『FM802 ROCK FESTIVAL RADIO CRAZY 2023』
ライブレポート【2日目・12月28日(木)】 （1/3）

【L-STAGE】

●Lucky Kilimanjaro

レディクレ2日目の幕開けは、L-STAGEのLucky Kilimanjaroから。FM802 DJの板東さえかが「フロアをダンスフロアに変えれますか？！」と後押しして会場を盛り上げるとクレイジーマン兄弟の映像に続いてSEが流れ、大瀧真央（syn）、松崎浩二（gt）、ラミ（per）、山浦聖司（ba）、柴田昌輝（ds）がステージに登場、セッションで雰囲気を高めたところに熊木幸丸（vo）が現れ「Lucky Kilimanjaro、『RADIO CRAZY』始まりまーす！」と大歓声の中でノンストップのライブスタート！ まずは冬にぴったりの『一筋差す』で早速フロアを掌握してゆく。続く『350ml Galaxy』では、熊木が袖からビールジョッキを持ってきてお決まりの乾杯！ まさに忘年会だ。そのままお酒繋がりで、＜ウイスキーを飲み干して 今夜あなたの視線に酔いたい＞がTikTokでバズった『Burning Friday Night』を演奏すると、ひときわ大きくフロアが揺れる。ラッキリのライブはどんな人も迎え入れてくれる懐の広さがあり、安心して身を委ねていられる。ラフで楽しい雰囲気の中、『エモめの夏』『踊りの合図』とアンセムを繋ぎ、『でんでん』でさらに深く没入空間へ。このビートとサウンドには、最早どうやっても抗えない。踊ることが人間の本能のひとつであるかのように、心地良いところを刺激されて、自然に身体が動いてしまう。『HOUSE』ではKind AREA（18歳以下と同伴者が観覧できるエリア）の子どもたちもリズムに合わせて踊りだす！ 「大事な曲」と言葉が添えられた『無限さ』を経て、2023年のラッキリラストチューン『Kimochy』へ。秋の取材で「2023年は繋がりを再構成する年」だと話していた熊木。それを体現するかのように、会場後方まで伝搬した熱で人びとを見事に踊らせた。この日も熊木は最後まで「ダンスは自由です」と言い続けていたが、これからも言い続けるだろうし、2024年の10周年イヤーでは、ますます多くの人を巻き込んで、各地で美しくも素晴らしい景色を作り上げるに違いない。

Text by ERI KUBOTA
Photo by 渡邉一生

●flumpool

昨年に続き2度目の登場となったのは、デビュー15周年を迎えたflumpool。SEが流れ、阪井一生（gt）、尼川元気（ba）、小倉誠司（ds）、サポートの磯貝サイモン（key.gt）に続き山村隆太（vo.gt）が登場。逆光で表情は見えないが、山村は嬉しそうに大きく手を振ったり、ジャンプして喜びを表現する。ライブはクールでハードなナンバー『夜は眠れるかい？』からスタート。目まぐるしく変わる映像と照明演出も相まって、ド派手でカッコ良い雰囲気を作り上げる。続き、山村が＜会いたくて〜＞と一声響かせ『星に願いを』へ。伸びやかで爽やかな歌声が会場に広がるが、そのサウンドは超ロック。尼川、阪井、山村が一斉に前に出ると迫力もぐんと増す。積み上げたキャリアに裏打ちされた表現力はさすが。メンバーの立ち姿には貫禄もにじむ。MCでは山村が「レディクレ楽しんでますか！」と笑顔。阪井は「やっぱ楽しいですねレディクレは。フェスにようやく慣れてきました」と話していたが、昨年はフェスに出るのがほぼ初めてということもあり「フェスコワイ」という名前のグッズを出していた彼ら。慣れた今ではリラックスして楽しんでいるよう。と思いきや、阪井は次にL-STAGEに出演するLUNA SEAのSUGIZO（gt）と挨拶をしたと話し「見られていると思うと本当にプレッシャー」と緊張の面持ちを見せていた。そして歪みのきいたエッジーなサウンドで『reboot〜あきらめない詩〜』をドロップ。腹の底から揺るがす爆音に乗せて、強い想いを届ける。デビュー曲の『花になれ』も現在の彼らによるロックなアレンジで披露し、変わらない中でもしっかりと変化を提示した。山村は「このレディクレをキッカケに、皆の人生が少しでも変わればと思ってやって来ました」とステージにかける想いを述べ「色んなことがあった15年、4人だけじゃここまで来れなかった。ありがとうとかごめんねとか大好きとか、伝えたいことはなかなか伝わらないけれど、あなたに届けたい歌です」と『Magic』を披露。あたたかく寄り添うバラードを力強く歌い上げ、ラストは代表曲『君に届け』を思い切り明るく響かせた。アウトロで高く拳を掲げた4人の姿はとても印象的で、地元大阪で想い溢れるライブを見せてくれた。

Text by ERI KUBOTA
Photo by 渡邉一生

●9mm Parabellum Bullet

'23年は"9"という数字にちなみ、結成19周年に9年ぶりの日本武道館公演を行うなど、精力的に活動してきた9mm Parabellum Bulletは、Atari Teenage Riot『Digital Hardcore』の超絶ノイジーでカオスなSEを背に放った『One More Time』からライブをスタート！ シアトリカル×リズミカルなリフに心地良く扇動され、そのままシームレスにつないだ『Black Market Blues』でもビートに体が自ずと反応してしまう匠の技で、じわじわ絶頂へといざなっていく。高速フレーズとジャストにシンクロする照明もろとも加速した『新しい光』を経由し、一糸乱れず突き進む重戦車のごときバンドサウンドで『All We Need Is Summer Day』へ。続けざまになだれ込んだ『ハートに火をつけて』といい、キレと重さの共存するさすがのライブアクトぶりには何度もほれ直してしまう。

「『RADIO CRAZY』はいつも熱いけど、まだまだいけますよね？そう俺がみんなに問いかけるようになったのは、時をさかのぼること17年前。'06年に大阪でJさんのライブのオープニングアクトをやったとき、Jさんが"大阪いけるか!?"と言って"ドーン！"と盛り上がるのを見て、俺もマネしようと思って(笑)。そこから17年間ライブし続けてきましたけど、今日は俺たち、ポジション的にLUNA SEAのオープニングアクトとしてやれるのがうれしいです。大阪いけるか!?」(菅原卓郎・vo&g)

L-STAGEで後に出番を控えるレジェンドLUNA SEAに最大限の敬意を払いつつ、後半戦はこの夏リリースされた『Brand New Day』を皮切りに、『名もなきヒーロー』～『The Revolutionary』～『Punishment』と、新旧の代表曲が入り乱れる怒濤の4連発！ シビれるぐらいの鳥肌という余韻を残してL-STAGEを後にした、9mm Parabellum Bulletだった。

Text by 奥"ボウイ"昌史
Photo by 渡邉一生

●LUNA SEA

手をピストルの形にしてオーディエンスを撃ち抜く素振りを見せる、ギターのSUGIZO。ベースを高く掲げる、J。クールにマイク前に立つ、ギターのINORAN。着座してすぐ轟音を鳴らす、ドラムの真矢。そしてサングラスにロングコートのRYUICHIが「大阪！」と一言叫んで、『STORM』のイントロが鳴り響く。LUNA SEA、待望の『RADIO CRAZY』の初ステージがついに始まった。

腰を落としながら歌うRYUICHI。その目の前にはSUGIZOのギター。二人が見せる"競演"は何度見てもシビれる。INORANはギターを、Jはベースを腰の位置より少し下に下げて、そして肩幅より広めに足を広げて演奏している。振り下ろすようなピッキング姿は、何年経っても変わらない格好良さ。真矢の激しいドラミングはデビューから約40年、変わらず華がある。

『TONIGHT』ではSUGIZOのお馴染みの"大開脚ギタープレイ"が炸裂。さらにステップを踏みながら舞うように演奏する様子も、オーディエンスの目を奪う。かと思えばINORANのギタープレイに呼応するようにシャウトするRYUICHI。楽曲性だけではなくパフォーマンス面でもバンドとして圧倒的な情報量を誇っている。

「初めましての人もいるかな？LUNA SEAです。大阪ですごい熱いフェスをやってるって聞いたんで、今回来させてもらいました。なんか、どこよりも熱いんだって？どこよりも熱いんですかー？」のRYUICHIの挨拶から『DESIRE』へ。ここでRYUICHIはサングラスを外す。「shadows of my love」の歌詞のところではオーディエンスも一緒に口ずさむ。さらに「壊れそうなほど 狂いそうなほど 切ない夜には そっと"抱きしめて"」（『TRUE BLUE』）、「心からキミに伝えたい」（『I for You』）と歌うオーディエンス。会場中の誰もが一緒に歌える音楽を持つバンドの強度。LUNA SEAからはそれをはっきり感じ取ることができる。

ただ1980年代、1990年代よりもサウンドはより骨太になった。というより筋骨隆々という印象だ。RYUICHIも「30年経った今、よりロックなRUNA SEAになった」と語っていた。まさにその通り。ノスタルジーではなく、現代の空気を取り込んだロックバンドへ進化している。ラストの『ROSIER』ではあまりにハードなパフォーマンスのため、RYUICHIの歌も切れぎれになった。とにかく限界突破感が凄まじい、LUNA SEAの"レディクレ初降臨"となった。

Text by 田辺ユウキ
Photo by 田辺佳子

●フジファブリック

年末のレディクレには彼らの歴史を思い出さずにはいられないが、今年はファンキーに登場するとまずは『Green Bird』で力強くも清々しく突き抜け、"今年最後のライブがレディクレで本当に幸せです"という山内総一郎（Vo&G）のMCから『徒然モノクローム』へ。中毒性ある鍵盤で跳ねさせ、続く『プラネタリア』ではスケール感あるイントロで引き込んで心を解放する"笑顔の魔法"をかける。"新しくなるよ"のワードも残像となるが、"こっからアゲていくぞ！"（山内）の予告どおり、先に待つのは沸騰必至の2曲。南国へひとっ飛びする『FEVERMAN』はシャッフルビート、威勢のいい合いの手、山内の背弾きetc.と楽しみどころ満載で、フロアはカチャーシーのお祭り状態に。また"何が何でも一つになりだいんだよ！"（山内）と、『ミラクルレボリューション No.9』ではそろいのダンスとワイパーをキメてまさに一体化。山内も舞台を行き来してご機嫌だが、MCでも2024年のデビュー20周年について"（祝福の）生の声、届いてるわ。めっちゃうれしいわ"とネイティブな関西弁で感激し、20周年公演に関しても"大阪でないわけないやんけ！"とファンをもだえさせる。そして"故郷を思って作った"という『手紙』で締めくくりへ。人々は心揺さぶる詞とメロディを噛みしめるようにして味わい、2012年以降のナンバーが並んだ全6曲は終了した。しかし、最後のメンバー紹介では大切な彼の名も。多くを乗り越え前進を続けてきた3人だからこその2024年、アニバーサリーイヤーに期待大だ！

Text by 服田昌子
Photo by 渡邉一生

（2024年2月 7日更新）