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《第15回大阪アジアン映画祭》が3月6日(金)に開幕! (2/3)

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『少年の君』

 

第15回の節目に過去来場ゲストが集結!
新設「特別注視部門」は見逃し厳禁!
 
<第15回大阪アジアン映画祭注目作紹介vol.2>
 
今年で第15回を迎え、過去最多タイの全58本を上映する大阪アジアン映画祭。暉峻プログラミング・ディレクター(以降暉峻PD)は、プログラミングをする中で、意識したことや特徴について、「特別イベントはありませんが、15回らしさを感じるのは、これまで出品してくれた監督たちが、新作を作り、当映画祭に戻ってきてくれたことです。新しい才能を紹介し、認知を広めるのが映画祭の一番の役割だと思っていますが、映画祭をやっている立場としては、再度作品を出品し、戻ってきてくれるのは一番うれしいことです。映画祭が何らかの飛躍のための一歩になったと感じていただけた証ですから」と語る。

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オープニング作品『夕霧花園(原題)』のトム・リン監督(『星空』OAFF2012)、4監督による連作スタイルの長編映画、クロージング作品『蒲田前奏曲』の安川有果監督(『Dressing Up』第8回CO2助成作品、OAFF2012)をはじめ、デレク・ツァン、ナワポン・タムロンラタナリット、アンシュル・チョウハン、ヤン・リーナー、キム・テシク、藤元明緒、三澤拓哉、いまおかしんじ、宮崎大祐、リー・チョクバン、アモス・ウィー、ケンツェ・ノルブと、例年を大きく上回る14名の過去出品監督が、新作を携えて今年大阪に戻ってくる。さらに、『種をまく人』(OAFF2018)主演の岸建太朗が監督作を出品。各映画人の成熟ぶりを感じることができるラインナップになった。その中からコンペティション部門作品をご紹介したい。

 
『少年の君』デレク・ツァン監督

同監督作『七月と安生』(OAFF2017、ABC賞)でも主演を務めたジョウ・ドンユーが大学受験直前の高校生を、華流アイドル、TFBOYSのジャクソン・イーが半グレ青年を演じた痛切なラブストーリー。学校での壮絶ないじめや受験競争など中国社会の問題にも鋭く迫る内容のため、公開まで幾多の困難に見舞われたが、昨年10月中国で公開後に大ヒットを記録した。香港版アカデミー賞で最多の12部門ノミネートを果たした最注目作!
 
 

『ハッピー・オールド・イヤー』ナワポン・タムロンラタナリット監督

断捨離を題材に、人とモノのつながりから家族や元彼との関係を見つめたヒューマンドラマ。『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』のチュティモン・ジョンジャルーンスックジンが、ミニマリストのヒロインを好演。暉峻PDも「シンプルの極みの中に、映画的豊かさが満ち溢れている」と絶賛の秀作。


 

『コントラ』アンシュル・チョウハン監督
 
『東京不穏詩』(OAFF2018)に通底する山間部の郷愁溢れるシーンがモノクロで映し出される、壮大な映像詩。戦争を体験した亡き祖父の日記に導かれるソラと、後ろ向きに歩く謎の男の出会いが周りを巻き込んでいく、音楽にも注目のヒューマンドラマだ。タリン・ブラックナイト映画祭、コンペティション部門グランプリ受賞作。
 

 
『春潮』ヤン・リーナー監督
 
『春夢』(OAFF2012)に続く女性3部作の2作目。コーラスグループのリーダー的存在の母、ジャーナリストの娘、小学生の孫娘の3世代の女性たちを描くヒューマンドラマ。母娘の因縁めいた感情を生々しく描く一方、水のモチーフをはじめとする詩的表現に、現代中国で鬱積した思いを抱えて生きる女性たちの心情を重ねた必見作。

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●新設「特別注視部門」は見逃し厳禁!
 
第15回に新設されたのが「特別注視部門」。見慣れない日本語に驚く方も多いはずだが、それこそが暉峻PDの狙いだという。「スポットライトという英語部門名から日本語名を考える時に、最初は聞きなれなくて違和感があっても、印象に残り、回を重ねると慣れるような名前にしました。この特別注視部門が、映画祭の中のコンペティション部門と並ぶ、もう一つのブランドとして成長することを期待しています」
特別注視部門には、「クオリティ最優先で一切妥協せずに選んだ、日本で初めて紹介される作品、才能を選出。日本では当分観られない(最後になるかも)作品なので、とにかく観て!」という暉峻PDの熱い想いで選ばれた作品がラインナップされている。
 

『アレクス』エメットジャン・メメット監督
(※プログラム《短編A》『白骨街道』『Hammock』と併映)

「ウイグル語圏の映画に今、ニューウェイブが来ている。国籍だけ見ると中国映画だが、ロシアや旧ソ連圏の匂いがして、とても新鮮です。まずは短編を楽しんでいただきたい」(暉峻PD)

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『牙と髭のある女神をさがす』ケンツェ・ノルブ監督

「カンヌ国際映画祭の監督週間出品作『ザ・カップ 夢のアンテナ』(99)で名前が知られたノルブ監督の本職は仏教指導者。近年は『ヘマヘマ:待っている時に歌を』(OAFF2017)などコンスタントに撮り続けており、製作総指揮にティエン・チュアンチュアン、撮影監督にリー・ピンビンと中華圏映画ファンにも必見の作品です」(暉峻PD)

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(C) Shatkon Arts Pvt. Ltd

 
『マリアム』シャリパ・ウラズバエヴァ監督
 
「本作は昨年のロカルノ国際映画祭でワールドプレミア上映され、ヨーロッパでは一躍評判が駆け巡ったが、日本では監督も作品も初紹介。限られた部分だけを切り取り、世界の大きさを見せる監督で、ひたすら絵の素晴らしさと人間たちの渋さで見せる作品です」(暉峻PD)
 




(2020年2月21日更新)


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《第15回大阪アジアン映画祭》

会期:2020年3月6日(金)~15日(日)
会場:梅田ブルク7、ABCホール、シネ・リーブル梅田、国立国際美術館

[問]大阪アジアン映画祭 運営事務局
■06-4301-3092

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