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「椿屋四重奏でやろうとして出来なかったことが、ようやく出来ました」
孤高のソングライティングでAOR/歌謡曲をアップデートする
中田裕二の輝ける第二幕『BACK TO MELLOW』!
撮り下ろしロングインタビュー&動画コメント (2/2)

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僕らの世代が感じている、居心地の悪さ
 
 
――『ドア』(M-8)なんかは、今までだったら最後を締め括りそうな壮大な曲で。チェリストの四家卯大さんがストリングスのアレンジをしてくれています。
 
「四家さんは椿屋のときからいつもお世話になってまして、もう最高。あんまり細かく言わなくても分かってくれるし、ロックも通ってきてる人で」
 
――この歌詞に、“生きるには あまりにわかりづらい世界さ どれもが正しくて間違いで 選ぶにもひどく悩ましい”というフレーズがあって、最近はホントにそうだなって。何か意見しても、常に“こういう見方もある”みたいな話になる。その目線は大事だけど。
 
「やっぱりネットとかは相対主義の塊なんでね。同じ画面上で、全ての人が同じ土俵に立てることが、逆にすごく気色が悪いというか。ギリギリ俺たちの世代まではまだロックスターもいたし、そういう人たちはTwitterとかもやってなかったから、雑誌とかでしかその発言は読めないし、今の芸能人みたいにプライベートを切り売りしないし、憧れでしかなかった。普通じゃたどり着けない世界がいっぱいあったんですよね。それが今では、何だかたどり着けそうな気がしちゃうというか、そこに口出しすら出来る。とても判断が難しい時代だなぁって。こういうところで育ってくるこれからの子供たちとか若い人は、その価値判断が出来ないんじゃないかなって」
 
――サウンドの肌触りはAORという昔から息づくスタイルを取っているけど、メッセージ的には今この時代に出るからこそのものが、やっぱりありますよね。
 
「このアルバムは、結構そういうメッセージが多いかもしれないです。それは僕らの世代が感じている、居心地の悪さだったりとかね」

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こういう楽曲を今ロックバンドは落とし込めていない
多分、椿屋ってそれとの戦いの歴史だったと思うんですよ
 
 
――その後に控える『薄紅』は、ホントに美しい楽曲で。毎回、中田裕二のアルバム毎に、この曲は“宝石CM枠”だとか“火サス枠”だとかいう話になりますが(笑)。
 
「アハハ!(笑) 何て思いました? この曲」
 
――“大画面TV枠”(笑)。
 
「アハハハハ!(爆笑) なるほどね! 日本の風景が、四季とかが映って。個人的にこれは、“日本酒枠”です(笑)」
 
――それも取材メモに書いてた!(笑) あとは“お茶”、そして“線香”。
 
(一同爆笑)
 
「日本酒タイアップを狙って書きましたけど、決まりませんでした。勝手に自分で設定してるだけなんで(笑)」
 
――デカい和室で、縁側の向こうに緑があって…。
 
「竹林ね(笑)」
 
――畳の上に和装の男性とか女性がいて…。
 
「ピンと背筋を伸ばして、お酒を酌み交わす、みたいな(笑)」
 
――映像を浮かび上がらせるAORの音の情報量と歌謡曲の物語性、中田くんの持っているロマンティシズムが、幸福に溶け合う典型的な曲ですね。
 
「椿屋でやろうとして出来なかったことが、ようやく出来ましたね、この曲で。こういう楽曲を今ロックバンドは落とし込めていない。やっぱり、ロックバンドだとうるさ過ぎるんですよ。でも、うるさくないとロックバンドじゃないから、その良さを殺してまでやりたくない。そうなると今度は、原曲が持っている繊細さみたいなものを殺さなきゃいけない。そのどれを取るのか…多分、椿屋ってそれとの戦いの歴史だったと思うんですよ。久々にこういうレンジの広い日本人っぽい曲を作りましたけど、アレンジを奥野さんにお任せして、ホントに理想的な形になりました」

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負けたくないんですよね、東京に
 
 
――そして、このアルバム最大の問題作『サブウェイを乗り継いで』(M-10)が、もうホント好き放題(笑)。
 
「アハハ!(笑) これはねぇ~すごく楽しかったし、気に入ってますね。昔の東京の銀座の感じとか、あとはフランスのセーヌ川沿いでアコーディオンとかフィドルを弾いたりするような、ちょっと華やかでレトロな楽器の編成でやりたくて。こんな曲は多分ソロじゃないと出来ない(笑)」
 
――今までも『セレナーデ』(『MY LITTLE IMPERIAL』(‘12)収録)とかでこういう試みはしていたけど、それをちょっと極めたというか、研いできましたね。
 
「振り切りましたね。歌詞もちょっと自伝みたいな、完全にパーソナルな内容なんで。最近は実体験がどこかしらに入ってないと書けないんですよ。それを東京の地下鉄を介して作ってみたんですけど、要はそういう風に落とし込めるようになったんですよね。全編フィクションでは書けないから、こういうやり方になってきたんですよ」
 
――このアナウンスのとぼけた声は誰?
 
「これ、僕です(笑)」
 
――そうなんや!(笑) クレジットがないから誰かと。“パヤパパ♪”も?
 
「“パヤパパ♪”も(笑)。やっぱりみんなそう言う。狙い通りです(笑)」
 
――この発想って、普通に曲を書いてて出てくるの? 何これ?
 
(一同爆笑)
 
「イメージはあるんですよ。東京の街並があって、印象的だった駅とか…ただ、東京でも例えば浅草とかだとちょっとベッタリした感じになっちゃうから、銀座、新宿、丸の内とかのオフィス街の感じとか。東京ほどフォルムがメタリックな街はないですからね。やっぱり書きやすいし、ヘンな色が出過ぎない。椿屋の『TOKYO CITY RHAPSODY』(‘08)も、その辺は感じながら作ったんですけど」
 
――中田くんが今でも東京に憧れがあるのが、すごく意外でした。もっとどっぷり東京の人かと思った、感覚も。
 
「いや~もう慣れない。ずっと田舎もんですよ、基本的には今でもね。だから、東京についてはずーっと歌いたいなぁと思ってるんです、ネタが尽きないんで。これは多分、地方出身の人間だから書けるんだと思います。生まれも育ちも東京っていう人は、意外に東京については書かない。この歌の最後の方にもありますけど、負けたくないんですよね、東京に。東京で勝てば=日本で勝つみたいなイメージが、いまだにあるんですよ(笑)。大阪の人からすると、東京ってどうなんですか?」
 
――やっぱり常にアンチだと思う、東京には(笑)。
 
「ですよね(笑)」
 
――結局、バンドマンとかも大概上京するやん。それは正直寂しくも悔しくもあるしね。
 
「そういう全ての仮想敵というか、東京があるから何クソっていうのは絶対にあるし。もしかしたらそのために東京は存在してるのかもしれないですね」

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メロウ=ロマンティックで、ちょっとミステリアスで、奥行きがある
 
 
――ラストの80年代ポップス的な『LOVERS SECRET』(M-11)も、ホーンの跳ねるアレンジが気持ちよくて。
 
「この曲が出来てアルバムがまとまった感じですね。やっぱりホーンと鍵盤。それが使いたいだけのために作った曲、みたいな(笑)」
 
――これはある意味ミュージシャンの素直な衝動なのかもしれないけど、自分の心情を吐露した曲とかじゃなくて、こういうサウンド的な興味から始まった曲で、アルバムの骨格が、パズルのピースがハマるという。中田くんってホンマに音楽が好きというか、音楽以外の情報が限りなく少ない。それぐらい=音楽なイメージがある。
 
「あぁ~それはでも嬉しいです。ホンット好きですから。音楽がないとダメなんで。ホントに…大好きですね」
 
――そして、タイトルは『BACK TO MELLOW』。“メロウ”という言葉に、すごく日本を感じるのよね。
 
「ホントにそう思います。やっぱり日本人って基本メロウ好きだと思うんですよね。メロウ=ロマンティックで、ちょっとミステリアスで、奥行きがある。まぁ少ないですよね、今の音楽にはメロウが」
 
――だから中田裕二が真っ先に回帰していく。最初にタイトルを聞いたとき、“らしいなぁ”って思った(笑)。
 
「アハハハハ!(笑) これでバチッと決まったなというか。他に例えようがなかったんですよ、このアルバム」
 
――今までのタイトルはそのときのキーワード的な趣だったけど、これはタイトル自体が中田裕二の今後のステイトメントでもあるというか。
 
「まさに、ですね」

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俺の歌って甘いだけじゃなくて、やっぱりどこかに苦さが含まれている
優しいだけの歌とか、甘いだけの歌じゃ、実際の優しさは伝わらない
 
 
――まぁでも去年はよく作ったね、カバーアルバムにオリジナルアルバムに。
 
「もう趣味で仕事ですから(笑)。高校にも行かなかったぐらいですから、音楽以外に潰しが利かないっていう」
 
――お前が言ってる“潰しが利かない”と比べんじゃねぇよ、こっちはガチなんだよ! みたいな(笑)。
 
「そうそう!(笑) “こっちは引き返せねぇんだよ!”って(笑)。ありがたいです、何とか音楽で生きられてます」
 
――辞めるヤツもごまんといる中でね。でも、中田くんは音楽を辞めようと思ったことがなさそう。
 
「ないです。全然ない。っていうかもう音楽しかない」
 
――そして、リリースツアーのタイトルは、『TOUR’15 BITTER SWEET』。
 
「俺の歌って甘いだけじゃなくて、やっぱりどこかに苦さが含まれているというか。高いチョコレートってヘンなスパイスとかが入ってるじゃないですか。でも、それ故に甘さが引き立つ。歌にもそういう部分があって、優しいだけの歌とか、甘いだけの歌じゃ、実際の優しさは伝わらないんで」
 
――このアルバムをもって、中田裕二の第二幕が始まった感じがするね。また次の展開も楽しみにしてますので!
 
「そうですね、さらに突き詰めていこうと思ってます!」
 
 
Text by 奥“ボウイ”昌史
Photo by 渡邉一生(SLOT PHOTOGRAPHIC)

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(2015年2月17日更新)


Check

Movie Comment

アルバム、DVD、ライブを語り倒して
4分越えの(笑)動画コメント!

Release


新たな野望と確かな手応えを礎に
AOR/歌謡曲が乱舞する4thアルバム

Album
『BACK TO MELLOW』
発売中 2800円(税別)
Imperial Records
TECI-1428

<収録曲>
01. 愛の摂理
02. 誘惑 -album mix-
03. 世界は手のうちに
04. そのぬくもりの中で
05. 未成熟
06. 髪を指で巻く女
07. PURPLE
08. ドア
09. 薄紅 -album mix-
10. サブウェイを乗り継いで
11. LOVERS SECRET


反響を呼んだカバーアルバムの世界を
相思相愛の会場で再現した魅惑のDVD

DVD
『SONG COMPOSITE SPECIAL
 IN NIHONBASHI』
発売中 4000円(税別)
Imperial Records
TEBI-43315

<収録曲>
01. シクラメンのかほり
02. シングル・アゲイン
03. スローモーション
04. 誘惑
05. Missing
06. シンシア
07. シルエット・ロマンス
08. LOST GENERATION SOUL SINGER
09. あの日にかえりたい
10. いっそ セレナーデ
11. UNDO
12. 愛し君へ
13. ロマン
14. 薄紅
15. 彼女のレインブーツ
16. 情熱
17. MIDNIGHT FLYER
18. 紫陽花
19. 恋わずらい

Tour Book


『TOUR'15 BITTER SWEET』にて
販売中! これを読めば全てが分かる!?

Book
『居酒屋裕二』
発売中 2000円
A5サイズ全64P

<掲載内容>
・巻頭グラビア『俺の店』
・中田裕二 仁義なき百問百答
・『BACK TO MELLOW』全曲解説
・バンドメンバーが語る中田裕二論
・中田裕二解体新書 其の一
・YUJI NAKADA'S BITTER SWEET THINGS
etc...

詳細はコチラから!

Profile

なかだ・ゆうじ…’81年生まれ、熊本県出身。’00年、仙台にて椿屋四重奏を結成。’07年のメジャーデビューを経て、歌謡曲をベースにした斬新なロックサウンドで多くの音楽ファンを獲得。’11年1月の突然の解散発表は大きな反響を呼んだ。3.11東日本大震災の被災地/被災者に向けて作られた『ひかりのまち』を震災直後に配信(収益は全て義援金として寄付)。同年11月、ソロ初アルバム『école de romantisme』を発表。12月から翌年3月に初の全国ツアー『tour de romantisme』を開催(全26公演)。’12年9月、2ndアルバム『MY LITTLE IMPERIAL』を発表。10~12月には、2度目の全国ツアー『IMPERIAL SUITE』を開催(全22公演)。’13年5月に初の映像作品『SERENADE OF “IMPERIAL SUITE”』、9月に3rdアルバム『アンビヴァレンスの功罪』を発表、9~12月に全国ツアー『INTO THE GALAXY』(全25公演)を開催。’14年6月には、カバー曲をレパートリーの中心に歌に特化したアコースティック・ライブプロジェクト『SONG COMPOSITE』(‘09、’11、’13年にツアー開催)を音源化したカバーアルバム『SONG COMPOSITE』、2作目の映像作品『TOUR 13 INTO THE GALAXY とある銀河の旅路にて』を同時発売。6~7月に全国ツアー『SONG COMPOSITE SPECIAL』(全10公演)を開催。さらに、弾き語りライブシリーズ『中田裕二の謡うロマン街道』もスタート。配信限定EP『薄紅』を経て、同年11月19日に4thアルバム『BACK TO MELLOW』、3作目の映像作品『SONG COMPOSITE SPECIAL IN NIHONBASHI』を同時リリース。現在は全国ツアー『TOUR’15 BITTER SWEET』を展開中(全16公演)。幼少時に強く影響を受けた70~80年代の歌謡曲/ニューミュージックのメロディセンスを核に、あらゆるジャンルを貪欲に吸収した一筋縄ではいかないサウンドメイクと、様々な情景描写や人生の機微をテーマとした詞作によるソングライティングは中毒性が高く、熱心な信奉者が多数。

中田裕二 オフィシャルサイト
http://yujinakada.com/

Live

ツアーもいよいよ後半戦で関西圏に!
4月には東阪ビルボードライブ公演も

Pick Up!!

【京都/大阪公演】

チケット発売中 Pコード246-450
▼2月20日(金)19:00
KYOTO MUSE
▼2月21日(土)18:00
梅田クラブクアトロ
オールスタンディング4620円
夢番地■06(6341)3525
※3歳未満は入場不可。3歳以上は有料。

チケットの購入はコチラ!
チケット情報はこちら

 
【熊本公演】
チケット発売中 Pコード246-881
▼2月23日(月)19:00
熊本B.9 V1
オールスタンディング4620円
BEA■092(712)4221
※3歳未満入場不可。
3歳以上チケット必要。

【愛知公演】
チケット発売中 Pコード247-202
▼2月28日(土)18:00
エレクトリック・レディ・ランド
オールスタンディング4620円
サンデーフォークプロモーション■052(320)9100
※3歳以上有料。3歳未満は入場不可。

【神奈川公演】
チケット発売中 Pコード247-018
▼3月1日(日)17:00
横浜ベイホール
オールスタンディング4620円
KMミュージック■045(201)9999
※3歳未満は入場不可。
3歳以上はチケット必要。

【宮城公演】
チケット発売中 Pコード247-157
▼3月5日(木)19:00
仙台Rensa
オールスタンディング4620円
G・I・P■022(222)9999
※3歳未満は入場不可。
3歳以上はチケット必要。

【北海道公演】
Thank you, Sold Out!!
▼3月7日(土)18:00
cube garden
1Fスタンディング4620円
マウントアライブ■011(211)5600
※3歳未満は入場不可。
3歳以上はチケット必要。

【東京追加公演】
チケット発売中 Pコード250-978
▼3月28日(土)18:00
赤坂BLITZ
1Fスタンディング4620円
2F指定5140円
ソーゴー東京■03(3405)9999
※3歳未満は入場不可。
3歳以上はチケット必要。

Pick Up!!

【大阪公演】

一般発売2月24日(火)
※発売初日はチケットぴあ店頭での直接販売および通常電話■0570(02)9999にて予約受付。11:00以降に空席がある場合は、コンビニエンスストアでの直接販売あり。
Pコード257-024
▼4月16日(木)18:30/21:30
ビルボードライブ大阪
自由席6900円
ビルボードライブ大阪■06(6342)7722
※未就学児童及び高校生同士の入場不可。18歳未満は成人の同伴が必要。

チケットの購入はコチラ!
チケット情報はこちら

 
【東京公演】
一般発売2月24日(火)
Pコード256-605
▼4月17日(金)19:00/21:30
ビルボードライブ東京
自由席6900円
ビルボードライブ東京■03(3405)1133
※未就学児童入店不可。18歳未満・高校生は成人の同伴にて入店可。

Column1

歌手・中田裕二から、素晴らしき
名曲たちに愛と敬意を込めて
時代を彩る歌謡曲からルーツに憧れ
椿屋四重奏まで。解放と挑戦の絶品
カバー盤『SONG COMPOSITE』
前回の撮り下ろしインタビュー

Column2

YesもNoも、時代も歌謡も
ロックもロマンも背負い込んで
中田裕二の会心の3rdアルバム
『アンビヴァレンスの功罪』
撮り下ろしインタビュー

Column3

まだまだあります!
歴代の撮り下ろしインタビュー

 
中田裕二がシーンに築いた絶対領土
『MY LITTLE IMPERIAL』!
やりたい放題の2ndアルバムを
異端児にして偉才が語る
撮り下ろしインタビュー

特設ページはコチラ!

椿屋四重奏解散、3.11、
そして初のソロアルバム
『école de romantisme』を語る
撮り下ろしインタビュー!

特設ページはコチラ!