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“蜜フェス”第二回目は2DAYSに拡大されて、見事SOLD OUT!
9組のバンドが愛(=ガチ)で繋げた激アツな初日を目撃。
『秘密蜂蜜FES 2025』DAY1レポート

今年5月で結成10周年と迎える大阪発のロックバンド・Bye-Bye-Handの方程式(以下、バイハン)の自主企画イベント『秘密蜂蜜フェス』。同イベントはバイハン史上最大規模の自主企画イベントであり、伝説の第一回目となった昨年は、<出演アーティストと集まったファンの、バイハンへの愛があふれた素晴らしい“秘密の日”となった>――と、ぴあ関西版WEBでもレポート。そして、第二回目となる今年は二日間に拡大されて全17組がライブを繰り広げた。今年もソールドアウトとなり、会場となる心斎橋BIGCATのフロアには昨年同様に、「Honey STAGE」と「Secret STAGE」の2ステージがセッティングされて交互にライブが行われた。まずは、その初日の模様からレポートしよう。

イベントの開演を前に、バイハンの4人、汐田泰輝(vo.gt)、岩橋茅津(gt)、中村龍人(ba)、清弘陽哉(ds)がステージに登場。フロアを埋めた観客に基本的な注意事項などを説明し、ソールドアウトとなったことを誇らしげに嬉しそうに伝えて、「みんな最高のライブをしてくれると思うんで、自由にフロアを楽しんで、みんなの幸せの空間にしてください。よろしくお願いしまーす!」と元気に開会宣言した。

【Blue Mash】

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Honey STAGEのトッパーとして、ライブの火蓋を切ったのはBlue Mash。昨年はボーカルの喉の不調でキャンセルとなったTRACK15に代わり、急遽参戦した彼らが2年連続での出演を果たした。銀杏BOYZの『BABY BABY』のSEをバックに、「よろしく!」と声を上げた優斗(vo.gt)。さらに、「(汐田)泰輝くん、オレ覚悟決めてきました!」と真っ先に口にして、「今日のイベント、ここからいろんなバンドが出るよな。そのボーカルにMCで揚げ足取られても悔しくないぐらい本物のライブしにきた」と意気込み、『セブンティーン』からテンションMAXで突進していく。のっけからフロアは瞬間沸騰して、次々とダイバーが出現。「お前のギターソロ聴かせてくれ!」(優斗、以下同)との言葉を受けて、げんげん(gt)のギターが高らかに唸りを上げる『2002』。「ロックバンドに、ロックスターに就職します」と宣言して突入した『M19』では観客も力強く拳を突き上げる壮観な景色が広がった。

6302025_0329秘密蜂蜜FES2025_マスダユウタ-49.jpg前半はほぼ間断なく、焦げつきそうなスピード感で激走していったが、その熱量を生み出す根源にはバイハンへの感謝とリスペクトがあってこそ。その思いを、「Bye-Bye-Handの方程式がこんなにも素敵なステージを用意してくれました。最大のリスペクトを込めて、感謝の拍手をお願いします!ありがとうございます」とフロアを埋め尽くした観客にもしっかりと伝えていた。

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後半、「今、俺がこの場所で絶対歌いたかった歌」と言っていた『ホワイトノイズ』ではメンバーみんなのシンガロングが響き渡り、観客は拳を突き上げて一体化。『海岸線』まで歌って残り時間を確認し、ラストの『このまま僕らが大人になっても』までフロアを煽り続けた。

序盤から「俺は必死やぞ」と檄を飛ばし、「今日で最後のつもりでここ立っとんねん」――そう、端々で発していた決死の言葉たち。それらがけっして嘘ではないことを観客の脳裏に焼き付け、全身全霊で駆け抜けていった。

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Text by エイミー野中
Photo by マスダユウタ

【ペルシカリア】

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Secret STAGEに一番手として登場したのはペルシカリア。通常のメインステージと向かい合うようにフロアの後方に設置されており、観客はより至近距離でステージの熱を浴びることができる。「大阪のライブハウスの大阪のイベント、大阪のバンドが主役で大阪のバンドがトッパー。埼玉県から蹴散らしにきました。ペルシカリアです。よろしく!」と矢口結生(vo.gt)が威勢よく挨拶する。『優しい人』から疾走感満点。一曲目からオーディエンスと掛け合うように熱くて温かいシンガロングが巻き起こる光景は圧巻だ。イントロから 中垣(ba)のグルーヴィーなベースが攻め込む『ハウオールドアーユー』。メンバー紹介ではたいぴょん(フルギヤ)gt)の速弾きが炸裂する。そんなアグレッシヴなパフォーマンスはペルシカリアの大きな魅力。

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「サブステージの強度を確かめさせて」(矢口、以下同)と容赦無く振動を送り続ける『情けない』、パンキッシュに加速する『どうしたって』、"どうでもいい"を連呼する『死ぬほどどうでもいい』と、序盤から戦闘モードで畳み掛けていくメンバーに呼応してフロアの拳も上がり続けていた。

MCでは、「改めまして、Bye-Bye-Handの方程式、呼んでくれて本当にありがとうございます!」と感謝を述べて、「大阪、ぶっちゃけコワイんすよ、(自分たちは)関東のバンドだから。けど、関西のバンドが東京に戦いに来るように、オレらも今日、関西に戦いに来ました」と矢口は自らの心情を吐露。そんな嘘偽りない正直な思いを間近で受け取れることができるのもこのステージならでは。

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後半では『歓声の先』で「俺のこと熱くしてくれー!」と湧き上がる思いを叫ぶように放っていく。「(このイベントに)誘ってもらったことがメチャメチャ嬉しいから」と嬉しさを爆発させて、推進力あるビートにのせてフロアのみんなと歌った『タイムオーバー』。『ショートカット』ではたいぴょん(フルギヤ)がボディを叩きつけるようにして攻撃的にギターを鳴らせば、矢口は、「バイハンからもらったこのステージ、カッコ悪いことやってる時間なんて、1秒も無い!」と怯むことなくダイバーに立ち向かう。まさに今の彼らにしかできない、みずみずしく体を張った刹那の輝きを観る者に焼き付けていった。

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Text by エイミー野中
Photo by

【Sunny Girl】

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リハの時点からダイバーが出現して熱い雰囲気となっていたSunny Girl。一曲目の『君でしか』から歓声が上がり、いきなりシンガロングが湧き上がる。拳を突き上げ、次々とダイブしていく観客を前に、荒々しくギターが鳴り響き、気持ちよく加速。そのスピード感を緩めることなく『スーパームーン』から『マリナー』へと熱く熱くどこまでも走り続ける。「会いたかったぜ~」「俺たちと相手してくれよ!」と橘高 連太郎(gt.vo)がオーディエンスに声を掛けて歌ったのは『濃藍』。緩急つけた流れで歌の合間に、「お前の歌が足りない、足りない、足りない、足りないよ~」と叫ぶように訴えかけると観客のシンガロングは一層美しく高まっていく。その後も、『シーン11』『幸せになるために』と一緒に歌わずにいられないメロディックチューンを畳み掛けいった。

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後半に入って、橘高(以下同)がロングトークで語っていたのはバイハンの汐田とのエピソード。一緒に参加していたライブの打ち上げで、「友達を作るためにロックバンドを始めたわけじゃないから、別に友達なんていらない。仲が良いやつとか信じてるやつとか別にいらない」とある若いバンドマンが言っていたことに対して、「ツアーとかやってみたら、信じざるをえないひと、気づいたら友達になってるやつとか出てくる。それを秘密蜂蜜フェスでもらった」という汐田の言葉に同感したこと。同フェスに「呼んでもらえたことがすごく誇りに思う。同い年のあいつがずっといてくれた、俺はそれが嬉しい」――その言葉に込められていたのは汐田への感謝とリスペクトの思い。その後、『スイ』の中で「友達の歌」と言ってバイハンの『ロックンロール・スーパーノヴァ』を挿入!フロアを大喜びさせたのは言うまでもない。

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「俺の願いはひとつだよ。君が家に帰って眠るときに、君の耳鳴りの先のロックバンドが君に味方になりますように...」と祈るように口にして、ラストの『純朴』で沸き立つフロアにギターを持って飛び込んだ橘高。「ありがとう」と言って、ステージを去っていくメンバーにフロアのあちこちからも「ありがとう」の声と拍手が送られていた。

Text by エイミー野中
Photo by かい

【レトロマイガール!!】

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Secret STAGEの2番手は昨年に続き2年連続出演となる3ピースバンド、レトロマイガール!!。花菜 (gt.vo)が元気に挨拶すると、『Bスタジオ』から勢いよくスタート。「1、2、3、4!」の掛け声からサビで一斉にみんなの拳があがり、冒頭から爽快な気分にさせてくれる。続く『週末ワンルーム』では、あやき(ba.cho)のベースで惹きつけ、観客のハンズアップも加わって一体感がアップ。花菜のボーカル&ギターのみで歌い出した『君と夕焼け』は切ない片思いソングで終わらせない軽快な曲調で、フロアを心地よく揺らしていた。

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MCでは「2年連続で呼んでくれたバイハン。観にきてくれたみなさん。ありがとうございました!」(花菜、以下同)と感謝を述べる。さらに、当日のラインナップに触れて、「(自分たちは)ちょっと毛色違うくない?みたいに思ってるひといるかもしれないけど。みんなにわかってもらえるようなライブして帰ろうと思ってるんで」と力強く宣言する。

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中盤には『逃避行』のリズム隊が引き立つグルーヴィーな演奏で揺らし、対照的にキュンとくる弾き語りのスローバラード『ふたり』でオーディエンスをじっと聴きいらせていた。そして、後半のMCでは、6月に東名阪と福岡でツアーが開催されることを嬉しそうにアナウンス。また、バイハンは「私にとって高校時代からずっとお世話になっている。いつもチャンスをくれるバンドの先輩」と再び感謝を伝えて、「あやきとひらおかが大学を卒業しました。私たち、今日からが学生という縛りがとけた一発目のライブ」とアピールして場内から拍手が送られる。自分たちも含め、4月から新たな場所でがんばる人たちに向けて、「そんな明日からの応援歌」と言って会場の隅々まで届くようなボーカルを響かせた『グッドバイマイタウン』。パワフルかつ親しみやすい雰囲気で引きこみ、ラストはフロアのみんなが"バンジー!"コールで加わって盛り上がりを見せる『バンジー!』。フレッシュさを失わない3人は疾走感みなぎるドラミングで気持ちよく走り抜けていった。

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Text by エイミー野中
Photo by マスダユウタ

【Brown Basket】

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岸本和憲(vo.gt)、omochi tripgt)、北川陸(ba)、スズキセイヤ(dr)からなる4人のメンバーが飛び跳ねるよに元気よくステージに登場すると、「俺たちがBrown Basketだー!」とボーカルの岸本(以下同)が荒々しく声を上げて、「やるぜBIGCAT、やるぜBIGCAT」と『切に願う』から血気盛んに飛ばしていく。「お前に会いにきたぞ、お前に~」といった熱い言葉に呼応してハンズアップ&シンガロングが広がり、フロアも大きく湧き立ってダイバーたちが次々とステージに押し寄せていく。『ROLLING』も自在にスピードチェンジしつつ気持ちよく転がってゆき、スカコア調の『KICK THE FLOOR』を投下するとフロアも引き続き大騒ぎ状態に。

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冒頭から怒涛の勢いで進撃しつつ、「初めて観るひともたくさんいると思うんですけど。こういうバンドです」「観にきてくれてありがとう!よろしくお願いしまーす!」とやさしい言葉をかけることも忘れない。また、「考えさせるようなこととか、気づかしてくれるようなヒントをたくさんくれるのがロックバンドだと信じてる」「俺らの時間は好きだったひととか、愛してるひとのことを思い出す時間なんじゃないかな」といった言葉を添えてシンガロングを誘ったミディアムテンポの『こころのこり』も心に響いてきた。

昨年から『京SUMMIT』という自主企画フェスを立ち上げたBrown Basket。「俺たちも自分らでフェスをやってて、それが先週でした。来年は絶対、呼ばせてください」とバイハンに向けて熱烈アピール。「毎日バイトしたり、俺もオレなりにがんばって、たまにはああもう限界かっていう日もあるけど。やっぱ、こういう夜があるから、俺たちは明日もがんばろうと、明日も生きていこうと思えてる。それも全部、Bye-Bye-Handの方程式のおかげ。本当にありがとうございます!」と謝辞を送る。

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彼らがBIGCATのステージに立つのはこの日が二回目とのこと。初めて同ステージに立ったのは2020年のコロナ禍真っ只中で、無観客、配信ライブだった。「俺はいつか大勢のひとが見てくれることを妄想しながらライブしてた」と回顧して、「今日は目の前にお前がいる!」と幸せを噛み締めているように見えた。その後は、『BY MY SIDE』で、「お前の声が、拳が、俺らには必要なんだ~~~」

「お前が必要なんだ!」と声を枯らして訴えかけると、さらに熱量高く響き渡るみんなのシンガロングに会場全体が包み込まれる。そしてラストの『リメンバーユー』まで沸き立つフロアはダイブ、ダイブ、ダイブの嵐が巻き起こり、フロアのあちこちから「ありがとう」の声が飛び交っていた。

「ライブっていうのは、ライブハウス+ロックバンド+ライブハウスキッズ=ライブになる。誰も欠けちゃだめだ。また絶対ライブハウスで会おうぜ!」----ライブ中に伝えていたその言葉をみんなきっと忘れることはないだろう。

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Text by エイミー野中
Photo by 烈

【POT】

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リハの時に観客に向けて、「世界一あたたかい打楽器鳴らして」と観客のクラップを促し、この日のフロアには「アメリカのテキサスからもファンが来てる」と嬉しそうにアピールしていたPOT。織田(vo.gt) 、よっぴー(vo.ba) 、よしくん(vo.gt) 、まこと(dr)からなるトリプルボーカルの4人は、『Hustle Night』からスタートするやいなや、「やるゾー!大阪遠慮すんな~」「最高の夜にしようぜ~」と元気に声をあげる。同時にクラップが高まり、ダイバーが続出。フロアには観客がぐるぐると渦を作り出すサークルモッシュも出現し、序盤からフロアの熱気を瞬間沸騰させていく。

I scream fuckin' day』ではフロントマンの織田(以下同)が「この中でギターできるやつは?」と聞いて、手を挙げた少年をステージに上げると、大きな歓声を浴びながらメンバーと一緒にプレイ。さらにその彼女も呼んで場内をひとしきり沸かせて、「そんなふたりに捧げます!」と『fanfare』を歌う心温まるシーンも見られた。

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Eryngium』ではメンバーの指示で照明を消されて、みんなのスマホのライトをミラーボールにする美しい光景が。ちなみにこの時、バックで流れていたトラックは冒頭で触れていたテキサスのファンが作ったものだった。

後半のMCではPOTとバイハンとの関係性が明かされる。「コロナが明けてからあいつらと出会った。なんか(POTと)フォーメーションも似てるし、ちょっと(見かけは)悪そうやん(笑)。でも根に持ってるハートフルな部分が俺たちもけっこう好きになって対バンするようになった。これからもバイハンとも一緒にやっていくし、これからも仲間をいっぱい作っていくんで。みんな守りあって助け合って、ライブハウスを守っていきましょう!そういうイベントになる気がする。だから、バイハン最後に、いっちばん良いライブかましてな!お前らにエールを送ります!」とそのものズバリの一曲『YELL』を歌った。

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大阪で結成されたPOTは不動のメンバーで昨年15周年を迎えた。「15年間のみんなへのラブレター」と言ってニューアルバム『SUCH IS LIFE(15周年記念初のベストアルバム)から爽快な『Loving』を投入。次にあえてグッと落として歌い出したのは『ALONE』だ。シンガロングも一際大きく重なり、ひとりぼっちじゃないよと言わんばかりに、全員で声を合わせ、オーディエンスも肩を組んで大揺れに。ラストは再びギアを上げて超高速で疾走。15年かけて築き上げてきた4人の芯にある強さと温かさを証明するように、最後の最後まで気持ち奮い立たせる熱い空間を作り出してくれた。

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Text by エイミー野中
Photo by かい

【Maki】

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「リハーサルだと思ってる? そんなんじゃないから...」と山本響(vo.ba)が気合いを入れて、フロアを沸き立たせていたMaki。『春と修羅』から勢いよく走り出し、今年で10周年を迎える3ピースから放たれる鋭い音と詩情を湛えた歌をまっすぐにフロアに放っていく。山本のシャウトするように発するしゃがれた歌声に刺激されて無数の拳が突き上がり、ダイバーも次々とステージに向かって押し寄せる。冒頭からボルテージは最高潮と言っていいほどだ。

オーディエンスのシンガロングが高まり、一体化して揺れ続ける『虎』から『sea you letter』へ。この時、「Bye-Bye-Handの方程式、呼んでくれてありがとうございます!」(山本、以下同)とお礼を述べて、楽屋にバイハンからの手紙が置かれていたと明かす。これまで数多くのフェスやイベントに参戦してきたであろう彼らも、そんなことは初めてだと感激しているようだった。

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『斜陽』でも引き続きオーディエンスがジャンピングして湧き立っていたが、山本はちょっと自分の歌に納得できなかった様子で、「もう一回やっていいすか?」と断って、やり直す。そんなところにも、ひとつひとつのライブにかけるストイックな姿勢を感じずにはいられない。刹那を刻みつけるような歌声。うねりを感じさせる『秋、香る』で叩き込まれる渾身のドラムに呼応してフロアの熱も沸騰し続けていた。

ライブ後半の『Lucky』ではフロアのみんなが、肩を組んで、一列ごとに交互に揺れている光景が広がる。これが青春なのか...、なんだか泣きそうなる...。そんな言葉にできない情感が湧き上がり、フロアにいるひとりひとりをつなげてひとつにするMakiのタイムレスな楽曲の力を実感させられた。

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『ストレンジ』ではふたたびギアを上げて疾走していく。フロアから上がる無数の拳、果敢にステージへと向かっていくダイバーたち。ラストの『憧憬へ』ではみんなのシンガロングもさらに高まり、~また君に会えたら~愛しているよと叫ぶから~喉が枯れるまで~と歌い続けていた。

すべての思いは歌と演奏に込めているといわんばかりにMCでは多くを語らず、研ぎ澄まされたパフォーマンスを胸に焼き付けていった約30分のステージ。「ありがとうございました~この後も楽しんで~、」と言って大歓声を浴びつつ、3人はステージを後にした。

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Text by エイミー野中
Photo by マスダユウタ

【ジ・エンプティ】

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リハで、同郷の国民的大スターの名曲『赤いスイートピー』を熱唱して盛り上がっていた福岡県久留米発の4ピース、ジ・エンプティ。本番では「ぜひ歌って帰ってくれ!よろしくお願いします」とハルモトヒナ(vo)(以下同)が声をかけて、ゆったりと『革命』のサビから歌い出すと、みんなのシンガロングが見事に重なる感動的な始まりとなった。さらに、「蜜フェス、もうちょっと遊べますか~~~、ジ・エンプティ始めま~す!」と声を上げて、カワカミタイキ(dr)が叩き出す痛快なビートで加速してゆく。トクナガシンノスケ(gt)とクガケンノスケ(ba)もダイナミックな動きでプレイを続け、無数の拳が突き上がるフロアは早くも大揺れとなった。

昨年、同フェスのタイムテーブルをバイハンの汐田に見せられて、「最高のタイテでしょ?って泰輝くんに言われた。俺らが足りてね~よ!」と声をあげるハルモトヒナ。スピーカーに上がり、果敢にダイブすると、「向こうのステージに連れていけ!男集まれ、」と指示してHoney STAGEまで行って歌い出す。さらに、「(バイハンの)セトリが最高なので、もう一曲」と『神様からの贈物』を歌い出すと、もちろんフロアも大盛り上がりだ。

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ふたたびSecret STAGEに戻ると、疾走感満点の『MY SWEETIE』を投下。「俺たちの蜜フェスだ~!」と叫び、喜びを爆発させる。『テイクミーアウト』ではシンガロングが湧き上がり、クラップも激しく鳴り響く。「全員、笑って帰ろう」と『笑っておくれよ』を投下して、「やべーめちゃくちゃ最高だー!」とどこまでも熱く焚き付けていった。

MCでは、去年出れなかったことの悔しさを吐露し、1年かけてお互いのツアーにも出て関係性を築き、「このステージのトリをいただきました!」と言ってフロアから拍手と歓声を浴びる。向かいのHoney STAGEではバイハンがスタンバイしているのを視野に入れているのだろう。「俺は、全国大会の決勝トーナメントみたいな気持ちできている。このバンド界隈の中、一番バカとされるこの4人組をここに召喚したことを後悔させてやろうと思ってきました!」――そう言って、緩急効かせた『連れ出してやるぜ今夜』で込み上げる感情を歌にのせてフロアのみんなに揺さぶりをかけていく。

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そして、「今、すごいいい歌詞が、いいメロディが思いついた...。僕の天才肌ってやつを見せてもいいかな?」との前振りから歌い出したのは『ロックンロール・スーパーノヴァ』だ!「愛するバイハンに贈ってやろう」そう言って、ここでもフロアのみんなと大合唱が巻き起こる歓喜の光景が広がった。そこから『ウルトラロマンティック』へと繋げて、「一番最高で、一番バカな後輩、ジ・エンプティでした。ありがとうございました!」と叫んで(蜜フェスが)来年も再来年もずっと続きますように~!」と声をあげて、ラスト2曲『さよなら涙』『おやすみレイディ』へと続ける。ハルモトヒナは「またライブハウスで~」と大きく手を振り、ギターのトクナガシンノスケとベースのクガケンノスケも前に並んで、押し寄せるダイバーを迎え撃つ。最後まで凄まじいほどの熱気が湧き上がり続けていた。

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Text by エイミー野中
Photo by

【Bye-Bye-Handの方程式】

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両ステージで繰り広げられた8組が熱演をつなげて、Honey STAGEの大トリとして登場したのはBye-Bye-Handの方程式!待ち構えていたフロアの歓声は言うまでもなくすさまじい。一斉にハンズアップする観客に向けて、「お前ら、元気残ってるか~」と汐田 泰輝(vo.gt)が焚きつけて、『swamp(沼)』から勢いよく走り出す。岩橋 茅津(gt)が前に出てギターをかき鳴らし、中村 龍人(ba)がゴリゴリの低音を響かせ、清弘 陽哉(dr)が熱いビートを打ち込んでゆく。最新曲『ウルトラ面』でさらに加速すると、『darling rolling』『ソフビ人間』と序盤から怒涛のごとく畳み掛けていった。それに負けじとフロアのみんなも拳を突き上げ、クラップの嵐が吹き荒れる。まさにこの場所にロックンロールの神様が降り立ったかのようだった。

「ここから起こるすべては、全部責任を負います」と汐田が覚悟を口にすれば、ギターの岩橋がフロアにダイブしてさらに熱気上昇!

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MCでは、「まじで楽しい、ほんとありがとう!」「今日出てくれた全アーティストに大きな拍手を!」「みんながそこでいてくれるだけで本当に嬉しい」と汐田(以下同)。また、昨年の初開催を振り返り、今年2年目で「同じBIGCATで二日間やらせてもらいました。めちゃくちゃたくさんのひとが関わってくれてるイベントです。そのひとたちにも大きな拍手を!」と支えてくれているスタッフへの労いと共に感謝を述べる。ここで意外にも、「去年の蜜フェスは成功と敗北感みたいなのがあって...めちゃくちゃ悔しい思いをして...ようやく今日の日まで辿り着けた」と吐露。そして、「今日を迎えられて、本当に幸せだなと思う。ありがとうございます!だから去年の自分をぶっ殺しにきました。よろしくお願いします!」と気合いを入れ直してライブは後半戦へ。

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『タヒ神サマ』『熱帯夜と遊覧船』と激しいギターロックでフロアは大揺れに。これぞロックバンドとといったスリリングなダイナミズムに快感度数も激増。「大切な歌を歌います」「今日は誰も欠けずにやれてよかった...」と言って歌った『ラブドール』の後にはみんなの温かい拍手が送られていた。

その後、「去年は出れなかったバンドもいて、今日は誰も欠けずに当日を迎えられて本当にホッとしてるし、そこにあなたがいてくれて嬉しいです。本当にありがとう!来てくれて」と改めて感謝する。ここからさらにロングトークが続き、「いろんな人に"蜜フェス"と呼ばれるようになったことが嬉しい。蜜フェスをやって信頼してる仲間のバトンがどれだけ恐ろしいものかというのを去年初めて痛感した。あの日から一週間ほど記憶がない。自分が作ったものはとんでもなかったんだなと。その上に俺は立ってたんだなと。立たないとわからなかった。その気持ちを踏まえて2年目もやれるって本当に幸せだし、そんなたくさんのバンドに支えられて、今日は自分の足でBIGCATに立ってます!ありがとうございます!」と、汐田が溢れ出る思いのひとつひとつを自分の言葉にしてしっかりと伝えていた。

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そして、「お前が泣きたくなったら、好きなバンドのタオルで涙拭いてくれよ。背中を押すことはできないけど、追い風送って帰ります!ありがとうございます!」そう言って、『風街突風倶楽部』からラストスパート。クラップが盛大に鳴り響き、一斉に拳が突き上がる。中村のうねるベースライン、岩橋は火花が飛び散るようなギターを掻き鳴らし、清弘が渾身のドラムを叩き続ける。『midnight parade』からラストは愛のバクダン『ロックンロール・スーパーノヴァ』を投下。みんながシンガロングしたくなる最強リフレーンが会場全体に響き渡る。最後に、「今日は俺たちだけの秘密、大事に持って帰ってください。ありがとうございました!」と声を上げ、大喝采が送られてフィニッシュとなったものの、フロアの歓声と拍手に応えてメンバー再登場。「本気のアンコールだと信じて、最後やって帰っていいですか」そう言って『あの子と宇宙に夢中な僕ら』を歌い出すと再びシンガロングが重なっていく。「本当に幸せ。やったらわかるわ、フェスって、やっとご褒美になった。一番楽しかったのは俺だと思います」と嬉しさを噛み締めていた汐田。「では、また明日会いましょう!」と叫び、フロアはどこまでも熱く熱く湧き立っていた。

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ーー昨年のレポートでは、"バイハンへの愛があふれた素晴らしい"秘密の日"と綴られていたが、自分は"愛=ガチ"と理解した。想像をはるかに超える熱量で各アクトがぶつかり合い、相乗効果でさらに研ぎ澄まされたパワーが増大する。"秘密蜂蜜"とはその鋭さと密度の濃さを目の当たりにするフェスなのだと実感させられた恐るべき1日だった。

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Text by エイミー野中
Photo by マスダユウタ(1、3、5枚目)、かい(2、4、6枚目)

【DAY2はこちら




(2025年5月 2日更新)


Check

Set List

●ペルシカリア
01. 優しい人
02. ハウオールドアーユー
03. 情けない
04. 風道
05. どうしたって
06. 死ぬほどどうでもいい
07. 右手
08. 歓声の先
09. タイムオーバー
10. ショートカット
11. 風道

●Sunny Girl
01. 君でしか
02. スーパームーン
03. マリナー
04. 濃愛
05. once
06. シーン11
07. 幸せになるために
08. スイ
09. 純朴

●レトロマイガール!!
01. Bスタジオ
02. 週末ワンルーム
03. 君と夕焼け
04. 逃避行
05. ふたり
06. グッドバイマイタウン
07. バンジー!

●Brown Basket
01. 切に願う
02. もうひと頑張り
03. ROLLING
04. KICK THE FLOOR
05. こころのこり
06. TVCM
07. BY MY SIDE
08. リメンバーユー

●POT
01. Hustle Night
02. EPIC
03. I scream fuckin' day
04. Fanfare
05. Eryngium
06. YELL
07. Sunday
08. Loving
09. ALONE
10. Hustle Carnival

●Maki
01. 君と修羅
02. 虎
03. sea you letter
04. 斜陽
05. 秋、香る
06. Lucky
07. ストレンジ
08. 憧憬へ

●ジ・エンプティ
01. 革命
02. おやすみレイディ
03. 神様からの贈物
04. MY SWEETIE
05. テイクミーアウト
06. 笑っておくれよ
07. 連れ出してやるぜ今夜
08. ウルトラロマンティック
09. さよなら涙
10. おやすみレイディ

●Bye-Bye-Handの方程式
01. swamp(沼)
02. ウルトラ面
03. darling rolling
04. ソフビ人間
05. 風鈴
06. タヒ神サマ
07. 熱帯夜と遊覧船
08. 閃光配信
09. ラブドール
10. 風街突風俱楽部
11. midnight parade
12. ロックンロール・スーパーノヴァ
EN1. あの子と宇宙に夢中な僕ら
EN2. 風鈴

Live

Bye-Bye-Handの方程式「MODEL ANSWER TOUR」

【千葉公演】
▼8月8日(金) 千葉LOOK
【宮城公演】
▼8月9日(土) LIVE HOUSE enn 3rd
【福岡公演】
▼8月16日(土) 福岡Queblick
【広島公演】
▼8月17日(日) ALMIGHTY

PICK UP!!

【京都公演】
▼8月29日(金) KYOTO MUSE
スタンディング-3500円(ドリンク代別途必要)
[出演]他
※未就学児入場不可、小学生以上チケット必要。
[問]キョードーインフォメーション■0570-200-888

【兵庫公演】
▼9月11日(木) 神戸 太陽と虎
スタンディング-3500円(ドリンク代別途必要)
[出演]他
※未就学児入場不可、小学生以上チケット必要。
[問]キョードーインフォメーション■0570-200-888

【香川公演】
▼9月15日(月) TOONICE
【北海道公演】
▼9月19日(金) SPiCE
【静岡公演】
▼9月22日(月) 静岡UMBER
【新潟公演】
▼9月23日(火) GOLDEN PIGS BLACK STAGE
【栃木公演】
▼10月4日(土) 宇都宮HELLO DOLLY
【神奈川公演】
▼10月5日(日) F.A.D YOKOHAMA
【愛知公演】
▼11月3日(月) ell.FITS ALL

PICK UP!!

【大阪公演】

▼11月16日(日) 18:00
Shangri-La
スタンディング-3500円(ドリンク代別途必要)
[出演]他
※未就学児入場不可、小学生以上チケット必要。
[問]キョードーインフォメーション■0570-200-888

【東京公演】
▼11月21日(金) Shibuya WWW

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