膨大なライブと激動の2011年を越えて
1年半ぶりの2ndアルバム『ココロノート』が完成!
いよいよポップシーンのド真ん中に切り込む
吉田山田の劇的な変化と覚醒を解剖するインタビュー
天真爛漫なパフォーマンスでオーディエンスを虜にする山田義孝(vo)。その山田を歌とギターで支え、ユニットの司令塔として冷静かつ情熱的な視野を兼ね備える吉田結威(vo&g)。そんな2人シンガーソングライターにより結成されたポップユニット・吉田山田が、3月7日に1年半ぶりとなる2ndアルバム『ココロノート』をリリースした。’09年のメジャーデビュー以来、多くのフリーライブを含む地道なライブ活動を軸に着々と人気と実力を蓄えてきた2人が、2011年に突きつけられた変化と自覚とは? 詞の世界観、サウンド面においても明確な飛躍を見せた最新アルバムにまつわる劇的なストーリーから2人の恋愛観にまで話が飛び火した(笑)、吉田山田の現在地を示すインタビュー。
吉田山田のナイスコンビネーション動画はコチラ!
――取材にあたって吉田山田のプロフィールを見ても、やっぱりここ1~2年はすごい数のライブをしてきて。アルバムのリリース自体も久々というのはあるんですけど、まずはそうやって駆け抜けた2011年を振り返って、自分たちにとってどんな年であったかを聞かせてもらいたいなと
山田(vo)「心の変化はやっぱりありましたね。どうしても震災の話になってしまうんですけど、ホントに生まれて初めてっていうぐらい、“自分は歌手なんだ”ということを意識した出来事で。こんなときだからこそどんなメッセージを発信するんだって、めちゃくちゃ見られてるような気がしたし、そういう使命感を自分にも感じたんですよ。で、今どういう言葉を送ればいいのかって、すごく考えたんですけど…言葉が出てこなかったんですよ。それが自分的にすっごいショックで。ライブも中止になるし、もうホントに悩んでたんですけど、そんなときに友達が“いつまでも元気にたくさん歌を歌ってね”って何気なく言ってくれたんですよ。それはホントに何気ない一言だったんですけど、いろいろどうなんだどうなんだって考えていた中に、スッと入ってきたんですよね。だから今、素直に浮かんでくる感情って“頑張れ”じゃないんですよね。“応援してる”でもなくて…“ありがとう”なんですよね。それから、ようやく曲を書けるようになったんですけど」
吉田(vo&g)「2012年一発目のシングルが『カケラ』なんですけど、今までとはやっぱり一味違ったものになったんじゃないかなと思っていて。と言うのも、今まではハッキリと“応援歌です!”と言って曲を届けてきたんですけど、2011年はもう既に頑張っている人が日本に溢れていたと思うんですよ。そういう人たちに対して、今必要なのは応援歌じゃないと思ったんです。今までの僕らの歌って、“こう描いて、こうなるからこうでしょ? だからこうなる”みたいに、聴いた人が一緒にイメージ出来る絵描き歌みたいなものだと思っていて。でも、もう既に頑張っている人に対してどうアプローチをするかを考えたとき、吉田山田が考えるひとつの答えは、完成された絵画みたいなものを展示しておく。後は皆さんが観たければ観たらいいし、どう感じ取るかは各々で決めて欲しい。ちゃんと空白は残してあるんで。2011年は心にいろんな影響を受けて、4thシングル『約束のマーチ』で何とか一歩踏み出すことが出来た。じゃあ2012年はどうやって歩き出すのかが問われる1枚目としては、『カケラ』はすごく決意のこもった5枚目のシングルになったんじゃないかな」
――なるほど。2011年の話からニューシングルの話にいく流れがもう完璧ですね(笑)。
(一同爆笑)
――吉田山田にとっても、今まで考えもしなかった、自分が歌手であること、作家であるとに対して、否が応にも向き合わざるを得ないというか、今までのままじゃもういられない。そういうことを突きつけられた1年ですよね。
吉田「すごくターニングポイントになった1年だと思います。僕から見ても、やっぱり山田はすごく変わったと思うんですよ。今まではホントに自分の好きなこと、楽しいこと、嬉しいことに興味を示して、それを突き詰めるタイプだったんですけど、例えばファンの方々は、僕らのブログとかライブで “吉田山田はどうすんの? こういうときにどう考えてんの?”って、見てるわけですよね。そこでただ楽しいだけじゃ、俺らには付いて来てくれないって、山田は自覚したんだと思うんですね。だから隣で見てても、それを2011年はすごく感じて。僕らのことを見て、“自分はどうしたらいんだろう?”っていう指針にしてくれてる人がいる。その使命感は今までにないものがありますね」
――相方からそう言われて、ご自身はどうですか?
山田「2011年までは、“押し出せ、押し出せ、ネガティブ押し出せ~!!”っていう感じでずっとやり続けてきたんですけど(笑)、今の心情的にはちょっと違う。“抱きしめ、抱きしめ、ネガティブ抱きしめ~! そして最後に押し出せ!!”っていう感じが、今はしっくりきてるなと。ホントに何をしても賛否両論があったじゃないですか? そんな中でふと、ネガティブなことの中にもすごく大事なことは詰まってるぞと。それは真実だし、だからそれを1回受け入れて、ちゃんと自分のフィルターを通してから、最後は音楽に押し出してもらおうって。今までと変わらないこともたくさんあるんですけど、比重的にそういう方向に心が向いてますね」
――そういった自分たちの変化があって、明らかに意識の異なる作品が出来たと思うんですけど、まず先行シングルの『カケラ』が生まれたのには、具体的にどういった流れがあったんですか?
吉田「コレ、一番最初のきっかけは、山田の恋愛を見ててすごく不思議に思ったんですよ。僕と恋愛の仕方が全く違うので。山田は完全に一目惚れをして猪突猛進、もうそれしか見えなくなっちゃうタイプなんですよ」
――アハハハハ(笑)。じゃあいつも自分から好きになって、自分からいく。
山田「そうですね(笑)」
吉田「どこからどう見ても合わなそうな人を好きになって、“よっちゃんどうしよう!?”って言ってくるんで(笑)」
山田「ハイ(笑)。よく恋愛相談しますね、よっちゃんに」
吉田「やっぱりどうしても合わない部分、譲れない部分があるじゃないですか? でもそれは譲らない方がいいし、でも、そのままだと傷つけ合っちゃう。それでも一緒にいたい…そういう様が愛おしいというか、すごくステキだな、人間だなって。それが歌詞の“哀しくて 愛しくて”っていう言葉につながってるんですけど。そしたらなんとこの“愛しい”って、どうやら“かなしい”とも読めるらしいんですよ。僕が感じてたことって、どうしようもない哀しさがあるから、愛おしいんだなって。そこからイメージを膨らまして、ひとつになんかなれなくても、恋から愛に変わっていく瞬間の歌を作ろうと思ったんです。なのできっかけは、山田の恋愛観があまりにも僕と違いすぎて驚いたところからですね(笑)」
――じゃあ、吉田さんはどういう恋愛観なんですか?
吉田「僕、あんまり恋愛に興味がないんですよ。ほっといたらず~っと彼女がいなくて結婚もしないタイプ。なぜなら僕は、どんな状況であろうと音楽をやれていて、大好きな相方と大好きなスタッフに囲まれて、忙しくても毎日動いていられることでめちゃくちゃ満足してるんです。学生の頃からそうなんですよ。みんなが彼女が出来たとかワイワイ言ってるときに、バンドを組んで、きったない軽音楽室で、汗かきながらギターを弾いてるその時間が楽しくて。だから、女の子と遊びたいっていうところにあんまり思考がいかないんですよ。山田みたいに、出会って“はぅっ、好きぃぃぃ!!”みたいなのは…(笑)」
山田「恋愛にあんま興味ないって言ってますけど、よっちゃんは割と理論派なんです。自分の中でちゃんと整理して、こうだからこう、だから好きってなるんですけど、僕の場合はもう感情(笑)」
――そうですね。完全に直感派だもんね。
吉田「もうだいぶ僕たちのことが分かってらっしゃる(笑)」
山田「そんな感じです(笑)」
――だから、一瞬で好きになるっていう行為が、まず理解出来ないってことね。
吉田「多分、山田の感覚が敏感だと思うんですよ。ただ単純に顔がカワイイとかだけじゃなくて、その人の持ってる雰囲気を感じ取れる。でも逆に僕は、“私、あなたのことが好きです”とか言われると、いきなりめちゃくちゃ意識しちゃうんですよ」
山田「それはそれで単純ですけどね(笑)」
吉田「ガードが固そうで全然ヤワヤワなんですよ僕(笑)」
――吉田くん、告ったら案外イケたわって(笑)。
吉田「すごい気になっちゃうんですよ。“俺のこと好きなんだ…”って。だいたいそれで付き合っちゃうんですけど」
――断らないんだ(笑)。
自分の心の削れた部分…その傷1つ1つにいろんな思い出があるように
削れた形自体がいろんな人と関わった証なんです
――その先行シングル『カケラ』のタイトルはどこからきたんですか?
山田「さっきの話とつながってくるんですけど、決してひとつになることはない、形の違うそれぞれのいびつな心のことを“カケラ”と歌ってるんです。僕は、人生は積み上がっていくものだって言いますけど、心はすり減っていくものなんじゃないかと思ってて。最初にあった形から、いろんな人と出会っていく中で、ぶつかったり寄り添ったりして、ちょっとずつ欠けていく。でも、どんなに形になっても、それは絶対にぴったりは合わないんです。その間を埋めていくものは何なのか? 例えばそれが“愛”だったり“諦め”だったり、人によってそれぞれ違うと思うんですけど。自分の心の削れた部分…僕の心にも幾つか傷があるんですけど、その傷1つ1つにいろんな思い出があるように、その削れた形自体がいろんな人と関わった証なんです。人間は極論言えばひとりなんだけど、誰かを感じる、誰かの世界の一部なんだっていう想いがありますね」
――分かりやすく背中を押してくれる応援歌が力強いときもあるけど、人は元来ひとりで孤独ということすら前向きに捉えるような目線は、同じ人の背中を押す歌でも、今までとは温度が違う曲ですよね。
山田「そうですね。でも、今までとは詞の世界観が少し違うので、歌入れのときは難しかったなって。自分のイメージを歌に乗せたいのに丸1日かけても全然出来なくて。ちょっと泣いちゃいましたね、僕(笑)」
吉田「ホンットに(笑)。泣くと鼻声になって歌えないから泣くなって言ってんのに。山田はよく泣くんですけど、レコーディングでそこまでだったのは初めてだったんで。でも、僕はそのとき“早くやんないとマズイよ”っていう思いが20%、あとの80%は嬉しかったんです。それが“自覚”だと思うんですよ。ただ上手く歌うだけなら歌えてたけど、そうじゃなくて、自分にもっと高いハードルを課して、それにつまずいて泣いているっていうことなので。それは成長の証だと思って嬉しかったんですけど」
――そう考えたらすごく重要な1枚が年明け早々にリリースされてね。あと、今回の特別企画で、PVの関西バージョンを作ったのも面白いですよね。
吉田「そうなんですよ。去年の9月のワンマンツアーで初めて大阪でワンマンをやらせて頂いたときの、あの盛り上がりがすごかったんで。じゃあ関西のみんなと楽しいことをやってみようっていう気持ちで」
――2ndアルバムのタイトル『ココロノート』にちなんで、スケッチブックに大切な人、大切にしているモノ、大事にしている事(=みんなの“ココロのオト”)を書いてもらうという企画で。コレ、自分だったら何て書くんですか?
吉田「多分コレはね、もう以心伝心で、ね」
山田「せーので言っても多分、当たりますよ。いきますよ。せーの!」
吉田「山田!」 山田「ジャッキー・チェン!」
(一同爆笑)
――完全にネタやん!(笑) ここでジャッキー・チェンじゃないやろ~(笑)。
山田「大好きなんです(笑)」
――好きなんや(笑)。
山田「困ったときに映画を観て、自分を奮い立たせる。単純なんで僕(笑)」
――まぁでもこういう機会を与えられないと、“自分にとって大切なモノ”って改めて考えないですよね。
山田「そうですね~、確かに」
吉田「でも僕は、ホントに山田だと思います。うちの母親に会うともう1日1回は必ず、“何をしててもいいけど、大切なモノを、ちゃんと大切にしなさいよ”って言われるんです。だから、大切なモノって何だろうって?って考えてみたんですよ。例えば、すごく大きな会場で歌いたいし、もっとたくさんの人に僕らの曲を聴いて欲しいし、それで稼いだお金でもっと面白いことをたくさんしたい…っていう夢もあるんですけど、その全ての基礎にあるのは、仕事相手としてじゃなくて、やっぱり1人の人間として、山田のことを見る、大切にすることだなって。それをないがしろにしてどんなにいい曲を、売れる曲を作っても、楽しくないのは唯一分かっている大切なことではあります」
――うわ~めっちゃいいこと言いますね。それにめっちゃええオカンや。
吉田「そうなんですよ(笑)」
――でもね、一方はジャッキー・チェンという(笑)。
山田「いやいや、僕もよっちゃんが…」
吉田「何でなん? 何でなん?」
山田「優しいし、いつもよっちゃん家行ったら、うどんとか作ってくれるし…」
――彼女か!(笑)
吉田「アハハハハ!(笑)」
山田「もちろんよっちゃんっていうのはあるんですけど、1つあるのは“ホントの気持ち”ですね。僕はネガティブなことを口に出すのは苦手なので、ときどき嫌な感情とかも湧いてきたりするんですけど、自分の中で“そんなことはないはずだ”って言い聞かせてる部分があるんです。でも、それもちゃんと受け入れて“俺は確かに今こんなことを感じてるんだ”って、時には叫ぶ覚悟も歌い手としては必要かなと」
吉田「ちょっと! 山田が“歌い手としては”って言い始めたよ。コレはすごいことだよ!」
山田「こんなことを言う日が来るとは…多分初めて言ったと思います」
吉田「僕、今ちょっと感動しました」
――これがまさに“自覚”ですよね。
どんな冒険をしても、この2人が一緒に歌ったら吉田山田になる
――『カケラ』を作り終えた途端に、アルバム『ココロノート』の作業に入ったそうですが、スケジュール的にもハードだったと思いますけど山田さん、泣きました? 泣かずに済みました?
山田「え~…チョイ泣きです(笑)」
(一同爆笑)
――前作から1年半ぶりのアルバムということですけど、今まで話したような自分たちの変化の中で、どういった作品を作ろうかっていう画は、2人の中であったんですか?
山田「コンセプトは全然ないんですよね。僕らの心に生まれたものをそのまま出した感じなので。並べたときの統一感はあんまりないなって思いましたね。でも1曲1曲、ネガティブもポジティブも全部さらけ出していったので。だからすごい彩(いろどり)のあるアルバムになりました。今までだったらある程度枠組を作ってスタートするんですけど、今回はもう出たものを出すと」
吉田「最近思うのが、ファンの人たちってやっぱり僕らにとってはすごく大事で、いろんな刺激をくれる存在で。去年の9月のワンマンツアーの頃は一緒に楽しんでひとつになろうっていうのが、ひとつの通過点、集大成としてはすごく良かったんですけど、今の僕らの気持ちとしては、さっきも言ったように背中を見せていきたいって、すごく思ってるんです。歌って直接会えなくてもいつでも傍にいてあげられるじゃないですか? そういう気持ちがすごく強くなって、そのワンマンツアー以降、ライブで歌を歌っていても、今の自分たちの言葉をちゃんと表せてないって物足りなさを感じるようになったんですよ」
――今までの曲だとね、うん。
吉田「それだったら、胸張って、今の自分たちの心の声を歌えるようにしようって。自然とアルバムには書き下ろしの新曲がかなり入ってますね」
――さっきの『カケラ』にも通じる変化が、アルバム全体にもやっぱり沁み渡ってますよね。
山田「曲調も今までの吉田山田にはないものがたくさん出来たんで、最初は不安もあったんですよ。でも、最後に全体を通して聴いたとき、“吉田と山田が歌ってたら、やっぱり吉田山田なんだ”っていう安心感がありましたね。どんな冒険をしても、この2人が一緒に歌ったら吉田山田になる。そういう発見もありましたね」
――僕も今作を聴いて、やっぱりすごく変化を感じました。今までは、分かりやすいポジティブさみたいな印象があったんですけど、それだけではない『天使と悪魔』(M-6)みたいなダークな部分、単なる恋愛の応援歌では終わらない、言わば自分に向けた『ラブレター』(M-2)とか、吉田山田の今までの分かりやすい世界観とは違う横顔を見せてくれた感じはします。
吉田「ホントに今伝えたいこと、それは『ラブレター』のような自問自答だったり、『天使と悪魔』のような良いも悪いもない複雑な感情だったり…ホントに今の素直な気持ちですね」
――それこそこの2曲はアレンジも今までにはない世界観ですけど、挑戦してみてどうでしたか?
山田「“や~りぃ~!”っていう感じでしたね」
吉田「軽っ!(笑)」
山田「そういう音との新しい出会いも、これからどんどんしていきたいですね。“こんな一面を引き出してもらえた”っていうのは単純に楽しい。自分たちの新しい面が見えて」
――王道の吉田山田節を作るアレンジャーと、新しい引き出しを見出してくれる別のアレンジャーも動いていたと。
吉田「その方々も今までの僕らの曲も聴いてくれてるので、イケると思う算段の元アレンジして頂けるので、“そういう風に見えるんですね~”って気付かされたり。それって結構、世論というかファンの人たちの心情にも通ずる部分があるんじゃないかな。アリだと思ってもらえたら嬉しいな」
山田「ホントに全曲違う人格っていうぐらいの勢いですね」
吉田「でも、曲順はパッと決まったんですよ。1枚目はものすごく悩んだんですけど、2枚目はもうパズルのように」
――こういう言い方が合ってるか分からないんですけど、今までは王道のJ-POPではあるんですけど、割と決め打ちの世界観があって。デビュー当初という意味では、アーティストのイメージ付けとして必要なことだとは思うんですけど、今作は聴いていてカラフルなうえ、2年半メジャーで活動してきたところで、その王道のJ-POP感というか、ポップソングとしての完成度がすごく高くなってる。それは自分たちで感じます?
吉田「やっぱり自分たちがJ-POP畑で歌っているのもありますし、まずJ-POP自体が好きなので。ただ、自分たちが好きなものを好きなだけやるのが音楽だとはあんまり思ってないんですよ。小っちゃい子からおじいちゃんおばあちゃんまでが安心して観られて、かつ愛される音楽を作りたいのが大前提なので。それは常に考えていることではありますね。僕らが歌を歌う基礎になってる部分なんで」
山田「同じ想いですね。今だに僕が歩きながら口ずさむのは、夜道で怖いときに無意識で口ずさんじゃうのは(笑)、CMソングが多いんで。そういうときにポロッと出てくるような、傍にいられる音楽であることは意識してます」
吉田「それと去年すごく感じたのが、ホントに哀しいことがあったときに、聴きたい音楽がなかったんですよ。コレだけ音楽が好きな僕が聴きたい音楽がなかった。そのときに、どんな哀しい気持ちのときでも、聴きたいと思える歌を歌おうって。それは2人の中ではすごい決意でしたね。元気なときに聴きたい音楽はたくさんあるけど、元気がない、ホントに寂しいときに聴きたくなるような音楽を作りたいっていう想いは、確信に変わりましたね」
――それがある種の、吉田山田の今後の活動のテーマかもしれないですね。このアルバム『ココロノート』が出来上がったときには、自分たちの中での今までとは違う手応えもあったんじゃないですか?
山田「そうですね。あと発見がありましたね。まだまだもっともっとイケる。1枚目は名刺代わりだったんですけど、2枚目ではもっともっとはみ出そうと。アルバムのジャケットにもそれは出てるので」
吉田「ちょっと飛び抜けたというか、やってもうたなって(笑)」
山田「スタイリッシュな感じでね(笑)」
――すげぇな~この梅干の質感すげぇな~(笑)。
吉田山田「アハハハハ!(笑)」
――今までのいい話からはちょっと違う角度で切り込んできましたね、コレは(笑)。
山田「それも含めて吉田山田だな~と。真面目なことも歌うけど、遊び心がないとね」
――山田さんは、梅干かぶってすら何の違和感もないですね(笑)。
山田「言われました(笑)。もうすぐ馴染んだなって」
吉田「僕は“吉田さんもっとアゴ出してください。顔見えないですよ~”って何回も言われて(笑)」
――でもこのジャケットが『ココロノート』とどうつながってるの?っていう一抹の不安がありますけど。
吉田「それはこれからアホほど聞かれる質問だと思うんですけど、つながってるようでつながってない(笑)」
(一同爆笑)
山田「今んとこ感覚で進んでますから(笑)」
――そもそも『ココロノート』っていうタイトルは、どこからきたんですか?
山田「今の僕らの心から出るモノを書き記したノート=ココロのノートです。ノートは英語で“音”って意味もあるじゃないですか」
――なるほど!
山田「“言葉”と“音”を形にしたものですね」
――つじつま合ってますなぁ素晴らしい。ジャケットはさておき(笑)。このアルバムが出た後にライブも控えてますが、また新しい刺激を受けそうな予感がしますよね。
吉田「今年はもっと多くの箇所で、たくさんの人と一緒に楽しめる場所に行きたい。そのためにやれることって、ひとつひとつ小さなことを大事にこなしていくことしかないと思うんですよ。それが今年の目標なんです。2012年が終わったとき、結果はどうあれ“お前、今年は人生で一番頑張った1年だよ”って自分を褒めてあげられるように」
山田「やっぱり言うと叶うんですよね。僕は嘉門達夫さんが大好きなんですけど、それも言い続けてたら叶ったんで。ラジオ番組に出させて頂いたり、ライブを観に行かせて頂いて。今やメル友です(笑)」
吉田「じゃあ僕は長澤まさみさんと、あと新垣結衣さんに…」
山田「欲張っちゃいけない、欲張っちゃいけない」
吉田「あと今だったら桐谷美玲さんがすごい好きです」
――あれ? あんまり恋愛に興味ないって言ってたけど…。
(一同爆笑)
――関西では3月26日(月)に心斎橋JANUSでアルバム購入者を招待しちゃう太っ腹なワンマン企画があって。5月にも『カケラ』&『ココロノート』W購入者対象にイベントご招待があったり、これからアルバムの楽曲を披露する出会いの場も多いですよね。
吉田「去年一昨年とあれだけライブしても、やればやるほど次の課題が見えるしそれが面白い。やっぱり『ココロノート』も頑張って作っただけ、次の光が見えるんですよ。だから続けられるんです。今年1年が『カケラ』から始まり、『ココロノート』が出て、自分たちの中でもどんどん広がりを見せられるような気がして。すごく楽しみです」
――なるほど。それでは次のライブで会える日を楽しみにしてますよ。本日はありがとうございました!
吉田山田「ありがとうございました~!」
Text by 奥“ボウイ”昌史
(2012年3月23日更新)
Check