ホーム > インタビュー&レポート > 結成22年目を迎えたスキップカウズの新作『オープンエンド』は 同期の桜・オセロケッツの森山公一が全面プロデュース! 盟友2組がバンドの過去も内情も過剰にぶっちゃける(笑) 抱腹絶倒のロングインタビュー&動画コメントが到着!
森山「確かにほふく前進してはった(笑)。いやもう憧れですよね。俺も1つのバンドでやれるもんならずっとやりたかったんで。だから今でもロックバンドやるんやったら、オセロケッツしかないし。だからわざとカントリーの世界に行ったし」
――同じベクトルの音楽を、違うバンドでやる気はないと。
森山「全然なかったね」
イマヤス「わかる。でも俺、オセロケッツはやむにやまれぬ事情で休止してるけど、このバンドは絶対解散しないんだろうなって思ってたけどね」
森山「この間ね、それこそ7年ぶりくらいにオセロケッツとしていっしょにやったんです。俺らは俺らで同級生なんですよね」
――オセロケッツがそもそも休止した理由はなんだったんですか?
森山「ギターの丸山くんの実家が広島なんやけど、割とプライベートでもいろいろあってね…。一旦、実家に帰らないといけないということになって」
――じゃあメジャーの契約云々というよりはそっちの理由なんですか?
森山「そう」
――それは悔しくなかったんですか?
森山「悔しかったね。おでん屋とかで引き止めたけどね(笑)。メンバー1人ずつ会ってね。でも最後の…まぁソニーと契約が切れて、1枚セガのレーベルから出した『いいわけ』っていうのがあるんやけど、そのときにはもうだいぶ話が出来てて。じゃあこれをちょっと一生懸命作ろうよって、そこにバッと集中出来て、引っ越しの車をみんなで手を振ってバイバイ出来たから」
――きっかけはあれですけど、ある種のゴールを決めた制作に向かっていいものが出来たからこそ、みんなの中でケリがつけられたんでしょうね。でも、そうやって同期でデビューした2組が、今回のスキップカウズのニューアルバム『オープンエンド』で、アーティストとプロデューサーとしてモノを作るっていうのもおもしろいですよね。
イマヤス「おもしろいよね。やっぱり俺も、こいつと基本居酒屋でしか会ってなかったから(笑)。『同期の桜』っていうイベントを始めて、結構会うことが増えたんだよね。で、話してる内に、“森山とやったら面白いんじゃねえか?”と思って」
――じゃあ何年越しじゃないですけど、こういう関わり方は初めて?
森山「コーラスにお互い参加してとかはあったけど、こういう関係は初めて。おもしろかったね」
――スキップカウズから見たプロデューサーとしての森山さんの良さ、頼んだ理由は具体的に何になるんですか?
イマヤス「まず森山は、本当に純粋に音楽が好きだってこと。あと空気だね。4人だけで作業すると煮詰まるんですよ、やっぱり。あの何とも言えない空気を、誰かにぶっ壊して欲しい、何とかして欲しいっていうのはあったね。ずっといっしょにやってるから、結局同じ方向を見過ぎちゃうというか。そういう意味でも、森山はすごく適役だったなと思いますね」
――逆に、森山さんから見たスキップカウズというバンドの魅力は何になるんですか?
森山「本当に演奏力もあって、曲も良くて、イマヤスさんも歌が上手い。でも、ちょっと喋りたがるから(笑)、おもろいバンドみたいに思われてるのがね」
――確かにそうかも。
森山「なんかね、ソウル・フィーリングみたいなところ…RC(サクセション)からオーティス(・レディング)が見えるみたいな流れが確実にあるのに、誰もそういう目でバンドを評価してない。ちゃんと音楽的なものを、しっかり作りたいなと思って。後はライブの魅力を収めたいのはあったのね。カッコええやんって」
――今回のアルバムは、最初からこの座組で作り始めたんですか?
森山「もう選曲の段階から」
イマヤス「だからおもしろかった。メンバー内で締め切りを決めて、新曲が出揃って、じゃあ森山いっしょに選んでくれって」
――そもそも、それこそ22年やってきて、いまだにオリジナルアルバムを作ろうという、その普通の作業がなんかいいですよね。そのマインドというかモチベーションというか。
イマヤス「やっぱりね、作品を残すことって、ライブと共にすごく大事なことだと思うんで。売れる売れないはまぁさておき、パッケージにする喜びっていうのかな。それはもうやり続けなきゃいけない」
――今回の『オープンエンド』を聴かせてもらって、めちゃめちゃフレッシュだなと思ったんですね。さっき言ってたライブ感ももちろんありますけど、こなれた感よりも、同じメンバーで新しいバンド組んだような感じ、そういう生き生きとした空気があるなぁというのが、第一印象だったんですよ。長く続けてたらメンバーがどういうことをやるかも分かってくるし、それが良さでもあるんですけど、20年越えでのこのフレッシュさはすごいなって。
イマヤス「やっぱり俺にとっても、聴いて“あぁまだ出来るな”って再確認出来たというか。森山を起用したのは大成功だったと思うし、何か新しい要素を差し込むことによって、こっちも若返るっていう」
森山「ジャッジの話やけど、やっぱりその“フレッシュさ”みたいなところは俺も意識したね。バンドがガッとまとまる瞬間があるテイクを選んでるから。基本的にどのバンドのプロデュースをするときもそうなんやけど、バンドは絶対にその方がいい。だから気合いが入ってるときは仮歌とかもええよ。何曲か仮歌やもん。『号泣』(M-5)とかね。もう録れてますっていう感じで」
イマヤス「歌わしてくんないの。“もうちょっとやりてえんだけど”、“いや、いいっす”って。そういうとこは鬼(笑)」
森山「かわいいのが録れたから(笑)」
イマヤス「そう! “かわいい”って言うんだよ(笑)。OKって言わないの。“イマヤスさん、かわいい”って。それで“あ、OKね”って言ってブースから出るみたいな(笑)」
森山「あと、歌詞の良さをね、すごく伝えたくて」
――僕もそれをすごく思いました。
森山「歌を録ってるときのかわいさっていうのは(笑)、その歌詞がどう伝わるかでもあるので。詞も早い段階で見せてもらいましたもんね」
イマヤス「普段本当に居酒屋でばっか会ってたでしょ? だから酒抜きで音楽の話とかするとすげぇ照れる(笑)」
――やっぱりスキップカウズを特徴付けてるのは歌詞だっていうのは、今回のアルバムでもすごく思いましたね。
イマヤス「うちは詞先だからね」
――そうなんですね!
森山「その詞に対して遠藤さん(g)と雄やんさん(b)が曲を付けるんですけど、それもやってみておもしろかったね」
――何なんですかね…僕が10年以上前に『蜜月(ハネムーン)』(‘99)とかを聴いてたときといい意味で変わらない世界がありつつ、歳を重ねた感じもちゃんとある。それがこのアルバムの歌詞にはすごく詰まってると思います。しょうがねえ男でありながら、うだつの上がらなさがありながら、言葉にしない優しさみたいなものも詞の中にある。
イマヤス「ありがたいことでございます。素晴らしいインタビューじゃないコレ?(笑)」
森山「抱かれてますね、今(笑)」
イマヤス「加藤鷹に見えてきたよ(笑)」
――アハハハハ!(笑) あとこれ、もう悩んだりして書いてる様子もあんまりないなって思うし。完全に血となり肉となってるんだろうなって。
森山「で、ちゃんと歌い回しの技術があるっていうね」
――20歳そこそこのバンドが持ってる勢いとかはなくなっていくけど、戦う武器をまだ持ち続けられている。
イマヤス「今回、森山とやることですごく考え方を改めたというか。歌詞って書いてれば技術的にもやっぱり上達してくる中で、敢えてギミックを外していくというか、もっともっと昔っぽく書けねえかなっていうのはあったな。これはちょっと技術に寄り過ぎてるからやめようとか」
――お互いにいい刺激じゃないですけど、普段の制作よりも何かしら自分に対して喝が入るというか。
イマヤス「本当に楽しかったよね。だから作業もすごく早かったし」
森山「やっぱり楽しいものをパッケージングしないとね。何回も“ダメダメ!”って言ってたら、絶対にテンション落ちるからね。今回やってくれたエンジニアが若手だけど優秀な子で、あいつも良かったなって。俺と同じで譲れへんとこは絶対譲れへん」
イマヤス「優しそうな顔してんだけどね。頑として首を縦に振らないときがある。もう虫も殺さないような顔してんのに、趣味:ドリフトっていうこの意外性(笑)。で、自分でドリフトしてるのをビデオに撮ってYouTubeにアップするんだって(笑)」
――アハハハハ!(笑) 出来上がったときの手応えって、今までとは違う何かがありました?
イマヤス「やっぱり、音楽に対する愛みたいなものが、森山といっしょに作ることでより強く出たのかなと」
森山「もう何曲かすごく嫉妬するくらいのいいテイクが録れた。アレンジとかも僕が今ゴリ押しさせてもらってるペダル・スティールを入れたりとか(笑)。最初から自分が嫉妬出来たらいいなと思いながら作業してたんで、確かにそういう感じになったよね。スタジオも割といいところを使えて、機材とマイクも選び放題。楽器も変えられてアンプも変えられてで、メンバーのテンションも上がるやん。もう絶対演奏に影響するから」
――今回のタイトルは『オープンエンド』ですけど、これはどこから来てるんですか?
イマヤス「ハッピーエンドとかバッドエンドと同じように、オープンエンドっていう言葉があって。映画とかで使ったりする用語なんだけど、観た人に答えを委ねるみたいな意味があって、まさに自分がやりたい世界だなと思って。なんか今の若い子たちの歌を聴いてると、“なんでそこまで全部決めなきゃいけないの?”って思う。聴いた人に余韻を残したいというか。やっぱり隙間が、行間がないんですよ」
森山「言い切りよるからね」
イマヤス「その行間を絶対に出すということと、押し付けないで相手に自由に解釈してもらう」
森山「歌詞も曲もそうやけど、やっぱりね、お客さんから多面的に見えて、“あれ、こういう歌なんかな。あういう歌なんかな”って、いろんな取り方をしてもらえる歌の方が優秀やと思う」
イマヤス「今のご時勢、想像力を放棄しちゃってるわけ。そうじゃなくて想像力をちゃんと喚起させるものをやりたいと思って」
――そのさじ加減が難しいですよね。かと言って歌詞が曖昧過ぎても想像出来ないし。
イマヤス「そう。今ってね、どっちかしかないのよ。言い切るかえらい曖昧で結局何が言いたいかさっぱり分からんっていう」
森山「割と居酒屋で話してても、考え方が似てる部分がいっぱいあったよね」
イマヤス「今回、本当に思ったのが、いっしょに酒を飲むって大事なんだなってこと。酒飲んで腹割って話すと、ちょっと見えてくるんだよね。次にやらなきゃいけないこととか、こういう風にしたいなとか」
森山「居酒屋でだいぶ物事決めましたね(笑)」
イマヤス「だね。あとまぁレコーディング終わって飲みに行くのも多かったもんね」
森山「基本でしょ、でも」
――でもね、このインタビューの前半、ちょっと森山さん調子悪そうでしたよね。
森山「そうなんだよね。昨日ライブで、出番がちょっとやからさ、リハから朝までずっと飲んでて。今もちょっとあの…トイレ行ってきていいですかね? ちょっとシャキっとするわ」 ※と言い残し本当に中座する森山さん(笑)
(2011年8月 6日更新)
スキップカウズ…写真左より直井茂雄(ds)、今泉泰幸(vo)、遠藤肇(g)、小川雄二(b)。'89年、前身バンド・少年倶楽部に今泉泰幸=イマヤスが加入。'94年に現編成となり、'97年にはシングル『赤い手』でメジャーデビュー。シンプルで骨太なロックサウンドと、イマヤスの気さくなキャラクターで人気を博す。以降もライブを軸に着実に活動、'09年には結成20周年を迎え、漫画『クローズ WORST ( 高橋ヒロシ・作) 』の 公式ソングとして『俺』『キリトリセン』を配信リリース。'10年にはバンド結成20周年記念ベストアルバム『財宝 ~スキップカウズ結成20周年特別盤 非常に分かりやすい入門編~』をオーダーメイド方式で発表。現在は、同期のバンド同士で主催イベント『同期の桜』をコンスタントに開催。またバンド活動と並行して、イマヤスはラジオDJとしても活躍中。
Album
『オープンエンド』
発売中 3200円
Starman Records
DDCS-4035
<収録曲>
01. 冬の時代
02. 無理矢理君のモノ
03. 特別な人
04. けどでも
05. 号泣
06. イエス
07. 発展途上
08. キリトリセン
09. 俺
<DVD収録曲>
01. あすなろ
02. 犬の目
03. 裏切りの歌
04. 赤い手
05. 荒野の四人
06. 幸せな瞬間
07. 予定
08. スルメ男
09. チャック全開
10. タバコ
スキップカウズ presents
『イマフェス2011』
▼8月7日(日) 16:00
LIVE SQUARE 2nd LINE
オールスタンディング2500円
[出]スキップカウズ / Empty Black Box /
中尾諭介&ニックバッカーズ /
ワタナベフラワー / ザ・ビートシャワー /
ナショヲナル / ALOHA BANANA
※当日券その他問い合わせは…
LIVE SQUARE 2nd LINE■06(6453)1985
ザ・マーム…'06年にオセロケッツの森山公一の呼びかけにより結成された、真っ向勝負のカントリーロックバンド。メンバーは写真左より、稲葉健二(pedal steel)、国分広年(b)、松崎智浩(ds)、森山公一(vo&g)。'07年には田中和将(GRAPEVINE)、坂本サトル、浅田信一らも参加した1stミニアルバム『Always』を発表。都内のホンキートンク(ライブバー)を中心に精力的にライブ活動を続け、国内カントリー系フェスにも多数出演。海外アーティストとの共演も果たす。兎角誤解されがちなカントリー/アメリカーナ音楽を、いかしたオリジナル曲とテンガロンハットでこっそり伝道中の4人組。
Album
『The Ma'am』
発売中 2000円
gee up! / K&A CO.,LTD
GU-001
<収録曲>
01.Mrs.Country
02.代書屋2010(PC頼み)
03.サマックスバイオレット303
04.騎士と街の悪夢
05.派遣~覇権
06.biwako
07.あるご破算
08.せいだ
09.Get a bun on(Theme #1)
『ネバーエンディング冒険2011☆
~故郷に錦を~』
▼9月10日(土) 19:00
心斎橋・LIVE Bar 酔夏男
前売2000円(2D代別途要)
[出]Midnight Specials(森山公一&M.M.KING)
LIVE Bar酔夏男■06(6245)1198
『円山コンサート2011 カントリードリーム
All Japan Country Music Festival』
チケット発売中 Pコード140-305
▼10月9日(日)12:00
京都市円山公園音楽堂
一般-3000円
[出]永冨研二とテネシーファイブ/
ロビー・ファルクス/宮前ユキ/永井崇/
福原照晃とカウボーイ・ドリーマーズ/
The Ma'am/シン上田とトラッカーズ/
津田実とザ・カントリークラブ/
片山誠史/采野弘和/他
京都いつでもコール■075(661)3755
※雨天決行。中学生以下は無料。
スキップカウズ オフィシャルサイト
http://ccr.ne.jp/skipcows/
The Ma'am オフィシャルサイト
http://themaam.com/
オセロケッツ オフィシャルサイト
http://www.oserockets.com/