自分のやりたいことは何ぞや”というのと、“これをやらないとビジネスとして成り立たない”ところの精査はしてました。『熱源』の頃まではただただ必死にやる中でメッセージを探してたのが、バンドとしても自分としても、その辺をちゃんとコントロールできるようになったんですよね」
 
――今春には地元・岐阜県での主催フェス『OOPARTS』をやっと開催できて。そのときのMCで飯田くんは、“バンド人生で最高の1日”みたいなことも言ってましたね。
 
飯田「『OOPARTS』は自分たちだけじゃなくて本当に大好きなバンドたちも呼んでて、しかも去年コロナで1回飛んだものの今年もほぼ同じメンツが出てくれることになってたから、“これだけはとにかくやりたい!”って」
 
三島「同じ気持ちですね。俺的には『OOPARTS』をやり続けてちょっと限界を感じてたところもあったけど、THISTIMEチームが“やろうぜ!”となってくれたおかげで、あれだけ大掛かりなことが実現できたんで。(コロナ禍にあって)本当に奇跡的なタイミングで開催できたし、それは結構“持ってたな”と思いました(笑)。あれでメンバーのメンタルもだいぶ回復したし、出てくれたアーティストもみんな近い気持ちになってくれたんじゃないかな。“これこれ!”みたいな感覚を思い出す、いい機会になったのは事実ですね」
 
 
ソロも楽曲提供も、MAXな気持ちにはどうしてもならないんですよ
 
 
――『熱源』は攻撃力の高い強烈なロックアルバムだったけど、この4年間の紆余曲折を経て、cinema staffとして久々にアルバムを出す際のビジョンはあった?
 
三島「ベストを出したぐらいから一応、曲はストックしてあって。その都度の積み重ねではあったんですけど、コロナを経てアルバムとしてまとめようと思ったときに、“より暗い方に”というイメージになっていった感じですね」
 
――最近の三島くんはソロも楽曲提供もやってて絶好調なのかと思いきや、案外そうでもなかったんだなと。
 
三島「フフフ(笑)。それはもうバンドでやることがないから、そっちをやるしかないって感じでしたね。ソロも楽曲提供も、MAXな気持ちにはどうしてもならないんですよ。“作家だけでもいいかな?”みたいなことを思った瞬間もあったんですけど…『OOPARTS』もデカかったですし、やっぱりバンドでライブをやったときに、“これ込みじゃないとMAXの気持ちにならないな”って思ったんですよね」
 
――作家だけしてたら、ライブからはどんどん遠ざかっていくもんね。
 
三島「そうなんですよ。心構え的にも、“どうせ裏方だしな”みたいな気持ちでステージに上がったらいかんなと思ったんで。“演者も込みでやってるから俺って輝いてるんだよな”って、改めて思えるようになりました(笑)」
 
――三島くんのシネマにおける立ち位置はソングライターであり時にプロデューサーでもあり、しかも目立ちたがり屋でフロントマン気質があるのを自覚してるのに(笑)、ちゃんと一歩退いてるのはすごいなっていつも思う。
 
三島「アハハ!(笑) まぁそれはバンドとしてカッコいいのがやっぱり一番なので」
 
――『TOKYO DISCORDER』(M-6)の制作時のムード的にも三島くん的にも、ちゃんとやり切れた感じじゃなかったから今度はプロデューサーを呼ぼうという発想も、大人の判断だなと思いました。自分の調子が最善でないと認めて、他人に委ねられるのはなかなかないことだと。
 
三島「確かにそうかもしれない。ただ、自信は持ちつつ自分に足りないものもよ~く分かってるので。そこはバンドとしてのベストを常に探していきたいと思えたんですよね」
 
飯田「あと、サウンドプロデューサーの竹内亮太郎(ex. the storefront)さんが、三島個人の制作のときに一緒にやってたのもあるし、アルカラのサポートギターでもあったから、アルカラとスプリット=『undivided E.P.』(’18)を出したときに一緒にツアーを回ったりして連携が取れてて。音の話だけじゃなくて、現場の雰囲気をむちゃくちゃ良くしてくれるその性格も合うというか、タイミングはバッチリでしたね」
 
――シネマがアルカラと出会えたのもthe storefrontのイベント(’09年開催)がきっかけだし、付き合いも長くて。
 
三島「もう師匠みたいな人なんで。あと、竹内さんはプロデューサーとは言え、根がやっぱりバンドマンなんですよ。その根本の気持ちが同じなのがめっちゃデカいと思いますね」
 
――いつもシネマのアルバムを聴いて美しいなと思うけど、今作でよりそれを感じるのは、竹内さんの音へのシビアさがもたらすピッチ感とか丁寧さが際立たせてるなとも。
 
三島「そこはめっちゃ意識したところなんでうれしいですね。今作では今まで曖昧にしてたところをなくしたかったんで、そこを理屈で分かる人が隣にいてくれると、“ここを変えればこうなる”っていう正解を出してくれるんで」
 
――『熱源』の問答無用にボコボコにぶん殴る感じとはまた違って(笑)、心臓を一発で貫くような精度があって。あとは音像がクリアでブライトなのも相まってか、改めて唯一無二のボーカルだなと思い知らされました。
 
飯田「ありがとうございます。正直、喉がちゃんと治ったんですよね。3カ月休んだときは本当は治ってないまま、とりあえず歌えるようになったから動き始めて…。コロナでライブがなくなったこともあって、病院に喉の写真を撮りに行ってみたら、やっと結節がなくなってたんですよ。だから今はすごく調子がいいんです」
 
――あとは30代に向かうときに作ったアルバムと、30代も半ばの今では視野が全然違うだろうなと。
 
三島「もう全く違いますね」
 
――俺はよくインタビューで“男は32歳から”という話をするんだけど(笑)、結局、何者にもなれなかった20代の終わりとともに野心と邪念が打ち砕かれ、自分の好きな人たちと好きなことやらないとクリエイティブにならないことに気付き、なら自分の一番勝算のある点を伸ばそうとすることで迷いがなくなり、それによって周りからどんな人間か分かりやすくなり、類は友を呼ぶという。
 
三島「その説明、完璧ですわ(笑)。まさにその感じ! 今は本当に“類友”の人が集まったチームでやってる感覚で」
 
飯田「LOSTAGEの五味(岳久・vo&b)さんにも、俺らがまだ20代の頃に“30を越えてからバンドは面白いぞ”って言われたんですけど、まさにその通りで。しかもどんどん面白くなってる」
 
――徹底的に好きを極めることが評価されて、それがいい循環になる。っていうのが30代かなと。ただ、40代なったらまた1回落ちるけどね~(笑)。
 
三島「アハハ!(笑) 怖っ!」
 
 
言わないと伝わらないこと=言えば伝わることを
20代でカッコつけて言わなかったことを後悔してる
 
 
――アルバムの起点としては『白夜』(M-3)とかになってくるみたいだけど、『進撃の巨人』のタイアップのために苦労して書いた曲が今回は割とたくさん入ってて。
 


三島「あのときはいろいろとかき乱されて大変でしたけど、俺の新たな引き出しを開けてもらったとは思うし、“なにくそ!”と思って書いたら全曲良かったのはあるんで(笑)。そのときからどういう形でもいいから絶対に出したいなとずっと思ってたし、あの経験も水の泡じゃなかったなと思いますね」
 
――メンバー的には最終的に選ばれた『Name of Love』より推しだった、みたいな話も。
 
三島「ぶっちゃけそうですね(笑)」
 
飯田「カップリングになった『OCEAN』も適してるなと思ったし、今回の『若者たち』(M-4)も、“いやこれ、エンディングテーマとしては完璧じゃない!?”と思ってたし(笑)」
 
――でも、それだけ創作力をかき立てられる物語なのはすごいね。
 
三島「もうどのシーンを切り取っても全部が曲になる感じはあったんで」
 
――シネマはバンドとして迷ってるときにいつもタイアップの話が来て、目の前にやることができて駆り立てられ、いつの間にか前進するパターン(笑)。
 
三島「アハハ!(笑) 結局、『Name of Love』でもそうなりましたからね」
 
――同時期に書いた曲では『雨の日のヒストリア』(M-8)が特にアガりました。サイレンみたいなギターも効果的。
 
三島「基本的にはコードがどんどん展開していく曲が好きなんですけど、あのときは“4コードのループで”と提案されたんですよ。それも新しいチャレンジだったし、音像もバンドと打ち込みのハイブリッド感がありますよね」
 
――シネマの爆発力ならワンリフでもいけると思うけど、いつも構造が複雑だから。その過剰さが好きだけど(笑)。
 
三島「最近はそこを我慢してというか、だいぶスッキリしてきて。まぁ…辻(友貴・g)は放っといたらどんどん弾いちゃうんで(笑)。今は全体的にビートワークがシンクロするように意識はしてますね。『熱源』を出した後からじわじわそうなっていった感じです」
 
――『はじまりの場所』(M-12)も、このアコースティック感が新鮮だなと思いました。これがシネマの作品としてアルバムに入ってきたのは。最後の曲というのも印象的だし。
 
三島「そうですよね。これも20代だったら絶対に書いてないというか、書いたとしてもシネマの曲にはしてないかもしれない。OKラインはだいぶ変わりましたね」
 
――20代のときには言えなかったことを背負って言葉にできるというか、言っちゃえるところはあるでしょうね。
 
三島「そこは大いにありますよね。歌詞もまさにそうです」
 
――『storyflow』(M-10)の楽曲解説では、三島くんが過去にいじめられていた経験もあらわにしてましたけど、今回はそういうパーソナルな表現や発信もすごくあって。
 
三島「言わないと伝わらないこと=言えば伝わることを、20代でカッコつけて言わなかったことを後悔してるというか、それをエンターテインメントにできるなら全部発信していこうという気分ですね。だから楽曲解説でも結構踏み込んだことを、今までだったらぼかしてたことも、あえて言おうかなって。“これは『進撃の巨人』のために書いた曲です”って(笑)。それも含めて楽しんでもらおうという感じですね」
 
 
三島にしか絶対に書けない言葉があって
もっとそういう言葉で歌いたいなと思ってた
 
 
――今作の意図としては、気持ちが暗いときに暗い音楽を聴くことで救われることもある、常に前向きじゃなくてもいい、みたいなところもあったと。それはコロナ禍を経た視野ならではで。
 
三島「『熱源』までのポジティブでいなきゃいけない感じは、自分に言い聞かせてたところもあったし、俺らが前向きなメッセージを届けなきゃいけないんじゃないかっていう変な責任感、義務感、メジャーだから、みたいなこともあったんですけど、今はこういう状況だし、無理をしてまで何か言うことは避けたかったんですよね。あと、例えば俺が昔、Syrup16gをどういう気持ちで聴いてたのかを改めて思い出したりして…」
 
――分かる~! 俺も初めてSyrup16gを聴いたとき、“何でこの人、俺の思ってることを全部歌ってくれてるんだ?”ってめっちゃ驚いた。さらには、自分でも気付いてなかった自分のことを歌ってるようなあの感覚。
 
三島「そうなんですよね。それで思考が整理されるというか、そういう救い方もあるよねって気付いてなかった」
 
飯田「三島の“前向きにしなきゃいけない”感覚はすごく伝わってはいて、ある種、分かりやすくて前向きな言葉を使ってた時期があったんですよね。でも、ファンタジーだったり言葉選びだったり、三島にしか絶対に書けない言葉があって、もっとそういう言葉で歌いたいなと思ってたから。今はまさにそうなって…っていうか、こんなに曲を書いてきてまだ尽きないのは本当にすごいなと思うし。あと、20代の頃はライブのMCで言葉を飲み込むことがすごくあったんですよ。“これは今、自分が言うべきことなのか? まだ20代で何も分かっちゃいないのに”って。言っちゃえばいいのに言えないんですよ、性格上」
 
――逆に20代でよくそのことが分かってたね。
 
飯田「多分、サムいことに敏感なんです(笑)。それが恥ずかしくてイヤなんですよ」
 
――確かに飯田くんはそうだわ(笑)。
 
飯田「何か引いちゃうんですよ。“俺、世の中について語ってる、サム〜!”ってなっちゃう(笑)。でも、熱い気持ちはめちゃくちゃあったし、30を越えてからは、いろいろ考えてきたんだから言ってもいいよねと思えたし、実際に言えるようになってきたんですよね。昔は、“ありがとう”さえもイヤだったんで(笑)。ライブが終わって“ありがとう”って、“何でそんなに偉そうなん俺”と思っちゃったり。根本的にバンドのボーカルっぽさが自分の中に全然ないんですよ。でも年を取って、そういうことも一つ一つ言えるようになってきた。その中で、三島の書く言葉がいつも俺を先導してくれるんですよ。メンバーやスタッフを引っ張ってくれるエネルギーを感じてるし、それを自信を持って歌える今は、やっぱり前とは全然違う」
 
――過去のインタビューで、“三島のメロディがとにかく好きで歌いたくなる”みたいに公言してたのも愛だなと。
 
飯田「『進撃の巨人』のタイアップの話のときも、(当時、候補の1曲に挙がっていた)『白夜』のメロディをもっと分かりやすくした方がいいんじゃないかという案もあったんですよ。でも俺は、“三島が元々持ってきたメロディの方が良い!”ってやっぱり思っちゃうんですよね」
 
――いい関係性だね。学生時代からの成り行きで歌ってるんじゃなくて、最高のソングライターだと思ってるヤツと今でもずっとバンドを組めてるのは。
 
飯田「ありがたいです、本当に」
 
――同時に、どれだけ歌詞がディープになっても救いがあるのは飯田くんの声の力かなとも。
 
飯田「ありがとうございます」
 
三島「それはめっちゃ思いますね」
 
――ある意味、『極夜』(M-9)は死を感じさせる曲だけど、コロナ禍で解散/活動休止してしまうバンドもいれば、めちゃくちゃ才能があるのに人生を止めてしまうアーティストもいて…。
 
三島「この曲と『白夜』がこのアルバムの“影”だと思ってるんですけど、’20年はあり得ないことがいっぱいあったので…。それを歌にしておかないと、という気持ちはすごくありました。シネマもギリギリだった瞬間があったと思うんですけど、俺はバンドを辞める気は一切なかったので。みんながどう思ってたのかはハッキリ分からないですけど、結果的には“バンドを続けるためにどうするか”という話しかしてないんで」
 
――シネマをやりながら弾き語りしたり、楽曲提供したり、レコ屋をやったり、YouTubeでゲーム実況したり…って俺、なめてたけど割とすごい再生回数で、ドコムス=久野(洋平・ds)くんの稼ぎ、相当じゃねぇかって(笑)。
 
飯田「アハハ!(笑)」
 
三島「そういう意味でも、みんなでコロナをそこそこうまく乗り越えられたなと(笑)」
 
 
自信を持って一流と言える人たちが周りにいることは
めちゃくちゃ幸せだと思う
 
 
――そして、表題曲と言える1曲目の『海底』は、制作期間の最後にできた曲だと。2曲目の『I melted into the Void』が三島くんの当初の推し曲だったけど、メンバーから異議があり(笑)。『海底』が入って本当に良かったよ。
 


三島「『I melted into the Void』を書けたときにテンションが上がったのもあって、“これだ!”と思ったんですよ。でも、冷静に考えてみてこれじゃなくて良かったですね(笑)」
 
――シネマの取材のときはいつも、“アルバムの1曲目がcinema staffの現状を表した曲だね”って話してたけど、今回もやっぱり1曲目を聴けば、シネマの今が分かる。
 
三島「やっぱり1曲目ですよ、重要なのは(笑)」
 
飯田「『白夜/極夜 E.P.』(’20)のツアー中に、いつも打ち上げで辻と話してたんですよ。それがちょうど三島が『海底』を作ってる時期で、とにかくアルバムを決定づけるカッコいい曲が1曲目に来てほしくて、しかも今回は他の曲が強いしハードルが高いと思ってたから…本っ当に願ってた(笑)」
 
(一同笑)
 
飯田「『I melted into the Void』がリード曲になれば、1曲目はインストの可能性もあったので、レコーディング開始日もかなり迫ってたし、“あ〜ヤバいヤバい!”って(笑)」
 
――そこをちゃんと超えてきましたね、隊長は(笑)。『海底』の“最低を繰り返して/それでも尚 生きたいんだ/いつか忘れられるとしても”というフレーズを聴いたとき、“あ、もうこのアルバムは勝ちだわ”って。
 
三島「俺もその1行目ができたときが、“あ、きた! これだ!!”ってなった瞬間でした」
 
――ただ、現状も別に地上に上がれたわけじゃなく、まだ底にいる目線ゆえの『海底より愛をこめて』で、シネマは上を見て必死に手を伸ばしているときに、一番力が発揮されるバンドだなと思うよね。
 
三島「自分でも思いますね。まだまだ上を見たいし、這い上がりたいし、ちゃんと売れたい。4年前は、“メジャーにいながら一番ベストな着地点はどこだろう?”と考えてたんですけど、今は“この感じで売れるにはどうすればいいんだ?”と考えてる。そうなると、もっとクリエイティブな話になってくるんですよね」
 
――それこそ、ライブのVJがwhite white sisters(=kouta tajima)で、ジャケットのデザインがFar France(=Shinya Hanafusa(YAR))で、『OOPARTS』の実行委員が高校と塾の先生でって(笑)、シネマは出会ったみんなをどこまで連れていけるのかと思うよね。
 
三島「これは本当に素晴らしいことだと思ってて。今この歳になると、同世代ぐらいのクリエイターは成熟してきてるし、ちゃんと自分の世界があって…自信を持って一流と言える人たちが周りにいることは、めちゃくちゃ幸せだと思うんで。そこは地道にやってきて良かったと思える、かなり大きなポイントでもあるし。俺らがいつか日本武道館でやれたら、みんなが泣ける日になるんじゃないかなって」
 
――“打ち上げにいったい何人来るねん!”みたいなね(笑)。
 
(一同笑)
 
三島「それが俺らの恩返しにもなるんで」
 
 
来てくださる方にはお金以上の体験を返すつもりなんで
 
 
――現在は『cinema staff “海底より愛をこめて” RELEASE TOUR「はじまりの場所」』の真っ最中ですけど、メンバーそれぞれのSNSを見てても、かなりの充実感を感じますね。
 
飯田「いろいろと音作りも変わったんで、ぜひ見てほしいです。すごく良くなったと思います」
 
三島「アルバムでの試みがちゃんとライブにも昇華できてますし、チームでどういうふうにどう見せたいと共有できてると思いますね。この時期に1年先までいろいろと予定も決まってるし、ありがたいですね」
 
――MVのコメントを見てても、“初めて知ったけどライブに行ってみたい”っていう人もちらほらと。
 
三島「もしかしたら久野くんが連れてきてくれてるのもありますよ(笑)。新規開拓という意味では本当に助かってるというか、めっちゃうれしいです。知ってくれたらちゃんと好きになってもらえる、刺さる人はいると思うんで」
 
――今作を聴いてても、“何かの拍子で売れるんじゃないか?”ってちょっと思った。
 
飯田「それはずっと思ってます!(笑)」
 
(一同笑)
 
三島「“何かの拍子って何?”ってずーっと思ってる(笑)」
 
――アハハ!(笑) 今はもうお決まりのパターンでは売れないけど、いきなりドカーンといくから。
 
飯田「だから後輩にもちゃんと優しく接しないとダメだと(笑)」
 
三島「Saucy Dogなんてあっという間に売れたから!(笑)」
 
――最後に、ファイナルは1月29日(土)大阪・BIGCATということで、ツアー後半戦に向けて言葉をもらいたいなと。
 
飯田「大阪でツアーファイナルやるのは初めてだと思うんですけど、BIGCATでのワンマンだし、すごく気合いも入ってるんで。ゲネプロも含めて今回のツアーは初日からめちゃめちゃ固めてこれたんで、今の時点でこの状態だったら、ツアーファイナルにはすごいことになってる気がする! 楽しみに待っててほしいです」
 
三島「ライブは本当に練度が上がってきてるし、例えば『熱源』の頃から見てない、みたいな人からしたら、別のバンドぐらいのクオリティだと思うんで、ちょっとだまされたと思って見てほしいですね。脂が乗ってるぞと(笑)。来てくださる方にはお金以上の体験を返すつもりなんで、信じて来ていただきたいなと思ってます!」
 
 
Text by 奥“ボウイ”昌史
 




(2021年12月14日更新)


Check

Movie

関西への感謝と新譜の志を胸に再会へ
飯田(vo&g)×三島(b)の動画コメント

Release

またも更新、アルバム最強の法則
4年ぶり7枚目の最新作!

 
Album
『海底より愛をこめて』
【初回限定盤DVD付】
発売中 4180円
cinema staff
CNM-004
※特殊フィルムジャケット仕様CD

<収録曲>
01. 海底
02. I melted into the Void
03. 白夜
04. 若者たち
05. リバーシ
06. TOKYO DISCORDER
07. 動脈
08. 雨の日のヒストリア
09. 極夜
10. storyflow
11. 3.28
12. はじまりの場所

<DVD収録内容>
『cinema staff at OOPARTS 2021』
 [DAY 1. 2021/4/17]
01. theme of us
02. シャドウ
03. drama
04. 3.28
05. Name of Love
06. into the green
07. 西南西の虹
08. 希望の残骸
encore
09. 斜陽
10. 海について

 [DAY 2. 2021/4/18]
01. HYPER CHANT
02. great escape
03. 新世界
04. シャドウ
05. 君になりたい
06. 3.28
07. 西南西の虹
08. first song
encore
09. GATE

【通常盤】
発売中 2860円
cinema staff
CNM-005

<収録曲>
同上

Profile

シネマ・スタッフ…写真左より、三島想平(b)、飯田瑞規(vo&g)、辻友貴(g)、久野洋平(ds)。’03年に三島、飯田、辻にて結成。’06年に久野が加入し現体制に。愛知や岐阜のライブハウスを中心に活動を続け、『document』(’08)『Symmetoronica』(’09)『Blue,under the imagination』(’10)とコンスタントにミニアルバムをリリース。’11年には初のフルアルバム『cinema staff』発表し、’12年6月には1st EP『into the green』でメジャーデビュー。以降、『望郷』(’13)『Drums,Bass,2(to) Guitars』(’14)『blueprint』(’15)『eve』(’16)『熱源』(’17)という5作のアルバムのほか、さまざまな形態で作品を発表。’13年には故郷の岐阜にて自主企画イベント『OOPARTS』を立ち上げ、’21年4月には2日間にわたり岐阜市文化センターにて開催。同年6月にはEP『白夜/極夜 E.P.』を、11月3には4年ぶりとなる通算7枚目のアルバム『海底より愛をこめて』をリリース。オルタナティヴ/エモ/ポストロックに影響を受けたセンス溢れるポップなメロディと、それとは対照的な直情的で衝動性の強い攻撃性を持ち合わせたロックバンド。

cinema staff オフィシャルサイト
http://cinemastaff.net/

Live

売切続出のツアーファイナルは大阪!
その後はアルカラとツアーも決定

 
『cinema staff “海底より愛をこめて”
 RELEASE TOUR「はじまりの場所」』

【東京公演】
▼11月3日(水・祝)Sportify O-EAST
【北海道公演】
▼11月7日(日)mole
【宮城公演】
▼11月14日(日)仙台MACANA
【福岡公演】
▼11月20日(土)INSA
【広島公演】
▼11月23日(火・祝)広島・4.14
【長野公演】
▼11月27日(土)松本ALECX
【愛知公演】
▼12月4日(土)ボトムライン
【兵庫公演】
▼12月10日(金)神戸 太陽と虎
【香川公演】
▼12月12日(日)DIME

【神奈川公演】
Thank you, Sold Out!!
▼12月18日(土)F.A.D YOKOHAMA

【静岡公演】
Thank you, Sold Out!!
▼1月8日(土)静岡UMBER
【岐阜公演】
チケット発売中
▼1月10日(月・祝)EVENT HALL club-G
【埼玉公演】
Thank you, Sold Out!!
▼1月16日(日)LIVE HOUSE Hearts
【栃木公演】
Thank you, Sold Out!!
▼1月22日(土)HEAVEN'S ROCK Utsunomiya VJ-2

Pick Up!!

【大阪公演】

チケット発売中
※販売期間中はインターネット
 (PC・スマートフォン)でのみ販売。
▼1月29日(土)18:15
BIGCAT
全自由5300円
GREENS■06(6882)1224
※未就学児童は入場不可。
 小学生以上は有料。

チケット情報はこちら

 
 
『アルカラ×cinema staff Presents
 A.S.O.B.i TOUR 2022「continue」』

Pick Up!!

【兵庫公演】 New!

▼3月14日(月)19:00
ART HOUSE
前売り5000円
[共演]アルカラ
GREENS■06(6882)1224

~12/25(土)23:59まで先行予約受付中!
チケット情報はこちら

 
【香川公演】
▼3月15日(火)19:00
DIME
前売り5000円
[共演]アルカラ
デューク高松■087(822)2520

Column1

「いくつになっても挑戦できるし
 いくつになっても夢は見られる」
cinema staff×アルカラのヤバい夏
始まる――! 音と魅力が響き合う
『undivided E.P.』を
飯田瑞規&稲村太佑が語る('18)

Column2

「cinema staffは本当にここから」
Road to 万感の日比谷野音!!
異端を加速させるcinema staffの
最強の決意表明『熱源』を
飯田(vo&g)が語る!('17)

Column3

「『eve』はcinema staffの
  新たな入口として完璧な1枚」
変わりゆく予感、変えていく意思
変わらなければならない使命感
バンドの革命前夜の胎動と
エモーショナルな制作秘話を
飯田(vo&g)&三島(b)が語る('16)

Column4

よりドラマティックに
よりエモーショナルに
真髄と新感覚を研ぎ澄ませた
cinema staffの誇り高き
未来予想図『blueprint』を
飯田(vo&g)&久野(ds)が語る('15)

Column5

cinema staff ×『進撃の巨人』=
『great escape』!! 飯田(vo&g)
&辻(g)がとことんぶっちゃける!?
タワレコ公開インタビュー&
インストアライブをレポート('13)

Column6

転換期を迎えた初のフルアルバム
『cinema staff』リリース時の
メンバー全員インタビュー
&傑作動画コメントが到着!('11)

Recommend!!

ライター奥“ボウイ”昌史さんの
オススメコメントはコチラ!

「cinema staff単体のインタビューは前アルバム『熱源』('17)以来4年ぶりと相当久しぶりで。間にアルカラとのコラボや、トーク&ライブ『GREENS LIVE MEETING 〜ぐりみ〜』の気の置けない取材は何回もあったけど(笑)。というのもあって飯田くんとはちょくちょく会ってましたが、三島くんなんかは前々作『eve』('16)ぶりで。シネマは毎回オリジナルアルバムのクオリティがエグくて、次回作が心配になる出来。今回ももちろんそうだったんですが、この4年はいつになくいろいろとあったようで、それが音となり言葉となり…このメロディアスさと神の声と異次元に連れていかれるようにうねる曲調が黄金比で成り立つ不思議なバランスに、“こんなバンド、やっぱり他にいないわ”と改めて思わされましたよ。30代を謳歌する4人の今後がいっそう楽しみになりました。もしシネマがその過程で日本武道館にたどり着いたなら、きっとあのバンドにもあの裏方にもあの先生にも(笑)会えるんだろうなと今から想像にたやすい彼らのケミストリー。ツアータイトルが“はじまりの場所”と聞いて大いにうなずいた現在絶賛開催中のツアーで、まずは音を浴びるという極上体験をしてください。会場に行けば僕の言ってる意味がよーく分かると思います!」