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「できるだけ多くの人に届きそうな歌を作らないと、じゃなくて
 今、自分が歌いたいことは何なんだ?」
’19年の覚醒を形にした、これがAmelieの『アイデンティティ』!
初の東名阪ワンマンツアーを前に語るインタビュー&動画コメント

 学校、職場、趣味、友達関係etc、日々を生きるシチュエーションの中で、“自分の好きな自分”でいられるかは、案外難しい。イメージ、レッテル、立場に組織…様々な要素に包囲される、本当の自分。それはミュージシャンとてそうで、フェスにメディアに数字にSNS、好きで始めたはずの音楽が、あれだけ楽しかったバンドが羅針盤をなくし、シーンという非情な大海原に容赦なく飲み込まれていく。Amelieとてその例外ではなく、時にまだまだ高い頂に翻弄され、時に幸運をいち早く掴んだ背中に打ちのめされる…。そんなAmelieが’19年という1年をかけて、一度は見失いかけた衝動と、この4人で音楽を奏でる喜びを再び取り戻したのが、11月13日にリリースされたミニアルバム『アイデンティティ』だ。ヒリヒリするようなビートで幕を開ける全6曲21分には、Amelieの新たなフェイズを感じさせる切なき名パワーポップ『バウムクーヘン』や、音楽で、言葉で無邪気に遊んだロッキンでリラクシンな『月の裏まで』ほか、成功にすがる悲壮感ではなく音楽を自由に楽しむ高揚感に何度でも胸を打たれるピュアネスを装填。そして、11月29日(金)大阪・アメリカ村 BEYONDより、初の東名阪ワンマンツアー『Amelie「アイデンティティ」 Release Tour 2019-2020』がいよいよスタート。“ありがちな出来事も全部年輪になって/堂々と立つ為の一つでしかないのさ”(『バウムクーヘン』)と言ってのける、今が最高で最強なAmelie全員インタビュー!

 
 
“こうじゃなきゃいけない”みたいな枠を取っ払えたんだと思います
 
 
――いつもはmick(vo&g,p)の単独取材で、苦悩を何なり吐いて帰られてますが(笑)。
 
mick「はい(笑)」
 
アサケン(ds)「mickが本当にスッキリして帰ってくる(笑)」
 
あっきー(b)「だから今日ビビってたの?」
 
mick「“4人で会合するとどうなっちゃうんだろう?”と思って」
 
――前作『ノンフィクション』('19)のときにあった予感が、『アイデンティティ』は確信になったような盤で、そういう意味でも’19年はメンタル面での変化が大きかった1年だったのかなと。
 
アサケン「前作の変化は“何となく”に近くて本当に手探りだったんですけど、『手と手』(’19)でmickの作風が変わったんですよ。今回はその延長線上で作った感覚で、手探りだったものがしっかり見えてきて。“もっとこうしたい/こうしよう”がハッキリ出始めてるので、早く今回の曲たちをライブでやりたいんですよね。これだけワクワクしてるのは久々かもしれない。割と原点に返ったような期待感が大きいですね。特にmickが精神面でスッキリしたと思うんですけど、“こうじゃなきゃいけない”みたいな枠を取っ払えたんだと思います。だから曲の作り方も自由になってきたし、よりアーティスティックになったんですよね」
 
あっきー「今回はMVを撮る曲も結構意見が分かれたんですけど、最終的にまとまったのが今の方向性で、フラットに肩の力を抜いて話し合うことが前より多くなりましたね。これまでは、4人が4人同じ意見なわけがないから、前向きに自分に言い聞かせてやってきた部分もあったんですけど、今回はそれが0に近いというか。結果として過去最高傑作と言えて、ベースプレイにしても100%やり切れたし」
 
mick「『ノンフィクション』のツアーから、ライブで喋るように歌う、歌うように喋るみたいな感覚を取り入れ始めて。思ってることをメロディに乗せちゃえば言えるようになってきたのもあったりして、何だか言葉を好きになった、そんな1年でした。曲作りに関しても、“Amelieのmick”になろうとしてたんだなってどこかで気付いて、月イチのラジオ(=Kiss FM KOBE『MUSIC APPLE』)で映画を観て曲を作る宿題をやってるんですけど、それもすごくストレス発散になってて。“昔ってこういう感じで曲を作ってたよな”って思い出してから、より楽しくなりましたね」
 
直人(g)「僕は前回の『ノンフィクション』からいろいろ変えていこうという流れで、下地ができた1年だったなと思って。その総まとめとして『アイデンティティ』が出来上がったと思うし、今までは評価=数字が自分たちの自信とつながっちゃって不安定な気持ちで活動してたのが、今はもう作品だけで自信満々みたいな状態になれたので。いろいろとこれから先のビジョンもあるし、バンドをすごくいい状態に持っていけた1年だったなと」
 
――事の中心であるmickがそんなにスッキリ変われたのは何なんでしょう?
 
mick「自分のことを縛り過ぎてたんですよね。あと、言われたことを過剰に受け止め過ぎてたというか…っていうので、何だかもう疲れちゃって(笑)」
 
あっきー「でもまぁ、それが肩の力が抜けたことにもつながったし」
 
mick「『アイデンティティ』を作れたことによって、“ありのままのmickです!”みたいな感じになれた。音楽家として自信が持てるようになったからかもしれないですね」
 
――不思議なもんだよね。自分たちで枠組みを作ってみたり、違うかなと思いながらもやってみたり。自由にやっていい表現であり職業だからこその難しさ、面白さもあって。
 
mick「何かね、そこを忘れちゃってたんですよね。“できるだけ多くの人に届きそうな歌を作らないと”じゃなくて、“今、自分が歌いたいことは何なんだ?”みたいなところに戻れたんで、それはよかったですね。多分、『クルテク』('18)があって、そこから『手と手』が書けて、“あれ? この感じかも”っていう」
 
アサケン「あと、“こうじゃなきゃいけない”が薄まってきた時期に作ったから、“言葉で遊ぶことが今は楽しいんだろうな”っていうのが見てて分かって。それがmickというアーティスト像をより具体的にしてくれたのはあると思う」
 
mick「エンジニアの兼重(哲哉)さんのおかげもあるんですけど、“mickちゃん、もうちょっといけるんじゃない? 連想ゲームでいいから、歌詞をもっと考えてみたら”みたいに言われてから、覚醒し続けてる感じがあるんですよね」
 
 
自分の言葉で歌いたい
 
 
――そこから今回の『アイデンティティ』に流れ着いたのには、どんな段階があって?
 
mick「元々は直人さんが『アイデンティティの証明』(M-2)を違う感じで歌詞まで書いてきてくれてたんですけど、それを…“自分の言葉で歌いたい”っていう自我が芽生えたというか」
 
――世に広がるためには、Amelieのためなら、シンガーに徹して、じゃなくて。そこは改めて変わったところですよね。でも、元々あった曲をいじられるわけじゃないですか。直人さん的には内心どうだったんですか?
 
直人「mickと僕はやっぱりタイプが違う人間だと思うし、mickが自分の言葉で歌いたいという意思が強くなってきたのは、いいことだと思っていて。元々僕もこのバンドではコンポーザーじゃなくてギタリストになりたかったので、今なら改めてそういうポジションになれるなって。その分、今回はプレイヤーとしていろいろとアイデアを詰められたところもあるし、個人的にはいい方向に向かったなと思ってますね」
 
――でも、これがmickと同い歳ぐらいのソングライターだったら、絶対そうはなってないだろうな~。“何で俺の歌詞を変えるんだよ!”みたいになるよね?
 
(一同笑)
 
あっきー「でも、だからかラスト付近のギターソロが、めっちゃエモいんですよ。泣いてるように聴こえる」
 
mick「泣いてるよね。“俺の歌〜!!”って(笑)」
 
あっきー「この曲はオケだけ最初に録っちゃってたので、後からこの歌詞をハメたわけでしょ? 本当にガラッと変わったのはすごいなと思いました。だって、歌詞の文字数とかも制限されちゃうわけじゃないですか」
 
――そうね。その上で自分の言いたいことを、ってなると。
 
mick「でも、元々直人さんが書いてくれていた歌詞を見て、どういうことを歌いたかったのかもチラッと聞いて」
 
直人「そこは僕から見ても納得の形なので」
 
あっきー「元々はAメロがポエトリーリーディングみたいな感じで、それもめっちゃよかったので、“これを変えちゃうのか~”と思ってたんですけど、変わったものを聴いて、“おぉ~!”ってなったもんね。直人さんが曲、mickが歌詞っていう形は初だから、新しいですよね。俺は昔からの直人さんの曲のファンなんですけど、やっぱりmickにはない尖ったサウンドを作ってくれるので、今後はこういう作り方もアリなんじゃないかなって今、思っちゃいました」
 
――ギタリストが曲を書き、ボーカリストが歌詞を書くっていうのはロックバンドの黄金のセオリーでもあるから、今後はそれ前提で曲を作ってみてもいいかもね。ただ、『アイデンティティの証明』の歌詞は生々しいというか、ここ数年のmickの苦悩が滲み出てて…。
 
(一同爆笑)

あっきー「いや~いいですね~(笑)」
 
mick「バレバレや!(笑)」
 
――今回のアルバムにたどり着いた経緯としても、この歌詞は分かりやすい。この曲以前に書いた他の収録曲も、知らず知らずアイデンティティがモチーフになっていたのは、今となっては導かれていた感じもしますね。
 
 
また思い悩むだろうし、それを超えられるのも分かってる
 
 
――『カントリーロード』(M-1)はイントロのイメージが最初にあったということですけど、このイントロ、普通にビートを刻んでいるだけなのに何でこんなにカッコいいんだろうと
 
あっきー「ざっくりしたサウンドのイメージで、“無駄を削ぎ落としたい”っていうのはみんなで話してたかも。だから、“ロックな感じ!”とか、“ギターがダウン(ピッキング)で刻んでる感じ!”みたいな」
 
――ただ、故郷の埼玉について歌った曲は以前から書きたかったものの、なかなか形にできなかったみたいで。
 
mick「赤山街道とか4号線とか、越谷ならではのワードを入れた曲を作りたいなと思って書きかけてたんですけど、 “ダサッ!”ってなってやめて(笑)。『カントリーロード』というタイトルを思い付けたから入れられた気がします」
 
あっきー「YouTubeにあった赤山街道を車で走ってる早送りの動画を流しながら、歌入れしてたよね?」
 
mick「アハハ!(笑) “そう、これこれこの風景!”って」
 
――そして、歌詞にある“15の夏”には、mickが大失恋したと。
 
mick「ちょっと怖い話、聞いてくれます!? 『カントリーロード』の歌入れが終わったとき、たまたまその張本人から電話がかかってきたんですよ! “今、何してんの?”、“レコーディングしてます”とか言って」
 
――何かイヤね、元カノに敬語で返されるのはね(笑)。でも、あのときmickが失恋してなかったら今頃、音楽なんて、バンドなんてやってなかったかもしれない。
 
mick「いやもう本当にそうで。コピバンみたいなことをチラッと一緒にやってたんですけど、そのとき“mickの歌なら天下取れるよ”とか調子のいいことを言われたから、“あ、ですよね”と思って(笑)」
 
(一同笑)
 
mick「そこから結局、失恋して、“これはバンドをやるしかない!”と思って。その恨みを晴らすかのように始めたのが(笑)、最初のきっかけだったので」
 
あっきー「だから最初のバンドはあんなに暗かったの?(笑)」
 
mick「そう(笑)。あのとき失恋してなかったら、バンドはやってないと思います。エモいっすね(笑)」 
 
――今作には故郷を歌った『カントリーロード』と対になる『東京』(M-5)という曲も入っていて。東京は言わばロックバンドの永遠のテーマの1つというかね。
 
mick「何なんですかね? だいたい名曲ですよね、『東京』っていう曲って」
 
――関西から見ると東京ってやっぱり勝負しに行く場所というか、拠点を変えなきゃならないから“乗り込むぞ!”みたいな感覚はあるけど、東京出身でもなく、でも、埼玉という距離感が近いバンドとなると、ステレオタイプの東京像とも違うし、それがオリジナリティにもなると思いますけど。
 
mick「すぐに行けるし帰れるけど、昔は東京で企画をやるだけで大騒ぎで。でも、事務所が渋谷にあってっていう環境にどんどんなってきて、うちら的にもやっぱり東京は勝負しに行く場所みたいな感覚はあるし、なりたい自分になれる場所、なるために行く場所みたいなところがあったりして。でも、『カントリーロード』ができたから収録できたというか、セットで入れたかったんですよね。だから歌詞にもつながりを持たせて」
 
――ちゃんと故郷を歌ってるからこそ、『東京』も沁みるというか。
 
あっきー「実は『東京』って結構前からあった曲で、俺的には推し曲だったんで収録できてめっちゃ嬉しいですね」
 
mick「『ドラマチック』('17)ぐらい、めっちゃ前」
 
アサケン「歌詞も結構変わったもんね、やっぱり」
 
――欠片はあっても形になるまで時間がかかる曲も結構あるね。でも、それができたときにバンドの成長を感じるところもあるし。今のバンドのムードなら、曲作りも心地よく気持ちよくできそうな感じが。
 
mick「今回は本当にそうですね。でも、また思い悩むだろうし、それを超えられるのも分かってるし。覚醒中の’19年でもさらにゾーンに入ったときって…もうすごいですよ、脳みそヤバい!」
 
――語彙力のなさよ!(笑)
 
(一同爆笑)
 
――でも、この調子のよさが逆に怖くなるけどね。無双モードな今だけに。
 
あっきー「でも、俺たちももう何年もやってきてるから、こうやって繰り返していくのかなって思います。今は“自由でいいじゃん”ってなってても、何年か先には“こうならなきゃいけない”ってまた思うかもしれない。でも、そのときそのときの“こうしよう!”という気持ちには自信を持とうって、ポジティブに捉えたいですよね。やらなきゃよかったじゃなくて、やったから今があるって」
 
――結局、限りなく素に近い自分たちを好きになってもらわないと、後から自分で自分の首を絞めることになる。めちゃくちゃ頑張って盛ってる状態の自分を好かれても、帳尻合わせが大変だもんね。
 
mick「ちょっと頑張り過ぎたわ(笑)」
 
(一同爆笑)
 
――今のmickが、今のAmelieがいいってことは=本当の自分たちがいいって言ってくれてるに近いもんね。
 
あっきー「最近はライブハウスの店長さんとかPAさんからも、“やっとAmelieが楽しくやれてる感じがする”っていう意見をもらって。見え方的にもそうなれてるのかなって」
 
――今まではどこか思い詰めてる悲壮感があったというか、“何とかしなければ…”みたいなね。
 
アサケン「その空気を消したくて、結構苦労したんですよね。何か敗者が、弱者が一生懸命やってるみたいなライブになりがちだったから。でも、それって観ててもあんまりいい印象ばかりじゃないのかなと思って」
 
mick「“くっそー!”みたいな。だから、“ただ音楽やりたいだけなのに、何でこういうことばっかり歌わないといけないんだろう?”って思っちゃって」
 
――自分で書いてるくせに。
 
mick「まぁ…そうね(笑)」
 
(一同爆笑)
 
mick「そんなのつまらない、もったいないなって。もっと楽しめることをしようというモードに今はなりました」
 
 
やっぱり自分は歌が好きなんだ
 
 
――今作で個人的に一番いいなと思った曲は、『バウムクーヘン』(M-3)でした。パワーポップさもあって、これはちょっと新しい展開じゃないかと。
 


mick「(拍手)。いいですよね、『バウムクーヘン』と『月の裏まで』(M-4)」
 
アサケン「今回のMV曲がそれなんですよ」
 
――意外! ベタに『カントリーロード』とか『アイデンティティの証明』がMVになるだろうなと思ってたから。
 
アサケン「むしろそうじゃない方を推すという(笑)。でも多分、そっちを選んでたら何も変わらないかなと思って」
 
――確かに。ヘンな話、『バウムクーヘン』的な空気感の曲の割合を増やしていったら、Amelieはまたちょっと違うイメージを手に入れられるかもと思った。
 
mick「へぇ〜」
 
アサケン「今、mickは“へぇ〜”って言ったけど、メンバーもみんなそう思ってるぐらいだから(笑)」
 
――今までのAmelieのイメージからするとちょっとイレギュラーな曲かもしれないけど、映画のエンディングテーマみたいな感じもして、いい曲だなと。
 
アサケン「比喩も綺麗だし、それが積み重なって構築されてる。すごいアーティスティックな曲なんですよね」
 
mick「そうなったのも、今年は芸術家になりたいと思ってたから、詩集でも読むかって」
 
――何かその短絡的な感じもかわいいな(笑)。
 
mick「アハハハハ!(笑) 谷川俊太郎さんのだったかな? 内容とかは全然覚えてないんですけど、バウムクーヘンっていう言葉がかわいいなと思って。あと、うちのおじいちゃんが北海道の人で、三方六っていう有名なバウムクーヘンのパッケージに関わった人だったらしくて、自分の中で何か引っかかってて」
 
――バウムクーヘンをテーマに曲を書く発想になることってあるのかな? と思ってたけど、そういうことね。
 
アサケン「また、バウムクーヘンが全面に押し出されてないところがいいんですよね。どっちかって言うと、年輪とかそっちの方がメインにきてるので」
 
――“ありがちな出来事も全部年輪になって/堂々と立つ為の一つでしかないのさ”というフレーズは、すごくいいなと。さっきの素の話じゃないけど、本当の自分じゃないと、堂々とはできないもんね。あと、この曲のクレジットの作曲がAmelieになってるのは、ジャムってるときに曲ができたからだと。
 
mick「最初のイントロの部分を弾いたらみんなが乗っかってきて、“これ、ちょっと持って帰って作るわ”って」
 
あっきー「あの瞬間っていいよね。“それそれそれ!”って、むっちゃテンション上がって」
 
――『月の裏まで』もファンタジックなラブソングですけど、この曲をみんなが肯定してくれたことで、mick個人の世界観をAmelieに持ち込んでいいんだと思えたきっかけになったと。
 


mick「まさに。これも作ったのは今のモードになる前で、いろいろ考え過ぎちゃって、“もう体育会系の曲はできねぇよ!”みたいな時期で(笑)。当時は“『朝は来る』('17)の続編みたいな曲を作らないと”って、ずっと思ってたんですよね。それに疲れちゃって、酒でも呑むか〜と思っても、結局、ギターを触って歌ってる。やっぱり自分は歌が好きなんだなと思って、鼻歌からできた曲ですね。曲作りシーズンのときに“mickは何かネタないの?”って聞かれて、“あるけど多分採用されないんで”って言ってたんですけど、一応、歌ってみたら、“いいじゃん!”って」
 
あっきー「100“いいね!”ぐらい押したよね、俺(笑)」
 
――この曲はギターにレッチリ感もあって、ロックでいいですね~。
 
直人「いろんなアレンジの方向性が見えたんですけど、これから自分たちが行きたいところを考えていたら、この曲はやっぱりロックバンドとして表現しようと。とりあえずファズを踏みゃいいかなっていう(笑)」
 
――最後の『フルスピードで』(M-6)では、“転んで擦りむいたって折れるような心じゃない”と言えるまでになり。
 
mick「でもこれも、実は今のモードになる前、『朝は来る』の続編を作らねばモードのときで、SUPER BEAVERとsumikaが去年、武道館でやって。sumikaのライブが終わってバックヤードに行ったら、“次はお前らな”って言われて、それをそのまま書いたんです」
 
――そう考えたら、自分が書いた曲みたいな自分になり始めてる感じも。
 
mick「それは思いました。生まれ変わるじゃないですけど、“強い自分になりたい”みたいな目標を掲げて、それにようやく追い着いてきたのはあるかもしれないです」
 
 
自分たちが単純にいいものを作って
それに結果をついてこさせるという考えに改めてたどり着けた
 
 
――そして、リリースツアーは初の東名阪ワンマンツアーで。11月に大阪、12月に名古屋と巡って、年明けのファイナルは3度目の挑戦となる、因縁の渋谷CLUB QUATTROです(笑)。
 
mick「もう本当に!(笑) 過去2回もそうだし、LIQUIDROOMのときも、今回ももちろんそうではあるんですけど、数字数字みたいに追われるだけだと面白くないなと。それよりも中身の濃いライブを作れるように、そっちに脳みそを回したいなと思ってます」
 
――音源しかり、みんなのSNSしかり、今までで一番健やかにやれそうな気がするね。
 
アサケン「やっぱり“盛り上げなきゃいけない”っていう空気じゃなくなったのが一番デカいかも。もっと素直に、盛り上がる曲をやれば自分たちも盛り上がって、結果、お客さんも盛り上がるみたいな流れになってる気がします。ただ、今年はここ数年のAmelieからしたらライブが少なかったので、来年はもっといっぱいライブがしたいですね。それでいい結果が出る自信が、今のバンドには何となくあるんじゃないかな。だから、この新曲たちを早くライブでしまくりたいです。ゴールド免許になったので、それを失わないようにね(笑)」
 
あっきー「昔、お世話になってた地方のライブハウスにも行きたいし、改めて4〜5バンドぐらいの対バンツアーもしたいんですよ。自分が好きなバンドとか仲良いバンドも多いので、普段遊んでるだけじゃなくてステージで一緒にやりたいのがある(笑)。それが本数にもつながると思うんですけど、来年は積極的に動けたらなと思うし、そういう観せ方もしていきたいですね。’21年には結成10周年を迎えるので、そこに向けて具体的な話もしつつ、その準備期間であり、攻める年にしたいですね」
 
mick「Amelieをロックバンドとしてやるのは大前提でずっと変わらないことだけど、もっといろんな畑の人と関わってみたいなって。そういう人たちをいずれ『鐘フェス ~君が為に越谷で鳴らす~』に呼べたら面白いなと思ったり。ライブはこのままの感じでやれてたらまた新しい何かが自分の中で覚醒するかもしれないし、マイペースに、潰れないように(笑)、健やかに来年も過ごしたいです!」
 
直人「ライブにしても作品にしても、自分たちが単純にいいものを作って、それに結果をついてこさせるという考えに改めてたどり着けたので、このワンマン3本も絶対的によくなる底知れぬ自信みたいなものが今はあります。10周年に向けてもメンバー内でいろんなアイデアが浮かんできて、来年はいろいろと面白く動けそうなので、本当にシンプルに音楽を楽しむ、バンドを楽しむスタンスでいきたいですね」
 
――ちなみに、最近の直人さんのTwitterの、ライブには出てないのに打ち上げに顔を出して、最後まで残って泥酔する一連のシリーズが最高です(笑)。
 
mick「アハハ!(笑)」
 
直人「めっちゃいろんな人に言われる! ちょっと挨拶しに行っただけのはずなんですけどね…(笑)」
 
――まずは、ワンマンツアー初日の11月29日(金)大阪・アメリカ村 BEYONDからいい景色を観て、おいしいお酒を呑んで(笑)、来年も笑って会えますように!

(一同爆笑)
 
全員「はい! ありがとうございました~!!」
 
 
Text by 奥“ボウイ”昌史
 




(2019年11月18日更新)


Check

Movie

新譜、ライブ、神戸のラジオについて
Amelieからの動画コメント!

Release

アップデートされた延長戦上と
真価と新境地を詰め込んだ会心作!

Mini Album
『アイデンティティ』
発売中 1800円(税別)
[NOiD]/murffin discs
NOID-0033

<収録曲>
01. カントリーロード
02. アイデンティティの証明
03. バウムクーヘン
04. 月の裏まで
05. 東京
06. フルスピードで

Profile

アメリ…写真左から、アサケン(ds)、直人(g)、mick(vo&g,p)、あっきー(b)。紅一点のmickを中心に’11年に埼玉県越谷市で結成。’15年にSUPER BEAVER、sumikaらが所属するロックレーベル[NOiD]より、フリーデモシングル『手のなるほうへ、光のほうへ』を8000枚を配布し、同年12月に1stフルアルバム『グッバイ&ハロー』を初の全国流通音源としてリリース、新人ながら現在5000枚以上のセールスを記録。’17年1月にはミニアルバム『ドラマチック』をリリース、そのツアーファイナルとなる渋谷CLUB QUATTROでのワンマンライブも大盛況に終える。同年夏には『RUSH BALL 2017』『百万石音楽祭 2017』などの大型フェスにも出演。11月には、フルシングルと銘打って『ステップ×ステップ』をリリース。2度目の渋谷 CLUB QUATTROワンマン公演や、MAN WITH A MISSIONの沖縄ツアーファイナルにゲスト出演するなど、各地で着実に動員を増やし、‘18年5月に2ndフルアルバム『ビューティフルライフ』をリリース。初めての開催となる地元越谷での主催サーキットイベント『鐘フェス』では500人を動員しソールドアウト。大阪・名古屋で初のワンマンライブを開催し、自身最大規模となる恵比寿LIQUIDROOMでのワンマンライブでは過去最高動員を記録。 年末には『MERRY ROCK PARADE 2018』『MUJIC JUNCTION 2018』と大型フェスにも出演。’19年には、幕張メッセで開催された『ツタロック2019』への出演、4月にはシングル+初のDVD作品『ノンフィクション』をリリースし、ツアーファイナルとなった渋谷eggmanをはじめ、各地で満員御礼に。8月には念願の『ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2019』に初出演し、満場の会場を沸かせた。11月13日には、2ndミニアルバム『アイデンティティ』をリリース。

Amelie オフィシャルサイト
http://www.amelie-web.com/

Live

初の東名阪ワンマンツアーが開催へ
大阪は初日のアメリカ村 BEYOND!

 
『Amelie「アイデンティティ」
 Release Tour 2019-2020』

Pick Up!!

【大阪公演】

チケット発売中 Pコード161-157
▼11月29日(金)19:00
アメリカ村 BEYOND
オールスタンディング3300円
GREENS■06(6882)1224
※3歳以上は有料。未就学児童は保護者同伴に限り入場可。客席を含む会場内の映像、写真が公開される場合がありますので予めご了承の上、ご購入ください。

チケット情報はこちら


【愛知公演】
チケット発売中 Pコード161-107
▼12月13日(金)19:00
ell.SIZE
オールスタンディング3300円
サンデーフォークプロモーション■052(320)9100
※客席を含む会場内の映像・写真が公開される事がありますので予めご了承ください。3歳以上有料。未就学児童は保護者同伴に限り入場可。

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【東京公演】
チケット発売中 Pコード161-513
▼1月18日(土)18:00
渋谷CLUB QUATTRO
オールスタンディング3300円
ディスクガレージ■050(5533)0888
※3歳以上はチケット必要。未就学児童は保護者同伴に限り入場可。客席を含む会場内の映像・写真が公開されることがあります。

チケット情報はこちら


Column1

「もうみんな同じ気持ちです
 ちゃんと同じ方向を向いてる」
感動を求めて、表現者を目指して
Amelieの挑戦と変化を刻んだ
『ノンフィクション』インタビュー

Column2

「Amelieの音楽を、聴いてくれる
 人の人生に取り入れてほしい」
シーンも性別も越えてあなたに届け
『ビューティフルライフ』を語る

Column3

「奇跡の日って作ろうと思って
作れるもんじゃないじゃないですか
だから本当に全力でやるしかない」
『ステップ×ステップ』を語る

Recommend!!

ライター奥“ボウイ”昌史さんの
オススメコメントはコチラ!

「インタビュー冒頭でも触れてますが、いつもはmickが1人関西にやって来るのですが、今回は初の全員インタビュー。このバンドのいいところは全員年齢がバラバラで、いろんな目線とキャラクターを持ってるところだなと改めて。がむしゃらに目標に向かって走ってきた4人が、今年1年かけて迎えた意識改革は結果、大正解だったんじゃないかなと(MV曲のセレクトも!)、今回の『アイデンティティ』を聴いて思いました。mick、普段はアホっぽいとこもあるけど(こらこら)(笑)、“もしかして…!”と思わせるソングライティング力がちゃんとある。それをしっかり活かした新境地を、今作では聴かせてくれています。シーンの空気を読み取って狙って曲を書くのも手段の1つですが、やっぱり自分自身がいいなと思う曲を書いて、それを支持してくれる人を1人ずつ増やしていく努力の方が絶対に健康的だと思う。だって、音楽なんてめんどくさくて素晴らしいことにわざわざ関わってるんだから。そして、“自分は恥ずべきことをしていないか?”というアンテナがないと、人とは対峙できない。“後ろめたさ”をちゃんと感じられる自分でいられるかは大事だなと、4人と話して改めて気付かされました。Amelieをすでに知ってる人は先入観なしに今のAmelieを改めて観てほしいし、知らない人は仕上がってきたAmelieを今こそ聴いてほしい。この4人が喜んでるところを、何か見てみたいんですよ、俺」