ホーム > インタビュー&レポート > 7/23(土)心斎橋クラブクアトロでのワンマンライブも間もなく! バンドの転換期を語るcinema staffの 新作インタビュー&動画コメントが到着
――’03年に岐阜で結成して、今回の1stアルバム『cinema staff』にようやくたどり着いたわけですが、満を持して挑んだ今作に向けて、何かコンセプトはあったんですか?
三島(b)「どっちかって言うと、むしろ何も考えずに作ってみようって。今までのミニアルバムが割とコンセプチュアルなものが多かったんで、今回はそれを全部取っ払って、自由な発想で、とりあえず出てきたものからインスピレーションを頼りに作り始めて」
――今までは明確なコンセプトに向かって作ってきたものが、今回は自由にやろうとなったのはいったい?
三島「単純にみんなのスキルが上がったり、それぞれが表現したいことが明確になってきて、プレイに主張が出るようになってきたというか。曲の元ネタは僕が書いてるんですけど、メンバーから各パートのいいフレーズが多く生まれてくるようになったので、任せる部分が自然と増えていったのはありますね」
久野(ds)「自分のアイディアが採用されていくのはやっぱり嬉しいし、そういう意味でも作っているときの楽しさは作品ごとに増していくというか」
飯田(vo&g)「今回は曲に合わせたギターのエフェクトや歌の面でも自分のニュアンスが表現出来たと思いますね。結構面白いことが出来たなぁと」
辻(g)「ギターのフレーズ1つにしても、今までの作品でも“自分らしさ”って何だろうってずっと考えてきたんですけど、今回は結構それが出せたなと」
三島「今回のアルバムで言うと『白い砂漠のマーチ』(M-1)や『skelton』(M-3)が自分たち的にはデカかったなあと。今までだったら技術的にも気持ち的にも出来ない曲だったと思うんです。そこからいろいろと変わっていった気がしますね」
――キャリアをきちんと積んできて、それぞれのプレイヤーとしてのオイシイ部分が自ずと出るようになった時期だったのかもしれませんね。頭の中にイメージがあるけど、今までは具現化出来なかった音をかたちに出来るようになったと。ブログにも作業は今までで一番スムーズで楽しかったと書いてましたもんね。
三島「今までは割と修行みたいな…(笑)」
飯田「辛かったもんな~(苦笑)。今年1月にリリースしたシングル『水平線は夜動く』で、やりたいことがうまくかたちに出来た気がしたんです。だからこそ今作への創作意欲も高まったというか」
三島「『水平線は夜動く』は、かなり時間のない中でレコーディングに挑んだので、もうなるようになるしかないと逆に開き直れたんですよ。今までは何となく“ストイックじゃないからダメ”みたいなところにジャッジラインがあったのが、いい意味で甘くなって、その場の思いつきとかもいろいろ取り入れてみて…そしたらすごくいいものが出来た。それでいきなり楽しくなって、ラクにもなって。許容範囲がすごく広がりましたね」
――時間があったら煮詰めてしまうところが…。
三島「ガチガチに決めてこれを弾いてくださいっていうのが、全然なくなりましたね」
久野「それって自分たちのことを信じられるようになったから出来たことだと思うんです。今までだったらその場で思い付いたフレーズを入れるのとかは、“これって大丈夫か?”っていう不安の方が大きかったけど、今なら“これカッコいいじゃん!”って思える」
飯田「僕らはレコーディングに向けてプリプロを何度も繰り返して、当日は今までやってきたことをちゃんと弾けるかどうかだけというスタイルだったんですけど、レコーディング前日くらいにART-SCHOOLの戸高(g)さんに会って、“え、もう全部曲出来てるの?”って言われて(笑)。その場のアイディアを取り入れて作ったりすることを当たり前にやってるバンドはたくさんいるし、そんな風に自由にやるのも面白いなって」
――cinema staffはすごく真面目というか、きっちりしてたんでしょうね。レコーディングの作業が進みながらも、歌入れの前日にヒーヒー言いながら歌詞書いてるバンドなんてごまんといますよ(笑)。
三島「ちゃんと準備してくるのが当たり前だろと。それが当然だと思ってたから、逆に気が楽になったというか。そんなにガチガチに挑む必要も全然ないし」
――今までがスパルタだったんですね(笑)。
三島「ですね(笑)。1stミニアルバム『document』(‘08)、2ndミニアルバム『Symmetoronica』(‘09)はうちの社長…河野さん(残響record代表/te)がプロデューサーだったんですけど、そのときは超ストイックだったと思います。全然楽しくなかったです(笑)」
飯田「今回はレコーディングがこんなにスムーズに進んでいいものなのかと思いました(笑)」
――(爆笑)。そら厳しいだろうなぁ。今回は自分たちの音楽を楽しんで出来る環境を手に入れたのはあるかもしれないですね。バントとしての余裕というか、その場で生まれるフレーズをお互いに信頼出来るというね。
久野「最後の曲の『海について』(M-11)はめちゃくちゃ音を重ねてるんですけど、その過程も楽しくて。アイディアを入れていく度にどんどんカッコよくなっていくので、今回は自分たちの期待を超えた曲が何曲もあって」
三島「歌を一番最後に録るのもあって、みんなギリギリまでどんなメロディが乗るかも分からず作ってるんで」
――その作り方はバントとしては非常に珍しいですね。普通は弾き語りで土台となるメロディを持ってきて…とかが多いですもんね。
三島「僕らはこれが自然と思ってやってきたんで、あんまり難しいとは思わないんですよね。基本的にはアレンジまでほぼ全部作っちゃってから、メロディを乗せますね」
辻「だいたいこの辺に歌が入りますとか、それぐらいしか決まってない(笑)」
久野「先に歌があるとそのイメージが残るから、逆に作りづらいんですよね」
――今作では今まで以上に歌が前に出ていますよね。
三島「飯田くんのボーカリゼーションは、絶対美しいメロディラインを歌わせた方が映えるし、彼もそれを歌った方が気持ちよく歌える。彼の声を活かすためのメロディ=曲作りが染み付いてるところはあると思うので、自然とそうなっていった気がしますね」
飯田「自分の歌がメロディに乗ったとき、曲が一気に華開くのを感じる瞬間があるんです。この曲には、このバンドには、ホントに自分の声が合ってると感じられることが何度もあったので、今は自信が持ててきたのかなと」
――歌が前に出てると感じたのは、そういうところなんでしょうね。今作は出来上がったときに達成感があったんじゃないですか?
三島「ありましたね~。今までバンドやってきて良かった~!って思いましたもん」
久野「アルバム名がセルフタイトルであることに誰も反対しなかったのは、そういうことですよね」
――個人的には『実験室』(M-8)や『錆のテーマ』(M-9)が面白かったですね。フルアルバムのサイズだから出来た曲だと思うし。錆について曲書くバンドって今までにいたかな?って(笑)。
全員「アハハハハ!」
――アルバムを通して、バンドとしても成長する場を得られた感じですね。
三島「スキル的にもそうだし、チャレンジもいっぱいしたし、精神的にもいかに楽しんで出来るかというのもあったし。ストレスなく作れた結果かもしれないですね」
――今回は、バンドがそのスイッチを入れられたことに尽きるかもしれませんね。今までの修行のようなレコーディングではなくてね(笑)。
辻「ホント憂鬱でしょうがなかったですからね」
飯田「途中からセルフプロデュースになってね」
辻「だんだん楽しくなってきて(笑)」
――部活の怖い先輩が卒業して、やっと3年生になったみたいな(笑)。
久野「あと、自分たちにも自信がなかったですからね。ジャッジが自分たちで出来なかった」
三島「社長が久しぶりにアルバムを褒めてくれました(笑)」
――いい師弟関係ですね(笑)。このアルバムを経てツアーも控えてます。ワンマンで全国をこれだけ廻れるのはスゴいですね。
飯田「怖いす(笑)」
三島「実際、心斎橋クアトロが埋まるかどうかは、ねぇ(笑)」
久野「ちょっと前まで頑張ってノルマを払ってたので(笑)、地方でも何人もの人が来てくれるだけで感動します」
――今どきまっとうに一歩ずつキャリアを重ねている、珍しいバンドかもしれませんね。
三島「僕ら意外と飛び級してきてないんですよね。いろんなバンドに抜かれていって(笑)」
――その方がバンドとして揺るぎないものがあると思いますよ。
三島「究極を言えば、レーベルが離れて4人だけになっても、やってやる!っていう。そういうつながりも作ってきたつもりだし」
――今回のリリースに際して、多くのバンドからコメントが寄せられてますもんね。
飯田「ありがたいですね。ホントにやってきてよかったなって。それこそ1つずつ対バンを重ねてきた結果なんで」
――“打ち上げ以外は尊敬出来る”って書かれてますけど(笑)。
久野「打ち上げの話をされるってことは、ライブが終わって即帰るとかじゃなくて、最後までちゃんと参加してるってことですから!(笑)」
――あの時間で圧倒的につながりますよね(笑)。
三島「バンドのバックグラウンドが見えますよね。それでまたそのバンドのことをさらに好きになったりとか」
――あと、cinema staffはライブでの爆発力がスゴいですよね。みんなそんなに簡単なフレーズを弾いてるわけじゃないのに、むちゃくちゃしててもちゃんとブレイクで戻ってくるあの感じ(笑)。
三島「でも昔はやっぱり出来なかったんです。向こうの世界に行きっぱなしで(笑)」
辻「で、グダグダで終わるっていう(笑)。そのバランスがすっごく難しいんですよね」
――かと言ってCDの“再現”では伝わらない。
辻「どれだけ本当に高揚していく姿を見せられるかですよね」
三島「曲に入り込むことは、ただ暴れることとは結びつかないことだから。別に動かずに弾いているときも、そこに熱がないわけじゃない。ライブでの表現の幅も広がってきましたね」
――辻さんは普段は物静かなのに、ライブだとホント豹変しますよね(笑)。大阪のオーディエンスの印象ってあったりしますか。
三島「いや~アゲアゲですね(笑)」
久野「あたたかいです。CDを出す前とかも岐阜から近いんでよくライブしに来てたんですけど、いいと思ったらすぐに反応してくれるお客さんが多いなって」
三島「cinema staffの初めての遠征は大阪だったんです。自分でライブハウスに電話して」
――どこに出たんですか?
三島「サンホールですね。友達が出てるハコだからって紹介してもらって、6バンドぐらいで動員4人でした(笑)」
――マジで!?
飯田「あんなに広いところなのに…(笑)」
三島「修行でしたね(笑)」
――そう考えたら7月23日(土)の心斎橋クラブクアトロに、たくさん人がいたらちょっと壮観ですね。
三島「祈ってます(笑)」
――その光景が観られることを期待していますよ。本日はありがとうございました!
Text by 奥“ボウイ”昌史
(2011年7月19日更新)
Album
『cinema staff』
発売中 2500円
残響record
ZNR-108
<収録曲>
01.白い砂漠のマーチ
02.火傷
03.skeleton
04.明晰夢
05.You Equal Me
06.super throw
07.cockpit
08.実験室
09.錆のテーマ
10.どうやら
11.海について
シネマ・スタッフ……写真左より三島想平(b)、飯田瑞規(vo&g)、久野洋平(ds)、辻友貴(g)。’03年に三島、飯田、辻にて結成。’06年に久野が加入し現体制に。愛知や岐阜のライブハウスを中心に活動を続け、残響recordより『document』(‘08)『Symmetoronica』(‘09)『Blue,under the imagination』(‘10)とコンスタントにミニアルバムをリリース。今年1月には初のシングル『水平線は夜動く』を発表。ドラマティックな旋律とスリリングな変拍子が絡み合うエッジィな轟音サウンドを軸に、『SUMMER SONIC』『ROCK IN JAPAN FES』など大舞台でも堂々たるパフォーマンスで大観衆を魅了する、今注目のライブバンド。
cinema staff オフィシャルサイト
http://www.cinemastaff.net/
『two strike to(2) night
~日本シリーズ~』
チケット発売中 Pコード136-741
▼7月23日(土) 18:30
心斎橋クラブクアトロ
オールスタンディング2800円
キョードーインフォメーション
■06(7732)8888
※未就学児童は入場不可。
チケット発売中 Pコード136-751
▼7月24日(日) 18:30
名古屋クラブクアトロ
スタンディング2800円
ジェイルハウス■052(936)6041
チケット発売中 Pコード136-760
▼7月27日(水) 19:00
渋谷クラブクアトロ
スタンディング4300円
VINTAGE ROCK■03(5486)1099
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