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「次の日に死んでも後悔しないライブをしようと思ってる」
大いなる予感とまばゆき未完成の人生を刻んだ『変身』携え
激動の’17年を締めくくる堂々のツアーファイナルへ!
吉田山田インタビュー&動画コメント

 “変わる”ということは、もしかしたら人生で最も難しいことの1つかもしれない。年齢を重ねれば重ねるほど、己を知れば知るほど、世間を見渡せば見渡すほど、時に迷いと不安が自分を苦しめ、夢を霞ませる。2年後のデビュー10周年という自らに課した目的地に向かって、そんな34歳の男2人が必死にもがき前へと進む生き様が、その頂に見合うアーティストになるための意地と意欲が、吉田山田の1年8ヵ月ぶりのアルバム『変身』にはしっかりと刻まれている。意識的なトライ&エラーと音楽人生の伏線の回収を行ったような今作を手に、前半戦は弾き語り、後半戦はバンドセットと3ヵ月にわたり行われてきたツアーもいよいよファイナル。ヒーローのように人は誰もが一瞬では変われない。変わっていく喜びも、変わりゆく怖さも、吉田山田という人生のまばゆき途中経過を語るインタビュー。

 
 
遠藤賢司さんから“自分のために歌えよ”と唐突に言われて…
何かその言葉がすごくしっくりきた
 
 
――今回はリリース前にアコースティックツアーで先行して新曲を披露してたのもなかなかないことで。
 
山田「これはですねぇ〜スケジュール的なことが一番じゃないですかね?(笑) あえては言いませんけど」
 
吉田「言ってるよ!(笑) でもまぁ例えば、東名阪ツアー+αみたいな感じで、数ヵ所に限定してバンドで回る手もあったんですけど、47都道府県ツアーをやったとき、行ったことがない場所で掴んだものがあったので。あと、去年は鳥取で地震があって行けなかったりもしたんで、楽しみにしてくれてた人たちの声もすごくあったから、鳥取は2人だけでも行く!みたいな想いがあって。もちろん経費とかもいろいろあるからどっちを選ぶ?となったとき、8ヵ所とかよりは前半は2人だけでもいいから21ヵ所回って、後半にバンドでやる方がいいなぁと思って」
 
――47都道府県ツアーがもたらしてくれたものは前回のインタビューでも話してたけど、山ちゃんは“理想はもっともっと自然体でいたかった。何ならお客さんの前で、悩んでるカッコ悪い自分を出してもよかったのかな”って、よっちゃんは“どうしてもちゃんとしてしまうから、バカになれるのか”と言っていて。今作は、そういうところはお互いに一歩踏み出してますよね。
 
山田「そうですね。この8年で変わってきたことがあって、最初は2人がずっと楽しく音楽をやれることがゴールだったんですけど、いろんな人と一緒に仕事をするようになって、だんだん“みんなに恩返しがしたい”っていう気持ちが出てきた。だけど最近、それもちょっと違うなと思い始めてたときに、遠藤賢司さんから“自分のために歌えよ”と唐突に言われて…何かその言葉がすごくしっくりきた。今回はあんまり人の目を意識せずに曲を作れたんですよ」
 
吉田「意識してそうしたわけじゃないんだけど、近年の吉田山田は、ライブに来てくれたお客さんと“一緒にいるから大丈夫。背中を押すから”っていうスタイルになっていて。でも、47都道府県ツアーを終えたときに、僕らが先頭に立って、背中を見せて、引っ張っていかなきゃいけない。“ついていきたい、この人たちを見逃しちゃいけない”と思ってもらう状態が、それぞれの生活のプラスになっていくんじゃないかって思ったんですよね。47都道府県ツアーが終わって去年の暮れまでは、何となくまだモヤモヤしてて。ただ、今年に入って今作のアレンジャーの涌井啓一くんと仕事以外でもご飯を食べに行ったりする中で、自然と自分の好きなことを追求していいんだと思えたんですよ。今回のアルバムの曲が出揃ったときに、“あ、これか”ってちょっと掴めたというか、受け入れられるかは分からないけど、“ごめん俺、これが好きだから!”って言い切れるものができたなって」
 
――前回の『街』('17)から明確な変化の兆しがあったけど、それを受けてアルバムが『変身』というのは、まさに有言実行というか。『変身』と名付けてしまった以上、聴く側も出す側も、ある種の覚悟がいるものにはなったよね。
 
吉田「ただね、ミュージシャンをやってる以上、全部がある意味、未完成なんです。今回それをなぜ感じたかというと、僕らは2年後を見てるから。今、胸を張って“どうも、変身した吉田山田です!”っていう状態じゃまだないんです。正直、試行錯誤の最中だから、ジャケットもそんなに綺麗にしないでほしいと言ったんですよ。完成されたものじゃなくて、34歳の男2人に気付きがあって、その中で必死にもがいてる“生き様”って、聴き応えがあるなってちゃんと思えたから。『変身』は2年後に、“だからこの曲が入ってたのか、だからこのサウンドなんだ”って、もう一度楽しめるアルバムな気がしてるんですよね」
 
 
“やっぱり言えばよかった”で終わらせたくない気持ちはすごくあった
 
 
――お互いに書いてくる曲がいつもとは違うな、みたいなことは感じました?
 
吉田「やっぱり変わる=これまでの自分を否定することでもあるわけで。山田は頭でいろいろ考えて前に進んでいくタイプじゃないので、時間は掛かるだろうなと。じゃあ逆に、少しずつ人間が変わっていく様を見せようと思ったんですよね。例えば、山田が作ってきた曲なら山田が主導権を持ってほしいんだけど、今まではそこに3人目のメンバーと言っても過言ではないディレクターがいて相談ができた。けど、今回は自分で“こうしたい!”みたいな意志を固めて臨まなきゃいけないんで。山田はそこが一番刺激になったんじゃないかな」
 
山田「サウンド面の細かいことは分からない部分もあるんで、今までは何となくこっちがいいと思うっていう選択をしてきたんですけど、“僕はこう思うんですけど、何でなんですかね?”ってちゃんと聞こうと。まだ自分はそういう段階なんですけど、“やっぱり言えばよかった”で終わらせたくない気持ちはすごくあったので。ただ、“どう思う? どう思う?”ってみんなに聞いていくうちに、自分の答えが分からなくなっちゃったりもしましたけど。だから、“僕はこうだす!”…こうだすって(笑)」
 
――アハハハハ!(笑)  自分が書いた曲であっても、最終ジャッジは別に自分でしてなかったんや。
 
山田「そうですね。みんなで“こっちの方がいいんじゃない?”とか言い合って、そこに委ね過ぎてた」
 
吉田「これは長年同じチームでやってきた、いいところでもあり悪いところでもあり。山田の場合はディスカッションじゃなくてチョイスだったから。そこを変えたいなと思ったのは、そこでどれだけ自分の心と脳みそを使ってるかで、その後のライブとかプロモーションで出てくる言葉も歌に対する熱意も、全然違ってくると思ったからなんですよ。ちゃんと自分のフィルターを通して、その考えに至るところが大事なんで」
 
山田「レコーディングが終わってから、ケンカじゃないけど“お前、本当にあれでいいのか?”みたいな話になったんですよ。吉田山田号っていう機材車があるんですけど、もう家の前に着いてるのに後部座席で2人でずっと喋って」
 
吉田「今までは、“お疲れ、とりあえず明日”みたいに、今日はもう疲れてるし解散、とかいう感じだったんです。でも、あと2年しかないっていう共通の意識があるから、“いやいや今日話すでしょ”っていう。目標を決めると、こんなにもいろんなことが明確なのかと。ここ2〜3年は全然なかったんですけど、今回は何回か…僕は山田に怒りましたね。“それが山田だし”って言ってしまえば全部解決しちゃうんだけど、“2年後にそれだと後悔しない?”って。僕も普段はあんまり緻密に考えるタイプじゃないけど、やっぱり山田のことを考える時間が多くなって」
 
――でも、今の話を聞いてたら、山ちゃんから“よっちゃん、そんなんじゃダメでしょ! 2年後どうなんだよ!?”っていうのはなさそうな…全然イメージできない(笑)。
 
山田「そうっすね…(笑)」
 
吉田「アハハハハ!(笑) でも僕は、それはもうちょっと先かなと思ってる」
 
山田「今はもう自分のことで必死ですね。自分が変わりたい想いが強いので。例えばレコーディングに関しても、“ちょっと歌い方を変えてみよう”って思えたり。今までにない歌い方だから毎回上手くはできなかったりするんですけど、それでも“自分はいろいろ吸収したがってるんだな”ってそこで感じますね、うん」
 
 
この気持ちを抱えたまま10周年は迎えられない
 
 
――今作の冒頭を飾る『HENSHIN』(M-1)『浮遊』(M-2)とかは明らかに新機軸な感じがする2曲ですけど、この辺りの曲はどうやって生まれたの?
 
吉田「『HENSHIN』はもう曲も出揃ってアルバムのタイトルも決まったぐらいのときに、結構な短期間で作ったんですよ。涌井くんと“『変身』っていうタイトルを担うのに何が足りないかな?”みたいな話をしてて、本当は2分ぐらいのプロローグにするつもりだったんだけど、結構ボリューミーになって。難しいことをあんまり言わずに、アルバムに対する予感を感じさせる曲にしたかったから、ポエトリーリーディングみたいな遊びも入れたし、フィーリングで挑戦できましたね」
 
――よっちゃんにもこういう奥行きとか素養があるんだという意味では、すごく面白いなと。お互いにまだポテンシャルを隠し持ってる感じがする。『浮遊』も吉田山田として求められてるステレオタイプのアウトプットとは異なるフレーバーをちゃんと感じる曲で。
 
山田「この曲は、3年ぐらい前かな? 涌井くんにデモの段階で手伝ってもらってたときに作った曲なんですけど、最初は全部ラララでコーラスだけ入れてたんですよ。その段階でもう『浮遊』っていうタイトルは付いてたんですけど、この段階でここまで色と匂いがある曲は…もうこれはこれで1つの形だなって。あとはちゃんと遊びじゃないですけど、余白を持たせられたらなと思って、歌詞に関しては2人で練ったんですけど」
 
――“夢オチ”の構成も面白いし。『街』もそうだったけど、山ちゃんはよく夢を見るの? 『しっこ』(M-6)も夢の話だし、今回は何だか夢の曲が多いなと思って。
 
山田「夢をめっちゃ見るわけじゃないんですけど、覚えてる夢が結構濃いんですよ。だから1年に何回かだとしても覚えてて、起きた瞬間にそれを形にしたいなと思ったり」
 
吉田「僕は一時期、記憶力がよくなるって聞いて夢日記を付けてて。後で読み返すと頭がおかしくて面白いのもあって、しばらく夢を見たら起きてしばらくそのこと考える癖が付いて。結構夢は見ますね」
 
――あと、『宝物』(M-3)のプロデューサーの浅田信一(ex. SMILE)さんとはどういう縁で?
 


山田「もうずっとご一緒したかった方で、SMILEも好きでカラオケでいまだに歌ったりもするんですけど、この曲のデモができたときに、ある程度のポップさがある中で泥臭い感じにしてほしいなぁと思って。今回はほとんど涌井くんのアレンジですけど、この曲に関してはいろんなアレンジを聴いた上で、浅田さんに1回お願いしてみたいなと。この歌詞の内容って、ただただ泥臭くしたら偏った感じになっちゃうし、自分たちじゃ絶対出てこないオシャレな感じも入れつつ、歌詞では出せなかったスパイスを音でもらったなと思ってます」
 
吉田「デモとしてはだいぶ前からある曲で、派手じゃないけどいい曲なんで、いつか形にしたいなとずーっと思ってて、この気持ちを抱えたまま10周年は迎えられないなと。『しっこ』もそうなんですけど、デモとしてはとってはある。そういうのって“何でダメなんだろう?”って思ったまま次の曲を作るから、結構消耗するんですよ。出したものの反応が薄いなら真摯に受け止めなきゃいけないけど、出すことができない、評価もされないだと、自分が何を歌うべきなか分からなくなってくるから。今回のアルバムはそれも1つのテーマになってて、吐き出そうよと。『宝物』っていう曲をちゃんと磨いて、歌詞もブラッシュアップして、いいものにする決意で作業を進めていくっていう」
 
――『宝物』とか『守人』(M-11)とかは年齢を重ねたからこそ書ける詞であり、自分のものになるような歌で。『しっこ』は“夢の中でおしっこしちゃったよ”の連呼って…こんなサビある?っていう曲やけど(笑)。
 
山田「日頃からあんまりテーマに捉われず、思い付いたら作ることを習慣にしてたんですけど、これができたときは即お蔵入りでしたね、周りの反応が(笑)。“いやいや、ちょっといい曲じゃない!?”って僕は思ってたんですけど、確かにラジオとかで流すところがないなと受け入れてたんですけど(笑)。でも、僕は小学校6年生までおねしょしてたんで。人よりもおねしょと付き合ってた時間が長い、おねしょのプロなんで、こっちは(笑)」
 
――“しっこ”ってちょっとかわいいからいいね。これが●んこだったら…夢の中で●んこしちゃったらイヤだもん。
 
(一同爆笑)
 
吉田「これは、さっき言ったことが僕の中であって、山田がいろんな曲を作っていく中で、この『しっこ』が引っ掛かってるだろうなぁ〜と思って。切り替えようと努力する人だから忘れようとはしてるんだけど。これを涌井くんとサウンド面でちゃんとテクニカルにオシャレにすれば、いいものになる確信があって。出すのに勇気のいる曲だけど、それをライブでやったときのお客さん、スタッフ、関係者の反応をちゃんと見て、自分が次に作るべき曲を見据えてほしいなと思ったし、絶対にこれは入れようって序盤で決めてましたね」
 
――この曲を入れる=絶対に何かハレーションが起きる=変化につながるもんね。
 
山田「僕はカッコいい曲だと思ってライブでも歌うんですけど会場が笑いに包まれて、“ちょっとちょっと~。ちゃんと歌ってよ、冗談はやめて”っていう雰囲気になって、1回止めたこともあるんですよ。“ちょっと待って! これ、アルバムに入ってるよ? 真剣に作ったよ? 即興で今歌ったわけじゃないよ?”って(笑)。“えぇ〜っ!?”ってお客さんは驚いてましたけど(笑)。このアルバムのほとんどの曲に言えるんですけど、“どういう反応になるかな?”って意識せずに作った部分が大きいので、ビックリしましたね。“笑ってるよ、みんな”と思って」
 
吉田「僕は予想通りでしたけどね(笑)」
 
 
伝えようと思えば思うほど薄まっていくものもある
 
 
――そんな中で『化粧』(M-8)はね、『しっこ』と並んでるとは思えない(笑)、すごい曲だなと思いました。これは誰にでも書ける詞じゃないなと。
 
山田「心の中をほじくり返す作業が今回は多くて、それが『変身』の始まりじゃないですけど、知らず知らずのうちにそういうところに手を伸ばしてたなぁって今考えると思うんです。この曲に関してはどこまで言おうかいつも迷うんですけど、僕のうちは片親で、女手1つで育ててもらったんです。お父さんが亡くなって何年かしたときにお母さんがベランダで夜空を見上げながら、“お母ちゃん、他の人を好きになってもいいかな?”って僕に言ったんですよ。そのときに僕は受け入れられなくて、“何言ってんの!?”って泣きじゃくって怒ったんです。その話をされてから“新しいお父さんが来るのかな?”って毎日想像してちょっと隠れて泣いてたぐらい、変化が怖かった。高校生とかになるとだんだんそういう気持ちも薄まって、普通にお母さんも自分の彼氏の話とかをして。だからうちが人とちょっと違うなって思うのは、おかんの母親としての部分も知ってるけど、女性としてのおかんをちゃんと感じてる。実際、母親は再婚してないんですけど、自分が大人になった今、“何で俺はあのときふざけんな!って言っちゃったんだろう? 僕がもし違う言葉を掛けてたら、僕というよりも母親の人生は変わってたかもな”って思うんですよ」
 
――うんうん。
 
山田「だからこの曲は、フィクションとノンフィクションの間の気持ちと場所を切り取った、過去の“後悔”と今の“願い”を込めた1曲なんです。ただ、この曲の歌詞を実家に何の気なしに置いてたらうちの母が勝手に見たみたいで、“お母ちゃん、こんなに悪いお母ちゃんじゃないよ!”ってメールが来ましたけど(笑)。“いやいや、実際とはまた違う部分もあるけど、当時僕が感じてたことだったの”って言ったんですけどね」
 
――前回のインタビューで山ちゃんは、『日々』も『街』も大事な核の部分はほぼ一緒と言っていて。“じゃあその核って何?”って聞いたとき、“ただのいい話じゃないんですよ。ちょっとヒリッとした愛情の核の部分。そこに人の儚さだったり、胸がギューッとなる大事なものがある”っていう話をしてくれて。この曲とかはもうまさにだなと。当時、山ちゃんに確認してくれたお母さんの気持ち、それを歌にする山ちゃんの気持ち。どっちにも愛があるから成立してる。ちゃんと山ちゃんの人生が見えるメッセージはすごいなと思いました。
 
吉田「僕はこの曲がすごく好きで、デモを聴きながらランニングしたりしてて。いい曲だから、反応はどうあれこれも絶対に形にするって、これもかなり早い段階で決めてました」
 
――この曲のレコーディング中にストリングスの方が泣いてしまって弾けなくなったエピソードもすごいよね。プロがそこまで感動してしまった音楽の力というか。でも、山ちゃんのブログを見てたら、山ちゃんの箸を箸置きに使うおかんってすっげぇなって思ったけど(笑)。この発想がもう、ないもん。
 
山田「そうですね(笑)。ぶっ飛んでるなぁとは思う」
 
吉田「でも、会ったことがある俺からしたら全然想像できる(笑)」
 
――あと、『針-弾き語り-』(M-12・通常盤ボーナストラック)は工藤静香さんへの提供曲ということで。
 
吉田「工藤さんとは同じレーベルで、周年のアルバムを出すと聞いて、眠っているデモの中に女性が歌った方が映えるような曲もあるからちょっと聴いてもらおうと思ったら、本当に選んでいただいて。僕らは結構ガッツリ恋愛の曲として作っていたんだけど、工藤さんは“私ぐらいの歳になると、これはもう恋人とかじゃないんだよね。だから泣ける”って仰って、“確かに!”って。ちょっと僕らとは違ったところを見てくれてて」
 
――今回の曲って自分をさらけ出したものも多いけど、今言ったみたいに恋人を描いたものが家族にも捉えられたり、それぞれの立場の人がそれぞれの取り方ができる余白がある。己を強く出したのにみんなに伝わる曲になってるのは、何だか嬉しいですね。
 
山田「あんまり伝えたい、伝わってほしいって考えなかったのに、それが深く届いてるのを実感すると、何だか不思議な感じがしますね。伝えようと思えば思うほど薄まっていくものもあるんだなぁって」
 
――2人の話を聞いてて、本当に思ってることでしか人は動かないんだなと思った。逆に言うと、“こいつ本気だな”って思うと人の心は動く。それが今回のアルバムを聴いて思うところでしたね。
 
 
どこかでまた会えるって思っちゃってる自分がイヤになった
“ありがとう”っていう言葉に逃げてる自分もイヤになった
 
 
――今までとはチームもテンションも違ったと思いますけど、それぞれ自分にとってどんな作品になったと?
 
吉田「今、話してて思ったのは、47都道府県ツアーを回ったときのモヤモヤを改めてまとめたとき、“ボーカル・山田義孝”っていう立場のデカさが、今の吉田山田のキーポイントだと思って。“もっと歌心を、もっとグッとくる感じで歌ってくれよ”ってずーっと言い続けてても、まぁできないですよね。それが何だか分からないんだもん。ボイトレに行けばできる話じゃないから。で、行き着いた先は、やっぱり歌って“生き方”なんですよ。だったら生き方を変えるしかないっていうところから、今回のアルバム制作のいろんなことにつながってる気がする。全ての作業が山田のボーカリストとしての歌力に向かってる気がしてますね。それは=山田だけが頑張ればいいっていう話じゃなくて、そこが吉田山田のキーポイントだからこそ僕も一緒に考えるわけで」
 
山田「まさにそれを自分でも思ってて。今後の吉田山田にいろんな道が開けるのも、僕の変化に結構掛かってるなって感じてますね。今回のアルバムは…“自分自身を歌う”っていうことが、後々考えるとテーマだったのかなって。歌詞で言えば、もっと上手い、美しい言い方が恐らくあるんですよ。けど、それを選ばなかった。もっと心の形に近い言葉を使いたいと思って、ヘンにいい形にしなかったのは大きいですね。あと、『化粧』ってどうやらヘンな転調をしてるらしいんです。ミュージシャンからすると“普通はこうはいかないよ。ちょっとヘンになっちゃうよ”っていう部分も含めて、“今の山田の心の中で自然ならそれを優先すべきだ”ってよっちゃん言ってくれる。ちゃんと心の形優先で作れたから、よかったなって思います」
 
――ホンマ、よっちゃんが女だったら嫁にもらうべきだね(笑)。
 
吉田「アハハハハ!(笑) そうっすね、意外と山田は旦那気質なんですよ。こう見えて僕、嫁っぽいんで(笑)」
 
――ツアーはアコースティックで前半戦を回って、後半はバンドということで。ツアーが終われば’17年も終わるみたいな感じですけど、現状報告も含めて何かありますか?
 
吉田「大前提としていつも、次の日に死んでも後悔しないライブをしようと思ってる。でも、僕は今回のツアーは“予感”だと思ってるので。こんなに顔が変わっていく、言葉が変わっていく、人が変わっていく姿って、本当に見応えのあるものだと思うから。それを観てほしいし、自分が変わりたいと思ったときの1つの参考にしてほしい」
 
――“吉田山田がこれだけ変われるんだったら、私も変われるかも”って思うかもしれないもんね。
 
山田「僕はライブで、“ありがとう”と“またね”っていう言葉をあんまり使いたくなくなってきてるんですよ。何か癖のように言っちゃうんですけど、“またね”って言ってまた会えることに慣れちゃうのを封じたとき…“ありがとう”って言わずに感謝を伝えたり、姿で観せたいって思うようになったかな。小学校のときって、“さよーなら!”ってみんなで言ってたじゃないですか。今“さよなら”って聞くとちょっと寂しいというか、ヒヤッとするんですよ。だけど、お別れってそういうもんだと思ってて。今よっちゃんが言ったことじゃないですけど、真剣に“これでさよならかもしれないな”ってちゃんと考えるようになりましたね。そしたらまた会えたときにめちゃくちゃ嬉しいし、どこかでまた会えるって思っちゃってる自分がイヤになった。“ありがとう”っていう言葉に逃げてる自分もイヤになった。それがまた変わっていく1つの道しるべになるのかもなって、今は思ってるんですよね」
 
 
Text by 奥“ボウイ”昌史



(2017年12月22日更新)


Check

Movie Comment

最高傑作をまさか更新するとは…(笑)
吉田山田からの動画コメント!

Release

変化への貪欲な意欲と覚悟を注入した
1年8ヵ月ぶりのニューアルバム!

Album
『変身』
発売中 2700円
ポニーキャニオン
PCCA-04589

<収録曲>
01. HENSHIN
02. 浮遊
03. 宝物
04. 街
05. YES!!! -Album ver.-
06. しっこ
07. ホントノキモチ
08. 化粧
09. Snowin'
10. RAIN
11. 守人
※ボーナストラック
12. 針 -弾き語り-

Profile

よしだ・やまだ…吉田結威(vo&g、写真左)、山田義孝(vo、同右)からなる男性2人組ポップユニット。’01年の高校3年生の夏、文化祭に向け前身となるアカペラグループ・ワンツーポパイを結成。高校卒業と同時に自然消滅。’03年、音楽への想いを再燃させた山田が声を掛け吉田が同意、2人の本名がそのまま使われたユニット・吉田山田が誕生。ニューヨークに1ヵ月間の武者修行を経て帰国後、本格的な音楽活動をスタートさせる。’09年10月にはシングル『ガムシャランナー』でメジャーデビュー。’13年12月にリリースされた9thシングル『日々』が、『NHKみんなのうた』で同月より放送が開始されるや“泣ける歌”と話題になり、5度の再放送を経てロングセールスを記録。一躍その名を拡げ、YouTubeの再生回数は1,100万回に到達。’16年3月には4thアルバム『47【ヨンナナ】』をリリース、同作を引っ提げた初の全国47都道府県ツアー、初の日比谷野外大音楽堂でのライブも成功を収め、その勢いのままデビュー7周年を記念した『Over The Rainbowツアー』へ突入。ライブペインティングや紗幕に映像を投影した演出など、毎公演異なる演出を行った。5月には12thシングル『街』をリリース。8月には3年連続の開催となる野外ライブ『吉田山田祭り2017』を開催。11月1日には5thアルバム『変身』をリリース。

吉田山田 オフィシャルサイト
http://yoshidayamada.com/

Live

アコースティック&バンドで巡った
大阪ツアーファイナルがついに開催!

 
『吉田山田ツアー2017』

~Acoustic Set~
【神奈川公演】
▼9月17日(日)横浜ベイホール
【北海道公演】
▼9月23日(土・祝)ペニーレーン24
【鳥取公演】
▼9月30日(土)米子laughs
【島根公演】
▼10月1日(日)松江canova
【静岡公演】
▼10月5日(木)Live House 浜松 窓枠
【兵庫公演】
▼10月7日(土)神戸VARIT.
【京都公演】
▼10月8日(日)KYOTO MUSE
【長野公演】
▼10月9日(月・祝)松本Sound Hall a.C
【香川公演】
▼10月14日(土)高松festhalle
【岡山公演】
▼10月15日(日)CRAZYMAMA KINGDOM
【岐阜公演】
▼10月21日(土)EVENT HALL club-G
【石川公演】
▼10月22日(日)金沢EIGHT HALL
【埼玉公演】
▼10月25日(水)HEAVEN'S ROCK
さいたま新都心 VJ-3
【福島公演】
▼10月28日(土)Hip Shot Japan
【新潟公演】
▼10月29日(日)NIIGATA LOTS


~Band Set~
【広島公演】
▼11月11日(土)広島クラブクアトロ
【福岡公演】
▼11月12日(日)ももちパレス 大ホール
【東京公演】
▼12月8日(金)東京国際フォーラム ホールC
【愛知公演】
▼12月9日(土)日本特殊陶業市民会館
ビレッジホール
【宮城公演】
▼12月17日(日)仙台Rensa

Pick Up!!

【大阪公演】

チケット発売中 Pコード104-386
※販売期間中は店頭、インターネットでの直接販売のみ。
▼12月24日(日)17:00
森ノ宮ピロティホール
全席指定5500円(当日引換券)
キョードーインフォメーション■0570(200)888
※小学生以上は有料。未就学児童は入場無料。但し、お席が必要な場合は有料。
※公演当日、開場時間から開演時間まで当日券窓口にて座席指定券と引換えいたします。お渡しするお席は先着順ではございません。予めご了承くだささい。

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Column1

「吉田山田が生まれ変わる…その
変化の象徴じゃないかな『街』は」
10周年に向け時計の針が動き出した
新たなる決意と覚悟の出発点
『街』インタビュー&動画コメント

Column2

「“吉田山田にとってライブとは?”
という質問に対して明確な答えを
1つ持てるようなツアーにしたい」
2つの個を刻む『47【ヨンナナ】』
携え初の全県ツアーへ!
吉田山田が変化と挑戦の季節を語る

Column3

「『日々』を経て出来てくる曲が
 今の吉田山田が歌うべきことを
 歌えてる確信があった」
ヒット中の『キミに会いたいな』に
過去最大のツアー…歩みを止めない
吉田山田の今に迫るインタビュー

Column4

『NHKみんなのうた』で泣ける歌
と話題の名曲『日々』が世代を越え
感動を呼んでいるのはこの2人!
2年ぶり渾身の3rdアルバム
『吉田山田』についてガチで語った
インタビュー&動画コメント

Column5

もがき続ける吉田山田が
“告白”のドキドキ感を描いた
『ごめん、やっぱ好きなんだ。』
インタビュー&動画コメント

Column6

劇的な変化と覚醒
恋愛観までぶっちゃける!(笑)
2ndアルバム『ココロノート』
インタビュー&動画コメント

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ライター奥“ボウイ”昌史さんからの
オススメコメントはコチラ!

「ぴあ関西版WEBってだいたい取材後に動画コメントを撮るんです。前回の『街』の動画が面白くて、あれを見ちゃうと今回はちょっと難しいかな~って内心思ってたんです。でもね、群抜きで超えてきましたよ彼ら(笑)。いや~笑った。よっちゃんの無茶ぶりを奇跡的に打ち返す山ちゃんのミラクルがホントすごい(笑)。上の方にある動画コメントも絶対チェックしてほしいですね。最新作『変身』は身をもって実験するような明確な変化への意識が感じられて、それが今までの音楽性と絶妙に共存。山ちゃんとは毎年フジロックで偶然会ったりするんですけど、そういう表面的には見えないバックボーンとか嗜好もこれからは利いてくるかも!? 歌詞に関してもより踏み込んだ内容で、『化粧』はホントに素晴らしい曲をここにきて書いてきたなと感心しました。そんな大好きな2人に、クリスマスイヴという微妙な日程のツアーファイナルで(笑)、再会できるのが楽しみです」