『ウラなんばグランド花月』に出演する
アイロンヘッドがメッセンジャー・黒田に質問!
「舞台とテレビの違いを教えてください!」
9月25日(水)~27日(金)になんばグランド花月で開催される『ウラなんばグランド花月』。このイベントは、知名度抜群の芸人から舞台を中心に活躍するレアな芸人まで、またとない顔ぶれがそろうのが魅力。
そこで『ウラなんばグランド花月』に向けての特別クロストーク第3弾は、舞台にテレビ、ラジオと八面六臂の活躍を見せるメッセンジャー・黒田と、9月26日(木)に出演するコント師の新星、アイロンヘッドが初顔合わせ。『歌ネタ王決定戦2013』など、近ごろ少しずつメディアにも活躍の場を広げ始めたアイロンヘッドが「舞台とテレビの違いはなんでしょう?」と質問をぶつける。トークは、テレビの話から舞台の大切さに広がり…。さまざまな世界を見てきたメッセンジャー・黒田は、どんなアドバイスを若手に捧げるのか!?
黒田:君ら、『歌ネタ王決定戦2013』に出てたな! テレビで見てたで。
辻井・毛利:ありがとうございます!
毛利:これまでも、ちょこちょこテレビにも出させてもらう機会があったんですけど、僕ら、テレビのことをまだあまりよく分かっていないんです。舞台は目の前でお客さんの反応が分かるから、「こうやったらほうが喜んでくれるんやな」と分かるんですが……。
辻井:舞台とテレビは「別モンなんちゃうか?」っていう感じがしてます。
黒田:うん、別モンやね。舞台は突発性があって、自分が前に立っておもしろいと思ったことをしてもいいけど、テレビはあくまでも「楽しく、明るく!」やからな。極端な話、おもしろくなくてもいいねん。どっちかというと、明るく、楽しくのほうが大事やろうな。
毛利:テレビの仕事のときは、僕いつも2個ぐらいギアを上げて挑んでます。実は全然「どうも~っ!!!」みたいなタイプではないんですけど、がんばってます。
辻井:うん、毛利のがんばってる感じは伝わってるよ。
毛利:回りからも「テレビのときは、やけにがんばってるね」って言われます。
黒田:収録ではそのほうがいいもんな。テレビには、テレビの作り方があるということやね。平たくいうと、テレビ番組というのは、作るスタッフさんのものやねん。最終的にはスタッフさんが仕上げてくれてる。でも舞台は、ピンスポが当たったらお前らだけのものやろ? そのかわり、絶対におもしろくないとあかん。全責任がある一方で、ウケたらその笑いも自分たちだけのものやし。
毛利:な、なるほど~。
黒田:だから俺は、吉本興業の芸人やったら、まずは舞台の気持ちよさを知ってほしいし、知るべきやと思うな。こんなにいい劇場がそろってるねんから、これを利用するに越したことはないやろう。なんばグランド花月でウケる奴は、テレビでも絶対にウケるで。
辻井:僕、舞台でのお笑いをテレビでもできると思ってたんですけど、「それだとしんどいんかなぁ」と感じる時期があったんです。だから、今のお話を聞かせてもらってよかったです。
黒田:でも反対に、テレビでウケる奴は、舞台ではスベる可能性があるねんな~。それに、テレビと舞台でのウケ方は、芸人側の受け取り方も全然違うやんか。舞台の方が1000倍ぐらい楽しいし気持ちいい。それに俺は「テレビのほうが楽なんちゃうか?」って思うことがあるねん。だって週に7本のレギュラー番組を持ってる奴がいたとして、そいつが週に7本、『ウラなんばグランド花月』みたいに新たなイベントを生み出すなんて不可能やろ? もちろんテレビの仕事も大変やけど、舞台と違って力の分配ができるような気がする。
辻井:舞台はすべてに全力投球ですもんね。確かにやってて楽しいんは、舞台のほうかな。
黒田:それに、お客さんも楽しみにしてわざわざ劇場まで足を運んでくれてるし、こっちもそのために作ってるからね。お前らも5upよしもとに出てるんやろ?
毛利:はい。5月までは、「キラメン7」っていう、TOP3組とバトルで勝ち抜いた上位4組のユニットに所属してたんですけど、今は外れてしまって。
辻井:舞台には出られるんですけど、テレビの出演はなくなりました。
黒田:それは何で決めるの?
毛利:3カ月に一度、バトルがあるんですけど、その順位で決まります。
黒田:それは辛いところやなぁ。キラメン7に入ってたら何が違うん?
辻井:劇場の出番に加えて、イベントにテレビ、ラジオがありますから、単純に、仕事の量が違いますね。
黒田:うーん、5upでウケへんかったとしても、なんばグランド花月ではどうか分からんやんか。結局、決めるのはお客さんやから。だから、お前らがどういうお客さんをターゲットにするか、自分らで決めておいた方がいいんちゃうか? ネタバトルとか辛いところやけど、この世界はそういうことって付き物やから、今はそれでやっていけばいいとは思うで。一番怖いのは、お前らが「こんな笑いがしたい」というものがブレること。「こんな笑いがしたいけど、あれが流行ってるからあれをやっておこう」と考える奴はすぐ墜落するで。ブレてしまって、結果的にどうにもやりようもなくなってしまうことがある。その「キラメン7」っていうやつに選ばれなくても、いろんな道があるわけやし。
辻井:芯の芯は、たぶんこれからもブレへんと思ってるんですけど……。
黒田:それでいいやんか。営業でめちゃくちゃウケるというのも道やし、昔でいうところのビッキーズなんかは、ネタのときにアメを配って「何しとんねん!」とか言われてたけど、それがあったから新喜劇の須知がおるわけやん。生き急いで、短期間で行く末を決めるほうがおかしいんやよね。これから、何が待ってるかわからんしな。
辻井:ただ、多少、バトルのランキングは気になってしまうんです。
黒田:その気持ちも分かるで。ただ、「これがおもしろいと思うねん」があれば、あとの肉付けは何とでもなるやんか。
毛利:そうですね。確かに、「ここだけは崩されへん」というのは持っておきたいと思ってます。
辻井:ところで、黒田さんはなんで今回の舞台を手がけようと思いはったんですか?
黒田:野球で例えたら、ずっとピッチャーだけやるんじゃなくて、年齢的にもコーチもできるように、ということかなぁ。別に、俺がずっとやらんでもいいねん。誰が誰に変わってもいいけど、まず立ち上げる部分は必要かな、と思って。
毛利:そうやったんですか。
黒田:うん。それに、目当ての芸人がいるお客さんに来てもらうのもいいねんけど、やっぱり全体を見てもらって、「『ウラなんばグランド花月』がおもしろかった!」ということにしないとあかんとも思ってるねん。もし「メッセンジャー・黒田を見に来た、メッセンジャー・黒田がおもしろかった」というお客さんばっかりやったら、若手が出て行かれへんやんか。だから、『ウラなんばグランド花月』は、全部をおもしろいと思ってもらえるようにしたいねん。
辻井:ありがたいですね。
毛利:僕ら、なんばグランド花月の舞台に立てるチャンスが少ないですから。
黒田:いうても『なんばグランド花月』自体がそういう仕組みやん。若手が出て、中堅どころ、ピン芸人がおって、落語家さんがいて大御所が出て、最後に新喜劇があって。それで、お客さんは何が楽しかったというと「なんばグランド花月が楽しかった」ということになるやろ? 2分ネタとか、テレビサイズでできることを、劇場でやる必要はないと俺は思うし。それより、劇場でこういうイベントをもっと増やしていかないとあかんのとちゃうかなと思うわ。それに、お金を払って見に来てくれるお客さんがどう感じるかを大事にしたい。
辻井:『ウラなんばグランド花月』は、ひとつの塊なんですね。
黒田:そうそう。もちろん俺とかギャロップとか、野性爆弾を楽しみに来てくれるのもいいけど、それだけじゃなく、俺は全体的なパッケージとしてやりたいねん。お前らみたいな若手の子が光るようなことができたらええなぁと思ってるで。
辻井・毛利:そ、そうなんですか!
黒田:ほかの出演者も、ポスターには「ウラ芸人」って書いてあるけど、そういう意味ではあんまりメリットを考えず、自分がおもしろいと思うことを貫く芸風の人らばっかりなんじゃないかな、と。野性爆弾なんて、その最たるもんやと思うし。 まぁ……、ギャロップはそうじゃないと思うけど。
辻井:そうなんですか?(笑)
黒田:もうひとつ言うと、組み立てをしっかりしたいと思ってるねん。もりやすバンバンビガロみたいな芸を薬味みたいな感じて入れて。あとは、三浦マイルド、野性爆弾、ガリガリガリクソン……。うーん、こう並べてみたら、メリットを考えない人というか……。なんちゅうか、小汚い芸人の集まり……みたいになってきてるな。
辻井・毛利:こ、小汚いって!!
(2013年9月24日更新)
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