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より広く、より深く侵食していく長澤知之という新ジャンル
驚異の2ndアルバム『黄金の在処』徹底解剖【後編】
いよいよツアー後半戦へ突入! 自由に音楽で遊ぶ愛すべき
奇才の現在に迫る撮り下ろしインタビュー&動画コメント (1/2)

 赤い公園の津野米咲(g)が参加し異次元の恋を歌ったラブソング『そのキスひとつで』、ボカロPれるりりとの異色の試みで、度肝を抜く神の声を聴かせるエレクトロニカ『フラッシュバック瞬き』をはじめ、多くのプレイヤー/アーティストたちが長澤知之という才能の元に集結した2年ぶりの2ndアルバム『黄金の在処』。より広く、より深く侵食していく長澤知之という新ジャンルの世界観を存分に味わえる今作のリリースに伴い、前後編フルボリュームで贈るスペシャルな撮り下ろしインタビュー【前編】では、アルバムより先行配信された『誰より愛を込めて』、そして『VACANCES』で蜜月の関係を結んだ、京都発の実力派インストバンドNabowaとの合同インタビューを実施。制作時の5人の光景が浮かんでくるような、常に笑いが耐えないインタビューを先行してお届けしたが、今回の【後編】では、変わりゆく自分を自覚しながらも、新たな出会いと経験をクリエイティブにコンバートした長澤知之の単独インタビューを掲載。ツアー後半戦の開幕を前に、いつになくリラックスした表情で自由に音楽で遊ぶ、愛すべき奇才の現在を改めて感じて欲しい。

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素敵に音楽で遊べるっていうテーマの方が、魅力的に感じたんですよ
 
 
――【前編】はNabowaとの合同インタビューやったけど、【後編】は長澤くん単独で2ndアルバム『黄金の在処』について改めて聞いていきたいなと。今作の制作期間に、ダウナーな時期が2ヵ月ぐらいあったみたいやね。
 
「制作と私生活と、何かいろいろ重なっちゃって疲れちゃったっていう…それでまぁ、結構飲んじゃって(笑)」
 
――アハハハハ!(笑) まぁでも気持ちを軽くするための1つの手段よね。
 
「そう。それであんまり良くない状態になっちゃって。お酒の飲み方によっては落ちるときがあるじゃないですか」
 
――そっかそっか。ちょっと気持ちを楽にしようと飲んだ酒が、地獄への…(笑)。
 
「アハハハ!(笑) 最初はやる気もアイディアもたくさんあったんで、これはいい予兆だと思ってたんですけどね」
 
――ちなみにそのアイディアっていうのは?
 
「例えば、歌詞カードが1ページ1ページ絵本になってるというか、『SEVEN』(‘12)のジャケのような絵を13曲なら13枚描いて、それぞれが1編の小説になってるようなものを作ろうかなぁとも思ってたんですよ。でも結局は、元々考えてた『SEVEN』からの流れを汲み取って、自分を素直に出していく今の形に戻して」
 
――最初は割とコンセプチュアルなアルバムも想定してたんやね。結局、自分を素直に出して行く方向にしたのは?
 
「でもまぁそのアイディアに縛られるのもよく考えたらヤだなって。素敵に音楽で遊べるっていうテーマの方が、魅力的に感じたんですよ。何か聴く人の立場に立ってないような感じがして」
 
――今の長澤くん的には、もっと自分が自由に音楽を楽しんだり、聴いてくれる人がどう思うかも、創作上のヒントだったり原動力になるんやね。その起点となったのが、『SEVEN』にも収録されていた『あんまり素敵じゃない世界』(M-10)で、COILの佐藤さんにギターソロを委ねたところにもあったと。
 
「普段弾いてる楽器を自分以外の人に弾いてもらうっていうのは、あまり体験したことのないことだったので。歌詞で“君と虹を刻む”って言ってんだからって何となく弾いてもらったら、すごくいいものが出来て。何て言うんだろうな…堤防が壊れて、ドダドダと流れるものがありました。やっぱり音楽的にも人間的にも信頼を置ける、長年一緒にやれてる人だからこそ、そういうことに繋がったんだろうなって」
 
――いろんな人とプレイ出来るのは、ソロの特権でもあるもんね。
 
「ホントにその通りですね。バンドに対して憧れはあるけれど、知り合いのバンドにドラマーがワガママになって辞めちゃったとか、お金に困って逃げたとか、そういう内情をいろいろ聞いてると、あぁ1人でよかったなぁって思うときもある(笑)。自分が“この人に”っていう人に叩いてもらえたり弾いてもらえたりするのは、ソロでよかったなぁと思える瞬間ですね」

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やっぱり僕はそういう懐の深さを持ち合わせていない(笑)
 
 
――1stアルバム『JUNKLIFE』は、顔の見える付き合いの長いチームで作る部分も多かったけど、今回みたいに自分の曲をいろんな人に委ねてみてどう?
 
「すごくおもしろかったし、それぞれが全く違う個性を持ってて。だからこそ、切り替えをガチっとしていかないと、ちょっとカオスになっちゃうから…すごく楽しかったけど、疲れましたね(笑)」
 
――【前編の】Nabowaとのインタビューのときも、何やかんや言うてNabowaをもてなそうとしてたもんね。
 
「だってゲストだもの(笑)。音楽で楽しむっていうテーマがあるから、チェッて言って帰られたら、もうテーマが崩れちゃうので(笑)」
 
――“今回のアルバムは参加ミュージシャンが豪華ですね”、で終わってもね。
 
「意味がない。それだとアルバムの芯がなくなっちゃう。もてなすことが出来て、なおかついい曲を提供したねっていう風になれたら、何よりだと思いますね」
 
――やっぱり今までは長澤くんがもてなされる側というか、“長澤くんはこういうヤツだから何とかしなきゃ”みたいに、周りが理解して動いてくれるイメージ。
 
「そう。だから自立への第一歩(笑)」
 
――アハハハハ!(笑) もてなし、受け入れると。かと言って、ハンパなことはしたくない。
 
「ホントにそれはそうですね。それによって何かが崩れるようなことはしたくないので。そこはすごく気を使った」
 
――1人のアーティストとしてアルバムを完成させるだけじゃない。今作ではいわゆるプロデューサー目線も同時にあるなと。さっきも話に出ましたが、Nabowaとやった『誰より愛を込めて』(M-5)を最初に録ったのが、今回のアルバムを作る上でも重要だったと。
 
「重要でしたね。あのお陰で世界が開いたし、何かいい意味で“ケセラセラ”だったんですよね。『あんまり素敵じゃない世界』できっかけが出来て、Nabowaがそれをボンッと開かせて。制作も詰まるときには詰まったけれども、それこそ音楽のリズムのように、トーントトット、トーントトット、トーン、出来・まし・たっていう感じ(笑)。Nabowaはすごくいいバンド。彼らはホントにセンスが素敵」
 
――ねぇ。Nabowaの悪口聞いたことないもん(笑)。
 
「アハハ!(笑) じゃあどっかから探そうかな、つぶやきで(笑)」
 
――そういう意味では、気持ちいい音を鳴らしてる人が集まってくれてる気がします。
 
「そうですね。で、今のもてなすもてなさないの話をしてる中でつくづく思ったのが、やっぱり僕はそういう懐の深さを持ち合わせていない(笑)。かなり背伸びしてつま先立ちしないと難しいなって実感しましたね(笑)」
 
――アハハハハ!(笑)
 
「ただ、自分がこの1枚を通してそれを経験出来たのは誇りだし、すごくいい」
 
――ホント俺、これぐらいのペースで長澤くんのニューアルバム聴きたいなぁ。
 
「(笑)。でも、音楽以外の形態でも、何か探せたらなぁってよく思うんですけどね」
 
――えぇ~それはどういうこと!?
 
「音楽はもちろん大事なんですけど、何かこう…いや、でもまぁ、中途半端にそういうことを言っちゃうと、後でやろうとしたときにつまずいたらもう取り返しがつかない(笑)
 
――全然言ってもいいんやで(笑)。まぁでも表現として音楽以外にもいろんなことにチャレンジしてもいい。それぐらい自由になってきてるんだね。
 
「そうですね、うん。楽しみたい」

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それは何か、すっごく嬉しいことだと
でも、何かちょっと笑っちゃう話でもある(笑)
 
 
――曲について触れていくと、『スーパーマーケット・ブルース』(M-3)の解説で、長澤くんがサックスに惹かれる理由が、九州エリアの深夜帯のテレビでは、夜景をバックにサックスが流れるっていうことに基づいていると。これって関西で言うと、押尾コータローさんの『小さな輝き』だよなぁと(笑)。
 
「あ! 多分そういう感じだと思う」
 
――夜景を見下ろした定点カメラの風景に、ギターを爪弾く音が聴こえて。朝4時ぐらいで番組は全部終わってるんだけど、何となくテレビをつけておく、みたいな、あの時間帯特有の。
 
「特別な感じがしますよね。ノスタルジックな」
 
――そうそう。そういうのが九州にもあるんだなぁって。サックスってロックと相性は悪くない楽器やと思うけど、どうでした?
 
「吹いて頂いた栗原健さん(MOUNTAIN MOCHA KILIMANJARO)がホントに素晴らしい方だったので。こういう風にとか、こういう気持ちでっていうオーダーに、すごくおもしろく応えてくださったので、何よりでした」
 
――あと、『そのキスひとつで』(M-4)には赤い公園の津野米咲(g)さんも参加されてますけど、これは福岡のイベントで一緒になったのがきっかけだと。ここでは、自分が絶対に踏み込めないラインの向こう側=異次元の何かに恋焦がれる歌に挑戦して。
 
「その先に何があるのかが分からない場所…例えばそれは死であったり、そういう意味では天国もそうですけど。このストーリーの中では異次元と言ってるけれども、そっちに踏み込んでみたいけど踏み込めない。知りたいっていう、その欲望を歌ってる。そのキスひとつで叶うのにって」
 
――ここ最近は、“学生の頃から長澤くんを聴いてて”っていう子がミュージシャンになったりする時代になってきて。それ見て思うのは、同業者でもミュージシャンでもそうやけど、長澤くんを好きな人は信頼出来るというか、長澤くんを介してその人を好きになれる感じがするんよね。
 
「あぁ…それは何か、すっごく嬉しいことだと。でも、何かちょっと笑っちゃう話でもある(笑)。自分を介して知らないところで“あ、いいねー!”って盛り上がってる(笑)」
 
――“長澤くんのこと好きなんや!? マジで~”って盛り上がってるけど、長澤くんは全く噛んでないっていう(笑)。
 
「アハハハハ!(笑)」
 
――あと、このアルバムの前半の鍵を握るであろう濱野泰政さんは結構いろんなことが出来る人なんやね。この人はどういう接点?
 
「やっさんは『EXISTAR』(‘09)の頃からずっとエンジニアをしてくれてて、そのぐらいの仲だからすごく話しやすくて、バンジョーとかチェロとかを持って来て遊んでるような人です(笑)」
 
――アルバムの前半における、パーカッションが曲にもたらす効用がすごくて。
 
「明るくすることも出来るし、重たくすることも出来る自在な楽器だなぁと。そこをどれだけフィーチャーするかによって曲の印象が全然変わるし、テンポも変わる。だからすっごく深い楽器ですね。勉強になった」
 
――長澤くんホントちゃんとしてるな~。もうね、プロデューサーだな。
 
「フフフ(笑)」

 


(2014年2月14日更新)


Check

Movie Comment

長澤くんがアルバムと共に
独自の視点で関西の印象を語る!(笑)

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Release

Nabowa、赤い公園、れるりり他参加
才気溢れる高純度2ndアルバム!

Album
『黄金の在処』
発売中 2500円
ATSUGUA RECORDS
ATS-47

<収録曲>
01. GOODBYE,HELLO
02. フラッシュバック瞬き
03. スーパーマーケット・ブルース
04. そのキスひとつで
05. 誰より愛を込めて
06. 追憶
07. 黄金の在処
08. 無条件幸福
09. VACANCES
10. あんまり素敵じゃない世界
11. あとの祭り
12. ハレルヤ
13. STOP THE MUSIC

歴代のMVをコンパイルした豪華DVD
2/15(土)心斎橋JANUSで先行発売!

DVD
『FILMS』
2月19日(水)リリース
※2月15日(土)心斎橋JANUSにて
先行会場発売!

3333円(税抜)
ATSUGUA RECORDS
ATS-49

<収録曲>
01. 僕らの輝き
02. RED
03. P.S.S.O.S.
04. EXISTAR
05. 24時のランドリー
06. 三日月の誓い
07. 明日のラストナイト
08. 俺はグビ
09. JUNKLIFE
10. カスミソウ
11. バベル
12. あんまり素敵じゃない世界
13. GOODBYE,HELLO
14. そのキスひとつで
15. フラッシュバック瞬き

Profile

ながさわ・ともゆき…’84年生まれ、福岡県出身。8歳でビートルズとブラウン管ごしの対面を果たし音楽に覚醒。10歳でギターを始め、11歳で初のオリジナル曲を完成。18歳で音楽事務所・オフィスオーガスタのデモテープ・オーディションでその才能を認められ、’06年にシングル『僕らの輝き』でメジャーデビュー。’07年には『PAPER STAR』『P.S S.O.S.』の2枚のミニアルバムを発表後、ライブと楽曲制作を地道に重ね、’09年3月にミニアルバム『EXISTAR』を発売。同作に伴う東京、大阪、福岡のワンマンライブは全会場ソールドアウトに。また、同年8月にはミニアルバム『SILENTSIREN』をリリースし、2度目の全国ワンマンツアーを敢行。鮮烈なハイトーンボイス、エキセントリックなギター、柔と剛、静と動、繊細さと凶暴さを併せ持つ独自の世界観を提示する、唯一無二のシンガーソングライター。’11年4月には自身初のフルアルバム『JUNKLIFE』を、’12年1月にはシングル『カスミソウ』、6月にはミニアルバム『SEVEN』を発売。ジャケットには、本人が大きなキャンバスに描いた絵が使用され、大きな反響を呼んだ。年末には『お休みハッピーX’mas』を期間限定にてストリーミング&無料配信。’13年は制作活動を行いながら、精力的にイベントへ参加し、7月31日には配信シングル『誰より愛を込めて』を、11月6日には待望の2ndフルアルバム『黄金の在処』を発表。

長澤知之 オフィシャルサイト
http://www.office-augusta.com/nagasawa/

Live

Pick Up!!

【大阪公演】
『Nagasa・Oneman8 Band Ver.』
チケット発売中 Pコード216-604
▼2月15日(土)18:00
心斎橋JANUS
オールスタンディング4200円
[共演]西川進(g)/松田“FIRE”卓己(b)/
タナカジュン(ds)
GREENS■06(6882)1224
※未就学児童は入場不可。

【名古屋公演】
チケット発売中 Pコード216-819
▼2月17日(月)19:00
アポロシアター
前売4200円
ジェイルハウス■052(936)6041
※未就学児童は入場不可。

【広島公演】
チケット発売中 Pコード216-693
▼2月22日(土)17:00
HIROSHIMA BACK BEAT
オールスタンディング4200円
ユニオン音楽事務所■082(247)6111
※未就学児童は入場不可。

【福岡公演】
チケット発売中 Pコード216-729
▼2月23日(日)17:30
DRUM SON
スタンディング4200円
キョードー西日本■092(714)0159
※6歳未満入場不可。

【東京公演】
チケット発売中 Pコード213-776
▼2月28日(金)19:00
LIQUIDROOM
スタンディング4200円
ソーゴー東京■03(3405)9999
※未就学児童は入場不可。

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チケット情報はこちら

『黄金の在処』徹底解剖
【前編】も公開中!

蜜月のグルーヴを生み出した
Nabowaとの裏話満載
撮り下ろし合同インタビュー!


Interview

美しいメロディが虹を描く
優しき新世界。長澤知之のまばゆき
現在を刻んだミニアルバム
『SEVEN』インタビュー!

特設ページはコチラから!


シーンに潜む異端児にして最終兵器
長澤知之の瑞々しい才能が爆発!
5年越しの傑作1stアルバム
『JUNKLIFE』インタビュー!

特設ページはコチラから!