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「クリスマスの音楽ってすごく夢のあるものなので」
10/28(土)ビルボードライブ大阪にて桑原あい(p)との共演も控える
ジャズシンガーakikoが贈るひと足早い大人のクリスマスアルバム
『Have Yourself a Merry Little Christmas』インタビュー

 10月28日(土)には、ビルボードライブ大阪にて新進気鋭の若手ピアニストとして注目を高める桑原あいをフィーチャーしたスペシャルな編成でライブを行うakiko。その翌週の11月1日(水)には、小西康陽のプロデュースによる名作『a white album』(‘07)から10年ぶりとなる2枚目のクリスマスアルバム『Have Yourself a Merry Little Christmas』を発表。前作よりもシンプルであたたかみのある音作りで、近年の彼女の活動ともリンクするようなインティメイトで大人なクリスマスソングの数々を聴かせる作品となっている。新たなクリスマスアルバムの名作、そして、間近に迫ったスリリングな顔合わせでのライブについて彼女に語ってもらった。

 
 
こういうしっとりとインティメイトな
クリスマスアルバムがあってもいいかなと
 
 
――クリスマスアルバムといえば、’07年に小西康陽さんのプロデュースで出された名作『a white album』以来ですが、また違ったタッチの1枚になっていますね。
 
「今回は“大人クリスマス”というコンセプトで、ちょっと“暖炉感”があって家でゆっくり聴くようなものにしたいなと。パーティーなどに出かけてクリスマスの喧騒を楽しむという若い時代もありましたけど、年齢を重ねてそういうのもちょっと疲れてきたので(笑)。クリスマスだからといって騒ぐのではなくて、こういうしっとりとインティメイトなクリスマスアルバムがあってもいいのかなと思いながら作りました」
 
――ビング・クロスビーで知られる『I’ll be Home For Christmas(邦題:クリスマスを我が家で)』(M-1)の歌詞に象徴されるように、クリスマスって本来は親しい人や家族とゆったり過ごすものですし。
 
「そうですね。クリスマスソングっていっぱいあるので、今回のアルバムに収めたもの以外にもやりたい曲はあったんですけど、セルフプロデュースということや全体のイメージもあって(楽器の)編成もこじんまりとした感じなので、それに合った選曲にしました」
 
――ゴージャスでパーティー感のあった『a white album』と比べるとシンプルで穏やかですが、クリスマスアルバム特有のあたたかみやドリーミーな感じは共通しているように思いました。
 
「クリスマスの音楽ってすごく夢のあるものなので。編成が小さくてもスケールの大きなものを作りたいというのはありましたね」
 
――アルバム後半では、マライア・キャリーの『All I Want For Christmas Is You』(M-6)やジョン・レノンの『Happy Xmas(War Is Over)』(M-9)といった、この時期に街中でループ状態になる定番曲も取り上げていますが、このアルバムの雰囲気の中で聴くと改めていい曲なんだなと思えました。
 
「ですよね。マライア・キャリーの曲とかもすごく“かわいい”というか。曲の完成度はすごく高いと思います」
 
――スタンダードやオールディーズ的な曲も、ド直球ではないですがどこかで聴いたことがあり、調べてみたりすると納得という曲が絶妙にチョイスされている感じです。
 
「『Christmas Time Is Here』(M-5)とかはそんなに有名ではないんですけど、『ピーナッツ』(スヌーピー)で使われているヴィンス・ガラルディの曲で。実は私も今回の選曲を進めているときに知って、すごくいいなと思って」
 
――アレンジ面では数曲でウクレレやChai-Chee Sistersのコーラスなども絡んできますけど、ほとんどがアコースティックギター中心で、akikoさんのアルバムとしては珍しい音色かなと。
 
「今回はピアノがないスタジオでの録音だったので、必然的にギターとか鍵盤でもキーボードやオルガンを使うことが多くなりましたね。『Baby It’s Cold Outside』(M-4)だけはピアノが入っていますけど、これはピアニストの家で別録りしてもらったものをミックスしたもので。私のアルバムはピアノが中心になっていることが多いので、そういう意味でも新鮮かなと思います」
 
 
ビルボードライブ大阪でのライブは、いつも楽しくやれているんですよね
 
 
――そして、10月28日(土)にビルボードライブ大阪で行われる公演は、新進気鋭の若手ピアニストとして注目を高める桑原あいさんをフィーチャーしてのセットですが。
 
「彼女とは共演するのは今回が初めてで、どういうふうになるのかなというワクワクもあり。あいちゃんは私の仲良しの元Fried PrideのShihoちゃんもよく一緒に演奏していて、Shihoちゃんからもすごくいいよと聞いていたんですよね。あいちゃんのライブを観たときにすごくパワーを感じたし、若いけれどちゃんと自分の世界観を表現している姿もいいなと思って、今回は声をかけました」
 
――意外と言えば意外な顔合わせですよね。
 
「意外ですよね。多分Shihoちゃんとあいちゃんは、激しい感じとかがイメージ的に整合性があると思うんですけど、あいちゃんはしっとりとした曲やスローな曲もとてもいいし、逆に私も激しくシャウトしたりはしないけれども、いわゆる癒し系~ヒーリングみたいなことばかりをやっているわけではないし。特に私の場合はアルバムによってやっていることが全然違うし、どのアルバムを聴いたかによってイメージが全然違うので。この前は九州のロックフェスに出演していたんですけど、そのときは周りはロック畑の人ばかりだったし(笑)」
 
――akikoさんにとって、桑原さんのピアノの魅力はどんな点にありますか?
 
「彼女はリズムの軸が特にハッキリしていますよね。あと、少し前に彼女とイスラエルのピアニストのシャイ・マエストロのデュオを聴いたんですけど、そのときも若いけれどちゃんと(演奏に)歌心があるというか。ただテクニックがあって巧いだけのピアニストではなくて、音楽に夢を感じさせるところを持っているのがいいなと」
 
――また、12月24日(日)のイヴの夜にはパークハイアット東京39階のバンケットフロアにてakikoさんの総合プロデュースによる『akiko presents“Premium Christmas Night@Park Hyatt Tokyo”』も行われます。
 
「こちらは超ゴージャスで、アルバムとは対極にあるような感じですね。パークハイアットのワンフロアを貸し切って、ベストドレッサー賞にはパークハイアットの宿泊券とか、他にもビンゴやルーレットで高価なジュエリーやバッグが当たって、食事と飲み放題も付いて2万円という…私がお客さんで行きたいよ、という内容なんですよ(笑)。去年もやったんですけど、歌うだけじゃなくて企画からプロデュースまでするといろんなことに意識を巡らせるから達成感がなくて、終わった後に“すごくよかったよ、楽しかった!”と言われて初めて“あぁよかったんだな”と思えるというか。そういう意味では、ビルボードライブ大阪でのライブは音楽に集中できて気持ちが楽だし、音的なストレスがなくて環境もよいので、いつも楽しくやれているんですよね」
 
 
Text by 吉本秀純



ライター吉本秀純さんからのオススメ!
 
「クリスマスと言えばパーティー的なノリも正直ちょっとな…と思い始めた世代にとって、akikoさんの新しいクリスマスアルバムは“そうそう、こういうのが聴きたかった”と思えるあたたかみがあって音楽的な深みもしっかりな好作品となっています。そして、新鋭ピアニストとして注目を高める桑原あいさんとのライブも、意外な顔合わせでどんな化学変化が起こるのかがとても楽しみ。一期一会なライブならではのスリリングさに期待しています」

(2017年10月26日更新)


Check

Movie Comment

クリスマス仕様でライブと新譜を語る
akikoからの動画コメントはコチラ!

Release

クリスマスの名曲群をしっとり人肌の
アレンジで聴ける心地いい最新作!

Album
​『Have Yourself a Merry Little Christmas』
​11月1日(水)発売
2200円(税別)
ability muse records
POCS-1655

<収録曲>
01. I'll Be Home for Christmas
02. Here Comes Santa Claus
03. Blue Christmas
04. Baby, It’s Cold Outside
05. Christmas Time is Here
06. All I Want for Christmas is You
07. Ave Maria
08. Christmas Wishes
09. Happy Xmas(War is Over)
10. Have Yourself a Merry Little Christmas

Profile

アキコ…’01年に名門ジャズレーベル“ヴァーヴ”から初の日本人女性シンガーとしてデビュー。その後もジャズというジャンルに捕われることのない活動スタンスで作品を発表し、これまでにスウィング・アウト・シスター、小西康陽、須永辰緒、ブッゲ・ヴェッセルトフト、大貫憲章らをプロデューサーやスーパーバイザーに迎えてきた。昨年にはデビュー15周年を迎え、これまでの楽曲+未発表音源11曲をアーユルヴェーダの五元素に基づいて5つのCDにコンパイルした、彼女ならではのベスト的なコンセプトアルバム『Elemental Harmony』を発表。11月1日(水)にはクリスマスアルバムとしては10年ぶり2作目となる『Have Yourself a Merry Little Christmas』をリリースする。

akiko オフィシャルサイト
http://www.akiko-jazz.com/

Live

若手注目株のピアニスト桑原あいと
ビルボードライブ大坂で共演!

Pick Up!!

【大阪公演】

チケット発売中
▼10月28日(土)16:30/19:30
ビルボードライブ大阪
自由席7500円
ビルボードライブ大阪■06(6342)7722
※本チケットに整理番号はございません。ご希望の方は発券後、お問合せ先まで要連絡。当日は整理番号順でお席へご案内しておりますが、整理番号をお持ちでないお客様は開場時間の30分後のご案内となります。カジュアルエリアの取り扱いなし。未就学児童及び高校生同士の入場不可。18歳未満は成人の同伴が必要。

 
【東京公演】
『akiko presents
 “Premium Christmas Night
@Park Hyatt Tokyo”』
▼12月24日(日)17:30
パークハイアット東京 39階
バンケットフロア
お一人様20000円(ブッフェ、
フリードリンク、ショー、サービス料込)
パークハイアット東京■03(5322)1234
※未就学児童は入場不可。
 

Column1

「音楽から今の自分の状態を知る
 ミュージック・セラピー的な
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アーユルヴェーダな新ベスト
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「ダンスミュージックであるジャズ
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率いてakikoが音楽やファッション
に対する敬愛を綴る『Rockin'
Jivin' Swingin'』インタビュー