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2/29 at umeda AKASO、音楽がもたらした幾つもの幸福な瞬間
AL(小山田壮平×長澤知之×藤原寛×後藤大樹)の
大阪初バンドライブを独占プレイバックレポート!

 シンガーソングライターの小山田壮平(vo&g・ex.andymori)と長澤知之(vo&g)によるプライベート・プロジェクトとして、数年前より断続的に活動していたAL(アル)が、藤原寛(b)、後藤大樹(ds)というandymoriのオリジナルメンバーを迎えたまさかの編成で、シーンに大いなる衝撃と歓喜を与えた昨年7月30日@新代田FEVERよりバンドとして正式始動。自らのレーベルRevival Recordsを発足し、1stアルバム『心の中の色紙』を完成させた彼らが、遂に関西のオーディエンスの前に姿を現した! AL=“在る”であり“アル(中国語で2の意)”が、2人で音を奏でる歓びから、4人で心躍らせる愉しみへ。東阪のみで行われたスペシャル・プレライブ大阪編、2月29日@umeda AKASOでの伝説の一夜を、遂にスタートしたリリースツアーに合わせお届けするこのプレイバックレポート。切に願う、共振する無垢な音楽家がぶつかり合って作り上げたALというきらめきが、一秒でも長く続くことを――。

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 かつて長澤知之と『誰より愛をこめて』(‘13)でコラボレーションを果たした盟友、京都発のインストバンドNabowaの極太グルーヴがしっかり会場を揺らした後は、遂に真打ちALの登場。満員御礼ソールドアウトのAKASOのオーディエンスがその瞬間を今か今かと待ち侘びる中、照明がゆっくりと落とされ、ステージに1人また1人と現れるメンバーを大きな拍手でお出迎え。「こんばんはALです!」(小山田)と挨拶の後、まずは『HAPPY BIRTHDAY』からライブはスタート! 小山田⇔長澤と目まぐるしくスイッチするボーカルと、そのボトムを支える藤原×後藤のリズム隊が、うねりを上げて突き進んでいく。続く『風のない明日』でも、それぞれの色を持ちながら寄り添い刺激し合う2人の天才を擁する贅沢過ぎる光景に、思わず笑みがこぼれてしまう。
 

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 星空のような光と静寂のアルペジオをぶち破るフラッシュライトと轟音に、心地よく翻弄される『シャッター』、後藤の緩急の効いたドラミングが誘うメロウでノスタルジックなミドルチューン『ランタナ』と披露していく中、稀有な才能を宿したボーカリストでありギタリストが、同じステージに並んで立っているという音楽の神様に感謝しかない嬉しい事実を、少しずつ自分のものにしていくように見つめるオーディエンス。
 

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 「どもどもALです。“テンアゲ”です。テンアゲとは“テンションがアガっている”という意味ですね(笑)」と嬉しそうに語る小山田に、「ギャル語だね(笑)」と相槌を入れる長澤。かと思えば、「前の方の人たちは後ろ(のバーカウンター)に行かないと飲めないよね?」と気遣う長澤に、「バーカンに近い人は飲んでいただいて、前の方の人たちは飲んだような感じで(盛り上がって)(笑)」と返す小山田と、独特のノリが垣間見られるMCは、2人の部屋から始まったALという物語のはじまりすら思い浮かぶような、グッドヴァイブな光景。

 

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 続く『あのウミネコ』では、小山田×長澤のボーカルの掛け合いに加え藤原と後藤のコーラスも機能し、ドラマティックな世界観をより鮮やかに彩っていく。ここで早くもアルバム未収録曲の『リンリンリン』を披露するなど、長澤のアコースティックギターと小山田の鳴らす鈴の音がノスタルジーへと誘う同曲は、まだまだ我々の想像以上にこのバンドの奥行が広大であることを感じさせる。
 

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 アルバムの冒頭を飾る『北極大陸』では後藤がカホンにスイッチし、アコースティックながら性急なビートで先導したかと思えば、荒ぶる衝動をぶちまけたようなパンキッシュでファニーな『Mt. ABURA BLUES』では、会場から大きな歓声が上がる。彼らの持つ“らしさ”とポピュラリティが優しく響く『さよならジージョ』では、天に駆け上がっていくようなボーカリゼーションで魅せ、またも未収録曲の『ワレモノ』へ。同曲のように、4ピースとなったことでギターを置きボーカリストに徹する場面が頻繁に観られるのも、何だか新鮮に映るシーンだ。
 

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 ここで、メンバー紹介のリレーで“知ちん”や“壮太郎”と呼び合う姿に和みつつ(笑)、長澤の持つフォーキーな部分が色濃く出た『15の夏』では、長澤の歌声とギターに小山田のハーモニカが優しく重なり合っていく…。
 

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 そして、長澤のハイトーンボイスと藤原&後藤の低音コーラスのカーテンをかき分けるように、小山田が弾き語り始まった『メアリージェーン』は、まるで映画のような詞世界を切々と歌い上げる、美しさと儚さが代わる代わるに顔を出すエモーショナルな名曲。さらに、力強いリズム隊がそのドラマを増幅させていく様は、何とも感動的で神々しい。こんな曲、絶対にALにしか作れない!


alreport_four.jpg そんな音楽の奇跡をこれでもかと見せつける珠玉のナンバーを経て、スケールの大きなビートに背中を押されるアルバムのタイトル曲『心の中の色紙』は、そこにいる4人が、紛れもなく“バンド”であることを証明するかのような、不思議な空気をまとった1曲だ。そして、いよいよライブも終盤に。
 
「あっという間でしたけど」(長澤)
「次で最後の曲です」(小山田)
「寛、ひと言も喋ってない」(長澤)
「俺は今日、壮平の末端神経症が心配でさ」(藤原)
「末端“冷え性”ね。そんなヤバいやつじゃない(笑)」(小山田)
「大樹は?」(長澤)
「…」(後藤)
「大樹はナシと(笑)」(小山田)
 
 なんてやりとりは、まるで彼らのリハーサルスタジオを覗かせてもらっているようなアットホームさ(笑)。名残を惜しむオーディエンスの声に後ろ髪を引かれながらも、ラストはまたもアルバム未収録曲で、サビのリフレインが耳に残る『会いにいくよ』でエンディングへ――。
 

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 当然のごとく鳴り止まない拍手に応え、ステージに再度登場する4人。小山田がアカペラで歌い上げた冒頭から一気に掴まれた『ハートの破り方』では、後藤がピアノを奏で、最後にはメンバー全員の生命力溢れるコーラスに包み込まれる絶景…! これには会場もグッと引き込まれる。
 

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 そして、「ありがとうございました、愛してるよ」(長澤)と最後に贈られたのは、『花束』。一丸となって歌で、音で、想いを告げる1曲をAKASOのステージに残したAL。4月のリリースツアーで、このバンドがまたどう化けるのか!? 未知なる可能性と大いなる予感を提示した4人のかけがえのないステージだった。
 
 
Text by 奥“ボウイ”昌史
Photo by 河上良(bit Direction lab.)

 




(2016年4月18日更新)


Check

Set List

『MEET THE WORLD BEAT 2011』
 以来にしてバンド初の大阪ライブ!

 
『AL×Nabowa LIVE』
2月29日(月) at umeda AKASO

01. HAPPY BIRTDAY
02. 風のない明日
03. シャッター
04. ランタナ
05. あのウミネコ
06. リンリンリン(新曲)
07. 北極大陸
08. Mt. ABURA BLUES
09. さよならジージョ
10. ワレモノ(新曲)
11. 15の夏
12. メアリージェーン
13. 心の中の色紙
14. 会いにいくよ(新曲)
ENCORE
15. ハートの破り方
16. 花束

Release

瑞々しい才能と絆が生んだまばゆき1枚
遂に届いた驚異の1stアルバム!

Album
『心の中の色紙』
発売中 2700円
Revival Records
COCP-39436

<収録曲>
01. 北極大陸
02. HAPPY BIRTHDAY
03. シャッター
04. メアリージェーン
05. 風のない明日
06. 15の夏
07. あのウミネコ
08. ハートの破り方
09. 心の中の色紙
10. ランタナ
11. Mt. ABURA BLUES
12. さよならジージョ
13. 花束

AL オフィシャルサイト

Live

チケットは完売続出で福岡も残り僅か
初めてのリリースツアーが遂に開幕!

 
『AL 1st Tour 2016』

【愛知公演】
Thank you, Sold Out!!
▼4月18日(月)19:00
名古屋クラブクアトロ
スタンディング4320円
ジェイルハウス■052(936)6041
※未就学児童は入場不可。



【福岡公演】
チケット発売中 Pコード289-283
▼4月20日(水)19:00
DRUM LOGOS
オールスタンディング4320円
キョードー西日本■092(714)0159
※未就学児童入場不可。

チケットの購入はコチラ!
チケット情報はこちら

 

Pick Up!!

【大阪公演】

Thank you, Sold Out!!
▼4月25日(月)19:00
BIGCAT
オールスタンディング4320円
GREENS■06(6882)1224
※未就学児童は入場不可。

 
【東京公演】
Thank you, Sold Out!!
▼5月6日(金)19:00
赤坂BLITZ
1Fスタンディング4320円
2F指定4320円
2Fスタンディング4320円
ソーゴー東京■03(3405)9999
※未就学児童は入場不可。

 

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