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「暴れるのは誰にでも出来る。踊るのはセンスがないと出来んから」
a flood of circleと女王蜂が神戸で激突!
3.19『Kansai college chart LIVE!』レポート

 3月19日に神戸VARIT.で開催されたライブイベント『Kansai college chart LIVE!』に、女王蜂とa flood of circleが出演し、初となる対バンが行われた。同イベントは、関西の軽音楽団体に所属する大学生への独自調査から“大学生が注目するアーティスト”をチャート形式で発表するウェブサイトkansai college chartとラジオ番組『kansai college chart radio』(神戸Kiss FM・水曜21:00~21:55)発のライブイベント。プライベートでも交流のある両バンドだけに、特別な演出も連発! 繰り広げられた熱戦の模様をレポートしよう。

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 超満員の会場でクラップに迎えられながら登場したのは、先手を務めるa flood of circle。佐々木亮介(vo&g)の「おはようございます。a flood of circleです!」と、お馴染みの挨拶で決戦の火ぶたが切られた。真摯な挨拶とは裏腹に、勇ましいHISAYOのベースから1曲目『Blood Red Shoes』が繰り出される。そのまま『The Beautiful Monkeys』『泥水のメロディー』と容赦なく畳み掛け、佐々木がフロアに身を乗り出して、「そんなもんじゃねえだろ!」と煽るシーンの連続には、のっけから凄まじい気迫が伝わってくる。
 

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 MCで佐々木は、「結構前から、女王蜂と対バンをやりたいと思っていて、ついに今日、実現しました! 間違いなくヤバい夜になるでしょう。今日は、HISAYO姉さんも女王蜂のタイツでやっています(笑)。後ろからだと見えないかもしれないけど、姉さんのタイツが見えるぐらい今日は舞いますよ! 皆さんは目撃者です。皆さんも思う存分、舞ってください!」と、女王蜂との決戦にかける並々ならぬ想いを語った。そのまま佐々木はギターを置き、サポートメンバーのキョウスケ(爆弾ジョニー)の鋭いギターに身を委ねて『Black Eye Blues』へと続くと、佐々木が観客の上に乗り上げ、ステージとフロアの境目を超えたブルースを放つ。

afocqbreport_afockime.jpg 「神戸は女王蜂とHISAYO姉さんを輩出した街だから、ぶっ飛んでないわけないよね!?」と佐々木がさらに焚き付け、鳴らされたのは『Sweet Home Battle Field』。曲中、佐々木が手にしていたタンバリンをHISAYOの首にかける場面に、観客からは歓声が巻き起こる。すかさず『Quiz Show』『Dancing Zombiez』と獰猛に鳴らされ続け、観客は波を打つほど踊る。さらに『シーガル』を披露して、これまでとは違ったドラマチックな展開を見せた。
 

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 「神戸VARIT.でやるのは初めてで、相当イカれたバンドマンを輩出しているとは聞いていたけど、こんなにもイカれていて素敵なところだとは思わなかった。ヤバい対決を観に来てくれてありがとう!」と、佐々木が会場の熱気に驚嘆して感謝を述べ、さらに女王蜂との出会いが語られると、佐々木がアヴちゃん(vo)から最初にもらったというCD『奇麗』(‘15)の中から『緊急事態』をワンフレーズ歌ってみせる場面も。「女王蜂もいろいろと転がっていて、a flood of circleも今年で結成10年になって転がっているバンドです。神戸はロックンロール的にもカッコいい街ですね。震災でライブをやるかやらないか迷っていた5年前に、ケツを蹴ってくれたのが神戸のバンドマンたちで、続けていくカッコよさを教えてもらいました。これはそのときに書いた曲です」と、震災直後に書かれた『感光』へ。メンバーチェンジを経ても立ち止まることなく、バンドを10年間続けてきた佐々木の言葉に観客もじっと耳を傾け、希望を感じさせてくれる眩しい楽曲には、涙を浮かべる観客も。曲が終わると拍手が送られ、そのまま疾走感溢れる『ベストライド』、ラストには渾身のシングル『花』を全身全霊でぶつけてステージが終了した。
 

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 a flood of circleが熱したムードを切り裂くように、お揃いのドレスに身を纏ったバンドメンバーが凛とした表情でセットする。遅れて現れた革ジャン姿に黒髪でショートヘアのボーカルが、客席に背を向けて佇む…。いったい何が起こるのか、会場のボルテージがマックスになったところで、ボーカルが振り返るや否や鳴らされたのはa flood of circleの『Human Lisence』のカバー! そう、ボーカル佐々木に扮していたアヴちゃんが、「おはようございます! 女王蜂です!」と真摯な挨拶まで完全コピーして、女王蜂の登場だ! 騒然とした会場の勢いのまま『ヴィーナス』を投下し、続く『一騎討ち』では、アヴちゃんが黒髪のウィッグを外し美しいロングヘアをなびかせる。「今、起こっているのは何だと思います? 宝塚ですよ!」とアヴちゃんが髪をかき分けながら女王蜂の世界に誘うと、観客もコーラス隊となって一緒に歌って踊る。
 

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 そのまま、EP『失神』(‘15)のリード曲『スリラ』、打って変わってセンチメンタルなメロディの『もう一度欲しがって』、そしてキラーチューン『デスコ』と畳み掛ける。 女王蜂のライブではお馴染みとなった羽扇子“ジュリ扇”を、アヴちゃんが観客から拝借して、お立ち台で乱れ踊る姿には観客も釘づけ。そのままノンストップで『空中戦』へと続き、会場は狂喜乱舞のダンスホールと化す。
 
 ここで、アヴちゃんは、ステージから一度退場。メンバーがドープなリズムを鳴らして躍りながら待っていると、セクシーなドレスに衣裳チェンジして再登場! アヴちゃんも敬愛する神戸西宮のバンド、KING BROTHERSの掛け声さながらの“サ・ン・ノ・ミ・ヤ!”コールがかけられると、会場に拳が突き上がる地元ならではの場面も。そして、「カッコいい人たちのブルースを聴いてもらった後には、女のブルース聴いてもらおうか」と、真っ赤なライトに照らされ鬼気迫る勢いで『告げ口』が鳴らされた。ラストスパートに差し掛かった『コスモ』の曲中では、a flood of circleの『I LOVE YOU』(‘11)のフレーズも差し込まれ、最後は珠玉のバラード『鉄壁』で本編が終了。
 

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 アンコールでは、アヴちゃんと観客に呼び込まれ佐々木が登場。2人っきりのステージでは、プライベートでのエピソードなどが語られる。アヴちゃんは、「女王蜂が初めて立ったライブハウスがここ。当時はお客さんが全然入ってなかったけど、今日はこんなにたくさん…。死に物狂いでやって、こんな素敵な空間が作れてよかったです」と思い入れを語り、佐々木と初めて食事に行った際に教えてもらったという、あみんの『待つわ』(‘82)のカバー をデュエットで披露。アヴちゃんのハイトーンな裏声と地声、佐々木のしゃがれた声が重なって特別な時間を演出した。
 
 ここで佐々木を見送り、女王蜂がフルメンバーで再登場。アヴちゃんはまっすぐな表情で、「a flood of circleがギターが抜けたばっかりの頃なのに、ケーブルテレビに出ていたのを観たことがあって。転がり続けるというとカッコいい言葉だけど、時には折れないと難しいんよ。10年続けることなんて大変なこと。長く続けるって素敵やね」と対バン相手を讃える。続けて、「暴れるのは誰にでも出来る。踊るのはセンスがないと出来んから、最後まで踊ってくれますか!?」と、最後はアヴちゃんもギター持って、a flood of circleがワンフレーズだけ歌った『緊急事態』を改めて披露。初期衝動をむき出しに鳴らし続け、最後は燃え尽きるように倒れ込むアヴちゃん。両バンド共にリスペクトを送った上で、負けじと火花を散らし合った決戦は、こうして最高潮のまま幕を閉じた。
 
 
Text by 大西健斗
Photo by 森好弘



(2016年5月 6日更新)


Check

Set List

火花散る熱狂の神戸決戦は
カバーにデュエットと見どころ多数!

 
『Kansai college chart LIVE!』
3月19日(土) at 神戸VARIT.

a flood of circle
01. Blood Red Shoes
02. The Beautiful Monkey
03. 泥水のメロディー
04. Black Eye Blues
05. Sweet Home Battle Field
06. Quiz Show
07. Dancing Zombiez
08. シーガル
09. プシケ
10. 感光
11. ベストライド
12. 花

女王蜂
01. human lisence
02. ヴィーナス
03. 一騎討ち
04. スリラ
05. もう一度欲しがって
06. デスコ
07. 空中戦
08. 告げ口
09. コスモ
10. 鉄壁
Encore
11. 待つわ
12. 緊急事態
 

Link

a flood of circle オフィシャルサイト
http://www.afloodofcircle.com/

女王蜂 オフィシャルサイト
http://www.ziyoou-vachi.com/
 

Live

afocは勝負の10周年×ベスト盤ツアー
女王蜂は神戸と大阪にてワンマン!

 
a flood of circle
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“THE BLUE TOUR -青く塗れ!-”』
チケット発売中 Pコード283-403
▼5月22日(日)18:00
なんばHatch
1Fスタンディング3500円
2F指定席3500円
清水音泉■06(6357)3666
※小学生以上は有料、未就学児童は入場不可。

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女王蜂
【神戸公演】
『女王蜂全国ツアー
「金星から来たヤツら」』
チケット発売中 Pコード293-797
▼5月23日(月)19:30
神戸VARIT.
前売3800円
神戸VARIT.■078(392)6655

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【大阪公演】
『女王蜂全国ツアー
「金星から来たヤツら」』
チケット発売中 Pコード292-114
▼6月16日(木)19:30
BIGCAT
オールスタンディング3800円
夢番地■06(6341)3525
※3歳未満は入場不可。3歳以上は有料。

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