ホーム > インタビュー&レポート > 「ヒリヒリ、ジリジリ、ザラザラした感じにしたい。 かさぶたを剥がす感覚。治ってから剥がせばいいのに、 ちょっと微妙な頃に剥がしたくなる。あの瞬間の緊張感。」 『太秦ヤコペッティ』宮本杜朗監督インタビュー
――タイトルにはどういう経緯でヤコペッティと付けたんですか?
「プロデューサーの志摩(敏樹)さんに「宮本はパゾリーニっぽい」と言われて、パゾリーニが特別好きというわけではないですが、イタリア人の名前ってカッコイイなと思って、太秦にイタリア人の名前をくっつけるのを半分ふざけてやっていたんです。そこで「ヤコペッティ」というのが出て、脚本家の松永(後彦)さんと志摩さんが「それや!」と盛り上がって。ヤコペッティなら、話の中身的にも通じるところがあるし、ヤコペッティというモンドの巨匠の名前をモンド的に使えるなと」
――ヤコペッティと言えば“残酷~”ですよね。キキ花香さん演じる妻・佐奈は、子どもが悪気なくしてしまう残酷な感じがそのまま残っているような女性ですね。
「佐奈っていうのは好奇心に忠実で生理的な人間。あの役を演じるのは難しかったと思います。でも、省二のことが大好きで面白がって見ている女の人にしたいなと思って」
――確かにあの役は難しそう。でも、かなり自然に感じました。即興的な部分もあったんですか?
「一応、クランクイン前に読み合わせをして、それで言いにくい言い回しがあったら変えてもらったりしました。特に主演の和田晋侍さんとキキ花香さんには何回も調整してもらって。だから現場でガラッと変わることはあまりなく進められました」
――そうなんですか。ふたりの子ども役の小沢獅子丸くんも可愛すぎますね。
「オーディションに来てくれたのですが、ずばぬけて良かった。ハーフの子なのでこの映画の両親に全然似てないですけど(笑)、特技がすごいんですよ。中国武術、テコンドー、ボクシング、空手、柔道、あと吹き矢とか。吹き矢なんかいつ使うねんって(笑)。顔は似てないですけど、特技だけ見たらそういうところが省二の息子っぽくて(笑)」
――獅子丸くん、すごいなぁ! 終盤の川でのシーンではゾゾッとくる姿で登場しますね。
「あのシーンは子どもじゃなくてもいいですけど、新しい登場人物を出したら「あれ誰?」となるし、獅子丸が普通の顔で出たら、意味を探してしまうかもしれない。そういうこともあって、意味を無くしたくてメイクをしてもらったんです」
――では、元グレートチキンパワーズの北原雅樹さんはどのような経緯で?
「お願いして出ていただいたように思われるかもしれないですけど、北原さんもオーディションに来てくれたんです。脚本上の小早川(警官)は、日陰に生きてきて臆病で卑怯な男のイメージだったのでちょっと合わなかったんですが、オーディションの時にすごい演技を見せてくれて、こういう人と一緒に仕事をしてみたいなと思って。イメージとは違ったけど、また違った警官・小早川が生まれる気がして、北原さんが持ってる雰囲気、空気感に合わせてキャラクターを変えました。この映画で共感を呼ぶのはあの役くらいかもしれません(笑)」
――北原さんのイメージに合わせた正義感のある警官もすごい良かったです。本作は“京都連続”シリーズの第3弾ということですがシマフィルムとは以前から繋がりがあったんですか?
「“京都連続”シリーズの第1弾である『堀川中立売』で主役を務めた石井モタコくんが、僕の前作『尻舟』でも主演で撮影時期も近かったこともあり、シマフィルムが『尻舟』の配給協力もしてくださることになって繋がりが出来ました」
(2013年5月22日更新)
●5月24日(金)まで、シネ・ヌーヴォ
●5月25日(土)より、第七藝術劇場
【公式サイト】
http://www.uzumasa-jacopetti.jp/
【ぴあ映画生活サイト】
http://cinema.pia.co.jp/title/162271/
【日時】5/25(土) 20:30の回上映後
【会場】第七藝術劇場
【料金】通常料金
【登壇者(予定)】
和田晋侍/北原雅樹
【日時】5/31(金)20:30の回上映後
【会場】第七藝術劇場
【料金】通常料金
【トークショー(予定)】
宮本杜朗監督 × 小田島等(イラストレーター)