ホーム > インタビュー&レポート > 汐田泰輝(Bye-Bye-Handの方程式)×岡本優星(ammo)× 高木一成(Re:name)の同い年ボーカリストが本音トーク! 『秘密蜂蜜フェス -2025-』スペシャル鼎談 ~前編~
"同い年でライブハウスに出てる、地元が近い気になる奴"
――3組の出会いから伺おうと思いますが、皆さんの様子を見るに、仲良しなんですね。
岡本「仲良しやな」
汐田「いやいや、嘘ついてるで(笑)」
高木「あはは(笑)」
汐田「僕と一成と優星は、ほんまに甲乙つけられないぐらい両方同じベクトルで仲良しで、優星と一成は絡み的にはほぼないよね」
高木「ammoとは5年前ぐらいに何度か大阪のライブイベントで一緒やったことはあるんですけど、それ以来本当に会ってなくて」
――ちゃんとお話するのも今日が初めてですか?
岡本「ライブ前とかに、軽くビジネストーク(笑)。"明日ライブですかー?"とかぐらいですかね」
高木「あははは(笑)」
汐田「なるほど。見てないけど、見たぐらい想像ついたわ」
高木「泰輝が繋げてくれないと、なかなか一緒になることはなかったですね」
汐田「うん。かなり見応えのあるスリーショットと自負してます」
高木、汐田、岡本
――今日を機会に仲良くなっていただいて。
汐田「そうですね。かなりありがたい機会ですね」
――バイハンは2015年、Re:nameは2016年、ammoは2018年結成とほぼ同期ですね。当時からお互いを認識していたんですか?
汐田「全員同い年で大阪で。バンド友達としては一成と僕が1番古いですね。高1でバンドを始めて、高2の時に出会ったのかな」
高木「そう。俺らも高1の終わりにバンドを組んだんですけど、当時ライブハウスに出てる同い年の地元近い奴って、あまりおらんくて」
――2人とも北摂ですよね。
高木「僕らは茨木・吹田で、バイハンは豊中で活動してて。うちのドラムのヤマケンがTwitter(現X)でバイハンを見て、"同い年やからちょっと気になるな"みたいな話をしてて」
汐田「Re:nameは僕らの1年後にバンドを組んで、お客さんとしてライブに来て、"音源よかったら"と物販で持ってきてくれたのが最初の出会い。ammoは初めて対バンしたのが、彼らのホームの心斎橋BRONZEで、ammoがオープニングアクトで出てた日で。"同い年なんや"となって、その後立て続けにイベントも一緒になって。当時はお互いレーベルも決まってない状態やったけど、レーベルが決まったタイミングもメジャーデビューの年も一緒で。歩み方は違うけど、節目が重なりがちなバンドです。僕からしたら2人とも、プライベートで飯に行くバンドマンの数少ない友達ですね」
一成は難関進学コースを目指すタイプ、優星はやんちゃなヤンキー
――お互いの最初の印象はどうでした?
高木「僕のバイハンの印象は、今と全然違うんですよ。出会った時はボーカルにオートチューンかかってたし、もっと難しい音楽をやってて。泰輝の衣装も奇抜やったかもな~。結構世界観を持ってるバンドやなと思ってた。同い年で地元も近いバンドはそんなにいない中で、バイハンは当時からガンガンやってて、勝手にライバル視してた感じはあるんですけど、時間が経つにつれて仲間っぽくなってきて。何年も続けてるバンドがバイハンしかおらんようなこともあったので、それこそツーマンをお互いの地元でやったりね」
汐田「そうやな。一成は当時から好青年で、実はよく喋るようになったのはここ数年。どちらかというとドラムのヤマケンの方が喋る機会が多くて。僕、当時は暗くてちょっと心を閉ざしてた時期で、一成とも"僕とは住む世界が違う育ちの良い奴"みたいな感じで、勝手に自分で線を引いてたんです。そこから"こいつも変な奴なんやな"って気付き始めて、安心して一気に扉を開いて。気付いたのはコロナ禍ちゃうかな。FM802の電波無限大というプロジェクトを一緒にやる機会があって、話すことも増えて、ほんまにこの3~4年でぐーっと距離を縮めた感じですね」
高木「付き合いは長いけど、意外と後半の方が濃いです」
――Re:nameから見て、ammoはどんな存在でしたか?
高木「それこそ最初に対バンしたのは5年前ですけど、僕らは洋楽ポップス路線に走っていって。ammoは音楽性やライブのやり方が正反対なのもあって、あまり一緒になることがなかったんですけど、同い年というのは知ってたので、SNSの反響やライブを見て、勝手に意識してました」
――やはり同い年というだけで意識してしまうものなんですね。
高木「そうですね。それこそ泰輝と飲みに行った時、泰輝が"同い年のフロントマンで尊敬してるのが、僕と優星くんと、シャイトープの(佐々木)想やねんな"って話をしてて。その時から"数少ない同い年のすごい奴"という意識はしてますね」
汐田、岡本
――では、ammoから見てRe:nameやバイハンはどんな印象でした?
岡本「泰輝の言った通り、Re:nameはすごい世界を持ってて、踏み込んではいけない、みたいな」
高木「そんなバリア!?」
汐田「はははは(笑)」
岡本「出会った時はね。今日再会するまでそこで止まってたんで、まだあの時の感じというか(笑)。"ヤバい奴"みたいなところは微塵も見てないです」
高木「そりゃそうやな」
汐田「ヤバさのベクトルが違うというか。優星と一成はほんまに真反対なんですよね。難関進学コース目指す奴と不良って、大体仲良くならないじゃないですか。一成は難関進学コースを目指すタイプで、優星はやんちゃなヤンキー。でも僕は思い返せば、学生の時もそういう立ち回りが多かったというか、両方と仲が良かったんです。一成は誠実で真面目やけど、難関進学コースを目指す奴もやっぱり変わってるというか。どっちも1本筋を通すところは似てる気がしてて、両方の魅力を別のところで感じて仲良くなってる感じです」
岡本「いつか重なるかな」
高木「あははは(笑)」
――『蜜フェス』でぜひ。出演は同じ日で、しかも出番が前後ですからね。
汐田「かなり困惑の流れ(笑)」
高木「なかなかないと思いますよ、俺らの出番が前後のイベント」
岡本「ないない。初めてかも」
汐田「僕が組むからこれができちゃう。そこにバンド主催の意味があるなと思ってて。似た奴らを集めるイベントって、多分誰かがやってくれると思うんですよ。いろんな名だたるフェスもサーキットもある中で、次のシーンをやるとなった時、それに乗っかるよりも発明したいじゃないですか」
――発明。
汐田「去年で言うなら、asmiが出てArakezuriが出てみたいな。絶対に一緒にならないけど、打ち上げの席にみんないる。去年の打ち上げは、最後の晩餐みたいな空気で、"夢かなこれは"というぐらい違和感があったんですよ。同時に、感じたことないぐらい"やってきて良かった"と思えて。今年も僕らを中心に色んな繋がりができたら、誰も組まなくても『秘密蜂蜜フェス』であり得る対バンが実現する。それが僕らがやる醍醐味なのかなという感じはしてますね」
シーンを盛り上げるために自分からアクションしたい
そのひとつが『秘密蜂蜜フェス』
――バイハンは橋渡しになるポジションというか。バンドは大体ライバル的な存在でバチバチしますが、バイハンの周りのバンドたちは"連帯しよう"みたいな空気がある気がします。もちろん"俺らが1番カッコ良い"と言ってライブをやるけど、横の繋がりもしっかり見える。そこは真ん中に立つのがバイハンだからこそかなと思いました。
汐田「この2人も、今までいろんな現場で先輩の姿を見て活動してきたと思うけど、僕の印象では、抜け駆けしようとした先輩ほどうまくいってない印象があるんすよ。1人で売れ切ったろう、逃げ切ったろうみたいな。"売れる"という言葉ってすごい抽象的やと思ってて。バンドの成功にそれぞれの形があるとしたら、僕の中では"このバンドじゃないとこの欲求、この幸せは満たされないんだ"という形を作ることが、僕の中のバンドの成功というか。その輪をどれだけ広げられるかとなった時に、干渉し合うお客さんがいるなら、"普通に共有した方がよくない?"と思っちゃうんですよ。"このバンド良いな"と思うキッカケをお互いが作ったら楽やのに、"変にライバル視してもしんどくないか?"って。ライバル意識はライブでやればいいだけで、ライブまでの過程は対バンとかに挑戦してもいいのになというのは、最近の若い人に思います」
――この考え方は、岡本さんも高木さんも"わかるな~"という感じですか?
岡本「俺は抜け駆けしようとしてるタイプなんで」
汐田「わははは! 正直やからな(笑)」
岡本「俺たちの場合は、デビューした時からOrange Owl RecordsやTHE NINTH APOLLO(いずれも大阪のインディーズレーベル)に入って、ツアーを廻り出した頃には環境が整ってたから、そういう考え方もしたことなかったなと思って。Orange Owl Recordsの中でも、他のバンドより先にサブスクを始めたりメジャーデビューしたり、"俺が俺が!"みたいな(笑)。"気合い入れていくんだ!"という感じだったから、ちょっと今、喝入れられた気分」
汐田・高木「(笑)」
汐田「THE NINTH APOLLOは大阪のレーベルで言うと、すごいブランド力を持つ存在。今もあの頃もそれは変わらないけど、僕らはそれとは違うやり方を当時から意識してたなって、今思い出しました」
汐田
――バイハンの活動スタンスとして?
汐田「そう。彼らができないことをどれだけやろうかというのは、活動を考える1個の軸としてあった気がする。ライブでどれだけ煽られてもずっと笑おうとか。ただ、戦わないことを選ばないことだけはしない。例えばライブにおいて何か投げかけられた時に、それをフル無視してライブはしない。戦うけど、同じ土俵では戦わない。"揚げ足取られて嫌やわ"みたいなので戦いをやめるのもわかるけど、"自分がやってきたことをやればよくない?"と僕は今も思ってるし、それぞれの良さがあるから。良し悪しを決めるのは、ライブを見た人たちやし」
――最初からそのスタンスなんですか。活動初期はもっと"俺が俺が"となりそうですよね。
汐田「いや~、なんかあったんですよ。打ち上げで先輩同士がライブハウスの人たちと、"なんでお前ら、あのバンドとスプリットやらへんの?"、"あのバンドがやりたがらないんで、僕からは言えないです"みたいな。"そんなんやってるからお前ら!"って喧嘩してるの見て、結構地獄やって。でも言ってることはわかるんですよ。確かに何かを仕掛けてる奴が今のシーンを盛り上げてるなって、その瞬間に気付いて。フェスに呼んでもらうことは嬉しいし、呼んでもらえるバンドになるとしても、自分からアクションしたかった。そのひとつがこの『秘密蜂蜜フェス』なのかな」
高木「バイハンがフェス主催の役割をやれてるのって、完全に泰輝の人間性があるからやと思うんですね。進学校に行く奴とヤンキーと両方仲良かったみたいな話も、学級委員長的にみんなをまとめるポジションのカラーやからこそできるのであって。多分僕らはフェスの主催とかできないんですよね。やることもあるかもしれないけど、なんかそっちじゃないなという感じが、メンバーの中でもあって。バイハンが主催イベントをやって、"この世代を盛り上げていこう"という意思表示ができるバンドだということを『蜜フェス』に出るみんなはわかってるし、だからこそ出たいなと思うと思います」
悔しい想いをしてきたから感じる喜び、バンドを続ける上で必要なタフさ
――皆さんは大阪を拠点に活動してきた3組で、共通点としては2023~2024年にFM802のヘビロを獲得されていて。今、関西でも皆さんと同世代のバンドが力をつけて、どんどん前へ出てきている感覚もあるかなと思いますが。
岡本「そうですね。昔一緒に出てたTRACK15とかArakezuriとか、みんな調子良いもんな」
高木「確かに」
――今のロックシーンに思うことはありますか?
汐田「この間、遠征で1週間ぐらい九州方面を廻った時に、ライブハウスの人に"3本以上ツアーに帯同するバンドって減ったよな。最近は多くても2か所じゃない? それじゃ盛り上がった瞬間に終わる気するねんな"と言われて。この話はさっき言った"最近の若い人"に自分も入るというか。バンドともっと深い関係を作るタイミングは、やっぱりツアーや対バンで。確かに2本までは誘いがちなんですけど、意外と3本目誘うのって勇気が要るというか。馴れ合いにはなりたくないけど、より知りたいバンドやからこそ、3本とか4本とか誘うのが昔は全然平気やったし、九州で対バンした先輩バンドに話を聞いたら、当時は47都道府県を47日間で廻ったりしたと」
――えー!
汐田「"とにかく他と違うことをしようと必死やったから、そういうことをしてた。それが今は意外とない"と言われて、"なるほどな"みたいな。"最近は3日間ライブが続くのを嫌がるバンドマンが多すぎる"って」
――働き方改革じゃないけど。
汐田「それはもう完全にしばかれた感じというか。俺も3日間連続ライブでヒーヒー言うてて、先輩に"何日続きなんですか?"って訊いたら"7日続きやで"って。もう何も言えない」
高木「ヤバいな(笑)」
岡本「やりすぎ」
汐田「そう。やりすぎやけど、ある意味そのタフさが自分に足りてなかったというか、ちょっと忘れていたというか。もちろんやればいいとは思わないし、今はある程度賢く廻ることも大事だと思うけど、今みんなすごい賢いんで。"賢くやろう"が先行しすぎて、身体が追いついてないことがある感じがして。で、自分もそうなりかねる瞬間も結構ある。思考が守りに入って、逆に動きを止めてしまう時が結構ある。行き詰まった時こそ、身体勝負で体当たりでやるのがめっちゃ大事なんやなと思いました。"7日間ライブできますが、やりません"みたいなスタンスでいたいですね」
岡本「その方がカッコ良いな」
高木「確かに」
汐田「でも今それだけできるタフなバンドがどれぐらいいるかとなったら、かなり限られると思うんですよね。大人がつく状況も多分すごく早いから、バンドをやる楽しみがわかる前に"お仕事"になっちゃってる若手は多い気がする。本来バンドって自分がやりたいから、楽しいからやってるはずやのに、"お前才能あるよ"だけでその感覚を失われるのって、結構見てて辛いなと思いますね」
――皆さんは、楽しい気持ちを持ち続けながら活動をやれてる感じですか。
岡本「楽しい以外のこともいっぱいありますけど、僕はずっと仕事として音楽をやりたいという考えなので。頭の悪いライブ行程はメジャーデビューするまで散々やったから、今はもういいかなって感じですけど」
岡本
――でも無茶をする時期もあったと。
岡本「やりました。確かに今はバンドを始めて、レーベルにつく前のデモバンドの時点でサブスク出てるのが当たり前で、スタートがサブスクみたいな感じやから、恵まれてるけどかわいそうみたいな」
汐田「そうやねんな。あの時より便利やし、見つかる環境も整ってると思うし。ただやっぱり長く続けば続くほど、泥水をすすった体験が喜びに変わるんですよね。多分この3組は、少なからずちゃんと泥水すすったと思うんですよ。"マジで売れない、苦しい"という経験がないと、ワンマンでハコをいっぱいにした時の喜びも変わってくる気がしてて」
高木「確かに」
汐田「"ほんまに悔しい想いしたよ"とか"嫌なこと言われたよ"というのは、引きで見たらある意味全部"あざす"というか。で、その人に認められた時の"勝った感"。たったそれだけの、人からしたらどうでもいいことに、いかにムキになるか。最近はみんな守りばかりで、多分怒ってくれる人や助言してくれる人もなかなかいなくて、いつの間にか失礼な奴になり、どこかで何かを失っていく。僕らはちゃんとリアルに腕でしばかれてましたから」
岡本「しばかれた最後の世代じゃない?」
汐田「(笑)」
高木「僕らもライブハウスの人に教えてもらうことはもちろんありましたけど、最近はサブスクやSNSでの音源の広がり方がすごいから、逆に言うと音源だけで全部ひっくり返るんですよ。ライブに全然人が入らなくても、音源がパッと走ったら一気にライブに人が増える。僕はそこにめっちゃ可能性を感じてて、良い時代やなと思う。多分この2バンドと比べたら、僕らは音源先行で知ってもらうことが多いと思うんですよ。でもそれって結構危なくて、僕自身も同世代や後輩で音源がカッコ良いバンドは観に行くんですけど、"ライブは期待してたほどじゃなかったな"と思うこともあって。この時代やからこそ、それが僕らにも起こるんやろうなと思うから、ライブの精度はしっかりしたい。僕らは昔からライブ日程を死ぬほど詰めるタイプじゃなかったけど、いつまで経っても"ライブは大事にしないと"と思う理由はそこにあります」
フロントマンとしての、ステージでの意識
――3組とも前に放つ力が強いバンドですが、それぞれフロントマンとしてライブで意識していることはありますか?
汐田「現状思っているのは、荒々しくても下手くそでもいいんですけど、曲の始まりと終わりが合っていること。曲中がぐちゃぐちゃでも、頭と終わりがぴっちり合ってたら結構成立すると思ってるんですよ。ライブは演奏会ではないので、音源通りに弾く意味もあるようでないと思っていて。"ライブ観たな~"と思う時って、若干のズレやピッチ、リズムも含めて、そこにライブ感がある。あとはもうマジで自分を信じること。去年の『蜜フェス』も、"何を言おう、何を伝えよう、何を放とう"となってたんですけど、その場の自分しか信じないと思うようになりました。『蜜フェス』までの日はいっぱい考えるけど、当日考えることは何もない。出番前に対バン相手のライブを観て感じることは絶対にあるし、その鮮度の方が大切というか。鮮度感と、演奏面では頭とお尻がどれだけビチッと合ってるかどうかを、人のライブを観る上でも自分でやる上でも意識してます」
高木「僕もちょっと似てるかも。曲の始まり終わりと言えるかもしれないけど、曲の繋げ方は最近めちゃくちゃ気にしてて。僕は音楽を始めてから、"目の前の人の人生を今日で変えてやる"と思ったことはこれまで1回もなくて。最初から"良い音楽作ってきたから聴いてくれや"というスタンスで、"帰りにあなたの一軍のプレイリストに入れてください"ぐらいでやってるんですけど、それは僕が海外のアーティストから影響を受けてるから。来日ライブに行った時、いつも"ここでやってくれてありがとう"となるのは、本人たちが楽しそうに演奏してることや、普段聴いてる音楽の本物が鳴ってることに感動するからなんです。だから僕もライブでしかできない曲の繋げ方や、セットリスト的な驚きは考えてます。あとは自分たちが1番楽しんで演奏すること。海外アーティストで機材トラブルにキレてる人を見ると"楽しんでくれてるのかな?"と心配になるし、それがノイズに感じることもあるので、自分が楽しむのは大前提で、驚きを持って帰ってもらえるようにしたいなと思ってます」
岡本「(うんうんと頷く)」
――岡本さんも、共感するところがありましたか。
岡本「めっちゃわかりますね。2人ともこんなに考えてて言葉に出せるのがすごい。こういう話は普段あんましないので、聞けて嬉しいです。俺はセトリも考えてないし、出演するイベントもレーベルの人に任せてるので、"岡本優星を演じる"みたいなスタンスなんですけど、唯一音が鳴ってない無音の瞬間をめっちゃ大事にします。SEから手を上げて歌い出すまでの秒数や息遣いのブレス音、爪弾く時のギターの音量、曲と曲の間の無音の時間、MCの立ち振る舞い。髪を掻き上げてみたり、マイクの距離、歩き方、そういう音楽以外のことはすごいこだわってて。"どの岡本優星が1番色気があるように見えるか"は、ステージの上でずっと考えてます」
高木、汐田
――へえ~!
汐田「めっちゃわかるわ。見ててわかる。優星は独特なんですよね。それこそ優星の仲間たちのライブを見ても、優星はやっぱちょっと空気が違う。それが言語化できてなかったんですけど、今聞けましたね。そういうことやったんや。独特な動きがあるなとずっと思ってたんですよ」
岡本「運動神経悪くてー」
汐田「(笑)」
高木「それなん(笑)」
汐田「でもめっちゃ納得しました。確かに緊張感があるんですよね。狂ってないのに、何をしでかすかわからない空気感というか、怖さに近い感覚がある。でもライブの中で裏切られるし、最後までどういう奴やったか掴みきれずに終わる感じ。僕らは優星の普段の姿を知ってるからまだ紐解けるけど、ステージの優星しか知らないファンのみんなは、より謎が多いまま次のライブにまた来るんやなみたいな。そのミステリアスな部分がある」
岡本「俺のテーマですね、ミステリアス」
汐田「去年『蜜フェス』の打ち上げで1番最後まで一緒にいてくれたのが優星で、そこで"結局優星って何考えてるかわからんよな"と言った時に、優星が"俺は何もしてないのに、それ言われすぎてる"となって。こっちが勝手に"何かあるだろう"と詮索してたんですよね。そこから俺は"はてな"を浮かべながら優星と接するのはやめようって。プライベートで遊ぶ時も緊張感あったんですよ。本人にも言ったけど、言葉めっちゃ選んで喋ってた。こっちの隙もあまり見せずに、ゆっくり小出しで相手の様子を伺うみたいな(笑)」
岡本「そのご飯楽しかった?(笑)」
汐田・高木「(笑)」
汐田「面白かった。面白かったけど、同い年で唯一緊張感のある関係やった。今はそれとは違うんですけど。去年の年末に久々に喋った時に、"優星普通に人間やな"と、めっちゃ安心して帰ったの覚えてる(笑)。優星も変わっていってるし、俺も多分変わってる。今はあの頃よりもっと優星のことが見えてる気がしてますね」
結成10周年のバイハン。リスタートする気持ちで活動を続けていきたい
――バイハンは今年結成10周年ですね。現在地はどんな感じですか?
汐田「ある意味リスタートというか。10年やってきたんですけど、メジャーでは1年目なので、当たり前にまだ僕らに出会ってない数の方が多いじゃないですか。出会ってくれた人はもちろん大事にしながらも、まだ出会ってない人がほとんどという感覚で、それこそ賢くやりすぎないようにしたいなというか。よりインディーな動き方で、"どこがメジャーやねん"みたいなことをメジャーに関わる人数でやりたい。僕らはずっと階段を1段1段上がる以外したことないし、それ以外の術を知らないので。ただ、続けてきた先に今があるし、この先も続けていけば絶対に未来があると思ってる。10年築いたものを1回崩したとしても、なくならないものが絶対にあるから、改めてもう1回ここからやりたいなという気持ちですね」
高木
――高木さんと岡本さんはバイハンに期待することはありますか?
高木「大前提、フェスを主催してる同い年なんかマジでいないので、世代を引っ張っていくようなイベントを、どんどん大きくしていってくれると思ってます。そこに僕らも居続けたいし、僕らしか出せない色でイベントに関われたらなと思ってますね」
汐田「嬉しいね」
岡本「大きくしてほしいです」
汐田「ありがとうございます」
Text by ERI KUBOTA
Photo by 濵田志野
『蜜フェス』についての話は後編で!
(2025年3月27日更新)
チケット発売中 Pコード:289-524
▼3月29日(土)・30日(日) 13:15
BIGCAT
1DAYチケット 一般-6000円(スタンディング)
1DAYチケット 学割-5000円(スタンディング)
[29日(土)出演]Bye-Bye-Handの方程式/Blue Mash/Brown Basket/Maki/POT/Sunny Girl/ジ・エンプティ/ペルシカリア/レトロマイガール!!
[30日(日)出演]Bye-Bye-Handの方程式/ammo/Arakezuri/bokula./the paddles/reGretGirl/Re:name/the奥歯's/猫背のネイビーセゾン
※未就学児童は入場不可。小学生以上はチケット必要。
※入場時ドリンク代別途必要。
※学割対象者は小学生・中学生・高校生・大学生・専門学校生となります。小学生は年齢を証明できるものを、中学生以上の方は顔写真付きの学生証を当日ご持参ください。
※販売期間中はインターネット販売のみ。1人4枚まで。チケットの発券は、3/22(土)朝10:00以降となります。
[問]キョードーインフォメーション
■0570-200-888