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北野サッスーン邸が昼夜で劇的に景色を変えた
今村モータースの大いなる挑戦
神戸を舞台に情景を切り取るライブシリーズ第2弾
『この街の異人館とふたつの灯り』レポート! (1/2)

 神戸発のシンガーソングライターとして、『COMIN'KOBE』『トアロード・アコースティック・フェスティバル』『MINAMI WHEEL』など関西の様々なイベントでも、飄々とした佇まいを心地よく裏切る少年性を湛えた歌声と、いつか見た情景を描き出すグッドメロディを礎に、その人を食った名前と存在感をじわじわ浸透させる今村モータースの“挑戦”。停滞する弾き語りシーンへの危機感と地元神戸への愛、そして、遡ること20年前の阪神淡路大震災で図らずも経てしまった死生観etc…その全ての点が導いた北野工房のまち 講堂にて、『今村モーターワンマンショー「この街の夕暮れと僕の散歩道」』を成功させた彼が次に挑んだのは、神戸北野サッスーン邸。異国情緒溢れる歴史的な異人館を舞台に、“この街の異人館とふたつの灯り”と題されたワンマンライブは、北野の街を包むやわらかな自然光のもと行う昼のアコースティックライブ、キャンドルの灯りと空間を活かした夜のアンプラグドライブの2回公演。昼夜で劇的に景色を変えた“この街”シリーズ第2弾を独占レポートする。

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 情緒在る北野の街並が道中の気持ちを十分に昂ぶらせ、サッスーン邸へと足を導いていく。ミントグリーンの建物に一歩足を踏み入れれば、小ぶりな洋館の一室に佇むアコースティックギターとカホンが、その出番を今か今かと待っている。徐々に席を埋める観客と共に定刻を迎えたそのとき、本日の主人・今村モータースが登場。少しはにかんだような挨拶の後、『ring』からライブはスタート。生音に近い優しい音色が、心地よく部屋の隅々にまで広がっていく。そのままの流れでつないだ『メロディ』といい、手拍子すら優しく響くハートウォームな空間は、今村モータースの世界観にピッタリ。お客さん1人1人の顔をしっかりと記憶に刻みつけるように会場を見渡しながら、「雰囲気ええわ~」と思わず漏らすほど、通常のライブとはひと味違うシチュエーションが抜群に機能。シェイカーの細やかな響きが誘う『ユリイカ』は、鼻にかかった甘いトーンの声質も相まって、ベストマッチの景色を見せてくれる。
 

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 サッスーン邸のムードはもちろん、昼の部は13:00スタートとあって会場には子連れのお客さんもちらほら。思うがままに手を叩き、時にうろうろしながら音楽を自由に摂取するそんな姿も微笑ましい。「いいとこでしょ? 俺のものでも何でもないけど(笑)」と本日の主宰も我が街を誇らしげに語る。サポートのキヨシ(perc)が「(会場まで)歩いて上ってきたけど、えらいとこに連れてこられたなと(笑)」と語るこのサッスーン邸は、北野遊歩道の脇の坂道を上がった場所に在り普段は一般公開されていないというだけに、この場所でのライブは極めてレア。それ故に、いかに彼がこの街にコミットした活動をしているのも伝わってくるよう。その流れで、「じゃあこの街の歌を」と披露した『タワー』が、とりわけ胸に響く。
 

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 『thank you for the musicfan』の流れから、「(今日サーブしてくれる)tent-coffeeは、“点と点がつながって線になる”という意味らしくて。これ、どこかで聞いたことあるなと(笑)。そういう歌があるなと(笑)」と上手いこと言って始まったのは(笑)、その名も『点と点』。遠く離れた街にいる君を想う、これぞグッドミュージックなこの曲は、今村モータースのテーマソングと言ってもいい1曲だ。
 
 この日のために遠く北海道から神戸に訪れたお客さんもいると知り、「こりゃ頑張らないと!」と気合が入ったというエピソードをMCで話しつつ、「たまには、ちょっと懐かしい夏の歌を」と『夏の果て』を披露。続く『帰り道』といい、日差しを和らげるような清涼感ある歌声が心地よい。
 

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「ホンマ楽しいわ~今日はこれもう1回あんねんで。でも別に夜のことを考えてるわけじゃないですからね。昼は昼で全力でいきますから!」
 
 躍動感のあるカホンのビートに乗って、前回の北野工房のまち公演の配布音源となった『空想クラッシュ』や、きめ細やかなギターとコーラスが絶妙に絡み合い切なさを誘発する『プリン』などを積み重ね、ここで再びMCを。
 

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「最近、久方ぶりに家族でご飯を食べたんですけど、男兄弟なんでそんなに頻繁に帰るわけでもなく内心ドキドキしながら行くわけだけど、会うと普通やねん。小学校のときと一緒やねん。思い返せば私、鍵っ子だったもんですから、家に帰っても1人とかが結構あったなって。1回家に入られへんことがあって、どうしようもなく寂しかったことがあって。ケンカはすれどそこに家があるって素晴らしいなって。ここサッスーン邸にも歴史があるわけじゃないですか。元々はここにサッスーンさんが住んでたわけじゃないですか(笑)。人が変われど迎え入れる人がいて、ずっと続いてるわけですから」
 

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 そして、今回の配布音源となった家族の風景を歌った優しき『home waltz』、会場のやわらかな手拍子とラララ♪が華を添えた『雨宿り』と続く。最後はその手拍子も続行でアットホームに『feel』でエンディング。「このイベントのテーマ曲的なやつを」と披露したアンコールの『この街の夕暮れと僕の散歩道』も含め、終始あたたかな空気が会場内を満たしつつ、夜の部へとバトンを渡したのだった。
 

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 また、今回のライブは昼の部と夜の部の間に“ティータイム”なるものが設けられ、今村モータース自身が2日かけて仕込んだスイーツと、tent-coffeeが一杯一杯丁寧に注いだコーヒーでおもてなし。サッスーン邸スタッフの抜群のホスピタリティのもと、ライブ前後に粋なリラックスタイムを提供してくれていた。
 
 
“後半はキャンドルの灯りをたよりに生声ライブ、夜の部の模様をレポート!”

 


(2015年12月17日更新)


Check

Set List

異国情緒溢れる洋館の昼と夜の顔
“この街”シリーズ第2弾は昼夜2回公演

 
『今村モーターワンマンショー
「この街の異人館とふたつの灯り」』
7月12日(日) at 神戸北野サッスーン邸

<昼の部>
01. ring
02. メロディ
03. ユリイカ
04. レインダンス
05. タワー
06. thank you for the musicfan
07. 点と点
08. 夏の果て
09. 帰り道
10. 空想クラッシュ
11. プリン
12. home waltz
13. 雨宿り
14. feel
ENCORE
15. この街の夕暮れと僕の散歩道

<夜の部>
01. thank you for the musicfan
02. メロディ
03. 点と点
04. タワー
05. レインダンス
06. Get back home
07. ユリイカ
08. 帰り道
09. home waltz
10. プリン
11. アマノガワ
12. 雨宿り
13. feel
14. この街の夕暮れと僕の散歩道
Encore
15. HAPPY

Profile

いまむら・モータース…地元神戸を中心に活動。ライブハウス、カフェ等、幅広い場所で歌いつつも、『COMIN'KOBE』等関西主要イベントにも毎年出演。’13年にリリースした1st アルバム『夢見gachi商店街』が、新人でありながら各地CDショップにてオススメアーティストとして展開され、好調なセールスを記録。これを受け、’14年9月3日には2ndアルバム『おかわりのかわり』を発売。恋人に限らず、友達、親、子etc遠くに住む大切な人に向けたという同作収録の『点と点』が、地元Kiss FM KOBEの同月の推薦曲“HOTRAXX ”に選ばれ、さらには9月26日付ウィークリーチャートでは1位を獲得するなど、今注目のシンガーソングライターである。

今村モータース オフィシャルサイト
http://i-motors.info/
 

Live

今年の集大成となる次の舞台は
ハーブ園のウッディな円形ホール!

Pick Up!!

【神戸公演】

『今村モーターワンマンショー
「この街のハーブ園と空中散歩」』
チケット発売中 Pコード276-537
▼12月20日(日)14:00
神戸布引ハーブ園 森のホール
前売3000円(CD付)
神戸VARIT.■078(392)6655
※別途ロープウェイ代(高校生以上1400円、中学生以下700円、未就学児童無料[ハーブ園入園料込み])が必要となります。

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サポートメンバーの所属する盟友
CUmaと地元でガチンコツーマン!

 
【神戸公演】
『新春2マンウィーク2016 ~3発目~』
チケット発売中 Pコード284-178
▼1月12日(火)18:30
神戸 太陽と虎
オールスタンディング2500円
[出演]今村モータース/CUma
[オープニングアクト]有
神戸 太陽と虎■078(231)5540
※ステッカー付。

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完売必至!? 昨年に引き続き神戸の
アコースティックサーキットに出演

 
【神戸公演】
『トアロード・アコースティック・
 フェスティバル2016』
一般発売12月19日(土)
Pコード283-087
▼4月17日(日)13:30
神戸VARIT./BO TAMBOURiNE CAFE/
niji cafe/ARTRIUM/スポルテリア/
nomadika/北野工房のまち
前売3500円
[出演]岡本真夜/広沢タダシ/奥華子/
sébuhiroko /今村モータース/
サンドクロック/あいみょん/他
アコフェス実行委員会■078(392)6655
※未就学児童は無料。小学生以上は有料(12歳未満は要保護者同伴)。

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チケット情報はこちら

 

Column

変わらないでいるために、
変わり続ける
ルーツ、震災、ギター職人の道、
dozens、そして神戸――
ひらめきという羅針盤を手に
点と点を線にする
今村モータースの挑戦
流浪の音楽人生を語る
撮り下ろしインタビュー