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ホーム > インタビュー&レポート > YesもNoも、時代も歌謡も、ロックもロマンも背負い込んで 音楽シーンの道なき道を行く中田裕二の理想郷に光を照らせ―― 会心の3rdアルバム『アンビヴァレンスの功罪』 撮り下ろしインタビュー&動画コメントが到着!


YesもNoも、時代も歌謡も、ロックもロマンも背負い込んで
音楽シーンの道なき道を行く中田裕二の理想郷に光を照らせ――
会心の3rdアルバム『アンビヴァレンスの功罪』
撮り下ろしインタビュー&動画コメントが到着! (1/3)

 この男、ますますやりたい放題。中田裕二の3rdアルバム『アンビヴァレンスの功罪』は、椿屋四重奏解散後のソロとしての3年間で追い求め、広めてきた自身の音楽のキャリアという名のリミッターを解除し、極めて自由に、そしてこの男の核にある静かなる闘争本能と共に、全てのベクトルをアップデート。“アンビヴァレンス=相反する感情が同時に混在する、表面化する”という誰しもが抱え、そして時に時代をも翻弄するその価値観の元、バンド時代やソロとしての経験値も、セオリーなき混迷のシーンも、血となり肉となった音楽や歌謡曲から何から…中田裕二を形成する全ての細胞を背負う準備が出来たアルバムだと言えるだろう。“時は流れない。それは積み重なる”とは昭和の名キャッチコピーだが、今まさに30代という充実の時代を彷徨うロストジェネレーション・シンガーソングライターが、改めてそのロマンとイズムをたっぷりと語ってくれた撮り下ろしインタビュー。アルバムの最後を飾る『サンライズ』で、彼はこう歌う。“遅くはないぜ また始まろう、遅くはないぜ いま始まろう”。道なき道の先にある中田裕二の音楽の理想郷が、いよいよその輪郭を現してきた――。

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俺もやっぱり“バンド上がり”なんだって、スゴく自覚したんですよ
 
 
――年1ペースでリリース、それに伴うツアーと、ミュージシャンとしてのサイクルがきっちり出来てますけど、前ツアーから今作に向かう中で感じたことはあった?
 
「やっと…ソロになって全力で楽しめたというか(笑)。1枚目のツアーはね、やっぱりなかなか難しいところがあったんで。ようやく慣れてきたのもあるし、サポートメンバーの方たちが、一緒に盛り上げてくれたというか。そこの手助けもあって、結構自分を取り戻した感があったんですよ。熱量があるというか、“その日のお客さんを絶対に楽しませて帰す”みたいな、そういう心意気が全員にあった。“ソロとしてどうライブするか”みたいな感覚も摑めたし、ドンドン“もうちょいロックな曲が欲しいなぁ”とか、“もっとアガりたい”みたいな欲求が膨らんできて。そういう部分をしっかりカバー出来る作品を作りたいなぁって、もうツアー中には思ってましたね。半分ぐらい曲も出来てたし」
 
――同じ人間が歌って、同じ人間が曲を書いてるのに、変わるもんやねぇ。逆にそういうことも分からされる。
 
「そう、分からされる。“突き付けられる”というか…1人の楽しみ方がだんだん分かってきたというかね」
 
――飄々とやってるように見えるけど、やっぱりいろんな微調整をしてるという(笑)。前2作はある程度コントロールしてバランスを見て、作品数を重ねて自分を分からせていく、みたいなところはやっぱあったよね。でも、この作品に向かうところで、何かしらの確信とか入口みたいなものが、見えてきた。
 
「うんうんうん。やっぱ最初の2枚って、どこかしらロックなものに対してのアレルギーというか、あの頃(=椿屋四重奏)と同じことをやっても意味がないじゃないですか? そこに結構意識がいってるから、その辺の表現をすることにちょっと躊躇があって。でも、去年のツアーメンバーがロックフィーリング溢れまくる人たちだったから(笑)」
 
――アハハハハ!(笑) そやね(笑)。
 
「俺もやっぱり“バンド上がり”なんだって、そのときにスゴく自覚したんですよ。身体がどうしても次へ行きたがってるというか、うずいちゃう。だからそろそろ、ソロの中田裕二ならではのロック感みたいなものが出せるんじゃないのか?って。シリアスなものだったり、ちょっと攻撃的な。それもやっぱり自分の武器ではあるから。そこはまぁ遠慮せずに出してもいいかなぁっていう話で」
 
――自分がやってきたことなのに縛りを設けてたじゃないけど。まぁ縛りがあるからこそ出来るものもあるけど、本当に自由に湧き出てくるものとも、また違う。その引き出しを開けようと思ったら、いつでも開けられるのに。
 
「そうそう。でもそれが必要な過程だったし、ちょっと温存するっていうかね(笑)。ちゃんと納得した状態でやりたかったから。何かゴーサインが出ましてね、自分の中で」
 
――それは何を持ってゴーを出せたのかな?
 
「何だろうな…よりいろんな中田裕二を楽しんで欲しいことへの欲求だと思うんですけど。やっぱり基本的に気持ちがアンチなんじゃないですか。ものスゴいアンチだから、どうしても抑えられなかったっていう(笑)」
 
――アハハハハ!(笑)
 
「震災から2年が経ちましたけど、歯痒いことが多過ぎるし、その辺に対する苛立みたいなものもドンドン湧いてくる。そういう苛立だとしても、やっぱり曲を書く上でも表現する上でもきっかけにはなるんで、そういうものをガソリンにしてやってきたところもあるから、自然の流れかもしれない。意図的にスイッチを切ったとか入れたわけでもなくて、そろそろ小言も歌いたいなぁっていうね(笑)」

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とにかく時代に合わせたくないんですよ、俺(笑)
 
 
――曲を書いてて“あ、何かちょっと変わってきたな”って自分でも感じたりする?
 
「常にそれは感じますね。何かこう…研ぎ澄まされてくる感じもあるし、2枚目までは敢えてそういう部分を誤魔化すじゃないけど、俺がブツブツそういう歌を歌ってもあまり意味がないかなって思ってたところもあったので」
 
――そう考えたら『アンビヴァレンスの功罪』は、今までで一番自由というか、本当に“さぁ何を作りますか”っていう状態からの作品かもしれないね。
 
「そうですね。本当の意味でやっとソロとして作れたかもしれない」
 
――でも、そのアンチ感めっちゃ分かるわ。アンチって結構人を動かす原動力になるよね。
 
「やっぱりロックはね…って今さら言うのもアレですけど(笑)」
 
――今、2013年に、ロックを語る(笑)。
 
「でも、ロックもだいぶ形が変わってきちゃってるから、俺らの好きなロックではないというか。ドンドンドンドン…何て言うのかなぁ」
 
――まぁロックフェス向きの曲も、皆無だからね(笑)。
 
スタッフ「最高の褒め言葉じゃないですか(笑)」
 
「ホントそう。そこは相変わらずです(笑)」
 
――そんな現代にこの作品を聴いてたら、“そらこの人孤立するわな”って、思わへん?(笑)
 
「アハハハハ!(笑) やっぱり?(笑)」
 
――でも、振り返ってやっぱり昔がよかったってばかりは言いたくないやん。あの時代の音楽がよかったとか、あのバンドがスゴかったとか、いつまでも言いたくない。昔の音楽を聴かないといいと思えない時代なんかイヤやし。
 
「そうなんですよ。技術は上がってるかもしれないし、環境もスゴくよくなってるし、すぐ形に出来る。昔ほどお金はかかんないし、下手したらもう自分の部屋だけで完結させられる。でもやっぱりね、作品が持ってるエネルギーに関しては負けてると思うんですよ。世代の違いか分からないけども、何か響かない感じが正直あって」
 
――それに気付いてしまってる自分がいたら尚更、昔のそれと並べて勝てないなって思う作品を作りたくないよね。
 
「かと言って他と同じようなことは絶対にしたくないし…とにかく時代に合わせたくないんですよ、俺(笑)」
 
――アハハハハ!(笑) それいいね、スゴくいいね(笑)。
 
「時代に合わせたくないというか、合わない(笑)。合わそうとしても」
 
――今まで合わせようとしたことある?
 
「全然ないですけどね。よりそこに俺は勝機を見出したいというか」
 
――みんなが舗装された道を歩いてんのに…もうホンマにオフロード行ってるからね、あなた(笑)。茨の道ですよ。獣道ですよ。
 
「アハハハハ!(笑) 獣道(笑)。道すらない」

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俺は時代をスゴく意識してるかもしれない
ただ、今の時代の流行には乗ってない
 
 
――それこそ歌謡曲というのは中田裕二を語る上でよく話に上がるけど、当時の歌謡曲って時代にフィットしてるというか、ちゃんと相乗効果があったというか。
 
「そういう意味では、俺は時代をスゴく意識してるかもしれない。ただ、今の時代の流行には乗ってない。何かね、今それを歌うべきかな?って思っちゃうこともあるし」
 
――“今それを歌うべきか”って結構キーワードというか、今までのアルバムでも毎回感じてたよね。どのタイミングで、どういうことを歌うべきか。
 
「時代に学ぶ感覚でいくと、今こそ人間の濃いモノ、ものスゴく人が表現に出てるもの…70~80年代あたりの歌謡曲とかにはやっぱり、それをものスゴく感じるので。人間が滲み出ちゃってるものこそ今多く聴かれるべきだし、そういうところにこそヒントがあると思うんですよね」
 
――中田裕二の表現としては、その人間味というかまぁ自分のドロドロを…。
 
「はい、ドロドロを出すときが(笑)」
 
――とは言え、中田裕二のそれはまんまじゃないやん。今は赤裸々にモノを言うセンセーショナルな歌詞も多い。それも人間味の表現だとするならば、中田裕二のそれは、やっぱ違うよね。
 
「そうですね。生活感ではないですね。全部曝け出すことがリアリティではないと思うし、逆に核心からは遠ざかっていく。直接的に言えば言うほど遠くなっていくというか…もうネット社会がそれを分かりやすく表していると思うんです。これだけ情報があっても、正解が何1つない。結局、自分自身が答えを出さなきゃいけないんですね。その力を養わない限り、ずーっと問いばかりが溢れ返っちゃうと思うんですよ」

 


(2013年11月20日更新)


Check

Movie Comment

中田裕二がスイーツ他について
熱弁する(笑)動画コメント!

Release

グルーヴとロマンで独自の世界を
突き進むめくるめく3rdアルバム!

Album
『アンビヴァレンスの功罪』
発売中 3000円
NIGHT FLIGHT/RENDEZ-VOUS
NFCD-0002

<収録曲>
01. TERMINAL
02. MIDNIGHT FLYER [album mix]
03. ENEMY
04. 彼女のレインブーツ
05. blue morning
06. アンビバレンス
07. プリズム
08. マイ・フェイバリット
09. HEROINE
10. ユートピア
11. 旅路
12. サンライズ

Profile

なかだ・ゆうじ…’81年生まれ、熊本県出身。'00年、仙台にて椿屋四重奏を結成。'07年のメジャーデビューを経て、歌謡曲をベースにした斬新なロックサウンドで多くの音楽ファンを獲得。'11年1 月の突然の解散発表は大きな反響を呼んだ。3.11東日本大震災の被災地/被災者に向けて作られた『ひかりのまち』を震災直後に配信リリース(収益はすべて義援金として寄付)。同年11月、ソロとして初となるアルバム 『école de romantisme』を発表。12月から翌年3月に渡っては、初の全国ツアー『tour de romantisme』を開催(追加を含む、全26公演)。'12年9月、前作からおよそ10ヵ月というインターバルで2ndアルバム『MY LITTLE IMPERIAL』をリリース。10~12月には、2度目となる全国ツアー『IMPERIAL SUITE』を開催(追加含む、全22公演)。'13年5月からは、椿屋四重奏活動時の'09年より行なっている、歌に特化したアコースティックライブプロジェクト“SONG COMPOSITE”を、2年ぶりに開催(全18公演)。9月に3rdアルバム『アンビヴァレンスの功罪』を発表、全国ツアー『INTO THE GALAXY』を全国25ヵ所で開催する。幼少時に強く影響を受けた70~80年代の歌謡曲/ニューミュージックのメロディセンスを核に、あらゆるジャンルを貪欲に吸収した一筋縄ではいかないサウンドメイクと、様々な情景描写や人生の機微をテーマとした詞作によるソングライティングは中毒性が高く、熱心な信奉者が多数。

中田裕二 オフィシャルサイト
http://yujinakada.com/


Live

レコ発ツアーも後半戦に突入
大阪公演が間もなく開催!

『TOUR'13“INTO THE GALAXY”』

【香川公演】
チケット発売中 Pコード208-024
▼11月21日(木)18:30
DIME
スタンディング4500円
デューク高松■087(822)2520
※3歳以上は有料、3歳未満は入場不可。

Pick Up!!

【大阪公演】

チケット発売中 Pコード207-076
▼11月22日(金)19:00
BIGCAT
オールスタンディング4500円
夢番地■06(6341)3525
※3歳未満は入場不可。3歳以上は有料。

【愛媛公演】
チケット発売中 Pコード208-025
▼11月24日(日)17:00
松山サロンキティ
スタンディング4500円
デューク松山■089(947)3535
※3歳以上は有料、3歳未満は入場不可。

【神奈川公演】
チケット発売中 Pコード207-474
▼11月30日(土)18:00
横浜ベイホール
オールスタンディング4500円
KMミュージック■045(201)9999
※3歳以上はチケット必要。
3歳未満は入場不可。

【茨城公演】
チケット発売中 Pコード207-923
▼12月1日(日)17:00
水戸ライトハウス
オールスタンディング4500円
ソーゴー東京■03(3405)9999
※3歳未満は入場不可。
3歳以上はチケット必要。

【福島公演】
チケット発売中 Pコード207-686
▼12月6日(金)19:00
club SONIC iwaki
オールスタンディング4500円
G・I・P■022(222)9999
※3歳未満は入場不可。
3歳以上はチケット必要。

【栃木公演】
チケット発売中 Pコード207-923
▼12月8日(日)17:00
HEAVEN’S ROCK Utsunomiya VJ-2
オールスタンディング4500円
ソーゴー東京■03(3405)9999
※3歳未満は入場不可。
3歳以上はチケット必要。

【広島公演】
チケット発売中 Pコード207-533
▼12月14日(土)18:00
ナミキジャンクション
オールスタンディング4500円
夢番地広島■082(249)3571
※3歳以上チケット必要、3歳未満は入場不可。

【静岡公演】
チケット発売中 Pコード208-322
▼12月15日(日)17:00
Live House 浜松 窓枠
オールスタンディング4500円
サンデーフォークプロモーション静岡■054(284)9999
※3歳以上有料。3歳未満は入場不可。

【宮城公演】
チケット発売中 Pコード207-686
▼12月17日(火)19:00
仙台Rensa
オールスタンディング4500円
G・I・P■022(222)9999
※3歳未満は入場不可。
3歳以上はチケット必要。

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Column1

中田裕二がシーンに築いた絶対領土
『MY LITTLE IMPERIAL』!
やりたい放題の2ndアルバムを
異端児にして偉才が語る
前回の撮り下ろしインタビュー

Column2

椿屋四重奏解散、3.11、
そして初のソロアルバム
『école de romantisme』を語る
撮り下ろしインタビュー!