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Turntable Filmsという不思議を紐解く
ここだけの『Small Town Talk』セッション!
ルーツに京都にアジカンゴッチやくるり岸田繁とのつながりまで
ツアーファイナル磔磔前に語るインタビュー&動画コメント (2/2)

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自分から歌おうと思ったことは全然なくて
 
 
――英語詞に傾倒していったのは、そもそも聴いてる音楽もあると思うけど、井上くんの音楽の発端をさかのぼると、ベンチャーズが好きな幼なじみの叔父さんだとか、ミッシェル・ガン・エレファントが好きな兄貴だとか、基本的に音楽を摂取するときの情報が同世代というよりも年上からが多かったみたいね。
 
井上「そうですね。マジで音楽を聴かへん友達しか周りにいなかったんですよ。3枚入るCDチェンジャーを持ってんのに、CDは2枚しか持ってへんとか(笑)。もう年上か本ですね、音楽の情報を得たのは」
 
――そこからカントリー・バーでギターを弾くようになったり、なかなか普通のバンドマンのストーリーとは違う。
 
井上「いやもう、全部無理やりやらされてたんですよ。10代とか20代前半は多感過ぎてイヤで仕方なかったんで、1週間に1回は辞めたいって言ってるのに辞めさせてくれへんかった思い出が(笑)。“修行や~!”って言われて(笑)」
 
――“脱退する”という意思に対し“それは出来ません”っていう回答があるんやなって(笑)。それこそカナダ留学も音楽をやるためで、しかもギタリストとして活動していくぐらいの気持ちやったのに、歌うようになっていったのは?
 
井上「ベンチャーズを弾いてるときからテープのMTRがあって曲を録ろうとしてたぐらい、曲を書くのは昔からずっと好きだったんですよ。で、その幼なじみとバンドをやりたくて、京都のJEUGIAとかでボーカルを募集し続けるんですけど、全然来なくて。どっちが歌うか言うたら俺が歌った方がええから、ほな歌うわっていう始まりです(笑)」
 
――ちなみにその幼なじみは今何してるの?
 
井上「最近はくるりのサポートギターをやってます(笑)。そっちの方がギターが上手だったんで、そういう暗黙の了解みたいなところもあり。だから、自分から歌おうと思ったことは全然なくて。バッドリー・ドローン・ボーイが同じような理由で歌ってるってインタビューで読んだとき、めっちゃ共感したもん(笑)。でもね、言霊なのかそう言い続けてたら、自分のソロアルバムの歌入れですら、1番と2番の間にタバコを吸いに行こうかとか思ってしまう(笑)。Gotchバンドがすごい楽しかったのは、それもあるかもしれない」
 
――歌を求められてないから(笑)。
 
井上「そう!(笑) ギターだけ。いや、まだまだ歌いますけどね、頑張って(笑)」
 
――京都というのはもちろんあると思うけど、くるりの岸田さんとのつながりは?
 
井上「そもそもの接点は、その幼なじみのお母さんが、岸田さんの担任の先生やって」
 
――めちゃめちゃ通常じゃないルートで、めっちゃつながってる(笑)。
 
(一同爆笑)
 
井上「その人から“あんたに似てる子いんねん! 会わしたいわぁ~”って散々言われて、ホンマにそれがきっかけで初めて会うたんですよ。何故か(LIVE HOUSE)nanoで僕の誕生日会をやったときに(笑)」
 
――アハハハハ!(笑) 岸田さんもよう来てくれたな。すごいなぁ、出会いが全然音楽的じゃない(笑)。
 
井上「そうそう(笑)。だから、もし全然違う場所に住んでたら、あり得なかった話なんです」

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やっぱり僕らにとっては、京都に物事が集中してるのは間違いない
 
 
――そもそも生まれ育った場所なのもあるかもしれないけど、京都を地場に音楽をやっていくことで何か思います?
 
井上「使命感でもなく、もっとやわらかいものですけど、やっぱり僕らにとっては、何だかんだで京都に物事が集中してるのは間違いないんですよ。全国各地にええ音楽があったら素敵ですけど、京都にそういう文化があることを知ってほしいとか盛り上げたいとか、京都やからこそそういうことも出来るかなぁって、ちょっとは思うようになりました。あとは、ルーツミュージック好きのおじちゃんたちが、昔はすごい多かったんですよ。自分がこうやって年を取っていくと思うけど、そのおじちゃんたちもいつか死んでいく。今の若い子にはあんまりこういう環境がないと思うんで、そういう人を、ちょっと仲間を増やしたい欲が出てきました。あと20~30年したらそういうつながりも…」
 
――断絶しちゃうかもしれないしね。
 
井上「そうでしょ? それをもうちょっと盛り上げたいなぁっていう欲はあります」
 
――年齢を重ねると、自然と地元を愛せるようになるというか、あんまり肩肘張らずに地元が栄えたらいいなとか、普通に地元にお金を落としたいなとかも思うしね。
 
井上「めっちゃ金持ちになって地元に寄付金を送るのって、ちょっと気持ち分かるもん。俺ももし金があったら! みたいな(笑)。ふるさと納税するのはよく分かる。思い出があるところには何かを残したいし」
 
――タンテは全員、進学で京都に来ました、とかじゃないってことか。
 
田村「生まれも育ちも京都です、ずっと」
 
「住んでるところもだいたい近所ですね(笑)。さっきの話じゃないですけど、そういう文化みたいなものに理解がある人が多い土地やなとは思いますよ」
 
――どこぞのおじさんに無理やり音楽やらされるっていう環境がまず珍しいもん(笑)。あと、例えば東京とかだと見たくもないものも目に入るというか、いろんな情報が望まずとも入ってくるかもしれないけど、京都にいても井上くんがレコード屋で働いてたときは、マーケットを肌で感じるというか、全然よくないやん!とか思いながら売れていったりしたわけ?(笑)
 
井上「アハハハハ!(笑) もうすごかったですね。どれが人気があるとか、あからさまに分かりますし。でもまぁ、自分の好きな音楽がポピュラリティを得てると感じたことがないので、自分の中では健全なんです。他のバンドが売れていくことも、それが何も思わないものであればあるほど、普通のことかなぁとは思う。今はもう出来るだけそういうことを気にしないようにはしてて、自分の心をガードする術を覚えた(笑)。でも、1回ぐらいパルプンテみたいなこと起きひんかな~今回で俺ら、ライト前ヒット打ったつもりやったのにな~(笑)」
 
――アハハハハ!(笑) とは言え、やっぱりTurntable Filmsはポップミュージックであることに着地点を置いてるやんか。いろんなことを委ねても、そこは譲らずに。それは何なんやろうね?
 
井上「完全に趣味の音楽をやってもいいんですけど、それは自分1人でも出来るし。やっぱりね、見えないんですけど実在しない誰かを想像しながら曲は書いてるんですよ。それが多分意識的にポップにしようとさせてる。顔が見える誰かではない、自分以外の誰かを思うことが、僕の中ではポップミュージックを作るコツで。だから、自分だけを満足させる音楽はあんまりやってないかな。それはリリースする全てのものがそうですね」

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リラックスしながらいいライブして、美味い酒が呑めたら、もう100点
 
 
――あと、今作のアナログ盤もリリースされました。
 
井上「一番嬉しい。トートバッグ付きで、しかもレコードも入る。ちょうどレコードが入るサイズのカバンが欲しいと思っててん!」
 
――やっぱりアルバムを、作品を出さないと前に進まれへんというか。そういう意味では、『Small Town Talk』でいろんな物事が動いていってますよね。
 
井上「確かに言われてみればそうかもしれない。変わったかもしれない。フェアとか言ったけど、二塁ぐらいには進んでる感じがするな(笑)」
 
――(笑)。このアルバムの終着点として、地元の京都磔磔でワンマンがあります。
 
井上「“絶対にファイナルは磔磔で!”というわけではないんですけど、やっぱりその後の打ち上げが楽しみなので、頑張れるなぁ(笑)」
 
「あれはもうホームパーティーみたいなもんですからね(笑)。家も近所ですぐに行けるし、ハコの人もよく知ってるし。人に会うしちょっと髭剃らな、みたいなのはありますけど(笑)」
 
井上「リラックスしながらいいライブして、美味い酒が呑めたら、もう100点」
 
――磔磔で今作の一連の旅を終えて、この先どうアクションしていくのかも楽しみですね。サポートもそうやし、ソロもユニットもと、チャンネルは増えていってるよね。
 
井上「そうですね。バンドだけやったときは渇望がすごかったですけど、もうその1つ1つでいろいろと満足できてるので。だからあんまり焦ってはないんですよ、次が5年後でも(笑)。まぁでも、全員が曲を書いたら、もっと楽に出来るのにっていうのはありますよね」
 
――2人は書かへんの? それとも、書くけど選曲会議で漏れるのか。
 
田村「書かないですね」
 
――力強く“書かない”と(笑)。
 
田村「他のユニットでちょっと書いたりはあるけど、自分が書いた曲をこのバンドでやるなんて考えられへん!」
 
「僕も書きますけど、このバンドにはあんまり持ってこないですね」
 
井上「次のアルバムの配分は、井上4:谷4:田村2ぐらいの予想なんですよ(笑)。ほんならライブでも、僕がそんなに歌わなくてよくなるし」

――曲を書いた人が歌うシステムね(笑)。
 
田村「それずっと言ってるな(笑)」
 
井上「歌いたくないわけじゃないけど、歌わへん楽しみもあるやん!」

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結局、続けるか続けへんかだけなんですよ
 
 
――それぞれタンテ外のチャンネルも少なからずある中で、Turntable Filmsって自分の中でどういう存在ですか?
 
田村「僕は一時期、それこそ音楽で、ドラムで食べていきたいと思った時期があって、それやったら東京とかにパーンっと引っ越して動くべきやったとも思うけど、それをやれへんかったのは、やっぱりタンテがあるからで。人生って言うとめちゃくちゃ大袈裟ですけど、何をするにしても、僕にはやっぱりTurntable Filmsがある」
 
――ドラマーとしての人生よりも、Turntable Filmsのドラマーであることが勝ったんやね。
 
田村「そうですね。って言うぐらいこのバンドがめちゃくちゃ好きです」
 
「ざっくり言ってしまうと、今までやってきた中で一番長く続いているバンドなんですよ。15歳ぐらいから一緒にやってるんで、そう考えたら人生の半分を一緒に過ごしてる。バンドってだいたい解散するし、ええときもあれば悪いときも絶対にあるんですよ。最初は楽しくて、全然楽しくなくなって、“もうええわ、こんなクソバンドは解散しよう”みたいに思う(笑)。でも、仕事でも何でもそうですけど、上手くいくことばかりじゃなくて、結局、続けるか続けへんかだけなんですよね。それはどのバンドでも一緒だと思ってるんです。だから、このバンドに関して何が他と違うんやって言ったら、一番続いてるから、それだけ自分の思い入れがある。それは無意識であってもそうだと思うんですよ。あとはまぁ、相当いいバンドやと思いますよ(笑)」
 
田村「すごいツンデレ感(笑)」
 
井上「僕は2人とは打って変わりまして。今はもう“人のバンド”です(笑)。Turntable Filmsは、みんなが集まって何かする“場所”みたいなものですね。上手く言えないですけど、友達がよく集まるあの呑み屋、みたいな感じ(笑)。そこでクリエイティブなことをしようという遊び場というか。だから、誰かが京都を離れたとしても、まぁ今はこういう時代なので、“あ、それやったら僕、バンド辞めるわ”っていう感じでは全然なくて。誰かが抜ければ新しい常連が入ってきて、みたいな(笑)。今参加してもらってるサポートの2人も、プロフィールには載ってないですけどもはやメンバーなんで。まぁ70歳とかになって誰かが死んだら辞めるかもしれないですけどね(笑)」
 
――おもしろいね、みんなのそれぞれスタンスが。タンテは結成して何年なん?
 
井上「8年ぐらいですかねぇ」
 
――10周年のときに何かやったらいいやん。きっかけがないと動かへんのやったら、10周年は十分その理由になる。
 
井上「あ~確かに。10年ね。10周年いいですね」
 
――とりあえず10周年でフルアルバムを出せたら、またワイワイするかもしれないよ。
 
井上「ということは’18年? あと2年かぁ~!」
 
――チョイ巻きやな(笑)。準備してください!
 
井上「分かりました。半年に1曲書いて…って10周年でミニアルバムはダサ過ぎ?(笑)」
 
スタッフ「ダサいし、7インチとかもあり得るからな(笑)」
 
――祭り感ゼロ(笑)。
 
井上「ショボ~ッてなるよな(笑)。じゃあ4:4:2で頑張ろう!」
 
(一同笑)
 
――そのとき、“あのインタビューで言ってたけど、ホンマになったね”って話せたら。まずは磔磔、そして10周年も楽しみにしてます(笑)。
 
全員「ありがとうございました~!」
 
 
Text by 奥“ボウイ”昌史
撮影協力:S.O.U.

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(2016年5月17日更新)


Check

Movie Comment

タンテの日々の雰囲気伝わる(笑)
メンバー全員からの動画コメント!

Release

アナログ盤も発売! 初の全編日本語詞
に挑んだ3年7ヵ月ぶりのフルアルバム

Album
『Small Town Talk』
【CD】
発売中 2130円(税別)
only in dreams
ODCP-011
【トートバッグ付アナログ盤】
発売中 3056円(税別)
ODJP-004

<収録曲>
01. Light Through
02. What You Find
03. Cello
04. Nostalgia
05. Modern Times
06. Slumberland
07. I Want You
08. Breakfast
09. A Swollen River
10. Into The Water

Profile

ターンテーブル・フィルムズ…写真左より、田村夏季(ds)、井上陽介(vo&g)、谷健人(b)。メンバーの地元である京都にて結成された3ピースバンド。’10年2月にミニアルバム『Parables of Fe-Fum』でデビュー。収録曲の2曲が京都FM=α-stationのヘヴィプレイに選出され大きな話題を集めると、『ボロフェスタ』『京都大作戦』『みやこ音楽祭』といった人気フェスにも次々と出演。同年11月リリースのライブ会場限定アルバム『10 Days Plus One』を挟み、その後約1年にわたるレコーディング期間を経て、’12年4月にリリースされた1stフルアルバム『Yellow Yesterday』で、日本のインディーロックシーンでの確固たる地位を獲得。翌’13年4月には、同郷のバンドくるりとの共同イベント『WHOLE LOVE KYOTO』を京都KBSホールにて、同年8月からシャムキャッツとのスプリットアナログ盤を携えての全国ツアーを敢行、共に大成功を収めた。そして’15年11月11日、アルバムとしては実に3年7ヵ月ぶりとなる2ndアルバム『Small Town Talk』を、 ASIAN KUNG-FU GENERATION後藤正文(vo&g)が主宰するレーベルonly in dreamsよりリリース。そのアナログ盤を’16年4月16日に発表、5月22日(日)には京都磔磔にてリリースツアーファイナルを迎える。

Turntable Films オフィシャルサイト
http://turntablefilms.com/

Live

リリースツアーも遂にファイナルへ!
地元京都でのワンマンが間もなく開催

 
『Turntable Films 「Small Town Talk」
 Release Tour 2016』

【愛知公演】
▼2月28日(日)池下CLUB UPSET
【広島公演】
▼4月10日(日)JOHN Burger & Cafe
【東京公演】
▼4月17日(日)LIVE HOUSE FEVER
【宮城公演】
▼4月24日(日)PARK SQUARE

Pick Up!!

【京都公演】

チケット発売中 Pコード285-695
▼5月22日(日)18:30
磔磔
スタンディング3000円
SMASH WEST■06(6535)5569

チケットの購入はコチラ!
チケット情報はこちら


Column

FM802『MIDNIGHT GARAGE』
×ぴあ関西版WEBの大好評
“SPECIAL TALK!! Vol.2”
DJ土井コマキとTurntable Films
井上陽介(vo&g)のオンエア
し切れなかった対談完全版!

Comment!!

ぴあ関西版WEB音楽担当
奥“ボウイ”昌史からのオススメ!

「例えばバンドって、人生において音楽が一番の人と二番の人が集まっても続かない。でも、全員が二番だと案外続いたりもする。インタビューでのタンテは、これぞ京都産の3人が集まった独特の雰囲気。バンド自体も独自のスタンス、独自のペース。でもこれが、1人でも“こんな活動ペースないやろ”とか思ったら(笑)、このバンドは続かない。逆に、この3人の価値観と、長年培われた関係性と人間性のケミストリーが、この素晴らしい音楽を継続させているのです。そして、いざ初めて会ってみると、もっととっつきにくい人かと思えば、大いに笑い、あっけらかんと話す。このバンドに惹かれる理由が音楽以外にもあることが、話していて分かったような気がします。ほぼオリンピックレベルの周期でのリリースなんで、順当に行くと次の取材は約4年後ですが(笑)、インタビューの後半で交わした公約(!?)が実現すれば、もっと早く彼らとまたガッツリ話すことが出来そうです。いや~しかし、京都の人って不思議ですよね?(笑)」