ホーム > インタビュー&レポート > 『FM802 ROCK FESTIVAL RADIO CRAZY 2023』 ライブレポート【3日目・12月29日(金)】
【Z-STAGE】
●BLUE ENCOUNT
「おい、ちょっと待ってくれ。トップバッターからめちゃくちゃいい景色じゃねえかよ!」
3日目(12月29日)のZ-STAGEの1番手、BLUE ENCOUNTの田邊駿一は感無量気味に喜んだ。その言葉通り、ライブ中はコロナ禍前のライブの熱狂、ノリが完全に戻っていた。オーディエンスは思いおもいの楽しみ方でライブを満喫していた。
ただ、その熱狂を仕掛けたのは他でもないBLUE ENCOUNTだ。ギラギラしたギターサウンドが特徴的な1曲目「MEMENTO」の「イライラすんだろ? ムシャクシャすんだろ? このまま全部全部切り裂いて!」のワイルドな歌詞は、オーディエンスを熱くさせるのにうってつけの一節である。
そしてモニターアンプに足を乗せるなどアグレッシブなアクションを見せるのが、アメリカへ拠点を移したベースの辻村勇太だ。田邊はMCで「アメリカでベースの武者修行に行ってるんだけど、タイミングが良くて今日帰って来てます」と、バンドとして完全体で『RADIO CRAZY』を迎えられたことを報告。辻村が「ただいま、日本」と凱旋の挨拶をすると、すかさず田邊が「なにをハリウッドスターみたいに言ってんだよ」とツッコミを入れて笑わせながら、「『RADIO CRAZY』を愛している、あなたと!」と一緒に楽しもうと呼びかけた。
たしかにこの日のBLUE ENCOUNTは『RADIO CRAZY』という場を楽しんでいることがよく分かった。「VS」では「さぁさぁ皆の衆!やっちゃって」を「さぁさぁレディクレ!やっちゃって」とアレンジしたり、「DAY×DAY」では「僕が信じたのはあなただけ」を「僕が信じたのは『RADIO CRAZY』だけだよ」と歌い替えたり。何の制限もなく踊り、歌い、叫べる環境をもっとも待ち望んでいたかのように、BLUE ENCOUNTはヒートアップし続けた。
「はー、ヤベー! なんだここ、すごいわ」と息も絶えだえの田邊。「去年は声出しができなかったでしょ。やっとって(感じ)。あなたもそうだし、ここに関わっているスタッフさんも、全員に言いたい。『RADIO CRAZY』おかえりなさい!」と声を弾ませ、「つらいことがあったら忘れちゃいなよってよく言うけど、どうせ忘れないんだから。だったらそいつら(つらいこと)が嫉妬するような喜びでどんどん埋めていこう。今日の『RADIO CRAZY』がその役割になると思うんで」と話し、「PLACE」「もっと光を」などをとびっきりの笑顔と溢れんばかりのエネルギーで演奏した。
Text by 田辺ユウキ
Photo by 渡邉一生
●04 Limited Sazabys
観客が両手を掲げて大歓迎するなか、代表曲「swim」でスタートダッシュすると、息つく暇なく4曲を連続させてぶっち切る。拳が上下し、クラップもコールもワイパーも。メンバーも走り回ったりジャンプしたりと負けていない。もちろんGEN(Vo&B)のハイトーンは今日もよどみなく、「Warp」や「Kitchen」などのご機嫌なメロディとスピード感、さらに「Galapagos Ⅱ」のトリッキーな展開でボルテージを上げ、フロアが熱気で覆われる。またMCでGEN はELLEGARDENやLUNA SEAの名を挙げ、"こんな面子を見れるのは「RADIO CRAZY」だけなんじゃないかと"とファン目線で話すが、別の大先輩を果敢にイジり、HIROKAZ(G)に"怒られるぞ(笑)!"とつっこまれる無邪気なトークも。そんなのびのびした小休止のあとは「message」の潔さで再び火をつけ、決意表明の「monolith」から「fade」と「kiki」へ。耳に残るリフレインや歌うようなギターはわずかなセンチメンタルもまぜつつ大観衆を跳ねさせる。すると今度はブラックジョークを炸裂させてから"後悔はしなくていいんで、反省することだけ反省して、変えられない過去とか変えられない周りとかは気にせずに、未来に向かって瞬間、瞬間をかみしめて生きていきましょう!"(GEN)と前を向いて「Squall」。メロディックでキャッチーな曲はファルセットでさらなる高みへ。そして最終、直球勝負の「Keep going」では、パワフルなユニゾンでもファンの背中を押して誰もが完全燃焼。冬の大会場は冷めそうにない余熱であふれた。
Text by 服田昌子
Photo by 渡邉一生
●sumika[roof session]
リハで演奏した『マイリッチサマーブルース』『1.2.3..4.5.6』の段階で、本番さながらの熱気に包まれたZ-STAGE。その発信源はsumikaの別名義バンド、その名もsumika[roof session]だ。片岡健太(vo&g)が急性声帯炎によるリハビリ期間中のため、'15年以来8年ぶりに同形態が再始動。'23年11月~年末の6公演のみのレア編成ながら、各地で異なるセットリストでも見る者を楽しませてきた。その5本目となる『RADIO CRAZY』でも、片岡に代わってリードボーカルを務める小川貴之(key)と、ボトムを支えながら時にサックスまで披露する荒井智之(ds)にサポートを加えた布陣で、冒頭の『Babel』~『絶叫セレナーデ』の流れから、「大阪! 心から信頼してるぞ」(小川)とレディクレ最大キャパのZ-STAGEを軽々フックアップしていく。
日本有数のボーカリストの一人と言っていい片岡の穴を埋めて余りある小川の歌声の引力、パフォーマーとしての魅力は特筆すべきもので、フロントマン不在の状態でもキャンセルすることなく板の上に立った理由は、そのライブを見れば一目瞭然。『ソーダ』~『ファンファーレ』でも、"sumikaという大事な家を、嵐で吹き飛ばされないように守り抜く"という信念が宿った、sumika[roof session]の存在意義を証明する充実のステージが続く。
その後も、鍵盤を奏で届けたアーバンポップな『Summer Vacation』、切なき旋律が胸を締め付けるバラード『春夏秋冬』と、sumika[roof session]の底知れぬポテンシャルを発揮。"また当分見れなくなってしまうのが惜しい"とまで思わせる、メンバー個々の実力には頭が下がるばかりだ。
熱気あふれるフロアを気遣いながら、「激動の1年を過ごしてきて、『RADIO CRAZY』にどんな形であれ参加できたことをうれしく思います。何よりみんながこの場を選んでくれたこと...たくさんの楽しそうな声を聞かせてくれて、顔を見せてくれて、一緒に楽しんでくれてありがとうございます!」と荒井。「やるからにはいいライブをしたい。ここで全て出し尽くしたい!」という小川の呼び掛けから、ラストはライブ鉄板の『ふっかつのじゅもん』~壮大なるアンセム『Starting Over』で見事に幕を閉じた。
Text by 奥"ボウイ"昌史
Photo by 渡邉一生
●Saucy Dog
舞台裏から「サウシー! ドッグ!」とエンジンをかける声が聞こえてくる。その掛け声に大きな拍手が巻き起こる。
Saucy Dogの2023年の『RADIO CRAZY』はメッセージ性の強い「怪物たちよ」で幕を開けた。「幸せの価値観なんて人によって違うもんなのさ」「言葉はピストル引き金を引けば 当たり前に人は死ぬぞ分かってて言ってんの?」。2023年もたくさんの人が誰かに傷つけられ、そして誰かを傷つけた。私たちが生きるこの社会に潜む、いろんな怪物たち。Saucy Dogはメッセージ性が同曲をオープニングに持ってくることで、『RADIO CRAZY』のテンションを良い意味でガラリと変えた。これが自分たちが伝えるべきことだ、と言わんばかりに。
「俺たち、バンドマンの歌!」と声をあげてパフォーマンスした「メトロノウム」は、静寂と高揚のコントラストが見事。「怪物たちよ」とはまた違った方向性で"生き方"について歌いあげた。
ドラムのせとゆいかは「1年、もう終わっちゃうけど、いろんなことがあったと思うんです。最後の3日間、めちゃくちゃ楽しかったら『今年、楽しかった』っていう思い出に変わることがあると思いますので、いいライブをして帰ります」と約束。続いてボーカルの石原慎也が「Saucy Dogのことを知ってもらえるきっかけになった曲。誰がなんと言おうと大事な曲」と、さまざまな人の日常や心情に重なる「シンデレラボーイ」が演奏される。
さらに「明日も今日も、がんばって仕事をしたから、そんなあなたのヒーローになりたい」とエールを贈って曲が始まった「夢みるスーパーマン」、不安な日々を送る人たちに向けて「今度は僕がお前を救ってあげるよ」と声をかける曲「ゴーストバスター」などを披露。そのセットリストは、その年の締めくくりにもう一度、Saucy Dogがいろんな人たちの心を救おうとしているみたいだ。
「さあ 自分らしく 走り出していけ」(「現在を生きるのだ。」)と最後まで多くの人の背中を押し続けたSaucy Dog。オーディエンスを巻き込むシンガロングでも「もっともっと」と引っ張ったり煽り立てたりするのではなく、すぐに「最高」と言えるところがSaucy Dogらしい優しさなのかもしれない。
Text by 田辺ユウキ
Photo by 渡邉一生
●ELLEGARDEN
最終日のラストを飾るのは、2年連続出演&2年連続大トリのELLEGARDEN。昨年のレディクレでのエモーショナルなステージが、今もなお鮮明に蘇ってくるという人は多いのではないだろうか。2023年のELLEGARDENは、16年ぶりのフルアルバム『The End of Yesterday』を携えて、全国各地のライブハウス、アリーナ、スタジアムを廻ってきた。さらにはフェスやイベント、フジロックにも出演。レディクレの会場内を歩いていると、小学生の男の子から10~20代の若者、メンバーと同世代の大人までが、エルレのTシャツを着ている様子を見ることができた。このことからも、彼らの音楽がいかに幅広い世代に届き、愛されているかが伝わってきた。
今年もレディクレでは、長年彼らを見守り(細美武士(vo>)とは出会って15年3ヶ月だそう)、親交を深めてきたFM802 DJの大抜卓人がオープニングMCをつとめる。大抜は夏のツアー『-Get it Get it Go! SUMMER PARTY-』の全公演に帯同し、各地で前説を担当。「一生の宝物のような経験をした」と回顧し、「ELLEGARDENは、ここにもし100人お客さんがいたら100人を幸せにしたい。その気概でステージに立ってる。98人が幸せで2人が悲しかったらもうそれはダメだというぐらいの想い。細美さんが言う"お前ら"の意味合いの深さはそういうこと」と彼らの矜持に敬意を表し、特別なこの空間でELLEGARDENの名を呼ぶと、Z-STAGEを埋め尽くしたオーディエンスから、熱気と大歓声が放たれた。
夏のツアーファイナル、ZOZOマリンスタジアムの熱狂を引き継ぐかのように、1曲目は『Breathing』で幕を開ける。『Supernova』を経て、『チーズケーキ・ファクトリー』では、イントロからフロアがジャンプで揺れる。シンガロングもバッチリで、最新アルバムの楽曲もすっかり身体に馴染んでいることが伝わってきた。生形真一(gt)は「今日はアルバムを作ってこうやってフェスに出るまでの集大成のライブを見せようと思う」と宣言。細美が「今年大阪で結構ライブやったんだけど、やり忘れた曲あるから聴いてもらっていい?」と披露したのは『Red Hot』。言わずもがなの大アンセムにフロアは大熱狂! さらにレーザー演出が楽曲の世界観を際立てた『Salamander』『Missing』を経て、高田雄一(ba)の「去年衣装を忘れて、今年も衣装忘れて私服でやってます。来年も来るのでお願いします」と嬉しい言葉の後に投下された『ジターバグ』では、昨年から待ち望んでいた光景が現実に。拳を掲げ、合唱しながら、そびえ立ったリフトからダイブ! このエネルギーの交換に、細美も嬉しそうに瞳を輝かせる。全ての時間が眩しく尊いものだったが、個人的にハイライトシーンのひとつだと感じたのは『Make A Wish』。曲前のMCで細美は「この年末に皆で願い事をしよう。できるだけ簡単なやつを。来年は、お前らが悲しい時には泣いて、楽しい時には笑って、ムカついたら怒る。そのめちゃくちゃシンプルなことができる1年でありますように」と優しく願う。声出し解禁になった空間で、細美とオーディエンスの歌声だけが大きくあたたかく響く。高橋宏貴(ds)は泣きそうな顔でその様子を見つめ、共に口ずさんでいた。全員で歌い騒げる喜びを噛み締めて、本編最後は『Strawberry Margarita』で締め括った。アンコールは『スターフィッシュ』。昨年の高揚感とはまた違う感覚で熱狂した全11曲。ELLEGARDENは紛れもなくヒーローだった。
Text by ERI KUBOTA
Photo by 三吉ツカサ (Showcase)
(2024年2月 8日更新)
●Mr.ふぉるて
01. なぁ、マイフレンド
02. I Love me
03. マールム-malum-
04. アバンチュール
05. 暗い部屋の中、明るいテレビ
06. シリウス
07. あの頃のラヴソングは捨てて
08. 幸せでいてくれよ
●BIGMAMA
01. 倫理|ロジカルモンスター
02. the cookie crumbles
03. CPX
04. 物理|Time is like a Jet coaster
05. POPCORN STAR
06. 17 (until the day I die)
07. 現文|虎視眈々と
08. 荒狂曲”シンセカイ”
09. MUTOPIA
10. No.9
●indigo la End
01. 名もなきハッピーエンド
02. 夜明けの街でサヨナラを
03. 瞳のアドリブ
04. 夜風とハヤブサ
05. ラッパーの涙
06. 春は溶けて
07. 夏夜のマジック
08. 名前は片想い
●ストレイテナー
01. ROCKSTEADY
02. TRAIN
03. 彩雲
04. 灯り
05. Silver Lining
06. Melodic Storm
07. シーグラス
08. ダニー・ゴー(THEE MICHELLE GUN ELEPHANT カバー)
●BRAHMAN
01. Slow Dance
02. 露命
03. 賽の河原
04. SEE OFF
05. DEEP
06. CHERRIES WERE MADE FOR EATING
07. BEYOND THE MOUNTAIN
08. ANSWER FOR…
09. 満月の夕
10. 今夜
11. 真善美
12. FOR ONE'S LIFE
●ハンブレッダーズ
01. BGMになるなよ
02. ユースレスマシン
03. ワールドイズマイン
04. ファイナルボーイフレンド(2021)
05. グー
06. DAY DREAM BEAT
07. ライブハウスで会おうぜ
EN. フェイバリットソング
●reGretGirl
01. 12月29日
02. ピアス
03. KAWAII
04. 月の色
05. tear
06. ホワイトアウト
07. soak
●w.o.d.
01. STARS
02. 馬鹿と虎馬
03. 1994
04. 陽炎
05. イカロス
06. Mayday
07. スモーキン・ビリー
08. My Generation
●OKAMOTO'S
01. 90'S TOKYO BOYS
02. Boreder Line
03. Young Japanese
04. Rock'n Roll Star feat.ROY
05. この愛に敵うもんはない
06. SEXY BODY
07. BROTHER
08. Beautiful Days
●Chilli Beans.
01. aaa
02. rose feat. Vaundy
03. neck
04. See C Love
05. doll
06. daylight
07. lemonade
08. Raise
09. シェキララ
10. you n me
●THE SPELLBOUND(BOOM BOOM SATELLITES 25th Anniversary Set)
01. HELTER SKELTER
02. MOMENT I COUNT
03. DIVE FOR YOU
04. MORNING AFTER
05. LAY YOUR HANDS ON ME
06. DRESS LIKE AN ANGEL
07. KICK IT OUT
08. ダニー・ゴー
●BLUE ENCOUNT
01. MEMENTO
02. Survivor
03. VS
04. HEART
05. DAY×DAY
06. バッドパラドックス
07. PLACE
08. もっと光を
●04 Limited Sazabys
01. swim
02. Warp
03. Now here, No where
04. Kitchen
05. Galapagos II
06. message
07. monolith
08. fade
09. kiki
10. Squall
11. Keep going
●sumika[roof session]
01. Babel
02. 絶叫セレナーデ
03. ソーダ
04. ファンファーレ
05. Summer Vacation
06. 春夏秋冬
07. ふっかつのじゅもん
08. Starting Over
●Saucy Dog
01. 怪物たちよ
02. メトロノウム
03. シンデレラボーイ
04. 雷に打たれて
05. 夢みるスーパーマン
06. ゴーストバスター
07. リスポーン
08. Be yourself
●ELLEGARDEN
01. Breathing
02. Supernova
03. チーズケーキ・ファクトリー
04. Red Hot
05. Salamander
06. Missing
07. ジターバグ
08. 風の日
09. Make A Wish
10. Strawberry Margarita
●12月27日(水)【DAY1】はこちら
●12月28日(木)【DAY2】はこちら
●12月27日(水)~29日(金)【LIVE HOUSE Antenna】はこちら
●日時:2月12日(月・祝)
18:00~深夜3:00までの3部構成!
■第一部 18:00~
DJ=浅井博章/土井コマキ
■第二部 21:00~
DJ=落合健太郎/田中乃絵
■第三部 24:00~
DJ=板東さえか/樋口大喜
※オンエアアーティスト詳細は後日発表予定です(すべてのアーティストの音源O.A.ではございません)