第3期Nothing’s Carved In Stoneの1stアルバム!? 変わらぬ覚悟と探究心で突き進む無敵の4ピースの やりたい放題の実験作『MAZE』を語る! 村松拓(vo&g)インタビュー&動画コメント
思えば7枚目、である。今となっては説明不要の存在感を己の音とライブのみでシーンに知らしめてきた彼らも、結成当初はELLEGARDENにストレイテナーにという自らが築いてきたキャリアが、このバンドは刹那だからこその推進力を持ったプロジェクトだと思わせていたかもしれない。それがどうだろう。Nothing’s Carved In Stoneの最新作『MAZE』は、このバンドがもう何度目かの1stアルバムを作るかのような情熱と探究心で、今でもその歴史をアップデートし続けていることを証明した意欲的な1枚だ。メジャーでの3年間の経験、この春挑んだ3ヵ月連続の全曲演奏ワンマン『Monthly Live at QUATTRO』が形を成した初のライブ盤『円環 -ENCORE-』、より鮮明に自分たちのルーツを鳴らしサウンドの領地を拡大する一方で、アティテュードとフォーカスは恐ろしいほどに定まっていくという驚異の『MAZE』を経て、最高の状態で絶賛ツアー中のバンドのフロントマン村松拓(vo&g)が語った、Nothing’s Carved In Stoneの現在。傑作『Strangers In Heaven』(‘14)とそのツアーで1つの到達点を見たこのバンドは、こちらの危惧などものともせず、新たな絶景を我々に見せてくれている――。
「もちろん。『Hand In Hand』っていう対バンイベントはやってるんですけど、俺たちがおもしろいことを発信するのはライブしかないと思ったから。そういう話を前作『Strangers In Heaven』(‘14)のツアーのときに話してたら、新潟のライブハウスの楽屋でポロッとこのアイディアが出て。割と軽いノリから始まったのが、あれよあれよと音も録りましょう、だったらCDも出しましょう、でも全曲入れられないからファン投票にしましょう、みたいな(笑)。結果、ファンが作ってくれた、俺たちが売りにしてるライブの、しかもベストな『円環 -ENCORE-』みたいな。メジャーがどうこうだったからこれをやったとかやらなかったじゃ、実はないんですよね」
「アハハ(笑)。でも、嬉しいですね。やっぱりNothing's~でまだやってない音楽、常に新しい音楽をやりたいのは、メンバーみんな同じだから。ちゃんとバンドが成長してる証というか、『Go My Punks!!!!』(M-9)とか『Discover, You Have To』(M-7)とか、より鮮明に自分たちのルーツを鳴らして、かつNothing's~っぽく出来たんで」
――『Go My Punks!!!!』はカリプソ、『Calling Behavior』(M-8)もサンバっぽいリズムなんだけどギターがサイケとか。サビとか歌い回しとかもすごくラグジュアリーだし。
――『Discover, You Have To』もめっちゃ遊んでるもんね。『MAZE**』(M-6)のエキゾチックさというか、サビは歌謡ロックみたいな感じだし。あと、今作は日本語詞がより機能してる気がする。
「『Discover, You Have To』とか、前までだったら出来なかったですもんね。『MAZE**』は歌詞も時間をかけて結構考えました。より“和”っぽさというか、俺は歌謡曲も本当に好きだから、ああいう素晴らしい作詞家の人たちに少しでも近付ける歌詞を書きたくて、ずーっとそれを意識してて。今回は全体的に割とストレートに書いてるけど、『MAZE**』はいろいろ悩みましたね。多分ね、今までだったら『朱い群青』(『REVOLT』('13)収録)みたいにつらつらと紡いで4行歌ってやっと分かるとか、口に出して気持ちいい言葉としての『Brotherhood』(『Strangers In Heaven』収録)とか、そういう書き方をしてたんですよ。でも今回は、『MAZE**』だったら例えば体言止めを使うとか、“羅針盤”とか“本能”とか、ひと言でバッと刺さる言葉を入れたくて。だから日本語がグッと入ってくるようになってると思うんですよ」
Album 『MAZE』 発売中 2500円(税別) Dynamord Label GUDY-2016
<収録曲> 01. YOUTH City 02. The Poison Bloom 03. Milestone 04. Perfect Sound 05. デロリアンを探して 06. MAZE** 07. Discover, You Have To 08. Calling Behavior 09. Go My Punks!!!! 10. Gravity(Album Mix) 11. Thief
ハイボルテージなライブベストは ファン投票による上位曲を軒並み収録
Live Album 『円環 -ENCORE-』 発売中 2600円(税別) Dynamord Label GUDY-2015
<収録曲> 01. November 15th 02. Isolation 03. Brotherhood 04. きらめきの花 05. Spirit Inspiration 06. Diachronic 07. Out of Control 08. Shimmer Song 09. Sands of Time 10. Rendaman 11. Around the Clock 12. Sunday Morning Escape 13. 村雨の中で 14. ツバメクリムゾン 15. Idols 16. Red Light 17. Chain reaction
Profile
ナッシングス・カーブド・イン・ストーン…写真左より大喜多崇規(ds)、生形真一(g)、日向秀和(b)、村松拓(vo&g)。生形が所属するELLEGARDENが’08年9月に活動休止したことをきっかけに、ストレイテナーの日向に声をかけたのが結成のきっかけとなる。日向の紹介によりFULLARMORの大喜多が加入、ボーカル不在のまま何度かのセッションの後、生形がMySpaceで見付けたABSTRACT MASHの村松のライブに大喜多と共に足を運び、そのパフォーマンスに惚れ込み始動へ。『PARALLEL LIVES』(‘09)、『Sands of Time』(‘10)、『echo』(‘11)と3枚のアルバムをリリースし、’12年に4thアルバム『Silver Sun』にてメジャーへと移籍、’13年にリリースした5thアルバム『REVOLT』を引っ提げた全国ツアーは、各地ソールドアウトとなった。’14年8月にリリースした6thアルバム『Strangers In Heaven』は、オリコンウィークリーチャート10位を記録。’15年1月にシングル『Gravity』を発表、『LIVE Gravity』を新木場STUDIO COAST、福岡DRUM LOGOSにて開催。3月、4月、5月には3ヵ月連続で渋谷CLUB QUATTROにて『Monthly Live at QUATTRO』を敢行。今までにバンドが発表した6枚のアルバムを3公演で全曲披露したライブは全公演即完売のプレミアムライブとなり、8月19日には同3公演の音源よりファン投票の上位曲を収録した初のライブアルバム『円環 -ENCORE-』をリリース。そして、9月16日には7thアルバム『MAZE』をリリースし、10月8日のZepp Tokyoを皮切りに『MAZE×MAZE TOUR』をスタートさせた。バンド名はモーゼの『十戒』に出てくる十の規律が刻まれた石に、何も書かれていない=規律、タブーがないという逆説的な意味。