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ホーム > インタビュー&レポート > 運命の日は5/6(日)、阿倍野ROCKTOWN オセロケッツが11年ぶりのワンマンライブを地元大阪で開催! &まさかのニューアルバム『oseROCKets』を同日発売!! 森山公一(vo&g)が事の顛末をぶちまけるインタビュー


運命の日は5/6(日)、阿倍野ROCKTOWN
オセロケッツが11年ぶりのワンマンライブを地元大阪で開催!
&まさかのニューアルバム『oseROCKets』を同日発売!!
森山公一(vo&g)が事の顛末をぶちまけるインタビュー (1/2)

 ‘97年にシングル『ヘアチェッカー』でメジャーデビュー以降、『ミリオンボーイ』『恋愛』『モノクローム』『Pain』etc…極上のメロディにけだるいボーカルを乗せ、深い音楽的造詣に裏打ちされた一筋縄ではいかないポップソングの数々で、多くの音楽ファンを虜にしてきたロックバンド、オセロケッツ。’04年のライブを最後に事実上の活動休止状態だった彼らが、昨年リリースされたベスト盤『THIS IS BEST』を発端に7年ぶりに再集結。珠玉の名曲群が甦るライブを行った彼らが、5月6日(日)阿倍野ROCKTOWNにて、11年ぶりのワンマンライブをいよいよ開催する…だけかと思いきや、なんと8年ぶりのニューアルバム『oseROCKets』の同日リリースまでが決定!! そこで、ここに来て怒涛の急展開を見せているオセロケッツのスポークスマンであり、現在はプロデューサー/The Ma’amとしても活動する森山公一(vo&g)に、ワンマンへの道のりから寝耳に水の新作発表(笑)、そしてバンド内の愛憎まで、裏話満載のロングインタビューを敢行。大阪・心斎橋某所にて酒を酌み交わしながら行われたインタビューでは、知られざる内情や身も蓋もない本音が飛び交った…コレ、全部載せてもいいんでしょうか?(笑)

森山公一(vo&g)の明らかiPhone自撮り動画コメント!(笑)

――オセロケッツね、もうあまりに久々過ぎて、紙資料がなくてウィキペディア印刷ですよ(笑)。

「すんませんね~(笑)」

――まずは11年ぶりのワンマンに至るまでの流れを聞いていきたいんですけど、大きなきっかけは昨年4月9日・渋谷クラブクアトロにて行われた『スキップカウズ / オセロケッツ 合同ライブ 1997~2011“再会”』ですよね。そこにタートルズも加わって。

「去年、ベスト盤『THIS IS BEST』を出させてもらってね。多分、ソニーの年末調整とかやと思うけど(笑)。それでまぁメンバーと久しぶりに会うて、“コレが出るんやったらライブしよう”って話になって。最初はもっとこじんまりやるつもりやってんけど、俺がスキップ(カウズ)のプロデュースをしたのもあったし、俺らの流れで“タートルズのベスト盤も出させてください”って俺とイマヤスさんがソニーに頼みに行ったのもあったんで」

――お客さんも最終的には900人ぐらい入ったと、前のイマヤスさんとのインタビューでは話してましたよね。

「いや~ありがたかった。他の2バンドはずっと現役やったけど、俺らが一番ライブしてなかったからね。後輩の結婚式とか、知り合いのデザイナーさんの周年とかだけ集まってやる、昔バンドやってました感(笑)。リハも1回もやってないから、もう当日のみ。でもアレはアレでスケジュール調整がすごい大変やったな…。実は最初はクアトロツアーの予定やったから。でもタートルズの道太郎(b)がゴネて全然日程合わへんとかいろいろあって(笑)」

――オセロケッツのベストのレコ発やのに、タートルズのスケジュールに引っ張られる(笑)。

「あと、スキップの雄やん(b)さんも仕事が忙しいって(笑)」

――オセロケッツとしては、ライブをやることに全員異議はなかったんですか?

「そうやね~。それはベスト盤があったからじゃない? 何の理由もなくやるって言ったら、みんなすごく恥ずかしがりやからやれへんかったと思うけど」

――ベスト盤を出すこと自体は、今まで考えもしなかったんですか?

「そうやね。だって権利を持ってはるところが大手やからね~(笑)。でも心のどこかで、周年みたいなので集まってもええかな、みたいなのはあってんけどね。それこそ結婚式とかで普通に会うぐらいやから、仲が悪かったわけじゃないので。ただ、たやすく集まるのはなんかイヤっていうメンバーがいたね、松崎くんを筆頭に(笑)。何かやっぱ(オセロケッツを)大事にしてるみたい」

――『THIS IS BEST』を出すことによって、“ライブする理由”が出来たわけですね。曲を選んでリマスタリングしてライブに向かう中で、久しぶりにオセロケッツの曲と向き合うわけじゃないですか。そのときに改めて思うことはありました?

「俺らは90年代のバンドやけど、もうデビュー当時から、5年後10年後に聴いても恥ずかしくない音作りをしようっていう話はすごいしてて。俺は60~70年代のレコードが好きやし、あの時代の音楽がエバーグリーンな理由、残る音ってどういうもんやねんっていうのを、ずっと意識して作ってた。でも、やっぱり今作ってる音楽が好きやし、オセロケッツを改めては聴けへんわけやん? でも、ベスト盤を作るにあたって久しぶりに聴いてみたら、当時はアナログテープを回してるから単純に音が良かったり、直球なのを再確認して」

――実際、リハもやらずにやった、その日のライブはどうやったんですか?

「もう何年かぶりに合わすわけやんか。しかもその久しぶり感で、スキップもタートルズも、リハを客席で観てるわけ。やっぱりミュージシャンたるもの、注目されるとなると火事場のクソ力なのか何なのか、バキン!って音出したときに、やっぱもう一瞬にして時が戻る。これにはみんな拍手ですよ(笑)」

――ちなみにそのとき最初に何の曲を合わせたんです?

「『ヘアチェッカー』やね。丸山くんなんか今は丸山電業の跡継ぎとして活躍してんのに、いざ音出したら誰よりも弾けてたからね(笑)」

――アハハハハ!(笑)  一番ちゃんとしてたっていう。

「アイツだけは俺、ちょっと練習したと思ってんねん(笑)。でも元々、オセロケッツっていうのは丸山くんを中心に回ってたバンドなわけなんですよ。丸山くんと自分が一番仲がいいと思ってる3人の集まりやった(笑)。丸山くんのことがみんな大好きやねん」

――それでオセロケッツは集まったのに、丸山さんが1つの原因となって止まるみたいな。

「そうなんです。やっぱりあの人がいないと。その人がそれなりに練習して戻ってきたんやろうね~もうめちゃくちゃカッコよくて。実はリハ終わりで本番までの間に外のスタジオも取ったの。でも最初に合わせたときにあまりにもうまいこといったから、スタジオではもう全然その日の曲やらんと“アレどうやったっけ?”って他の曲やって(笑)。いざ本番のステージに立ったら、お客さんがバーンっておって…ステージ上から客席の涙を見るという」

――何曲ぐらいやったんですか?

「7~8曲な気がするな~」

――少な~!

「3バンドおったからね。まぁその時間ぐらいやったら奇跡起こせるよね?(笑) 久しぶり感も相まって良かったと思う。すごく嬉しかったし、現役感あるな~って丸ちゃんのことを見て思ったもん」

――普段普通の仕事してるのに、いざギターを持ってそれはカッコいいなぁ。あと、今回オセロケッツの11年ぶりのワンマンを告知するにあたり、松崎さんと中井さんと丸山さんをTwitterで同時にフォローしたんですけど、返してくれたのは丸山さんだけでしたね(笑)。

「フォロー返しとかを知ってんねん(笑)。別に音楽的にとか、ミュージシャンの誰々に詳しいとかじゃなくて、流行ごとは嫁に聞いたりしてんねん多分(笑)。ホンマはムチャクチャやであの人。もう典型的な1人っ子やからね。割と大きいライブの打ち上げとかに潜入して、寿司のネタだけ食うタイプやから。サザンの打ち上げとかで(笑)」

――それすげぇな~(笑)。そう考えたら、上京してからずっと同じ六畳一間に今でも住み続けてるという中井さんもちゃんとしてないですよね?(笑)

「途中、管理会社が3回変わってるからね(笑)。“だってめんどくさいやん”やって。おもろいです、あの人は。リーダーですけどね」

――そうやって久々のライブが去年あって、またやってもいいねっていう空気にちょっとなったってことですよね?

「割とゴキゲンさんに終わって、あの日も朝まで飲んで。やっぱり誰1人帰れへんから俺らは。それはもう昔から」

――やっぱテンションが同じなんですね。バンドやなぁ。


一発ワンマンやるんやったら絶対大阪やなって


――でも今度は、ライブはライブでもワンマンなわけじゃないですか。そうなったのはいったい?

「丸山くんから“嫁の友達の結婚式で東京行くからライブしようや”みたいなメールが急に来て。あまりに急過ぎてライブは無理やったんやけど、とにかく飲もう、飲むんやったら飲み会ユーストしようってなって。去年のライブで色気付いたんやろうね(笑)。映像班に渡會コウタくんっていう信頼出来るヤツがいて、そいつと中井くんとで新富町のふくろうっていうホルモン焼き屋に下見に行ってね。そこの雰囲気がすごい良くて、ありがたいことにWi-Fi(ワイファイ)も飛んでてさ。でもそれを中井くんは、“ウィッフィー来てますね”って(笑)」

――アハハハハ!(爆笑)

「まぁそこにはウィッフィー来てるから(笑)、コレでユーストやれるなって」

――それがいつ頃なんですかね?

「え~そこ覚えてないな~。間違ってたらあかんし、事実関係ちょっと確認するわ」

~電話かける~

「もしもしコウタ? お疲れっす~。今な、オセロケッツで取材受けてんねん。嬉しない?(笑)」

――アハハハハ(笑)。

「ユーストやったん何月? あ、去年の11月か! よう覚えてんな~ありがとう。もうお兄ちゃん今日のことしか覚えんようにしてんの、辛いから。毎日のこと記憶すると(笑)。5月6日(日)、待ってるからね~」

~電話切る~

――そのユーストは実際どうやったんですか?

「ユーストは俺が昔付き合ってた彼女がスペイン人と結婚するのバラされるみたいなホンマの内輪ノリ(笑)。ほんでみんなでカラオケ。それ垂れ流し(笑)。そこで中井くんがアイドルソングを連発するという…さっきのクアトロの大事なライブのSEも、AKB48やったからね。アイツが今夢中過ぎて(笑)。まぁそんな風にぐだぐだやから締め方が分からへんようになって、その苦肉の策で“また来年、絶対ライブやりますんで! さよなら~”って言って終わらせて。でも、その尻拭いはいつも誰もせえへん(笑)」

――言いっぱなし(笑)。

「そやけど俺、何かちょっと引っかかってて。またみんなに会いたいし、前にクアトロやったときも“大阪から来ました”っていうお客さんが何人もおったし。中井くんも最初にクアトロツアーの可能性を模索してるとき、“大阪でワンマンやりたい”ってよう言うとって。俺も一発ワンマンやるんやったら絶対大阪やなっていうのはボンヤリ思ってた。で、そのボンヤリのときに、スキップのライブのゲストで今回の会場になるROCKTOWNにソロで出て」

――前回のイマヤスさんとの取材は、そのROCKTOWNの翌日でしたもんね。

「そやそや。ほんで店長の平沼くんに、The Ma’amの音渡したんかな。ほんならもうえらい気に入ってくれて連絡くれて、“大阪で何かイベントやってください”って言われてて。その後、奥くん(=筆者)と大阪で飲んでたら、そこに平沼くんが登場ですよ~」

――“今どこで飲んでんの~?”っていきなり電話がかかってきてね。“今、森山さんと緑橋で飲んでんで”みたいな話をしたら…。

「舞台が東成(地元)っていうのがたまらん!(笑)」

――“今、天王寺やけどこれからタクで行くわ~”みたいな。

「ベッロベロで来たやん(笑)」

――うんうん。しゃくれながらね(笑)。

「そう、しゃくれながら近寄ってきてね(笑)、“兄さん何かやってくださいよ~何でやれへんねん! やれや!!”ぐらいの勢いで。俺、口約束を結構ちゃんと守るタイプやんか。その方がおもろいし。スキップのライブのときにROCKTOWNのサイズも見てるし、あそこってステージに立ったらすっごい気持ちええねん。オセロケッツの人たちはスター願望があるから(笑)、あのステージに立たせてあげたいなって。あの感じは華やいでた頃を思い出させてくれる(笑)。天井も高いし、ステージに立つ側に対する優しさもある。この会場はいいぞ、メンバーが気持ちよくやれるぞって。ユーストで“ライブやります”と言ったからにはやった方がおもろいし。実際はやれへん人多いやん?」

――まぁぶっちゃけやらんくても成立しますからね。

「そやねん! やらんくても成立するけど、“マジでやんねやこの人!”って反応して欲しいし、俺もそういう人が好きやから。あと、これはメンバーにも言ってないけど、俺はもうユーストの時点で大阪に戻るのを決めてたんやな。4月のクアトロと11月のユーストの間に親父も死んだりしてるし、地震もあってさ」

――森山さんが最近キャッチフレーズ的に“都落ち”と言ってますけど(笑)、それをホンマに意識し始めたのって、震災があってからですか? それまでは全然思ってなかったんですか?

「いや、ふんわり思ってた。チビが3~4歳ぐらいから、関東弁を巧みに操り出して何かイヤやなと(笑)。まぁ直接的には親父がガンって分かってからやな。1年半ぐらいしか戦われへんかったけど、大阪にちょいちょい帰るようになって、こっちでも全然仕事出来るなと思って。地震が起こる前から考えてたけど、あれでもう決定的になったね」


要は順番なわけよ


――いろんなパズルがはまっていってROCKTOWNでライブをすることになったわけですけど、でもそれは正味The Ma’amでもいいし、イベントでもいいわけじゃないですか。それが、なぜオセロケッツで、ワンマンなんでしょう?

「もうそれを言うと、アーティスティックに聞こえてめっちゃ恥ずかしいけど…あのステージ立ったときに、“あ、コレはオセロケッツやな”と思った。平沼くんはThe Ma’amのレコードを褒めてくれてんけど、自分がここのステージ立つんやったら、The Ma’amはちょっと違うなって」

――でもここ何年もThe Ma’amでもソロでも森山さんは普通にステージに立ってきてるじゃないですか? そのときって“コレはオセロケッツや”って思わなかったわけでしょ?

「確かに思わんかった」

――それはやっぱり前のクアトロがあったから? あの4人でステージに立って、その感覚が蘇るというか。

「うん、完全にそうです。アレがなかったらそんなん不安でしゃあない(笑)。あと、こないだのクアトロのスケジュール調整がホンマに難しくて。そしたらメンバーが、俺が必死に調整してるのも知らずに“そんなんやったらもうワンマンでええやん”って、ゴチャゴチャ言うわけですよ」

――そうかそうか。オセロケッツとスキップカウズとタートルズ全員の都合のいいスケジュールなんて、なかなか決まらないですもんね。

「4人揃えんのも大変やのに、またここから10何人ってホンマにもう…嫁はんに“大丈夫?”って散々言われてたからね(笑)。その決まらん間に小屋に何回も頭下げんの誰やねんって言ったら、イベンターも噛んでないしもう俺やん。俺、スタッフワークもちょっとやってたり、ライブハウスのブッキングとかもしてたから、そういうの嫌いじゃないはずやねんけど、こと自分がメンバーでもあると、もう腹立ってしゃーない。グッズのタオルから何からホンマ…今回大阪に引っ越しするときにかましが足らんから2~3枚挟んだけど(笑)」

――アハハハハ(笑)。じゃあそのとき既に、メンバーもワンマンでいいやんぐらいのノリやったんですね。オセロケッツって、ホンマにわだかまり的なものが全然ないんですね。

「でもね、やり方次第ではそうなったと思うよ。要は順番なわけよ。まず“ベスト出すのってどう思う?”ってところからみんなに連絡してるから。そのときは(丸山)電業もね、普通に電気関係やってるわけやから(笑)。ジャケットのことから何からいろいろ決めなあかんから連絡取り合わなあかんし、それがあってのライブやったから良かった」

――やっぱり、“やるべき理由”ってことですよね。

「お金のことも多少あると思うよ?(笑) でも、ベストとかはほとんど残らへん。すごいもんソニー。全っ部ソニーに入る。売りたないもん(笑)。まぁせっかく出してくれて、マスタリングも楽しかったから音はいい感じやけど」

――そんなんで、じゃあ大阪で、ワンマンで、ROCKTOWNで、やりましょうとなったわけですね。それでも、全員揃うのは当日なんですよね?(笑)

「そやね(笑)」

――でも丸山さん以外の3人ではすでにリハに入ったわけですよね。その感触はいかがです?

「ワンマン当日は20何曲とかやるから、もうホンマに笑けるぐらいクタクタなった。でも、The Ma’amは1日3ステージとかやってるから、もっとやってるはずやねん。だから、使ってる筋肉が全く違いました、コレ衝撃。ドラムもうるさいし(笑)。The Ma’amを一緒にやってるまっさんも、リハ終わって珍しく“手~痛っ!”言うてたもん」

――それぐらい今は、カントリーに体がシフトしてたんですね。

「もう全く違った、奏法が。それとは別にただ疲れてるなっかんっていうのもあったけど(笑)」

――お前カントリー別にやってないやろと(笑)。でもね、オッサンが20何曲やると普通にしんどいですよ(笑)。

「アハハハハ(笑)。当時、ベーシスト・中井くんは楽器演奏者としては実力が低かったわけ。でもめっちゃめちゃフレーズのセンスがあって。でも今回、カントリーから俺と松崎くんが感覚を戻していく中で、“あれ? アイツひょっとしたらめっちゃ上手ない?”っていう話になってきて(笑)。俺らが当時しょうもないスクエアな演奏してたから、そのスゴさが分からんかったんちゃうか?って。当時、インタビューとかでも、“グルーヴは4人で出すもんやから、誰か下手でもそれを誰かがカバーして、それがグルーヴになっていくんです”みたいに偉そうに言ってたけど、アレは頭で理解しただけで、体では分かってなかった」

――ホンマに上手くなってるのか、自分たちの解釈が変わったのか。でも森山さんたちのタイム感も変わってるかもしれないですよね。やっぱりカントリーの呼吸を学んでるから。当時とのキャパシティの差かもしれないし。

「あの人プレイに愛嬌あんねんな~。でも上手くなるわけないか。居酒屋で店長やってるぐらいやから(笑)」

――ベースを触るよりも…。

「オナニーしてるだけ(笑)。ここはしっかり書いて欲しいね。竿違いね(笑)」

――(笑)。バンドって面白いですね~。やっぱり去年のクアトロで一発ライブやるだけでは分からない発見がある。

「違う発見やった、うん。カントリーっぽい曲もあるんやけど、ギター弾いてたら松崎くんが、“ちょっと森くん、今回はそれやめとこ。当時のストロークこうやろ?”ってiPodで聴かせてくれる(笑)。もう何年もかけてやっと手にした(カントリーの)ストロークを、元に戻す作業の大変さ(笑)。あと、メロも崩すなと」

――この間、丸山さんはずっと広島の自宅で1人で練習になるんですかね?

「まぁ表にそういうの見せへんからさ。Twitter見てたら分かると思うけど、昔買ったギターの塗装を1回はがして塗り直すという。まだプレイに至ってない(笑)。地獄のトレーニングって書いてたけど、ギター作ってるアイツ(笑)」

――ちなみにその塗装はがす作業って、何のためにやってるんですか?

「当日新しくペイントしたギターで登場したいっていう、メンバーを笑かしたい精神やろね(笑)。2~3年くらい前に、オセロケッツのジャケットをずっとやってくれてるデザイナーの阿萬(智博)さんに“会社作って10周年やから、オセロケッツでパーティーに出てくれへんか?”って言われて、そこでホンマに久しぶりに演奏したわけ。そこに丸山くんが広島からギターを持って登場するわけやけど、“この日のために買ったよ~”ってギターのケース開けたら、ペイントバッキバキのhideモデル(笑)」

――アハハハハ!(笑) あのフェルナンデスの?

「そう。で、鳴らしてみたら、音最悪(笑)。丸も“クソみたいな音じゃね~”ってアンプ蹴飛ばして(笑)」

――そのためだけにギター買うのすごいな(笑)。

「そういうタイプやねん。やっぱ嬉しいよね(笑)」

――そう考えたら今回のワンマンでも絶対何かやらしますね(笑)。まぁそこに向けて今着々と動いてますけど、まずはこのぴあ関西版WEBで11年ぶりのワンマンのニュースを出して。当初の反響はどうでした?

「ありがたいことにTwitterとかFacebookとかでもいろんな声かけてくれて。それはもう親父が死んでコメント流したときぐらいの反応あったよ(笑)」

――オセロケッツが動くぞって聞いて、それだけ反応してくれる人がいるのは嬉しいですね。

「うん、嬉しかった、ホンマに」


“ええやろ? じゃあコレさ、アルバムにしようや”


――森山さんと松崎さんは今The Ma’amをやってますけど、オセロケッツが観たいのもやっぱり正直なところです。

「そやんな~。でも、俺は今でもド真ん中の音楽を表現してるつもりやし、例えばオセロケッツがあのまま続いてたとしても、そういう方向にシフトしたレコードを1枚出してた気がするけどね、みんなに土下座して(笑)。オセロケッツは何やってもよかったからな…。俺はThe Ma’amを結成することで振り切ったけど、オセロケッツが続いていたとしたら、アメリカンロックもしくはパブロックの方向には絶対に行ってたと思う。ロックバンドが今何をもって音楽性を選んでいるのかはすごい気になんねん。特に“J-POP”みたいなニオイがちょっとでもしてしまうバンドは」

――そっちのオセロケッツも聴いてみたいな~。このメロディセンスと蓄積されたフレーバー、それぞれのフレーズセンスがあってそこを目指したら面白そうですもん。まぁでもその前にね、違うもんが出るじゃないですか(笑)。

「まさかのニューアルバムが(笑)」

――衝撃的ですよ。11年ぶりのワンマンだけでも結構なトピックなのに、まさか新譜出るとはっていう話ですよね。何もかもが急ピッチ過ぎる(笑)。

「まずグッズ会議が開かれて、喧々諤々あって最終的にはUSBフラッシュメモリに落ち着いて。この中に何か入れようと。丸の家族写真入れるのもアリや(笑)」

――アリかは知らんけど、入れられるのは入れられる(笑)。

「でも曲ちゃうかと。未発表曲あるやろと。ほんでちょっとアーカイブスを探してみました。え~まず中井さんと丸山くん、あの2人のモノを大切にする力、ゼロです(笑)」

――アハハハハ!(笑)

「まずそこには何もない(笑)」

――何なら自分たちのアルバムですらすぐ出てこない(笑)。

「それを探すの大変でした皆さん(笑)。逆に俺はもうミスターアーカイブ。あり過ぎて探されへん。BOXセット100コぐらい出来るパターン(笑)。そういうときにやっぱり、オセロケッツの常識人が。昔オセロケッツのレコーディングで困ったとき、全裸やと許されるという暗黙のルールがあって、僕らほとんど全裸でレコーディング・スタジオにいました(笑)。そのときでもパンツを脱がなかったあの男、松崎智浩くんがちゃんと整理された形で持っていらっしゃって。彼に選曲が委ねられたわけです。ていうか、全ての物事は彼に委ねられます、僕たちの場合(笑)」

――それぞれ役割がありますね。バンドの憧れの人である丸山さん、表向きのリーダーである中井さんがいて(笑)。

「表向きリーダーやけどみんなから蔑まれる(笑)。そんで俺がスポークスマン的にこういうところでは喋るけど、そないに権力ないっていう(笑)。後ろで全てを牛耳ってるのが松崎さん。やっぱり牛耳るだけの理由はあるよね」

――その段階ではまだUSBですよね?

「全然まだUSBですよ。で、選曲会議が開かれまして。まぁ丸山さんは広島なんで欠席ですけど、そこはもう事後報告です(笑)。そこで松崎さんが、“ちなみに森くん、このUSBどこまで進んでる?”って聞いてきて。いやどこまでってもう3パターンぐらい発注したの見たでしょと。でも、“実務的にどこまでいってる? 阿萬さんもうデザイン始めてる?”って…“そんなん知らんやん!”っていう前フリがあって、まぁ10年ぶりに聴いたわけ。デモやけどスタジオ・クオリティがあるのは分かってたけど、“コレめっちゃええやん”ってなって。なら松崎さんが、“ええやろ? じゃあコレさ、アルバムにしようや”って」

――え?(笑)

「いやいや何やったらアナタ、オセロケッツのライブ映像をテレビに流すときも、音質にこだわるタイプじゃないですかと。The Ma’amのときそういうの許さないじゃないですかと。でも、聴いて気に入りはったんやろね。12~13曲に加えてカバー曲もあって、それを入れたらもう20曲近いと。“コレ何でCDにせえへんの? 絶対CDの方がええと思う”みたいになったときの松崎さんには、もう何も言われへん(笑)」

――“いいと思う”ってやわらかく言ってるけど、もう覆すつもりはないという(笑)。

「そうやねん。だからここからの物語としては、俺はもうデザイナーさんに謝らなあかん(笑)」

――クアトロのときと一緒のパターンですね(笑)。

「デザイナーの阿萬さんは、(SUPER)BUTTER DOGのジャケットもずっとやってて、その縁で昔ギターの竹内くんがプロデュースしたバンドのジャケットもやってんけど、実は当時そのバンドが“ジャケットの表と裏を逆にしたいんですけど”って阿萬さんに言いに行ったみたいで。そしたら、“それタケちゃんが言ってんのか!!”ってものすごい形相でキレた話を、俺となっかんはアシスタントの子に聞いてたから(笑)。コレちょっとでも何かひっくり返すと…」

――ブチギレられると(笑)。

「もうUSBのデザインがスタートしてたら、コレはもうなかなかのもんやぞと。松崎くんは“持ち出しでもやりたい”って言うぐらいやから、“とりあえずUSBにしといて、それはまた作ったらええやん”の話も全然出来へん(笑)」

――アハハハハ!(笑) もう決めてるんや(笑)。

「ほんでもうビビリながら阿萬さんに電話して。その前に俺がプロデュースした4ROSESのジャケットも破格の値段で頼んでてそこで1回土下座してるのに(笑)、その2週間後ぐらいにまた謝らなあかん…。さっき言うたみたいに、人のことやったらなんぼでも謝れんねん。でも、“俺の意志も入ってるやんそれ”みたいになったらもう謝られへん」

――お前止めれたやんって話になりますもんね。

「ほんで阿萬さんに電話したら、“うん、分かる。でもそれやったら、俺も小っちゃいUSBメモリにロゴをパンって載せるよりは、自分の作品として残せる方が嬉しいから、やるよ”って」

――よかった~! 粋やなぁ~その言葉は。

「でももうそこからが大変。ココが説得出来たとしても、俺には次の物語が見えてるわけ。コレ、どこでマスタリングしてどこでプレスすんねんって。(松崎くんは)作る言いながらしょうもない音やったら出させてくれへんやんけと。俺も出したないやんけと。そこからまた土下座祭ですよ(笑)」

――そもそも根本的に、スタジオのエアーを録るレベルじゃなくて、そこそこのクオリティのデモを当時は日常的に録ってたってことですよね。

「もうガッチガチで、すっごい録ってた。みんなどこかで(いずれ契約が切れることを)感じてたんやな」

――元来、森山さんもめっちゃこだわる人じゃないですか。マスタリングはもちろんするけど、デモをある種かき集めたアルバムにセルフタイトルってすげぇなと思って。

「ホンマやね…もうこだわる箇所がおかしなってもーてるわ(笑)。何かが外れてもうてんねん」

――もう音楽を摂取し過ぎて、強い刺激が欲しくなってきてる(笑)。

「多分それはあると思うわ~。あと、タイトルに関しては、松崎くんがいっぱい出してくるのに対して、中井くんがあーでもないこーでもないと言い、俺と丸ちゃんはそのやりとりを見てる(笑)」

――そのやりとりはどうやって?

「メールです」

――前世代的な。スカイプとかじゃなくて。

「うん。スカイプはウィッフィーがないと出来へんから(笑)」

――確かにウィッフィー環境じゃないとちょっとやりづらい(笑)。結局、何でこのタイトルになったんですか?

「これだけモメるんやったら、決まれへんねやったら、いよいよセルフタイトルしかないんじゃないかって。もうデザインの方が先に上がってきてしまって、そろそろタイトルがいる。デザインに引っ張られへんようにしなあかんし、かけ離れ過ぎてもあかん」

――タイトルがデザインを喚起させるものやったら、全然違うことになりますからね。

「実は結構デモテープもいっぱい聴いて、コレ並べたら2枚組もいけるやんってぐらい量もあって。ほんならもうオセロよろしく、ホワイトアルバム/ブラックアルバムでええやんみたいな話もあって、そしたらそこに“ジ・オセロケッツ”ってあるだけでいいし、ジャケットも頼まんでいいぐらいのところまでいったけど、“あかんあかん、ジャケットはもう頼む流れになってる!”と(笑)」

――その流れで“阿萬さん、やっぱジャケットいらなくなりました”は、考えるだけでも恐ろしい…(笑)。デザイン的な面も含めて、なかなかコレというタイトルもなく、じゃあもうセルフでと。

「ほんで大文字小文字カタカナどれがいい?って阿萬さんに投げたら、上がってきたジャケットの『oseROCKets』の“ROCK”がデカかったという。昔、ソニーって絶対にローマ字表記しなあかんかったから、俺と当時のマネージャーの関口さんで、“そもそも造語やからどうする?”って話をしてて。元々“ケッツ”なんか尻からきてるからね(笑)。じゃあ“ROCK”を入れときましょうと。中心に“ROCK”あるのがいいんじゃないかってね」



(2012年5月 5日更新)


Check

Release

まさかの8年ぶりのニューアルバムが
ワンマン当日に急転直下のリリース!

Album
『oseROCKets』
5月6日(日)発売
2500円
OLABEL
OL-0002

<収録曲>
01. writer
02. groovin' groovin'
03. ベルベット
04. 音とび
05. You
06. Egg
07. ひょっこりー
08. シャア
09. リコンダンス
10. 3人の彼方へ
11. サイレントサービス
12. 6/8

受注生産し即完売した名曲揃いの
ベスト盤をワンマン当日に限定発売

Best Album
『THIS IS BEST』
※当日ライブ会場にて限定数発売
4500円
オーダーメイドファクトリー
DQCL-324

<収録曲>
01. ヘアチェッカー
02. マフユ
03. アンサーソン
04. フラッシュ!
05. ミリオンボーイ
06. 恋愛
07. モノクローム
08. escape
09. Pain
10. もしかして君だけが
苦しいって思ってないかい?
11. シング
12. かわいた時を抜けだそう
13. ベッドタウン
14. アクセサリー
15. Speed
16. ケミストリー
17. いいわけ
18. まやかしの世界
※未発表曲

<DVD収録内容>
01. オープニング
02. ヘアチェッカー
03. マフユ
04. ボディガードは
クレジットカード
05. アンサーソン
06. フラッシュ!
07. ミリオンボーイ
08. ベッドタウン
09. 恋愛
10. モノクローム
[特典映像] ※初商品化
11. escape
12. Pain
13. もしかして君だけが
苦しいって思ってないかい?

Profile

オセロケッツ…写真左より、中井英行(b)、森山公一(vo&g)、松崎智浩(ds)、丸山茂宏(g)。‘92年、帝塚山大学(奈良)の音楽サークル仲間で結成され、’97年にシングル『ヘアチェッカー』でメジャーデビュー。深い音楽的バックグラウンドをポップのフィルターを通して厳選焙煎、練られたアレンジと共に極上のメロディを世に放ち、音楽リスナーを唸らせてきたロックバンド。’04年の活動休止までにシングル10枚、アルバム3枚、ミニアルバム2枚をリリース。’11年、ソニーのオーダーメイドファクトリー企画にて初のベスト盤『THIS IS BEST』を4月にリリース。それに伴い同月に渋谷クラブクアトロにて、同期のスキップカウズ、ザ・タートルズと共に7年ぶりのライブを行う。今年5月6日(日)には11年ぶりのワンマンライブを地元大阪の阿倍野ROCKTOWNにて開催。また、森山はプロデュースワークの他、松崎と共に’06年にカントリーロックバンド・The Ma'amを結成。2枚のアルバムをリリースしている。なお、バンド名の由来は、大学の軽音楽部の合宿にて森山と中井が風呂に入り2人の尻(ケツ)の色があまりに対照的な黒と白=オセロだったため、オセロ+ケツ=オセロケッツと命名。

オセロケッツ オフィシャルサイト
http://www.oserockets.com/


Live

全国で大阪のみ! 11年ぶりの
ワンマンライブが間もなく開催!!

『オセロケッツ結成20周年?
 緊急サミット in 大阪 2012』
チケット発売中 Pコード162-882
▼5月6日(日)17:00
阿倍野ROCKTOWN
スタンディング3500円
ROCKTOWN■06(6632)6900
※未就学児童は無料、但し、保護者同伴に限ります。

チケットの購入はコチラ!
チケット情報はこちら

Column

盟友スキップカウズ・イマヤスと
昨年の再始動を語った伝説の
抱腹絶倒ロングインタビュー!(笑)