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《第15回大阪アジアン映画祭》が3月6日(金)に開幕! (1/3)

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『チャンシルは福も多いね』


『パラサイト』に勝るとも劣らない!
オール女性監督による韓国映画を一挙6本上映!


<第15回大阪アジアン映画祭注目作紹介vol.1>
 
アカデミー賞で、ポン・ジュノ監督の『パラサイト 半地下の家族』が作品賞をはじめとする主要部門4冠に輝き、日本でも大きなニュースになったことは記憶に新しい。実際に劇場で映画をご覧になった方も多いのではないだろうか。
3月6日(金)~3月15日(日)まで梅田ブルク7、ABCホール、シネ・リーブル梅田他で開催される《第15回大阪アジアン映画祭》(以下OAFF)では、日本でも熱視線を浴びている最新韓国映画を一挙6本上映する。しかも、全てが女性監督の作品で、従来の韓国映画のイメージを覆すような、新世代らしいストーリーテリングと映像表現が味わえる。
第15回大阪アジアン映画祭注目作紹介vol.1では、プログラミング・ディレクターを務める暉峻創三氏(以下暉峻PD)が「今回上映するのは、自分でも出来過ぎ!と感じるほど最高のセレクション。『パラサイト』に勝るとも劣らない傑作揃いです」と自信をもってお届けする韓国映画6本と、注目女性監督作品をご紹介したい。
 
 
【突然失職したアラフォー女子が、伝説の香港スターに癒される!?】
『チャンシルは福も多いね』<コンペティション部門>
 
ホン・サンス作品のプロデュースを手掛けていたキム・チョヒ監督の長編デビュー作は、40歳にしてキャリアを失う元映画プロデューサーが主人公。背に腹はかえられないと女優のお手伝いとして働くうちに、思わぬ出会いや、憧れていた香港スターが突然現れる!?コミカルさの中にも、しみじみと人生を振り返る時間を与えてくれる秀作。「80~90年代を香港映画に夢中になって過ごし、いま、結局自分は何者にもなれなかったと感じている中高年世代には号泣必至」(暉峻PD)
 

 
【心の傷は永遠であっても…夫婦で共に乗り越えるまで】
『家に帰る道』<コンペティション部門>

水泳インストラクターを務める主人公は、夫との幸せな日々を送っていたが、突然の犯人逮捕の知らせに、10年前の暴行事件の記憶が蘇る。暉峻PDが「MeToo時代の今日に、とてもリアリティのある設定。精神的には厳しい局面が訪れるが、映画の文体は冷静沈着な態度を貫いている」と高く評価する、夫婦の心の揺れと再生を丁寧に描いたヒューマンドラマ。
 
 
【セウォル号沈没事故の“その後”を描く感動作!】
『君の誕生日』特集企画《祝・韓国映画101周年》
 
2014年4月、修学旅行中の高校生ら304人が死亡したセウォル号沈没事故を題材にイ・チャンドン監督作品の演出部で経験を積んだイ・ジョンオン監督が、ボランティア活動で遺族と接する中で生まれた長編デビュー作。イ・チャンドン監督作常連のソル・ギョングとチョン・ドヨンが息子を亡くした両親役を熱演。遺族が喪失感を抱えて生きる姿を描く感動作!
 
 

【朝鮮戦争孤児たちの知られざる実話に迫る“旅する”ドキュメンタリー】
『ポーランドへ行った子どもたち』特集企画《祝・韓国映画101周年》

1950年代、北朝鮮から秘密裏にポーランドへ送られた朝鮮戦争の戦災孤児たち。ポーランドの人たちは自国の状況も厳しい中、実の子のように愛情を注ぎ育ててきたが…。女優出身のチュ・サンミ監督が脱北者の大学生とポーランドを訪れ、歴史に埋もれた“子どもたち”に光を当てたドキュメンタリー。
 

 
【『息もできない』を凌ぐ評価の最注目作!】
『はちどり』特集企画《祝・韓国映画101周年》 

94年に起きたソウル聖水大橋の崩落事故を盛り込みながら、思春期特有の揺れ動く思いや家族との関わりを繊細に描く青春映画。大ヒット⼩説「82 年⽣まれ、キム・ジヨン」と同世代のキム・ボラ監督が、自身の少女時代の体験をベースに描いた初監督作。『息もできない』を凌ぐ評価を得ている最注目作をお見逃しなく!
 

 
【『タクシー運転手 約束は海を越えて』の脚本家が再び光を当てた“名もなき人たち”】
『マルモイ ことばあつめ』特集企画《祝・韓国映画101周年》 
 
『パラサイト』の父親役、ソン・ガンホ主演で日本でもヒットした『タクシー運転手 約束は海を越えて』の脚本家、オム・ユナの長編監督デビュー作は、1940年代の韓国で失われていく韓国語を守るため、辞書つくりに奔走した“名もなき人たち”に光を当てた感動作。『タクシー運転手』で光州の運転手役のユ・ヘジンが、主人公をコミカルなタッチで好演!

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【エドワード・ヤン的なセンスを感じる台湾女性監督長編、短編を一挙フューチャー!】
『大いなる餓え』<コンペティション部門>
 
コロンビア大学で映画を学んだシエ・ペイルー監督の長編デビュー作。台湾映画のゲストが一堂に会する台湾ナイト上映作品で、さらにシエ監督の短編『雄鶏ものがたり』(短編C『伏魔殿』『4×4』と併映)も上映される。
「ダイエット、幼稚園のお遊戯会など、全てが日常的でありながら、普通はなかなか思いつかない題材。主題の見出し方が素晴らしく、台湾ナイトで見ていただくことに意義がある作品。養鶏場が舞台の短編は、雄鶏を擬人化したもの。両作品とも、社会のどういう部分をどういう角度で切り取るかが分かっている。一つ一つのショットが確信に満ちているという点では、エドワード・ヤン的なセンスがある監督です」(暉峻PD)
 

 

 
【アキ・カウリスマキ的世界観で、異国で生きる父娘の日常を描く】
『フォーの味』<コンペティション部門>

現在ワルシャワ在住のボブリックまりこ監督初長編は、ベトナム料理店のコックと、10歳の娘の日常を丹念に綴った物語。オーナーが変わり、寿司を作る羽目になる父や、向かいのアパートの女性の様子をいつも覗き見してしまう娘の描写を見ていると、アキ・カウリスマキ的世界観を彷彿とさせる。故郷への思いや、主人公の人生観をじっくり味わって。
「ポーランド在住のベトナム移民が主人公だが、移民問題を描くための作品ではなく、映画的演出がしっかりされている。今までポーランド映画で見たことがなかった素材をシンプルな設定で描く手腕に注目!」(暉峻PD)
 

 
【結婚前の波乱を描く香港版『マリッジ・ストーリー』!?】
『私のプリンス・エドワード』<コンペティション部門>

10年前に偽装結婚をしたまま恋人と長年同棲していたヒロインが、ついにプロポーズされてしまい…。チャップマン・トー監督作『空手道』(OAFF2018)主演のステフィー・タンが悩ましいヒロインを好演したノリス・ウォン監督初長編作。
「中国人がお金を払って香港人と結婚する“偽装結婚”を取り入れるアイデアが素晴らしい。心斎橋のように昔ながらの庶民向け商店が並ぶプリンス・エドワードを舞台に、あらすじから予想する以上のものを見ていただける秀作」(暉峻PD)
 

 




(2020年2月21日更新)


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《第15回大阪アジアン映画祭》

会期:2020年3月6日(金)~15日(日)
会場:梅田ブルク7、ABCホール、シネ・リーブル梅田、国立国際美術館

[問]大阪アジアン映画祭 運営事務局
■06-4301-3092

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